説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】針電極の針の先端部に対する清掃能力及び耐久性がともに高くなるようにする。
【解決手段】帯電装置1は、針電極2、ホルダ3、支持体4、及び清掃ローラ5を備える。針電極2は、所定の配列方向Xに沿って直線状に配列された複数の針2Aを有する。ホルダ3は、針電極2を保持する。支持体4は、ホルダ3に配列方向Xに沿って移動自在に保持される。清掃ローラ5は、研磨剤を含有する弾性体で構成された研磨層52、及び研磨剤を含有しない弾性体で構成されて研磨層52の少なくとも外周面521を被覆する被覆層53を有し、支持体4に回転自在に支持される。支持体4の移動時に、清掃ローラ5は配列方向Xに沿って回転しながら移動し、複数の針2Aのそれぞれの先端部が順に清掃ローラ5に没入及び抜脱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の画像形成を行う画像形成装置の感光体の表面を均一の電位に帯電させる帯電装置、及び、この帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成処理では、感光体の表面に対して帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程が順次行われる。帯電工程では、帯電装置が感光体の表面を均一の電位に帯電させる。帯電装置として、感光体の表面に接触しない非接触式の帯電装置がある。非接触式の帯電装置は、高圧電源が印加された電極からの放電により感光体の表面を帯電させる。
【0003】
電極として直径が数10〜150μmのチャージャ線を備える帯電装置は、高圧電源の印加による放電時にチャージャ線からオゾンを発生し、環境を汚染する。
【0004】
このため、帯電装置として、高圧電源の印加時に発生するオゾンの量が少ない針電極を用いたものがある。針電極は、感光体の表面に向かって延出した複数の針を有している。複数の針は、感光体の移動方向に直交する方向に沿って配列されている。針電極の針には、高圧電界を発生する先端部に周囲の塵埃が吸着する。これを放置すると、針電極から適正な放電を行うことができなくなる。
【0005】
そこで、従来の帯電装置の中には、研磨剤を含有した弾性体で構成された清掃ローラを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。この帯電装置は、針電極の複数の針の先端部が順に、清掃ローラの外周面から内部に埋没した後に清掃ローラの内部から露出するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−272169公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、清掃ローラを構成する弾性体が研磨剤を含有すると、針から塵埃を除去するという清掃能力が高い清掃ローラを得ることができる反面、清掃ローラの外周面が脆化するので清掃ローラの耐久性が低下するという問題がある。清掃ローラの外周面が脆化すると、針電極の針の埋没時及び抜脱時に弾性体の一部が破片となって剥離及び飛散し、感光体等の周囲の画像形成部材への付着、又は現像装置中の現像剤への混入によって、用紙上の印刷画像への欠陥の出現、画像形成部材の損傷といった不具合が発生する虞がある。
【0008】
この発明の目的は、針電極の針の先端部に対する清掃能力及び耐久性がともに高い帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の帯電装置は、針電極、ホルダ、支持体、及び清掃ローラを備える。針電極は、所定の配列方向に沿って直線状に配列された複数の針を有する。ホルダは、針電極を保持する。ホルダは、配列方向に直交する断面形状が配列方向の少なくとも複数の針の配列範囲内で一定となるように構成される。支持体は、ホルダに配列方向に沿って移動自在に保持される。清掃ローラは、研磨剤を含有する弾性体で構成された研磨層、及び研磨剤を含有しない弾性体で構成されて研磨層の少なくとも第1外周面を被覆する被覆層を有し、支持体に回転自在に支持される。清掃ローラは、支持体の移動時に、配列方向に沿って回転しながら移動し、複数の針のそれぞれの先端部が順に被覆層の第2外周面から研磨層に埋没した後に被覆層から露出する。
【0010】
この構成では、清掃ローラが研磨層を備え、針電極の針の先端部が研磨層に対して埋没及び抜脱するので、針の先端部の全面が研磨層によって清掃される。このため、針電極の針の先端部に対する清掃能力が高い。また、針電極の針が研磨層に対して埋没及び抜脱することで研磨層の一部が破砕した場合でも、清掃ローラの研磨層の少なくとも第1外周面が被覆層によって被覆されるので、研磨層の破片の飛散が抑制される。このため、長期間にわたる清掃ローラの使用が可能になる。
【0011】
上述の構成において、被覆層は、研磨層の第1外周面に加えて端面をも被覆するように構成されることが好ましい。研磨層の第1外周面に加えて端面も被覆されることで、研磨層の一部が破砕した場合に、研磨層の破片の端面からの飛散も抑制される。このため、より長期間にわたる清掃ローラの使用が可能になり、清掃ローラの耐久性がより高くなる。
【0012】
また、被覆層は、さらに研磨層の内周面をも被覆するように構成されることが好ましい。研磨層の第1外周面、端面、及び内周面が被覆層で被覆され、研磨層が被覆層内に包み込まれることで、研磨層の一部が破砕した場合における研磨層の破片の飛散がより抑制される。
【0013】
さらに、清掃ローラは、互いに別部材で構成された研磨層及び被覆層を含む組立体であり、少なくとも研磨層を取り外し自在に構成されることがより好ましい。この構成では、研磨層の破砕が進んだ場合に研磨層のみを交換することができる。このため、低コストでより長期間にわたる清掃ローラの使用が可能になる。
【0014】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかに記載の帯電装置を備える。この構成では、針電極の針の先端部が研磨層に対して埋没及び抜脱するので、針の先端部の全面が研磨層によって清掃され、針電極の針の先端部に対する清掃能力が高い。また、研磨層の一部が破砕した場合でも、研磨層の破片の飛散が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、針電極の針の先端部に対する清掃能力及び耐久性をともに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態に係る帯電装置が適用された画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】(A)は帯電装置の正面断面図であり、(B)は帯電装置の要部の側面図である。
【図3】(A)は清掃ローラの側面断面図であり、(B)は清掃ローラの正面断面図である。
【図4】清掃ローラの清掃動作を示す図である。
【図5】針電極の針の清掃ローラに対する埋没長さを示す図である。
【図6】帯電装置の側面図である。
【図7】帯電装置の他の構成例を示す側面図である。
【図8】清掃ローラの他の構成例を示す正面断面図である。
【図9】清掃ローラのさらに他の構成例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置100は、用紙に画像を形成する画像形成モードとしてコピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザによって選択され、また両面印刷が可能である。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等のシート状の記録媒体が挙げられる。
【0019】
画像形成装置100は、原稿読取部10、給紙部20、画像形成部30、排紙部40及び図示しない操作パネル部を備えている。
【0020】
原稿読取部10は、装置本体の上部に配置され、プラテンガラス11、原稿載置トレイ12及びスキャナ光学系13を備えている。スキャナ光学系13は、光源14、反射ミラー15A〜15C、光学レンズ16及びCCD(Charge Coupled Device)17を有する。光源14は、プラテンガラス11に載置された原稿又は原稿載置トレイ12から原稿搬送路18上を搬送される原稿に光を照射する。反射ミラー15A〜15Cは、原稿からの反射光を反射させて光学レンズ16に導く。光学レンズ16は、反射ミラー15A〜15Cによって導かれた反射光をCCD17に結像する。CCD17は、反射光に応じた電気信号を出力する。
【0021】
給紙部20は、装置本体の下部に配置され、給紙トレイ21及びピックアップローラ22を備えている。給紙トレイ21は、画像形成時に用紙搬送路S1に給紙すべき用紙を収容する。ピックアップローラ22は、回転することで、給紙トレイ21に載置された用紙を用紙搬送路S1へ給紙する。
【0022】
画像形成部30は、原稿読取部10の下方の一方側に配置され、レーザスキャニングユニット(以下、LSUと言う。)37、感光体ドラム31及び定着装置36を有している。感光体ドラム31の周囲には、帯電装置1、現像装置33、転写装置34及びクリーナユニット35が、感光体ドラム31の回転方向である図1に示す矢印の方向に沿ってこの順に配置されている。
【0023】
排紙部40は、給紙トレイ21の上方に配置され、排紙ローラ41、及び排紙トレイ42を備えている。排紙ローラ41は、用紙搬送路S1上を搬送されてきた用紙を排紙トレイ42へ排出する。排紙ローラ41は、可逆回転が可能であり、用紙の両面に画像形成を行う際、用紙搬送路S1上を搬送されてきた表面の画像形成が終了した用紙を挟持した状態で、上記用紙を用紙を排出する回転方向とは逆方向に回転して用紙搬送路S2に搬送する。これにより、用紙の表裏面が反転して裏面が感光体ドラム31に対向し、裏面にトナー像が転写される。排紙トレイ42は、排紙ローラ41から排出された用紙を積層して収容する。
【0024】
操作パネル部に設けられたスタートキーが押下されると、画像形成装置100は、ピックアップローラ22を回転させて用紙搬送路S1に用紙を給紙する。給紙された用紙は、用紙搬送路S1上に設けられたレジストローラ61に搬送される。
【0025】
レジストローラ61は、用紙の先端部が到達した時には回転を停止している。レジストローラ61は、感光体ドラム31と転写装置34との間で用紙の先端部が感光体ドラム31上に形成されたトナー像の先端部に一致するタイミングで回転を開始する。
【0026】
原稿読取部10によって生成された画像データは、操作パネル部から入力された条件で画像処理が施された後、LSU37にプリントデータとして送信される。LSU37は、帯電装置1によって所定の電位に帯電された感光体ドラム31の周面に、図示しないポリゴンミラー及び各種レンズを介して上記画像データに基づいたレーザ光を照射することで、静電潜像を形成する。その後、現像装置33に設けられた現像ローラ33Aの周面に付着しているトナーが、感光体ドラム31の周面上の電位ギャップに応じて感光体ドラム31の周面に引き寄せられて付着し、静電潜像がトナー像に顕像化される。
【0027】
感光体ドラム31の周面のトナー像は、転写装置34によって用紙の表面に転写される。この転写工程後に感光体ドラム31の周面に残留したトナーは、クリーナユニット35によって回収される。
【0028】
転写工程を終了した用紙は、定着装置36を通過することで熱と圧力が加えられるとともにトナー像が溶融・固着され、排紙ローラ41によって排紙トレイ42へ排出される。
【0029】
図2(A)及び図2(B)に示すように、帯電装置1は、針電極2、ホルダ3、支持体4、清掃ローラ5、操作軸6、ケース7を備えている。帯電装置1は、感光体ドラム31の上方に配置される。
【0030】
針電極2は、厚さが一様の薄い帯状の金属材料からなり、複数の針2Aを有している。複数の針2Aは、針電極2の全長にわたって一定の間隔で、下端部から下向きに延出している。複数の針2Aは、針電極2の長手方向に平行な配列方向Xに沿って配列されている。帯電装置1は、針電極2の長手方向が感光体ドラム31の軸方向に平行になるように配置される。したがって、配列方向Xは、感光体ドラム31の回転軸に平行である。針電極2の長さは、感光体ドラム31の周面の軸方向の長さよりも長い。
【0031】
ホルダ3は、樹脂等の絶縁性材料によって構成されており、保持部3A及び端子部3Bを備えている。保持部3Aは、針電極2を保持する。保持部3Aの長さは、針電極2における複数の針2Aの配列範囲よりも長い。保持部3Aの配列方向Xに直交する断面形状は、配列方向Xの少なくとも複数の針2Aの配列範囲内で、図2(A)中にハッチングで示すように一定の形状を呈する。一例として、保持部3Aの配列方向Xに直交する断面形状は、配列方向Xの全域において一定である。端子部3Bは、図示しない端子を収納する。端子は、図示しない高圧電源と針電極2とを接続する。
【0032】
支持体4は、下面が開放しており、保持部3Aの外側に上方から装着される。支持体4の内側面には、突起4A,4Bが形成されている。支持体4は、内側の上面と突起4A,4Bとの間に保持部3Aを上下方向に挟み、内側の側面で保持部3Aを左右方向に挟む。したがって、支持体4は、配列方向Xに直交する面内での回転を含む移動を規制されている。
【0033】
このように、保持部3Aの配列方向Xに直交する断面形状が少なくとも複数の針2Aの配列範囲内で一定であり、支持体4は保持部3Aの外側に装着されて配列方向Xに直交する面内での回転を含む移動を規制されている。したがって、支持体4は、保持部3Aに案内されて、少なくとも複数の針2Aの配列範囲内で、配列方向Xに往復移動自在にされている。
【0034】
清掃ローラ5は、支持体4の下端部に回転自在に支持されている。
【0035】
図3に示すように、清掃ローラ5は、回転軸51、研磨層52、及び被覆層53を有している。回転軸51は、金属製であり、配列方向Xに直交する方向に配置されている。なお、回転軸51は樹脂製にすることもできる。
【0036】
研磨層52は、研磨剤を含有する弾性体で構成されている。研磨剤として、10wt%程度のアルミニウム粉末が挙げられる。弾性体として、EPDM(ethylene propylene diene M-class)系ゴム材料又はオレフィン系ゴム材料が挙げられる。研磨剤の硬度は、例えばSUSである針電極2の素材よりも低く、トナー等の塵埃よりも高く設定されている。
【0037】
被覆層53は、研磨剤を含有しない弾性体で構成され、研磨層52の少なくとも外周面521を被覆している。被覆層53は、全周にわたって一様な厚さとなるように構成されている。被覆層53を構成する弾性体として、例えば、EPDM(ethylenepropylene diene M-class)系ゴム材料又はオレフィン系ゴム材料が挙げられる。
【0038】
針2Aの先端部は、被覆層53の外周面531から研磨層52まで埋没した後に被覆層53から露出する。研磨層52又は被覆層53を構成する弾性体は、公知のゴム材料や樹脂材料のなかから好適な材料を実験的に選択することができる。研磨剤は、針2Aの表面に損傷を与えることなく針2Aの表面からトナー等の塵埃を除去できることを条件に、公知の材料から適宜選択して使用することができ、公知の方法で弾性体に含有させることができる。
【0039】
清掃ローラ5では、研磨層52と被覆層53とが互いに別部材で形成され、回転軸51、研磨層52、及び被覆層53が組み立てられることで清掃ローラ5が構成されている。清掃ローラ5は、少なくとも研磨層52を回転軸51及び被覆層53に対して取り外し自在に構成されている。このため、研磨層52の破砕が進んだ場合に研磨層52のみを交換することができる。したがって、低コストで長期間にわたる清掃ローラ5の使用が可能である。
【0040】
図2に示すように、操作軸6は、背面側の端部が支持体4の孔部4Cの内部に固定されている。操作軸6は、図示しない前面側の端部がホルダ3の前面から突出している。
【0041】
ケース7は、ホルダ3の全長にわたって、支持体4の外側に装着される。ケース7は、針電極2をシールドする。
【0042】
端子部3Bに収納された端子を介して針電極2に高圧電源が印加されると、針電極2の複数の針2Aのそれぞれの先端部に印加電界が集中し、この部分に放電が発生し易くなる。これによって、複数の針2Aのそれぞれから感光体ドラム31の周面に放電が生じる。この放電によって、感光体ドラム31の周面が、所定の電位に帯電する。
【0043】
針電極2の針2Aの先端部に塵埃が吸着した場合、塵埃は清掃ローラ5によって針2Aから除去される。
【0044】
図4は、清掃ローラ5の清掃動作を示す。支持体4に回転自在に支持された清掃ローラ5の周面即ち被覆層53の外周面531に、針2Aの先端部が埋没する。支持体4が配列方向Xに沿って移動すると、清掃ローラ5も支持体4とともに移動する。このとき、清掃ローラ5の周面に複数の針2Aのそれぞれが順次埋没する。清掃ローラ5は、複数の針2Aから周面に作用する抵抗により、回転しつつ配列方向Xに沿って移動する。
【0045】
清掃ローラ5は、針電極2と感光体ドラム31の周面との間に配置される。清掃ローラ5の直径は、感光体ドラム31の周面に接触しない範囲でできるだけ大きくされている。清掃ローラ5が配列方向Xに移動する際に、少なくとも1つの針2Aの先端部が常に清掃ローラ5の周面から内部に埋没する。このため、清掃ローラ2は、配列方向Xに移動する際に確実に回転し、針2Aの先端部による清掃ローラ5の周面の損傷、及び、清掃ローラ5の周面による針2Aの変形が、最小限に抑えられる。
【0046】
一例として、複数の針2Aのうちの最大2つで少なくとも1つの針2Aが清掃ローラ5に常時埋没するように、複数の針2Aの間隔と清掃ローラ5の直径との関係が設定されている。
【0047】
支持体4における清掃ローラ5の支持位置は、清掃ローラ5の周面に針2Aの先端から所定長さの先端部が埋没するように設定されている。詳細には、図5に示すように、長さL1=1.5mmの針2Aでは、放電領域L2=0.1mm〜0.2mmであり、清掃ローラ5内に埋没する際に放電領域L2から長さL3=0.3mm〜0.4mmの範囲で弾性変形を生じるように、埋没距離L4=0.6mm〜1.0mmに設定されている。被覆層53の厚さL5=0.2mm〜0.4mmに設定されている。L1〜L5の寸法は、針2Aの放電領域L2の少なくとも一部が研磨層52内に埋没するように設定され、放電領域L2の全てが研磨層52内に埋没するように設定されることが好ましい。
【0048】
清掃ローラ5が支持体4とともに配列方向Xに沿って移動すると、針2Aの先端部が先端から徐々に清掃ローラ5の内部に進入し、研磨層52まで埋没した後、徐々に抜脱されていく。この間に、針2Aの先端部の全面が清掃ローラ5の被覆層53及び研磨層52に接触し、研磨層52が含有する研磨剤によって研磨される。清掃ローラ5は複数の針2Aが順に没入及び抜脱する間に回転するため、少なくとも隣接する針2Aは、清掃ローラ5の周面の異なる位置に埋没する。これによって、針2Aの先端部の全面が、確実に清掃される。
【0049】
図6に示すように、帯電装置1は、上面側に操作軸6を備えている。操作軸6は、ホルダ3の略全長に匹敵する長さにされている。操作軸6の背面側の端部は、支持体4の孔部4Cに固定されている。ホルダ3の前端部には、装着部9が形成されている。装着部9は、端子部3Bと略同一の外形を呈する。装着部9の背面側には、軸受体8が固定されている。軸受体8として支持体4と同一の部材が使用されており、軸受体8は上部に孔部4Cを備えている。装着部9の上面には軸受9Aが形成されている。
【0050】
操作軸6は、軸受体8の孔部4C及び装着部9の軸受9Aを貫通している。操作軸6の前面側の端部には、把手6Aが装着されている。帯電装置1が、画像形成装置100内に装着されている状態で、端子部3B、軸受体8及び装着部9は、感光体ドラム31の周面における画像形成領域Wの外側の範囲に位置している。また、支持体4は、清掃を行っていない状態では、感光体ドラム31の周面における画像形成領域Wの外側の範囲内に設定された待機位置に位置している。このため、支持体4、端子部3B、軸受体8及び装着部9が感光体ドラム31の周面における画像形成の障害となることがない。
【0051】
作業者は、帯電装置1の針電極2の清掃時に、把手6Aを摘んで操作軸6を配列方向Xに沿って往復移動させる。これによって、支持体4がホルダ3の支持部3Aに案内されて配列方向Xに沿って往復移動し、支持体4に支持された清掃ローラ5が回転しつつ周面に針電極2の複数の針2Aを順に埋没させていく。
【0052】
針電極2の複数の針2Aの先端部が順に清掃ローラ5の内部に没入及び抜脱する時に、各針2Aの先端部の全面が清掃ローラ5に接触し、針2Aの変形や繊維の付着を生じることなく、針2Aの先端部の全面が確実に清掃される。このため、帯電装置1は、針2Aの先端部に対する清掃能力が高い。また、針2Aが研磨層52に対して埋没及び抜脱することで研磨層52の一部が破砕した場合でも、清掃ローラ5の研磨層52の少なくとも外周面521が被覆層53によって被覆されているので、研磨層52の破片の飛散が抑制される。このため、長期間にわたる清掃ローラ5の使用が可能になり、清掃ローラ5の耐久性が高い。
【0053】
操作軸6は、支持体4、軸受体8及び軸受9Aの3点で支持されている。このため、操作軸6を配列方向Xに沿って円滑に往復動作させることができる。
【0054】
なお、清掃ローラ5の研磨層52と被覆層53とを一体的に構成することもできる。例えば、研磨層52及び被覆層53として1つの弾性体を形成し、この際に、弾性体のうち研磨層52に相当する領域のみに研磨剤を含有させるようにする。これによって、研磨層52と被覆層53とを組み立てる手間が省かれ、清掃ローラ5の組み立て作業効率が向上する。
【0055】
図7に、他の構成例に係る帯電装置1Aを示す。帯電装置1Aは、上述の実施形態に係る帯電装置1の操作軸6に代えてスクリューネジ61及びモータ62を備え、支持体4の孔部4Cに雌ねじ部が形成されている点を除いて、帯電装置1と同様に構成されている。スクリューネジ61には、モータ62の回転が伝達される。モータ62は、駆動源であり、正逆両方向に回転する。雌ねじ部は、スクリューネジ61に螺合している。
【0056】
支持体4は、ホルダ3に対して配列方向Xに直交する面内での移動を規制されており、配列方向Xを軸とする方向に回転しない。スクリューネジ61の回転は、スクリューネジ61の軸方向への移動力に変換されて支持体4に伝達される。モータ62からスクリューネジ61に正逆両方向の回転を供給することで、支持体4を配列方向Xに沿って往復移動させることができる。所定のタイミングでモータ62を駆動することで、針電極2の清掃を自動的に行うことができる。
【0057】
小型のモータ62を帯電装置1Aに装着し、帯電装置1Aを画像形成装置100に装着した時にモータ62が、画像形成装置100に設けられた電源に電気的に接続されるように構成することができる。また、モータ62を画像形成装置100に取り付け、帯電装置1Aを画像形成装置100に装着した時に、スクリューネジ61の背面側の端部をモータ62の回転軸に機械的に接続するように構成することもできる。
【0058】
図8に示すように、被覆層53Aが研磨層52Aの外周面521Aに加えて端面522Aをも被覆するように、清掃ローラ5Aを構成することが好ましい。研磨層52Aの外周面521Aに加えて端面522Aもが被覆層53Aによって被覆されることで、研磨層52Aの一部が破砕した場合に、清掃ローラ5Aの周面からの研磨層52Aの破片の飛散が抑制されることに加えて、清掃ローラ5Aの端面からの飛散も抑制される。このため、より長期間にわたる清掃ローラ5Aの使用が可能になり、清掃ローラ5Aの耐久性がより高くなる。
【0059】
図9に示すように、被覆層53Bが研磨層52Bの外周面521B及び端面522Bに加えて内周面523Bをも被覆するように、清掃ローラ5Bを構成することがより好ましい。研磨層52Bの外周面521B、端面522B、及び内周面523Bが被覆層53Bで被覆され、研磨層52Bが被覆層53B内に包み込まれることで、研磨層52Bの一部が破砕した場合における研磨層52Bの破片の飛散がより抑制される。
【0060】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 帯電装置
2 針電極
2A 針
3 ホルダ
3A 保持部
4 支持体
5,5A,5B 清掃ローラ
51 回転軸
52,52A,52B 研磨層
521,521A,521B 外周面(第1外周面)
522A,522B 端面
523B 内周面
53,53A,53B 被覆層
531 外周面(第2外周面)
6 操作軸
31 感光体ドラム
100 画像形成装置
X 配列方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列方向に沿って直線状に配列された複数の針を有する針電極と、
前記針電極を保持するホルダであって前記配列方向に直交する断面形状が前記配列方向の少なくとも前記複数の針の配列範囲内で一定であるホルダと、
前記ホルダに前記配列方向に沿って移動自在に保持された支持体と、
研磨剤を含有する弾性体で構成された研磨層、及び研磨剤を含有しない弾性体で構成されて前記研磨層の少なくとも第1外周面を被覆する被覆層を有し、前記支持体に回転自在に支持された清掃ローラと、を備え、
前記清掃ローラは、前記支持体の移動時に、前記配列方向に沿って回転しながら移動し、前記複数の針のそれぞれの先端部が順に前記被覆層の第2外周面から前記研磨層まで埋没した後に前記被覆層から露出する、帯電装置。
【請求項2】
前記被覆層は、前記研磨層の前記第1外周面に加えて端面をも被覆する、請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記被覆層は、さらに前記研磨層の内周面をも被覆する、請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記清掃ローラは、互いに別部材で構成された前記研磨層及び前記被覆層を含む組立体であり、少なくとも前記研磨層を取り外し自在に構成される、請求項1に記載の帯電装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の帯電装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185335(P2012−185335A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48451(P2011−48451)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】