説明

幅寄せ装置、パレタイズ搬送システムおよびパレタイジング方法

【課題】小型且つ低コストの幅寄せ装置を提供し、全体の作業効率についても向上させる。また、上記幅寄せ装置を用いたパレタイズ搬送システムやパレタイジング方法を提供する。
【解決手段】本発明の幅寄せ装置1を、パレタイジングロボット103によってパレット2上に隙間をあけて載置された複数のワークを、整列面3a,4aを有する幅寄せ体3,4を水平方向に移動させて該整列面3a,4aを押し付けることで、該パレット2上にて密着整列させる幅寄せ装置とする。上記幅寄せ体3,4は、互いの整列面3a,4aが直交方向をむくように一対配置する。そして、一方の幅寄せ体3をその整列面3aの向きに移動させるとともに他方の幅寄せ体4をその整列面4aの向きに移動させる水平駆動機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上に載置した複数のワークを幅寄せして密着配置させるための幅寄せ装置、該幅寄せ装置を用いたパレタイズ搬送システムおよびパレタイジング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等において、複数のワークを一まとめに搬送しようとする場合、パレタイジングロボットを用いて、所定箇所のパレット上に複数のワークを順次載置してゆき、載置が完了したパレットごと、そのままコンベアで搬送することが行われる(特許文献1等を参照)。
【0003】
ところで、パレット上に複数のワークを順次載置していくに際して、パレット上に載置した段階で、隣接するワーク同士を隙間なく密着配置させることは困難である。そのため、隣接するワーク間に一定の隙間を確保しながらパレット上に載置していくことが一般的である。また、特にパレタイジングロボットが、両側からワーク下端に爪部を差し入れて把持するような構造である場合には、載置後に爪部を引き出すための隙間も必要となる。そして、パレット上にて確保するこれらワーク間の隙間が、搬送時の荷崩れの原因となる。
【0004】
これに対して、従来は上記荷崩れを防止するための手段として、ワークを載置したパレットをコンベアで作業エリア外まで搬送した後に、作業エリア外に設置してある専用の幅寄せ装置を用いて、パレット上のワークの幅寄せ作業を行っていた。
【0005】
この従来の幅寄せ装置は、パレットを90°回転させる回転機構と、コンベアおよびパレットを挟む両側位置に配置される一対の幅寄せ板と、一対の幅寄せ板を近接離間させる駆動機構とから成る、非常に大型の装置である。この装置にあっては、作業エリア外に搬送されてきたパレット上のワーク全体に、大型の幅寄せ板を両側から押し当てることで、まず一方向の幅寄せをする。次いで、回転機構でパレットごと90°回転させたうえで、再び両側から一対の幅寄せ板を押し当てることで、一方向とは直交する他方向の幅寄せを行う。上記幅寄せによって、隣接するワーク間の隙間を詰めて、荷崩れを防止する。
【0006】
しかし、上記した従来の幅寄せ装置は、大型の回転機構や駆動装置が必要であるため、製造コストが高くなるとともに、幅寄せ作業を行うためだけに専用の大きな設置スペースが必要になるという問題がある。
【0007】
特に、大量に載置したワークの全てをパレット上で一気に幅寄せする構造であるため、幅寄せ板としても非常に大型の金属板が必要となり、また、回転機構や駆動機構も大型で大出力の機構が必要となるという問題がある。また、パレット上にワークを順次載置していくための時間とは別に、幅寄せ装置を駆動してワーク同士を密着させるための時間が必要となり、全体として作業効率が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−126668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、専用の大きな設置スペースが不要である小型且つ低コストの幅寄せ装置を提供し、全体の作業効率についても向上させることを課題とする。そして、上記幅寄せ装置を用いた効率的なパレタイズ搬送システムやパレタイジング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の幅寄せ装置1を、パレタイジングロボット103によってパレット2上に隙間をあけて載置された複数のワークWを、整列面3a,4aを有する幅寄せ体3,4を水平方向に移動させて該整列面3a,4aを押し付けることで、該パレット2上にて密着整列させる幅寄せ装置1とする。上記幅寄せ体3,4は、互いの整列面3a,4aが直交方向をむくように一対配置する。そして、一方の幅寄せ体3をその整列面3aの向きに移動させるとともに他方の幅寄せ体4をその整列面4aの向きに移動させる水平駆動機構を備える。
【0011】
上記幅寄せ装置1によれば、一対の幅寄せ体3,4を所定箇所のパレット2に近接配置しておけば、該パレット2上にワークWが載置された後に一対の幅寄せ体3,4を前進させ、整列面3a,4aでワークWを押し出すようにすることで、該パレット2上の複数のワークWを、その所定個所にて速やかに密着整列させることができる。そのため、従来のような複雑で大型の構造が必要でなく、製造コストが低くて済むとともに、幅寄せ作業を行うためだけに専用の大きな設置スペースも必要でない。また、パレット2上へのワークWの載置が完了した直後に幅寄せ作業についても完了させることができるので、全体としての作業効率が低下することもない。
【0012】
さらに、本発明の幅寄せ装置1においては、上記一対の幅寄せ体3,4をパレット2に対して昇降させる昇降機構を備えていることが好ましい。上記昇降機構を備えることで、所定箇所のパレット2上にてワークWを複数段積層させる場合に、下段部のワークWを載置した段階でまずその下段部のワークWの幅寄せを行い、次いで、幅寄せ後のワークW上に載置した上段部のワークWを幅寄せするといったように、各段で幅寄せ作業を完了させておくことができる。そのため、各幅寄せ体3,4として大型の部材が必要でなくなり、また、各幅寄せ体3,4を進退駆動させるための水平駆動機構もコンパクト化することができ、結果として装置全体が小型化、低コスト化される。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明のパレタイズ搬送システム100を、所定のパレット設置箇所P2にあるパレット2上に複数のワークWを密着配列させ、該密着配列が完了したパレット2を搬送するパレタイズ搬送システムとする。上記パレタイズ搬送システム100では、ワークWの密着整列が完了したパレット2を所定の搬送方向へと搬送するパレット搬送コンベア102を備え、さらに、上記幅寄せ装置1の一方の幅寄せ体3は、パレット設置箇所P2に対してパレット搬送コンベア102の搬送方向とは反対側に配置し、他方の幅寄せ体4は、パレット設置箇所P2に対してパレタイジングロボット103とは反対側に配置する。
【0014】
上記パレタイズ搬送システム100によれば、パレタイジングロボット103によりパレット2上にワークWを速やかに載置してゆき、該パレット2上でそのまま幅寄せをしてワークWの密着配置を完了したうえで、速やかに外部搬送することのできるシステムを、所定の作業エリア内にコンパクトに形成することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明のパレタイジング方法を、上記幅寄せ装置1を用いてパレット2上に複数のワークWを段積み密着整列させるパレタイジング方法とする。上記パレタイジング方法では、パレタイジングロボット103によって水平方向に隙間をあけて複数のワークWをマトリクス状に載置し、一方の幅寄せ体3を駆動させてワークWの一方向の幅寄せを行い、他方の幅寄せ体4を駆動させてワークWの他方向の幅寄せを行うことで、下段部の密着整列を完了する。次いで、一対の幅寄せ体3,4を上昇させたうえで、密着整列した下段部の複数のワークW上にて、パレタイジングロボット103によって水平方向に隙間をあけて複数のワークWをマトリクス状に載置し、一方の幅寄せ体3を駆動させてワークWの一方向の幅寄せを行うとともに、他方の幅寄せ体4を駆動させてワークWの他方向の幅寄せを行うことで、上段部の密着整列を完了する。
【0016】
上記パレタイジング方法によれば、パレット2上にてワークWを複数段積層させるに際して、各段で幅寄せ作業を完了させてゆき、パレット2上へのワークWの積層が完了した直後には、全体の幅寄せ作業も迅速に完了させることができる。そのため、全体としての作業効率を低下させることなく、効果的に荷崩れを防止することができる。また、このために用いる各幅寄せ体3,4や水平駆動機構についても、従来のような複雑で大型の構造が必要でない。そのため、装置に要するコストが低くて済むとともに、幅寄せ作業を行うためだけに専用の大きな設置スペースも必要でないという利点がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、専用の大きな設置スペースが不要な小型且つ低コストの構造により、全体の作業効率を低下させることなく荷崩れを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における一例の幅寄せ装置を用いたパレタイズ搬送システムを示す平面図である。
【図2】同上の幅寄せ装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図3】同上の幅寄せ装置の斜視図である。
【図4】同上の幅寄せ装置によるワーク幅寄せ手順の説明図であり、(a)〜(c)は下段のワーク幅寄せ、(d)〜(f)は上段のワーク幅寄せを、それぞれ順に示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における一例の幅寄せ装置1を用いて構成したパレタイズ搬送システム100を示している。以下においては、パレタイズ搬送システム100の全体構成についてまず説明する。
【0020】
図1中ではワークWの図示を省略しているが、ここで配列するワークWとしては適宜のものが選択可能である。なお、ワークWとしてはパレット2上に密着状態で積層可能なブロック状のもの(例えば、折畳み状態で積層したダンボールを結束させたもの)であることが好ましい。
【0021】
パレタイズ搬送システム100には、ワーク搬送コンベア101と、パレット搬送コンベア102とを備えている。
【0022】
ワーク搬送コンベア101は、作業エリアA外から作業エリアA内にある所定のワーク搬送箇所P1にまで、多数のワークWを順次搬送していくものである。パレット搬送コンベア102は、作業エリアA内にある所定のパレット設置箇所P2から作業エリアA外にまで、パレット2を順次搬送していくものである。
【0023】
また、パレタイズ搬送システム100には、パレタイジングロボット103と、パレット供給装置104とを備えている。
【0024】
パレタイジングロボット103は、床面上に設置される基台部103aと、基台部103aから延設されるアーム部103bと、アーム部103bの先端に支持されるハンド部103cとから成る。このパレタイジングロボット103は、パレット搬送コンベア102によってワーク搬送箇所P1にまで搬送されたワークWを、ハンド部103cにて把持したうえで、パレット設置箇所P2に配置されるパレット2上にまで順次搬送する。そして、パレット2上にてハンド部103cによる把持を解除することで、ワークWを、パレット2上にマトリクス状に配列させていく。
【0025】
パレット供給装置104は、ワークWが配置される前段階の空のパレット2を、パレット設置箇所P2にまで順次供給するものである。
【0026】
そして、一例の幅寄せ装置1は、互いに直交方向に伸びる一対の棒状の幅寄せ体3,4を有するものであり、パレット設置箇所P2に近接して設置してある。一対の幅寄せ体3,4は、平面視L字状を成すように直交配置され、互いのパレット2側をむく側面が、パレット2上のワークWに押し当てるための平坦な整列面3a,4aとなっている。
【0027】
より具体的には、一方の幅寄せ体3を、パレット設置箇所P2に対して、パレット搬送コンベア102の搬送方向(図1中の矢印a方向)とは反対側に配置している。他方の幅寄せ体4は、パレット設置箇所P2(つまり、該位置P2に配置されるパレット2)に対して、パレタイジングロボット103が位置する側とは反対側に配置している。
【0028】
L字状に配置される一対の幅寄せ体3,4は互いに連結されて幅寄せブロック5を形成しており、本体フレーム6に設けた後述の昇降機構によって、ブロック全体が昇降自在に支持されている。幅寄せブロック5が有する各幅寄せ体3,4は、同じく後述の水平駆動機構によって、所定方向に進退駆動される。
【0029】
両幅寄せ体3,4の進退方向は、整列面3a,4aがパレット設置箇所P2に対して近接離間する方向であり、互いの進退方向が水平面上で直交するように設定している。
【0030】
パレタイズ搬送システム100のこれらワーク搬送箇所P1、パレタイジングロボット103、パレット設置箇所P2、幅寄せ装置1等は、安全柵105によって覆われている。この安全柵105で覆われるエリアが、パレタイジング作業を行う作業エリアAとなる。この作業エリアA外に、制御盤106を配置している。
【0031】
以下、一例の幅寄せ装置1の更に具体的な構造について、図2、図3に基づいて説明する。図2中に点線で示す幅寄せブロック5は、ブロック全体を最上位にまで上昇させるとともに、両幅寄せ体3,4をそれぞれパレット2側に前進させた状態である。
【0032】
また、図中に示すX方向は、パレット搬送コンベア102によるパレット2の搬送方向であり、つまりは一方の幅寄せ体3の前進方向である。図中のY方向は、パレット設置箇所P2に対してパレタイジングロボット103が位置する方向であり、つまりは他方の幅寄せ体4の前進方向である。図中のZ方向は上下方向である。
【0033】
以下においては、区別のために一方の幅寄せ体3を「X軸幅寄せ体3」といい、他方の幅寄せ体4を「Y軸幅寄せ体4」という。
【0034】
幅寄せ装置1の本体フレーム6は矩形枠状の構造であり、X軸方向に距離をあけて床面上に立設される柱状のベースフレーム10と、両ベースフレーム10の上端部同士をつなぐ上部サポートフレーム11と、両ベースフレーム10の下端部同士をつなぐ下部サポートフレーム12とから成る。
【0035】
各ベースフレーム10の上下端部には、プーリ(図示せず)を回動自在に配置しており、上下のプーリ間に、一巻きのローラーチェーンである昇降チェーン13(図2中の一点鎖線)を架け渡している。幅寄せブロック5は、各ベースフレーム10にて上下から昇降チェーン13に連結固定させることで、その上下位置に支持させている。両ベースフレーム10の下端部のプーリ同士は、昇降シャフト14によって連結させている。昇降シャフト14は、下部サポートフレーム12上に設置固定した昇降モータ15によって、伝達チェーン16を介して正逆回転自在に設けている。
【0036】
つまり、昇降モータ15で昇降シャフト14を回転させることで、昇降チェーン13および昇降シャフト14を介して、幅寄せブロック5の上下位置を変更できる。これらの機構が、幅寄せブロック5全体を昇降自在に支持する昇降機構となっている。なお、幅寄せブロック5のZ軸方向の移動は、各ベースフレーム10に設けた直動ガイド(図示せず)によってガイドされる。
【0037】
上記幅寄せブロック5は、昇降機構によって昇降自在に支持される昇降フレーム20と、昇降フレーム20に対してY軸方向に進退自在に連結されるY軸幅寄せ体4と、このY軸幅寄せ体4に対してX軸方向に進退自在に連結されるX軸幅寄せ体3とを備えている。
【0038】
棒状であるY軸幅寄せ体4の両端部からは、Y軸方向の後退側にむけて移動アーム21をそれぞれ延設している。昇降フレーム20は、両移動アーム21をY軸方向にスライド自在に保持しており、この支持機構によって、Y軸幅寄せ体4は昇降フレーム20に対してY軸方向にスライド自在に連結されている。
【0039】
また、棒状であるX軸幅寄せ体3の基端部(Y軸方向の後退側の端部)は、連結支持部22を介して、同じく棒状であるY軸寄せ体4に対してX軸方向にスライド自在に連結されている。
【0040】
そして、Y軸幅寄せ体4をY軸方向に進退させる駆動機構は、その周方向の一部をY軸幅寄せ体4の連結片7に固定したY軸歯付ベルト23と、昇降フレーム20側に固定したY軸駆動モータ24とを、動力伝達自在に噛み合わせることで構成している(図2(a)参照)。
【0041】
また、X軸幅寄せ体3をX軸方向に進退させる駆動機構は、その周方向の一部をX軸幅寄せ体3の基端部に固定させたX軸歯付ベルト25と、Y軸幅寄せ体4側に固定したX軸駆動モータ26とを、動力伝達自在に噛み合わせることで構成している(図2(a)参照)。
【0042】
これらの機構が、一対の幅寄せ体3,4を水平面上においてそれぞれ進退駆動させる水平駆動機構となっている。
【0043】
幅寄せ装置1の各モータ15,24,26の駆動制御は、パレタイジングロボット103によるパレット2上へのワークWの配置とタイミングを合わせて行われる。図4には、パレット2上にワークWを、X軸方向の複数行×Y軸方向の複数列の、マトリクス状に順次積層させていく場合を示している。
【0044】
図4(a)は、パレタイジングロボット103によってパレット2上に1段目のワークWをマトリクス状に配置した状態である。この段階の配置では、X軸方向とY軸方向のいずれにおいても、隣接するワークW間には所定の隙間を形成している。そして、図4(b)、(c)には、パレタイジングロボット103が2段目用のワークWを把持してパレット2側に搬送するまでの間に、X軸方向とY軸方向の隙間を解消させる様子を示している。
【0045】
図4(b)では、まずY軸駆動モータ24を駆動させ、Y軸用の上記機構を介してその動力を伝達させることで、Y軸幅寄せ体4をY軸方向へと所定距離dyだけ前進させる。Y軸幅寄せ体4は、その平坦な整列面4aをワークWに押し付けて幅寄せを行い、Y軸方向に隣接するワークW同士を密着させる。なお、Y軸幅寄せ体4が前進する上記所定距離dyは、パレタイジングロボット103によるワークWの当初配列に対応して、その配列でのY軸方向の隙間を解消するために適当な距離として、適宜設定しておく。
【0046】
次いで、図4(c)では、X軸駆動モータ26を駆動させ、X軸用の上記機構を介してその動力を伝達させることで、X軸幅寄せ体3をX軸方向へと所定距離dxだけ前進させる。X軸幅寄せ体3は、その平坦な整列面3aをワークWに押し付けて幅寄せを行い、今度は、X軸方向に隣接するワークW同士を密着させる。上記所定距離dxは、パレタイジングロボット103によるワークWの当初配列に対応して、その配列でのX軸方向の隙間を解消するために適当な距離として適宜設定しておく。
【0047】
つまり、マトリクス状に配置されるワークWのうち、X軸幅寄せ体3およびY軸幅寄せ体4から最も離れた箇所にあるワークWを幅寄せのターゲットとし、このターゲットにむけて他のワークWをX軸方向およびY軸方向に幅寄せることで、密着配置を完了させるのである。
【0048】
これにより、パレタイジングロボット103が2段目用のワークWを把持してパレット2側に搬送してきた段階で、1段目のワークWはその全てがX軸方向およびY軸方向において密着配置された状態となる。パレタイジングロボット103は、密着配置されたワークW上に、1段目のときと同様の隙間をあけながら2段目のワークWをマトリクス状に配置していく。
【0049】
ここで、幅寄せブロック5は、少なくともパレタイジングロボット103による2段目の配置が完了するまでの間に、昇降機構によって、所定距離dzだけ上昇させておく。上記所定距離dzは、幅寄せブロック5を一段高い位置に上昇させるための距離であり、ワークW単体の高さ寸法と略一致するように設定される。
【0050】
そして、図4(e)、図4(f)に示すように、2段目のワークWと対応した高さにある幅寄せブロック5を1段目の場合と同様に駆動させ、密着配置された1段目のワークW上にて、2段目のワークWのX軸方向およびY軸方向の隙間を解消させ、互いに密着配置させる。
【0051】
この手順をさらに3段目、4段目、…と繰り返すことで、パレット2上には、水平方向に密着配置したワークWを、何段にも積層することができる。ワークWを所定段だけ積層し終えたパレット2は、パレット搬送コンベア102によってそのまま作業エリアA外へと搬送させる。
【0052】
つまり、一例の幅寄せ装置1とこれを用いた上記パレタイズ搬送システム100によれば、幅寄せブロック5が有する一対の幅寄せ体3,4によって下段部のワークWの密着整列を完了させ、次いで、その一対の幅寄せ体3,4を幅寄せブロック5ごと一段階上昇させ、上段部のワークWの密着整列を完了させるといった手順を繰り返すことで、パレット2上でのワークWの荷崩れを防止することができる。
【0053】
一対の幅寄せ体3,4は、従来例のように積層したワークWの全てを一気に幅寄せするものではなく、積層する途中で一段ずつワークWを順次幅寄せするものである。そのため、両幅寄せ体3,4の上下幅もワークW単体の高さと同程度またはそれより短く設けてあればよく、また、各幅寄せ体3,4を進退駆動させるために大型の機構も必要でない。また、従来例のように幅寄せのためにパレット2を回転させる回転機構も必要でない。
【0054】
そのため、製造コストが低くて済むとともに、幅寄せ作業を行うためだけに専用の大きな設置スペースも必要でないという利点がある。また、パレット2上にワークWを順次積層していく間に、あわせて幅寄せ作業を完了させることができるので、全体としての作業効率が低下しないという利点がある。
【0055】
ところで、一例においてはまずY軸幅寄せ体4を駆動させてY軸方向の幅寄せを行い、次いでX軸幅寄せ体3を駆動させてX軸方向の幅寄せを行っているが、この逆の手順で幅寄せを行ってもよい。さらに、昇降機構や水平駆動機構の構造が、上記以外の構造であっても構わない。
【0056】
また、パレット2上のワークWの配置は、上記マトリクス状の配置には限定されず、一列の配置であってもよい。また、パレット2を積層せることなく一段だけ配置する場合であっても、幅寄せ装置1によって同様の幅寄せ作業を行うことができる。
【0057】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 幅寄せ装置
2 パレット
3 幅寄せ体
3a 整列面
4 幅寄せ体
4a 整列面
100 パレタイズ搬送システム
102 パレット搬送コンベア
103 パレタイジングロボット
P2 パレット設置箇所
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレタイジングロボットによってパレット上に隙間をあけて載置された複数のワークを、整列面を有する幅寄せ体を水平方向に移動させて該整列面を押し付けることで、該パレット上にて密着整列させる幅寄せ装置において、上記幅寄せ体を、互いの整列面が直交方向をむくように一対配置し、一方の幅寄せ体をその整列面の向きに移動させるとともに他方の幅寄せ体をその整列面の向きに移動させる水平駆動機構を備えたことを特徴とする幅寄せ装置。
【請求項2】
上記一対の幅寄せ体をパレットに対して昇降させる昇降機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の幅寄せ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の幅寄せ装置を用いてパレット上に複数のワークを段積み密着整列させるパレタイジング方法であって、パレタイジングロボットによって水平方向に隙間をあけて複数のワークをマトリクス状に載置し、一方の幅寄せ体を駆動させてワークの一方向の幅寄せを行い、他方の幅寄せ体を駆動させてワークの他方向の幅寄せを行うことで、下段部の密着整列を完了し、次いで、一対の幅寄せ体を上昇させたうえで、密着整列した下段部の複数のワーク上にて、パレタイジングロボットによって水平方向に隙間をあけて複数のワークをマトリクス状に載置し、一方の幅寄せ体を駆動させてワークの一方向の幅寄せを行うとともに、他方の幅寄せ体を駆動させてワークの他方向の幅寄せを行うことで、上段部の密着整列を完了することを特徴とするパレタイジング方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の幅寄せ装置を用いて、所定のパレット設置箇所にあるパレット上に複数のワークを密着配列させ、該密着配列が完了したパレットを搬送するパレタイズ搬送システムであって、ワークの密着整列が完了したパレットを所定の搬送方向へと搬送するパレット搬送コンベアを備え、上記幅寄せ装置の一方の幅寄せ体は、パレット設置箇所に対してパレット搬送コンベアの搬送方向とは反対側に配置し、他方の幅寄せ体は、パレット設置箇所に対してパレタイジングロボットとは反対側に配置したことを特徴とするパレタイズ搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−132019(P2011−132019A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294939(P2009−294939)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(309042602)有限会社山本機械 (2)
【Fターム(参考)】