説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】放電ワイヤの清掃品質を、清掃部材の新品時と経時とで両立させることができるとともに、清掃除去物のワイヤ表面への残留を高精度に抑制することができ、放電ムラを高精度に防止できる清掃手段を備えた帯電装置を提供する。
【解決手段】清掃ユニット225が送りネジ機構により移動し、アーム部220bがシールドケースの側板201bの内面により押圧されると、清掃ユニット225が回転し、往路においては、清掃ユニット225に固定された右清掃部材222aの清掃部222a−1と左清掃部材222bの清掃部222b−1とが放電ワイヤ202に加圧接触する。復路においては清掃ユニット225が逆方向に回転し、清掃部とは材質が異なる右清掃部材222aの拭取部材226aと、左清掃部材222bの拭取部226bとが放電ワイヤ202に加圧接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の像担持体を帯電させる帯電装置、該帯電装置を有する光走査装置、該光走査装置を具備した複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体表面を帯電装置により帯電しており、帯電装置の代表的な手段としては、コロナ放電によるものがある。
図15は、コロナ帯電装置の原理を説明する図である。図15に示すように、コロナ帯電装置2は、金等でメッキされたタングステン線を主な材料とする放電ワイヤ202に数kVの高圧をかけてコロナ放電する。そして、空気中の元素をイオン化させ、そのイオン204を感光体1の表面に付着させることにより感光体1を帯電させる。
このとき、空気中の元素を絶縁破壊させて帯電させるため、空気中の様々な物質がイオン化し、イオン化した物質が放電ワイヤ202に電気的に付着する。
付着するものの中にはコロナ放電を阻害させるような異物も存在する。
この異物の付着量が増えると、その部分が放電しなくなり、画像面積全域に均一な帯電がされなくなるため、濃度にムラが生じた画像が形成されてしまう。
そのため、付着物の量が増える前に定期的に放電ワイヤ202を清掃する必要がある。このような観点から、従来、種々の清掃手段が提案されている。
【0003】
特許文献1には、図16に示すような清掃手段が開示されている。図16(a)は放電ワイヤの上側から見た図、図16(b)は放電ワイヤを正面から見た図である。
この清掃手段は、ゴムやスポンジ等からなるクリーニングパッド205と、クリーニングパッド205を保持するパッド保持部材206とを備えている。
クリーニングパッド205の放電ワイヤ202に接触する部分(摺擦部)には研磨材250がコーティングされている。
研磨材は表面が粗いため、異物の掻き取り能力は高いが、繰り返し使用することで徐々に研磨材の削れ、もしくは、パッド部の切れが生じ、経時での掻き取り能力が低下する。
これにより放電ワイヤ202に付着した異物を除去できなくなり、放電ムラが生じ、異常画像が発生する。
【0004】
この経時での掻き取り能力低下を防ぐために、例えばパッド部の強度を上げることが考えられる。
しかしながら、初期時の放電ワイヤは異物の付着が少ないため、パッドによる掻き取り能力を上げすぎるとワイヤのメッキ剥がれが生じ、これも同様に放電ムラの原因となり、異常画像が発生してしまう。
【0005】
上記のように、放電ワイヤの清掃の品質を、清掃部材の新品時と経時とで両立させることは難しい。
特許文献2には、図17に示すような清掃手段が開示されている。
この清掃手段は、清掃部材203がプラスチック材料で形成されており、先端が尖った清掃部材203を鋭角で放電ワイヤに接触させながら図中C方向に移動する。鋭角に当てることで清掃性は向上する。
しかしながら、前述した研磨材による清掃機構と同じで、初期時の清掃では、先端部が鋭角に放電ワイヤに接しているため、ワイヤのメッキ剥がれが生じ、経時使用時はプラスチック材料の切れによる清掃能力低下が生じ、共に放電ムラ起因による異常画像が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、ゴムやスポンジ等のクリーニングパッド、更には一般的なプラスチック材料の鋭角な押付けによるワイヤ清掃では、初期時には過剰なワイヤ清掃となりやすく、経時使用時には付着した異物の除去ができなくなり、共に放電ムラが生じ、異常画像が発生する。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明者は、清掃部材をガラス繊維強化プラスチックにする構成を検討した。
ガラス繊維強化プラスチックは表面が粗く、更に、一般的なプラスチック材料より硬度が高いため、小さい押付け力でワイヤ表面の異物を除去できる。これにより、ワイヤとの接触部を円弧形状としても十分に清掃能力があり、帯電装置が新品時の場合に前述の清掃動作を行った場合も、ワイヤ表面を傷付けてメッキ剥がれが生じることもない。
なお、硬度が高い材料として金属類が考えられるが、金属類では硬度が高すぎるため、ワイヤとの接触部を円弧形状とした場合においても、ワイヤ表面のメッキ剥がれが著しい。
【0008】
また、ガラス繊維強化プラスチックは一般的なプラスチック材料よりも硬度が高いため、経時使用時についても清掃部材の削れや割れは生じず、経時での清掃能力も安定させることが可能となる。
このとき、清掃動作によりワイヤ表面の異物が除去されるが、除去された異物の一部がワイヤ表面に付着したままの場合が生じ得る。この状態で放電を行うと、異物付着部では正常に放電がされず、放電ムラが発生する。
これを防ぐため、清掃部材に残留異物を拭き取るための拭取部材を追加し、清掃動作と同時に拭取動作を行うことで、ワイヤ表面に付着した異物を除去する構成が考えられる。
しかしながら、清掃動作と拭取動作とを1つの部材で同時に行おうとした場合、清掃部材のワイヤへの食い込み量を大きくすると、拭取部材の食い込み量が小さくなり、逆に拭取部材の食い込み量を大きくすると清掃部材の食い込み量が小さくなるという問題が生じる。
【0009】
清掃部材は硬度の高い材料であるため、食い込み量が大きすぎるとワイヤ表面を傷付けてしまう虞があり、食い込み量はある一定値以下とすることが好ましい。
それに対し、拭取部材は硬度の低い材料であるため、食い込み量を大きく取った場合もワイヤ表面を傷付けることはなく、拭取能力を維持するためには食い込み量をある一定値以上とすることが好ましい。
このように、清掃目的、材質が異なる部材を同時に使用すると、各部材においてワイヤに対する最適な食い込み量を個別に得ることは困難であり、さらに経時においてそれぞれの最適な食い込み量を維持することは極めて困難となる。
【0010】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、放電ワイヤの清掃品質を、清掃部材の新品時と経時とで両立させることができるとともに、清掃除去物のワイヤ表面への残留を高精度に抑制することができ、放電ムラを高精度に防止できる清掃手段を備えた帯電装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、放電用開口部を有するシールドケースと、該シールドケース内に配置された放電ワイヤと、該放電ワイヤに接触しながら移動して清掃する清掃手段とを備えた帯電装置において、前記清掃手段の前記放電ワイヤに接触する部分が異なる材質を有し、往復清掃動作における往路と復路とで前記放電ワイヤに接触する部分の材質が異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、往路と復路とで放電ワイヤに接触する部分の材質が異なる構成としたので、材質の異なる清掃部材間において放電ワイヤに対するそれぞれの最適な食い込み量を他方の部材と無関係に得ることができ、清掃部材の新品時、経時使用時に拘らず放電ムラを抑制でき、ワイヤ清掃能力を高めることができるとともに、帯電装置の長寿命化を実現できる。
放電ムラを高精度に抑制することができので、帯電品質、ひいては画像形成装置における画質の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】作像ユニットの拡大図である。
【図3】清掃手段の要部を示す非清掃状態の平面図である。
【図4】清掃手段の側面図である。
【図5】1つの放電領域における清掃手段の往路ホームポジションでの状態を示す平面図である。
【図6】往路における清掃手段の清掃状態の要部平面図である。
【図7】清掃手段の往路移動における終了直前の状態を示す平面図である。
【図8】清掃手段の復路ホームポジションでの状態を示す平面図である。
【図9】復路における清掃手段の清掃状態の要部平面図である。
【図10】清掃手段の復路移動における終了直前状態を示す平面図である。
【図11】清掃部と拭取部材とを同時接触させる方式の非清掃状態の平面図である。
【図12】図11で示した構成の往路における清掃手段の清掃状態の要部平面図である。
【図13】図11で示した構成において、清掃部の放電ワイヤに対する食い込み量を大きくした場合の問題点を説明するための図である。
【図14】図11で示した構成において、拭取部材の放電ワイヤに対する食い込み量を大きくした場合の問題点を説明するための図である。
【図15】従来のコロナ帯電装置の帯電原理を示す図である。
【図16】従来における清掃手段の一例を示す図である。
【図17】従来における清掃手段の他例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1乃至図10に基づいて説明する。
図1は本発明の実施対象となるカラー画像形成装置の構成図である。
図示の画像形成装置はイエロー(以下「Y」と略す)、マゼンタ(以下「M」と略す)、シアン(以下「C」と略す)、ブラック(以下「K」と略す)の4色トナーから一画像を形成する装置である。
この画像形成装置は、4つの作像ユニット4Y、4M、4C、4Kを備えており、これらの作像ユニットには像担持体として感光体1Y、1M、1C、1Kが設けられている。これらの感光体はそれぞれ中間転写体(以下「中間転写ベルト」という)31に接触しながら図中矢印方向(反時計回り方向)に回転駆動される。
【0015】
図2は、4つの作像ユニットのうちの1つの概略図で、図1の装置では4色ともに同一構成である。
各作像ユニット4は、各感光体1の周りに、感光体1表面に電荷を与える帯電装置2、感光体1表面にレーザ光で露光走査し静電潜像を作る露光装置3、感光体1表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置4、中間転写ベルト31にトナー像を転写した後の感光体1表面のクリーニングをするクリーニング装置5、感光体1表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6が設置されている。
【0016】
上記構成に係る画像形成装置において、カラー画像を得る過程について説明する。
図1において、図中左からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが充填されたトナーを補給するトナーボトル10から、図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置4にトナーが補給される。記録媒体としての転写紙20が、給紙コロ21でフィードされ2次転写ローラ33と中間転写ベルト31のニップ部に搬送される。
帯電装置2によって一様に帯電された感光体1上に、露光装置3によって静電潜像が作られ、各静電潜像はそれぞれ各色の現像装置4により現像され、これにより感光体1表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。
【0017】
次に転写ローラ32に電圧が印加され、各感光体1上のトナー像が中間転写ベルト31上に順次転写されていく。
このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト31の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
中間転写ベルト31上に形成された重ね画像は、2次転写ローラ33の位置まで搬送され、転写紙20に2次転写される。各色のトナー像が転写された転写紙20は定着装置40に搬送され、熱定着された後、排紙ローラ対41によって排紙トレイに排紙される。
1次転写ローラ32で転写されなかった感光体1上の残留トナーは、それぞれのクリーニング手段5によって、また中間転写ベルト31上の残留トナーは転写クリーニング装置34によってクリーニングされる。
クリーニングされた廃トナーは、各クリーニングユニット内の図示しない廃トナー搬送スクリュと搬送経路により、廃トナーボトル7へ排出される。
【0018】
次に帯電装置2について詳細に説明する。
帯電装置2は、図2に示すように、放電開口部を有するシールドケース201と、放電ワイヤ202と、清掃手段203とを備えている。
シールドケース201は、水平側板201a、右垂直側板201b、中央垂直側板201c、左垂直側板201dを有して2つの放電領域E1、E2に区画されており、それぞれの領域に放電ワイヤ202が、感光体1の軸方向に沿って張られた状態で設けられている。
清掃手段203は、各放電ワイヤ202に個別に対応して設けられている。
【0019】
図3及び図4に示すように、清掃手段203は、送りネジ方式の構成を有しており、放電ワイヤ202の軸方向(長手方向)に沿って延びるネジ軸210と、雌ネジ部を有してネジ軸210に噛合ったナット部材としての円筒状の可動ベース212と、可動ベース212の上面に一体に形成され、軸216aを有する支持部216と、支持部216の上面に軸216aに嵌合して回転自在に支持されたベースプレート218と、ベースプレート218の上面に一体に形成された凸部218aに嵌合してベースプレート218上に配置された爪部材220と、爪部材220の上面に固定された右清掃部材222aと、放電ワイヤ202を挟んで右清掃部材222aと対向する方向で爪部材220の上面に固定された左清掃部材222bと、ネジ軸210を図示しないギヤを介して回転駆動する図示しないモータ等を有している。
【0020】
送りネジ構成の詳細は図示しないが、例えば特開2009−48113号公報に記載の構成を採用することができる。
左右2つの清掃手段203を1つの駆動源(モータ)で駆動するようにしてもよい。
ネジ軸210を移動するベースプレート218等の一体構成を、以下清掃ユニット225という。
図3に示すように、爪部材220は、凸部218aに嵌合する嵌合部220aと、嵌合部220aから水平方向に細幅で延びるアーム部220bとから構成されている。
アーム部220bの先端には、往路及び復路における右垂直側板201bの内面との当接を滑らかにするためのテーパ面220cが形成されている。
アーム部220bに外力が作用すると、爪部材220とベースプレート218は軸216aを中心に一体に回転する。
【0021】
右清掃部材222aは、後述する往路移動時に放電ワイヤ202に接触する凸部形状の清掃部222a−1と、該清掃部222a−1と移動方向に間隔をおいて配置され、復路移動時に放電ワイヤ202に接触する拭取部としての拭取部材226aとを有している。
左清掃部材222bも同様に、往路移動時に放電ワイヤ202に接触する凸部形状の清掃部222b−1と、該清掃部222b−1と移動方向に間隔をおいて配置され、復路移動時に放電ワイヤ202に接触する拭取部としての拭取部材226bとを有している。
右清掃部材222aと左清掃部材222bにおいて、それぞれの清掃部と拭取部材は移動方向における位置が逆態様となるように配置されている。
清掃部222a−1、222b−1はガラス繊維強化プラスチックで形成されている。拭取部材226a、226bは、清掃部での清掃後に放電ワイヤ202の表面に残り得る除去物を拭き取る目的で設けられており、清掃部よりも硬度の低い材料で形成されている。拭取部材の材質としては、スポンジやフェルト、ウレタンフォーム等を採用することができる。
【0022】
図3に示すように、右側の放電領域E1の右垂直側板201bには、アーム部220bを非拘束状態に収容可能な凹部201eが形成されている。図3は、ネジ軸210の正・逆転による清掃手段203の往復移動における往路の開始位置の状態を示している。
図5に示すように、この開始位置では、ベースプレート218が放電領域E1に設けられた姿勢制御部材224(図3では省略)に当接し、爪部材220のアーム部220bは凹部201eに位置している。以下、この位置を「往路ホームポジション」という。
図5等では、清掃ユニット225を簡略化して表示している。
【0023】
本実施形態に係る構成の特徴を説明する前に、上述した清掃部と拭取部とを隣り合った状態に設けて同時に放電ワイヤ202に接触させる構成の問題点を具体的に説明する。
図11に示すように、右清掃部材222aの清掃部222a−1に隣り合う状態に拭取部材226aを設け、左清掃部材222bの清掃部222b−1に隣り合う状態に拭取部材226bを設ける構成とする。
図12に示すように、アーム部220bが側板内面で押圧されることによる清掃ユニット225の反時計回り方向(矢印B方向)の回転により、右清掃部材222aの清掃部222a−1と拭取部材226a、左清掃部材222bの清掃部222b−1と拭取部材226bは同時に放電ワイヤ202に接触する。
このような構成とすることにより、清掃部で削り取られた除去物が放電ワイヤの表面に残っても拭取部材で拭き取って除去することができる。
【0024】
しかしながら、同時にワイヤ清掃動作とワイヤ拭き取り動作を行った場合、清掃部222a−1、222b−1の食い込み量を大きくしたとき、図13に示すように、拭取部材226a、226bの放電ワイヤ202への食い込み量が小さくなる。
清掃部と拭取部の食い込み量の関係によっては、拭取部が放電ワイヤワイヤ202に接触しない場合が生じ、十分に拭取りを行うことができず、再付着した異物が残ってしまう懸念がある。
また、図14に示すように、拭取部材226a、226bの放電ワイヤ202への食い込み量を大きくした場合、清掃部222a−1、222b−1の放電ワイヤ202への食い込み量が小さくなってしまい、清掃不良が発生する。
これらの問題は、清掃部と拭取部間の距離を大きくすることで、すなわち清掃部と拭取部とを離すことで食い込み量低下を軽減することも可能ではあるが、無暗に距離を広げると帯電装置を大きくする必要があり、本体サイズの拡大や周辺部品への影響も大きい。
【0025】
本実施形態ではこの問題を解消すべく、清掃動作の往路と復路でそれぞれ放電ワイヤ202の清掃を行い、且つ、接触させる部材を異なる材質のものとした。
上記往路ホームポジションの位置から清掃ユニット225の往路移動(X1方向移動)が開始されると、図6に示すように、爪部材220のアーム部220bが凹部201eを抜けた時点で右垂直側板201bの内面により押圧され、清掃ユニット225が反時計回り方向(矢印B方向)に回転する。
この回転動作により、右清掃部材222aの清掃部222a−1と左清掃部材222bの清掃部222b−1は放電ワイヤ202に加圧状態で接触する。
このとき、右清掃部材222aの拭取部材226aと、左清掃部材222bの拭取部材226bは、放電ワイヤ202に対して非接触状態となる。
【0026】
図6に示すように、放電ワイヤ202に対する右清掃部材222aの接触部である清掃部222a−1と、左清掃部材222bの接触部である清掃部222b−1は共に円弧形状に形成されており、放電ワイヤ202を擦りながら移動する。円弧形状により、往復移動時の放電ワイヤ202に対する接触移動が円滑になされる。
【0027】
本実施形態では、右清掃部材222aと左清掃部材222bにおいて、拭取部を除く全体をガラス繊維強化プラスチックで形成しているが、清掃部222a−1、222b−1のみをガラス繊維強化プラスチックで形成してもよい。
右清掃部材222a及び左清掃部材222bの放電ワイヤ202に対する押し付け量(接触圧)はアーム部220bの長さで調整することができる。
【0028】
清掃ユニット225は、図6に示す接触状態(清掃位置)を保ちながら下流側に移動する。図7に示すように、下流側にも凹部201eが形成されているとともに姿勢制御部材224が設けられている。アーム部220bが凹部201eに入り込むと、清掃ユニット225は時計回り方向に回転可能となり、放電ワイヤ202に対する清掃部材222の接触圧は消失する。さらに、図8に示すように、姿勢制御部材224にベースプレート218が当接することにより、図5で示した往路ホームポジションでの姿勢と同じ姿勢に保持される。この位置を「復路ホームポジション」という。
【0029】
図示しないセンサによって復路ホームポジションが検知されるとネジ軸210の回転が停止され、復路移動のための逆転動作が開始される。
復路移動(X2方向移動)が開始されると、図9に示すように、アーム部220bが凹部201eを抜けた時点で右垂直側板201bの内面により押圧され、清掃ユニット225が時計回り方向(矢印G方向)に回転する。
この回転動作により、右清掃部材222aの拭取部材226aと左清掃部材222bの拭取部材226bは放電ワイヤ202に加圧状態で接触する。
このとき、右清掃部材222aの清掃部222a−1と、左清掃部材222bの清掃部222b−1は、放電ワイヤ202に対して非接触状態となる。
放電ワイヤ202に対する拭取部材の接触形状は、清掃部と同様に円弧形状となっており、相互的に放電ワイヤ202の外周全体をカバーするように設定されている。
図10は、清掃ユニット225が復路移動(X2方向移動)で往路ホームポジションに戻ってきた状態を示している。
アーム部220bが凹部201eに入り込むと、清掃ユニット225は反時計回り方向に回転可能となり、放電ワイヤ202に対する清掃部材222の接触圧は消失し、姿勢制御部材224にベースプレート218が当接することにより、最終的に図5で示した往路ホームポジションでの姿勢に保持される。
【0030】
ガラス繊維強化プラスチックは表面が粗く、更に、一般的なプラスチック材料より硬度が高いため、小さい押付け力で放電ワイヤ202の表面の異物を除去できる。
これにより、放電ワイヤ202に接触する部分を円弧形状としても十分に清掃能力があり、帯電装置2(厳密には清掃部材)が新品時の場合に前述の清掃動作を行った場合も、放電ワイヤ202の表面を傷付けてメッキ剥がれが生じることもない。
なお、硬度が高い材料として金属類が考えられるが、金属類では硬度が高すぎるため、放電ワイヤ202に接触する部分を円弧形状とした場合においても、放電ワイヤ202の表面のメッキ剥がれが著しい。
【0031】
また、ガラス繊維強化プラスチックは一般的なプラスチック材料よりも硬度が高いため、経時使用時についても清掃部材222の削れや割れは生じず、経時での清掃能力も安定させることが可能となる。
したがって、清掃部材222をガラス繊維強化プラスチックとし、放電ワイヤ202との接触部を円弧形状とすることで、新品時、経時使用時共に、安定したワイヤ清掃が可能となる。
【0032】
また、上記のように、往路では硬い材質の清掃部222a−1、222b−1を放電ワイヤ202に接触させ、復路では清掃部よりも硬度の低い材質の拭取部材226a、226bを接触させる構成とすることにより、放電ワイヤ202への清掃部の食い込み量と拭取部の食い込み量とをそれぞれ独立して規制することができ、それぞれ必要十分な食い込み量に設定することができる。
これにより、経時使用時においても放電ワイヤ202へ付着した異物を清掃部で削り取り、拭取部で取り除くことができ、更なる安定したワイヤ清掃が可能となる。
【0033】
上記各実施形態では、1つの放電領域について説明したが、他方の放電領域についても同様である。
また、上記各実施形態では、清掃部材の「右」、「左」やシールドケースの「水平」、「垂直」、「上流」、「下流」、清掃ユニットのホームポジション等を規定したが、これらは説明を分かりやすくするための単なる便宜上の規定にすぎない。
【符号の説明】
【0034】
1 像担持体としての感光体
2 帯電装置
4 現像装置
201 シールドケース
202 放電ワイヤ
203 清掃手段
222a−1、222b−1 往路で清掃する部分としての清掃部
226a、226b 復路で清掃する部分としての拭取部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開2004−109721号公報
【特許文献2】特開2000−75604号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電用開口部を有するシールドケースと、該シールドケース内に配置された放電ワイヤと、該放電ワイヤに接触しながら移動して清掃する清掃手段とを備えた帯電装置において、
前記清掃手段の前記放電ワイヤに接触する部分が異なる材質を有し、往復清掃動作における往路と復路とで前記放電ワイヤに接触する部分の材質が異なることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記清掃手段の前記放電ワイヤに接触する部分のうち、前記往路で清掃する部分の材質は前記復路で清掃する部分の材質よりも硬度が高いことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の帯電装置において、
前記往路で清掃する部分の材質は、ガラス繊維強化プラスチックであることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電装置において、
前記清掃手段の前記放電ワイヤに接触する部分が、円弧形状であることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の帯電装置において、
前記清掃手段の前記放電ワイヤに接触する部分は、前記放電ワイヤを挟んで対向する方向に2つ以上設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
帯電装置により帯電された像担持体に画像形成データに基づいて静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置により可視像化し、該可視像を記録媒体に転写して記録する画像形成装置において、
前記帯電装置が、請求項1〜5のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−76875(P2013−76875A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217100(P2011−217100)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】