説明

平坦材料にサテン仕上げ及びエンボス加工するための装置及び方法

【課題】 歯部が設けられた第1のローラ(1)と歯部の設けられた少なくとも1つの第2のローラ(3)とを備え、一方のローラの各歯部(4)が、他方のローラの4つの歯部(2)の間に係合するようにローラが配置される、平坦材料をサテン仕上げ及びエンボス加工のための装置を提供する。
【解決手段】 第1のローラ(1)が、少なくとも1つのマイクロ構造(10)を備え、第2のローラ(3)の夫々の位置に対向圧力面(11)を設ける。マイクロ構造(10)が中間層(7)を介して、ローラ表面(5)に設けられる。この方法は、熱可塑性中間層(21)を有する膜(19)が使用される場合特に有利である。この装置によれば、ローラの全ての所望の位置でマイクロ構造のロゴをエンボス加工でき、偽造に対する高い安全性と、多種多様なデザインを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸状の歯部を有する第1のローラと、凸状の歯部、凸状の環状部又は凸状の長手方向のリブを有する少なくとも1つの第2のローラとを用いて、フィルムなどの平坦な材料をサテン仕上げ及びエンボス加工するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置及び方法は、平坦材料をサテン仕上げし、ロゴを平坦材料に提供する。平坦材料は、例えば、煙草、チョコレート、風船ガム等の食品及び/又は医薬品の包装用パーケージなどに使用されるいわゆるインナーライナーに関係してもよい。「インナーライナー」という文言は、アルミニウム裏打紙、金属が貼着された紙又はプラスチック膜、金属処理膜等の全てのタイプのフィルム(膜)を含む。「平坦材料」は以後、単純化のために「膜」という。
【0003】
本明細書においてエンボスローラという文言は、突き出した歯部を有するモータ駆動エンボスローラ、又は、同出願人の国際公開第02/076716号パンフレットの図1及び2又は10及び11に従い、同様に隆起された歯部及び/又はローラ3及び4を有する少なくとも1つの対向ローラ、即ち、この場合環状部又は長手方向のリブである同様に配置された凸状の場所を有するローラに関係する。それらの記載を含む個々のローラは、本出願と一体的な部分を成す。
【0004】
サテン仕上げ中に、膜の金属処理された表面には、ミリメータ単位以下の構造の一定のパターンが提供され、その結果、柔らかな光沢が与えられる。また、紙の内部張力が補われ、膜の(特にパッケージプロセス中の)意に反した回転が防止される。
【0005】
本明細書で使用される「ロゴ」という文言は、エンボスローラによりエンボス加工される全てのマーク、装飾的要素、及び/又は安全上の特徴部を含む。
【0006】
サテン仕上げ及びエンボス加工装置は、本件出願人の、国際公開第02/30661号パンフレットから既知である。この装置では、修正された幾何学形状、例えば、浅い歯部を有する所定の歯部が提供される。これにより、安全上の特徴として使用され、またその外観が観察者の見る角度、照明源のタイプ及び位置により変わるロゴを有する煙草や食品のためのパッケージとして特に使用される膜を提供することが可能となる。歯の幾何学形状を幾何学的な変更は、全てマクロな範囲での変更となるため、光の波長より大きくなる。そのため、その波としての特性は無視でき、反射及び/又は屈折等の幾何学的光学から知られた影響は耐えうるものになる。例えはホログラム様のマーク又はその他同様のものといった特に複写が困難なロゴはこの装置で製造することはできない。
【0007】
本件出願人の、未公開の欧州特許出願第03405886.7号は、平坦材料をサテン仕上げ及びエンボス加工するための装置を記載し、そのエンボスローラは、(変更された幾何学的形状を有するマクロ構造状の歯部が可能であることに加えて)実質的に偽造を防止できるマイクロ構造のロゴを製造することを可能とする所定のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は1マイクロメータ以下から約30マイクロメートルまでの領域にある。
【特許文献1】国際公開第02/076716号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/030661号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願第3405886.7号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エンボスローラ等の製造における1つの問題は、表面の特性である。表面に所定のマイクロ構造を与えるために、特に、滑らかで粗い粒状構造を有さないことが必要である。既知の製造方法を用いて鋼材から作られるローラは、所望のマイクロ構造を与えるのに適さないことに注意すべきである。それは、通常はマイクロメータのオーダで存在する鋼材の粒状化の結果、比較的粗く粗粒状の表面構造が得られるからである。
【0009】
更に、膜上の異なる位置においてマイクロ構造状のロゴを同時にエンボス加工することは、異なる位置において、正確に定められ、比較的高く同質かつ特定のエンボス加工用圧力を作出することが必要となるため、極めて困難であることに注意すべきである。
【0010】
このような従来技術の背景の下に、本発明は、膜の所望の位置で、マイクロ構造ロゴをエンボス加工することを可能とするためのサテン仕上げ及びエンボス加工用の装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によると、凸状の歯部を有する第1のローラと、凸状の歯部、凸状の環状部又は凸状の長手方向のリブを有する少なくとも1つの第2のローラとを用いて、膜をサテン仕上げ及びエンボス加工するための装置であって、前記ローラ(1,3)の少なくとも1つが、少なくとも1つのマイクロ構造(10)を備え、前記マイクロ構造に対応する位置において他のローラの少なくとも1つに対向圧力面(11)が提供されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に記載の発明によると、膜の所望の位置で、マイクロ構造ロゴをエンボス加工することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を図面で示す実施形態を参照して、より詳細に説明する。
【0014】
図1は、いわゆるピンアップ−ピンアップ構造のエンボスローラ1及び対向ローラ3を示す。両ローラには、対向ローラを駆動すると共に図2(A),(B)に示すように膜を処理するために互いに係合する、同様の突出した歯部2,4が提供されている。
【0015】
歯部には、図示のように、平坦部分が設けられ、裁頭形のピラミッド形状になっているが、例えば、裁頭形の円錐形状、また半球といった歯部の他の幾何学形状も可能である。歯部2の高さは、一般に略100〜600マイクロメータである。
【0016】
図2に示す例では、1つのローラ(この場合エンボスローラ1)の各歯部2が他のローラ(この場合対向ローラ3)の4つの歯部の間に係合するようにローラは互いに関して配置されている。この歯部の配置は、特に、エンボスローラ1が駆動される場合に適用され、他方、対向ローラ3は、ローラ1に関して正しく配置される場合、自由に駆動され、エンボスローラ1により歯部又は膜を介して駆動される。
【0017】
ローラの配置は、欧州特許第0925911号明細書に従った配置と同様とすることもできる。そこでは、対向ローラ3の軸24が座標の3方向にすべてに自由且つ湾曲可能に案内されるように配置され、エンボスローラに対する対向ローラの位置を自動的に自己調整可能にしている。
【0018】
図3は、歯部2及び4の相互の係合を示し、その係合により、間の膜19が処理される。これは、エンボスローラ1が、金属層とラッカー21,22の中間コートとに、対向ローラ3が紙とプラスチックベース20とに作用することを示している。
【0019】
図1に戻ると、歯部がないブランク領域12(方形である)がエンボスローラ1に設けられる。その結果、2つのローラ間に膜が通過するとき、膜の金属処理領域は、夫々の領域でサテン仕上げされず、光沢のあるまま残る。これは、特に装飾目的で膜に単純なロゴを提供することを可能にする。この領域でこのようなロゴのみがエンボス加工される場合、又はサテン仕上げがなされない場合、対向ローラの事前の処理は不要であり、処理されないまま残る。
【0020】
図1は、エンボスローラ1の方形領域を示すが、所定のマイクロ構造10を備える。それらには、1マイクロメータ以下から約30マイクロメータまでの範囲の構造が設けられている。
【0021】
従って、それらは光の波長大であるため、マイクロ構造ロゴは、回折、干渉及び/又は偏光といった光の波の性質と関連した光学的効果を生じるマイクロ構造によって膜上に形成される。このようなロゴは、それ自体、色のついた外観、ホログラム、又はホログラム状パターン等の外形で表れる。例えば、光学分野から知られるように、単純なマイクロ構造では、グレーティングがある。グレーティング間のスペースは1マイクロメータ以下から約30マイクロメータまでの範囲である。
【0022】
マイクロ構造領域で十分に高いエンボス圧力を達成するために、それぞれの場所で、それぞれの対向圧力面11を対向ローラに設けることが必要である。これらの対向圧力面を図1と7において、補完的な方形の対向圧力面11として示す。この対抗圧力面は、膜の紙側又はプラスチック側に作用するため、一般にエンボス形状が構成されていない。好適な膜を両面にエンボス加工する場合は、対向圧力面も構造化され又はマイクロ構造化される。
【0023】
対向圧力面を製造するために、まず、この場所を例えばイオン光線によって平滑化することが必要である。そして、たとえば、パルスレーザ成膜法が、この平滑化された表面に、正確に対向圧力表面の層の厚さ、即ちマイクロ構造のへの距離を設定するために使用される。
【0024】
マイクロ構造10を備えたブランク領域12及び対向圧力面11を図7及び図8に拡大して示す。
【0025】
マイクロ構造が、ローラ表面の適切な処理によって製造される。上述したように、ローラは、マイクロメータ範囲での構造化を可能とするためには、通常(特に金属で作られる場合)粗すぎる粒状の表面を有する。鋼材の粗さは、通常マイクロメータ範囲にある。
【0026】
ローラ表面の所望の場所に、所定のマイクロ構造を確実に提供するために、ローラ表面を、まず少なくともそのような場所で平滑化し(例えば、イオン線によって)、次に、マイクロ構造化しうる更なる同質の表面層が加えられる。これを、図4及び5において単純化して示す。ローラ表面5は、平滑処理の前は、この拡大図では相対的に顕著な凹凸を有するが、平滑処理の後は比較的平らな面である。表面層6も、それにより比較的平らな基盤表面を有し、そこには(所定のマイクロ構造10に従い)凹部と凸部とが提供される。
【0027】
表面層が硬すぎると、特に鋼材に良好に接着しない。そのため、それらは比較的弱い力によっても剥離してしまう。その結果、中間層7を表面層6と実際のローラの表面5との間に設けることが適切であり、中間層は、表面層6に対する接着層として使用される。適切な中間層7の使用は、硬い表面層6とローラ表面5との間の連結を可能にし、その連結は高い接着力を特徴とする。中間層7は表面層6より柔らかく、基盤層に拡散する複数の異なる材料で合成されてもよい。
【0028】
図4及び5に概略的に示すように、凹部が溝8によって形成され、凸部が突出部9によって形成され、それらは互いに数マイクロメータ離間してそれぞれ配置される。用途に応じて、例えば、湾曲した凹部及び/又は凸部等のマイクロ構造が可能であることが理解されるべきである。
【0029】
表面層6は硬く、即ち平均すると少なくともローラ表面5と同じ硬さであり、ローラ1,3の通常の耐用年数は低減されない。ローラ1が、例えば鋼材を基本的な材料として作られている場合、少なくとも同程度の硬さの材料が、表面層6のために使用される。硬い表面層6は、マイクロ構造が、高い特有のエンボス圧力の下、ダメージを受けない状態で残ることを保証し、ローラ1の早期摩耗と破壊とが防止される。
【0030】
いわゆるパルスレーザ成膜法は、特に、表面層6を塗設するために好適であることが証明されている。この方法で、コートされる表面5はイオン衝撃によって滑らかにされ、清浄にされ、活性化される。次に、特別な六方晶形窒化ボロン相状の結合中間層7が生成され、次いで同時連続的な窒素又は窒素/アルゴン照射を伴うエキシマレーザ放射によりボロン、または窒化ボロンターゲットの除去により立方窒化ボロン(c−BN)の形の表面層7が生成される。更なる詳細は独国特許出願第19833123号公報の明細書に記載されている。
【0031】
成膜方法は、特に、60nm/minの高い成長速度を特徴とし、その結果、工業的規模でのマイクロ構造ローラの製造が可能となる。c−BN層に関する摩擦係数は、0.1の範囲にある。10ニュートン(DIN50133も参照)の試験的な力で測定されるヴィッカースマイクロ硬度は、c−BN層に対して40〜45GPaの範囲にある。鋼材は通常、1GPaのヴィッカースマイクロ硬度を有する。
【0032】
c−BN層に加え、タングステン又はダイヤモンド状炭素層等の他の硬い層もまた表面層として考えられる(これに関しては、「応用物理A」という雑誌に掲載された、ギュンターレイス,ステファン ヴァイスマンテル及びディルク ロストらによる「パルスレーザ成膜法による超硬コーティングの製造」記事を参照)。
【0033】
当該技術分野の当業者にとっては、パルスレーザ成膜法に加えて、他の更なる方法が周知である。それによってローラ表面に、好適な表面層6及び、所望の場合は、結合のための中間層7を提供することが可能となる。上述のローラ表面の平滑化は、研磨及び/又はラッピングによっても可能である。
【0034】
ローラの表面が鋼材以外の他の材料(例えば、銅又はセラミックコーティング又は全体がセラミックからなるローラ)から成る場合、この表面に層を提供することは必要でない場合もあり、そのような場合はローラ面に直接マイクロ構造が提供される。
【0035】
表面層6のこのマイクロ構造化は、適切なレーザシステムの適用によってもたらされ、例えば、マスクを介して減法で表面層を加工する。表面層を成膜してマイクロ構造化する上述の方法は、エンボスローラ1の表面に所定のマイクロ構造10を、多様な目的で所望の場所に設ける可能性を提供する。これはブランク領域12の場合は、かならずしも必要でない。
【0036】
図6は、図2(B)のVI−VI線に沿って拡大された断面図を示す例である。図6の断面は、図2(B)に矢印VI−VI線で示すように、歯部の頂部を通るエンボスローラ1の長手方向に延びる。平面的な横断面によって図6に示す対向ローラ3の歯部間の領域(即ち歯部の基部)を隔てて、図2(A)に示すピンアップ−ピンアップ構造に従った歯部の頂部は対向し、歯部が切断面の背後に視認されている。図6は、マイクロ構造10を備えたエンボスローラ1の複数の隣接した歯部頂部を示す。
【0037】
これらのいくつかの例に基づき、複数のマイクロ構造及び任意のマクロ構造がエンボスローラ1に設けられ、各々に多くの種類のパターンをフィルムにもたらす。エンボスローラ1には所定のマイクロ構造が広い表面領域又は部分的に制限された態様で提供される。
【0038】
図8は、エンボスローラ1のブランク領域12(方形である)を示し、それには2つのマイクロ構造10が提供されている。膜上にマイクロ構造形成のために必要なエンボス圧力を発生させることができるように、マイクロ構造10に対応する対向ローラ3の場所のそれぞれに対向圧力面が基本的に必要である。マイクロ構造が加えられるブランク領域が存在する場合、対向ローラの対向圧力面と同様な領域を使用することが必要である。その場合、いくつのマイクロ構造がブランク領域に存在してもいかなる役割も果たさない。
【0039】
図7は、ローラ1のブランク領域12の形状に対応した形の対向圧力面11を示し、それは両マイクロ構造10に適用される。これにより、マイクロ構造と対向圧力面との間の距離が十分に小さく、要求されるエンボス圧力を確実に発生できる。
【0040】
一般にエンボスローラは、マイクロ構造化され得るロゴをエンボス加工するために機械加工され、対向ローラは、マイクロ構造に対応する対向圧力面のみを備えるが、マイクロ構造を対向ローラに存在させ、対向圧力面をエンボスローラに設けることもできる。
【0041】
軸方向及び径方向の的確な位置に、特に対向圧力面11を確実に配置するために、例えば調整環状部や調整歯部などの形状の調整手段がローラ1,3に取り付けられる。この調整手段により、2つのローラ1,3の相対的位置を、取付時に互いに対して正確に調整することができる。更に、2つのローラ1,3は、例えば、ギアホイール又は電子的部材等の他の同期手段によって確実に同期可能である。
【0042】
図9は、2つのローラの係合状態を示す単純化した図面であり、歯部2及び4が係合した2つのローラ1及び3を示す。ローラ1及び3の端部には調整環状部13,14、他の歯部2,4より粗い調整歯部15,16が設けられ、ギアホイール17及び18によって確実に同期している。尚、個々の調整手段のみを使用することも可能である。
【0043】
上述したように、エンボス加工装置は1以上の対向ローラを備えてもよく、例えば国際公開02/076716に記載されているように、2つの歯のついた対向ローラ、又は環状部を有する1以上の対向ローラ、又は長手方向リブを有する1以上の対向ローラを備えることができる。
【0044】
特にマイクロ構造化したロゴをサテン仕上げ及びエンボス加工するための特に有利な方法が、膜19が、例えば中間ラッカー層などの少なくとも1つの熱可塑性層を備え、その層が熱によって変形する場合に得られる。膜は、例えば、正確な寸法ではないが図10の断面で示すようにパッキング工業において使用される。同図の19は、10〜100マイクロメータの厚さの紙繊維構造20を備え、その表面には、1〜5マイクロメータの厚さの中間ラッカー層21が提供される。15〜20nmの厚さの金属(例えばアルミニウム)の細密な層22が金属処理され、その層はそれ自体、非常に細密なカバーラッカー層23によって保護されている。
【0045】
膜の両面のエンボス加工が望ましい場合、膜は紙の両面に中間ラッカー層を備えてもよい。
【0046】
マイクロエンボス加工をするために必要な局所的エンボス圧力は、通常70度〜120度の温度に膜を加熱することによって大幅に低くすることができる。エンボス加工は、従って実質的に中間ラッカー層に導入されるだけで、全膜に導入されない。
【0047】
金属層22は非常に薄いので、マイクロエンボス加工によって生じる光学的効果は、視覚によって容易に視認することができる。
【0048】
この膜は、例えばエンボスローラ1及び/又は対向ローラ3及び/又はマイクロ構造領域を、加熱手段によって夫々の加熱温度に保持することにより加熱される。また、ローラ1及び3を通過する前に、膜を加熱することが可能である。適切な熱可塑性層又は中間ラッカー層を柔軟にするために、紫外線放射源等の適切な放射源が使用されてもよい。
【0049】
更なる変形例では、マイクロ構造の領域が、種々の目的に応じて、加熱温度又は通常の温度になるように加熱手段を選択可能にしてもよい。これは、実質的にマイクロ構造を活性化又は非活性化し、膜はそれぞれの位置でマイクロエンボス加工されるか又は非加工のまま残される。ガラスファイバー束及び/又は適切な光学的システムとの組み合わせた赤外線レーザは、エネルギーを局所的に供給するための加熱手段として使用されることができる。
【0050】
本発明による装置及び方法は、以下の利点を導く一方で、周知の好適な特性を保持する。
・粗い表面構造を有するローラ(特に鋼材又はセラミック製のもの)に、エンボス加工によりマイクロ構造を直接提供することができる。
・特に、通常はパッキング産業に使用される膜を処理することができる。
・加熱されたときに変形可能な層を有する膜が、低いエンボス圧力でエンボス加工される。正確なマイクロエンボス加工が、金属処理されたインナーライナーに形成される。更に、低いエンボス圧力の結果、ローラの摩耗又は損壊が低減される。
・膜上の異なる場所にマークをエンボス加工でき、そのマークの外観は、特に回折色効果又はホログラム様マークなどのように、観察者の視る角度及び/又は照明源のタイプや位置により変化するため、偽造に対して高い安全性を提供する。それは、特に、いくつかのマイクロ構造を膜の異なる位置にマイクロ構造ロゴを提供するために使用した場合、このように局所的に刻印されたマイクロ効果は、模倣がほとんど困難か又は高い困難性を有するからである。いわゆる影エンボス加工などの他の既知のエンボス加工方法との組み合わせで、膜に、紙幣などと同様の安全上の特徴部を提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】いわゆるピンアップ−ピンアップ構造のエンボスローラ及び対向ローラを示す。
【図2】(A)は、図1において他方のローラの4つの歯部の間に一方のローラの歯部が係合する状態を示す図1の詳細図であり、(B)は図1において、他方のローラの8つの歯部の間に一方のローラの8つの歯部が係合する状態を詳細図である。
【図3】歯部が相互に係合している状態を示す図1のIII-III線に沿った断面図である。
【図4】凹形マイクロ構造を備えたエンボスローラ表面の概略断面図である。
【図5】凸状のマイクロ構造を備えたエンボスローラ表面の概略断面図である。
【図6】図2(B)のVI−VI線に沿った部分拡大概略断面図である。
【図7】図8に対応した部分に属する対向ローラの対向圧力表面を示した概略図である。
【図8】マイクロ構造を有する図1のエンボスローラの第2の部分拡大概略図である。
【図9】調整及び同期手段を備えた2つのローラの変形例を示した概略図である。
【図10】エンボス加工及びサテン仕上げされる膜の断面を示した概略図である。
【符号の説明】
【0052】
1 エンボスローラ
2 歯部
3 対向ローラ
4 歯部
5 ローラ表面
6 表面層
7 中間層
8 溝
9 突出部
10 マイクロ構造
11 対向圧力面
12 ブランク領域
15 調整歯部
16 調整歯部
17 ギアホイール
18 ギアホイール
19 膜
20 紙繊維構造
21 中間ラッカー
22 層
23 カバーラッカー層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸状の歯部を有する第1のローラと、凸状の歯部、凸状の環状部又は凸状の長手方向のリブを有する少なくとも1つの第2のローラとを用いて、膜をサテン仕上げ及びエンボス加工するための装置であって、
前記ローラ(1,3)の少なくとも1つが、少なくとも1つのマイクロ構造(10)を備え、他のローラの少なくとも1つが前記マイクロ構造に対応する位置に対向圧力面(11)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記マイクロ構造(10)が、平滑化された表面層(6)に付着されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マイクロ構造(10)を有する前記表面層(6)と前記ローラ表面(5)との間に結合層として中間層(7)が付着され、前記表面層(6)が少なくとも前記ローラの表面と同等の固さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のローラ(1)が無歯領域(12)を備え、該無歯領域(12)に前記マイクロ構造(10)を有する少なくとも1つの表面層(6)が配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記表面層(6)、前記結合層(7)及び前記対向圧力面(11)の少なくとも1つが、パルスレーザ成膜法で製造され、好ましくは窒化ボロンを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ローラ(1,2)が、調整手段(13,14;15,16)及び/又は同期手段(17,18)を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つのマイクロ構造(10)を備える前記ローラが、駆動部と連結されたエンボス加工用ローラ(1)であり、少なくとも1つの対向面(11)が、自由回転する対向ローラ(3)に配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ローラ(1,3)が互いに対して弾性的に押圧可能で、前記対向ローラ(3)の前記軸(24)が3次元の空間座標の3つの方向全てに変位可能であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記膜に作用する放射源及び/又は熱源を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記サテン仕上げ及びエンボス加工される平坦材料が膜(19)であり、該膜(19)は、紙又はプラスチック材料製の基盤層(20)に付着される中間ラッカー層(21)と、前記基盤層(20)に付着される金属層(22)を備えることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記膜が、更にラッカーカバー層(23)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載されたサテン仕上げ及びエンボス加工するための請求項1〜9の1つに記載された装置を用いた方法であって、前記中間ラッカー層(21)が、少なくとも、前記マイクロ構造(10)によってエンボス加工される領域で軟化されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ローラ(1,3)間に案内される前に、前記マイクロ構造(10)を設けた前記ローラ(1)及び/又は前記膜(19)が加熱されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜9の何れか1項に記載した装置を用いて膜をサテン仕上げ及びエンボス加工するための方法であって、
前記膜が両面にエンボス加工されることを特徴とする方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−7776(P2006−7776A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182442(P2005−182442)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(501372606)ボエグリ − グラビュル ソシエテ アノニム (12)
【Fターム(参考)】