説明

平版印刷版原版

【課題】本発明の目的は、特定の、重合開始剤、赤外線吸収剤等を用いないで、ブルーミングを防止できる平版印刷版原版を提供するものである。
【解決手段】支持体、並びにラジカル重合性成分、赤外線吸収剤及びラジカル重合開始剤を含む輻射線感光性組成物を含有する画像形成層を含んで成る平版印刷版原版であって、
前記輻射線感光性組成物が、親水性部分を実質的に有しないフッ素化コポリマーを含む平版印刷版原版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型の輻射線感光性組成物を有する平版印刷版原版に関し、特に、良好な貯蔵寿命を有するネガ型平版印刷版原版に関する。
【背景技術】
【0002】
ネガ型の輻射線感光性組成物は、特に、平版印刷版原版に用いられるが、このような組成物は、一般に、輻射線感光性成分、ラジカル重合性成分、開始剤系を含む。平版印刷版原版の分野における最近の開発は、レーザー又はレーザーダイオードによって画像形成することができ、そしてより具体的には機上で画像形成及び/又は現像することができる輻射線感光性組成物に向けられている。レーザーはコンピュータにより直接的に制御することができるので、レーザー露光は、像形成された「マスク」のようなハロゲン化銀フィルムを必要としない。商業的に入手可能な画像セッターにおいて使用される高性能レーザー又はレーザーダイオードは一般に、少なくとも700nmの波長を有する輻射線を放射し、ひいては、輻射線感光性組成物は、電磁スペクトルの近赤外領域又は赤外領域において感光することが必要とされる。しかしながら、他の有用な輻射線感光性組成物は、紫外線又は可視線で画像形成するように構成されている。
【0003】
平版印刷版原版には、ネガ型とポジ型の2つのタイプある。ネガ型印刷版原版の場合、輻射線感光性組成物中の露光された領域は硬化し、そして非露光領域は、現像液に溶解され、除去される。これに対し、ポジ型印刷版原版では、露光された領域は現像液に対して可溶性となり、溶解されて除去され、そして非露光領域は支持体上に残る。
【0004】
反応性ポリマーバインダーを含有する種々のネガ型の輻射線感光性組成物及び平版印刷版原版が当業者に知られている。これらの輻射線感光性組成物は、一般に、輻射線感光性成分、ラジカル重合性成分、開始剤系を含み、さらに現像性、感光性等を向上させるために、種々の追加の成分を含む。
【0005】
この技術分野の種々の輻射線感光性組成物は、その成分として、多くの塩を含んでいる。例えば、赤外線吸収剤のIR色素は、多種多様のイオン性化合物が用いられており、また重合開始剤も多種多様のイオン性化合物が用いられている。このようなイオン性化合物は、保存中に輻射線感光性組成物の塗膜内を移動して集まって、局在化し、さらには結晶化する(このような状態を「ブルーミング」という)傾向を有する。ブルーミングを起こした平版印刷版原版を、画像形成のために露光すると、ブルーミングを生じた部分の硬化が不十分となり硬化ムラを生じ、ひどい場合は硬化しない場合もあり、従来から問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−538446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平版印刷版原版のブルーミングを防止する一つの方法として、特開2009−538446号公報には、輻射線感光性組成物の塗膜内でブルーミングを起こさない、特定の構造を有するホウ酸ヨードニウム開始剤組成物を用いることが提案されている。しかし、特定の、重合開始剤、赤外線吸収剤等を用いないで、ブルーミングを防止できることが好ましい。
【0008】
ブルーミングは、平版印刷版原版の保存寿命を短くし、画像形成を不安定にする。従って、ブルーミングを起こさない、保存寿命が向上した平版印刷版原版のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、ブルーミングが、輻射線感光性組成物の塗膜中の水分によって加速されることを見出した。平版印刷版原版は、調製後に乾燥され、梱包される。平版印刷版原版が、長期間保存されると、梱包内の水分が、塗膜表面から浸透する。また、開梱した後、放置すると、周囲空気に含まれている水分が塗膜表面から浸透する。水分子は極性を有しており、この極性が、イオン性化合物の局在化を促進すると考えられる。
【0010】
本願発明者は、輻射線感光性組成物に、親水性部分を有しないフッ素化ポリマーを添加すると、イオン性化合物の移動、局在化が抑制されることを見出し、本発明を完成した。本発明は、支持体、並びにラジカル重合性成分、赤外線吸収剤及びラジカル重合開始剤を含む輻射線感光性組成物を含有する画像形成層を含んで成る平版印刷版原版であって、前記輻射線感光性組成物が、親水性部分を有しないフッ素化ポリマーを含む平版印刷版原版を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の平版印刷版原版は、輻射線感光性組成物の添加剤として実質的に親水性部分を有しないフッ素化ポリマーを用いる。ここで、「実質的に親水性部分を有しない」とは、このフッ素化ポリマーが実質的に親水性を有しないことにより界面活性剤としての機能を発現していないことを意味する。界面活性剤は、その構造中に親水性基と疎水性基とを有しており、親水性基は水分子と結合しやすく、親水性基が存在すると、水分子が塗膜内に取り込まれ易くなり、ブルーミングを助長する方向にはたらくと考えられる。
【0012】
本明細書で用いる「親水性部分」とは、化合物の構造中、水と強く相互作用する部分をいい、典型的には、カチオン性基、アニオン性基、酸性基、ポリオキシエチレン基等をいう。具体的には、−COOH、−OH、−NH2、−NHCONH2、−(OCH2CH2)−、−SO3H、−SO3M、−OSO3H、−OSO3M、−COOM、NR3X(ここで、Mはアルカリ金属または−NH4、Rはアルキル基、Xはハロゲンである)等が挙げられる。本発明の平版印刷版原版に用いることができるフッ素化ポリマーは、このような親水性部分を実質的に含まない。
【0013】
本発明の平版印刷版原版に用いることができるフッ素化ポリマーの一つの例は、次式(I)で表されるフッ素化コポリマーである。
【0014】
【化1】

【0015】
(上式中、
1及びR2は、水素又はメチル基であり、
Rfはフッ素原子で置換された脂肪族基を表し、
Zは二価の有機基を表し、そして
Xはカチオン性基、アニオン性基、酸性基、ポリオキシエチレン基を実質的に含まない任意の有機基を表す。
【0016】
前記フッ素化コポリマーは、好ましくは、式(I)のモノマー単位を10〜97モル%、式(II)のモノマー単位を3〜90モル%含む。
【0017】
式(I)のRf基は、炭素数が1〜20であって、末端の3つの水素原子のうち、少なくとも2つがフッ素原子で置換されたフルオロ脂肪族基が好ましい。
【0018】
Rf基は、通常飽和され、かつ一般に1価または2価の脂肪族基である。この脂肪族基は、直鎖、分岐鎖、環式、またはこれらの組合せ(例えば、アルキルシクロ脂肪族基)の構造を有するものである。フルオロ脂肪族骨格鎖は、炭素原子にのみ結合した連鎖の酸素および/または3価の窒素ヘテロ原子を含むことができる。このヘテロ原子は、フルオロ炭素基間の間に安定な結合を与え、かつRf基の不活性特性を妨害しない。
【0019】
Rf基は、1〜20個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有し、その末端の3つの水素原子のうち、少なくとも2つがフッ素原子で置換されているものである。このようなRf基の末端としては、例えば、CF3CF2CF2−が挙げられる。特に、Rf基としては、パーフルオロアルキル基が好適である。パーフルオロアルキル基とは、Cn2n+1 (nは3以上の整数)のように、実質上完全に、または十分にフッ素化されたアルキル基のことである。
【0020】
Rf基の炭素数が1から20のものは、イオン性化合物の局在化を防ぐ効果が大きく、特にRf基の炭素数が4から10のものは、イオン性化合物の局在化を防ぐ効果が更に大きい。一方、Rf基の炭素原子数が21以上の場合には、得られた共重合体の溶剤に対する溶解性が低くなり、平版印刷版原版に供する場合の溶剤に制約が発生する。
【0021】
式(I)のZは二価の有機基を表し、例えば、−CO−O−基、−CO−NH−基、CO−O−Q―基、−CO−NH−Q基等である。ここでQ基は、メチレン基、エチレン基、−CH−CH−CO−O−基、―CH-CH−O−CO−基を指す。
【0022】
式(I)のXはカチオン性基、アニオン性基、酸性基、ポリオキシエチレン基を含まない任意の有機基である。Xに含まれない、カチオン性基、アニオン性基、酸性基、ポリオキシエチレン基の例としては、例えば、カチオン性基としてはトリアルキルアンモニウム基、アンモニウム基、アニオン性基としてはカルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基等、酸性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等、これらの基はいずれも親水性を付与する基であり、このような基を有するフッ素化ポリマーは、本発明においては実質的に用いられない。
【0023】
好ましくは、Xは、−CO−A−Y基である。Aは、酸素原子又はNR4−を表し、ここでR4は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。Yは、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、不飽和基を有する1価の有機基から成る群より選ばれる。
【0024】
本発明のフッ素化ポリマーのXを含むモノマーの例としては、アルキルアクリレート(該アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリヌリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど)、アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレートなど)、アルキルメタクリレート(該アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクゾレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど)、アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど)、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、プロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0025】
また以下の構造を持つモノマーも挙げられる。
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、X、Yはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子または−N(R12)−を表す。Zは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−またはフェニレン基を表す。R1〜R12はそれぞれ独立に1価の置換基を表す。)
【0028】
前記一般式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立して1価の置換基を表し、例えばR1としては、水素原子、1価の有機基例えば置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても良いアルキルアミノ基、置換基を有しても良いアリールアミノ基、置換基を有しても良いアルキルスルホニル基、置換基を有しても良いアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基が好ましい。ここで、導入しうる置換基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R12)−を表し、R12としては、置換基を有しても良いアルキル基などが挙げられる。
【0029】
前記一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立して1価の置換基を表し、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、一般式(1)においてあげたものが例示される。Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12としては、一般式(1)において挙げたものが挙げられる。
【0030】
前記一般式(3)において、R9〜R11は、それぞれ独立して1価の置換基を表し、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、置換基としては、一般式(1)において挙げたものが同様に例示される。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−またはフェニレン基を表す。R12としては、一般式(1)において挙げたものが挙げられる。
これらの中で、一般式(1)で表わされるメタクリロイルオキシ基が好ましい。
【0031】
式(I)のモノマー単位が、10〜97モル%の量でフッ素化ポリマー中に存在するのが好ましい。10モル%未満であると、塗工溶剤に対する溶解性が下がり好ましくない。また、97モル%を超えると、フッ素化ポリマーの疎水性が弱まり、結果として本件の効果が弱まるため好ましくない。さらに好ましくは、式(I)のモノマー単位の量は、50%から97%である。
【0032】
式(II)のモノマー単位が、3〜90モル%の量でフッ素化ポリマー中に存在するのが好ましい。3モル%未満であると、フッ素化ポリマーの疎水性が弱まり、結果として本件の効果が弱まるため好ましくない。また、90モル%を超えると、塗工溶剤に対する溶解性が下がり好ましくない。さらに好ましくは、式(II)のモノマー単位の量は、3%から50%である。
【0033】
本発明のフッ素化コポリマーは、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーとなることができる。
【0034】
本発明のフッ素化コポリマー、必要に応じてさらに次式(1)で表されるマレイミド骨格を有するモノマー単位を有していることが好ましい。
【0035】
【化3】

【0036】
(式中、Rは、水素原子、または置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アリール基からなる群より選ばれる炭化水素基を表す。)
【0037】
このようなマレイミド骨格を有する含フッ素樹脂は、フッ素化ポリマーの疎水性を上げて、本件の改善効果にさらに優れている。マレイミド骨格は、N−置換マレイミド骨格であることがより好ましく、N−環状炭化水素置換マレイミド骨格であることがさらに好ましい。
【0038】
マレイミド骨格を含フッ素樹脂の構造中に組み込む方法としては、例えば、無水マレイン酸含有重合体にアミン化合物を付加させる方法(イミド化)、Rf基を有する(メタ)アクリレートと、水酸基を有する(メタ)アクリレート、または(メタ)アクリル酸、またはグリシジル基を有する(メタ)アクリレートと、マレイミド骨格を有する化合物とを重合する方法などが挙げられる。このような方法は、例えば、特開昭59−24844号、特開昭61−34046号、特開昭61−128243号、特開昭61−162039号、特開昭61−250048号、特開昭62−94840号、特開昭62−153305号、特開昭62−283108号公報等に記載されている。無水マレイン酸含有重合体の代表的な例としてはスチレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。
【0039】
マレイミド骨格を有する化合物としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェニルマレイミド、N−エチルフェニルマレイミド、N−ジエチルフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−フェノキシフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−フェニルカルボニルフェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ビニルマレイミド、N−アリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;マレイミドのような非N−置換マレイミド類が挙げられる。なお、上記マレイミド類に結合している置換フェニル基においては、その置換基が、フェニル基の中でN原子と結合していない他のどの炭素原子と結合していてもよい。
【0040】
本発明の平版印刷版原版に用いることができる親水性部分を有しないフッ素化ポリマーの具体例としては、例えば、以下のフッ素化ポリマーが挙げられる。図中の比率はモル%を表す。
【0041】
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【0042】
これらの化合物は界面活性作用を有しない。これらのフッ素化ポリマーを単独で用いてもよく、また複数種の混合物として用いても良い。
【0043】
(林、文中に書き込みます。)
親水性部分を有しないフッ素化ポリマーの総量は、画像形成層の乾燥重量を基準として少なくとも0.01質量%であり、最大10質量%の量で画像形成層中に存在する。好ましくは、画像形成層の乾燥重量を基準として、0.1〜1質量%の量で存在する。フッ素化ポリマーの量が0.01質量%未満であると、本件の効果が弱まり、好ましくない。また、10質量%を超えると、露光した際の画線強度が弱まり、好ましくない。
【0044】
<ラジカル重合性成分>
本発明の輻射線感光性組成物は、重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含む。本発明に用いる(メタ)アクリロイル基を持つ中和されたリン酸エステル化合物を含む画像形成層は、活性化光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し硬化する。画像露光した平版印刷版原版は適当な現像液等で処理することにより未露光部が除去されて、ネガ画像を形成する。
【0045】
本発明に用いることができる(メタ)アクリロイル基を持つリン酸エステル化合物は、構造式中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルであり、具体的には、次式の構造を有するリン酸(メタ)アクリレートモノマーである。
【0046】
【化10】

(式中、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子またはメチル基、nは、1から6の整数である)
【0047】
リン酸メタクリレート構造をとる場合、分子構造中にPEG(ポリエチレングリコール)鎖、PPG(ポリプロピレングリコール)鎖等のポリアルキレングリコール鎖が存在することも、印刷機上での良好な現像性の向上のために好ましい。上記構造式に含まれる化合物には、例えば以下のものを挙げることができる。これらはいずれも、ユニケミカル株式会社から販売されている。
【化11】

【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
本発明では、これらのリン酸(メタ)アクリレートモノマーを塩基を用いて中和する。中和の方法としては、リン酸(メタ)アクリレートモノマーに対し、モル換算で1当量から2当量の塩基を加えて行う。ここで中和に用いることができる塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、有機アミンなどが例としてあげられるが、そのうち特にアルカリ金属水酸化物およびヒドロキシルアルキルアミンが好ましい。アルカリ金属水酸化物には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等が含まれる。ヒドロキシルアルキルアミンには、例えば、メチルヒドロキシルアミン、エチルヒドロキシルアミン、およびトリエタノールアミン等が含まれる。
【0051】
中和されるリン酸(メタ)アクリレートモノマーの比率は、感光性組成物からなる層を構成する全固形分に対して5〜20質量%である。5質量%未満では支持体に対する接着性が劣り、さらに経時変化によって非画線部にインキ汚れを生じる。中和される比率が20質量%を超えると画像形成領域の機械的強度が弱くなる。
【0052】
本発明の感光性組成物中に、重合性化合物として、リン酸(メタ)アクリレートモノマー以外の重合性化合物を併せて含むことが望ましい。例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物の形態で使用されることができる。
【0053】
モノマーまたはオリゴマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)及びそのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
【0054】
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
【0055】
また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することもできる。
【0056】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0057】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0058】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0059】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0060】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0061】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0062】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0063】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドであるラジカル重合性化合物の具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
【0064】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH(ただし、R1及びR2は、それぞれ独立して、H又はCH3を示す)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0065】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
【0066】
さらに、特開昭63−277653、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いてもよい。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0067】
ポリマー型の少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物としては、上記のモノマーまたはオリゴマーの重合体の他に、例えば、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。
【0068】
本発明の重合性化合物は、紫外線(UV)、可視光線、および赤外線(IR)等の放射線に露光した後に、感光性組成物が湿式現像剤、もしくは湿し水/印刷インキに対して不溶になるように、該感光性組成物中に十分な量で存在する。具体的には、感光性組成物の全成分の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%の範囲である。
【0069】
<赤外線吸収剤>
【0070】
本発明の平版印刷版原版に用いることができる好ましい赤外線吸収剤は、スクアリリウム色素、クロコネート色素、トリアリールアミン色素、チアゾリウム色素、インドリウム色素、オキサキゾリウム色素、シアニンおよびメロシアニン色素、ポリアニリン色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素、カルコゲノピリロアリーリデンおよびビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ピリリウム色素、およびフタロシアニン顔料である。その他の有用な種類には、アズレニウムおよびキサンテン色素、ならびにカーボンブラック、金属炭化物、ホウ化物、窒化物、炭窒化物、およびブロンズ構造の酸化物が含まれる。
【0071】
これらの中でも、赤外線吸収剤としては、光重合開始剤に効率よく重合機能を発揮させることから、下記式で表される近赤外線吸収性陽イオン色素が好ましい。
【化14】

【0072】
(式中、D+は近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素を示し、A-はアニオンを示す。A-は色素分子内にあって分子内塩の構造を取っても良い。)
【0073】
近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素としては、近赤外線領域に吸収を持つシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アミニウム系色素、ジインモニウム系、色素等を拳げることができる。近赤外線領域に吸収を持つ陽イオン色素の具体例としては、以下に示すものを拳げることができる。
【0074】
【化15】

【0075】
【化16】

【0076】
アニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO4-、PF6-、BF4-、SbF6-、CH3SO3-、CF3SO3-、C65SO3-、CH364SO3-、HOC64SO3-、ClC64SO3-、および前記4級ホウ素アニオン上記式(1)で表されるホウ素陰イオンなどが挙げられる。ホウ素陰イオンとしては、トリフェニルn−ブチルホウ素陰イオン、トリナフチルn−ブチルホウ素陰イオンが好ましい。
【0077】
赤外線吸収剤として色素を使用する場合、色素の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲が特に好ましい。色素の含有量が0.5質量%未満では、赤外線の吸収が不十分であり、色素の含有量が15質量%を超えると、赤外線の吸収が実質的に飽和に達して添加の効果が上がらない傾向にあるので好ましくない。
【0078】
<ラジカル重合開始剤>
本発明の感光性組成物は、上述した重合性化合物と、開始フリーラジカルを発生させるための光重合開始剤とを含むことが好ましい。光重合開始剤としては、上述した重合性化合物の重合を開始させることができるものであればいずれも用いることができる。約300〜1400nmのスペクトル範囲に対応する紫外線、可視光線、および/または赤外線のスペクトル範囲内の電磁放射に対して活性な光開始剤を使用することができる。そのような光開始剤系には、例えば米国特許第4,997,745号明細書に記載されているような、単独で存在するまたは光増感剤と共に在るトリクロロメチルトリアジン;米国特許第5,546,258号明細書に記載されているような、ジアリールヨードニウム塩および光増感剤;例えば米国特許第5,599,650号明細書に記載されているような、トリクロロメチルトリアジンと共に在る可視光活性化のための分光増感剤;米国特許第5,942,372号明細書に記載されているような、アニリノ−N,N−2酢酸などのポリカルボン酸共開始剤と、ジアリールヨードニウム塩やチタノセン、ハロアルキルトリアジン、ヘキサアリールビスイミジゾール、ホウ酸塩、およびアルコキシまたはアシルオキシ基により置換される複素環式窒素原子を含有する光酸化剤などの2次共開始剤と共に在る、紫外線および可視光活性化のための3-ケトクマリン;米国特許第5,368,990号明細書に記載されているような、シアニン色素、ジアリールヨードニウム塩、および芳香環に直接結合しているN、O、またはS基にメチレン基を介して結合されたカルボン酸基を有する共開始剤;米国特許第5,496,903号明細書に記載されているような、トリクロロメチルトリアジンおよび有機ホウ素塩と共に在る、赤外線活性のためのシアニン色素;米国特許第6,309,792号明細書に記載されているような、赤外線吸収剤、トリクロロメチルトリアジンおよびアジニウム化合物を含む開始フリーラジカルを生成することが可能な化合物、芳香環に直接結合しているN、O、S基にメチレン基を介して結合されたカルボン酸基を有するポリカルボン酸共開始剤が含まれる。
【0079】
本発明においては、光重合開始剤として、次式(II):
【化17】

【0080】
(上式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、若しくは複素環式基であるか、又はR1、R2、R3、R4の2つ又は3つ以上は、一緒に結合して該ホウ素原子を有する複素環式環を形成する)
で表されるホウ素アニオンを含むホウ素塩化合物を用いる。
【0081】
ホウ素塩化合物またはオニウム塩化合物を、中和されたリン酸(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて好適に用いることができる。これらのイオン系開始剤は、従来のリン酸(メタ)アクリレートと一緒に用いると、そのイオン形態が経時的にリン酸によって破壊され、平版印刷版原版を不安定にし、保存寿命を短くするという問題があった。本発明の中和されたリン酸(メタ)アクリレートモノマーを用いるとそのような問題点は解決される。これらの光重合開始剤は単独でもまたそれぞれ2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0082】
ホウ素塩化合物は、赤外線吸収剤と併用することで重合開始剤としての機能を発現する。ホウ素塩化合物としては、下記式で表される4級ホウ素アニオンのアンモニウム塩が好適である。
【0083】
【化18】

【0084】
(式中、R4,R5,R6およびR7は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アルカリール基、アリル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示し、R1,R2,R3およびR4のうち少なくとも1つは炭素数1〜8個のアルキル基である。また、R8,R9,R10およびR11は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、アルカリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、または飽和もしくは不飽和複素環式基を示す。)
【0085】
これらの中でも、効率よく重合機能を発揮できることから、テトラn-ブチルアンモニウムトリフェニルホウ素、テトラn-ブチルアンモニウムトリナフチルホウ素、テトラnーブチルアンモニウムトリ(p-t-ブチルフェニル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-ブチルトリナフチルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-オクチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn-オクチルトリナフチルホウ素、テトラエチルアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラエチルアンモニウムn-ブチルトリナフチルホウ素、トリメチルハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、トリエチルハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラハイドロゲンアンモニウムn-ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムテトラn-ブチルホウ素、テトラエチルアンモニウムテトラn-ブチルホウ素などが好ましく用いられる。
【0086】
上記のホウ素塩化合物は、赤外線吸収剤と併用することで、赤外線の照射によってラジカルを発生させ、重合開始剤としての機能を発現することができる。
【0087】
ホウ素塩化合物の含有量は、画像形成層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。ホウ素塩化合物の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、硬化が不足して、得られるネガ型平版印刷版の画像部が弱くなり、ホウ素塩化合物の含有量が15質量%を超えると、重合反応が効率的に起こらない。また必要に応じて、2種以上の(B)ホウ素塩化合物を併用してもよい。
【0088】
オニウム塩化合物は、分子中に1個以上のオニウムイオン原子を有するカチオンと、アニオンとからなる塩である。オニウム塩におけるオニウムイオン原子としては、スルホニウムにおけるS+、ヨードニウムのI+、アンモニウムにおけるN+、ホスホニウムにおけるP+原子、ジアゾニウムのN2+などを挙げることができる。中でも、好ましいオニウムイオン原子としては、S+、I+、N2+を拳げることができる。オニウム塩化合物の構造としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジフェニルジアゾニウム、およびそれら化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体、およびその化合物のベンゼン環にアルキル基、アリール基等を導入した誘導体を拳げることができる。
【0089】
オニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン陰イオン、ClO4-、PF6-、BF4-、SbF6-、CH3SO3-、CF3SO3-、C65SO3-、CH364SO3-、HOC64SO3-、ClC64SO3-、ホウ素陰イオンなどを挙げることができる。
【0090】
オニウム塩化合物としては、感度、保存安定性の点から、分子中にS+を有するオニウム塩と、分子中にI+を有するオニウム塩とを組み合わせたものも好ましい。また、オニウム塩としては、感度、保存安定性の点から、1分子中に2個以上のオニウムイオン原子を有する多価オニウム塩も好ましい。ここで、カチオン中の2個以上のオニウムイオン原子は、共有結合により連結されている。多価オニウム塩の中でも、1分子中に2種以上のオニウムイオン原子を有するものが好ましく、1分子中にS+およびI+を有するものもより好ましい。
【0091】
オニウム塩化合物の含有量は、画像形成層の固形分に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。オニウム塩化合物の含有量が0.1質量%未満では、重合反応が不十分となり、得られるネガ型平版印刷版原版の感度、耐刷性が不十分となるおそれがあり、オニウム塩化合物の含有量が15質量%を超えると、得られるネガ型平版印刷原版の現像性が悪くなる。また必要に応じて、2種以上のオニウム塩化合物を併用してもよい。また、多価オニウム塩化合物と、一価のオニウム塩化合物とを併用してもよい。
【0092】
また、光重合開始剤にはメルガプト-3-トリアゾール等のメルカプト化合物、アミン化合物等の任意の促進剤を加えてもよい。
【0093】
好ましい光開始剤系には、紫外線、可視光線、または赤外線吸収剤と、開始フリーラジカルを生成することができる電子受容体と、電子および/または水素原子を供与することができかつ/または開始フリーラジカルを形成することができる共開始剤が含まれる。放射線吸収剤の量は、放射線露光した後に、感光性組成物が湿式現像剤、もしくは湿し水/印刷インキに対して不溶になるのに要する量である。放射線吸収剤の濃度は、約0.05〜3モルl-1cm-1、好ましくは約0.1〜1.5モルl-1cm-1、より好ましくは0.3〜1.0モルl-1cm-1の範囲内のモル吸収率が得られるような範囲内であることが好ましい。
【0094】
<支持体>
本発明の平版印刷版原版の支持体は、表面が親水性であれば如何なるものでも使用することができるが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅等のような金属またはその合金(例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)の板、更に、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属または合金がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48-18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフイルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。通常その厚さは0.05mm〜1mm程度である。
【0095】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、後述する砂目立て処理、陽極酸化処理、あるいはケイ酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、ポリビニルホスホン酸、リン酸塩等の水溶液への浸漬処理等の表面処理がなされていることが好ましい。
【0096】
砂目立て処理方法は、特開昭56-28893号公報に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。その中でも本発明において有用に使用される表面粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は100〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dm2の条件で電解を行うことが好ましい。
【0097】
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
【0098】
好適に用いられるアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができ、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、アルミニウムの溶解量が5〜20g/m3となるような条件が好ましい。
【0099】
エッチングの後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いることができる酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等を挙げることができる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53-12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、および、特公昭48-28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法を挙げることができる。尚、本発明において好ましいアルミニウム支持体の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.7μmである。
【0100】
上述したようにして処理されたアルミニウム支持体は、さらに陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理は、当該技術分野において従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シユウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて、水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
【0101】
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法、および米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
【0102】
本発明においては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2未満であると版に傷が入りやすく、10g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/m2であり、更に好ましくは、2〜5g/m2である。
【0103】
本発明においては、支持体は、砂目立て処理および陽極酸化後に、封孔処理を施されてもよい。かかる封孔処理は、熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への支持体の浸漬並びに水蒸気浴などによって行われる。また本発明で使用される支持体には、アルカリ金属ケイ酸塩によるシリケート処理、弗化ジルコニウム酸カリウムによる処理、ポリアミンスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、もしくはポリメタクリル酸等の水溶液による処理などの表面処理が施されてもよい。
【0104】
本発明においては、支持体(アルミニウム板の場合には、上記の如く適宜表面処理を施されたアルミニウム板が好ましい)上に、上述した感光性組成物からなる画像形成層を塗布し、必要に応じて更に保護層を塗工することで、平版印刷版原版が形成される。本発明の感光性組成物は支持体との密着性が非常に優れているので画像形成層と支持体との間に有機または無機の下塗り層を設ける必要はないが、必要に応じて設けてもよい。また、必要ではないが、特開平7-159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル-ゲル処理を施してもよい。
【0105】
平版印刷版原版は、半導体レーザーの第2高調波(SHG-LD、350〜600nm)、YAG-SHGレーザー、lnGa N系短波半導体レーザー等により直接露光された後、現像処理可能であるが、明室で取り扱うことを可能とするために、近赤外線から赤外線領域に最大強度を有する高出力レーザーを使用するのが好ましい。このような近赤外線から赤外線領域に最大強度を有するレーザーとしては、760〜1200nmの波長領域に最大強度を有する各種レーザーが使用される。尚、画像露光後、現像までの間に、光重合性画像形成層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセスを設けてもよい。
【0106】
現像処理に使用される現像液としては、従来知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウム等の無機アルカリ剤を挙げることができる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、nーブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤を併用してもよい。これらのアルカリ剤は単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
更に現像液に、以下に記載する界面活性剤を加えてもよい。現像液の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、へキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤:ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのはアルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤、アルキルベタイン類、式(2)で示されるポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤である。
【0108】
1-O-(R2-O)nH (2)
{式(2)中、R1は置換基を有してもよい炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数4〜15の複素芳香族環基(該置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜15のアシル基を挙げることができる。)を示し、R2は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基(該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を挙げることができる。)を示し、nは1〜100の整数を表す}。また式(2)の(R2-O)nの部分は、上記範囲であれば、2種、または3種の基であってもよい。具体的にはエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソプロピルオキシ基、エチレンオキシ基とブチレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソブチレン基等の組み合わせのランダムまたはフロック状に連なったものを挙げることができる。
【0109】
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%が好ましい。
【0110】
本発明において、前記現像液には上記の成分の他に、必要に応じて以下に記載する成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p-エチル安息香酸、p-n-プロピル安息香酸、p-イソプロピル安息香酸、p-n-ブチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、p-2-ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート剤、還元剤、色素、顔料、硬水軟化剤、防腐剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0111】
本発明の平版印刷版原版の前記現像液による現像は、常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る等により行う。更には自動現像機を用いて現像処理を行ってもよく、その場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。なお、画像形成層上に保護層が設けられている場合は、前記した現像液を用いて、保護層の除去と画像形成層の未露光部の除去を同時に行ってもよいし、または、水、温水で保護層を先に除外し、その後未露光部の画像形成層を現像液で除去してもよい。これらの水または温水には、例えば特開平10−10754号公報に記載の防腐剤、特開平8−278636号公報に記載の有機溶剤等を含有させることができる。
【0112】
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、好ましくは、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0113】
また、環境問題に配慮して、pHが中性領域のいわゆる水を用いて現像することもできる。この場合も現像性向上を目的として、現像液のところで記載した界面活性剤、現像後の版面の不感脂化を目的として上述の不感脂化液を、現像液として水に添加することもできる。
【0114】
上記のような処理により得られた平版印刷版原版は、周知の後露光処理やバーニング等の加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。次いで、以上のような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0115】
また、得られた平版印刷版原版は、機上現像タイプにも使用されることができる。この得られた平版印刷版原版を画像様に露光後、そのまま印刷機版胴に取り付けて印刷を開始できる版にも使用する事ができる。
【実施例】
【0116】
下記例において本発明をより詳細に説明するが、これらの例は本発明を限定するものでない。
下記例において略号を用いて表した化合物は以下のとおりである。
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
MEK:メチルエチルケトン
Polymer A:メタクリル酸、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メチルのコポリマー
【0117】
IR色素A:以下に示すシアニン系赤外線吸収色素
【化19】

【0118】
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)で入手可能
【0119】
色素B:以下に示すトリフェニルメタン系染料
【0120】
【化20】

【0121】
MDP:以下に示すヒンダードフェノールタイプの重合禁止剤、住友化学(株)で入手可能
【0122】
【化21】

【0123】
TAZ−104:以下に示すトリハロメチルトリアジン化合物、みどり化学(株)で入手可能
【0124】
【化22】

【0125】
P3B:以下に示すホウ素化合物、昭和電工(株)で入手可能
【0126】
【化23】

【0127】
N3B:以下に示すホウ素化合物、昭和電工(株)で入手可能
【0128】
【化24】

【0129】
CGI−909:以下に示すホウ素化合物、チバスペシャルティケミカルス(株)で入手可能
【0130】
【化25】

【0131】
Na/TPB:以下に示す構造のホウ素化合物
【0132】
【化26】

【0133】
Zonyl FSO:ノニオン型フッ素系界面活性剤
Zonyl FSA:アニオン型フッ素系界面活性剤、25%水溶液として供給される。
【0134】
Initiator A:以下に示す構造のホウ素化合物
【0135】
【化27】

【0136】
ACA230AA:アルカリ可溶性側鎖エチレン性不飽和二重結合基含有アクリル樹脂、ダイセル化学(株)で入手可能。53%溶液として供給される。
【0137】
Irgacure 250は、75%プロピレンカーボネート溶液として、Ciba specialty Chemicals, Tarrytown, NYから入手可能なヨードニウム塩であり、そして式、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル],-ヘキサフルオロホスフェートを有する。
【0138】
IR吸収色素1は、次式によって表される:
【化28】

【0139】
実施例において使用したフッ素化ポリマー溶液P−1〜P−9を以下に示す。図中の比率はモル%を表す。
【0140】
P−1:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化29】

【0141】
P−2:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化30】

【0142】
P−3:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化31】

【0143】
P−4:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化32】

【0144】
P−5:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化33】

【0145】
P−6:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化34】

【0146】
P−7:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化35】

【0147】
P−8:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化36】

【0148】
P−9:以下のポリマーの25%メチルイソブチルケトン溶液
【化37】

【0149】
例において、使用した輻射線感光性組成物のベースとなる組成物A、B及びCの内容は以下のとおりである。
【0150】
【表1】

【0151】
【表2】

【0152】
【表3】

【0153】
Desmodur N100(Bayer Corp., Milford, CTから入手可能な、ヘキサメチレンジイソシアネートを主剤とする脂肪族ポリイソシアネート樹脂)を、ヒドロキシエチルアクリレートおよびペンタエリトリトールトリアクリレートと反応することにより、ウレタンアクリレートを調製した。40%メチルエチルケトン溶液として使用される。
【0154】
グラフト・コポリマー1はポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)-ω-メトキシ-,エテニルベンゼンでグラフトされたポリマーであり、これを、80%n-プロパノール/20%水の溶剤中25%の分散体として、表1の成分と合体させる。グラフト・コポリマー2は、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート-アリルメタクリレート・グラフト・コポリマーであり、これを、メチルエチルケトン中10%の分散体として、表1の成分に添加する。
【0155】
実施例1〜4、比較例1、2
ベース組成物Aに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1を加えて、実施例(発明)1〜4とし、フッ素化ポリマーの代わりにフッ素系界面活性剤を用いて比較例1,2として、最終的な各平版印刷版原版を評価した。フッ素系界面活性剤Zonyl FSO及びZonyl FSAは、親水性基を有する界面活性剤である。
【0156】
(1)支持体の作製
厚さ0.30mmのアルミニウム板を水酸化ナトリウム水溶液にて脱脂し、これを2%塩酸浴中で、電解研磨処理して中心線平均粗さ(Ra)0.6μmの砂目板を得た。ついで、この砂目板を、20%硫酸浴中、電流密度2A/dm2で陽極酸化処理して、2.7g/m2 の酸化皮膜を形成し、アルミニウム支持体とした。
【0157】
(2)感光液の塗布
各実施例、各比較例の塗工液を調製し、この塗工液を上記アルミニウム支持体上にバーコーターで塗布し、115℃で1分間乾燥して平版印刷版原版を得た。この時の、乾燥塗膜量は1.2g/m2 であった。
【0158】
【表4】

【0159】
評価試験
作成した平版印刷版原版を、現像性、感度、耐刷性及びブルーミングに関して試験した。試験方法は以下のとおりである。
【0160】
<現像性>
コダック社製自動現像機PK1310newsにコダック社製濃縮タイプ現像液を9.3Lと水道水32.7Lを仕込み、現像温度設定を30℃に設定した。また水洗槽には水を、ガム槽にはNF−3ガム液を1+1希釈で仕込んだ。作成した平版印刷版原版を用いて、現像秒数(平版印刷版原版の現像液中への滞留時間)を種々に変えて現像が完了する最小時間を、現像性として秒数で表した。
【0161】
<感度>
作成した平版印刷版原版に対してコダック社製露光機Magnus800プレートセッターを用いて、露光エネルギー量を種々に変化させて露光を行った。コダック社製自動現像機PK1310newsにコダック社製濃縮タイプ現像液9.3Lと水道水32.7Lを仕込み、現像温度設定を30℃、現像秒数を12秒に設定した。また水洗槽には水を、ガム槽にはNF−3ガム液を1+1希釈で仕込んだ。露光済みの平版印刷版原版を自動現像機で現像処理を行い、画像が得られる最小露光量を感度としてmJ/cm2表示を行った。
【0162】
<耐刷性>
作成した平版印刷版原版に対してコダック社製露光機Magnus800プレートセッターを用いて、露光エネルギー量120mJ/cm2にて露光を行った。コダック社製自動現像機PK1310newsにコダック社製濃縮タイプ現像液9.3Lと水道水32.7Lを仕込み、現像温度設定を30℃、現像秒数を12秒に設定した。また水洗槽には水道水を、ガム槽にはNF−3ガム液を1+1希釈で仕込んだ。露光済みの平版印刷版原版を自動現像機で現像処理を行い、コモリ社製S−26平版印刷機にて印刷を行った。鮮明な画像が得られる最大印刷枚数を耐刷性として枚数表示した。
【0163】
<ブルーミング>
作成した平版印刷版原版を40℃80%RH条件下で7日間放置した。放置された平版印刷版原版を詳細に観察して、画像形成層表面に感光性組成物成分の結晶化が起こっているものに対してブルーミングが発生しているとして結晶化の程度を判断した。
○:画像形成層表面に感光性組成物成分の結晶化が起こっていなかった。
△:画像形成層表面に感光性組成物成分の結晶化が起こっているが、露光現像時に硬化不良により画像形成層の白抜けとはならなく実用上問題にならない程度であった。
×:画像形成層表面に感光性組成物成分の結晶化が起こっていて、露光現像時に硬化不良により画像形成層の白抜けとなるなど実用上問題となるレベルであった。
【0164】
【表5】

【0165】
実施例5〜9、比較例3、4
ベース組成物Bに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1を加えて、実施例(発明)6〜9とし、フッ素化ポリマーの代わりにフッ素系界面活性剤を用いて比較例3,4として、最終的な各平版印刷版原版を評価した。フッ素系界面活性剤Zonyl FSOは、親水性基を有する界面活性剤である。
【0166】
【表6】

【0167】
【表7】

【0168】
実施例10〜17、比較例5〜7
ベース組成物Aに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1〜9をそれぞれ加えて、実施例(発明)10〜17、比較例5〜7として、最終的な各平版印刷版原版を評価した。比較例5及び比較例6は、分子内に親水基を持ち界面活性剤としての機能を有するフッ素化ポリマーを用いた例である。
【0169】
【表8】

【0170】
【表9】

【0171】
実施例18〜23、比較例8〜10
ベース組成物Bに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1〜9をそれぞれ加えて、実施例(発明)18〜23、比較例8〜10として、最終的な各平版印刷版原版を評価した。比較例8及び比較例9は、ポリマー側鎖にポリオキシエチレン基を持ち界面活性能を有するP−6,P−9を用いた例である。
【0172】
【表10】

【0173】
【表11】

【0174】
<機上現像型平板印刷版>
(1)支持体の作製
厚さ0.30mmのアルミニウム板を水酸化ナトリウム水溶液にて脱脂し、これを2%塩酸浴中で、電解研磨処理して中心線平均粗さ(Ra)0.6μmの砂目板を得た。ついで、この砂目板を、20%硫酸浴中、電流密度2A/dm2で陽極酸化処理して、2.7g/m2 の酸化皮膜を形成した。その後60℃に保たれた1%ポリビニルホスホン酸水溶液中にアルミニウム板を20秒間浸漬後、水洗、乾燥してアルミニウム支持体とした。
【0175】
(2)感光液の塗布
各実施例、各比較例の塗工液を調製し、この塗工液を上記アルミニウム支持体上にバーコーターで塗布し、115℃で1分間乾燥して平版印刷版原版を得た。この時の、乾燥塗膜量は1.2g/m2 であった。
【0176】
<感度>
作成した平版印刷版原版に対してコダック社製露光機Magnus800プレートセッターを用いて、露光エネルギー量を種々に変化させて露光を行った。コダック社製自動現像機PK1310newsにコダック社製濃縮タイプ現像液9.3Lと水道水32.7Lを仕込み、現像温度設定を30℃、現像秒数を12秒に設定した。また水洗槽には水を、ガム槽にはNF−3ガム液を1+1水道水で希釈し仕込んだ。露光済みの平版印刷版原版を自動現像機で現像処理を行い、画像が得られる最小露光量を感度としてmJ/cm2表示を行った。
【0177】
実施例24、比較例11
ベース組成物Cに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1をそれぞれ加えて、実施例(発明)24とし、フッ素化ポリマーの代わりにフッ素系界面活性剤Zonyl FSAを用いて比較例11として、機上現像を行なって、最終的な各平版印刷版原版を評価した。
【0178】
機上現像方法としては、露光済みの平版印刷版原版を印刷機に取り付け、水ローラーをおろした状態で印刷機を10回転させ版面に湿し水を供給した後、インキローラーをおろした状態で印刷機を10回転させ版面上の未露光部の画像形成層を取り除いて機上現像を完結させた。上記方法で機上現像が完結し、未露光部の画像形成層が取り除けたものを、機上現像良好とし、上記方法で機上現像が完結せず、インキローラーの回転数を10回転より増やす必要があったものを機上現像不良とした。
【0179】
<感度>
作成した平版印刷版原版に対してコダック社製露光機Magnus800プレートセッターを用いて、露光エネルギー量を種々に変化させて露光を行った。マンローランド社製ローランド200印刷機に版を取り付け、機上現像処理を行った。機上現像の後に、印刷紙を通紙して印刷を開始し、画像が得られる最小露光量を感度としてmJ/cm2表示を行った。
【0180】
<ブルーミング>
作成した平版印刷版原版を40℃80%RH条件下で7日間放置した。放置された平版印刷版原版を詳細に観察して、画像形成層表面に感光性組成物の結晶化が起こっているものに対してブルーミングが発生しているとして結晶化の程度を判断した。
○:画像形成層表面に感光性組成物の結晶化が起こっていなかった。
△:画像形成層表面に感光性組成物の結晶化が起こっているが、露光現像時に硬化不良により画像形成層の白抜けとはならなく実用上問題にならない程度であった。
×:画像形成層表面に感光性組成物の結晶化が起こっていて、露光現像時に硬化不良により画像形成層の白抜けとなるなど実用上問題となるレベルであった。
【0181】
【表12】

【0182】
【表13】

【0183】
実施例25、比較例12
ベース組成物Cに対して、ラジカル開始剤、ホウ素塩化合物、フッ素化ポリマーP−1をそれぞれ加えて、実施例(発明)25とし、フッ素化ポリマーの代わりにフッ素系界面活性剤Zonyl FSOを用いて比較例12として、機上現像を行なって、最終的な各平版印刷版原版を評価した。
【0184】
【表14】

【0185】
【表15】

【0186】
経時変化加速試験
作成した平版印刷版原版を50℃の加熱条件下に7日間放置して、加熱条件下に放置していない平版印刷版原版が持つ露光感度からの感度低下を評価した。コダック社製露光機Magnus800プレートセッターを用いて、露光エネルギー量を種々に変化させて露光を行った。コダック社製自動現像機PK1310newsにコダック社製濃縮タイプ現像液9.3Lと水道水32.7Lを仕込み、現像温度設定を30℃、現像秒数を12秒に設定した。また水洗槽には水を、ガム槽にはNF−3ガム液を1+1希釈で仕込んだ。露光済みの平版印刷版原版を自動現像機で現像処理を行い、画像が得られる最小露光量を感度としてmJ/cm2表示を行った。
【0187】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、並びにラジカル重合性成分、赤外線吸収剤及びラジカル重合開始剤を含む輻射線感光性組成物を含有する画像形成層を含んで成る平版印刷版原版であって、
前記輻射線感光性組成物が、親水性部分を実質的に有しないフッ素化コポリマーを含む平版印刷版原版。
【請求項2】
前記親水性部分を実質的に有しないフッ素化コポリマーが次式(I)及び(II)で表される少なくとも2種のモノマー単位を含んで成る請求項1記載の平版印刷版原版。
【化1】

(上式中、
1及びR2は、水素又はメチル基であり、
Rfはフッ素原子で置換された脂肪族基を表し、
Zは二価の有機基を表し、そして
Xはカチオン性基、アニオン性基、酸性基、ポリオキシエチレン基を実質的に含まない任意の有機基を表す)
【請求項3】
前記フッ素化コポリマーが、式(I)のモノマー単位を10〜97モル%、式(II)のモノマー単位を3〜90モル%含む請求項2に記載の平版印刷版原版。
【請求項4】
式(I)のRfが、末端炭素の水素原子の少なくとも2つがフッ素原子で置換されている、炭素数1〜20の脂肪族基である請求項2又は3に記載の平版印刷版原版。
【請求項5】
式(I)のXが、−CO−A−Y基を表し、Aは、酸素原子又はNR4−を表し、ここでR4は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、Yは、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、及び不飽和基を有する1価の有機基から成る群より選ばれる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【請求項6】
前記親水性部分を有しないフッ素化コポリマーが次式(1):
【化2】

(式中、Rは、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アリール基等の炭化水素基を表す。)
で表されるマレイミド骨格を有するモノマー単位をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【請求項7】
前記ラジカル重合開始剤が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、及びハロメチル部分を含むトリアジン化合物から選ばれる請求項1〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【請求項8】
前記輻射線感光性組成物が、式(III)で表されるホウ素アニオンを含むホウ素塩化合物を少なくとも1種含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【化3】

(上式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、若しくは複素環式基であるか、又はR1、R2、R3、R4の2つ又は3つ以上は、一緒に結合して該ホウ素原子を有する複素環式環を形成する)
【請求項9】
前記輻射線感光性組成物が、バインダー樹脂をさらに含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【請求項10】
前記画像形成層が、アルカリ水溶液により現像可能である請求項1〜9のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
【請求項11】
前記画像形成層が、湿し水及び/又は印刷インクで現像可能である請求項1〜9のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。

【公開番号】特開2012−68357(P2012−68357A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211946(P2010−211946)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】