説明

平面光源及び集光器を有するディスプレイ

本明細書では、平面光源と、それに隣接して形成される集光器とを有する発光器が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[背景]
無指向性の光源として、一般的には平面光源が用いられる。しかしながら、これらのタイプの光源から放射される光は、そのかなりの量が、投影システム及びモニタシステムのための一般的なレンズの受入錘から外れる角度で放射される。結果として、平面光源によって放射される光の多くは使用することができない。したがって、平面光源は、そのようなディスプレイ及びモニタのための直接の光源としては使用されない。
【発明の開示】
【0002】
[詳細な説明]
本発明の特定の例示的な実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、本発明を実施することができる具体的な実施形態が例示として示される添付の図面が参照される。図面では、いくつかの図を通して、同様の参照符号が概ね類似の構成要素を表す。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるようにするほど十分に詳細に記述される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることもでき、構造的、論理的及び電気的な変更を行うこともできる。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定する意味に解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びその均等物によってのみ規定される。
【0003】
図1は、ディスプレイ又はモニタを形成するために用いることができる発光器10の一部の一実施形態を示す。発光器10は、複数の平面光源12を組み込み、各平面光源には1つの集光器14が関連付けられており、集光器14は、内部反射によって、光源12からの光を集光して、レンズ又は拡大レンズ16上に向ける。平面光源12は層15として基板18上に実装又は配置され、その層内に集光器14が形成される。一実施形態では、層15は、平面光源12によって出力される光を反射することに留意されたい。他の実施形態では、層15は、平面光源12によって出力される光を、少なくとも或る程度透過することができる。層15が平面光源12によって出力される光を透過する場合、集光器14の内側表面に反射コーティングを設けることができる。反射コーティングは、たとえば、スパッタリングのような既知のコーティング技法を用いて施すことができる。
【0004】
本明細書において用いられる場合、用語「平面光源」は概して、概ね平面的な外観を有する無指向性の光源を指している。一実施形態では、平面光源12は、平坦な基板上に形成され、それにより、光源に平面的な形状を与える。別の実施形態では、平面光源12は、形状が平面的である場合も、ない場合もあるフレキシブル基板上に形成することができる。さらに別の実施形態では、平面光源12は、概ね平面的なアレイとして配列される複数の個別の非平面光源を含むことがある。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、平面光源12は概して、概ね2π(約6.25ステラジアン)の立体角を有する単位球面の半分にわたって光を放射する。一般的なレンズ16は多くの場合に、約24°の受入錘を有するので、一般的な平面光源12によって放射される光の多くは、集光器14を用いない場合に、レンズ16の受入錘から外れて放射され、レンズ16を透過しないので失われる。集光器14を用いてレンズ16上に入射する光は、平面光源12の有用なエタンデュ(etendue)の多くを保存し、光源12によって放射される光の多く、又はほぼ全てがレンズの受入錘内でレンズ16上に入射するのを確実にする。結果として、平面光源12をディスプレイ又はモニタにおいて用いて、個々のピクセルを画定することができる。
【0006】
発光器10は、平面光源12からの光をレンズ16以外の光学デバイス上に向ける際にも用途を見いだすことができる。代替の実施形態では、レンズ16の代わりに、偏光フィルタ、回折格子、液晶ディスプレイ(LCD)、反射板及び他の光学デバイスを用いることができる。一実施形態では、発光器10は、基本照明のための、又は背面照明の看板又はディスプレイのための簡単な光源を形成するために、それだけで、又は上記の光学デバイスのうちの1つ又は複数のデバイスとともに用いることができる。
【0007】
各光源12は、有機発光ダイオード(OLED)、フォトニック結晶又は他の適当なデバイスのような1つ又は複数の発光デバイスによって確定することができる。したがって、一実施形態では、ただ1つの光源12を構成するために、基板18上に、複数の発光デバイスを形成するか、堆積するか、又はそれ以外の方法で配置することができる。いくつかの実施形態では、フォトニック結晶をナノメートル寸法で製造することができる。別の実施形態では、ただ1つの光源12を構成するために、基板18上に、ただ1つの発光デバイスを形成するか、堆積するか、又はそれ以外の方法で配置することができる。光源12は、図に示されるように正方形にすることができるが、限定はしないが円形、台形及び不規則な形状を含む、任意の有用な形状をとることもできる。光源12の特性、及びその電力使用量に応じて、光源12を変調するための回路(図示せず)を、基板18の一部として形成することができるか、基板18の表面上に堆積することができるか、又は基板18の表面に載置することができる。
【0008】
集光器14は、テーパ型ライトパイプを含むことができ、光源12から放射される光を受光し、且つ集光するために、各光源12上に形成される。集光器12は一般的に、光源12に隣接する下端から、その開放端に向かって開いている。いくつかの実施形態では、集光器14の開放端は、集光器の下端よりも大きいことに留意されたい。一実施形態では、集光器14は、図1に示されるような複合放物面集光器を形成する。別の実施形態では、集光器14は、図2及び図4に示されるような円錐形にすることができるか、又は図2、図3及び図5に示されるようなピラミッド形にすることができる。光源12から放射される光を集光する他の形状、サイズ及び幾何学的配置を用いることもできる。集光器14に適した形状のいくつかの例には、円錐形、ピラミッド形、四面体、テーパ型プリズム、放物面、複合放物面及び球面域を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、集光器は、レンズ16に対して、集光器14から放射される光が概ね2π(約6.25ステラジアン)である立体角を有するように構成される。このようにして、光源12のエタンデュが概ね保存され、その結果として、レンズ16の中を通過するルーメンが大きくなり、それに応じて、ディスプレイの輝度が増す。すなわち、発光器10からの光が、光学デバイスの概ね受入錘内でレンズ又は他の光学デバイス16上に入射する。一実施形態では、発光器10からの光のほぼ全てが、レンズ16の平面から測定して約74°〜90°の角度でレンズ16上に入射する。
【0010】
1つ又は複数の発光器10を用いて、画像が形成されるピクセルを画定することができる。たとえば、図5は、発光器10の4×4アレイを示す。一実施形態では、各発光器10は、1つのピクセルを画定することができる。別の実施形態において、且つ光源/集光器の組み合わせのサイズに応じて、発光器10の4×4アレイ全体が1つのピクセルを画定することもある。しかしながら、任意の適当な数及び配列の発光器10が、1つのピクセルを画定することがあることに留意されたい。
【0011】
発光器10を組み込むディスプレイは、グレイスケール画像又はカラー画像を生成することができる。グレイスケール画像を出力するために発光器が配列される場合、1つのピクセルを画定する発光器(複数可)10は、電気信号を光源12に与える電子コントローラ(図示せず)から受信される信号に基づいて、オン/オフするように動作するであろう。カラー画像を出力するように配列される実施形態が図6に示される。この実施形態では、発光器10の光源12には、どの着色光が発光器10によって出力されるかを定義するカラーフィルタ20が設けられる。一実施形態では、フィルタ20aは赤色であり、フィルタ20bは青色であり、フィルタ20cは緑色である。この実施形態では、図6に示される3つの発光器10は、ただ1つのカラーピクセルを画定する。カラーフィルタ20a〜20cに関連付けられる光源12を起動することによって、個々の集光器14から着色光が放射される。このようにして、ディスプレイ10からカラー画像を出力することができる。別の実施形態では、ディスプレイ10の光源12は、所与の波長において光を選択的に出力する材料から形成することができる。一例として、所望の波長において光を放射することができるフォトニック結晶を用いて、カラーピクセルを形成することができる。
【0012】
一実施形態では、発光器10は、半導体の製造において一般的に用いられる技法を用いて構成される。たとえば、光源12は、この例ではOLED又はフォトニック結晶であり、半導体製造技法を用いて、基板18上に形成することができる。場合によっては、基板18として、硬質の基板が用いられることがあるか、又は或る程度フレキシブルな基板が用いられることがあることに留意されたい。一般的な材料堆積技法及び/又はドーピング技法を用いて、導体(図示せず)を基板18上に堆積することができるか、又は基板の中に形成することができる。次に、材料の層15が、光源12を越えて、基板18上に堆積される。層15が一連のフォトエッチングマスクを用いて堆積されるのに応じて、この層15の中に集光器14を形成することができるか、又は適当なエッチング工程若しくはアブレーション工程を用いて、一回の処理で層15の中に集光器14を形成することができる。層15が形成される材料として、光源12から放射される光に対して反射性の材料を用いることができるが、実施形態によっては、光源12から出力される光に対して多少透過性である層15の材料を用いることが望ましいこともある。いくつかの実施形態では、スパッタリング又は他の適当な工程によって、集光器14の内部に反射コーティングを施すことができる。さらに別の実施形態では、集光器14を別個の層15内に成形又は形成して、その後、集光器14が光源12と動作可能に位置合わせされるように、基板18に被着することができる。
【0013】
発光器10及びそれを動作させるための導体(図示せず)は、コンピュータモニタ又は他のディスプレイを形成することができる大きなシート(図示せず)内に製造することができる。別法では、発光器10は、それよりも小さなシート又は部品として形成することができ、個人情報端末(PDA)、腕時計、計算機及び他のデバイスのような商品の中の小型のディスプレイ又はモニタにおいて用いることができる。
【0014】
[結論]
本明細書において、具体的な実施形態が図示及び説明されてきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが明らかに意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1つの例示的な実施形態による、発光器の一実施形態の概略的な側面図である。
【図2】本発明の1つの例示的な実施形態による、発光器の別の実施形態の概略的な側面図である。
【図3】本発明の1つの例示的な実施形態による、発光器の直線構成の実施形態の概略的な平面図である。
【図4】本発明の1つの例示的な実施形態による、発光器の曲線構成の実施形態の概略的な平面図である。
【図5】本発明の1つの例示的な実施形態による、発光器のアレイの概略的な平面図である。
【図6】カラー画像を出力するように構成及び配列される発光器のアレイの別の例示的な実施形態の概略的な側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面光源と、
集光器と
を備え、前記集光が前記平面光源に隣接して配置される、デバイス。
【請求項2】
前記平面光源及びそれに関連付けされた集光器は1つの基板上に配置される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項3】
前記集光器が反射性の内側表面をさらに含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項4】
前記平面光源が1つ又は複数の発光デバイスを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項5】
前記発光デバイスが有機発光ダイオード及びフォトニック結晶から成る群から選択される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項6】
前記集光器から放射される光のほぼ全てが、偏光フィルタ、回折格子、液晶ディスプレイ、レンズ及び反射板から成る群から選択される光学デバイス上に入射する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項7】
前記集光器から放射される光のほぼ全てが、レンズの平面から測定されるときに約75°〜90°の角度において該レンズに入射する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの平面光源が1つのピクセルを画定する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項9】
前記平面光源上に形成されるカラーフィルタをさらに備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項10】
前記集光器は、円錐形、ピラミッド形、四面体、テーパ型プリズム、放物面、複合放物面及び球面域から成る群から選択される形状を有する内側壁を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項11】
基板上に平面発光デバイスを堆積するステップ、及び
前記発光デバイスに隣接して集光器を形成するステップ
を含むデバイスを形成する方法。
【請求項12】
前記基板を、前記集光器の上側開口部から放射される光のほぼ全てが前記デバイスの光学デバイス上に入射するよう該光学デバイスに隣接して配置するステップをさらに含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項13】
前記基板は、前記集光器から放射される光が前記光学デバイスの平面から約74〜90の角度で該光学デバイス上に入射するように配置されるものである、請求項31に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項14】
前記平面発光デバイスによって放射される光を受光するように配置される下側開口部と、前記発光デバイスから受光される光を集光するように配置される内側壁と、前記発光デバイスから光を放射するための上側開口部とを備える前記集光器を形成するステップをさらに含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項15】
前記集光器の内側表面に反射コーティングを施すステップをさらに含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項16】
複数の平面発光デバイスを形成するステップをさらに含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項17】
前記平面発光デバイスが有機発光ダイオード及びフォトニック結晶から成る群から選択される、請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項18】
1つ又は複数のデバイスを形成して、1つのピクセルを画定するステップをさらに含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項19】
前記平面発光デバイス上にカラーフィルタを形成するステップを含む請求項30に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項20】
円錐形、ピラミッド形、四面体、テーパ型プリズム、放物面、複合放物面及び球面域から成る群から選択される形状に前記集光器の内側壁を形成するステップを含む、請求項30に記載のデバイスを形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−521169(P2008−521169A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541213(P2007−541213)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/038566
【国際公開番号】WO2006/055195
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】