説明

帳票処理システム、及び帳票処理方法

【課題】識別子を帳票に印刷すること無く、一度識別不可能と判定された帳票の種類の識別を可能にする帳票処理システム、及び帳票処理方法を提供する。
【解決手段】本実施形態の帳票処理システムは、帳票の画像データを入力する帳票データ入力部と、画像データに識別子を付与する識別子付与部と、画像データに基づいて帳票の種別を識別する帳票種別識別部と、画像データから日付印情報を抽出する日付印情報抽出部と、識別子と日付印情報とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について入力された帳票の種別と当該帳票に付与された識別子とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について、再度入力された画像データから日付印情報を抽出し、この抽出した日付印情報に基づいて第1の記憶部と第2の記憶部を参照して当該帳票の種別を識別する帳票再識別部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、帳票処理システム、及び帳票処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関では、各支店において取り扱われた振込依頼書による電気料金、水道料金、電話料金等の公共料金や税金などの管理、仕分けのために、計算センターで本店や各支店の振込依頼書の収納済通知書を集め、帳票処理システムによって各帳票の記載事項を読み取り、払込先ごとに帳票をソートし、振込金額を合計するなどの処理を行っている。
【0003】
この帳票処理システムでは、最初(1パス目)の読み取りで帳票の種類が識別できなかった(識別リジェクトした)ためにポケットに分類できなかった帳票を、オペレータが帳票イメージや帳票を確認して種類を設定し、そのリジェクトした帳票束をもう一度読み取り(2パス目)、オペレータが設定した帳票の種類に従ってポケットに分類する、ということが一般的に行われている。
【0004】
ここで、2パス目のスキャンを行われた各帳票と、オペレータが設定した帳票の種類とを紐付ける方法として、1パス目に識別子として通し番号を文字やバーコードなどで印刷し、この識別子とオペレータの設定を関連付けておくことで、2パス目に識別子を光学式文字読取装置(OCR:Optical Character Reader)やバーコードリーダ等で読み取って、オペレータの設定を取り出し、帳票の識別や仕分けを自動的に行う方法がある。
【0005】
また、識別子を印刷する際に紫外線等の特殊な光源で読み取ることができる透明インクで印字する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−145383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、識別子を帳票に印刷すること無く、一度識別不可能と判定された帳票の種類の識別を可能にする帳票処理システム、及び帳票処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の帳票処理システムは、帳票の画像データを入力する帳票データ入力部と、画像データに識別子を付与する識別子付与部と、画像データに基づいて帳票の種別を識別する帳票種別識別部と、画像データから日付印情報を抽出する日付印情報抽出部と、識別子と日付印情報とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について入力された帳票の種別と当該帳票に付与された識別子とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について、再度入力された画像データから日付印情報を抽出し、この抽出した日付印情報に基づいて第1の記憶部と第2の記憶部を参照して当該帳票の種別を識別する帳票再識別部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の帳票処理システムのハードウェア構成を示すブロック図
【図2】実施形態の帳票処理システムの機能構成を示すブロック図。
【図3】実施形態の帳票処理システムの帳票認識処理の動作の一例を示すフローチャート。
【図4】実施形態の帳票処理システムに入力される帳票の一例を示す図。
【図5】実施形態の帳票処理システムの日付印情報のイメージ図。
【図6】実施形態に係る日付印情報テーブルのデータ構造の一例を示す図。
【図7】実施形態に係る設定情報テーブルのデータ構造の一例を示す図。
【図8】実施形態の帳票処理システムの帳票認識処理の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の帳票処理システムについて図1乃至図8を参照して説明する。
【0011】
図1は本実施形態の帳票処理システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0012】
帳票処理システム1は、金融機関の営業店それぞれから集められてきた多数の帳票を装填されたホッパ100から、帳票1枚1枚を取り込んで記載事項を読み取って画像データを作成するスキャナ200と、スキャナ200が読み取った帳票の種類の判定と帳票の文字認識とを行うサーバPC300と、文字認識処理が完了した帳票1枚1枚をサーバPC300が判定した種類毎に、ソートポケット400a,400b,400c,400d…にソートするソータ400とを備えている。
【0013】
図2は本実施形態の帳票処理システム1の機能構成の一例を示す図である。帳票処理システム1は、スキャナ100である帳票データ入力部2、サーバPC300である帳票処理サーバ3、設定端末4から構成され、入力された帳票を識別して種類毎にポケット15に排出する帳票識別処理を行う。帳票処理システム1が識別できなかった帳票はオペレータによって種類を設定され、再度帳票処理システム1に入力される。本実施形態における帳票処理システム1は、再入力された帳票を設定された種類に基づいて、帳票の種類毎にポケット15に排出する帳票再識別処理を行う。
【0014】
帳票データ入力部2は、例えばスキャナであり、帳票を走査することによってその帳票の画像データ(以下、帳票データという)を取得し、帳票処理サーバ3に送信する。
【0015】
帳票処理サーバ3は、管理番号付与部5、帳票識別部6、文字認識部9、情報記憶部10、帳票仕分け部19から構成される。なお、これらは図1に示したサーバPC300の処理によって実現される。
【0016】
管理番号付与部5は、帳票データ入力部2から入力された帳票データごとに管理番号を発番する。管理番号は例えば帳票が入力された順番などであり、帳票データの識別子である。
【0017】
帳票識別部6は、日付印情報抽出部7と管理番号検索部8とを備え、帳票データ入力部2から入力された帳票データの種類を識別する。帳票識別部6は、例えば帳票の種類ごとに固有のIDやバーコードを読み取って識別する。もしくは、帳票の罫線の位置や、プレ印字や、タイトルの文字列の位置などの帳票のフォーマットを読み取って、あらかじめ情報記憶部10の帳票識別情報DB11に登録された帳票の種類ごとのフォーマットを参照して識別する。また、帳票識別部6は、帳票の種類を識別できなかった場合に、帳票から再識別情報を抽出する。再識別情報は識別できなかった帳票を再度識別する再識別処理の際に参照する情報である。再識別情報抽出処理及び帳票再識別処理については後述する。
【0018】
日付印情報抽出部7は、帳票データから日付印に関する情報である日付印情報を抽出する。管理番号検索部8は、日付印情報抽出部7が抽出した日付印情報に基づいて、帳票データの識別子である管理番号を特定する。文字認識部9は帳票の文字認識を行う。
【0019】
帳票仕分け部19は、帳票識別部6からの指示に基づいて、識別された帳票を指定ポケット15に入るようソータ400を制御する機能を有する。帳票識別部6が種類を識別できた帳票は、帳票仕分け部19によって種類に応じて指定ポケット15に排出される。帳票識別部6が種類を識別できない帳票は、ソータ400がリジェクトポケット(図示しない)に排出する。
【0020】
情報記憶部10は、帳票識別情報データベース(DB)11と帳票再識別情報DB12とを有し、帳票処理サーバ3に入力された帳票データを識別するための情報を記憶する。
帳票識別情報DB11は、帳票の種類を識別するための帳票識別情報をあらかじめ登録している。帳票再識別情報DB12は識別できなかった帳票を再度識別する際に参照する再識別情報を格納する。
【0021】
設定端末4は、例えばパーソナルコンピュータである。オペレータは、帳票識別部6が識別できなかった帳票の種類を判定し、設定端末4を用いて、判定した種類を入力する。
【0022】
ここで、図3を参照して、金融機関で振込依頼書による国民健康保険の払い込みを処理し、自治体毎に仕分けする場合の帳票処理システム1の帳票識別処理について説明する。図3は本実施形態に係る帳票識別処理の一例を示すフローチャートである。
【0023】
まず、帳票データ入力部2が、対象の帳票をスキャンして帳票データを取得し、帳票処理サーバ3に入力する(ステップS10)。入力される帳票の一例を図4に示す。本実施形態は示すような国民健康保険料の納付書を入力したとする。帳票にはあらかじめ日付印16が押印されている。
【0024】
帳票処理サーバ3に帳票データが入力されると、管理番号付与部5は帳票を識別するための識別子である管理番号を発番する(ステップS11)。
【0025】
続いて帳票識別部6が、帳票識別情報DB11の帳票識別情報に基づいて入力された帳票の種類を識別する(ステップS12)。本実施形態では、入力された帳票から取得した帳票のフォーマットを、帳票識別情報DB11に登録された帳票の種類ごとのフォーマットと照合して入力された帳票の種類を識別する。
【0026】
帳票識別部6が入力された帳票を識別できた場合(ステップS13がYes)、文字認識部9は帳票データの文字認識を行う(ステップS14)。帳票仕分け部19は、識別された種類に基づいて対象の帳票をソータ400の指定ポケット15に排出させ(ステップS15)、帳票識別処理を終了する。
【0027】
帳票識別部6は入力された帳票を識別できなかった場合(ステップS13がNo)、帳票データから帳票の再識別情報を抽出する。具体的には、まず帳票識別部6の日付印抽出部7が帳票データの日付印16から日付印情報を抽出する(ステップS16)。
【0028】
図5に、帳票の日付印情報のイメージ図を示す。本実施形態では、図5に示すように、日付印情報として、領収日付印の枠の左上角を基準とした日付印の中心座標(x、y)、日付印の角度(θ)、及び日付を抽出する。例えば図4及び図5に示す日付印16の日付印情報は、中心座標(40mm、45mm)、日付印の角度15度、日付は「20.12.12」である。
【0029】
なお、日付印の中心座標と角度は、例えばイメージからの円検出や平行線検出を用いて抽出することが可能である。また日付は、角度を補正した後に一般的な文字認識方法を用いて抽出することが可能である。なお、日付印情報は上述した情報以外にも、例えば図4及び図5に示すような銀行名を文字認識した結果を含んでも良い。もしくは図4及び図5には図示していないが、日付印に含まれる支店名や担当者名を文字認識して、その結果を日付印情報としても良い。
【0030】
日付印情報抽出部7は日付印情報を抽出すると、抽出結果の日付印情報を対象の帳票データの管理番号とともに帳票再識別情報DB12の日付印情報テーブル13に登録する(ステップS17)。図6に日付印情報テーブル13のデータ構造17の一例を示す。図6に示すように、日付印情報テーブル13には、管理番号17a、日付印の中心のx座標17b、日付印の中心のy座標17c、角度(θ)17d、日付17eが格納される。
【0031】
帳票仕分け部19は、日付印情報の抽出が行われた帳票を、ソータ400によって帳票の種類毎にリジェクトポケットに排出させ(ステップS18)、帳票識別処理を終了する。
【0032】
ここで、帳票識別部6が帳票の種類を識別できず、ソータ400のリジェクトポケットに排出された帳票は、オペレータによって一枚ずつ確認され、帳票の種類を設定される。具体的には、設定端末4にリジェクトされた帳票の帳票データと管理番号が表示される。オペレータは表示された帳票データを確認して帳票の種類を特定する。オペレータは、特定した帳票の種類を設定端末4を用いて帳票処理サーバ3に入力する。帳票処理サーバ3は、入力された管理番号と帳票の種類を設定情報として帳票再識別情報DB12の設定情報テーブル14に登録する。図7に設定情報テーブル14のデータ構造18の一例を示す。図7に示すように、設定情報テーブル14には、管理番号18a、帳票の種類18bが格納される。この設定情報と上述した日付印情報とを再識別情報とする。
【0033】
オペレータが帳票の種類を設定した帳票は、帳票再識別処理を行う。図8を参照して帳票再識別処理について説明する。
【0034】
図8は本実施形態に係る帳票再識別処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、帳票データ入力部2が、対象の帳票をスキャンして帳票データを取得し、帳票処理サーバ3に入力する(ステップS20)。続いて、日付印情報抽出部7が、入力された帳票データから日付印情報を抽出する(ステップS21)。
【0036】
抽出結果の日付印情報に基づいて、管理番号検索部8は帳票再識別情報DB12の日付印情報テーブル13を検索し、中心座標、角度及び日付が一致もしくは類似する日付印情報の管理番号を抽出する(ステップS22)。日付印情報が類似するかどうかの判定は、例えば中心座標と角度が近く、日付が同じかどうかで行う。なお類似する日付印情報が複数ある場合は、最も中心座標と角度が近い日付印情報の管理番号を抽出する。
【0037】
検索の結果、管理番号が抽出できた場合(ステップS23がYes)、帳票識別部6は、この管理番号に基づいて設定情報テーブル14を検索し、管理番号が一致する設定情報に含まれる帳票の種類を対象の帳票データの種類であるとし、帳票を識別する(ステップS24)。
【0038】
文字認識部9は識別された帳票の文字認識を行う(ステップS25)。帳票仕分け部19は、識別された種類に基づいてソータ400によって種類毎に指定ポケット15に排出させ(ステップS26)、帳票再識別処理を終了する。
【0039】
管理番号が特定できなかった場合(ステップS23がNo)、帳票仕分け部19は、ソータ400に対象の帳票を、リジェクトポケットに排出させる(ステップS27)。そして帳票再識別処理を終了する。この場合、リジェクトポケットに排出された帳票は、オペレータによって、設定端末4から帳票の記載内容が入力され、帳票の種類毎にソータ400の指定ポケット15に人手で仕分けられる。または、これらの帳票は文字認識装置によって文字認識を行われた後、オペレータが帳票の種類毎にソータ400の指定ポケット15に人手で仕分けてもよい。
【0040】
上述したように、本実施形態の帳票処理システム1は、識別子を帳票に印刷すること無く、一度識別不可能と判定された帳票とオペレータが入力した帳票の種類とを対応付けることを可能にする。
【0041】
したがって、帳票処理システム1は、識別子を印刷する際に、印刷する文字やバーコードが帳票の紙面を汚したり、印刷する文字やバーコードが帳票の印刷と重なってしまい、帳票が読み取れないなどの問題がない。
【0042】
また、帳票処理システム1は、紫外線等の特殊な光源で読み取ることができる透明インクで印字した識別子が、帳票の用紙に含まれる蛍光増白剤等が紫外線により発光してしまい用紙と透明インクのコントラストが低下してしまうため認識できないという問題も解決できる。
【0043】
したがって、帳票処理システム1は、帳票識別処理を効率化することができる。また、帳票識別処理の識別精度を向上できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態では、日付印情報として、中心座標、角度、日付を用いたが、この限りではない。例えば、日付印の色を用いてもよい。また、上述の実施形態では、中心座標の原点を領収日付印の枠の左上角としたが、帳票の左上角などでもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…帳票処理システム、2…帳票データ入力部、3…帳票処理サーバ、4…設定端末、5…管理番号付与部、6…帳票識別部、7…日付印情報抽出部、8…管理番号検索部、9…文字認識部、10…情報記憶部、19…帳票仕分け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票の画像データを入力する帳票データ入力部と、
前記画像データに識別子を付与する識別子付与部と、
前記画像データに基づいて前記帳票の種別を識別する帳票種別識別部と、
前記画像データから日付印情報を抽出する日付印情報抽出部と、
前記識別子と前記日付印情報とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について入力された帳票の種別と当該帳票に付与された識別子とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、
前記帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について、再度入力された画像データから日付印情報を抽出し、この抽出した日付印情報に基づいて前記第1の記憶部と前記第2の記憶部を参照して当該帳票の種別を識別する帳票再識別部と、
を備える帳票処理システム。
【請求項2】
前記日付印情報は、前記日付印の中心座標と角度と日付である請求項1に記載の帳票処理システム。
【請求項3】
帳票の画像データを入力するステップと、
前帳票の識別子を付与するステップと、
前記画像データに基づいて前記帳票の種別を識別するステップと、
前記画像データから日付印情報を抽出するステップと、
前記識別子と前記日付印情報とを対応付けて第1の記憶部に記憶するステップと、
前記帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について入力された帳票の種別と当該帳票に付与された識別子とを対応付けて第2の記憶部に記憶するステップと、
前記帳票種別識別部で種別が識別できなかった帳票について、再度入力された画像データから日付印情報を抽出し、この抽出した日付印情報に基づいて前記第1の記憶部と前記第2の記憶部を参照して当該帳票の種別を識別するステップと、
を備える帳票処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−218890(P2012−218890A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86714(P2011−86714)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】