説明

平版印刷版及びその製造方法、並びにそれを用いた印刷物

【課題】インク受容部の画線が高解像性、鮮明性を有し、良質の印刷物を得ることができる印刷版を、簡便、安価、かつ迅速に製造することができる平版印刷版及びその製造方法並びにそれを用いた印刷物の提供にある。
【解決手段】支持基材上の版パターンが画線部に対応する親インク部と非画線部に対応する撥インク部とからなる平版印刷版であって、前記支持基材10の表面が少なくとも下地層120でなり、該下地層120上に前記親インク部を成す不活性層160と前記撥インク部を成す吸着層110が形成されている平版印刷版100とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを印刷する必要がある分野、具体的には電気部品、電子部品等の製造において配線パターン等を印刷する場合の技術に関するものであり、特に、その配線パターン等の印刷に用いる平版印刷版及びその製造方法並びにそれを用いた印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板,表示装置等の電子部品の形成にはフォトリソグラフィー法と真空プロセス法が用いられてきた。近年、電子技術の進歩に伴って、素子類のサイズは益々小さくなっており、それにつれて素子を形成するパターンも微細化することが要求されている。そこで、従来のフォトレジストを用いた製造方法に比べ、生産性、コスト、高精度、大面積化等の面や更なる微細化のため、各種印刷方法を用いた微細パターンの製造方法が提案されている。
【0003】
その電子回路の微細パターン形成技術として、平版印刷法を挙げることが出来る。この平版印刷法は、一般にオフセット印刷法として普及していて、通常のオフセット印刷法は、水と油の非混和性を利用したもので、印刷版面に親水性部と親油性部とを形成し、印刷時には先ず平版の親水性部に湿し水と称する水分を与えて油性インクに対する反発性を付与し、次にインクを平版に供給して親油性部のみにインクを付着させ、このインクをブランケットに一度転写してから被印刷体に再転写して印刷する。
【0004】
このような平版印刷法では湿し水の管理技術が難しいため、湿し水を用いないオフセット印刷法、すなわち乾式平版印刷法が開発されている。これは、基本的には撥油性部と親油性部とを有し、親油性部のみにインクが付着して撥油性部に付着しないことを利用している。この撥油性部は、一般に有機シリコーン化合物や有機フッ素化合物からなり、アルミニウム等の金属板上に存在するこれらの化合物の一部を適当な手段で除去して親油性部を露出させてインク受容部を形成して平版印刷版が形成される。この撥油性部を除去する方法としては、光化学的手段が一般的である。例えば、撥油性部層に感光性を付与しておき、この撥油性部層に露光を行って露光部を光硬化することにより撥油性部を形成し、他方、未露光部を溶剤等で現像除去して親油性部を形成する方法がある。
【0005】
また、撥油性部層(シリコーンゴム層)の下部にジアゾニウム化合物系等の一般的感光性樹脂層を配し、露光部を硬化保存させ、未露光部を現像除去する際に上層の撥油性部も除去して親油性部を露出させる方法等もある。
【0006】
更に、簡易印刷版用として電子写真法を用いてトナーを付着させる方法が提案されている。また、基板の全面に塗布されたシリコーン層を局部的に破壊して基板面を露出させ、その露出部分にインクを付着させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。さらには、化学発泡剤を親油性熱軟化物質層および/または撥油性物質層に配合した乾式平版材料がある(例えば、特許文献2参照。)
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特公昭42−21879号公報
【特許文献2】特開平1−192555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した光化学的手段による乾式平版印刷版の製造方法は、製版処理が複雑であり、かつ高価な装置と長い製版時間を必要とし、さらには現像液の取扱いに注意を要するという問題を有している。また、印刷パターンが数十μm以下に高解像度化するほど、版の形成が困難になり、画像部の鮮明性(ラインの直線性)や非画像部の地汚れなどが生じる等の不良が発生しやすくなる問題がある。
【0008】
また、上述の簡易印刷版用としての電子写真法等を応用する乾式平版印刷版の製造法は、簡易、安価、かつ迅速な製版法であるが、撥油性物質からなるトナーを他の物質と付着させる必要があり、撥油性物質は本質的に他の物質との親和性に乏しいため、トナーの付着(固着)性が悪く、不安定で耐刷性が悪いという問題がある。
【0009】
また、シリコーン層を局部的に破壊する方法でも、電子線やレーザービームの照射、放電破壊等による複雑かつ高価な装置と長い製版時間を必要とするという問題がある。さらに、化学発泡剤を配合したものでは、熱による分解を利用して気体を発生させるため、保存時に徐々に分解するという問題や、発泡助剤の分布が均一でない場合には箇所によって発泡の程度が異なり、地汚れ、掠れ等の画像形成不良が発生するという欠点があり、版材を安定的に製造することが困難となるため、工業的に大きな問題を有していた。また、一部の発泡剤には、発生した気体の中に有害な成分を含むものや、副生成物として有害なものを発生するものがあり、作業環境上からも大きな問題を有していた。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、インク受容部の画線が高解像性、鮮明性を有し、良質の印刷物を得ることができる印刷版を、簡便、安価、かつ迅速に製造することができる平版印刷版及びその製造方法並びにそれを用いた印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、支持基材上の版パターンが画線部に対応する親インク部と非画線部に対応する撥インク部とからなる平版印刷版であって、前記支持基材の表面が少なくとも下地層でなり、該下地層上に前記親インク部を成す不活性層と前記撥インク部を成す吸着層が形成されていることを特徴とする平版印刷版としたものである。
【0012】
また、請求項2の発明では、支持基材上の版パターンが画線部に対応する親インク部と非画線部に対応する撥インク部とからなる平版印刷版であって、前記支持基材の表面が少なくとも前記親インク部を成す不活性層でなり、該不活性層上に前記撥インク部を成す吸着層が下地層を介して形成されていることを特徴とする平版印刷版としたものである。
【0013】
また、請求項3の発明では、前記下地層は金属酸化物でなり、前記不活性層は金属もしくは樹脂でなり、前記吸着層はシランカップリング剤でなる組合せであることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版としたものである。
【0014】
また、請求項4の発明では、前記シランカップリング剤は、下記式(1)、(2)、(3)で表される化合物から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版としたものである。
【0015】
【化5】

(式(1)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていても
よい。また、式(1)中、X1 、X2 、X3 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【0016】
【化6】

(式(2)中、R1 、R2 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 、X2 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【0017】
【化7】

(式(3)中、R1 、R2 、R3 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
また、請求項5の発明では、前記下地層は金属でなり、前記不活性層は金属酸化物もしくは樹脂でなり、前記吸着層はチオアルキル化合物でなる組合せであることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版としたものである。
【0018】
また、請求項6の発明では、前記チオアルキル化合物は、下記式(4)で表される化合物から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版としたものである。
【0019】
【化8】

(式(4)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。R2 は独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式中、nは1から3までの間で選択される整数である。)
また、請求項7の発明では、上記請求項1記載の平版印刷版の製造方法であって、下地層上への不活性層をフォトリソグラフィー法で形成し、該不活性層が形成されていない下地層への吸着層を気相もしくは液相法で形成することを特徴とする平版印刷版の製造方法としたものである。
【0020】
また、請求項8の発明では、上記請求項2記載の平版印刷版の製造方法であって、不活性層上への下地層をフォトリソグラフィー法で形成し、該下地層上への吸着層を気相もしくは液相法で形成することを特徴とする平版印刷版の製造方法としたものである。
【0021】
さらにまた、請求項9の発明では、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の平版印刷版を用いた印刷物としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0023】
即ち、上記請求項7に係る発明によれば、上記請求項1記載の平版印刷版の製造方法において、下地層上への不活性層の形成をフォトリソグラフィー法で行い、この不活性層が形成されていない下地層への吸着層の形成を該下地層に対する自己選択的に行う気相もしくは液相法で形成することによって、高解像度で鮮明性が高い版を簡便、安価、かつ迅速
に形成できる平版印刷版を提供することができる。
【0024】
また、上記請求項8に係る発明によれば、上記請求項2記載の平版印刷版の製造方法において、不活性層上への下地層の形成をフォトリソグラフィー法で行い、この下地層上への吸着層の形成を該下地層に対する自己選択的に行う気相もしくは液相法で形成することによって、高解像度で鮮明性が高い版を簡便、安価、かつ迅速に形成できる平版印刷版を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
<平版印刷版の構成>
本発明の平版印刷版の構成として、例えば、図1に示すように、全体が下地層120でなる支持基材10上に親インク部を成す不活性層160と、撥インク部を成す吸着層110が形成されている。特に図示しないが下地層は枚葉状もしくは柔軟性のある支持基材上に形成されていても良い。印刷する際には、親インク部を成す不活性層160が印刷物の画像部に相当し、撥インク部を成す吸着層110が印刷物の非画像部に相当する。
【0027】
また、本発明の平版印刷版の他の構成として、例えば、図2に示すように、全体が親インク部を成す不活性層160でなる支持基材10上に下地層120と、撥インク部を成す吸着層110が形成されている。特に図示しないが不活性層は枚葉状もしくは柔軟性のある支持基材上に形成されていても良い。印刷する際には、親インク部を成す不活性層160が印刷物の画像部に相当し、撥インク部を成す吸着層110が印刷物の非画像部に相当する。
【0028】
上記吸着層110は下地層120に選択的に吸着することが好ましく、耐印刷性の点から吸着層110は下地層120に化学吸着することがより好ましい。この吸着層110が下地層120に化学吸着するためには両者の適切な組合せが重要である。吸着層110と下地層120が化学吸着する組合せは、引用文献1より下記の表1に示す組合せを用いることができる。
【0029】
本発明においては、上記下地層120が金属酸化物で構成され、不活性層160が金属もしくは樹脂で構成され、吸着層110がシランカップリング剤で構成される第一の組合せと、上記下地層120が金属で構成され、不活性層160が金属酸化物もしくは樹脂で構成され、吸着層110がチオアルキル化合物で構成される第二の組合せを選択することができる。
【0030】
【表1】

<平版印刷版の製造方法>
本発明の平版印刷版の形成工程の一例について図4を用いて説明する。
【0031】
〔工程1〕
例えば、図4(a)に示すように、全体が下地層120でなる支持基材10上全面に不活性層160の膜を形成し、それを図4(b)に示すように、パターニングして親インク部を成す不活性層160を形成する。この膜の形成方法はスパッタや抵抗加熱蒸着、EB蒸着、レーザーアブレーション、イオンプレーティング、CVDなどのドライプロセスやスプレーコート、バーコート、ディップコート、ダイコート、キャップコート、スピンコート、ロールコート、アプリケーター、グラビアコートなどのウェットプロセスで下地層材料の液膜を形成した後に熱処理などで膜形成を行うことができる。また、パターニング
方法はインプリントやフォトリソグラフィー、切削加工などを用いることができるが、パターニング精度と凹部底部の残膜の点からフォトリソグラフィー法が好ましい。
【0032】
〔工程2〕
続いて図4(c)に示すように、パターニングで不活性層160が形成されていない下地層120上に吸着層110の形成を行う。この吸着層110の形成は吸着層の材料を水や有機溶媒に溶かした溶液を用いた浸漬法やディップ法、スピンコート法などのウェットプロセスや密閉容器内で吸着層の材料蒸気に基板をさらすドライプロセスを用いることができる。この吸着層110は自己整合的に下地層120に吸着するため、吸着層110の位置精度の高い版を容易に形成することが可能となる。このようにすることによって本発明の平版印刷版100の一例を得ることができる。
【0033】
また、本発明の平版印刷版の形成工程の他の一例について図5を用いて説明する。
【0034】
〔工程1〕
例えば、図5(a)に示すように、全体が不活性層160でなる支持基材10上に下地層120の膜を全面に形成し、それを図5(b)に示すように、パターニングする。この下地層120の膜の形成方法はスパッタや抵抗加熱蒸着、EB蒸着、レーザーアブレーション、イオンプレーティング、CVDなどのドライプロセスやスプレーコート、バーコート、ディップコート、ダイコート、キャップコート、スピンコート、ロールコート、アプリケーター、グラビアコートなどのウェットプロセスで下地層材料の液膜を形成した後に熱処理などで膜形成を行うことができる。また、下地層120のパターニング方法はインプリントやフォトリソグラフィー、切削加工などを用いることができるが、パターニング精度と凹部底部の残膜の点からフォトリソグラフィーが好ましい。
【0035】
〔工程2〕
続いて、図5(c)に示すように、パターニングされた下地層120上に吸着層110の形成を行う。この吸着層110の形成は吸着層の材料を水や有機溶媒に溶かした溶液を用いた浸漬法やディップ法、スピンコート法などのウェットプロセスや密閉容器内で吸着層の材料蒸気に基板をさらすドライプロセスを用いることができる。この吸着層110は自己整合的に下地層120に吸着するため、吸着層110の位置精度の高い版を容易に形成することが可能となる。このようにすることによって本発明の平版印刷版100の他の一例を得ることができる。
【0036】
<平版印刷版の材料>
以下に本発明の平版印刷版を構成する材料を説明する。
【0037】
下地層120として、二酸化珪素、アルミナ、カオリン、マイカ、タルク、クレイ、アルミナ、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化インジウムなどの金属酸化物や、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Fe、Co、Cr、Al、Zn、Ti、Mn、Mo、W、Zrやこれらから選ばれる合金などの金属を用いることができる。
【0038】
また、吸着層110としてはシランカップリング剤で構成されることができ、そのシランカップリング剤は、下記式(1)、(2)、(3)で表される化合物からなる群より選択された1種類以上の化合物であることが好ましい。
【0039】
【化9】

(式(1)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アル
キル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 、X2 、X3 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【0040】
【化10】

(式(2)中、R1 、R2 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 、X2 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【0041】
【化11】

(式(3)中、R1 、R2 、R3 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
上記シランカップリング剤として、具体的には、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n−オクチルメトキシシロキサン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、フェノキシトリメチルシラン、シクロヘキロキシトリメチルシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランなどのアルキル基や、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、(シクロプロピルメチル)ジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシランなどのシクロアルキル基を有するアルコキシシランや、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−(ノナデカフルオロノニル)エチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)トリエトキシシラン、8,8,8−トリフルオロオクチルトリエトキシシラン、2−(ヘニコサフルオロデシル)エチルトリエトキシシラン、(4−フルオロフェニル)トリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、ヘニコサフルオロデシルトリクロロシラン、4−フルオロベンジルトリクロロシランなどのフッ素化されたアルコキシシランなどを例として挙げることが出来るがこれに限定されない。
【0042】
また、吸着層110としては、チオアルキル化合物で構成されることができ、そのチオアルキル化合物は下記式(4)で表される化合物から選択された1種類以上の化合物で有ることが好ましい。
【0043】
【化12】

(式(4)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。R2 は独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキ
ル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式中、nは1から3までの間で選択される整数である。)
上記チオアルキル化合物として、具体的には、1-ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、1-デカンチオール、1-ドデカンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタデカンチオール、1-ヘキサデカンチオール、1-ノナンチオール、4‐tert‐ブチルシクロヘキサノンジチオアセタール、シクロヘキサンチオール、4‐tert‐ブチルシクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、p-フルオロベンゼンメタンチオール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカン-1-チオール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタンチオール、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール、4−(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンチオール、12,12,12−トリフルオロドデカン‐1‐チオール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタンチオール、6−(ヘプタデカフルオロオクチル)−1−ヘキサンチオール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘニコサフルオロトリデカン−1−チオール、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデカン−1−チオール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−トリコサフルオロトリデカン−1−チオール、トリコサフルオロウンデカン−1−チオール、4−チアヘプタン二酸ジドデシル、ジシクロヘキシルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジイソアミルスルフィド、ジドデシルスルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジシクロヘキシルペルスルフィド、ジヘキサデシルペルスルフィド、ビス(ペンタフルオロフェニル)ペルジスルフィド、ジヘキシルペルトリスルフィド、ジヘプチルペルトリスルフィド、ジデシルペルトリスルフィド、ジノナデシルペルトリスルフィド、ビス(トリフルオロメチル)トリスルファンなどのジスルフィド、トリスルフィドなどのチオアルキル化合物を例として挙げることが出来るがこれに限定されない。このように、アルキル基やフッ化アルキル基を有する低表面エネルギーの表面を与える材料を吸着層に用いると、吸着層へのインクの付着が抑制される。
【0044】
このように構成される平版印刷版は、パターニングされた不活性層をマスクとして下地層上に吸着層を選択的に形成できるので、吸着層で構成される撥インク部の位置精度の高い版を容易に形成することが出来る。また、不活性層は半導体デバイスやLCDなどと同様のフォトリソ法で形成するため、高解像度で画像ラインの鮮明なパターンを形成することが出来る。したがって、高詳細かつ高品質の印刷物の形成が可能な平版を供給することができる。
【0045】
また、不活性層160としては、二酸化珪素、アルミナ、カオリン、マイカ、タルク、クレイ、アルミナ、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化インジウムなどの金属酸化物や、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Fe、Co、Cr、Al、Zn、Ti、Mn、Mo、W、Zrやこれらから選ばれる合金などの金属、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、ウレタン、ポリビニルアルコール、メトキシメチル化ナイロン、ポリアミド、ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、オキセタン、ビニルエーテルなどの感光性樹脂やこれらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイなどの感光性樹脂を用いることができるがこれに限定されない。また、感光性樹脂はポジ型の感光機構でもネガ型の感光機構でも用いることができる。
【0046】
また、支持基材10としては、石英ガラスやクリスタルガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラスなどのガラス系基材、ステンレスやアルミ、銅などの金属基材、シリコンなどから構成されるウェハー系基材や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカー
ボネート、セルローストリアセテート、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの材料を用いることができ、これらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイや、ガラスエポキシ基板、1種または2種以上の上記樹脂材料を組み合わせて積層した多層構造の積層構造フィルムなどのプラスチック基材を用いることができる。
<平版印刷版を用いた印刷物の製造>
このようにして得られた本発明の平版印刷版の一例を用いた印刷物の製造について図6及び図7を用いて説明する。
【0047】
本発明の平版印刷版100は、平版印刷法の版として使用される。まず、例えば、図6(a)に示すように、インキング機構540に平版印刷版100を接触させてインク541を平版印刷版100の不活性層160に付着させる。次いで、図6(b)に示すように、被印刷基材550に平版印刷版100を接触させてインク541を被印刷基材550に転移させて印刷物500とすることができる。この際、平版印刷版100上のインク541は被印刷基材550へ全量転写しても部分転写でも良い。
【0048】
また、例えば、図7(a)に示すように、まず、インキング機構540に平版印刷版100を接触させてインク541を平版印刷版100の凹部を成す不活性層160に付着させる。次いで、図7(b)に示すように、被印刷基材550に平版印刷版100を接触させてインク541を被印刷基材550に転移させて印刷物500とすることもできる。この際、平版印刷版100上のインク541は被印刷基材550へ全量転写しても部分転写でも良い。
【0049】
上記平版印刷版を用いた平版印刷法に用いられるインク541としては、製造する印刷物の種類に応じて調整すればよく、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属、金属酸化物微粒子分散液に必要に応じて各種添加剤を加えた無機系導電性インクや、PEDOT/PSSやポリアニリン、ポリピロールなどを水や有機溶媒に溶かした有機系導電性インクや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料を有機溶媒に溶解または分散させたインク、カラーフィルター用顔料分散液、エッチングレジストなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
また、インク膜の転写によって画像が形成される被印刷基材550としては、目的とする印刷物に応じて適宜選択することができる。電子部品を製造する場合は通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ガラスエポキシ基板などのプラスチック材料、石英などのガラス基板やシリコンウェハーなどを挙げることができる。印刷物が使用される環境に合わせてフィルム等のフレキシブルな基材を選択することも可能であり、この場合は生産効率の向上のために長尺の基材を用い、連続して印刷を行うことが好ましい。
【0051】
本発明の平版印刷版を用いた製造方法により製造される印刷物500としては、例えば、回路基板、薄膜トランジスタ基板、カラーフィルター、プリント配線板、有機エレクトロルミネッセンス素子、部品内蔵基板等を挙げることができる。薄膜トランジスタ基板は、複数の薄膜トランジスタを画素に対応してアレイ状に備え、液晶ディスプレイ等各種画素毎のオン−オフが必要なディスプレイの部材として使用することができる。
【0052】
また、本発明の平版印刷版を用いて印刷される画像パターンとしては、例えば、薄膜トランジスタ基板の備える電極、キャパシタ電極、配線等を、また、カラーフィルターの備える着色層、有機エレクトロルミネッセンス素子の備える電極や有機エレクトロルミネッセンス層、プリント配線板の備える配線や、素子内蔵型のプリント配線板である場合はキ
ャパシタ電極や誘電体層、抵抗素子電極や抵抗体、インダクタ、トランジスタ構成部材等の受動素子・能動素子、回路基板形成のためのエッチングレジストを挙げることができる。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0054】
<実施例1>
支持基材として、100mm×100mm、0.1mm厚のPENフィルムを用いた。このPENフィルムの片面に、SiO2を蒸着により製膜して50nmの下地層を得た。このSiO2皮膜上全面にCrを蒸着して30nmの不活性層を形成し、この不活性層をフォトリソグラフィー法でパターニングして、親インク部を成すパターン化された不活性層を得た。
【0055】
次いで、シランカップリング剤としてフルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン社製:商品名TSL8233)をイソプロピルアルコールに0.5重量%となるよう溶解させた溶液に上記で得た不活性層が形成された支持基材を10分間浸漬後、120℃で10分乾燥させることにより下地層表面に吸着層を形成して平版印刷用平版を作製した。
【0056】
また、上記で形成した版パターンは、図3(a)、(b)で模式的に示したパターンを1単位として、ガラス板中央部の100mm四方の領域に、10単位×10単位で計100単位配置したものとした。パターン疎部270に対応する画像パターンは250μm×250μmの方形であり、パターン密部211に対応する画像パターンは140μm×210μmの矩形である。パターン疎部とパターン密部の間のライン/スペース幅は5μm/5μmである。
<インク1>
使用するインクとして、平均粒径20nmの銀粒子水分散液を、銀粒子が20重量部、水が80重量部となるように溶解させ導電性インクを調製した。
【0057】
次に、インキング機構の支持体として用いるガラス基板上に上記のように調整した導電性インクをバーコータで塗布して導電性のインク膜を形成した。続いて、上記で得られた平版印刷版をインキング機構のインク膜に密着させたのち剥離し、平版印刷版の版面にインク膜を形成した。続いて、画像部のインクが版面に形成された平版印刷版と、被印刷基材側として用いる厚さが0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板とを密着させたのち剥離して、平版印刷版上のインク膜を被印刷基材側に転写した。次に、これを200℃で30分間熱処理して導電性パターンを備えた印刷物を作製した。
【0058】
<実施例2>
吸着層に用いる材料としてチオアルキル化合物(Fluorous Technologies社製:1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン−1−チオール)、下地層として金、不活性層としてSiO2 を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷版を製造し、これを用いた印刷物も実施例1と同様にして得た。
【0059】
<実施例3>
インクとして、以下に示すように調整したカラーフィルター用の着色インクを用いた以外は実施例1と同様に平版印刷用平版を製造し、これを用いて印刷物の製造を行った。
<インク2>
まず、赤色顔料分散液を下記の組成で調整した。
〔赤色顔料分散液〕
・赤色顔料
C.I.PigmentRed254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッドB−CF」)…18重量部
C.I.PigmentRed177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)…2重量部
・アクリルワニス(固形分20%)…108重量部
〔赤色着色インク〕
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色インクを得た。
・上記赤色顔料分散液…100重量部
・メチル化メチロールメラミン(三洋化成工業社製:商品名MW−30)…20重量部
・レベリング剤(大日本インキ化学工業社製:商品名メガファックF−483SF)…1重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル…85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…45重量部
このようにして調整した赤色着色インクを実施例1と同様にブランケットに塗布・非画像部の除去・被印刷基材への転写を行ってガラス基板上にインクパターンを施して印刷物を得た。
【0060】
<実施例4>
全体が不活性層でなる支持基材として、100mm×100mm、0.1mm厚のPENフィルムを用いた。このPENフィルムの片面に、Crを蒸着により製膜して50nmの下地層を得た。次に、このCr皮膜上に不活性層として用いるSiO2 を蒸着により30nmに製膜し、そのSiO2 皮膜をフォトリソグラフィー法にてパターン化した。
【0061】
次いで、シランカップリング剤としてフルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン社製:商品名TSL8233)をイソプロピルアルコールに0.5重量%となるよう溶解させた溶液に上記で得た基材を10分間浸漬後、120℃で10分乾燥させることにより下地層表面に吸着層を形成して平版印刷版とした。
【0062】
上記で得られた平版印刷版を用いた以外は実施例1と同様にして印刷物を得た。
【0063】
<実施例5>
吸着層に用いる材料としてチオアルキル化合物(Fluorous Technologies製:1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン−1−チオール)、下地層として金、不活性層としてSiO2 を用いた以外は、実施例4と同様にして平版印刷用平版を製造し、これを用い、実施例4と同様にして印刷物を得た。
【0064】
<実施例6>
印刷に使用するインクとして、実施例3で使用したものと同様のインクとした以外は、実施例4と同様にして平版印刷用平版を製造し、かつこれを用い、実施例4と同様にして印刷物を得た。
【0065】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0066】
<比較例1>
従来の湿式平版を用いた以外は実施例1と同様にして印刷物を得た。
【0067】
上記実施例1〜6、及び比較例1で得られた印刷物の導電性パターンを光学顕微鏡で観察した結果を表2に示した。
【0068】
【表2】

上記表2より、実施例1〜6に於ける平版印刷版のように非画線部に対応する撥インク部に吸着層が施されていることによる効果として、得られた導電性パターンは、パターン密部から疎部にかけて画像の形成は良好であった。これに対し比較例1に於ける従来の湿式平版では、特にパターン密部における画像の欠けや非画像部の汚れ、画線の不鮮明さが顕著に見られた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
従って本発明に係る平版印刷版の活用例としては、回路基板、液晶や有機EL、電子ペーパーなどの表示装置などのファインパターンが要求される電子部品において、導電体や絶縁体、誘電体、磁性体、半導体、抵抗体、発光材料、レジスト、カラーフィルターの形成を印刷によって行う際に使用する印刷版およびその製造方法とその印刷版で製造した回路基板、液晶や有機EL、電子ペーパーなどの表示装置などのファインパターンが要求される電子部品に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の平版印刷版の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明の平版印刷版の他の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図3】本発明の平版印刷版の一事例を説明するもので、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のA−A’面の断面模式図である。
【図4】本発明の平版印刷版の製造工程の一事例を説明するもので、(a)は、下地層上全面に不活性層を形成する工程の側断面図であり、(b)は、不活性層をパターン化する工程の側断面図であり、(c)は、吸着層を形成する工程の側断面図であり、
【図5】本発明の平版印刷版の製造工程の他の一事例を説明するもので、(a)は、下地層上全面に不活性層を形成する工程の側断面図であり、(b)は、不活性層をパターン化する工程の側断面図であり、(c)は、吸着層を形成する工程の側断面図であり、
【図6】本発明の平版印刷版の一事例を用いて印刷物を作製する工程を説明するもので、(a)は、インキング機構から平版印刷版にインクを付着する工程の側断面図であり、(b)は、被印刷基材に印刷する工程の側断面図である。
【図7】本発明の平版印刷版の他の一事例を用いて印刷物を作製する工程を説明するもので、(a)は、インキング機構から平版印刷版にインクを付着する工程の側断面図であり、(b)は、被印刷基材に印刷する工程の側断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10‥‥支持基材
100‥‥平版印刷版
110‥‥吸着層
120‥‥不活性層
160‥‥下地層
211‥‥パターン密部
270‥‥パターン疎部
500‥‥印刷物
540‥‥インキング機構
541‥‥インク
550‥‥被印刷基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材上の版パターンが画線部に対応する親インク部と非画線部に対応する撥インク部とからなる平版印刷版であって、前記支持基材の表面が少なくとも下地層でなり、該下地層上に前記親インク部を成す不活性層と前記撥インク部を成す吸着層が形成されていることを特徴とする平版印刷版。
【請求項2】
支持基材上の版パターンが画線部に対応する親インク部と非画線部に対応する撥インク部とからなる平版印刷版であって、前記支持基材の表面が少なくとも前記親インク部を成す不活性層でなり、該不活性層上に前記撥インク部を成す吸着層が下地層を介して形成されていることを特徴とする平版印刷版。
【請求項3】
前記下地層は金属酸化物でなり、前記不活性層は金属もしくは樹脂でなり、前記吸着層はシランカップリング剤でなる組合せであることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版。
【請求項4】
前記シランカップリング剤は、下記式(1)、(2)、(3)で表される化合物から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版。
【化1】

(式(1)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 、X2 、X3 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【化2】

(式(2)中、R1 、R2 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 、X2 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【化3】

(式(3)中、R1 、R2 、R3 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式(1)中、X1 は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【請求項5】
前記下地層は金属でなり、前記不活性層は金属酸化物もしくは樹脂でなり、前記吸着層はチオアルキル化合物でなる組合せであることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版。
【請求項6】
前記チオアルキル化合物は、下記式(4)で表される化合物から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版。
【化4】

(式(4)中、R1 は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。R2 は独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、式中、nは1から3までの間で選択される整数である。)
【請求項7】
上記請求項1記載の平版印刷版の製造方法であって、下地層上への不活性層をフォトリソグラフィー法で形成し、該不活性層が形成されていない下地層への吸着層を気相もしくは液相法で形成することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【請求項8】
上記請求項2記載の平版印刷版の製造方法であって、不活性層上への下地層をフォトリソグラフィー法で行い、該下地層上への吸着層を気相もしくは液相法で形成することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【請求項9】
上記請求項1乃至6のいずれかに記載の平版印刷版を用いた印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−56625(P2009−56625A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223916(P2007−223916)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 超フレキシブルディスプレイ部材技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】