説明

平判紙包装システム及び平判紙包装システム用の包装リーム給送装置

【課題】 平判紙を製造する際に、重畳させる巻取の本数に応じて発生している増枚をなくして歩留まりを向上させると共に、オペレータの数を減じて平判紙の包装工程の作業の円滑化を図る平判紙包装システムを提供する。
【解決手段】 カッター装置1により断裁されて製造された平判紙Pのリーム山Wを平判包装機2へ供給する際に、リームマークMを付与せず、必要な欠陥マークNのみを付与して供給する。平判包装機2へ包装リームLを供給する包装リーム給送装置2cに供して、リーム山Wの上部から包装リームを生成する平判紙の枚数をシートカウンタ20で計数し、生成された包装リームLを平判包装機2へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻取紙からカッター装置により断裁されて製造された平判紙を、所定の枚数毎に包装紙によって包装する平判紙包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機では、紙は紙シートとして製造され、該紙シートがリールに巻き取られた状態で巻取として完成する。その後、用途に応じて、小幅の紙シートに切断されて巻き取られた小径の小巻取に形成されたり、適宜な大きさの平判状シートの平判紙に断裁されて出荷される。平判紙として出荷する場合には、所定枚数毎の包装枚数で包装紙により包装され、包装紙には所定事項が印字されたラベルが貼付されて出荷される。この平判紙に加工するには、カッター装置において巻取や小巻取を巻き戻しながら所定の寸法に断裁して行われる。
【0003】
巻取や小巻取から平判紙に断裁する際には、複数本の巻取等から巻き解かれた紙シートを重ねてカッターで断裁する。例えば、4本の巻取等から巻き解かれた4枚の紙シートを重畳させてカッターに供することで、一度に4枚の平判紙が加工されることになる。なお、重畳して加工する平判紙の枚数に応じて、4枚の場合を4本切り、7枚の場合を7本切り等、N枚の場合をN本切りと称する。
【0004】
一方、平判紙や板紙等の取引上の単位をリームと称しており、適宜枚数の平判紙の積層体であり、包装装置に供する場合を包装リーム、断裁された平判紙が重ねられた状態をリーム山等と称している。また、平判紙に加工する際には、包装枚数単位毎に、テープを差し込んだりインクを塗布する等によってリームマークを付与している。
【0005】
従来の平判紙包装システムを、図9に示してある。この図9に示す平判紙包装システムは4本切りのものを示しており、カッター装置1で、4本の小巻取Rをシート状の紙を巻き解きながら重畳させ、カッターCによりシート状の紙を長手方向で断裁して4枚の平判紙Pが加工される。そして、4枚の平判紙が積層されて包装枚数単位となった位置にリームマークMが付される。なお、この図9では、このリームマークMはリームテープを包装枚数単位毎に挟み込むものとしてある。また、紙面に穴あきが発生している等の欠陥や不具合がある平判紙に対しては、その位置を示す指標となる欠陥マークNが付与される。
【0006】
前記包装枚数単位は、紙の銘柄等による場合やユーザーの希望等によって、例えば、125枚/包や250枚/包、500枚/包等とされている。このうち、125枚/包の包装リームLを4本切りで生成する場合には、ユーザーに納入する際には包装枚数単位よりも少なくなっては不都合であるから、4×32=128枚として、包装枚数単位よりも3枚多くして(これを、「増枚」と称する。)包装リームLとしている。すなわち、42個の包装リームLを生成すると、増枚した平判紙で1個分の包装リームLを生成することができることとなる。なお、例えば、5本切りで平判紙を製造する場合には、包装リームLを生成する際に増枚が生じない。
【0007】
前記包装リームL毎にリームマークMが差し込まれたリーム山Wは、平判包装機2に供されることになる。平判包装機2では、オペレータ2aがリームマークMを参照しながら包装リームL毎に分離させて包装紙2bで包装し、包装された平判紙として積み重ねられて出荷に待機することになる。このとき、オペレータ2aは包装リーム給送装置2cを利用して、包装リームLを平判包装機2に供給することにより、この供給作業を簡便に行うことができる。
【0008】
ところで、前記欠陥マークNが存している場合には、この欠陥等を有している平判紙は除去して包装リームLを生成する必要がある。包装リームL毎にリームマークMが付されて積み重ねられたリーム山Wにおいて、欠陥マークNが少ない場合には、当該リーム山Wはその状態のまま前記平判包装機2に供される。オペレータ2aはこの欠陥マークNが存している場合には、この欠陥マークNを含んだ包装リームLを排除して、平判包装機2に供せず、系外出しにして戻し山Qに積み上げる。また、欠陥マークNがリーム山Wの全体に存している場合や多数の欠陥マークが含まれている場合には、当該リーム山Wは平判包装機2に供することなく、不良紙山Tとして排除して、前記戻し山Qと共に選別工程3において欠陥紙排除作業に供される。欠陥紙排除作業では欠陥マークNが付された欠陥紙を排除することになり、該欠陥紙が排除された場合には包装リームLとするには枚数が不足することになるから、リームマークMは包装リームLの指標とならないため、不良紙山Tから除去される。このため、欠陥紙が排除されたリーム山WにはリームマークMが存せず、従って包装枚数単位の分離部が不明となってしまう。そこで、仕上げ検査工程5においてシートカウンタSに供して枚数を計数し、包装リームL毎にリームマークMを付与した後、前記平判包装機2に供するようにしている。
【0009】
一方、本件出願人は、平判包装機2に包装リームLを供する際にオペレータ2aの作業の簡便化と円滑化を図ることができるようにした給紙リーム給送装置を提案している(特許文献1参照。)。この給紙リーム給紙装置を利用することにより、平判包装機2への包装リームLの供給を簡便に行え、包装作業に要する時間の短縮化を図ることができるようになった。
【0010】
また、特許文献2には、スタック中のシートを計数すると共に所定計数値のときに該シート間にタブを挿入する計数及びタブ付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4317047号公報
【特許文献2】特表2004−505872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、平判包装機2への包装リームLの供給は簡便な操作で行うことができるようになって、包装作業時間の短縮化により平判紙の生産効率を向上させることができた。しかし、前述したように、増枚が発生することは歩留まりを向上させるための支障となっており、これを改善することにより、更に生産効率を向上させることができるようになる。
【0013】
そこで、この発明は、増枚が発生することをなくして、平判紙の製造における歩留まりの向上を果たすと共に、平判紙の製造効率の向上を図ることができる平判紙包装システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る平判紙包装システムは、複数本の巻取を巻き解きながら複数枚のシート状の紙を重畳させ、カッターで断裁して平判紙を製造し、包装枚数の平判紙を含む包装リームを平判包装機に包装リーム給送装置によって供給して、包装リームに包装を施す平判紙包装システムにおいて、製造された前記平判紙に対してリームマークを付与することなく山積みしたリーム山を、前記平判包装機まで搬送し、前記包装リーム給送装置で、前記リーム山の上部から平判紙の枚数をシートカウンタで計数し、包装枚数単位の枚数が計数された状態で包装リームを生成して前記平判包装機に供給することを特徴としている。
【0015】
カッター装置で断裁して平判紙を製造したならば、リームマークを付与することなくパレット等に山積みしてリーム山を製作する。なお、欠陥紙が存する場合には、該欠陥紙の位置に欠陥マークを付与する。前記リーム山を、前記包装リーム給送装置へ搬送して、該包装リーム給送装置に提供する。
【0016】
リーム山が搬入されたならば、前記シートカウンタによってリーム山の上部から包装される平判紙の包装枚数を計数し、包装リームを生成する。このとき、該包装リームと残余のリーム山との間に、例えば間隙ができるようにして包装リームをリーム山から分離させる。この包装リームを包装リーム給送装置によって平判包装機へ供給すれば、増枚されない包装リームを包装することができる。
【0017】
また、請求項2の発明に係る平判紙包装システムは、前記シートカウンタをディスク式シートカウンタとしたことを特徴としている。
【0018】
ディスク式シートカウンタは、例えば、前記特許文献2に開示されているように、回転するディスクで平判紙のようなシート状物の枚数を計数する装置である。シートカウントとしては、前述した従来の平判紙包装システムにおいて、仕上げ検査工程で使用されているシートカウンタを用いることができる。しかし、この仕上げ検査工程は、平判紙の包装作業ラインから外れているため、包装枚数を計数して包装リームの生成に迅速さはさほど要求されない。一方、包装作業ラインでは、迅速な包装作業を行うためには包装枚数の計数に迅速さが要求される。このため、ディスク式シートカウンタとすることにより、円滑な包装作業を阻害することなく、包装枚数を計数できる。
【0019】
また、この発明に係る包装リーム給送装置は、カッター装置で断裁されて形成され、山積みされた平判紙のリーム山を供給し、供給されたリーム山の上部から包装枚数の包装リームを平判包装機に供給するための包装リーム給送装置において、前記リーム山の上部から包装枚数の平判紙を計数するシートカウンタと、前記シートカウンタで計数された包装枚数の平判紙により形成される包装リームを、リーム山の上部から分離させて平判包装機に供給することを特徴としている。
【0020】
平判紙が山積みされたリーム山が供給されると、前記シートカウンタで包装枚数を計数して包装リームを生成する。生成された包装リームを残余のリーム山から分離して平判包装機へ供給すれば、包装リームが包装される。
【0021】
また、請求項4の発明に係る包装リーム給送装置は、前記シートカウンタにディスク式シートカウンタを用いて、前記リーム山の上部から下降させながら平判紙の枚数を計数することを特徴としている。
【0022】
ディスク式シートカウンタを用いて、リーム山の上部から包装枚数の平判紙を計数して、包装リームを生成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る平判紙包装システムによれば、平判包装機へ平判紙を供給する際に包装枚数を計数するため、何枚切りであっても増枚が生じることがない。このため、平判紙の製造の歩留まりを向上させることができる。また、欠陥紙が存している場合には、平判包装機へ供給する際に排除した後、平判紙を計数することによるから、従来のような改めてリームマークを付与するための仕上げ検査工程を要することがなく、設備の簡素化を図ることができると共に、この仕上げ検査工程に要するオペレータが不要となって人員の削減を図ることができ、平判紙の製造コストの低減化を図ることができる。
【0024】
また、平判包装機で欠陥紙を排除するには、本来は、欠陥紙のみあるいはその周辺の数枚だけを排除すればよいが、従来の平判紙包装システムでは、カッター装置でリームマークを付与しているため、欠陥紙を除去した後のリームは包装リームとしての枚数に不足が生じる。このため、欠陥マークを含む1リーム単位で排除することになる。これに対して、この発明に係る平判紙包装システムでは、平判包装機で包装する直前に包装枚数を計数するから、排除すべき平判紙は必要最小量で良く、排除の際の紙の絶対量が減り、仕上検査工程の欠陥紙選別の仕事量を軽減することができる。
【0025】
また、シートカウンタにディスク式シートカウンタを用いることにより、包装枚数の計数を迅速に行って、平判紙の包装作業の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に係る平判紙包装システムの概略の構成を示す概念図である。
【図2】この発明に係る包装リーム給送装置の概略の構成を模式的に示した斜視図である。
【図3】この発明に係る包装リーム給送装置に用いるシートカウンタであって、ディスク式シートカウンタを説明する側面図である。
【図4】図3に示すディスク式シートカウンタの一部の拡大図である。
【図5】図3に示すディスク式シートカウンタの正面図である。
【図6】この発明に係る平判紙包装システムにより平判紙を包装する手順を説明するフローチャートである。
【図7】この発明に係る平判紙包装システムにより平判紙を包装する手順を説明するフローチャートであり、図6に示す手順に後続する手順を示している。
【図8】この発明に係る平判紙包装システムにより平判紙を包装する手順を説明するフローチャートであり、図7に示す手順に後続する手順を示している。
【図9】従来の平判紙包装システムを説明する図であり、図1に相当する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1にはこの発明に係る平判紙包装システムの構成図を示してあり、従来の同様に、カッター装置1にて、小巻取Rから巻き解かれたシートの紙がカッターCで断裁されて平判紙Pが製造される。なお、この図1では、4本の小巻取Rから巻き解かれた紙を重畳させて断裁する4本切りの場合を示している。製造された平判紙Pは積み重ねられて、リーム山Wが製作される。このとき、欠陥紙が発生している場合には、その箇所に欠陥マークNが付与されることになる。なお、リーム山Wには、包装リームLを示すためのリームマークMは付与されない。
【0028】
カッター装置1で製造された平判紙Pは平判包装機2に供給される。平判包装機2へはオペレータ2aにより供給されるが、このオペレータ2aの作業は、包装リーム給送装置2cを使用して行われる。なお、この包装リーム給送装置2cとしては、特許文献1に開示されている給紙リーム給紙装置を利用することができる。
【0029】
前記包装リーム給紙装置2cによって包装リームLが給送されるが、この包装リームLに含まれる平判紙の枚数がシートカウンタ20により計数される。このシートカウンタ20には、図9に示した従来の平判紙包装システムの仕上げ検査工程5で利用されているシートカウンタSを用いることができる。しかし、このシートカウンタSは、包装リームLの包装工程から外れた、いわゆるオフラインで使用されるものであり、必要な量の不良紙山Tや戻し山Qが形成された場合に、これら不良紙山T等からリームマークMが除去された後に包装枚数を計数するものであるから、いわゆるバッチ方式による処理であり、このシートカウンタSによる計数処理は短時間で行う必要はなく、多少の時間を要しても平判紙の包装作業に支障を生じないため、計数処理に迅速さを要しない。一方、前記シートカウンタ20は包装リームLの包装枚数を計数するため、迅速に計数処理を行って包装リームLを平判包装機2へ供給することが、包装処理を円滑に行う上で要求される。このため、シートカウンタ20には、平判紙の枚数を迅速に計数することができるディスク式のものを用いることが好ましい。
【0030】
また、従来のシートカウンタ20では、連続して複数の平判紙の枚数を計数して、包装リームとなる位置にリームマークを付与する装置であって、包装リームの枚数を計数してその位置で動作を停止して該包装リームを区分けするには十分に適しているものではない。しかし、ディスク式シートカウンタでは、迅速な枚数の計数を行って、所望の枚数の計数が完了した位置で確実に動作を停止し、確実に包装リームを区分けすることができるので、平判包装機における包装作業にとって有利なものとなり、好ましい。
【0031】
図2は平判紙のリーム山Wから包装リームLを平判包装機2へ供給するための、包装リーム供給装置2cを模式的に示す構成図で、リーム山Wの上部からシートカウンタ20によって包装枚数の平判紙を計数して包装リームLを生成し、この包装リームLを残余のリーム山Wから分離させて包装リーム給送装置2cによって平判包装機2へ供給する。
【0032】
前記ディスク式のシートカウンタ20は、図3〜図5に示すように、昇降自在で水平面内を直角方向に移動自在に支持された支持ブラケット21に取り付けられている。他方、包装リーム給送装置2cに供給されたリーム山Wは図示しない支持台に載置され、この支持台の昇降によりリーム山Wの上面が常に包装リームLを平判包装機2に供給するに適した作業を行える高さである給紙位置にあるようにする。すなわち、包装リームLが平判包装機2へ供給されると、該包装リームLの厚さに相当する分でリーム山Wの高さが低くなるから、前記支持台を上昇させてリーム山Wの上面を、給紙位置まで上昇させる。なお、作業高さは、オペレータ2aが包装リーム給送装置2cによって平判包装機2に向けて包装リームLを押出ながら供給する作業を行いやすい高さとしてある。
【0033】
前記支持ブラケット21は、包装リーム給送装置2cの上方に配された一対のX方向レール21xに摺動自在に摺動ブラケット22を摺動自在に支持させ、この摺動ブラケット22に配された一対のY方向レール21yに摺動自在に取り付けられている。そして、この支持ブラケット21にシリンダ23によってZ方向に昇降自在とされたピストンロッド23aに保持ブロック24を介して前記シートカウンタ20が設けられている。なお、前記摺動ブラケット22のX方向レール21xに沿った摺動は、走行用サーボモータ22aの回転により行われ、支持ブラケットの21の前記Y方向レール21yに沿った摺動は、横行用サーボモータ22bにより行われる。
【0034】
また、前記支持ブラケット21にはリーム押さえシリンダ25aにより昇降して、リーム山Wの上面を押圧するリーム押さえ25が配されている。また、この支持ブラケット21にはリーム山Wの端面を検出する検出センサ等が配置されており、リーム山Wの端部等を検出するようにしてある。
【0035】
ディスク式のシートカウンタ20は、前記特許文献2に記載されているように、カウンタ用のディスクが回転して、シートを1枚ずつ吸引しながら該ディスクに形成された開口部に導入してスタック中のシートから1枚のシートを分離することにより、1枚ずつを計数する。このディスク式のシートカウンタ20を用いて、リーム山Wの上部から平判紙の枚数を計数するようにしてあり、5個の開口部が形成されている場合には、ディスクが1回転する間に5枚の平判紙が計数される。また、シートカウンタ20により計数すべき枚数は、予め設定することができ、包装リームLに含まれる平判紙の枚数に設定され、この枚数が計数されたならばディスクの回転が停止して、該ディスクの上方に生成された包装リームLと残余のリーム山Wとに挟まれた状態となるようにしてある。
【0036】
そして、前記包装リーム給送装置2cを前記ディスクを挟んだ位置に差し込むことで、該包装リーム給送装置2cによって包装リームLを平判包装機2へ供給できるようにしてある。
【0037】
以上により構成された平判紙包装システムの動作を、図1と共に、包装リーム給送装置2cの動作示す図6〜図8に示すフローチャートに基づいて、以下に説明する。
【0038】
前述したように、カッター装置1によって製造された平判紙Pの所定枚数により形成されたリーム山Wは、平判包装機2へ供される。このとき、リーム山Wに多数の欠陥マークNが付与されている場合には、平判包装機2へは供せずに、不良紙山Tとして選別工程3へ向けて排除される。一方、欠陥紙の存在を示す欠陥マークNが存しない場合は勿論、少量の場合には平判包装機2へ供される。平判包装機2へ包装リームLを供給するための包装リーム給送装置2cに搬送されたリーム山Wに欠陥マークNが存している場合には、オペレータ2aは当該欠陥マークNが付与されている平判紙Pを除去する。このとき、最小限の量の平判紙Pを排除すればよく、排除された最小限の量の平判紙Pは選別工程3に給送されて戻し山Qとされて、多数の欠陥マークNが存するために排除された前記不良紙山Tと合流させる。
【0039】
包装リーム給送装置2cに供されたリーム山Wの上部から包装の単位枚数となる平判紙Pを計数して、包装リームLが生成されることになる。
【0040】
リーム山Wの準備が完了したならば、前記シートカウンタ20によりリーム山Wの上部から平判紙Pの枚数を計数して包装リームLを生成する。シートカウンタ20の動作が開始されると(ステップ601)、カウンタユニットが原点となる原位置に有るか否かが判断される(ステップ602)。原位置にない場合には(ステップ602/NO)、オペレータ2aが所定のスイッチやこのシートカウンタ20の動作を制御するコンピュータに接続された表示装置の画面に接触する等の原位置戻しスイッチを操作して(ステップ603)、前記走行用サーボモータ22aと横行用サーボモータ22bを駆動させ、カウンタユニットを原位置に移動させる(ステップ604)。
【0041】
カウンタユニットが原位置にある場合には(ステップ602/YES、ステップ604)、リーム山Wを給紙位置にセットする(ステップ605)。すなわち、オペレータ2aのスイッチ操作等によって、駆動モータ等を作動させてリーム山Wを載置させた支持台を昇降させる。
【0042】
リーム山Wが給紙位置にセットされたならば(ステップ605)、オペレータ2aがカウント位置スイッチを操作する(ステップ606)。これにより、原位置に位置した(ステップ602/YES、ステップ604)カウンタユニットが、リーム山Wの平判紙Pの枚数を計数するための位置に移動する(ステップ607)。次いで、オペレータ2aは、リームカウンタ20によって1包装リームLの平判紙Pを計数するための1リームカウントスイッチを操作する(ステップ608)。
【0043】
1リームカウントスイッチが操作されると(ステップ608)、リームカウンタ20により計数動作が開始される(ステップ701)。この計数動作は、ディスク式のリームカウンタ20では、ディスクを回転させながら平判紙Pを計数する。1包装リームLの包装枚数が計数されたならば、当該1包装リームLを残余のリーム山Wから分離させる(ステップ702)。この分離は、該1包装リームLをリーム山Wに対してずらせばよい。次いで、カウンタユニットを、次の包装リームLの計数に待機するためのリセット位置へ上昇させる(ステップ703)。その後、カウンタユニットを原位置へ移動させる(ステップ704)。この状態で、リーム山Wの上方には該リーム山Wの上昇に支障となるものが存しないから、前記支持台を昇降させて、リーム山Wから分離させた(ステップ704)1包装リームLの給紙位置が適性となるように、リーム山Wの高さを調整する(ステップ705)。これら、ステップ702〜ステップ705までの操作は、平判包装機2へ給送する1包装リームLの給送位置を認識するためのものであり、1包装リームLに含まれる平判紙Pの包装枚数が計数されたことにより、該1包装リームLの高さが決定され、この1包装リームLを平判包装機2へ給送するのに適した位置となるように、前記支持台を昇降させて調整する。以後は、1包装リームLの厚さに相当する高さで支持台を上昇させるようにする。これにより、リーム山Wの原点となる高さと支持台の上昇量とが決定される。なお、この操作は、平判紙Pの銘柄や坪量等の変更がある場合に行うことが必要となり、平判紙Pの紙質等の変更がない場合には不要である。また、1包装リームLの厚さは平判紙Pの紙厚に1包装リームLの包装枚数を乗じれば、概算値を算出することもできるので、この概算値を使ってリーム山Wの原点高さと支持台の上昇量を決めて差し支えない場合は、この操作を省略することもできる。
【0044】
次いで、オペレータ2aは包装リーム給送装置2cを利用して、ステップ702で分離させた包装リームLを平判包装機2へ供給する(ステップ706)。包装リーム1の供給作業が完了したならば、支持台を上昇させてリーム山Wを1包装リームLの厚さに相当する分上昇させる(ステップ707)。そして、シートカウンタ20により包装枚数の計数を開始すべく、カウント位置スイッチを操作して(ステップ708)、カウンタユニットを、原位置から平判紙Pを計数するためのカウント位置まで移動させる(ステップ709)。カウンタユニットがカウント位置まで移動したならば、オペレータ2aは自動運転開始スイッチを操作して(ステップ710)、シートカウンタ20による平判紙Pの枚数を計数して包装リームLを生成させる。
【0045】
シートカウンタ20の自動運転が開始されると、リーム山Wの上部から平判紙Pを計数して1包装リームLを生成する(ステップ801)。1包装リームLが生成されたならば、オペレータ2aがこの包装リームLを平判包装機2へ供給する(ステップ802)。次いで、カウンタユニットを次の計数に備えてカウンタユニットリセット位置まで上昇させる(ステップ803)。その後、ステップ715においてなされた調整に基づいて、支持台を1包装リームLの高さで上昇させて、リーム山Wの上面を上昇させる(ステップ804)。次いで、リーム山Wについて、当該リーム山Wについて最終の包装リームLの生成が完了したか否かを判断し(ステップ805)、最終の包装リームLでない場合(ステップ805/NO)には前記ステップ801に戻って、ステップ805までの処理を、リーム山Wの全ての平判紙Pの計数が完了するまで繰り返す。最終の包装リームLの計数が完了したならば(ステップ805/YES)、オペレータ2aは待機スイッチを操作する(ステップ806)。これにより、カウンタユニットは次のリーム山Wについて平判紙Pの枚数の計数に待機するため、退避位置へ移動する(ステップ807)。その後、オペレータ2aはリーム山Wの残紙と共にリーム山Wが載置されていたパレットを撤去し(ステップ808)、当該リーム山Wについての包装リームLの平判包装機2の供給作業を終了する(ステップ809)。
【0046】
また、前記不良紙山Tと戻し山Qとは、選別工程3において欠陥マークNが付与された部分やハンドリングの過程で傷ついた部分などの製品にならない平判紙Pを選別して除去される。その後、適宜な高さのリーム山Wとなったならば、平判包装機2に供給すべく、包装リーム給送装置2cに送られて、包装リームLが生成されて平判包装機2に供給されて包装されることになる。
【0047】
以上説明した実施形態では、オペレータ2aが包装リーム給送装置2cを利用して、包装リームLを平判包装機2に供給することにより、包装リームの供給作業を行うシステムについて説明したが、シートカウンタ20にディスク式のシートカウンタを用いる場合には1包装リームLが確実にリーム山Wから区分けされた状態で形成されるから、この包装リームLをリーム山Wから分離して平判包装機へ供給する装置を利用することによって、オペレータ2aによらずに、1包装リームLを平判包装機2へ自動給紙できる。この種の自動給紙装置としては、例えば、特開2007−284207号公報に記載された紙束送り装置があり、この紙束送り装置を用いることによって、平判紙包装システムの自動化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明に係る平判紙包装システムによれば、増枚を発生させることがないため歩留まりの向上に寄与し、欠陥紙の発生により包装機で該当部分を系外出しする際のリジェクト量を1リーム単位にする必要がなく、必要際小量に抑えることができるので戻し山の選別作業量が減り、選別したリーム山にリームマークを再付与するための検査仕上げ工程を要せず、そのための人員が不要となることから、平判紙の製造コストの削減に寄与する。
【符号の説明】
【0049】
1 カッター装置
2 平判包装機
2a オペレータ
2b 包装紙
2c 包装リーム給送装置
20 シートカウンタ
R 小巻取
M リームマーク
L 包装リーム
N 欠陥マーク
S シートカウンタ
T 不良紙山
Q 戻し山
P 平判紙
W リーム山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の巻取を巻き解きながら複数枚のシート状の紙を重畳させ、カッターで断裁して平判紙を製造し、包装枚数の平判紙を含む包装リームを平判包装機に包装リーム給送装置によって供給して、包装リームに包装を施す平判紙包装システムにおいて、
製造された前記平判紙に対してリームマークを付与することなく山積みしたリーム山を、前記平判包装機まで搬送し、
前記包装リーム給送装置で、前記リーム山の上部から平判紙の枚数をシートカウンタで計数し、
包装枚数単位の枚数が計数された状態で包装リームを生成して前記平判包装機に供給することを特徴とする平判紙包装システム。
【請求項2】
前記シートカウンタをディスク式シートカウンタとしたことを特徴とする請求項1に記載の平判紙包装システム。
【請求項3】
カッター装置で断裁されて形成され、山積みされた平判紙のリーム山を供給し、供給されたリーム山の上部から包装枚数の包装リームを平判包装機に供給するための包装リーム給送装置において、
前記リーム山の上部から包装枚数の平判紙を計数するシートカウンタと、
前記シートカウンタで計数された包装枚数の平判紙により形成される包装リームを、リーム山の上部から分離させて平判包装機に供給することを特徴とする包装リーム給送装置。
【請求項4】
前記シートカウンタにディスク式シートカウンタを用いて、前記リーム山の上部から下降させながら平判紙の枚数を計数することを特徴とする請求項3に記載の包装リーム給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66883(P2012−66883A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210883(P2010−210883)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【出願人】(504043358)株式会社アイメイト (3)
【出願人】(504188280)株式会社サーボアーム (5)
【出願人】(510252542)株式会社サーボアームサービス (1)
【Fターム(参考)】