説明

幅広材用材料矯正装置および幅広材矯正機構を備えたコイル材供給装置

【課題】材料幅の広いコイル材のプレス加工ラインにおいて、材料に均一な力を掛けられる矯正装置及び矯正機構を備えた材料供給装置を提供する。
【解決手段】材料矯正部のロールは胴長方向のほぼ中央で分断されるロール部材で構成され、該ロール部材はロールの両端部及び中間軸受部材で保持され、中間軸受部材及びその外輪保持部はロール部材の径より小さく構成し、さらに材料矯正装置は、各ロールのそれぞれの軸受部材を材料が送られる方向に沿って保持する少なくとも上下各3枚の軸受保持プレートと、この軸受保持プレートの上側と下側の少なくともどちらか一方に、それぞれ2箇所以上取り付けられ、ロール列の隙間距離の調整を行う高さ調整機構と、ロール列の上下側の少なくともどちらか一方に材料の送り動作を発生させる回転駆動力を伝達する、ロール部材の両方の外側に設けられた両側駆動機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工ラインにおける機械プレスの間欠送り装置にコイル材を供給するためのコイル材供給装置に関し、特に材料幅の広いコイル材の矯正装置(レベラ)とその矯正機構を備えたコイル材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常のプレス加工ラインでは、図8または図9に示すように、コイル材101、201は、アンコイラ102、202でコイルより巻きほぐされ、材料矯正装置すなわちレベラ103で巻きぐせを取って平坦にし緩衝区間を提供するルーパー104を経由するか、材料矯正機構を組み込まれたコイル材供給装置204を経由して、間欠送り装置105、205により定寸でプレス装置106、206へと送り込まれて加工処理される。 (後者は、例えば特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平2004−142876号公報
【0003】
プレス作業における製品の高精度化が進む中で、材料の矯正処理によって材料の巻きぐせを取り、平坦度に優れた材料をプレス装置に供給することが、プレス製品の高精度化にも繋がる。
従来の上記ラインにおいてコイル材の巻きぐせを取る材料矯正装置、レベラ103は、コイル材の進行方向に対して互い違いに配列された上下のロールの間にコイル材を通過させ、通常上側ロールを下方に圧下させて、コイル材に伸びと圧縮を連続して与え、コイル材を平坦にしている。
【0004】
しかし、最近、材料幅の広いコイル材を対象とするプレス加工が増加し、特にモータコア等のプレス製品において、材料幅を大きくして多列加工を行う傾向にある。これは、高速プレス機の稼動速度を速めることにより出来るだけ多くの回数のプレス加工を行い生産率のアップを目指す一方で、また、1回のプレス作業で、2個、3個といった複数個取りを出来るようにすることで生産率をアップさせる方法が採用されるようになっているためで、これに合わせ材料の供給側にもより幅の大きなコイル材に対応できる装置が必要とされているためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、一般に幅が大きい材料をロールで送る場合、レベラに限らず、材料に合わせて送りロールの胴長も長くなる。しかし胴長の長いロールによって材料を送る場合には、ロール加工時にロールにたわみが発生しやすい。レベラの場合には、材料に均一な力を掛けにくくなり適正な矯正が出来ないことから、材料の平坦度にムラが発生しやすくなる。
【0006】
ロールのたわみを無くすにはロール径を太くして剛性を高めることで対応可能であるが、矯正装置として使用するには、コイル材料厚さの500倍の曲率のロール径がコイル材に曲がり変形を与えうる曲率半径限界であるため、これ以下の曲率のロールにしなければコイル材料を曲げてその巻きぐせを取ることができない。そのため矯正装置ではロール径はこの曲率より小さくする必要がある。例えば0.1mm厚の材料であれば、50mm以下の径のロールが必要となる。
またレベラの矯正能力を高めるためには材料にかかる曲げ状態の曲率半径を小さく設定すれば良いので、ロール径を出来るだけ小さくした方がその効果が得やすいが、ロール径を小さくした場合には胴長が長くなるほどロールがたわみやすくなるという問題があった。
【0007】
このような胴長の長いロールのたわみを無くす解決方法の一つとして、バックアップロールを配する技術が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】株式会社ニュースダイジェスト社発行、「鍛圧・板金機械副読本」、昭和62年3月20日、p.183−187
【0008】
しかし、このバックアップロールでも、通常ワーク自体に付着している油分はワークロールに転着されてさらにバックアップロール端に集合し、一方、バックアップロール自体の潤滑油(グリス)の漏油もここに集まり、その上、空気中の塵埃などがこの油分に混入するなどして、バックアップロールとワークロールの接触部分で摩擦傷や曇りなどを発生させ、これが次々とワーク上に転写されてワークへの傷やごみ付着となり、トラブルの原因となっていた。さらにこの非特許文献1には、このような問題を回避するための6段矯正機も示されているが、いずれもバックアップロールを配置する場合には、装置が大型化しやすいという問題があった。
【0009】
本願は上記の問題を解決するため、プレス加工ラインにおいて、特に材料幅の広いコイル材の巻きぐせ取りを行うのに適した矯正装置、レベラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明のプレス加工ラインの材料矯正装置、特に幅広用材料矯正装置は、
上下それぞれに複数のロールがほぼ一列に配置され、この上下のロール列の間に、プレス装置へ向かって供給される材料が通過する隙間が設けられた材料矯正部で、上下のロール列が材料の進行方向において互いにずれた位置に配置され、またこの間を通過するコイル材は個々のロールの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされてその巻きぐせが除去されるように設定されている材料矯正部を備え、
該材料矯正部の各ロールは、胴長方向のほぼ中央付近で分断されている2つのロール部材で構成され、この2つのロール部材は両端部及び中央部の軸受部材で保持され、中央の軸受部材及び外輪保持部はロール部材のロール径より外形を小さく構成される。
この2つのロール部材の中央側の各端部は、ひとつの軸受部材の内輪部に保持されていてもよく、その際、2つのロール部材は3つの軸受部材で保持される。
【0011】
さらに材料矯正装置は、各ロールのそれぞれの軸受を材料が送られる方向に沿って保持する少なくとも上下各3枚の軸受保持プレートと、この軸受保持プレートの上側もしくは下側の少なくともどちらか一方に、それぞれ2箇所以上取り付けられ、ロール列を送り材料の材質、厚さ等によりその隙間距離の調整を行う高さ調整機構と、ロール列の上側もしくは下側の少なくともどちらか一方に材料の送り動作を発生させるための回転駆動力を伝達するため、中央で分断されたロールの両方の外側に設けられた両側駆動機構とを備える。
【0012】
この構成により、通常両端のみで支持される胴長ロール(上ロール、下ロール)に対して、本願の矯正装置では、ロールのほぼ中央部が分断され、それぞれの分断された側の中央部が軸受部材で保持される。軸受部材はロールより大きくならないように設計されるため、材料送りの支障とはならない。
【0013】
このため、本来たわみが一番発生しやすいロール中央部を支持することになり、従来のようなロールのたわみがなくなる。またロールのたわみがなくなることにより、バックアップロールを必要としないので、装置が大型化しない、シンプルな構成で、ロールのメンテナンスも容易となる。
【0014】
各列のロールの右端、中央、左端の軸受は、それぞれ3枚のプレート部材に保持されており、そのプレート部材のそれぞれ2箇所に高さ調整装置を配置することにより、6箇所で個別にプレート部材のロール間の間隔調整を実施できるため、材料の保持、矯正、供給をそれぞれ材料にあわせて、適正な条件に調節することが可能になる。
また、中央の2箇所だけを上下に調整し、意識的に中央部をへこましたり、膨らましたりといった形にできるため、軸受部材のミスアライメントの許容範囲内で簡単に耳伸び加工や中伸び加工に対応できる。
【0015】
また、上記の問題を解決するため、本願は、特に材料幅の広いコイル材の巻きぐせ取りを行うのに適した矯正機構を備えた材料供給装置を提供することを目的とする。
上記目的のため、本発明の材料供給装置は次のような構成を有する。
上下それぞれに複数のロールがほぼ一列に配置され、この上下のロール列の間にプレス装置へ向かって供給される材料の通過する隙間が設けられた材料矯正機構で、上下のロール列は材料の進行方向において互いにずれた位置に配置され、またこの間を通過するコイル材は個々のロールの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされてその巻きぐせが除去されるよう設定されている材料矯正機構を備え、各ロールは胴長方向のほぼ中央付近で分断される2つのロール部材で構成される。
この構成において、2つのロール部材は両端部及び中央部の軸受部材で保持され、中央の軸受部材及び外輪保持部はロール部材のロール径より外形は小さい。
この2つのロール部材の中央側の各端部は、ひとつの軸受部材の内輪部に保持されていてもよく、その際、2つのロール部材は3つの軸受部材で保持される。
【0016】
さらに、前記材料供給装置は、各ロールのそれぞれの軸受を材料が送られる方向に沿って保持する少なくとも上下各3枚の軸受保持プレートと、この軸受保持プレートの上側もしくは下側の少なくともどちらか一方に、それぞれ2箇所以上取り付けられ、ロール列を送り材料によりその隙間距離の調整を行う高さ調整機構と、ロール列の上側もしくは下側の少なくともどちらか一方に材料の送り動作を発生させるための回転駆動力を伝達する、中央で分断されたロール部材の両方の外側に設けられた両側駆動機構と、ロールに対して材料の進行方向のさらに上流側または下流側に配置される、送り用駆動ロールと従動ロールを含む材料送り用駆動装置とを備える。
なおその他の材料供給装置の構成は先行技術特開2004−14287号の構成を援用する。
【0017】
この構成により、通常両端のみで支持される胴長ロール(上ロール、下ロール)に対して、本願の材料供給装置では、ロールのほぼ中央部が分断され、それぞれの分断された側の中央部が軸受部材で保持され、軸受部材はロールより大きくならないように設計されて材料送りの支障とはならない。
【0018】
このため、本来たわみが一番発生しやすいロール中央部を支持できることになり、従来のようなロールのたわみがなくなる。またロールのたわみがなくなることにより、バックアップロールを必要としないので、装置が大型化しない、シンプルな構成で、ロールのメンテナンスも容易となる。
【0019】
各列のロールの右端、中央、左端の軸受部材は、それぞれ3枚のプレート部材に保持されており、そのプレート部材のそれぞれ2箇所に高さ調整装置を配置することにより、6箇所で個別にプレート部材のロール間の間隔調整を実施できるようになるため、材料の保持、矯正、供給をそれぞれ材料にあわせて、適正な条件に調節することが可能になる。
また、中央の2箇所だけを上下に調整し、意識的に中央部をへこましたり、膨らましたりといった形にできるため、軸受部材のミスアライメントの許容範囲内で容易に耳伸び加工や中伸び加工に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本願発明による幅広材料用の矯正機すなわちレベラと、幅広材料用の矯正機構を備えた材料供給装置の実施例を添付の図面を参照して説明する。なおこれらの図示は本願の実施例を説明するためだけのものであって、その特許請求の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
【実施例1】
【0021】
図1に、図8に示される従来のプレス加工ラインの材料矯正装置すなわちレベラ103に代わって適用される、本願による第一の実施例の材料矯正装置すなわちレベラの、コイル材の流れ方向に沿った断面図を示す。
この図において、本実施例の矯正装置1の材料矯正部には、上下それぞれに複数のロール2a、2bがほぼ一列に配置された上下のロール列2が配置され、これらのロールの間に、プレス加工ライン下流のプレス装置106へ向かって供給されるコイル材3が通過する隙間が設けられている。
この材料矯正部では、ロール列2の上下のロール2a,2bは図1でコイル材3の進行方向において互いにずれた位置に配置され、この上下ロール間を通過するコイル材3が個々のロール2a,2bの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされていく中でその巻きぐせが除去されるように、設定されている。
【0022】
図2に図1の線A−Aに沿った矯正装置1の断面図を示す。図2に示すように、上下各ロール2a,2bは、その軸線方向のほぼ中央付近で分断されている2つのロール部材2aR,2aL、2bR,2bLで構成されている。上部の2つのロール部材2aR,2aLは合わせて3つの軸受部材4a,4b,4cで保持され、2つのロール部材の中央側の各端部はひとつの軸受部材4bの内輪部に保持されている。下部のロール部材2bR,2bLも同様に軸受部材5a,5b,5cで保持され、中央側の各端部は一つの軸受部材5bで保持されている。
この構成において、中央の中間軸受部材4b、5b及び外輪保持部はコイル材3と接触しないようロール部材のロール径より外形を小さく設定されている。
なお、上記実施例で中央側の各端部を一つの軸受部材4bで保持したが、これに限るものではない。
【0023】
また本実施例において、図1、図2に示されるように、上記各ロール2a,2bの3つの軸受は、材料が送られる方向に沿って、上下各3枚の軸受保持プレート6a,6b,6c、7a,7b,7cによってそれぞれ保持される。
そして、図1、図2および、本実施例の上面図である図3に示されるように、上側軸受保持プレート6a、6b、6cに、ロール保持プレート9を介して、高さ調整機構8がコイル材の進行方向に沿ってそれぞれ2箇所取り付けられて、送るコイル材3の材質、厚さ等により、ロール列2の上下ロール間の隙間距離の調整を行う。
なお本実施例では上側軸受保持プレートのみに高さ調節機構8を設けたが、これは下側のみでもまた両方に設けてもよい。
【0024】
また図2および、本実施例のロールの駆動機構を示す図4から理解されるように、下側ロール列のロール2bの両端側にギヤ11やギヤ連結軸13等からなる駆動機構をそれぞれ配置して、ロール部材2bR,2bLにコイル材3の送り動作を発生させるための回転駆動力を伝達する。この駆動機構では図4の左側下段のギヤに駆動軸10が設置され、そこからギヤ11を介して各ロール2bR,2bLに回転が伝達される。
なお本実施例では下側ロール列のみに駆動機構を配置したが、これはロール列の上側あるいは上下双方に配置することもできる。
【0025】
この構成から、従来では通常両端のみで支持される胴長の長いロール(上ロール、下ロール)に対して、本願の矯正装置では、ロールのほぼ中央部が分断されて、それぞれの分断された側の中央部が中間軸受部材で保持され、軸受部材は材料送りの支障とはならないようロールより大きくならないように設計される。
よって、幅広材料をプレス加工する際に本来たわみが一番発生しやすいロール中央部を支持できるので、ロールのたわみは発生しなくなり、従来行われていたバックアップロールは必要としないため、装置は大型化しない、シンプルな構成でよく、ロールのメンテナンスも容易となる。
【0026】
各ロールの右端、中央、左端の軸受部材はそれぞれ3枚の軸受プレート部材に保持されており、軸受プレート部材はそれぞれ2箇所に高さ調整装置を配置して調整することにより合計6箇所でプレート部材による上下ロール間の間隔調整を個別に実施できるため、材料の保持、矯正、供給をそれぞれ材料にあわせて適正な条件に調節することが可能になる。
【0027】
また、この構成で高さ調整装置8のうち中央の2箇所だけを上または下に調整して、意識的に図5のように中央部をへこましたり図6のように膨らましたりといった形状にできるため、軸受部材のミスアライメントの許容範囲内で容易に耳伸び加工や中伸び加工に対応することができる。
【実施例2】
【0028】
次に本発明による第2実施例のコイル材供給装置を説明する。この実施例では、図7に、図9に示された従来の別のプレス加工ラインの材料供給装置204に代わって適用される、本願による第2の実施例の材料矯正装置の、コイル材の流れ方向に沿った断面図を示す。
【0029】
第2の実施例で、第1の実施例と異なる点は、適用されるプレス加工ラインの材料供給装置が大きい駆動力を要するため、第1実施例では図4に示すように下側ロール2bの上流側の軸を駆動軸10としていたものを、本実施例ではそのコイル材の流れ方向においてロールのさらに上流側に材料送り用駆動装置として別に送り用駆動ロール20、従動ロール21を先行技術と同様に設けてロールを駆動させている点であり、その他の本願の特徴とする、上下のロールを2分割してその中央の端部を中間軸受部材で受ける構成は同様であるため、同一の部材には同一の番号を付ける。
【0030】
したがって、この実施例でも第1実施例と同様に、材料矯正部には、上下それぞれに複数のロール2a、2bがほぼ一列に配置された上下のロール列2が配置され、これらのロールの間に、プレス加工ライン下流のプレス装置106へ向かって供給されるコイル材3が通過する隙間が設けられている。
この材料矯正部では、第1実施例と同様に、ロール列2の上下のロール2a,2bは図7でコイル材3の進行方向において互いにずれた位置に配置され、この上下ロール間を通過するコイル材3が個々のロール2a,2bの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされてその巻きぐせが除去されるように設定されている。
【0031】
そして、第1実施例と同様に、上下各ロール2a,2bは、その軸線方向のほぼ中央付近で分断されている2つのロール部材で構成される。これらのロール部材は3つの軸受部材で保持され、ロール部材の中央側各端部は一つの中央の軸受部材の内輪部に保持される。下部のロール部材も同様に3つの軸受部材で保持され、中央側の各端部は一つの中央の軸受部材で保持される。
この構成においても、中央の軸受部材及びその外輪保持部はコイル材3と接触しないようロール部材のロール径より外形を小さく設定される。
【0032】
この構成から、従来では通常両端のみで支持される胴長の長いロール(上ロール、下ロール)に対して、本願の矯正機構を備える供給装置では、ロールのほぼ中央部が分断されて、それぞれの分断された側の中央部が中間軸受部材で保持され、軸受部材は材料送りの支障とはならないようロールより大きくならないようにされ、よって、幅広材料をプレス加工する際に本来たわみが一番発生しやすいロール中央部を支持できるため、ロールのたわみは発生しなくなり、従来行われていたバックアップロールは必要なく、大型化しない、シンプルな構成の装置でよく、ロールのメンテナンスも容易となる。
【0033】
また、上記第1実施例と、軸受部材、軸受保持プレート、ロール支持プレート、高さ調整機構、ロールの駆動装置等は、構成上同様であるため、その他の点についても同じ作用効果が得られる。
なお、上記第2実施例において、材料送り用駆動装置をロールの上流側に設けたが、これはロールの下流側に設置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
したがって、本願発明によれば、材料幅の広いコイル材を対象としたプレス生産において、簡単な構成の矯正装置および矯正機能を備えた材料供給装置を適用して、ロールにたわみのないワーク加工が行えるため、材料に均一な力のかかる適正な矯正が可能となり、材料幅の広いコイル材に対してもムラのない平坦なプレス加工が行える。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願の第1実施例による幅広材用材料矯正装置の断面図。
【図2】図1の矯正装置のA−A線に沿った断面図。
【図3】図1の矯正装置の上面図。
【図4】図1の第1実施例のロールの駆動機構を示す断面図。
【図5】第1実施例において中央の高さ調整機構により中央の軸受部材を下げてロール材の耳のび加工に対応する構成とした矯正装置の断面図。
【図6】第1実施例において中央の高さ調整機構により中央の軸受部材を上げてロール材の中のび加工に対応する構成とした矯正装置の断面図。
【図7】本願の第2実施例による矯正機構を備える材料供給装置の、コイル材の流れ方向に沿った断面図。
【図8】従来のプレス加工ラインのコイル材の流れ方向に沿った概略図。
【図9】従来の別のプレス加工ラインのコイル材の流れ方向に沿った概略図。
【符号の説明】
【0036】
1 矯正装置
2 ロール列
2a 上側ロール
2aR,2aL 上側ロール部材
2b 下側ロール
2bR,2bL 下側ロール右部材
3 コイル材
4a,4b,4c,5a,5b,5c 軸受部材
6a,6b,6c,7a,7b,7c 軸受保持プレート
8 高さ調整機構
9 ロール保持プレート
10 駆動軸
11 ギヤ
12 ハウジング
13 ギヤ連結軸
20 材料送り用駆動ロール
21 材料送り用従動ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス加工ラインの特に幅広用材料矯正装置において、
上下それぞれに複数のロールがほぼ一列に配置され、この上下のロール列の間に、プレス装置へ向かって供給される材料が通過できる隙間が設けられた材料矯正部で、前記上下のロール列は材料の進行方向において互いにずれた位置に配置され、またこの間を通過するコイル材は個々のロールの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされてその巻きぐせが除去されるように設定される材料矯正部を備え、
前記材料矯正部のロールは、胴長方向のほぼ中央付近で分断される2つのロール部材で構成され、該2つのロール部材は両端部及び中央部の軸受部材で保持され、前記中央の軸受部材及び外輪保持部は前記ロール部材のロール径より外形を小さく構成され、
さらに、前記材料矯正装置は、
前記各ロールのそれぞれの軸受部材を材料が送られる方向に沿って保持する少なくとも上下各3枚の軸受保持プレートと、
この軸受保持プレートの上側と下側の少なくともどちらか一方に、それぞれ2箇所以上取り付けられ、前記ロール列の隙間距離の調整を行う高さ調整機構と、
前記ロール列の上側と下側の少なくともどちらか一方に材料の送り動作を発生させるための回転駆動力を伝達するため、中央で分断された前記ロール部材の両方の外側に設けられた両側駆動機構と、
を備えることを特徴とする材料矯正装置。
【請求項2】
前記両ロール部材の中央側の各端部がひとつの軸受部材の内輪部に保持され、該ロール部材は3つの軸受部材で保持されていることを特徴とする請求項1に記載の材料矯正装置。
【請求項3】
前記各ロールのそれぞれの軸受部材を材料が送られる方向に沿って保持する3枚の軸受保持プレートを備えることを特徴とする請求項1または2記載の材料矯正装置。
【請求項4】
プレス加工ラインの、特に材料幅の広いコイル材用の矯正機構を備えた材料供給装置において、
上下それぞれに複数のロールがほぼ一列に配置され、この上下のロール列の間に、プレス装置へ向かって供給される材料が通過できる隙間が設けられた材料矯正機構で、前記上下のロール列は材料の進行方向において互いにずれた位置に配置され、またこの間を通過するコイル材は個々のロールの外形に沿って上下に曲げ伸ばしされてその巻きぐせが除去されるように設定される材料矯正機構を備え、
前記材料矯正機構のロールは、胴長方向のほぼ中央付近で分断される2つのロール部材で構成され、該2つのロール部材は両端部及び中央部の軸受部材で保持され、前記中央の軸受部材及び外輪保持部は前記ロール部材のロール径より外形を小さく構成され、
さらに、前記材料供給装置は、
前記各ロールのそれぞれの軸受部材を材料が送られる方向に沿って保持する少なくとも上下各3枚の軸受保持プレートと、
この軸受保持プレートの上側と下側の少なくともどちらか一方に、それぞれ2箇所以上取り付けられ、前記ロール列の隙間距離の調整を行う高さ調整機構と、
前記ロール列の上側と下側の少なくともどちらか一方に材料の送り動作を発生させるための回転駆動力を伝達するため、中央で分断された前記ロール部材の両方の外側に設けられた両側駆動機構と、
前記ロール部材に対して材料の進行方向のさらに上流側または下流側に配置され、送り用駆動ロールと従動ロールを含む材料送り用駆動装置と、
を備えることを特徴とする材料供給装置。
【請求項5】
前記両ロール部材の中央側の各端部がひとつの軸受部材の内輪部に保持され、該ロール部材は3つの軸受部材で保持されていることを特徴とする請求項4に記載の材料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−122963(P2006−122963A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315651(P2004−315651)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】