説明

帯電器及び画像形成装置

【課題】コロナ生成物による画像流れの発生を防止すること。
【解決手段】帯電器100は、開口106を有するケーシング102と、開口106を開閉するシャッタ板130と、シャッタ板130を移動させる移動手段とを備えている。シャッタ板130を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板130が帯電位置にあるケーシング102を圧縮コイルばね128のばね力に抗して帯電位置から退避位置に強制移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電器、及び該帯電器を備えた画像形成装置(例えば、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機、などの画像形成装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電により感光体ドラムの表面を一様に帯電させる帯電器は、オゾンや窒素酸化物などのコロナ生成物を発生する。発生したコロナ生成物が感光体ドラムの表面に付着すると、高湿下において感光体ドラムの表面抵抗が低下していわゆる画像流れが発生する。このような問題を解決するための帯電器は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された帯電器は、放電ワイヤが内蔵されかつ感光体ドラムの軸方向に延在して感光体ドラムに対向する開口を有するケーシングと、該開口を開閉するシャッタ板と、シャッタ板をケーシングの幅方向と一致する感光体ドラムの接線方向に移動させて該開口を閉じる閉位置と該開口を開く開位置との間を移動させる移動手段とを備えている。
【特許文献1】特開2007−072212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記帯電器においては、シャッタ板が、感光体ドラムの表面に対し隙間をおいて対向するよう配設されたケーシングの開口端と、感光体ドラムの表面との間の該隙間を、感光体ドラムの接線方向に移動させられる。シャッタ板の開口端にグリッドが配設されている、いわゆるスコロトロンタイプの帯電器においては、感光体ドラムの軸方向に見て感光体ドラムの接線方向に直線状に配設されたグリッドと感光体ドラムの表面(円周面の頂点)との間の隙間は、帯電性能を考慮して、一般的に0.1mm〜1.0mmに設定される。このような狭い隙間よりも更に厚みの薄いシャッタ板を、感光体ドラムの表面に接触することなく長期にわたって安定して開閉作動させるためには、高精度の技術が要求され、実用化は著しく困難である。また、グリッドが、感光体ドラムの軸方向に見て感光体ドラムの外周面に沿って一定の隙間をおいて円弧状に存在するようケーシングに配設された場合には、円弧状の該隙間を開閉するために、薄いシャッタ板を円弧状に形成して、感光体ドラムの表面に接触することなく開閉作動させる必要があり、実用化は実質的に不可能であるといえる。なお、グリッドを使用しない、いわゆるコロトロンタイプの帯電器においても、ケーシングと感光体ドラムの表面との隙間が上記と同様に狭い場合には、上記したのと同じ問題が存在する。
【0004】
本発明の目的は、グリッド又はケーシングと感光体ドラムの表面との隙間を所要のとおりに確保しながら、コロナ生成物による画像流れの発生を防止することを実用上、容易に可能にする、新規な帯電器及び該帯電器を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によれば、
放電ワイヤが内蔵されかつ感光体ドラムの軸方向に延在して感光体ドラムの表面に対向する開口を有するケーシングと、該開口を開閉するシャッタ板と、シャッタ板をケーシングの幅方向と一致する感光体ドラムの接線方向に移動させて該開口を閉じる閉位置と該開口を開く開位置との間を移動させる移動手段とを備えた帯電器において、
ケーシングは、感光体ドラムの表面を帯電させることができる帯電位置と、帯電位置から感光体ドラムの半径方向外方へ退避する退避位置との間を移動可能でありかつ付勢手段により帯電位置に常時付勢され、
シャッタ板を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板が帯電位置にあるケーシングを付勢手段に抗して帯電位置から退避位置に強制移動させる、
ことを特徴とする帯電器、
が提供される。
ケーシングは、感光体ドラムの接線方向に間隔をおいて対向する一対の側壁を有するチャンネル形に形成され、シャッタ板の開位置は、ケーシングの一側壁の側外方に配置され、ケーシングには、開口端における該一側壁から該側外方に向かって感光体ドラムの半径方向外方に延び出す傾斜突部が形成され、ケーシングが帯電位置にある状態で、傾斜突部の、感光体ドラムの表面側の傾斜面の一部は、シャッタ板の移動軌跡上に存在するよう位置付けられ、シャッタ板を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板の先端部が、ケーシングの傾斜突部の該傾斜面の一部に当接して帯電位置にあるケーシングを付勢手段に抗して帯電位置から退避位置に強制移動させた後に、シャッタ板がケーシングの開口端を該接線方向に横切って位置付けられる、ことが好ましい。
ケーシングの開口端には、ケーシングが帯電位置に位置付けられた状態で、感光体ドラムの表面に隙間をおいて感光体ドラムの軸方向に相互に平行に直線状に延在しかつ、該軸方向に見て該表面に沿って円弧状となるよう相互に隙間をおいて配設されたグリッド線を備えたグリッドが配設されている、又は、感光体ドラムの表面に隙間をおいて感光体ドラムの軸方向に直線状に延在するグリッド板からなるグリッドが配設されている、ことが好ましい。
本発明の他の局面によれば、
感光体ドラムの表面を帯電させる帯電器を備えた画像形成装置において、該帯電器は、上記いずれか1つの帯電器から構成される、ことを特徴とする画像形成装置、
が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に従って構成された帯電器及び該帯電器を備えた画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
先ず、図9を参照して、本発明に従って構成された帯電器を備えた画像形成装置であるレーザプリンタの実施形態について説明する。
【0008】
レーザプリンタ2(以下、「プリンタ2と略称する」)は、ほぼ直方体形状の画像形成装置本体であるプリンタ本体4を備えている。プリンタ本体4の上面には、図9において左端部から鉛直下方に延びる段部6と、排紙トレイ8が形成されている。排紙トレイ8は、段部6の下端から図9において右上方に向かってゆるやかなカーブで上昇してから、図9における右端部で水平に延在するよう形成されている。段部6には排出口9が形成されている。
【0009】
プリンタ本体4内のほぼ中央領域には、像担持体である感光体ドラム10が図9において時計方向に回転駆動されるよう配設されている。感光体ドラム10の周囲には、後述する帯電器100、現像装置12の現像スリーブ12A、転写ローラ14、クリーニング装置16のクリーニングローラ16A、及び図示しない除電器などが備えられている。プリンタ本体4内の上部位置には、入力された画像情報をレーザ光に変換し、感光体ドラム10の表面に照射するレーザスキャニングユニットLSUが配設されている。
【0010】
プリンタ本体4内における上下方向のほぼ中央部には用紙を搬送するための搬送路18が配設され、下端部には給紙カセット20が装着されている。搬送路18は、感光体ドラム10と転写ローラ14との間を通ってそれらの接線方向にほぼ水平に延在している。搬送路18の上流端領域は、下方に反転して上記給紙カセット20に接続されている。搬送路18における、感光体ドラム10の上流側には、分離ローラ対22、搬送ローラ対24及びレジストローラ対26が搬送路18に沿ってかつ、上流から下流に向ってその順に配設されている。給紙カセット20内には、一端が軸28まわりに回動自在に支持された用紙載置板であるボトム板30、ボトム板30の他端を上方に押し上げる圧縮コイルばね32などが配設されている。ボトム板30上に積層・収容された用紙Pの先端部における上面は、プリンタ本体4内に配設されたピックアップローラ34に圧接される。
【0011】
搬送路18における感光体ドラム10の下流側には、定着装置36が配設されている。定着装置36は、熱ローラ36Aと、熱ローラ36Aに下方から圧接された圧ローラ36Bとを備えている。搬送路18における定着装置36の下流側には、搬送ローラ対38が配設されている。搬送ローラ対38の下流側には排出搬送路40が配設されている。排出搬送路40は、プリンタ本体4の後壁(図9において左側に位置する壁)の内側に沿って上方に延在し、上端部においてプリンタ本体4の前方側にカーブして上記排出口9に接続されている。排出搬送路40の、上下方向におけるほぼ中央位置には、搬送ローラ対42が配設され、上端(下流端)には排出ローラ対44が配設されている。
【0012】
上記プリンタ2にプリント信号が送信されると、帯電器100により一様に帯電された感光体ドラム10の表面がレーザスキャニングユニットLSUにより露光されることにより該表面に静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置12の現像スリーブ12Aにより現像されてトナー像となる。このトナー像は、転写ローラ14によって、給紙カセット20から所定のタイミングで搬送された用紙Pの片面に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送路18にガイドされて定着装置36に搬送され、熱ローラ36と圧ローラ36Aとのニップ部を通過する間に熱定着される。トナー像が定着された用紙Pは、搬送ローラ対38、搬送ローラ対42及び排出ローラ対44により、排出搬送路40を通って排出口9から排紙トレイ8にフェイスダウンの状態で排出される。
【0013】
次に上記帯電器100について説明する。図1〜図4を参照して、帯電器100は、ケーシング102を備えている。適宜の合成樹脂から形成されるケーシング102は、一定の幅で長手方向に直線状に延在する天壁104と、天壁104の幅方向両側から天壁104の片面側に直角に延び出す一対の側壁105とを備え、天壁104と反対側に開口106(図4)を有するチャンネル形状をなしている。ケーシング102の長手方向両端には、それぞれ端壁107が一体に形成されている。端壁107の各々は、側壁105の各々に直交するよう配置される。側壁105の各々及び端壁107の各々の開口106側の先端面は、実質的に共通の仮想平面(不図示)上に位置付けられている。
【0014】
ケーシング102の長手方向両端領域から中間領域の一部にわたる領域の各々には、側壁105の一方(感光体ドラム10の回転方向上流側に位置する一側壁105)の開口106側の先端から側外方に、開口106が開口する方向に対し反対方向にストレートに延び出す傾斜突部105Aが形成されている。傾斜突部105Aの各々が、側壁105の一方の開口106側の先端から該方向に緩やかにカーブしながら延び出す他の実施形態もある。
【0015】
ケーシング102の長手方向両端領域を除く中間領域には、ステンレスなどの金属板からチャンネル形に形成されたシールドケース108が、三面外方を覆うよう嵌合装着されている。ケーシング102内には、2本の放電ワイヤ110が長手方向に延在するよう張力を付与されて配設されている。ケーシング102の開口106端にはグリッド112が開口105の先端部間を開口端から内方に膨らむよう円弧状に配設されている。グリッド112は、ケーシング102の長手方向に相互に平行に直線状に延在しかつ、ケーシング102の長手方向に見て、開口105の先端部間を開口端から内方に膨らむ円弧状となるよう相互に隙間をおいて配列されたグリッド線を備えている。なお、グリッド112を、ケーシング102の開口106端において、ケーシング102の長手方向に所定の幅をもって直線状に延在するグリッド板から構成する他の実施形態もある。図3において、符号113は、放電ワイヤ110の各々に電圧を印加するための端子を示し、また、符号114は、グリッド112に電圧を印加するための端子を示し、それぞれ、ケーシング102の一端から外方に突出するよう配設されている。
【0016】
ケーシング102は、感光体ドラム10の表面を帯電させることができる帯電位置(図1に示される位置)と、帯電位置から感光体ドラム10の半径方向外方へ退避する退避位置(図7に示される位置)との間を移動可能に、プリンタ本体4内に配設されている。更に具体的に説明すると、ケーシング102は、感光体ドラム10の全長よりも長く形成されている。プリンタ本体4内において、感光体ドラム10の両端における外周面近傍の軸方向外側位置には、それぞれ接線方向にストレートに延在する位置決めガイド116が配設されている。適宜の合成樹脂から形成される位置決めガイド116の各々は、細長いほぼ矩形状のガイド板部118と、ガイド板部118の長手方向両端部の各々における内側面(感光体ドラム10の軸方向内側面)に配設された位置決め突部120とを備え、感光体ドラム10の軸方向の対称位置に配置されかつ相互に対称形状をなしている。
【0017】
位置決めガイド116の各々のガイド板部118は、感光体ドラム10の軸方向に見て、感光体ドラム10の外周面(表面)に対し半径方向外方に隙間をおいた位置を感光体ドラム10の接線方向にストレートに延在する片面118A(図1において上面118A)と、片面118Aに対し感光体ドラム10の半径方向内側に間隔をおいた位置を片面118Aに平行に延在する他面118B(図1において下面118B)と、長手方向一端面118C及び他端面118Dを備えかつ、一定の厚み(感光体ドラム10の軸方向厚み)を有している。ガイド板部118の各々の片面118Aは、一端面118Cに向かって他面118B方向に緩やかにカーブしている。このカーブは、後述するシャッタ板130が閉位置(図1)から開位置(図7)に向かって移動する際、シャッタ板130の先端部をガイド板部118の各々の片面118A上に円滑にガイドするのに寄与する。ガイド板部118の各々の一端面118Cは、該接線方向において、感光体ドラム10の回転方向上流側であってクリーニング装置16の下流側に位置し、他端面118Dは、感光体ドラム10の回転方向下流側に位置する。位置決め突部120の各々は、対応するガイド板部118の内側面から直角に感光体ドラム10の軸方向に同じ厚みを有するよう延び出しかつ、感光体ドラム10の軸方向に見て、一定の該接線方向の幅をもって、対応するガイド板部118の他面118Bから片面118Aに向かって同じ長さだけ延びると共に、頂面が半円状に形成されている。相互に実質的に同じ形状及び大きさを有する位置決め突部120の各々の頂面は、片面118Aに対し、同じ距離だけ他面118B方向に後退した位置に存在する。
【0018】
図5に示されているように、ケーシング102の端壁107の一方には、被ガイド板122が1個配設されている。被ガイド板122は、端壁107の一方から直角にケーシング102の長手方向外方に延び出し、両面がケーシング102の幅方向に向くよう配設されている。被ガイド板122に対応して、プリンタ本体4内には、チャンネル形のガイド124が配設されている。端壁107の他方にも、被ガイド板122が、幅方向に間隔をおいて2個配設されている。これに対応して、プリンタ本体4内には、チャンネル形のガイド124が2個配設されている。ケーシング102は、被ガイド板122の各々が、対応するガイド124にスライド可能に嵌合されることにより、端壁107の各々の開口106(図4)側の端面が、対応するガイド板部118の位置決め突部120の各々の頂面に対し接近・離隔する方向、すなわち感光体ドラム10の半径方向に移動可能にプリンタ本体4内に支持される。
【0019】
図1〜図4を参照して、ケーシング102の長手方向両端部における天壁104の外面と、プリンタ本体4内の対応する位置に配設されたばね受部126との間には、それぞれ2個の圧縮コイルばね128が配設されている。ケーシング102は、付勢手段を構成する圧縮コイルばね128の各々により、端壁107の各々と側壁105とが直角に交わる角部における開口106側の端面が、対応するガイド板部118の位置決め突部120の各々の頂面に圧接されることにより、帯電位置に常時付勢された状態で位置付けられる。ケーシング102の開口106は、感光体ドラム10の軸方向に延在して感光体ドラム10の表面に対向して位置付けられる。ケーシング102の端壁107の各々の外面は、対応するガイド板部118の内側に隙間をおいて位置付けられる。ケーシング102の側壁105の各々の開口106側の端面は、感光体ドラム10の表面に隙間をおいて位置付けられる。ケーシング102の端壁107の各々の開口106側の端面は、感光体ドラム10の両端の外側に位置付けられる(不図示)。ケーシング102のグリッド112を構成するグリッド線は、感光体ドラム10の表面に隙間をおいて感光体ドラム10の軸方向に相互に平行に直線状に延在しかつ、該軸方向に見て該表面に沿って円弧状となるよう相互に隙間をおいて配置される。グリッド112がケーシング102の開口106端において、ケーシング102の長手方向に所定の幅をもって直線状に延在するグリッド板から構成された場合には、グリッド板は感光体ドラム10の表面に隙間をおいて感光体ドラム10の軸方向に直線状に延在する。
【0020】
帯電器100は、ケーシング102の開口106を開閉するシャッタ板130と、シャッタ板130を感光体ドラム10の接線方向と一致するケーシング102の幅方向に横切るように移動させて開口106を閉じる閉位置(図7に示される位置)と開口106を開く開位置(図1に示される位置)との間を移動させる移動手段とを備えている。シャッタ板130を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板130が帯電位置(図1)にあるケーシング102を圧縮コイルばね128の各々のばね力に抗して帯電位置(図1)から退避位置(図7)に強制移動させる。
【0021】
更に具体的に説明する。図1に示されているように、感光体ドラム10の半径方向外方であって、帯電器100が配設された位置よりも上流側には、クリーニング装置16が配設されている。クリーニング装置16の図1において上側であって、クリーニング装置16と帯電器100との間の位置には、ハウジング132が配設されている。ハウジング132は、感光体ドラム10の軸方向に延在する配設され、ハウジング132の長手方向(該軸方向)における両端部には、ガイド板134が配設されている。適宜の合成樹脂から形成されるガイド板134の各々は、位置決めガイド116の各々のガイド板部118の延長上をストレートに延在するよう配設され、ほぼ同じように構成されている。すなわち、ガイド板134の各々は、片面(図1において上面)134A、長手方向一端面134C及び円弧状の他端面134Dを備えかつ、一定の厚み(感光体ドラム10の軸方向厚み)を有している。ガイド板134の各々の片面134Aは、対応する位置決めガイド116のガイド板部118における片面118Aの延長上をストレートに延在するよう配設され(相互に共通の仮想平面上に位置付けられ)、円弧状の他端面134Dは、ガイド板部118における一端面118Cに対向するよう位置付けられている。
【0022】
シャッタ板130は、適宜の合成樹脂から形成されかつ、矩形平板状に形成されている。ハウジング132内において、シャッタ板130の長手方向両端部は、それぞれガイド板134の片面134A上に、片面134Aに沿ってスライド可能に載置支持される。なお、シャッタ板130の長手方向両端には、それぞれガイドフランジ136(図2)が、ガイド板134方向に直角に延び出すよう形成されている。シャッタ板130がガイド板134の各々の片面134A上に載置支持された状態で、ガイドフランジ136の各々は、対応するガイド板134の、該軸方向外側に位置付けられる。ハウジング132の、帯電器100側には、シャッタ板130が開閉移動しうる開口138が形成されている。
【0023】
ハウジング132内の、開口138の内側には、ハウジング132の長手方向(感光体ドラム10の軸方向)に延在する駆動軸140が回転自在に支持され、駆動軸140には軸方向に間隔をおいて2個の駆動ローラ142が一体回転し得るよう配設されている。駆動ローラ142の各々には、従動ローラ144が図示しないばね部材により図1において下から上に向かって圧接されている。シャッタ板130の、開口138側の先端部であって、長手方向における中央領域は、駆動ローラ142及び従動ローラ144の各々間に挟持されている。駆動軸140の一端(図3において上端)は、ハウジング132の長手方向の一端から外方に延び出し、該一端には被駆動ギヤ146が一体回転し得るよう配設されている。被駆動ギヤ146は、駆動源である電動モータMの駆動ギヤ148に噛み合わされている。駆動軸140、駆動ローラ142の各々及び従動ローラ144の各々などは、シャッタ板130の移動手段を構成する。
【0024】
図1に示されているように、シャッタ板130の開位置は、帯電器100のケーシング102の一側壁105(感光体ドラム10の回転方向上流側に配置された一側壁105)の側外方に配置されている。ケーシング102の前記傾斜突部105Aは、開口106端における該一側壁105から該側外方に向かって感光体ドラム10の半径方向外方に延び出すよう形成されている、といえる。ケーシング102が帯電位置(図1)に位置付けられた状態で、傾斜突部105Aの、感光体ドラム10の表面側の傾斜面105fの一部は、シャッタ板130の移動軌跡上に存在するよう位置付けられる。シャッタ板130が閉位置(図1)に位置付けられた状態で、シャッタ板130の先端部は、傾斜突部105Aの傾斜面105fの一部に接触ないし隙間をおいて対向するよう位置付けられる。
【0025】
図1〜図3及び図6を参照して、電動モータMを駆動して、駆動ローラ142を図1において反時計方向に回転駆動させると、シャッタ板130は、駆動ローラ142及び従動ローラ144の協働により、開位置(図1)から閉位置(図7)に向かって、すなわち帯電器100に向かって、図1において矢印Xで示す右方に移動させられる。シャッタ板130の最初の移動は、シャッタ板130の両端部が、それぞれガイド板134の各々の片面134A上をスライドすることにより遂行される。シャッタ板130の長手方向の移動は、ガイドフランジ136の各々と、対応するガイド板134との間で規制される。シャッタ板130の該移動により、シャッタ板130の先端部が、ケーシング102の傾斜突部105Aにおける傾斜面105fの一部に当接して帯電位置にあるケーシング102を圧縮コイルばね128の各々のばね力に抗して帯電位置(図1)から退避位置(図7)に向けて、図1において矢印Yで示す上方に強制移動させる。
【0026】
シャッタ板130の先端部が、ケーシング102を図1において矢印Yで示す上方に強制移動させながら、ケーシング102の傾斜突部105Aにおける傾斜面105fを越えて移動すると、シャッタ板130の長手方向両端部の、図1において上面が、ケーシング102の開口106端の一部を覆う位置まで移動しかつ、シャッタ板130の長手方向両端部の、図1において下面が、それぞれ位置決めガイド116のガイド板部118における片面118A上に移動して支持される。シャッタ板130のガイドリブ136の各々の先端部は、それぞれガイド板部118の各々の外側に位置付けられる。シャッタ板130が更に閉位置(図7)までケーシング102の開口106端を横切って移動させられると、電動モータMの回転駆動が停止され、シャッタ板130は閉位置(図7)に位置付けられる。図7に示されているように、ケーシング102は、シャッタ板130を介してガイド板部118の各々における片面118A上に支持され、位置決め突部120の各々の頂面に対し、感光体ドラム10の半径方向外方に離隔した退避位置(図7)に位置付けられる。ケーシング102の開口106は、閉位置に位置付けられたシャッタ板130により閉じられる。シャッタ板130の後端部(図7において左端部)は、駆動ローラ142及び従動ローラ144によりニップされた状態にある。プリンタ2において、プリント動作が停止している間、ケーシング102の開口106は、シャッタ板130により閉じられる。この間、帯電器100内において発生したコロナ生成物が感光体ドラム10の表面に付着する不具合が阻止されるので、画像流れの発生が防止される。
【0027】
電動モータMを再び駆動して、駆動ローラ142を図1において時計方向に回転駆動させると、シャッタ板130は、先の動作とは逆に、閉位置(図7)から開位置(図1)に向かって移動させられ、シャッタ板130が開位置(図1)に達すると、電動モータMの駆動が停止され、シャッタ板130は開位置(図1)に位置付けられる。この間、ケーシング102は、圧縮コイルばね128の各々のばね力により、退避位置(図7)から帯電位置(図1)まで移動させられて位置付けられる。
【0028】
本発明による帯電器100において、ケーシング102は、感光体ドラム10の表面を帯電させることができる帯電位置(図1)と、帯電位置(図1)から感光体ドラム10の半径方向外方へ退避する退避位置(図7)との間を移動可能でありかつ圧縮コイルばね128の各々により帯電位置に常時付勢され、シャッタ板130を移動手段により開位置(図1)から閉位置(図7)に移動させると、シャッタ板130が帯電位置(図1)にあるケーシング102を圧縮コイルばね128の各々のばね力に抗して帯電位置(図1)から退避位置(図7)に強制移動させる。この構成により、感光体ドラム10の表面と、帯電器100のグリッド112との隙間が所要のとおりの狭い隙間に設定されていても、シャッタ板130を感光体ドラム10の接線方向に、感光体ドラム10の表面に接触しない位置を移動させることにより、帯電器100を帯電位置(図1)から退避位置(図7)に移動させることができるので、感光体ドラム10の表面と、帯電器100のグリッド112との隙間を所要のとおりに確保しながら、コロナ生成物による画像流れの発生を防止することを実用上、容易に可能にする。ケーシング102にグリッド112が使用されないコロトロン方式の場合、ケーシング102の開口106側の先端が、図1に示されるように感光体ドラム10の表面にわずかの隙間をおいて配置された実施形態においても、上記したスコロトロン方式と同様にケーシング102の開口106を開閉できるので、上記したのと同じ効果を達成することができる。
【0029】
本発明による帯電器100において、ケーシング102は、感光体ドラム10の接線方向に間隔をおいて対向する一対の側壁105を有するチャンネル形に形成され、シャッタ板130の開位置(図1)は、ケーシング102の一側壁105の側外方に配置され、ケーシング102には、開口106端における該一側壁105から該側外方に向かって感光体ドラム10の半径方向外方に延び出す傾斜突部105Aが形成され、ケーシング102が帯電位置(図1)にある状態で、傾斜突部105Aの、感光体ドラム10の表面側の傾斜面105fの一部は、シャッタ板130の移動軌跡上に存在するよう位置付けられ、シャッタ板130を移動手段により開位置(図1)から閉位置(図7)に移動させると、シャッタ板130の先端部が、ケーシング102の傾斜突部105Aの該傾斜面105fの一部に当接して帯電位置(図1)にあるケーシング130を圧縮コイルばね128の各々のばね力に抗して帯電位置(図1)から退避位置(図7)に強制移動させた後に、シャッタ板130がケーシング102の開口106端を該接線方向に横切って位置付けられる。このような構成は、上記効果の達成に寄与する。
【0030】
本発明による帯電器100において、ケーシング102の開口106端には、ケーシング102が帯電位置(図1)に位置付けられた状態で、感光体ドラム10の表面に隙間をおいて感光体ドラム10の軸方向に相互に平行に直線状に延在しかつ、該軸方向に見て該表面に沿って円弧状となるよう相互に隙間をおいて配設されたグリッド線を備えたグリッド112が配設されている、又は、感光体ドラム10の表面に隙間をおいて感光体ドラム10の軸方向に直線状に延在するグリッド板からなるグリッド112が配設されている。このような構成においても、上記効果の達成が可能であるので、実用上有用である。
【0031】
感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電器100を備えたプリンタ2によれば、所要の帯電性能を確保しながら、画像流れを防止することが、実用上、容易に可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従って構成された帯電器の実施形態の構成を示す断面概略図である。
【図2】図1に示す帯電器のケーシングを、図1においてA方向に見た左端部を示す部分図である。
【図3】図1に示す帯電器の平面図であって、一部を省略して示す平面図である。
【図4】図1に示す帯電器のケーシングのみを示す図である。
【図5】図1に示す帯電器のケーシングの両端部を、図1において平面から見た部分図である。
【図6】図1に示す帯電器の他の作動態様を示す断面概略図である。
【図7】図1に示す帯電器の更に他の作動態様を示す断面概略図である。
【図8】図7に示す帯電器のケーシングを、図7においてA方向に見た左端部を示す部分図である。
【図9】図1に示す帯電器を備えたレーザプリンタの構成概略図である。
【符号の説明】
【0033】
2:レーザプリンタ
4:プリンタ本体
10:感光体ドラム
100:帯電器
102:ケーシング
105A:傾斜突部
105f:傾斜面
106:開口
112:グリッド
128:圧縮コイルばね(付勢手段)
130:シャッタ板
140:駆動軸
142:駆動ローラ
144:従動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ワイヤが内蔵されかつ感光体ドラムの軸方向に延在して感光体ドラムの表面に対向する開口を有するケーシングと、該開口を開閉するシャッタ板と、シャッタ板をケーシングの幅方向と一致する感光体ドラムの接線方向に移動させて該開口を閉じる閉位置と該開口を開く開位置との間を移動させる移動手段とを備えた帯電器において、
ケーシングは、感光体ドラムの表面を帯電させることができる帯電位置と、帯電位置から感光体ドラムの半径方向外方へ退避する退避位置との間を移動可能でありかつ付勢手段により帯電位置に常時付勢され、
シャッタ板を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板が帯電位置にあるケーシングを付勢手段に抗して帯電位置から退避位置に強制移動させる、
ことを特徴とする帯電器。
【請求項2】
ケーシングは、感光体ドラムの接線方向に間隔をおいて対向する一対の側壁を有するチャンネル形に形成され、シャッタ板の開位置は、ケーシングの一側壁の側外方に配置され、ケーシングには、開口端における該一側壁から該側外方に向かって感光体ドラムの半径方向外方に延び出す傾斜突部が形成され、ケーシングが帯電位置にある状態で、傾斜突部の、感光体ドラムの表面側の傾斜面の一部は、シャッタ板の移動軌跡上に存在するよう位置付けられ、
シャッタ板を移動手段により開位置から閉位置に移動させると、シャッタ板の先端部が、ケーシングの傾斜突部の該傾斜面の一部に当接して帯電位置にあるケーシングを付勢手段に抗して帯電位置から退避位置に強制移動させた後に、シャッタ板がケーシングの開口端を該接線方向に横切って位置付けられる、請求項1記載の帯電器。
【請求項3】
ケーシングの開口端には、ケーシングが帯電位置に位置付けられた状態で、感光体ドラムの表面に隙間をおいて感光体ドラムの軸方向に相互に平行に直線状に延在しかつ、該軸方向に見て該表面に沿って円弧状となるよう相互に隙間をおいて配設されたグリッド線を備えたグリッドが配設されている、又は、感光体ドラムの表面に隙間をおいて感光体ドラムの軸方向に直線状に延在するグリッド板からなるグリッドが配設されている、請求項1又は請求項2記載の帯電器。
【請求項4】
感光体ドラムの表面を帯電させる帯電器を備えた画像形成装置において、該帯電器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電器から構成される、ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−128617(P2009−128617A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303273(P2007−303273)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】