説明

帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 クリーニングローラによる帯電ローラのクリーニング性能を長期間にわたって良好に維持し、帯電ローラによる像担持体の帯電性能を長期間にわたって良好に維持することである。
【解決手段】 クリーニングローラ20による帯電ローラ19のクリーニングを行わない時には、クリーニングローラ20を離反機構21により帯電ローラ19から離反する位置に移動させる。このため、クリーニングを行わないときにクリーニングローラ20が帯電ローラ19に当接した状態に放置されてその当接部分が凹んだ形状に変形することを防止できる。これにより、クリーニングローラ20による帯電ローラ19のクリーニング時には、帯電ローラ19の外周面の全体にクリーニングローラ20が均等に当接し、クリーニングローラ20による帯電ローラ19のクリーニング性能、及び、帯電ローラ19による像担持体14の帯電性能を長期間にわたって良好に維持できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ローラのクリーニングを良好に行えるようにした帯電装置、その帯電装置を含むプロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、像担持体の表面を一様に帯電し、一様に帯電した像担持体を画像データに応じて露光することにより静電潜像を形成し、静電潜像をトナーで現像することによりトナー画像を形成している。
【0003】
このような画像形成装置において、像担持体を帯電するために帯電ローラを用いる方式が普及している。帯電ローラは、像担持体の外周面に接触させて配置され、又は、像担持体の外周面との間に微小な隙間をもって配置されている。像担持体に対して接触配置され、又は、非接触に近接配置された帯電ローラに電圧を印加することにより帯電ローラと像担持体との間でコロナ放電を発生させ、このコロナ放電によって像担持体を帯電させている。
【0004】
帯電ローラは、像担持体に接触配置され、又は、非接触であっても近接配置されているので、像担持体上に残留しているトナーや紙粉等の異物が帯電ローラの外周面に付着することがある。帯電ローラの外周面にトナーや紙粉等の異物が付着すると、その付着部分ではコロナ放電が発生しにくくなり、像担持体の外周面に帯電ムラが発生し、像担持体上の帯電ムラが異常画像の発生原因になる。
【0005】
そこで、帯電ローラへの異物の付着が原因となる像担持体の帯電ムラの発生を防止し、帯電ムラが原因となる異常画像の発生を防止するため、帯電ローラの外周面に付着したトナーや紙粉等の異物を除去する様々な発明が提案されている。
【0006】
特許文献1に開示された発明では、帯電ローラの外周面にクリーニングブレードを当接し、帯電ローラの外周面に付着した異物を掻き落としている。
【0007】
特許文献2に開示された発明では、帯電ローラにスポンジ材を用いたクリーニングローラを当接し、帯電ローラの外周面に付着した異物をクリーニングローラで捕集している。
【0008】
特許文献3に開示された発明では、帯電ローラにクリーニング部材を接触させ、帯電ローラの外周面に付着した異物をクリーニング部材で捕集している。
【0009】
特許文献4に開示された発明では、帯電ローラにクリーニングローラを当接し、このクリーニングローラにクリーニングブレードを当接し、帯電ローラに付着している異物をクリーニングローラに捕集し、クリーニングローラで捕集した異物をクリーニングブレードで掻き落としている。
【0010】
【特許文献1】特開2000−181199公報
【特許文献2】特開平8−62948号公報
【特許文献3】特開平7−114251号公報
【特許文献4】特開平6−149012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された発明では、帯電ローラの外周面にクリーニングブレードが当接することにより帯電ローラの外周面が損傷を受ける場合があり、又は、帯電ローラに付着しているトナーがクリーニングブレードに押圧されて帯電ローラに融着する場合がある。このような帯電ローラの外周面の損傷や、帯電ローラの外周面へのトナーの融着が生じると、帯電ローラと像担持体との間で発生するコロナ放電が不均一になり、像担持体の帯電ムラが発生する。
【0012】
特許文献2、特許文献4に開示された発明では、画像形成作業の終了後にクリーニングローラが帯電ローラに当接した状態に放置されるため、クリーニングローラの外周部における帯電ローラに当接している部分が凹んだ形状に変形しやすい。クリーニングローラの外周部の一部が凹んだ形状に変形すると、クリーニングローラを回転させて帯電ローラの外周面をクリーニングするとき、クリーニングローラの凹状にへこんだ部分は帯電ローラへの当接が不十分になり、帯電ローラの外周面にクリーニング不良となる部分が縞模様状に発生する。
【0013】
特許文献3に開示された発明では、帯電ローラは常にクリーニング部材の同じ箇所に当接しているため、クリーニング部材における異物を捕集する面積が狭くなり、クリーニング部材の劣化、クリーニング性能の低下が早い。
【0014】
本発明の目的は、クリーニングローラによる帯電ローラのクリーニング性能を長期間にわたって良好に維持し、帯電ローラによる像担持体の帯電性能を長期間にわたって良好に維持することである。
【0015】
本発明の別の目的は、クリーニングローラによる帯電ローラのクリーニング性能の維持、及び、帯電ローラによる像担持体の帯電性能の維持を、簡単で安価な機構により達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明の帯電装置は、像担持体と平行に対向して回転可能に支持され、前記像担持体を帯電する帯電ローラと、前記帯電ローラと平行に対向して回転可能に支持され、前記帯電ローラの外周面に当接して回転することにより前記帯電ローラの外周面に付着した異物を捕集するクリーニングローラと、前記クリーニングローラを前記帯電ローラから離反する位置に移動させる離反機構と、を具備する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の帯電装置において、前記離反機構は、前記クリーニングローラの長手方向の両端に取付けられて前記帯電ローラの外周面に当接され、前記帯電ローラが逆転方向に回転することにより連れ回りされて前記クリーニングローラと前記帯電ローラとが離反する位置に前記クリーニングローラを移動させるカムである。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の帯電装置において、前記クリーニングローラは、ローラ軸とこのローラ軸の外周に設けられたメラミン樹脂発泡体とを備えている。
【0019】
請求項4記載の発明のプロセスカートリッジは、像担持体とこの像担持体を帯電する請求項1ないし3のいずれか一記載の帯電装置とを共に支持し、画像形成装置の本体ケース内に着脱可能に装着される。
【0020】
請求項5記載の発明の画像形成装置は、回転可能に支持され、外周面上にトナー画像を担持する像担持体と、前記像担持体を帯電する請求項1ないし3のいずれか一記載の帯電装置と、帯電された後の前記像担持体を画像データに基づいて露光することにより前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置と、現像されたトナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、を有する。
【0021】
請求項6記載の発明の画像形成装置は、請求項4記載のプロセスカートリッジと、帯電された後の前記像担持体を画像データに基づいて露光することにより前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像装置で現像することにより得られたトナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、を有する。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の画像形成装置において、画像形成作業が終了した後に前記帯電ローラを逆転方向に設定角度回転させる手段を有する。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項5ないし7のいずれか一記載の画像形成装置において、前記帯電ローラを正転方向と逆転方向とに回転させる駆動源としてステッピングモータが用いられている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明の帯電装置によれば、クリーニングローラが帯電ローラの外周面に当接して回転することにより、帯電ローラの外周面に付着した異物がクリーニングローラにより捕集され、帯電ローラの外周面がクリーニングされる。クリーニングローラは離反機構により帯電ローラから離反する位置に移動可能に設けられているので、クリーニングを行わない時にはクリーニングローラを帯電ローラから離反する位置に移動させることができる。このため、クリーニングを行わないときにクリーニングローラが帯電ローラに当接した状態に放置されたためにその当接部分が凹んだ形状に変形するということを防止できる。これにより、帯電ローラの外周面をクリーニングするためにクリーニングローラを回転させながら帯電ローラの外周面に当接させたときに、帯電ローラの外周面の全体にクリーニングローラが均等に当接するようになり、クリーニングローラによる帯電ローラのクリーニング性能を長期間にわたって良好に維持することができ、帯電ローラによる像担持体の帯電性能を長期間にわたって良好に維持することができる。
【0025】
請求項2記載の発明の帯電装置によれば、離反機構は帯電ローラの外周面に当接されて帯電ローラが逆転方向に回転することにより連れ回りされるカムであり、構造が簡単であって安価な離反機構を得ることができる。
【0026】
請求項3記載の発明の帯電装置によれば、メラミン樹脂発泡体はトナーや紙粉等の異物を捕集する性能がスポンジ材に比べて高く、ローラ軸の外周部にスポンジ材を設けた構造のクリーニングローラと比較してクリーニング性能の向上を図ることができる。
【0027】
請求項4記載の発明のプロセスカートリッジによれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の発明と同じ効果を奏することができる。さらに、帯電ローラによる像担持体の帯電性能を長期間にわたって良好に維持できることにより、プロセスカートリッジの長寿命化を図ることができる。
【0028】
請求項5記載の発明の画像形成装置によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の発明と同じ効果を奏することができる。
【0029】
請求項6記載の発明の画像形成装置によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の発明と同じ効果を奏することができる。さらに、帯電ローラによる像担持体の帯電性能を長期間にわたって良好に維持できることにより、プロセスカートリッジの長寿命化を図ることができる。
【0030】
請求項7記載の発明の画像形成装置によれば、画像形成作業が終了した後に帯電ローラを逆転方向に設定角度回転させることによりクリーニングローラを帯電ローラから確実に離反させて支持することができ、クリーニングを行わないときにクリーニングローラが帯電ローラに当接されてクリーニングローラの外周部分の一部が凹んだ形状に変形するということを確実に防止することができる。
【0031】
請求項8記載の発明の画像形成装置によれば、帯電ローラを正転方向と逆転方向とに回転させる駆動源を一つのステッピングモータで兼用することができ、駆動源の数を少なくして安価な構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。図1は画像形成装置である複写機の概略構造を示す縦断側面図、図2は帯電装置を示す分解斜視図、図3はクリーニングローラが帯電ローラに当接しているときの帯電装置を示す側面図、図4はクリーニングローラが帯電ローラから離反しているときの帯電装置を示す側面図、図5は複写機が備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図、図6はクリーニングローラを帯電ローラから離反させる動作について説明するフローチャートである。
【0033】
図1に示すように、画像形成装置である複写機1の本体ケース2内には、プリンタエンジン3、給紙カセット4、給紙ローラ5、露光装置6、レジストローラ7、転写装置8、定着装置9、排紙ローラ10等が設けられている。本体ケース2の上部には、原稿の画像を読み取るスキャナ11が設けられている。本体ケース2の側面部には排紙トレイ12が設けられている。本体ケース2内には、給紙カセット4内から給紙された記録媒体Pが排紙トレイ12に向けて搬送される搬送経路13が形成され、この搬送経路13上に、給紙ローラ5、レジストローラ7、プリンタエンジン3、転写装置8、定着装置9、排紙ローラ10等が配置されている。
【0034】
プリンタエンジン3は、スキャナ11で読み取った原稿の画像に応じたトナー画像を形成する部分であり、像担持体である感光体ドラム14、帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17等により構成されている。感光体ドラム14は中心線回りに回転可能に支持され、感光体ドラム14には感光体ドラム14を中心線回りに回転駆動させるステッピングモータ18が連結されている。
【0035】
プリンタエンジン3でのトナー画像の形成時には、ステッピングモータ18により駆動された感光体ドラム14が中心線回りに矢印a方向に回転駆動される。感光体ドラム14は中心線回りに回転しながら外周面を帯電装置15により一様に帯電され、一様に帯電された感光体ドラム14が露光装置6から出射されたレーザー光により露光される。露光装置6から出射されたレーザ光は、スキャナ11で読み取った原稿の画像データに基づいて出射された光であり、このレーザー光の露光により感光体ドラム14の外周面に原稿の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム14に対して現像装置16からトナーが供給され、供給されたトナーが静電潜像に付着することにより感光体ドラム14上にトナー画像が形成される。このトナー画像は、搬送経路13上を搬送された記録媒体P上に転写装置8の作用で転写される。トナー画像が記録媒体Pに転写された後の感光体ドラム14の外周面はクリーニング装置17によりクリーニングされ、記録媒体Pに転写されずに感光体ドラム14上に残留したトナーが除去される。
【0036】
トナー画像が転写された記録媒体Pは引き続き搬送経路13上を搬送され、定着装置9において熱と圧力とを加えられてトナーが溶融され、溶融したトナーが記録媒体Pに溶着することによりトナー画像が記録媒体Pに定着される。
【0037】
ここで、帯電装置15について説明する。帯電装置15は、帯電ローラ19、クリーニングローラ20、離反機構である一対のカム21を備えている。
【0038】
帯電ローラ19は、感光体ドラム14と平行に対向して中心線回りに回転可能に支持され、外周面が感光体ドラム14の外周面に接触させて配置され、又は、感光体ドラム14の外周面との間に微小な隙間をもって配置されている。帯電ローラ19は、樹脂に導電性粉体を分散した導電性材料等で形成されたローラ部19aと、ステンレス鋼等で形成された軸部19bとを有し、軸部19bには帯電ローラ19に回転駆動力を伝達するためのギア(図示せず)が連結されている。ギアへの駆動力伝達は、感光体ドラム14に回転駆動力を伝達するステッピングモータ18から行われる。さらに、帯電ローラ19には、感光体ドラム14を帯電させるために帯電ローラ19と感光体ドラム14との間でコロナ放電を発生させる電圧を印加する電圧印加部(図示せず)が接続されている。
【0039】
クリーニングローラ20は、帯電ローラ19と平行に対向して回転可能に支持されたローラであり、金属で形成されたローラ軸20aと、ローラ軸20aの外周に設けられたメラミン樹脂発泡体20bとを備えている。このクリーニングローラ20は、メラミン樹脂発泡体20bが帯電ローラ19の外周面に当接され、帯電ローラ19により連れ回り回転される。クリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bと帯電ローラ19との当接は、クリーニングローラ20を帯電ローラ19側に向けてスプリング(図示せず)で付勢することにより行われている。メラミン樹脂発泡体20bは、トナーや紙粉等の異物を捕集する性能を有し、メラミン樹脂発泡体20bが帯電ローラ19の外周面に当接して帯電ローラ19とクリーニングローラ20とが回転することにより、帯電ローラ19の外周面に付着している異物がメラミン樹脂発泡体20に捕集される。メラミン樹脂発泡体20に捕集された異物は、クリーニングローラ20の耐久期間経過により交換されるまで保持されている。
【0040】
離反機構であるカム21は、クリーニングローラ20の長手方向の両端側に配置され、ローラ軸20aに回転可能に取付けられている。さらに、クリーニングローラ20の長手方向の両端側には、ローラ軸20aをガイドする長穴22と、カム21の回動範囲を規制するストッパ23とが形成されたガイド部材24が配置されている。長穴22は、帯電ローラ19からの距離が変化する方向に延出して形成され、ローラ軸20aがこの長穴22内を移動することによりクリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bが帯電ローラ19の外周面に対して接離される。
【0041】
カム21の外周面は帯電ローラ19の外周面に当接されており、カム21の外周面には、帯電ローラ19が正転方向(矢印a′方向)に回転しているときに帯電ローラ19の外周面に当接する第1当接部21a(図3参照)と、帯電ローラ19が逆転方向(矢印b´方向)に回転してカム21が連れ回りされたときに帯電ローラ19の外周面に当接する第2当接部21b(図4参照)とが形成されている。さらに、カム21には、第1当接部21aが帯電ローラ19の外周面に当接しているときにストッパ23に当接してカム21がそれ以上連れ回りされることを阻止する第1爪部21cと、第2当接部21bが帯電ローラ19の外周面に当接しているときにストッパ23に当接してカム21がそれ以上連れ回りされることを阻止する第2爪部21dとが形成されている。
【0042】
この複写機1は、図5に示すように各部を制御するためのコントローラ30を有し、このコントローラ30は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)31、CPU31が実行する各種プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)32、CPU31のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)33等をバスライン34で接続することにより構成されている。また、CPU31には、モータ制御部18aを介したステッピングモータ18、搬送経路13上における定着装置9の下流側に配置されて記録媒体Pが定着装置9から排出されたことを検知するセンサ35、タイマ36等が接続されている。
【0043】
この複写機1では、図6に示したようにクリーニングローラ20を帯電ローラ19から離反させる制御が行われる。記録媒体Pが定着装置9から排出されたことをセンサ35で検知した後、設定時間Tを経過したか否かが判断される(ステップS1)、設定時間Tを経過したことを検知した場合には(ステップS1のY)、画像形成作業が終了したことを判断する手段が実行される。そして、画像形成作業が終了したと判断された場合には、ステッピングモータ18が設定されたステップ数逆回転され(ステップS2)、ここに、帯電ローラ19を逆転方向(矢印b′方向)に設定角度回転させる手段が実行される。ステッピングモータ18は、所定のステップ数逆回転された後に停止される(ステップS3)。
【0044】
このような構成において、画像形成動作中には、感光体ドラム14が正転方向(図3に示す矢印a方向)に回転駆動され、及び、帯電ローラ19が正転方向(図3に示す矢印a′方向)に回転駆動され、記録媒体Pが搬送経路13上を搬送され、感光体ドラム14上に形成されたトナー画像が記録媒体P上に転写される。
【0045】
この画像形成動作中には、帯電ローラ19が正転方向(矢印a′方向)に回転駆動されることにより、帯電ローラ19に当接しているカム21が連れ回り方向(矢印A方向)に回転し、第1爪部21cがストッパ23に当接する位置でカム21の回動が規制され、及び、カム21の第1当接部21aが帯電ローラ19の外周面に当接されている。このとき、クリーニングローラ20のローラ軸20aから第1当接部21aまでの寸法と、ローラ軸20aからメラミン樹脂発泡体20bの外周面までの寸法とが同じであり、クリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bの外周面が帯電ローラ19の外周面に当接されている。
【0046】
これにより、帯電ローラ19の外周面に付着しているトナーや紙粉等の異物がクリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bにより捕集され、帯電ローラ19の外周面がクリーニングされる。このクリーニングより、帯電ローラ19と感光体ドラム14との間で発生するコロナ放電が、帯電ローラ19の外周面の全ての部分で均一に発生するようになり、感光体ドラム14上の帯電ムラを防止することができる。
【0047】
画像形成作業が終了した場合には、ステッピングモータ18が設定されたステップ数逆回転され、感光体ドラム14が逆転方向(図4に示す矢印b方向)に回転駆動され、及び、帯電ローラ19が逆転方向(図4に示す矢印b′方向)に回転駆動される。帯電ローラ19が逆転方向(矢印b′方向)に回転駆動されることにより、帯電ローラ19に当接しているカム21が連れ回り方向(矢印B方向)に回転し、第2爪部21dがストッパ23に当接する位置でカム21の回動が規制され、及び、カム21の第2当接部21bが帯電ローラ19の外周面に当接される。このとき、ローラ軸20aはガイド部材24に形成された長穴22に沿って帯電ローラ19から離反する方向に移動し、クリーニングローラ20のローラ軸20aから第2当接部21bまでの寸法は、ローラ軸20aからメラミン樹脂発泡体20bまでの寸法より大きくなる。そして、クリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bの外周面と帯電ローラ19の外周面との間には所定寸法“G”の隙間が発生し、クリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bと帯電ローラ19とは離反した状態に維持される。
【0048】
これにより、画像形成作業が終了して帯電ローラ19のクリーニングを行わない場合において、クリーニングローラ20のメラミン樹脂発泡体20bが帯電ローラ19に当接した状態に放置されてその当接部分が凹んだ形状に変形するということを防止できる。このため、画像形成作業を再開し、帯電ローラ19の外周面をクリーニングするためにクリーニングローラ20を回転させながらメラミン樹脂発泡体20を帯電ローラ19の外周面に当接させたときに、メラミン樹脂発泡体20の外周面は凹んだ形状に変形した部分が存在しないので、帯電ローラ19の外周面の全体にメラミン樹脂発泡体20が均等に当接する。そして、クリーニングローラ20による帯電ローラ19のクリーニング性能を長期間にわたって良好に維持することができ、帯電ローラ19による感光体ドラム14の帯電性能を長期間にわたって良好に維持することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、像担持体として感光体ドラム14を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明を適用できる像担持体としては感光体ドラム14に限られるものではなく、感光体ドラム14に代えて感光体ベルトを用いた場合にも同じ作用、効果を奏することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、離反機構として一対のカム21を用いた場合を例に挙げて説明したが、離反機構としては、画像形成作業を行わないときにクリーニングローラ20を感光体ドラム19から離反させた位置に支持できる機構であればよい。例えば、ソレノイドを用いてクリーニングローラ20を帯電ローラ19から離反させる機構や、ステッピングモータを用いてクリーニングローラ20を帯電ローラ19から離反させる機構であってもよい。
【0051】
本発明の第2の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は画像形成装置である複写機の概略構造を示す縦断側面図である。
【0052】
画像形成装置である本実施の形態の複写機1Aでは、帯電装置15と、感光体ドラム14と、現像装置16と、クリーニング装置17とをカートリッジケース40内に収納したプロセスカートリッジ41が用いられている。プロセスカートリッジ41は、本体ケース2内に着脱可能に装着されている。
【0053】
プロセスカートリッジ41を本体ケース2内に装着することにより、プロセスカートリッジ41を本体ケース2内に装着することにより、感光体ドラム14及び帯電ローラ19に対して駆動力を伝達可能となるようにこれらの感光体ドラム14、帯電ローラ19とステッピングモータ18とが連結される。また、帯電ローラ19に対して電圧を印加可能となるように帯電ローラ19と電圧印加部とが接続される。
【0054】
このような構成において、このプロセスカートリッジ41において用いられている帯電装置15は第1の実施の形態で説明した帯電装置15と同じであり、本実施の形態では第1の実施の形態と同じ作用、効果を奏する。
【0055】
また、本実施の形態では、プロセスカートリッジ41を構成する部材のいずれかの部材が寿命に達したり故障したりした場合には、プロセスカートリッジ41を全体として交換する。このため、感光体ドラム14や帯電装置15等の各部材を個々に交換する場合に比べて、各部材の位置関係を一定に維持することができ、感光体ドラム14の帯電性能、現像装置16による現像性能等を良好に維持することができ、安定した画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態の画像形成装置である複写機の概略構造を示す縦断側面図である。
【図2】帯電装置を示す分解斜視図である。
【図3】クリーニングローラが帯電ローラに当接しているときの帯電装置を示す側面図である。
【図4】クリーニングローラが帯電ローラから離反しているときの帯電装置を示す側面図である。
【図5】複写機が備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図である。
【図6】クリーニングローラを帯電ローラから離反させる動作について説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の画像形成装置である複写機の概略構造を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0057】
2 本体ケース
6 露光装置
8 転写装置
14 像担持体
16 現像装置
18 ステッピングモータ
19 帯電ローラ
20 クリーニングローラ
20a ローラ軸
20b メラミン樹脂発泡体
21 離反機構、カム
41 プロセスカートリッジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と平行に対向して回転可能に支持され、前記像担持体を帯電する帯電ローラと、
前記帯電ローラと平行に対向して回転可能に支持され、前記帯電ローラの外周面に当接して回転することにより前記帯電ローラの外周面に付着した異物を捕集するクリーニングローラと、
前記クリーニングローラを前記帯電ローラから離反する位置に移動させる離反機構と、
を具備する帯電装置。
【請求項2】
前記離反機構は、前記クリーニングローラの長手方向の両端に取付けられて前記帯電ローラの外周面に当接され、前記帯電ローラが逆転方向に回転することにより連れ回りされて前記クリーニングローラと前記帯電ローラとが離反する位置に前記クリーニングローラを移動させるカムである請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記クリーニングローラは、ローラ軸とこのローラ軸の外周に設けられたメラミン樹脂発泡体とを備えている請求項1又は2記載の帯電装置。
【請求項4】
像担持体とこの像担持体を帯電する請求項1ないし3のいずれか一記載の帯電装置とを共に支持し、画像形成装置の本体ケース内に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジ。
【請求項5】
回転可能に支持され、外周面上にトナー画像を担持する像担持体と、
前記像担持体を帯電する請求項1ないし3のいずれか一記載の帯電装置と、
帯電された後の前記像担持体を画像データに基づいて露光することにより前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置と、
現像されたトナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載のプロセスカートリッジと、
帯電された後の前記像担持体を画像データに基づいて露光することにより前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に形成された静電潜像を現像装置で現像することにより得られたトナー画像を記録媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
【請求項7】
画像形成作業が終了した後に前記帯電ローラを逆転方向に設定角度回転させる手段を有する請求項5又は6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電ローラを正転方向と逆転方向とに回転させる駆動源としてステッピングモータが用いられている請求項5ないし7のいずれか一記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−3593(P2006−3593A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179478(P2004−179478)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】