説明

常温収縮型ゴムユニット

【課題】現場での施工が容易で、高圧電力ケーブルの接続部に適用することができる常温収縮型ゴムユニットを提供すること。
【解決手段】ケーブル接続部に取り付けたとき、ケーブル絶縁体との接触面の面圧が0.67kgf/cm2 以上となるように形成したゴムユニットを予め工場で拡径保持部材上に拡径支持し、現場で拡径保持部材を取り除き、ゴムユニットを超高圧電力ケーブルに装着する。ゴムユニットの初期嵌合面圧を上記値以上とすることにより、30年使用してもほぼ0.4kgf/cm2 程度以上の嵌合面圧を確保することができ、必要な電気的性能、防水性能を確保することができる。また、現場で拡径保持部材を取り除き高圧電力ケーブルの接続部に装着するようにしたので、現場での施工が容易となり、異物を巻き込んだまま接続作業が行われる危険性も回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル等の電力ケーブル接続部の絶縁等に用いられる常温収縮型ゴムユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧CVケーブル用中間接続部には、押出モールド型、プレハブ型、テープ巻きモールド型、テープ巻き型と様々な種類の構造が適用されている。これらに加えて、近年、ゴムモールド技術の著しい進歩により、施工性に優れたワンピースのゴムブロック型ジョイント(RBJ)が開発され、この適用が急速に拡大しつつある。現在のゴムブロック型ジョイントの主流はエチレンプロピレンゴム(EPR)製である(例えば特許文献1参照)。 上記したゴムブロック型ジョイントを用いて、例えば66kV以上の高圧電力ケーブル(以下、必要に応じてケーブルと略記する)を接続する際には、現場にて接続部分にゴムユニットを装着して接続部を形成する現場施工方式が用いられていた。
【特許文献1】国際公開第97/08801号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来方式は現場にて施工を行うため、施工にかなり時間がかかり、また施工のための作業スペースを確保する必要もあった。
また、現場にて施工を行う場合、ゴムユニット内に入り込む異物等の管理を充分に行うことができず、異物を巻き込んだまま接続作業が行われる危険性があった。
一方、現場での施工を容易にするため、予め工場でゴムユニットを拡径保持部材により拡径しておき、現場で拡径されたゴムユニットから拡径保持部材を除去することによりゴムユニットをケーブル接続部に装着する方法が知られている。 しかし、従来から使用されていたこの種のゴムユニットは、電圧階級の低いケーブルに適用されるものであって、66kV以上の高圧電力ケーブルに使用できるものは実用化されていなかった。
【0004】
本発明は上記した問題点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、現場での施工が容易で、66kV以上の高圧電力ケーブルの接続部に適用することができる常温収縮型ゴムユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
近年、高耐熱、低応力緩和(永久伸びが小)、低硬度等、多くの点でエチレンプロピレンゴム(EPR)より優れているシリコーンゴム(SiR)の機械的特性の向上はめざましいものがある。
シリコーンゴムは、長い間、引き裂き力が低いという問題点を抱えていたが、近年の技術的な進歩に伴い、高い引き裂き力を有するシリコーンゴムが開発されるに至った。そこで、本発明者らは、このシリコーンゴムの可能性に着目し、高圧電力ケーブル用工場拡径方式の常温収縮型ゴムユニットの適用について検討した。
【0006】
その結果、シリコーンゴムは、その温度特性、弾性率、永久伸び特性の物性面において、前記したエチレンプロピレンゴム(EPR)と比較して優れた特性を有し、特に、永久伸び特性において、工場拡径方式の常温収縮型ゴムユニットに適用する上で優れた特性を有することがわかった。また、シリコーンゴムは加硫前は液状であり、成形性についても上記EPRと比較して極めて優れている。
一方、実験等によれば、ゴムユニットの絶縁部分の嵌合面圧として0.4kgf/cm2 以上確保できれば、高圧電力ケーブルに必要な絶縁性能を確保できることが確認された。また、嵌合面圧として0.4kgf/cm2 あれば、防水性能を確保することもできる。
一般に、ゴムユニットをケーブルに装着後、ゴムユニットとケーブル間の嵌合面圧は時間とともに低下していく。シリコーンゴムを使用した場合、実験結果に基づく試算によれば、想定される導体温度(90°C連続)、最も厳しい使用条件下では、30年経過後には嵌合面圧の低下は40%以下となり、初期嵌合面圧の60%以上となることがわかった。したがって、30年後の面圧を0.4kgf/cm2 以上とするためには、初期嵌合面圧として0.67kgf/cm2 以上を確保できればよい。
前記したシリコーンゴムを用いれば、上記初期嵌合面圧0.67kgf/cm2 を確保することができ、かつ、30年経過しても上記0.4kgf/cm2 程度の嵌合面圧を確保できる。
【0007】
以上に基づき、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
(1)ケーブル接続部に取り付けたとき、ケーブル絶縁体との接触面の面圧が0.67kgf/cm2 以上となるように形成したゴムユニットを予め工場で拡径保持部材上に拡径支持し、現場で拡径保持部材を取り除きゴムユニットを高圧電力ケーブルに装着する。
(2)上記ゴムユニットを、ケーブル絶縁体との接触面の面圧の低下率が、使用30年間で40%以下であるシリコーンゴムで形成する。
本発明においては、高圧電力ケーブルの接続作業において、ゴムユニットを予め工場で拡径保持部材上に拡径支持し、現場で拡径保持部材を取り除き高圧電力ケーブルの接続部に装着するようにしたので、現場での施工が容易となり、異物を巻き込んだまま接続作業が行われる危険性も回避することができる。特に、ゴムユニットの初期嵌合面圧を0.67kgf/cm2 以上となるようにしたので、30年使用してもほぼ0.4kgf/cm2 程度の嵌合面圧を確保することができ、必要な絶縁性能および防水性能を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明においては、初期嵌合面圧が0.67kgf/cm2 以上となるよう形成したゴムユニットを、予め工場で拡径保持部材上に拡径支持し、現場で拡径保持部材を取り除き高圧電力ケーブルの接続部に装着するようにしたので、30年近く使用してもほぼ0.4kgf/cm2 程度の嵌合面圧を確保することができ、高圧電力ケーブルにおける必要な電気的性能および防水性能を確保することができる。また、現場での施工が容易となり、異物を巻き込んだまま接続作業が行われる危険性も回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施例の高圧電力ケーブル用常温収縮型ゴムユニット1(素管)の構成を示す図である。ゴムユニット1は略円筒形状であり、内部半導電層1aと、絶縁層1bと、外部半導電層1cから構成されている。ゴムユニット1はシリコンゴムを主体とする弾性部材で形成され、半導電層1a,1cにはカーボン等が混入され半導電性が付与されている。
ゴムユニット1の内径は、装着されるケーブル外形より小さく形成され、ゴムユニットをケーブルに装着したときの嵌合面圧は、ゴムユニット1を拡径することにより生ずる弾性により確保される。
【0010】
図2は拡径保持部材によりゴムユニット1を拡径支持した状態を示す図である。同図において、2は拡径支持部材であり、ゴムユニット1は、予め工場において、同図に示すように拡径支持部材2上に拡径支持され、図2に示す状態で施工現場に運ばれる。
拡径支持部材2の内径は、装着するケーブルの外径より大きく形成されており、拡径支持部材2内にケーブルを挿入した際、拡径支持部材2はケーブル上を移動できる。
また、拡径支持部材2内にケーブルを挿入してゴムユニット1をケーブル接続部上に位置させたとき、拡径支持部材2がゴムユニット1から容易に引き抜けるようにするため、拡径支持部材2を例えば摩擦係数の小さな材料で構成したり、拡径支持部材2の表面に潤滑材等を塗布したり、また、拡径支持部材2とゴムユニット1の間に低摩擦係数材料を介在させたり、あるいは拡径支持部材2を解体して除去できるようにしておいてもよい。
【0011】
図3はゴムユニット1をケーブル接続部に装着した状態を示す図である。
同図において、3はケーブル、3aはケーブル絶縁体、3bはケーブル導体、4は導体接続管である。
ゴムユニット1を図3に示すようにケーブル接続部に装着するには、図2に示すように拡径支持部材2上に支持されたゴムユニット1内にケーブルを挿入したのち、接続される2本のケーブルのケーブル導体3bを導体接続管4で接続して接続部を形成する。ついで、拡径支持部材2上に支持されたゴムユニット1をケーブル接続部上に位置させ、拡径支持部材2を抜き取る。これにより、ゴムユニット1が縮径し、ゴムユニット1がケーブル接続部上に装着される。
【0012】
本実施例の高圧ケーブル用常温収縮型ゴムユニットに適用したシリコーンゴムの物性値を、従来のエチレンプロピレンゴム(EPR)との比較を合わせて、表1に示す。
【0013】
【表1】

【0014】
表1に示すように、本実施例で使用したシリコーンゴムは、上記EPRと較べて硬度が小さいが、引き裂き強さおよび永久伸び特性において優れており、特に永久伸び特性は、100%伸長させたときEPRでは32.4%までしか戻らないのに対し、本実施例で使用したシリコーンゴムでは2.6%まで戻り、永久伸び特性において極めて優れた特性を示している。
本実施例で使用したシリコーンゴムは上記した永久伸び特性を備えているので、上記シリコーンゴムから形成されるゴムユニットを工場で予め拡径して保管しておいても、現場で電力ケーブルに装着したときゴムユニットの径を、ほぼ拡径前の状態に戻すことができる。このため、工場拡径方式のゴムユニットに適用しても、必要な初期嵌合面圧を確保することが可能である。
【0015】
本実施例で使用したシリコーンゴムが、高圧電力ケーブルのゴムユニットに適用するに必要な耐電圧特性を備えているかを調べた。
シリコーンゴムの耐電圧特性を調べるため、図4に示す構造のリセスシートを用いた。同図(a)(b)において、11は高圧側電極、12はエポキシ樹脂、13は本実施例で使用したシリコーンゴムであり、シリコーンゴム13には同図(b)の拡大図を示すように半導電ゴム13a,13bが上面と下面に接着されており、絶縁体部分の厚さは150μm〜200μmである。
上記シリコーンゴム13を図4に示すようにオイル中に設置し、シリコーンゴム13の下面にアース電極14を接触させ、高圧電極11、アース電極14間にAC電圧、インパルス(Imp)電圧を印加してシリコーンゴムの電気的特性を調べた。試験条件は次の通りである。
【0016】
(1) AC破壊試験
開始電圧 :6kV/10分
ステップ電圧:1kV/10分
測定温度 :室温、90°C、105°C
測定試料数 :各温度n=5
すなわち、上記各測定温度において、開始電圧を6kVとしてAC電圧を印加し、10分毎に1kVずつ電圧をステップ状に上昇させ、シリコーンゴムが絶縁破壊するAC破壊ストレス(kV/mm)と温度依存性を調べた。
(2) インパルス(Imp)破壊試験
開始電圧 :+または− 14kV/3回
ステップ電圧:+または− 1kV/3回
測定温度 :室温、90°C
測定試料数 :各温度n=5
すなわち、上記各測定温度において、開始電圧を+または−14kVとして、+または−1kVずつ電圧を上昇/下降させながら、インパルス電圧を各電圧について3回印加して、シリコーンゴムが絶縁破壊するImp破壊ストレス(kV/mm)を調べた。
【0017】
図5、図6に上記試験結果を示す。図5は上記(1) の破壊試験の結果、図6は上記(2) の破壊試験の結果であり、横軸は温度(°C)、縦軸はそれぞれAC破壊ストレス(kV/mm)、Imp破壊ストレス(kV/mm)である。なお、図5、図6において、同図中の縦棒で示した範囲内に破壊した試料がプロットされた。また、図6において、丸印は前記した高圧側電極11に正電圧を印加した場合の破壊ストレスを示し、三角印は前記した高圧側電極11に負電圧を印加した場合の破壊ストレスを示している。
【0018】
図5に示すように、AC破壊試験においては105°Cまでの範囲において、シリコーンゴムのAC破壊ストレスに温度依存性はほとんど見られなかった。
また、図6に示すように、Imp破壊試験においては、Imp破壊ストレスに極性による違いはほとんどみられなかった。しかしながら、AC破壊試験では見られなかった温度依存性が正負いずれの極性においても確認された。但し、温度係数(図6において室温における破壊ストレスの平均値をA、90°Cにおける破壊ストレスの平均値をBとしたとき、A/B)は、いずれも1.1と小さかった。
【0019】
次に、上記シリコーンゴムの寿命検証試験を行った。
寿命検証試験(V−t試験)は、前記図4に示した構造の試験装置を用い、課電時間(分)を変えて、シリコーンゴムが破壊する課電ストレス(kV/mm)を求めた。
図7に上記試験結果を示す。同図において、横軸は時間(分)、縦軸は課電ストレス(kV/mm)であり、同図の黒丸は試料が破壊したときの時間(分)、課電ストレスをプロットしたものであり、また、白丸は破壊しなかった試料を示している。また、同図の実線は寿命指数n=17の直線を示している。
ここで、一般に電気絶縁材料の寿命に関して、以下の式(1)で整理できることが知られている。なお、Vは課電電圧、tは課電時間、nは上記寿命指数と呼ばれ試料の長期課電特性である寿命指数を示すパラメータであり、通常nが15以上であれば、長期使用に耐えることができると言われている。
【0020】
n ・t=一定 (1)
図7から明らかなように、本実施例で使用したシリコーンゴムの寿命指数nは15以上であり、長期特性を有することが確認された。
以上の試験により、本実施例で使用したシリコーンゴムが高圧用CVケーブルの付属品材料として充分な耐電圧特性、長期特性を有することが確認された。
【0021】
次に、上記シリコーンゴムを用いた高圧ケーブル用常温収縮型ゴムユニットと電力ケーブルとの接触面の面圧と破壊ストレスに関係について検討した。
上記構成のゴムユニットの各部位におけるストレスとしては、前記図3に示す次の各部位である。
(1) 内導電極平坦部ストレス:τ1
(2) 内導電極先端部ストレス:τ2
(3) 界面沿層ストレス :τ3
(4) 界面立ち上がりストレス:τ4
これらの部位におけるストレス・バランスを考慮して電界解析によりゴムユニットの最適形状を決定したが、これらの部位の内、最もクリティカルな部分は、上記(2) のτ2、(4) のτ4である。
【0022】
そこで、上記τ2、τ4について、界面モデル試料を用いて嵌合面圧に対する破壊ストレスを調べた。その結果、シリコーンゴムを用いたゴムユニットでは、嵌合面圧を0.4kg/cm2 以上とすれば必要十分な耐圧特性が得られることが分かった。
次に、本実施例で使用したシリコーンゴムで形成されたゴムユニットについて、ケーブル装着時の嵌合面圧の低下率を調べた。その結果、嵌合面圧の低下は、6ヶ月経過しても見られなかった。さらに、想定される最も厳しい使用条件下(導体温度90°Cで30年間使用)での、30年経過したときの面圧を試算したところ、面圧低下は初期面圧に対して40%以内であり、60%以上になることが分かった。
【0023】
図8はケーブル絶縁体表面とゴムユニット内面の界面における面圧設計の概念図である。同図に示すように、ゴムユニットを拡径部材で拡径した拡径状態で2年間保管しておくと面圧は約40%低下する。また、上記拡径状態で保管したゴムユニットをケーブルに装着すると、時間の経過とともにケーブル絶縁体表面とゴムユニット内面の界面面圧は低下していき、約30年使用することを想定すると面圧は、上記したように更に約40%低下し、ケーブル装着時の初期嵌合面圧に対して約60%になる。
【0024】
本実施例においては、上記面圧の変化を考慮して、ゴムユニット1の締めばめ率〔(ケーブル装着時のゴムユニットの内径−素管状態のゴムユニット1の内径)/(ケーブル装着時のゴムユニットの内径)〕と、ゴムユニット1の材質等を適宜選定し、ケーブル絶縁体3aとゴムユニット1の絶縁層1bと間の初期嵌合面圧(ケーブル装着時)が、0.67kgf/cm2 となるようにした。これにより、前記したように、30年経過後であっても、0.4kgf/cm2 の面圧を確保することができ、絶縁性能を確保することができるともに、防水性能を確保することができた。
【0025】
次に、本発明を110kVの高圧電力ケーブルの接続部の絶縁に適用した場合の具体例について説明する。
本発明を適用したケーブルの絶縁体外径は59mmであり、これに対し素管状態のゴムユニットの内径を41.3mm、外径を154.0mmとした。締めばめ直径差は17.7mm(=59−41.3)であり、締めばめ率は30%である。ゴムユニットの材質は前記したシリコーンゴムであり、ポアソン比は0.48、縦弾性係数は6.5である。また、上記ゴムユニットをケーブル接続部に装着した後のゴムユニットの外径は159.7mmであった。
【0026】
上記ゴムユニットをケーブルに装着したのち、ゴムユニット内部に埋め込んだ面圧センサにより初期嵌合面圧を測定した。その結果、ケーブル絶縁体とゴムユニットの絶縁層と間(図3のA部分)の嵌合面圧は、1.70kgf/cm2 であった。
次に、上記ゴムユニットを拡径保持部材上に保持した状態でヒートサイクルを繰り返す加速試験を行い、拡径した状態で2年間保管した場合の面圧変化を調べた。
その結果、ゴムユニットを拡径保持部材上に保持した状態で2年間保管したのち、ケーブル上に装着した場合の前記A部分の嵌合面圧は0.93kgf/cm2 であった。
【0027】
一方、30年経過した後の嵌合面圧の低下を試算したところ、前記したように、30年経過後には、嵌合面圧はほぼ40%低下し、初期嵌合面圧の60%となることがわかった。
したがって、初期嵌合面圧が0.93kgf/cm2 の場合、30年後の面圧は0.56kgf/cm2 となり、前記した0.4kgf/cm2 以上を十分確保できることが確認された。
以上のことから、ゴムユニットを上記構成とすれば、拡径した状態で2年間保管したのちケーブルに装着しても、必要な嵌合面圧を確保できることが確認された。
【0028】
一方、嵌合面圧を0.4kgf/cm2 としたときの電気的性能を調べた。
実験では、内径がφ28.1mmゴムユニットを次の3種類のケーブルに装着し、AC破壊試験、インパルス電圧破壊試験を行った。
(1) ケーブル絶縁外径:φ31mm(22kVケーブル200sq)
嵌合面圧:0.4kgf/cm2
(2) ケーブル絶縁外径:φ33mm(22kVケーブル250sq)
嵌合面圧:0.69kgf/cm2
(3) ケーブル絶縁外径:φ40mm(66kVケーブル400sq)
嵌合面圧:1.7kgf/cm2
【0029】
その結果、それぞれの破壊値より得られた電気的ストレスが、所望の電気的性能を確保することが可能な設計ストレスを満足することが確認され、嵌合面圧が0.4kgf/cm2 であれば、電気的絶縁性能を充分確保できることがわかった。なお、ケーブルとゴムユニットの間の気密を保持するためにも嵌合面圧として0.4kgf/cm2 程度が必要であり、これより嵌合面圧が小さくなると防水性能の面でも問題がでてくる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例のゴムユニット(素管)の構成を示す図である。
【図2】図1のゴムユニットを拡径支持部材上に拡径支持した状態を示す図である。
【図3】図1のゴムユニットをケーブル接続部に装着した状態を示す図である。
【図4】シリコーンゴムの耐電圧特性を調べるために用いたリセスシートを示す図である。
【図5】本発明の実施例のシリコーンゴムのAC破壊試験結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例のシリコーンゴムのImp破壊試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例のシリコーンゴムの寿命検証試験(V−t試験)を示す図である。
【図8】ケーブル絶縁体表面とゴムユニット内面の界面における面圧設計の概念図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ゴムユニット
1a 内部半導電層
1b 絶縁層
1c 外部半導電層
2 拡径支持部材
3 ケーブル
3a ケーブル導体
3b ケーブル絶縁体
4 導体接続管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め工場で拡径保持部材上に拡径支持された高圧用電力ケーブルに使用される常温収縮型ゴムユニットであって、
ケーブル接続部に取り付けたとき、ケーブル絶縁体との接触面の面圧が0.67kgf/cm2 以上となるように形成した
ことを特徴とする常温収縮型ゴムユニット。
【請求項2】
常温収縮型ゴムユニットは、ケーブル絶縁体との接触面の面圧の低下率が、使用30年間で40%以下であるシリコーンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1の常温収縮型ゴムユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−320197(P2006−320197A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213062(P2006−213062)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【分割の表示】特願平11−176359の分割
【原出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】