説明

帯電防止コーティング剤組成物及びそれを硬化させた被膜

【課題】 少量でも優れた帯電防止性を発現するための帯電防止コーティング剤組成物、及びそれを硬化させたもので、帯電防止性、透明性、耐擦傷性に優れ、基材との密着性を有する優れた帯電防止被膜を提供する。
【解決手段】 帯電防止コーティング剤組成物は、エチレン基を複数含有したモノマーとエチレン基を複数含有したプレポリマーとから選ばれる少なくとも一方を含有するハードコートベース100重量部、イオン対とベタインとから選ばれる少なくとも一方の極性構造を含有する単量体、または該単量体の繰返し単位を有するマクロモノマーとフルオロカーボン基を含有する単量体の繰返し単位を含有するマクロモノマーとの共重合物からなる極性高分子化合物0.5〜50重量部、アミノ基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部、および水酸基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基材にコーティングを施して硬化させ帯電防止性を付与するための組成物、及びそれを硬化させた被膜に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック基材は、家電製品の部品、自動車部品、光学部材、有機板ガラス等の原材として汎用されている。プラスチック基材は、傷つき易く、帯電し易い。そのため、下記特許文献1、2に開示されている様に、帯電防止剤や導電性フィラーの金属微粒子が含有されたコーティング剤で、被覆される。
【0003】
しかし、コーティング層が帯電防止剤としてカチオン系、アニオン系、ノニオン系の界面活性剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などを多量に含有していると、それのブリードを惹き起こしかえって高湿下での帯電防止性が低下したり、耐擦傷性が低下したりする。また、コーティング剤が導電性フィラーを含有していると帯電防止性に優れる反面、透明性が損なわれてしまう。
【0004】
また、コーティングする基材がポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂を含有する樹脂に、密着性を有し、優れた帯電防止性を併せ持つコーティング剤が切望されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−244618号公報
【特許文献2】特開2000−281736号公報
【特許文献3】特開2007−191508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハードコートベースとの相溶性が高く、かつ少量でも優れた帯電防止性を発現する帯電防止コーティング剤組成物、及びそれを硬化させたもので、帯電防止性、透明性、耐擦傷性に優れ、樹脂基材、特にポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂を含有する樹脂との密着性を有する優れた帯電防止被膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された帯電防止コーティング剤組成物は、エチレン基を複数含有したモノマーとエチレン基を複数含有したプレポリマーとから選ばれる少なくとも一方を含有するハードコートベース100重量部、イオン対とベタインとから選ばれる少なくとも一方の極性構造を含有する単量体、または該単量体の繰返し単位を有するマクロモノマーとフルオロカーボン基を含有する単量体の繰返し単位を含有するマクロモノマーとの共重合物からなる極性高分子化合物0.5〜50重量部、アミノ基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部、および水酸基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部が含まれていることを特徴とする。
【0008】
同じく請求項2に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記イオン対が、ハロゲン化4級アンモニウム基、リン酸エステルアンモニウム基、硫酸エステルアンモニウム基、カルボン酸エステルアンモニウム基、ハロゲン化4級ホスホニウム基、塩基性スルホン酸基及び塩基性カルボン酸基から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記ベタインが、スルホン酸イオン基又はカルボン酸イオン基と4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記極性高分子化合物が、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基の少なくとも一種類の基を含有する単量体、又は単量体の繰返し単位を有する不飽和マクロモノマーと、前記フルオロカーボン基を含有する不飽和マクロモノマーとの共重合物に、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させて前記ハロゲン化4級アンモニウム基又は前記ハロゲン化4級ホスホニウム基の前記イオン対を形成したものであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記極性高分子化合物が、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の別な不飽和モノマーと共重合していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記アミノ基を含有する高分子化合物が、アミノ基を含有する不飽和マクロモノマーの単独重合物、またはアミノ基を含有する不飽和マクロモノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の不飽和モノマーとの共重合物であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、前記水酸基を含有する高分子化合物が、水酸基を含有する不飽和モノマーの単独重合物、または水酸基を含有する不飽和モノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の不飽和モノマーとの共重合物であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の帯電防止コーティング剤組成物は、請求項1に記載されたもので、光重合開始剤、又は熱重合開始剤が含まれていることを特徴とする。
【0015】
また前記の目的を達成するためになされた、請求項9に記載の帯電防止被膜は、プラスチック基材上に、請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止コーティング剤組成物を硬化させたものである。
【0016】
同じく請求項10に記載の帯電防止被膜は、請求項9に記載のプラスチック基材が、ポリカーボネートを含む基材であることを特徴とする。
【0017】
前記の目的を達成するためになされた、請求項11に記載の帯電防止被膜の形成方法は、請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止コーティング剤組成物をプラスチック基材に塗工し、そこに活性エネルギー線を照射することにより、前記エチレン基複数含有モノマー及び/又は前記エチレン基複数含有プレポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の帯電防止性コーティング組成物は、帯電防止性を発現する高分子化合物からなり、この高分子化合物は表面改質性が高いものであるため、それを少量含ませるだけで優れた帯電防止性を発現させるコーティング組成物を調製することができる。加えてアミノ基を含有する高分子化合物と水酸基を含有する高分子化合物が、コーティング剤とプラスチック基材との界面に局在化するため、極性高分子化合物の同界面への局在化を妨げる。その結果、極性高分子化合物のコーティング剤表面への配向がより顕著になり、これらの高分子化合物を少量含むだけで、優れた帯電防止性を発現させる。各種プラスチック基材、特にポリカーボネート基材へのコーティング剤組成物となる。この組成物は、プラスチック基材に塗工し易く、硬化させることにより、表面抵抗値が低く、帯電防止性、透明性、耐擦傷性、密着性に優れた被膜を得ることができる。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0019】
帯電防止コーティング剤組成物の好ましい形態は以下のようにして調製される。
【0020】
末端に2−メルカプトエタノールを導入したハロゲン化アルキルスチレンのブロック重合体の水酸基に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加させることにより、末端に不飽和基を導入したハロゲン化アルキル基含有不飽和マクロモノマーを合成する。次いで、末端に2−メルカプトエタノールを導入したフルオロカーボン基含有(メタ)アクリレートのブロック重合体の水酸基に2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加させることにより、末端に不飽和基を導入したフルオロカーボン基含有不飽和マクロモノマーを合成する。
【0021】
この末端に不飽和基を導入したハロゲン化アルキル基含有不飽和マクロモノマー及びフルオロカーボン基含有不飽和マクロモノマーは、2−メルカプトエタノールに代えて、例えば2−メルカプトプロピオン酸のような分子内にカルボン酸を持つ連鎖移動剤を使用して、ハロゲン化アルキルスチレン及びフルオロカーボン基含有(メタ)アクリレートのブロック重合体を得、そのカルボン酸基にグリシジルメタクリレートのような、分子内にグリシジル基を持つビニル化合物を付加することによっても合成することができる。
【0022】
前記ハロゲン化アルキル基含有不飽和マクロモノマーと、フルオロカーボン基含有不飽和マクロモノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルとを、5〜90:5〜90:0〜80の重合比で共重合させる。その共重合物中のハロゲン化アルキル基に3級アミン又は3級ホスフィンを反応させ、ハロゲン化4級アンモニウム基又はハロゲン化4級ホスホニウム基の繰返し単位を形成させた極性高分子化合物を得る。
【0023】
上記のハロゲン化4級アンモニウム基、又はハロゲン化4級ホスホニウム基の繰り返し単位を形成させた高分子化合物を合成する際に用いるハロゲン化アルキル基含有不飽和マクロモノマーの合成において、ハロゲン化アルキルスチレンに代えて、例えばジメチルアミノエチルメタクリレートのような、分子内に3級アミンを持つビニル化合物を用い、後に用いる3級アミンや3級ホスフィンの代わりに、ベンジルクロライドのような、分子内に炭素とハロゲンとの結合を持つハロゲン化アルキルやハロゲン化アリール、又はハロゲン化アラルキルを用いることによっても合成することができる。また、ベンジルクロライドの代わりに、トリメチルホスフェートやジメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチルのような、リン酸エステルや硫酸エステルを用いることにより、ハロゲンを含まない、イオン対を極性構造の繰り返し単位として持ち、フルオロカーボン基を有する高分子化合物を得ることができる。
【0024】
一方、末端に2−メルカプトエタノールを導入した3級アミン含有(メタ)アクリレートのブロック重合体の水酸基に2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加させることにより、末端に不飽和基を導入した3級アミン含有不飽和マクロモノマーを合成する。この3級アミン含有不飽和マクロモノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルとを、5〜100:0〜95の重量比で共重合させて、3級アミン含有高分子化合物を得る。また、末端に2−メルカプトエタノールを導入した水酸基含有(メタ)アクリレートのブロック重合体を合成して、水酸基含有高分子化合物を得る。
【0025】
この極性高分子化合物と、3級アミン含有高分子化合物と、水酸基含有高分子化合物と、ハードコートベースとしてエチレン基複数含有モノマー及び/又はエチレン基複数含有プレポリマーと、重合開始剤とを混練すると、帯電防止コーティング剤組成物が得られる。
【0026】
帯電防止コーティング剤組成物中、エチレン基複数含有モノマー及び/又はエチレン基複数含有プレポリマーを含有するハードコートベース100重量部に対して、極性高分子化合物0.5〜10重量部、3級アミン含有高分子化合物0.25〜1重量部、水酸基含有高分子化合物0.25〜1重量部、重合開始剤1〜10重量部が含まれていると、極めて優れた帯電防止性を発現するため、一層好ましい。
【0027】
極性高分子化合物中のフルオロカーボン基は、空気中の酸素と馴染み易い。更に3級アミン含有高分子化合物と水酸基含有高分子化合物はプラスチック基材とコーティング組成物との界面に局在化し易い。そのため、この組成物を硬化させた被膜は、その表面にフルオロカーボン基を含有するポリマーが配向し易くなる。その結果、たとえ組成物中の極性高分子化合物が少量であっても、被膜の表面抵抗値を効果的に低下させることができる。
【0028】
帯電防止コーティング剤組成物の原料物質は、具体的には以下のとおりである。
【0029】
ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はハロゲン化アラルキル基含有不飽和化合物は、例えばクロロメチルスチレンが挙げられる。また3級アミンや3級ホスフィンは、特に限定されないが、中でもメチル基、エチル基を持つアミンが好ましい。
【0030】
フルオロカーボン基含有不飽和モノマーは、フルオロカーボン基含有(メタ)アクリレートでもよく、例えば2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5Hオクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソプロピルエチル(メタ)アクリレート、p−パーフルオロオクチルオキシベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレートなど、末端にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。これらのフルオロカーボン基含有不飽和モノマーは1種を単独で使用でき、又は2種以上を併用できる。
【0031】
極性高分子化合物を構成する別な不飽和モノマーのひとつである(メタ)アクリル酸モノエステルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリレート、単官能ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、単官能ポリエステル(メタ)アクリレート、単官能ポリカプロラクトン(メタ)アクリレートが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー以外の共重合可能な不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和カルボン酸モノマー;t−ブチル−n−ブトキシメチルアクリルアミドのような(メタ)アクリル酸アミドモノマー;スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレンモノマー;ラウリルビニルエーテルのようなビニルエーテルモノマー;ビニルブチレートのようなビニルエステルモノマーを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。これらの不飽和モノマーは1種を単独で使用でき、また2種以上を併用できる。
【0032】
極性高分子化合物は、前記と同様な重量比で、塩化トリアルキルアンモニオメチルスチレンや塩化トリアルキルホスホニオメチルスチレンで例示されるイオン対含有不飽和モノマー又は(3−プロピルスルホニックアシッド−1)−2−ビニルピリジウムベタインや、N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタインで例示されるベタイン構造含有不飽和モノマーから誘導された極性構造の繰返し単位を有する不飽和マクロモノマーと、フルオロカーボン基含有不飽和マクロモノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルとを、共重合させたものであってもよい。マクロモノマーは、前記と同様にして調製される。
【0033】
3級アミンを含有する高分子化合物を構成する3級アミン含有不飽和モノマーは、3級アミン含有(メタ)アクリレートでもよく、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの3級アミン含有不飽和モノマーは1種を単独で使用でき、又は2種以上を併用できる。
【0034】
前記高分子化合物を構成する別な不飽和モノマーのひとつである(メタ)アクリル酸モノエステルは、極性高分子化合物を構成する(メタ)アクリル酸モノエステルの際に挙げられた(メタ)アクリル酸モノエステルと同様の物質が使用できる。また、これらの不飽和モノマーは1種を単独で使用でき、また2種以上を併用できる。
【0035】
水酸基を含有する高分子化合物を構成する水酸基含有不飽和モノマーは、水酸基含有(メタ)アクリレートでもよく、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和モノマーは1種を単独で使用でき、又は2種以上を併用できる。
【0036】
エチレン基複数含有モノマーは、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレートモノアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0037】
エチレン基複数含有プレポリマーは、例えばトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多塩基酸を縮合して得られる化合物の(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート及びこれらのビュレット体、ヌレート化物等のポリイソシアネートと、グリセリンモノメタクリレートモノアクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応物が挙げられる。
【0038】
重合開始剤は、光重合開始剤として、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド;熱重合開始剤として、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドリドクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
【0039】
帯電防止コーティング剤組成物には、被膜に求められる性能に応じて、シリコン系樹脂、シリカ粒子、金属粒子、金属酸化物粒子、有機塩、無機塩のような添加剤、希釈剤を含んでいてもよい。
【0040】
希釈剤は、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル類例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル;アルキルアルコール類例えばイソプロピルアルコール;アルキレングリコールモノアルキルアルコールのアルキルカルボン酸エステル類例えばブチルグリコールアセテート;ケトン類例えばメチルエチルケトン;アルキルアルコールのアルキルカルボン酸エステル類例えば酢酸エチル;脂肪族炭化水素類例えばヘキサン;脂環式炭化水素類例えばシクロヘキサン;芳香族炭化水素類例えばトルエン;ハロゲン系溶剤例えば塩化メチルが挙げられる。
【0041】
帯電防止コーティング剤組成物を、プラスチック基材に塗工する。それに活性エネルギー線、例えば紫外線、放射線、赤外線、X線、電子線、可視光又は熱を照射すると、硬化して帯電防止被膜が形成される。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の帯電防止コーティング剤組成物と、それを硬化させた帯電防止被膜の試作例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
(合成例1)クロロメチルスチレンのマクロモノマーの合成
4つ口フラスコにクロロメチルスチレン100重量部、2−メルカプトエタノール5重量部、メチルエチルケトン100重量部、およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5重量部を加え、窒素雰囲気下で、75〜80℃で13時間反応させた。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート9.93重量部、メトキノン0.04重量部、ジブチル錫ジラウレート0.01重量部を添加して、75〜80℃で6時間反応させた。赤外吸収スペクトルにて2250cm−1のイソシアネート基のピークが消失していることを確認し、クロロメチルスチレンのマクロモノマー(CMSマクロモノマー)を得た。
【0044】
(合成例2)トリフルオロエチルメタクリレートのマクロモノマーの合成
4つ口フラスコに2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートであるライトエステルM−3F(共栄社化学(株)社製の商品名;M−3Fモノマー)100重量部、2−メルカプトエタノール5重量部、メチルエチルケトン100重量部、及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5重量部を加え、窒素雰囲気下で、75〜80℃で7時間反応させた。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート9.93重量部、メトキノン0.04重量部、ジブチル錫ジラウレート0.01重量部を添加して、75〜80℃で6時間反応させた。赤外吸収スペクトルにて2250cm−1のイソシアネート基のピークが消失していることを確認し、トリフルオロエチルメタクリレートのマクロモノマー(M−3Fマクロモノマー)を得た。
【0045】
(合成例3)ジメチルアミノエチルメタクリレートのマクロモノマーの合成
4つ口フラスコにジメチルアミノエチルメタクリレートであるライトエステルDM(共栄社化学(株)社製の商品名:DMモノマー)の100重量部、2−メルカプトエタノール5重量部、メチルエチルケトン100重量部、及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5重量部を加え、窒素雰囲気下で、75〜80℃で13時間反応させた。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート9.93重量部、メトキノン0.04重量部、ジブチル錫ジラウレート0.01重量部を添加して、75〜80℃で3時間反応させた。赤外吸収スペクトルにて2250cm−1のイソシアネート基のピークが消失していることを確認し、ジメチルアミノエチルメタクリレートのマクロモノマー(DMマクロモノマー)を得た。
【0046】
次に、高分子化合物を合成した。合成のための成分を表1に示す。
【0047】
(合成例4)3級アミン含有高分子化合物の合成
4つ口フラスコに、メチルメタクリレート20重量部、合成例3で得られたジメチルアミノエチルメタクリレートのマクロモノマーを樹脂分に換算して80重量部とそれを含むメチルエチルケトン67重量部との混合物、メチルエチルケトン83重量部、及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5重量部を加え、窒素雰囲気下、75〜80℃で13時間反応させ、3級アミン含有高分子化合物を得た。
【0048】
(合成例5)水酸基含有高分子化合物の合成
4つ口フラスコに2−ヒドロキシプロピルメタクリレートであるライトエステルHOP(共栄社化学(株)社製の商品名:HOPモノマー)100重量部、2−メルカプトエタノール5重量部、メチルエチルケトン100重量部、及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5重量部を加え、窒素雰囲気下で、75〜80℃で13時間反応させ、水酸基含有高分子化合物を得た。
【0049】
(合成例6)高分子化合物1の合成
4つ口フラスコに、合成例1で得られたクロロメチルスチレンのマクロモノマーを樹脂分に換算して100重量部とそれを含むメチルエチルケトン84重量部との混合物、メチルメタクリレート20重量部、合成例2で得られたトリフルオロエチルメタクリレートのマクロモノマーを樹脂分に換算して80重量部とそれを含むメチルエチルケトン67重量部との混合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)10重量部を添加し、窒素雰囲気下、75〜80℃で9時間反応させた。反応混合物に、トリエチルアミン55.3重量部、エタノール55.6重量部を添加して、60℃で6時間反応させた。滴定法によりアミン価を測定し、3級アミンが全て4級化されているのを確認し、高分子化合物1を得た。
【0050】
(合成例7)高分子化合物2の合成
4つ口フラスコに、合成例3で得られたジメチルアミノエチルメタクリレートのマクロモノマーを樹脂分に換算して100重量部とそれを含むメチルエチルケトン84重量部との混合物、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレートであるライトアクリレート130A(共栄社化学(株)社製の商品名;130Aモノマー)の20重量部、合成例2で得られたトリフルオロエチルメタクリレートのマクロモノマーを樹脂分に換算して80重量部とそれを含むメチルエチルケトン67重量部との混合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)10重量部、メチルエチルケトン59重量部を添加し、窒素雰囲気下、75〜80℃で9時間反応させた。反応混合物に、ジエチル硫酸82.2重量部、エタノール210重量部を添加して、60℃で3時間反応させた。滴定法によりアミン価を測定し、3級アミンが全て4級化されているのを確認し、高分子化合物2を得た。
【0051】
【表1】

以下に、本発明を適用する帯電防止コーティング剤組成物及びそれを硬化させた帯電防止被膜の試作例を実施例1〜4に示す。また本発明を適用外のコーティング剤組成物及びそれを硬化させた被膜の試作例を比較例1〜4に示す。
【0052】
(実施例1〜4、及び比較例1〜4)
合成例4〜7で得た高分子化合物、ハードコートベースとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)社製の商品名:ライトアクリレートDPE−6A)とペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)社製の商品名:ウレタンアクリレートUA−306I)、溶媒としてメチルエチルケトン、及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製の商品名:イルガキュア184)を、表2に記載の通りに配合して均一に混練し、組成物を調製した。得られた組成物を、バーコーター(No.14)にて透明なポリカーボネート基材に厚さ約10μmで塗工して塗膜とし、90℃で5分間乾燥した。それを5m/分のスピードのコンベアに載せ、そこから上へ10cm離した80W/cm高圧水銀灯で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、膜厚3μmの被膜を有する試験片を得た。
【0053】
得られた試験片の物性について、以下のようにして、外観観察、表面抵抗値測定試験、鉛筆硬度測定試験、耐擦傷性評価試験、密着性評価試験を行ない、評価した。
【0054】
(外観観察)
硬化被膜の塗膜状態を目視で観察した。透明性があるものを○、透明性のないものを△として2段階で評価した。
【0055】
(表面抵抗値測定試験)
20℃で相対湿度60%下での試験片の被膜の表面抵抗値について、抵抗率計DSM−8103及びSME−8311(いずれも東亜ディーケーケー社製:商品名)を用い、測定した。
【0056】
(鉛筆硬度測定試験)
JIS K 5400に従い、鉛筆引っ掻き試験機を用いて、試験片の被膜の鉛筆硬度を測定した。各種硬度の鉛筆を45°の角度に保ちつつ上から1kgの荷重をかけ、試験片の被膜を1cm引っ掻き、傷の有無を目視にて観察した。5回繰返し、5回とも傷が付かなかった鉛筆硬度のうち最も高い硬度を、その被膜の硬度とした。
【0057】
(耐擦傷性評価試験)
200g/cmの荷重をかけた0000番スチールウールで、試験片の被膜を10往復擦り、傷の有無を目視にて観察した。傷が付かない、またはほとんど傷が付かないものを◎、若干傷が付いたものを○、傷が無数に付いたものを△、白化するほど傷がついたものを×とする4段階で評価した。
【0058】
(密着性評価試験)
JIS K 5400に従い、試験片の被膜表面に1mm間隔で縦、横11本の切れ目を入れて100個の碁盤目を作った。セロハンテープをその表面に密着させた後、一気に剥がしたときに剥離せず残ったマス目の個数を数えた。
【0059】
これらの結果を、まとめて表2に示す。
【0060】
【表2】

表2から明らかなとおり、本発明の帯電防止コーティング剤組成物から得た被膜は、帯電防止性、透明性、耐擦傷性、密着性に優れ、高い硬度を示した。
【0061】
比較例1、2と比較例3との比較から明らかなように、極性高分子化合物中に3級アミン含有高分子化合物又は水酸基含有高分子化合物を少量添加することで、表面抵抗値の低下が見られたが、比較例1は表面抵抗値の低下が少なく、比較例2は被膜の透明性が低下した。
【0062】
実施例1〜3と比較例1〜3との比較から明らかなように、3級アミン含有高分子化合物と水酸基含有高分子化合物をそれぞれ少量添加することで、他機能を維持したまま、表面抵抗値を更に低下させることができた。これは、分子中に3級アミンを含有する高分子化合物と、分子中に水酸基を含有する高分子化合物が基材と被膜との界面に局在化することにより、極性高分子化合物の界面への配向が抑制され、被膜表面への配向が強化されたためであると考えられる。これは、実施例4と比較例4との比較から明らかなように、塩素を含有しない本発明の帯電防止コーティング剤組成物を使用しても同様の効果があると言える。
【0063】
また、実施例1と実施例2、3との比較から明らかなように、極性高分子化合物に対する、3級アミン含有高分子化合物と水酸基含有高分子化合物の添加量を調整することにより、更に効果的に表面抵抗値を低下させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の帯電防止コーティング組成物は、帯電や埃吸着を忌避すべき液晶画面、家電製品、それらの製造ラインや、防音用ポリカーボネート板などの建築材料に、帯電防止被膜を形成させるのに用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン基を複数含有したモノマーとエチレン基を複数含有したプレポリマーとから選ばれる少なくとも一方を含有するハードコートベース100重量部、
イオン対とベタインとから選ばれる少なくとも一方の極性構造を含有する単量体、または該単量体の繰返し単位を有するマクロモノマーとフルオロカーボン基を含有する単量体の繰返し単位を含有するマクロモノマーとの共重合物からなる極性高分子化合物0.5〜50重量部、
アミノ基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部、および
水酸基を含有する高分子化合物0.05〜10重量部が含まれていることを特徴とする帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項2】
前記イオン対が、ハロゲン化4級アンモニウム基、リン酸エステルアンモニウム基、硫酸エステルアンモニウム基、カルボン酸エステルアンモニウム基、ハロゲン化4級ホスホニウム基、塩基性スルホン酸基及び塩基性カルボン酸基から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項3】
前記ベタインが、スルホン酸イオン基又はカルボン酸イオン基と4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基とを有することを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項4】
前記極性高分子化合物が、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基の少なくとも一種類の基を含有する単量体、又は単量体の繰返し単位を有する不飽和マクロモノマーと、前記フルオロカーボン基を含有する不飽和マクロモノマーとの共重合物に、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させて前記ハロゲン化4級アンモニウム基又は前記ハロゲン化4級ホスホニウム基の前記イオン対を形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項5】
前記極性高分子化合物が、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の別な不飽和モノマーと共重合していることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項6】
前記アミノ基を含有する高分子化合物が、アミノ基を含有する不飽和マクロモノマーの単独重合物、またはアミノ基を含有する不飽和マクロモノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の不飽和モノマーとの共重合物であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項7】
前記水酸基を含有する高分子化合物が、水酸基を含有する不飽和モノマーの単独重合物、または水酸基を含有する不飽和モノマーと、(メタ)アクリル酸モノエステルモノマー、不飽和カルボン酸モノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチレンモノマー、ビニルエーテルモノマー、及びビニルエステルモノマーから選ばれる少なくとも1種類の不飽和モノマーとの共重合物であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項8】
光重合開始剤、又は熱重合開始剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止コーティング剤組成物。
【請求項9】
プラスチック基材上に、請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止コーティング剤組成物を硬化させた帯電防止被膜。
【請求項10】
請求項9に記載のプラスチック基材が、ポリカーボネートを含む基材であることを特徴とする帯電防止被膜。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止コーティング剤組成物をプラスチック基材に塗工し、そこに活性エネルギー線を照射することにより、前記エチレン基複数含有モノマー及び/又は前記エチレン基複数含有プレポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする帯電防止被膜の形成方法。

【公開番号】特開2010−1398(P2010−1398A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162021(P2008−162021)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000162076)共栄社化学株式会社 (67)
【Fターム(参考)】