平面型表示装置及びその線順次駆動方法
【課題】解像本数が増え、デュ−ティ期間が短くなっても、輝度の低下を抑制することを可能とする平面型表示装置を提供する。
【解決手段】(A)第1の方向に延びる(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、これらの電極の重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネルCP、並びに、(B)N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域とアノード電極を備えたアノードパネルAPから成る線順次駆動される平面型表示装置において、第m番目及び第(m+1)番目(但し、m=1,2..M)の第1電極が走査電極として選択され、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極によって構成される2N個の電子放出領域がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目及び第(m+1,n)番目(但し、n=1,2..N)に位置する電子放出領域から放出された電子は第(m.n)番目に位置する蛍光体領域に衝突する。
【解決手段】(A)第1の方向に延びる(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、これらの電極の重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネルCP、並びに、(B)N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域とアノード電極を備えたアノードパネルAPから成る線順次駆動される平面型表示装置において、第m番目及び第(m+1)番目(但し、m=1,2..M)の第1電極が走査電極として選択され、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極によって構成される2N個の電子放出領域がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目及び第(m+1,n)番目(但し、n=1,2..N)に位置する電子放出領域から放出された電子は第(m.n)番目に位置する蛍光体領域に衝突する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型表示装置及びその線順次駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】
電子放出素子としての冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を備えたカソードパネルCPと、電界放出素子から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体領域を有するアノードパネルAPとが、高真空に維持された空間を介して対向配置され、カソードパネルCPとアノードパネルAPとが周縁部において接合部材を介して接合された構成を有する。ここで、カソードパネルCPは、2次元マトリクス状に配列された各サブピクセルに対応した電子放出領域を有し、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
【0004】
一例として、スピント型電界放出素子を有する表示装置の模式的な一部端面図を図18に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図20に示す。この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
【0005】
あるいは又、略平面状の電子放出部15Aを有する、所謂扁平型電界放出素子を有する表示装置の模式的な一部端面図を図19に示す。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出部15Aから構成されている。電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0006】
そして、絶縁層12及びゲート電極13の上には層間絶縁層16が設けられ、層間絶縁層16にはゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと連通する開口部(第3開口部14C)が設けられ、更には、層間絶縁層16上から第3開口部14Cの側壁に亙り、収束電極17が設けられている。図19及び図20においては、層間絶縁層及び収束電極の図示を省略した。
【0007】
これらの表示装置において、カソード電極11はX方向に延びる帯状であり、ゲート電極13は、X方向とは異なるY方向に延びる帯状である。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルに相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域であり、無効領域が、この有効領域の外側に位置し、有効領域を額縁状に包囲している)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
【0008】
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体領域22(具体的には、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22B)が形成され、蛍光体領域22がアノード電極24で覆われた構造を有する。尚、これらの蛍光体領域22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。また、1サブピクセルを構成する蛍光体領域22のそれぞれは隔壁21によって囲まれており、隔壁21の平面形状は格子形状(井桁形状)である。尚、図中、参照番号40はスペーサを表し、参照番号25はスペーサ保持部を表し、参照番号26は接合部材を表す。図19及び図20においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部の図示を省略した。
【0009】
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、電子放出領域EAに対向(対面)したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域には、係る画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体領域22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材26を介して接合した後、排気し、封止することによって、表示装置を作製することができる。アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とによって囲まれた空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
【0010】
この表示装置の駆動にあっては、線順次駆動方式が屡々採用されている(例えば、特開2005−70528参照)。ここで、線順次駆動方式とは、マトリクス状に交差する電極群の内の例えばゲート電極13を走査電極、カソード電極11をデータ電極とし、ゲート電極13を選択、走査し、カソード電極11への信号に基づき画像を表示させ、1画面を構成する方法である。即ち、カソード電極11及びゲート電極13に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部15,15Aに加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部15,15Aから電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルAPに設けられたアノード電極24に引きつけられ、蛍光体領域22に衝突する。そして、蛍光体領域22への電子の衝突の結果、蛍光体領域22が発光し、画像として認識することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2005−70528
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような線順次駆動方式にあっては、各電子放出領域EAからの電子放出は、走査電極の選択時間、所謂走査電極のデューティ(Duty)期間だけ行われる。従って、解像本数(特に、走査電極の本数)が増えるにつれて、デューティ期間が短くなり、その結果、蛍光体領域22への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するという不具合がある。即ち、走査電極の本数をM本とした場合、デューティ期間は、フレームのリフレッシュ時間(例えば60Hzの場合16.7ミリ秒)をMで除した秒数となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、解像本数が増え、デューティ期間が短くなっても、輝度の低下を抑制することを可能とする平面型表示装置、及び、その線順次駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法は、
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法は、
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る平面型表示装置は、
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点に対応している構成とすることが好ましい。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置する構成とすることが好ましい。即ち、蛍光体領域と電子放出領域とは、第2の方向に沿って、1サブピクセルの半分だけ、ピッチがずれた状態で対向している構成とすることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、
第1電極と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成とすることが好ましい。
【0019】
ここで、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成として、具体的には、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_1、第m番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_2とするとき、
VDF_2>VDF_1
を満足することが望ましい。尚、VDF_1=0ボルトとしてもよい。更には、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0を、
VDF_0=VDF_1
としてもよい。即ち、実質的に、第m番目の偏向電極が動作させられ、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極を含むその他の偏向電極に同じ電圧を印加する構成とすることもでき、このような構成も、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成に包含される。あるいは又、
VDF_0≠VDF_1
としてもよい。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置は、
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点に対応している構成とすることが好ましい。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置する構成とすることが好ましい。
【0022】
本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、
第1電極と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成とすることが好ましい。
【0023】
ここで、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成として、具体的には、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_1、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_2とするとき、
VDF_2>VDF_1
を満足することが望ましい。尚、VDF_1=0ボルトとしてもよい。更には、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0を、
VDF_0=VDF_1
としてもよい。即ち、実質的に、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極が動作させられ、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極を含むその他の偏向電極に同じ電圧を印加する構成とすることもでき、このような構成も、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成に包含される。あるいは又、
VDF_0≠VDF_1
としてもよい。
【0024】
以上の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法、以上の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る平面型表示装置(以下、これらを総称して、単に本発明と呼ぶ場合がある)におけるカソードパネルにおいては、第1電極の射影像と第2電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、平面型表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。
【0025】
本発明において、第1電極は第1電極駆動ドライバによって駆動され、第2電極は第2電極駆動ドライバによって駆動される構成とすることができ、これらの駆動ドライバとして周知の駆動ドライバを用いることができる。また、第1電極や第2電極のそれぞれに印加すべき電圧を生成させる回路(例えば、第1電極駆動用電源や第2電極駆動用電源)も、周知の回路(電源)から構成することができる。階調制御方式として、電圧変調方式(第1電極を選択、走査する時、第2電極への印加電圧を階調に応じて変化させる方式)、パルス幅変調方式[PWM(Pulse Width Modulation)方式:第2電極への印加電圧を一定とし、印加電圧パルス幅を可変とし、時間的に階調制御を行う方式]、パルス数変調方式[PNM(Pulse Numbers Modulation)方式:第2電極への印加電圧を一定とし、印加電圧パルス幅も一定とし、印加電圧パルス数で階調制御を行う方式]、フレーム抜き取り方式(印加電圧を一定とし、フレーム表示の有無を制御することにより、時間的に階調制御を行う方式)、サブフィールド表示方式(1フレームを2のべき乗に応じた時間幅の各サブフィールドに分割し、このサブフィールドの組み合わせにより階調制御を行う方式)といった周知の階調制御方式を採用することができる。尚、第1電極に印加する電圧は一定とすることが好ましい。
【0026】
本発明において、M及びNの値の組合せ(N,M)として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0027】
本発明において、電子放出領域を構成する電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子を挙げることができる。また、平面型表示装置として、冷陰極電界電子放出素子を備えた平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)、MIM素子が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
【0028】
ここで、平面型表示装置を、冷陰極電界電子放出素子(電界放出素子)を備えた冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電界放出素子は、
(a)支持体上に形成された帯状のカソード電極、
(b)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成された帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられ、カソード電極及びゲート電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
から成り、
電子放出領域は、1又は複数の電界放出素子から構成されており、
ゲート電極が第1電極に相当し、カソード電極が第2電極に相当し、又は、カソード電極が第1電極に相当し、ゲート電極が第2電極に相当する形態とすることができる。
【0029】
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。カソードパネルにおいて、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)と第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)とが重複する重複部分(重複領域)が電子放出領域を構成し、電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されており、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
【0030】
そして、冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)及び第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。
【0031】
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路の出力電圧(アノード電圧VA)は、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をD0(但し、0.5mm≦D0≦10mm)としたとき、VA/D0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。
【0032】
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
【0033】
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
【0034】
本発明において、電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。即ち、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている電界放出素子、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とすることができる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極及び層間絶縁層には、開口部(第3開口部)が設けられている。
【0035】
第1電極、第2電極、偏向電極、カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属を含む各種の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状の第1電極や第2電極、カソード電極、ゲート電極、偏向電極を形成することが可能である。
【0036】
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
【0037】
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y2O3ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In2O3ウィスカー、Al2O3ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0038】
絶縁層や層間絶縁層、第2層間絶縁層(後述する)の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層、第2層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0039】
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。収束電極及び層間絶縁層に設けられた第3開口部の形成も同様の方法で行うことができる。
【0040】
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
【0041】
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体薄膜を形成してもよい。抵抗体薄膜を形成することによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体薄膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物を例示することができる。抵抗体薄膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
【0042】
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体領域の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体領域を形成し、蛍光体領域上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。尚、メタルバック膜がアノード電極を兼ねる構成とすることもできる。
【0043】
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが好ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体領域の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。このように、アノード電極を有効領域のほぼ全面に亙って形成する代わりに、より小さい面積を有するアノード電極ユニットに分割した形で形成すれば、アノード電極ユニットと電子放出領域との間の静電容量を減少させることができる。その結果、放電の発生を低減することができ、放電に起因したアノード電極や電子放出領域の損傷の発生を効果的に減少させることができる。
【0044】
アノード電極をアノード電極ユニットから構成する場合であって隔壁(後述する)が形成されている場合、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面上に亙り形成されている形態とすることができる。尚、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面の途中まで形成されている形態であってもよい。
【0045】
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種の物理的気相成長法(PVD法);各種のCVD法;スクリーン印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も、アノード電極と同様の、あるいは、類似した方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至5×10-7m(0.5μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至3×10-7m(0.3μm)を例示することができる。
【0046】
アノード電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
【0047】
蛍光体領域のそれぞれは、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体領域の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体領域の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線状に配列された蛍光体領域の1列は、全てが赤色発光蛍光体領域で占められた列、緑色発光蛍光体領域で占められた列、及び、青色発光蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域、及び、青色発光蛍光体領域が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体領域とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体の領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域、1つの緑色発光蛍光体領域、及び、1つの青色発光蛍光体領域の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体領域(1つの赤色発光蛍光体領域、あるいは、1つの緑色発光蛍光体領域、あるいは、1つの青色発光蛍光体領域)から構成される。尚、隣り合う蛍光体領域の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
【0048】
蛍光体領域は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。あるいは又、赤色発光蛍光体ペースト、緑色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストを順次、塗布した後、各蛍光体塗布領域を順次露光、現像して、各蛍光体領域を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体領域を形成してもよい。基板上における蛍光体領域の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
【0049】
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体領域の間、あるいは、隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
【0050】
蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された2次電子といった、所謂後方散乱電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。
【0051】
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
【0052】
隔壁における蛍光体領域を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
【0053】
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
【0054】
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層から成る接合部材を用いて行ってもよいし、あるいは、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から構成された枠体と接着層とから成る接合部材を用いて行ってもよい。枠体と接着層とから成る接合部材を用いる場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接着層のみから成る接合部材を使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
【0055】
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスとすることが好ましいが、大気中で行うこともできる。
【0056】
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチップ管とも呼ばれる排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
【0057】
カソードパネルとアノードパネルによって挟まれた空間は高真空となっている。従って、平面型表示装置の破損を防止するためには、大気圧に耐える十分な強度を有する厚さの厚い支持体、基板を使用するか、あるいは又、カソードパネルとアノードパネルとの間に、例えば、セラミックス材料やガラスから作製されたスペーサを配設しておく必要がある。
【0058】
スペーサは、例えばセラミックスやガラスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサを構成するガラスとして、ソーダライムガラスを挙げることができる。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
【0059】
スペーサの表面には、帯電防止膜が設けられていてもよい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。例えば、グラファイト等の半金属及びMoSe2等の半金属元素を含む化合物、CrOx、CrAlxOy、Nd2O3、LaxBa2-xCuO4、LaxBa2-xCuO4、LaxY1-xCrO3等の酸化物、AlB2、TiB2等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoS2、WS2等の硫化物、及び、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。帯電防止膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよいし、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。帯電防止膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等、周知の方法に基づき形成することができる。
【0060】
本発明において、カソードパネルを構成する支持体として、あるいは又、アノードパネルを構成する基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明にあっては、2つあるいは3つの電子放出領域から同時に放出された電子ビームが1つに蛍光体領域に衝突する構成、構造を有するので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0062】
また、第1電極の動作している期間が、従来の平面型表示装置よりも2倍あるいは3倍となるが故に、第1電極に入力される信号の遅延による波形の鈍りが軽減され、画面全域での輝度の均一性が向上するし、輝度それ自体も増加し、また、波形の鈍りに起因した輝度傾斜を小さくすることができる。
【0063】
更には、第1電極の動作している期間が、従来の平面型表示装置よりも2倍あるいは3倍となるが故に、電子放出領域への駆動電圧を増加させることなく、輝度の向上を図ることが可能となる。従って、第1電極や第2電極のそれぞれに印加すべき電圧を生成させる回路(例えば、第1電極駆動用電源や第2電極駆動用電源)の出力電圧を低くすることができ、デバイス耐圧の点でも有利である。しかも、複数の電子放出領域からの電子ビームが1つの蛍光体領域に衝突するので、電子放出領域からの電子の放出ムラによる表示画面のざらつきが改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、それに先立ち、実施例1及び実施例2における平面型表示装置の共通した概要を、以下、説明する。ここで、実施例1及び実施例2における平面型表示装置は、線順次駆動される冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。実施例1及び実施例2における表示装置にあっては、第1の方向に延びる帯状の第1電極(走査電極)はゲート電極13から構成され、第2の方向に延びる帯状の第2電極(データ電極)はカソード電極11から構成されている。
【0065】
実施例1及び実施例2における表示装置は、複数の電子放出領域EAが支持体10に設けられたカソードパネルCP、並びに、複数の蛍光体領域22及びアノード電極24が基板20に設けられたアノードパネルAPから成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとが、それらの周縁部で接合部材26を介して接合されている。ここで、実施例1及び実施例2の表示装置は、有効領域EF、及び、有効領域EFを取り囲む無効領域NEを有する。尚、有効領域EFとは、表示装置としての実用上の画像表示機能を果たす略中央に位置する表示領域であり、この有効領域EFは、額縁状に包囲する無効領域NEによって囲まれている。そして、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材26とによって挟まれた空間は真空(圧力:例えば10-3Pa以下)に保持されている。カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのアノードパネルAP及びカソードパネルCPの一部分の模式的な部分的分解斜視図は、基本的に、図20に示したと同様である。
【0066】
実施例1及び実施例2において、電子放出領域を構成する電界放出素子は、例えば、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、第1の方向に沿った表示装置の模式的な一部端面図である図4〜図6に示すように、
(a)支持体10に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15、
から構成されている。ここで、電子放出部15の形状は円錐形である。
【0067】
あるいは又、実施例1及び実施例2にあっては、電子放出素子は、例えば扁平型電界放出素子から構成されている。即ち、扁平型電界放出素子は、図19に示したように、
(a)支持体10上に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15A、
から構成されている。ここで、電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0068】
カソードパネルCPにおいて、カソード電極11は第2の方向に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第2の方向とは異なる第1の方向に延びる帯状である。カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。1サブピクセルに相当する電子放出領域EAには、複数の電界放出素子が設けられている。また、絶縁層12及びゲート電極13上には層間絶縁層16が設けられており、更には、収束電極17が、電子放出領域EAを取り囲むように層間絶縁層16上に設けられており、複数の電子放出領域EAに共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極17及び層間絶縁層16には、第3開口部14Cが設けられている。
【0069】
実施例1及び実施例2においては、更には、層間絶縁層16及び収束電極17の上に第2層間絶縁層18が設けられ、第2層間絶縁層18上に、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延びる偏向電極19が設けられている。
【0070】
実施例1及び実施例2においては、図4に示すように、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体領域22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、アノード電極24から構成されている。そして、蛍光体領域22と蛍光体領域22との間の基板20上には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。更には、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間には、アルミナ(Al2O3,純度99.8重量%)から成るスペーサ(図4〜図6には図示せず)が配設されている。尚、スペーサは、第2の方向に沿って延びている。即ち、スペーサは、図4〜図6の紙面垂直方向に沿って延びている。
【0071】
あるいは又、実施例1及び実施例2においては、図5に示すように、アノードパネルAPにおいて、各蛍光体領域22を取り囲む格子状の隔壁21が基板20上に形成されている構成、構造とすることもできる。ここで、1画素(1ピクセル)は、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22Bから構成されており、1サブピクセルは、蛍光体領域22から構成されている。そして、各蛍光体領域22は、隔壁21によって囲まれている。格子状の隔壁21における蛍光体領域22を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)は、矩形形状(長方形)であり、これらの平面形状(開口領域の平面形状)は2次元マトリクス状(より具体的には、井桁)に配列され、格子状の隔壁21が形成されている。
【0072】
実施例1及び実施例2における隔壁21とスペーサ40と蛍光体領域22の配置状態の一例を模式的に図11〜図16に示す。尚、図4〜図6に示す表示装置における蛍光体領域等の配列を、図12あるいは図14に示す構成としている。また、図11〜図16においてはアノード電極の図示を省略している。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体領域22の四方を取り囲む形状(図11、図12、図13、図14参照)、あるいは、略矩形の(あるいは帯状の)蛍光体領域22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状を挙げることができる(図15及び図16参照)。尚、図15に示す蛍光体領域22にあっては、蛍光体領域22R,22G,22Bを、図15の上下方向に延びる帯状とすることもできる。隔壁21の一部は、スペーサ40を保持するためのスペーサ保持部としても機能する。
【0073】
あるいは又、実施例1及び実施例2においては、図6に示すように、アノード電極24は、各蛍光体領域22を覆い、且つ、隔壁21の側面まで延びているが、隔壁21の頂面にはアノード電極24は形成されていない構成、構造とすることもできる。即ち、アノード電極24は、複数の(より具体的には、サブピクセルに対応した)アノード電極ユニット24Aから構成されている。尚、隣接するアノード電極ユニット24A間は、アノード電極抵抗体層27によって電気的に接続されている。
【0074】
実施例1及び実施例2の表示装置において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、収束電極17は収束電極制御回路(図示せず)に接続され、偏向電極19は偏向電極制御回路(図示せず)に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路33に接続されている。ここで、カソード電極制御回路31は、第2電極駆動ドライバ及び第2電極駆動用電源によって構成され、ゲート電極制御回路32は、第1電極駆動ドライバ及び第1電極駆動用電源によって構成されている。これらの制御回路等は周知の回路から構成することができる。表示装置の実動作時、アノード電極制御回路33からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。
【実施例1】
【0075】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、及び、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法に関する。実施例1にあっては、走査電極である第1電極(ゲート電極13)を2本、同時に駆動し、2つの電子放出領域EAから放出された電子ビームを1つの蛍光体領域22に同時に衝突させる。実施例1の表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図を図1に示し、電子放出領域EA、蛍光体領域22等の配置関係を模式的に図2に示し、実施例1の表示装置の作動時、第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に図3に示す。尚、図2において、電子放出領域EAを白抜きの四角印で示し、蛍光体領域22を斜線を付した丸印で示す。また、図1及び後述する図7においては、第m番目の偏向電極を[m]で示し、第m番目の第1電極を(m,n)で示し、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22を{m,n}で示す。
【0076】
実施例1のカソードパネルCPにあっては、帯状の第1電極(走査電極であるゲート電極13)は、第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本が存在する。一方、帯状の第2電極(データ電極であるカソード電極11)は、第1の方向とは異なる第2の方向に延び、N本が存在する。電子放出領域EAは、第1電極(ゲート電極13)と第2電極(カソード電極11)との重複領域から構成されている。
【0077】
更には、実施例1の表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の偏向電極19を備えている。ここで、第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。また、第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方、中央に配設されている。更には、第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。
【0078】
ここで、第0番目及び第(M+1)番目の第1電極は、最も外側に位置する蛍光体領域の中心を通過するアノードパネルAPの法線がカソードパネルCPと交わる点よりも外側に位置するカソードパネルCPの領域に設けられおり、具体的には、例えば、有効領域EFの最外周部、あるいは、有効領域EFと無効領域NEとの境界領域、あるいは、無効領域に設けられており、更には、第0番目及び第(M+1)番目の偏向電極は無効領域NEに設けられている。
【0079】
複数[N×(M+1)]の電子放出領域EAは、有効領域EFを構成する支持体10の部分に2次元マトリクス状に配列されている。ここで、複数の蛍光体領域22は、各蛍光体領域22の中心点が、第2の方向に沿って隣接する2つの電子放出領域EAの中心を結ぶ線分の二等分点と対応するように、有効領域EFを構成する基板20の部分に2次元マトリクス状に配列されている。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAの中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAの中心点とを結ぶ線分の二等分点を通過するカソードパネルCPの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22の中心点が位置する。即ち、アノードパネルAPにあっては、蛍光体領域22は、第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列されている。ここで、蛍光体領域22と電子放出領域EAとは、第2の方向に沿って、1サブピクセルの半分だけ、ピッチがずれた状態で対向している。
【0080】
そして、実施例1の表示装置にあっては、あるいは又、実施例1の平面型表示装置の線順次駆動方法にあっては、第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極(ゲート電極13)が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、及び、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAからの電子の放出状態がN本の第2電極(カソード電極11)によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域EA、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する。
【0081】
具体的には、例えば、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)には一定値のゲート電圧VG(例えば、20ボルト)が印加され、N本の第2電極(カソード電極11)のそれぞれには、階調に応じた(輝度に応じた)カソード電圧VC(例えば、0ボルト〜15ボルト)が印加される。
【0082】
更には、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAの動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極19が、同時に動作させられる。より具体的には、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極19には、例えば偏向電圧VDF_1(=0ボルト)が印加され、第m番目の偏向電極19には、偏向電圧VDF_2(>VDF_1であり、例えば、200ボルト)が印加される。更には、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0は、例えば、VDF_0=VDF_1(=0ボルト)である。
【0083】
即ち、表示装置の実動作時、N本のカソード電極11のそれぞれには相対的に負のカソード電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、隣接する2本のゲート電極13には相対的に正のゲート電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には例えば0ボルトが収束電極制御回路(図示せず)から印加され、偏向電極19には上述したとおりの電圧が偏向電極制御回路(図示せず)から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。
【0084】
これによって、カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき、第2の方向に沿って隣接する2つの電子放出部15,15Aから電子ビームが同時に放出される。そして、第(m−1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m+1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。また、第(m+1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m−1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。こうして、これらの2本の電子ビームはアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して1つの蛍光体領域22[第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22]に衝突する。その結果、係る蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加されるゲート電圧VG、及び、カソード電極11に印加されるカソード電圧VCによって制御される。しかも、この第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する電子ビームは2本なので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0085】
偏向電極19によって、どの程度、電子ビームが偏向されるかをシミュレーションした。ここで、図17に模式的に示すように、第1電極(ゲート電極13)頂面と偏向電極19の頂面との間の高さの差を「d」(単位:μm)、偏向電極と偏向電極との間の隙間の長さを「s」(単位:μm)、一方の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF(>0ボルト)とし、アノードパネルAPとカソードパネルCPとの間の距離D0を2.0mm、アノード電圧VAを10キロボルトとしたとき、電子放出領域EAの中心点から放出された電子が蛍光体領域22の中心点からどの程度ずれたところに衝突するかを計算した。尚、電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、蛍光体領域の中心点が位置している。その結果を、以下の表1に示すが、表1において、中心点から電子が衝突した地点までの距離を「def」(単位:mm)で示す。表1から、例えば、d=50μm、s=100μm、VDF=50ボルトにあっては、def=78μmであり、例えば、d=100μm、s=100μm、VDF=100ボルトにあっては、def=112μmであることが判る。従って、以下の仕様を例示することができる。
D0 :2.0mm
アノード電圧VA:10キロボルト
画素ピッチ :0.3mm
d :100μm
s :100μm
VDF_2 :140ボルト
VDF_1 : 0ボルト
【0086】
【実施例2】
【0087】
実施例2は、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、及び、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法に関する。実施例2にあっては、走査電極である第1電極(ゲート電極13)を3本、同時に駆動し、3つの電子放出領域EAから放出された電子ビームを1つの蛍光体領域22に同時に衝突させる。実施例2の表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図を図7に示し、実施例2の表示装置の作動時、第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に図8に示す。
【0088】
実施例2のカソードパネルCPにあっては、帯状の第1電極(走査電極であるゲート電極13)は、第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本が存在する。一方、帯状の第2電極(データ電極であるカソード電極11)は、第1の方向とは異なる第2の方向に延び、N本が存在する。電子放出領域EAは、第1電極(ゲート電極13)と第2電極(カソード電極11)との重複領域から構成されている。
【0089】
更には、実施例2の表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の偏向電極を更に備えている。ここで、第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。また、第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方、中央に配設されている。更には、第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設されている。
【0090】
ここで、第0番目及び第(M+1)番目の第1電極、並びに、第(−1)番目、第0番目、第M番目及び第(M+1)番目の偏向電極は、無効領域NEに設けられている。
【0091】
尚、複数[N×(M+3)]の電子放出領域EAは、有効領域EFを構成する支持体10の部分に2次元マトリクス状に配列されている。また、複数の蛍光体領域22は、各蛍光体領域22の中心点が、電子放出領域EAの中心点と対応するように、有効領域EFを構成する基板20の部分に2次元マトリクス状に配列されている。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置している。即ち、アノードパネルAPにあっては、蛍光体領域22は、第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列されている。
【0092】
そして、実施例2の表示装置にあっては、あるいは又、実施例2の平面型表示装置の線順次駆動方法にあっては、第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極(ゲート電極13)が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極(ゲート電極13)及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、及び、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAからの電子の放出状態がN本の第2電極(カソード電極11)によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域EA、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域EA、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する。
【0093】
具体的には、例えば、第(m−1)番目、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)には一定値のゲート電圧VG(例えば、20ボルト)が印加され、N本の第2電極(カソード電極11)のそれぞれには、階調に応じた(輝度に応じた)カソード電圧VC(例えば、0ボルト〜15ボルト)が印加される。
【0094】
更には、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAの動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極19が、同時に動作させられる。より具体的には、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極19には、例えば偏向電圧VDF_1(=0ボルト)が印加され、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極19には、偏向電圧VDF_2(>VDF_1であり、例えば、300ボルト)が印加される。更には、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0は、例えば、VDF_0=VDF_1(=0ボルト)である。
【0095】
即ち、表示装置の実動作時、N本のカソード電極11のそれぞれには相対的に負のカソード電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、隣接する3本のゲート電極13には相対的に正のゲート電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には例えば0ボルトが収束電極制御回路(図示せず)から印加され、偏向電極19には上述したとおりの電圧が偏向電極制御回路(図示せず)から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。
【0096】
これによって、カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき、第2の方向に沿って隣接する3つの電子放出部15,15Aから電子ビームが同時に放出される。そして、第(m−2)番目の偏向電極19と第(m−1)番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第m番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。また、第m番目の偏向電極19と第(m+1)番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m−1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。更には、第(m−1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によっては、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、特段に偏向されない。こうして、これらの3本の電子ビームはアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して1つの蛍光体領域22[第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22]に衝突する。その結果、係る蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加されるゲート電圧VG、及び、カソード電極11に印加されるカソード電圧VCによって制御される。しかも、この第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する電子ビームは3本なので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0097】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。場合によっては、収束電極の形成を省略することもできる。
【0098】
実施例にあっては、ゲート電極が第1電極に相当し、カソード電極が第2電極に相当する構成としたが、代替的に、カソード電極が第1電極に相当し、ゲート電極が第2電極に相当する構成とすることもできる。電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されているが、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2枝配線の端部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、更には、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第2枝配線の端部と第1配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、『電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されている』形態に包含される。
【0099】
また、実施例1にあっては、2つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態を説明したが、4つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態とすることもできる。一方、実施例2にあっては、3つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態を説明したが、5つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態とすることもできる。これらの形態にあっては、同時に選択する電子放出領域や偏向電極の数を適切に増加させればよい。また、スペーサーを用いない表示装置にあっても、本発明の線順次駆動方法を適用することができる。
【0100】
更には、実施例にあっては、スペーサが第2の方向に沿って延びている形態としたが、第1電極と平行に第1の方向に沿って延びている形態とすることもできる。ここで、この場合の平面型表示装置の線順次駆動方法では、スペーサの前後に位置する第1電極の駆動を、他の部分に位置する第1電極の駆動と異ならせる必要がある。例えば、第m”番目の第1電極と第(m”+1)番目の第1電極との間にスペーサが配設されていると仮定する。この場合、第m”番目の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m”+1)番目の第1電極は走査電極として選択されないし、第(m”+1)番目の第1電極が走査電極として選択されたとき、第m”番目の第1電極は走査電極として選択されない。
【0101】
そして、実施例1にあっては、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。ここで、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22の発光制御のために、第m”番目の第1電極の選択時間(第m”番目のゲート電極13にゲート電圧VGを印加する時間)、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)に電圧を印加する時間(第2電極印加時間)を、第(m”−1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の2倍とすればよい。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22の発光制御のために、第(m”+1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”+2)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の2倍とすればよい。
【0102】
一方、実施例2にあっては、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。ここで、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22の制御のために、第m”番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”−1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の3倍とすればよい。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22の制御のために、第(m”+1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”+2)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の3倍とすればよい。
【0103】
例えば、公称20インチのSVGA規格(M=600)の表示装置において、15本のスペーサが第1電極と平行に配設されている場合を想定する。即ち、スペーサ40に隣接している第1電極(ゲート電極13)の数は30本である。そして、スペーサ40に隣接している第1電極(ゲート電極13)における選択時間を、他の第1電極(ゲート電極13)における選択時間のα倍とする。この場合、実効的には、
(600−30)+30α=570+30α (本)
の第1電極が形成されたと等価となり、他の第1電極におけるデューティ期間は、従来の表示装置におけるデューティ期間と比して
600/(570+30α)
となる。しかしながら、スペーサ40に隣接していない領域に位置する電子放出領域EAにあっては、3本の第1電極が走査電極として同時に選択されるので、
3×600/(570+30α) (倍)
の明るさとなる。そして、蛍光体領域22における輝度を全体として揃えるためには、
α=3×600/(570+30α)
が成立すればよく、計算により、
α=2.76
となる。そして、以上の計算結果から、各蛍光体領域22における輝度は、従来の表示装置における蛍光体領域の輝度と比較して、2.76倍となることが判る。そして、このときの等価第1電極の本数は653本であり、スペーサ40に隣接していない領域に位置する電子放出領域EAにおける選択時間は、従来の表示装置における蛍光体領域における選択時間の0.92倍となる。このような構成は、不規則な第1電極の駆動と画像データとを連動させるメモリー回路を表示装置に備えることで、容易に実現することができる。
【0104】
実施例においては、層間絶縁層16及び収束電極17の上に第2層間絶縁層18が設けられ、第2層間絶縁層18上に、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延びる偏向電極19が設けられている構成、構造としたが、層間絶縁層16及び収束電極17の上方に偏向電極19が張架された構成、構造とすることもできる。図4に示した表示装置をこのような構成とした表示装置の模式的な一部端面図を図9に示す。このような表示装置にあっては、帯状の偏向電極119の両端(図9にあっては、一端を示す)が、支持体10の周辺部に固定されている。より具体的には、例えば、支持体10の周辺部に突起部118を予め形成しておき、この突起部118の頂面に帯状の偏向電極119を構成する材料と同じ材料から成る薄膜118Aを形成しておく。そして、帯状の偏向電極119を張架した状態で、かかる薄膜118Aに、例えばレーザを用いて溶接する。尚、突起部118は、例えば、層間絶縁層16の形成と同時に形成することができる。このような構成、構造を、図5あるいは図6に示した表示装置に適用することもできる。
【0105】
また、サブピクセルに対応した複数の開口領域を有し、熱膨張率がカソードパネルCPを構成する支持体10と略等しいセラミックスやガラス等の絶縁性の薄板基板の片面(アノードパネル側)あるいは両面に、帯状の偏向電極を形成する構成とすることもできる。尚、片面のみに偏向電極を形成する場合には、係る薄板基板を、直接、カソードパネルCP上(例えば、収束電極17上、あるいは、ゲート電極13及び絶縁層12上)に配置することができる。一方、両面に偏向電極を形成すると、偏向感度を増加させることができる。後者の場合には、カソードパネルCPに別途形成された層間絶縁層(例えば、収束電極17上、あるいは、ゲート電極13及び絶縁層12上に形成される)によって、カソードパネルCPを構成する構成要素と偏向電極とは電気的に絶縁される。薄板基板218の片面(アノードパネル側)に偏向電極219を形成する場合には、他方の面(カソードパネル側)に収束電極217を形成することもできる(図10参照)。この場合、収束電極217は、実質的に、開口領域218Aを取り囲むような連続膜として形成され、ゲート電極13及び絶縁層12上に別途形成した層間絶縁層16上に配置することでゲート電極13と電気的に絶縁される。そして、偏向電極219や収束電極217の外部電源との接続は、例えば、薄板基板218の一部を接合部材26で挟んだ状態で、薄板基板218の端部を表示装置の外側にに突出させることにより行うことができる。このような構成、構造を、図5あるいは図6に示した表示装置に適用することもできる。
【0106】
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
【0107】
表面伝導型電子放出素子と通称される電子放出素子から電子放出領域を構成することもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In2O3)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極(例えば、第1電極)に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極(例えば、第2電極)に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極(第1電極及び第2電極)に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体領域に衝突させることによって、蛍光体領域が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出領域を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、実施例1の平面型表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図である。
【図2】図2は、電子放出領域、蛍光体領域等の配置関係を模式的に示す図である。
【図3】図3は、実施例1の平面型表示装置の作動時に第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に示す図である。
【図4】図4は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図5】図5は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図6】図6は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図7】図7は、実施例2の平面型表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図である。
【図8】図8は、実施例2の平面型表示装置の作動時に第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に示す図である。
【図9】図9は、図4に示したスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例の平面型表示装置の一部端面図である。
【図10】図10は、図4に示したスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例の平面型表示装置の一部端面図である。
【図11】図11は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図12】図12は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図13】図13は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図14】図14は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図15】図15は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図16】図16は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図17】偏向電極によって、どの程度、電子ビームが偏向されるかをシミュレーションしたときの各種電極の配置を模式的に示す図である。
【図18】図18は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る従来の平面型表示装置の一部端面図である。
【図19】図19は、扁平型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る従来の平面型表示装置の概念的な一部端面図である。
【図20】図20は、冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14・・・開口部、14A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、14C・・・第3開口部、15,15A・・・電子放出部、16・・・層間絶縁層、17・・・収束電極、18・・・第2層間絶縁層、19,119・・・偏向電極、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、24A・・・アノード電極ユニット、26・・・接合部材、27・・・アノード電極抵抗体層、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、40・・・スペーサ、118・・・突起部、118A・・・薄膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型表示装置及びその線順次駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】
電子放出素子としての冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を備えたカソードパネルCPと、電界放出素子から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体領域を有するアノードパネルAPとが、高真空に維持された空間を介して対向配置され、カソードパネルCPとアノードパネルAPとが周縁部において接合部材を介して接合された構成を有する。ここで、カソードパネルCPは、2次元マトリクス状に配列された各サブピクセルに対応した電子放出領域を有し、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
【0004】
一例として、スピント型電界放出素子を有する表示装置の模式的な一部端面図を図18に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図20に示す。この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
【0005】
あるいは又、略平面状の電子放出部15Aを有する、所謂扁平型電界放出素子を有する表示装置の模式的な一部端面図を図19に示す。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出部15Aから構成されている。電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0006】
そして、絶縁層12及びゲート電極13の上には層間絶縁層16が設けられ、層間絶縁層16にはゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと連通する開口部(第3開口部14C)が設けられ、更には、層間絶縁層16上から第3開口部14Cの側壁に亙り、収束電極17が設けられている。図19及び図20においては、層間絶縁層及び収束電極の図示を省略した。
【0007】
これらの表示装置において、カソード電極11はX方向に延びる帯状であり、ゲート電極13は、X方向とは異なるY方向に延びる帯状である。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルに相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域であり、無効領域が、この有効領域の外側に位置し、有効領域を額縁状に包囲している)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
【0008】
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体領域22(具体的には、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22B)が形成され、蛍光体領域22がアノード電極24で覆われた構造を有する。尚、これらの蛍光体領域22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。また、1サブピクセルを構成する蛍光体領域22のそれぞれは隔壁21によって囲まれており、隔壁21の平面形状は格子形状(井桁形状)である。尚、図中、参照番号40はスペーサを表し、参照番号25はスペーサ保持部を表し、参照番号26は接合部材を表す。図19及び図20においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部の図示を省略した。
【0009】
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、電子放出領域EAに対向(対面)したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域には、係る画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体領域22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材26を介して接合した後、排気し、封止することによって、表示装置を作製することができる。アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とによって囲まれた空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
【0010】
この表示装置の駆動にあっては、線順次駆動方式が屡々採用されている(例えば、特開2005−70528参照)。ここで、線順次駆動方式とは、マトリクス状に交差する電極群の内の例えばゲート電極13を走査電極、カソード電極11をデータ電極とし、ゲート電極13を選択、走査し、カソード電極11への信号に基づき画像を表示させ、1画面を構成する方法である。即ち、カソード電極11及びゲート電極13に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部15,15Aに加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部15,15Aから電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルAPに設けられたアノード電極24に引きつけられ、蛍光体領域22に衝突する。そして、蛍光体領域22への電子の衝突の結果、蛍光体領域22が発光し、画像として認識することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2005−70528
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような線順次駆動方式にあっては、各電子放出領域EAからの電子放出は、走査電極の選択時間、所謂走査電極のデューティ(Duty)期間だけ行われる。従って、解像本数(特に、走査電極の本数)が増えるにつれて、デューティ期間が短くなり、その結果、蛍光体領域22への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するという不具合がある。即ち、走査電極の本数をM本とした場合、デューティ期間は、フレームのリフレッシュ時間(例えば60Hzの場合16.7ミリ秒)をMで除した秒数となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、解像本数が増え、デューティ期間が短くなっても、輝度の低下を抑制することを可能とする平面型表示装置、及び、その線順次駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法は、
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法は、
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る平面型表示装置は、
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点に対応している構成とすることが好ましい。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置する構成とすることが好ましい。即ち、蛍光体領域と電子放出領域とは、第2の方向に沿って、1サブピクセルの半分だけ、ピッチがずれた状態で対向している構成とすることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、
第1電極と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成とすることが好ましい。
【0019】
ここで、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成として、具体的には、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_1、第m番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_2とするとき、
VDF_2>VDF_1
を満足することが望ましい。尚、VDF_1=0ボルトとしてもよい。更には、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0を、
VDF_0=VDF_1
としてもよい。即ち、実質的に、第m番目の偏向電極が動作させられ、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極を含むその他の偏向電極に同じ電圧を印加する構成とすることもでき、このような構成も、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成に包含される。あるいは又、
VDF_0≠VDF_1
としてもよい。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置は、
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点に対応している構成とすることが好ましい。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置する構成とすることが好ましい。
【0022】
本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法における平面型表示装置においては、
第1電極と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成とすることが好ましい。
【0023】
ここで、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成として、具体的には、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_1、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF_2とするとき、
VDF_2>VDF_1
を満足することが望ましい。尚、VDF_1=0ボルトとしてもよい。更には、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0を、
VDF_0=VDF_1
としてもよい。即ち、実質的に、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極が動作させられ、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極を含むその他の偏向電極に同じ電圧を印加する構成とすることもでき、このような構成も、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられる構成に包含される。あるいは又、
VDF_0≠VDF_1
としてもよい。
【0024】
以上の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法、以上の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る平面型表示装置(以下、これらを総称して、単に本発明と呼ぶ場合がある)におけるカソードパネルにおいては、第1電極の射影像と第2電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、平面型表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。
【0025】
本発明において、第1電極は第1電極駆動ドライバによって駆動され、第2電極は第2電極駆動ドライバによって駆動される構成とすることができ、これらの駆動ドライバとして周知の駆動ドライバを用いることができる。また、第1電極や第2電極のそれぞれに印加すべき電圧を生成させる回路(例えば、第1電極駆動用電源や第2電極駆動用電源)も、周知の回路(電源)から構成することができる。階調制御方式として、電圧変調方式(第1電極を選択、走査する時、第2電極への印加電圧を階調に応じて変化させる方式)、パルス幅変調方式[PWM(Pulse Width Modulation)方式:第2電極への印加電圧を一定とし、印加電圧パルス幅を可変とし、時間的に階調制御を行う方式]、パルス数変調方式[PNM(Pulse Numbers Modulation)方式:第2電極への印加電圧を一定とし、印加電圧パルス幅も一定とし、印加電圧パルス数で階調制御を行う方式]、フレーム抜き取り方式(印加電圧を一定とし、フレーム表示の有無を制御することにより、時間的に階調制御を行う方式)、サブフィールド表示方式(1フレームを2のべき乗に応じた時間幅の各サブフィールドに分割し、このサブフィールドの組み合わせにより階調制御を行う方式)といった周知の階調制御方式を採用することができる。尚、第1電極に印加する電圧は一定とすることが好ましい。
【0026】
本発明において、M及びNの値の組合せ(N,M)として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0027】
本発明において、電子放出領域を構成する電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子を挙げることができる。また、平面型表示装置として、冷陰極電界電子放出素子を備えた平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)、MIM素子が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
【0028】
ここで、平面型表示装置を、冷陰極電界電子放出素子(電界放出素子)を備えた冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電界放出素子は、
(a)支持体上に形成された帯状のカソード電極、
(b)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成された帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられ、カソード電極及びゲート電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
から成り、
電子放出領域は、1又は複数の電界放出素子から構成されており、
ゲート電極が第1電極に相当し、カソード電極が第2電極に相当し、又は、カソード電極が第1電極に相当し、ゲート電極が第2電極に相当する形態とすることができる。
【0029】
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。カソードパネルにおいて、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)と第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)とが重複する重複部分(重複領域)が電子放出領域を構成し、電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されており、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
【0030】
そして、冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)及び第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。
【0031】
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路の出力電圧(アノード電圧VA)は、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をD0(但し、0.5mm≦D0≦10mm)としたとき、VA/D0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。
【0032】
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
【0033】
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
【0034】
本発明において、電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。即ち、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている電界放出素子、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とすることができる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極及び層間絶縁層には、開口部(第3開口部)が設けられている。
【0035】
第1電極、第2電極、偏向電極、カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属を含む各種の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状の第1電極や第2電極、カソード電極、ゲート電極、偏向電極を形成することが可能である。
【0036】
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
【0037】
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y2O3ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In2O3ウィスカー、Al2O3ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0038】
絶縁層や層間絶縁層、第2層間絶縁層(後述する)の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層、第2層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0039】
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。収束電極及び層間絶縁層に設けられた第3開口部の形成も同様の方法で行うことができる。
【0040】
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
【0041】
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体薄膜を形成してもよい。抵抗体薄膜を形成することによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体薄膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物を例示することができる。抵抗体薄膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
【0042】
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体領域の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体領域を形成し、蛍光体領域上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。尚、メタルバック膜がアノード電極を兼ねる構成とすることもできる。
【0043】
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが好ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体領域の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。このように、アノード電極を有効領域のほぼ全面に亙って形成する代わりに、より小さい面積を有するアノード電極ユニットに分割した形で形成すれば、アノード電極ユニットと電子放出領域との間の静電容量を減少させることができる。その結果、放電の発生を低減することができ、放電に起因したアノード電極や電子放出領域の損傷の発生を効果的に減少させることができる。
【0044】
アノード電極をアノード電極ユニットから構成する場合であって隔壁(後述する)が形成されている場合、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面上に亙り形成されている形態とすることができる。尚、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面の途中まで形成されている形態であってもよい。
【0045】
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種の物理的気相成長法(PVD法);各種のCVD法;スクリーン印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も、アノード電極と同様の、あるいは、類似した方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至5×10-7m(0.5μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至3×10-7m(0.3μm)を例示することができる。
【0046】
アノード電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
【0047】
蛍光体領域のそれぞれは、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体領域の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体領域の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線状に配列された蛍光体領域の1列は、全てが赤色発光蛍光体領域で占められた列、緑色発光蛍光体領域で占められた列、及び、青色発光蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域、及び、青色発光蛍光体領域が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体領域とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体の領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域、1つの緑色発光蛍光体領域、及び、1つの青色発光蛍光体領域の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体領域(1つの赤色発光蛍光体領域、あるいは、1つの緑色発光蛍光体領域、あるいは、1つの青色発光蛍光体領域)から構成される。尚、隣り合う蛍光体領域の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
【0048】
蛍光体領域は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。あるいは又、赤色発光蛍光体ペースト、緑色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストを順次、塗布した後、各蛍光体塗布領域を順次露光、現像して、各蛍光体領域を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体領域を形成してもよい。基板上における蛍光体領域の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
【0049】
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体領域の間、あるいは、隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
【0050】
蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された2次電子といった、所謂後方散乱電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。
【0051】
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
【0052】
隔壁における蛍光体領域を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
【0053】
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
【0054】
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層から成る接合部材を用いて行ってもよいし、あるいは、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から構成された枠体と接着層とから成る接合部材を用いて行ってもよい。枠体と接着層とから成る接合部材を用いる場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接着層のみから成る接合部材を使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
【0055】
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスとすることが好ましいが、大気中で行うこともできる。
【0056】
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチップ管とも呼ばれる排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
【0057】
カソードパネルとアノードパネルによって挟まれた空間は高真空となっている。従って、平面型表示装置の破損を防止するためには、大気圧に耐える十分な強度を有する厚さの厚い支持体、基板を使用するか、あるいは又、カソードパネルとアノードパネルとの間に、例えば、セラミックス材料やガラスから作製されたスペーサを配設しておく必要がある。
【0058】
スペーサは、例えばセラミックスやガラスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサを構成するガラスとして、ソーダライムガラスを挙げることができる。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
【0059】
スペーサの表面には、帯電防止膜が設けられていてもよい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。例えば、グラファイト等の半金属及びMoSe2等の半金属元素を含む化合物、CrOx、CrAlxOy、Nd2O3、LaxBa2-xCuO4、LaxBa2-xCuO4、LaxY1-xCrO3等の酸化物、AlB2、TiB2等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoS2、WS2等の硫化物、及び、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。帯電防止膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよいし、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。帯電防止膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等、周知の方法に基づき形成することができる。
【0060】
本発明において、カソードパネルを構成する支持体として、あるいは又、アノードパネルを構成する基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明にあっては、2つあるいは3つの電子放出領域から同時に放出された電子ビームが1つに蛍光体領域に衝突する構成、構造を有するので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0062】
また、第1電極の動作している期間が、従来の平面型表示装置よりも2倍あるいは3倍となるが故に、第1電極に入力される信号の遅延による波形の鈍りが軽減され、画面全域での輝度の均一性が向上するし、輝度それ自体も増加し、また、波形の鈍りに起因した輝度傾斜を小さくすることができる。
【0063】
更には、第1電極の動作している期間が、従来の平面型表示装置よりも2倍あるいは3倍となるが故に、電子放出領域への駆動電圧を増加させることなく、輝度の向上を図ることが可能となる。従って、第1電極や第2電極のそれぞれに印加すべき電圧を生成させる回路(例えば、第1電極駆動用電源や第2電極駆動用電源)の出力電圧を低くすることができ、デバイス耐圧の点でも有利である。しかも、複数の電子放出領域からの電子ビームが1つの蛍光体領域に衝突するので、電子放出領域からの電子の放出ムラによる表示画面のざらつきが改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、それに先立ち、実施例1及び実施例2における平面型表示装置の共通した概要を、以下、説明する。ここで、実施例1及び実施例2における平面型表示装置は、線順次駆動される冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。実施例1及び実施例2における表示装置にあっては、第1の方向に延びる帯状の第1電極(走査電極)はゲート電極13から構成され、第2の方向に延びる帯状の第2電極(データ電極)はカソード電極11から構成されている。
【0065】
実施例1及び実施例2における表示装置は、複数の電子放出領域EAが支持体10に設けられたカソードパネルCP、並びに、複数の蛍光体領域22及びアノード電極24が基板20に設けられたアノードパネルAPから成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとが、それらの周縁部で接合部材26を介して接合されている。ここで、実施例1及び実施例2の表示装置は、有効領域EF、及び、有効領域EFを取り囲む無効領域NEを有する。尚、有効領域EFとは、表示装置としての実用上の画像表示機能を果たす略中央に位置する表示領域であり、この有効領域EFは、額縁状に包囲する無効領域NEによって囲まれている。そして、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材26とによって挟まれた空間は真空(圧力:例えば10-3Pa以下)に保持されている。カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのアノードパネルAP及びカソードパネルCPの一部分の模式的な部分的分解斜視図は、基本的に、図20に示したと同様である。
【0066】
実施例1及び実施例2において、電子放出領域を構成する電界放出素子は、例えば、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、第1の方向に沿った表示装置の模式的な一部端面図である図4〜図6に示すように、
(a)支持体10に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15、
から構成されている。ここで、電子放出部15の形状は円錐形である。
【0067】
あるいは又、実施例1及び実施例2にあっては、電子放出素子は、例えば扁平型電界放出素子から構成されている。即ち、扁平型電界放出素子は、図19に示したように、
(a)支持体10上に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15A、
から構成されている。ここで、電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0068】
カソードパネルCPにおいて、カソード電極11は第2の方向に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第2の方向とは異なる第1の方向に延びる帯状である。カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。1サブピクセルに相当する電子放出領域EAには、複数の電界放出素子が設けられている。また、絶縁層12及びゲート電極13上には層間絶縁層16が設けられており、更には、収束電極17が、電子放出領域EAを取り囲むように層間絶縁層16上に設けられており、複数の電子放出領域EAに共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極17及び層間絶縁層16には、第3開口部14Cが設けられている。
【0069】
実施例1及び実施例2においては、更には、層間絶縁層16及び収束電極17の上に第2層間絶縁層18が設けられ、第2層間絶縁層18上に、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延びる偏向電極19が設けられている。
【0070】
実施例1及び実施例2においては、図4に示すように、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体領域22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、アノード電極24から構成されている。そして、蛍光体領域22と蛍光体領域22との間の基板20上には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。更には、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間には、アルミナ(Al2O3,純度99.8重量%)から成るスペーサ(図4〜図6には図示せず)が配設されている。尚、スペーサは、第2の方向に沿って延びている。即ち、スペーサは、図4〜図6の紙面垂直方向に沿って延びている。
【0071】
あるいは又、実施例1及び実施例2においては、図5に示すように、アノードパネルAPにおいて、各蛍光体領域22を取り囲む格子状の隔壁21が基板20上に形成されている構成、構造とすることもできる。ここで、1画素(1ピクセル)は、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22Bから構成されており、1サブピクセルは、蛍光体領域22から構成されている。そして、各蛍光体領域22は、隔壁21によって囲まれている。格子状の隔壁21における蛍光体領域22を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)は、矩形形状(長方形)であり、これらの平面形状(開口領域の平面形状)は2次元マトリクス状(より具体的には、井桁)に配列され、格子状の隔壁21が形成されている。
【0072】
実施例1及び実施例2における隔壁21とスペーサ40と蛍光体領域22の配置状態の一例を模式的に図11〜図16に示す。尚、図4〜図6に示す表示装置における蛍光体領域等の配列を、図12あるいは図14に示す構成としている。また、図11〜図16においてはアノード電極の図示を省略している。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体領域22の四方を取り囲む形状(図11、図12、図13、図14参照)、あるいは、略矩形の(あるいは帯状の)蛍光体領域22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状を挙げることができる(図15及び図16参照)。尚、図15に示す蛍光体領域22にあっては、蛍光体領域22R,22G,22Bを、図15の上下方向に延びる帯状とすることもできる。隔壁21の一部は、スペーサ40を保持するためのスペーサ保持部としても機能する。
【0073】
あるいは又、実施例1及び実施例2においては、図6に示すように、アノード電極24は、各蛍光体領域22を覆い、且つ、隔壁21の側面まで延びているが、隔壁21の頂面にはアノード電極24は形成されていない構成、構造とすることもできる。即ち、アノード電極24は、複数の(より具体的には、サブピクセルに対応した)アノード電極ユニット24Aから構成されている。尚、隣接するアノード電極ユニット24A間は、アノード電極抵抗体層27によって電気的に接続されている。
【0074】
実施例1及び実施例2の表示装置において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、収束電極17は収束電極制御回路(図示せず)に接続され、偏向電極19は偏向電極制御回路(図示せず)に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路33に接続されている。ここで、カソード電極制御回路31は、第2電極駆動ドライバ及び第2電極駆動用電源によって構成され、ゲート電極制御回路32は、第1電極駆動ドライバ及び第1電極駆動用電源によって構成されている。これらの制御回路等は周知の回路から構成することができる。表示装置の実動作時、アノード電極制御回路33からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。
【実施例1】
【0075】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置、及び、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法に関する。実施例1にあっては、走査電極である第1電極(ゲート電極13)を2本、同時に駆動し、2つの電子放出領域EAから放出された電子ビームを1つの蛍光体領域22に同時に衝突させる。実施例1の表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図を図1に示し、電子放出領域EA、蛍光体領域22等の配置関係を模式的に図2に示し、実施例1の表示装置の作動時、第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に図3に示す。尚、図2において、電子放出領域EAを白抜きの四角印で示し、蛍光体領域22を斜線を付した丸印で示す。また、図1及び後述する図7においては、第m番目の偏向電極を[m]で示し、第m番目の第1電極を(m,n)で示し、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22を{m,n}で示す。
【0076】
実施例1のカソードパネルCPにあっては、帯状の第1電極(走査電極であるゲート電極13)は、第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本が存在する。一方、帯状の第2電極(データ電極であるカソード電極11)は、第1の方向とは異なる第2の方向に延び、N本が存在する。電子放出領域EAは、第1電極(ゲート電極13)と第2電極(カソード電極11)との重複領域から構成されている。
【0077】
更には、実施例1の表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の偏向電極19を備えている。ここで、第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。また、第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方、中央に配設されている。更には、第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。
【0078】
ここで、第0番目及び第(M+1)番目の第1電極は、最も外側に位置する蛍光体領域の中心を通過するアノードパネルAPの法線がカソードパネルCPと交わる点よりも外側に位置するカソードパネルCPの領域に設けられおり、具体的には、例えば、有効領域EFの最外周部、あるいは、有効領域EFと無効領域NEとの境界領域、あるいは、無効領域に設けられており、更には、第0番目及び第(M+1)番目の偏向電極は無効領域NEに設けられている。
【0079】
複数[N×(M+1)]の電子放出領域EAは、有効領域EFを構成する支持体10の部分に2次元マトリクス状に配列されている。ここで、複数の蛍光体領域22は、各蛍光体領域22の中心点が、第2の方向に沿って隣接する2つの電子放出領域EAの中心を結ぶ線分の二等分点と対応するように、有効領域EFを構成する基板20の部分に2次元マトリクス状に配列されている。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAの中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAの中心点とを結ぶ線分の二等分点を通過するカソードパネルCPの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22の中心点が位置する。即ち、アノードパネルAPにあっては、蛍光体領域22は、第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列されている。ここで、蛍光体領域22と電子放出領域EAとは、第2の方向に沿って、1サブピクセルの半分だけ、ピッチがずれた状態で対向している。
【0080】
そして、実施例1の表示装置にあっては、あるいは又、実施例1の平面型表示装置の線順次駆動方法にあっては、第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極(ゲート電極13)が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、及び、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAからの電子の放出状態がN本の第2電極(カソード電極11)によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域EA、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する。
【0081】
具体的には、例えば、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)には一定値のゲート電圧VG(例えば、20ボルト)が印加され、N本の第2電極(カソード電極11)のそれぞれには、階調に応じた(輝度に応じた)カソード電圧VC(例えば、0ボルト〜15ボルト)が印加される。
【0082】
更には、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAの動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極19が、同時に動作させられる。より具体的には、第(m−1)番目及び第(m+1)番目の偏向電極19には、例えば偏向電圧VDF_1(=0ボルト)が印加され、第m番目の偏向電極19には、偏向電圧VDF_2(>VDF_1であり、例えば、200ボルト)が印加される。更には、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0は、例えば、VDF_0=VDF_1(=0ボルト)である。
【0083】
即ち、表示装置の実動作時、N本のカソード電極11のそれぞれには相対的に負のカソード電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、隣接する2本のゲート電極13には相対的に正のゲート電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には例えば0ボルトが収束電極制御回路(図示せず)から印加され、偏向電極19には上述したとおりの電圧が偏向電極制御回路(図示せず)から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。
【0084】
これによって、カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき、第2の方向に沿って隣接する2つの電子放出部15,15Aから電子ビームが同時に放出される。そして、第(m−1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m+1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。また、第(m+1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m−1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。こうして、これらの2本の電子ビームはアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して1つの蛍光体領域22[第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22]に衝突する。その結果、係る蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加されるゲート電圧VG、及び、カソード電極11に印加されるカソード電圧VCによって制御される。しかも、この第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する電子ビームは2本なので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0085】
偏向電極19によって、どの程度、電子ビームが偏向されるかをシミュレーションした。ここで、図17に模式的に示すように、第1電極(ゲート電極13)頂面と偏向電極19の頂面との間の高さの差を「d」(単位:μm)、偏向電極と偏向電極との間の隙間の長さを「s」(単位:μm)、一方の偏向電極に印加する偏向電圧をVDF(>0ボルト)とし、アノードパネルAPとカソードパネルCPとの間の距離D0を2.0mm、アノード電圧VAを10キロボルトとしたとき、電子放出領域EAの中心点から放出された電子が蛍光体領域22の中心点からどの程度ずれたところに衝突するかを計算した。尚、電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、蛍光体領域の中心点が位置している。その結果を、以下の表1に示すが、表1において、中心点から電子が衝突した地点までの距離を「def」(単位:mm)で示す。表1から、例えば、d=50μm、s=100μm、VDF=50ボルトにあっては、def=78μmであり、例えば、d=100μm、s=100μm、VDF=100ボルトにあっては、def=112μmであることが判る。従って、以下の仕様を例示することができる。
D0 :2.0mm
アノード電圧VA:10キロボルト
画素ピッチ :0.3mm
d :100μm
s :100μm
VDF_2 :140ボルト
VDF_1 : 0ボルト
【0086】
【実施例2】
【0087】
実施例2は、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、及び、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の線順次駆動方法に関する。実施例2にあっては、走査電極である第1電極(ゲート電極13)を3本、同時に駆動し、3つの電子放出領域EAから放出された電子ビームを1つの蛍光体領域22に同時に衝突させる。実施例2の表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図を図7に示し、実施例2の表示装置の作動時、第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に図8に示す。
【0088】
実施例2のカソードパネルCPにあっては、帯状の第1電極(走査電極であるゲート電極13)は、第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本が存在する。一方、帯状の第2電極(データ電極であるカソード電極11)は、第1の方向とは異なる第2の方向に延び、N本が存在する。電子放出領域EAは、第1電極(ゲート電極13)と第2電極(カソード電極11)との重複領域から構成されている。
【0089】
更には、実施例2の表示装置にあっては、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の偏向電極を更に備えている。ここで、第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設されている。また、第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方、中央に配設されている。更には、第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設されている。
【0090】
ここで、第0番目及び第(M+1)番目の第1電極、並びに、第(−1)番目、第0番目、第M番目及び第(M+1)番目の偏向電極は、無効領域NEに設けられている。
【0091】
尚、複数[N×(M+3)]の電子放出領域EAは、有効領域EFを構成する支持体10の部分に2次元マトリクス状に配列されている。また、複数の蛍光体領域22は、各蛍光体領域22の中心点が、電子放出領域EAの中心点と対応するように、有効領域EFを構成する基板20の部分に2次元マトリクス状に配列されている。云い換えれば、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点を通過するカソードパネルの法線上に、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点が位置している。即ち、アノードパネルAPにあっては、蛍光体領域22は、第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列されている。
【0092】
そして、実施例2の表示装置にあっては、あるいは又、実施例2の平面型表示装置の線順次駆動方法にあっては、第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極(ゲート電極13)が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極(ゲート電極13)及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EA、及び、第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAからの電子の放出状態がN本の第2電極(カソード電極11)によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域EA、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域EA、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する。
【0093】
具体的には、例えば、第(m−1)番目、第m番目及び第(m+1)番目の第1電極(ゲート電極13)には一定値のゲート電圧VG(例えば、20ボルト)が印加され、N本の第2電極(カソード電極11)のそれぞれには、階調に応じた(輝度に応じた)カソード電圧VC(例えば、0ボルト〜15ボルト)が印加される。
【0094】
更には、第m番目の第1電極(ゲート電極13)によって構成されるN個の電子放出領域EAの動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極19が、同時に動作させられる。より具体的には、第(m−2)番目及び第(m+1)番目の偏向電極19には、例えば偏向電圧VDF_1(=0ボルト)が印加され、第(m−1)番目及び第m番目の偏向電極19には、偏向電圧VDF_2(>VDF_1であり、例えば、300ボルト)が印加される。更には、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が同時に動作させられるとき、その他の偏向電極は動作させられないが、これらのその他の偏向電極に印加される偏向電圧VDF_0は、例えば、VDF_0=VDF_1(=0ボルト)である。
【0095】
即ち、表示装置の実動作時、N本のカソード電極11のそれぞれには相対的に負のカソード電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、隣接する3本のゲート電極13には相対的に正のゲート電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には例えば0ボルトが収束電極制御回路(図示せず)から印加され、偏向電極19には上述したとおりの電圧が偏向電極制御回路(図示せず)から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。
【0096】
これによって、カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき、第2の方向に沿って隣接する3つの電子放出部15,15Aから電子ビームが同時に放出される。そして、第(m−2)番目の偏向電極19と第(m−1)番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第m番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。また、第m番目の偏向電極19と第(m+1)番目の偏向電極19によって形成される電場によって、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、第(m−1)番目の偏向電極19に向かう方向に偏向される。更には、第(m−1)番目の偏向電極19と第m番目の偏向電極19によって形成される電場によっては、第(m,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームは、特段に偏向されない。こうして、これらの3本の電子ビームはアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して1つの蛍光体領域22[第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22]に衝突する。その結果、係る蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加されるゲート電圧VG、及び、カソード電極11に印加されるカソード電圧VCによって制御される。しかも、この第(m,n)番目に位置する蛍光体領域22に衝突する電子ビームは3本なので、線順次駆動方式において、解像本数(特に、走査電極の本数)が増え、デューティ期間が短くなっても、蛍光体領域への単位時間当たりの電子線照射量が減少し、表示装置の輝度が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。
【0097】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。場合によっては、収束電極の形成を省略することもできる。
【0098】
実施例にあっては、ゲート電極が第1電極に相当し、カソード電極が第2電極に相当する構成としたが、代替的に、カソード電極が第1電極に相当し、ゲート電極が第2電極に相当する構成とすることもできる。電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されているが、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2枝配線の端部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、更には、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第2枝配線の端部と第1配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、『電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されている』形態に包含される。
【0099】
また、実施例1にあっては、2つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態を説明したが、4つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態とすることもできる。一方、実施例2にあっては、3つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態を説明したが、5つの電子放出領域EAから放出される電子ビームが1つの蛍光体領域22に同時に衝突する形態とすることもできる。これらの形態にあっては、同時に選択する電子放出領域や偏向電極の数を適切に増加させればよい。また、スペーサーを用いない表示装置にあっても、本発明の線順次駆動方法を適用することができる。
【0100】
更には、実施例にあっては、スペーサが第2の方向に沿って延びている形態としたが、第1電極と平行に第1の方向に沿って延びている形態とすることもできる。ここで、この場合の平面型表示装置の線順次駆動方法では、スペーサの前後に位置する第1電極の駆動を、他の部分に位置する第1電極の駆動と異ならせる必要がある。例えば、第m”番目の第1電極と第(m”+1)番目の第1電極との間にスペーサが配設されていると仮定する。この場合、第m”番目の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m”+1)番目の第1電極は走査電極として選択されないし、第(m”+1)番目の第1電極が走査電極として選択されたとき、第m”番目の第1電極は走査電極として選択されない。
【0101】
そして、実施例1にあっては、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。ここで、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22の発光制御のために、第m”番目の第1電極の選択時間(第m”番目のゲート電極13にゲート電圧VGを印加する時間)、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)に電圧を印加する時間(第2電極印加時間)を、第(m”−1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の2倍とすればよい。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22の発光制御のために、第(m”+1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”+2)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の2倍とすればよい。
【0102】
一方、実施例2にあっては、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22は、第(m”+1,n)番目に位置する電子放出領域EAから放出された電子ビームのみの衝突を受ける。ここで、第(m”,n)番目に位置する蛍光体領域22の制御のために、第m”番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”−1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の3倍とすればよい。また、第(m”+1,n)番目に位置する蛍光体領域22の制御のために、第(m”+1)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極(カソード電極11)の第2電極印加時間を、第(m”+2)番目の第1電極の選択時間、及び、第n番目の第2電極の第2電極印加時間の3倍とすればよい。
【0103】
例えば、公称20インチのSVGA規格(M=600)の表示装置において、15本のスペーサが第1電極と平行に配設されている場合を想定する。即ち、スペーサ40に隣接している第1電極(ゲート電極13)の数は30本である。そして、スペーサ40に隣接している第1電極(ゲート電極13)における選択時間を、他の第1電極(ゲート電極13)における選択時間のα倍とする。この場合、実効的には、
(600−30)+30α=570+30α (本)
の第1電極が形成されたと等価となり、他の第1電極におけるデューティ期間は、従来の表示装置におけるデューティ期間と比して
600/(570+30α)
となる。しかしながら、スペーサ40に隣接していない領域に位置する電子放出領域EAにあっては、3本の第1電極が走査電極として同時に選択されるので、
3×600/(570+30α) (倍)
の明るさとなる。そして、蛍光体領域22における輝度を全体として揃えるためには、
α=3×600/(570+30α)
が成立すればよく、計算により、
α=2.76
となる。そして、以上の計算結果から、各蛍光体領域22における輝度は、従来の表示装置における蛍光体領域の輝度と比較して、2.76倍となることが判る。そして、このときの等価第1電極の本数は653本であり、スペーサ40に隣接していない領域に位置する電子放出領域EAにおける選択時間は、従来の表示装置における蛍光体領域における選択時間の0.92倍となる。このような構成は、不規則な第1電極の駆動と画像データとを連動させるメモリー回路を表示装置に備えることで、容易に実現することができる。
【0104】
実施例においては、層間絶縁層16及び収束電極17の上に第2層間絶縁層18が設けられ、第2層間絶縁層18上に、第1電極(ゲート電極13)と平行に第1の方向に延びる偏向電極19が設けられている構成、構造としたが、層間絶縁層16及び収束電極17の上方に偏向電極19が張架された構成、構造とすることもできる。図4に示した表示装置をこのような構成とした表示装置の模式的な一部端面図を図9に示す。このような表示装置にあっては、帯状の偏向電極119の両端(図9にあっては、一端を示す)が、支持体10の周辺部に固定されている。より具体的には、例えば、支持体10の周辺部に突起部118を予め形成しておき、この突起部118の頂面に帯状の偏向電極119を構成する材料と同じ材料から成る薄膜118Aを形成しておく。そして、帯状の偏向電極119を張架した状態で、かかる薄膜118Aに、例えばレーザを用いて溶接する。尚、突起部118は、例えば、層間絶縁層16の形成と同時に形成することができる。このような構成、構造を、図5あるいは図6に示した表示装置に適用することもできる。
【0105】
また、サブピクセルに対応した複数の開口領域を有し、熱膨張率がカソードパネルCPを構成する支持体10と略等しいセラミックスやガラス等の絶縁性の薄板基板の片面(アノードパネル側)あるいは両面に、帯状の偏向電極を形成する構成とすることもできる。尚、片面のみに偏向電極を形成する場合には、係る薄板基板を、直接、カソードパネルCP上(例えば、収束電極17上、あるいは、ゲート電極13及び絶縁層12上)に配置することができる。一方、両面に偏向電極を形成すると、偏向感度を増加させることができる。後者の場合には、カソードパネルCPに別途形成された層間絶縁層(例えば、収束電極17上、あるいは、ゲート電極13及び絶縁層12上に形成される)によって、カソードパネルCPを構成する構成要素と偏向電極とは電気的に絶縁される。薄板基板218の片面(アノードパネル側)に偏向電極219を形成する場合には、他方の面(カソードパネル側)に収束電極217を形成することもできる(図10参照)。この場合、収束電極217は、実質的に、開口領域218Aを取り囲むような連続膜として形成され、ゲート電極13及び絶縁層12上に別途形成した層間絶縁層16上に配置することでゲート電極13と電気的に絶縁される。そして、偏向電極219や収束電極217の外部電源との接続は、例えば、薄板基板218の一部を接合部材26で挟んだ状態で、薄板基板218の端部を表示装置の外側にに突出させることにより行うことができる。このような構成、構造を、図5あるいは図6に示した表示装置に適用することもできる。
【0106】
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
【0107】
表面伝導型電子放出素子と通称される電子放出素子から電子放出領域を構成することもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In2O3)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極(例えば、第1電極)に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極(例えば、第2電極)に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極(第1電極及び第2電極)に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体領域に衝突させることによって、蛍光体領域が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出領域を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、実施例1の平面型表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図である。
【図2】図2は、電子放出領域、蛍光体領域等の配置関係を模式的に示す図である。
【図3】図3は、実施例1の平面型表示装置の作動時に第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に示す図である。
【図4】図4は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図5】図5は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図6】図6は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例から成る実施例1あるいは実施例2の平面型表示装置の一部端面図である。
【図7】図7は、実施例2の平面型表示装置を第2の方向に沿って切断したときの概念図である。
【図8】図8は、実施例2の平面型表示装置の作動時に第1電極及び偏向電極への電圧印加状態を模式的に示す図である。
【図9】図9は、図4に示したスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例の平面型表示装置の一部端面図である。
【図10】図10は、図4に示したスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例の平面型表示装置の一部端面図である。
【図11】図11は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図12】図12は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図13】図13は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図14】図14は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図15】図15は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図16】図16は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図17】偏向電極によって、どの程度、電子ビームが偏向されるかをシミュレーションしたときの各種電極の配置を模式的に示す図である。
【図18】図18は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る従来の平面型表示装置の一部端面図である。
【図19】図19は、扁平型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る従来の平面型表示装置の概念的な一部端面図である。
【図20】図20は、冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14・・・開口部、14A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、14C・・・第3開口部、15,15A・・・電子放出部、16・・・層間絶縁層、17・・・収束電極、18・・・第2層間絶縁層、19,119・・・偏向電極、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、24A・・・アノード電極ユニット、26・・・接合部材、27・・・アノード電極抵抗体層、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、40・・・スペーサ、118・・・突起部、118A・・・薄膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする平面型表示装置の線順次駆動方法。
【請求項2】
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする平面型表示装置の線順次駆動方法。
【請求項3】
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする平面型表示装置。
【請求項4】
第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点に対応していることを特徴とする請求項3に記載の平面型表示装置。
【請求項5】
第1電極と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられることを特徴とする請求項3に記載の平面型表示装置。
【請求項6】
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする平面型表示装置。
【請求項7】
第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点に対応していることを特徴とする請求項6に記載の平面型表示装置。
【請求項8】
第1電極と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられることを特徴とする請求項6に記載の平面型表示装置。
【請求項1】
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする平面型表示装置の線順次駆動方法。
【請求項2】
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合された平面型表示装置の線順次駆動方法であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極を走査電極として選択したとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極を同時に走査電極として選択し、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態をN本の第2電極によって制御し、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子を、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突させることを特徴とする平面型表示装置の線順次駆動方法。
【請求項3】
(A)第1の方向に延び、第1番目から第(M+1)番目までの(M+1)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする平面型表示装置。
【請求項4】
第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点と第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域の中心点とを結ぶ線分の二等分点に対応していることを特徴とする請求項3に記載の平面型表示装置。
【請求項5】
第1電極と平行に第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+2)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第0番目の偏向電極は、第1番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の偏向電極は、それぞれ、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられることを特徴とする請求項3に記載の平面型表示装置。
【請求項6】
(A)第1の方向に延び、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの(M+2)本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成された電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)第1の方向に沿ってN個、第2の方向に沿ってM個、合計、N×M個の2次元マトリクス状に配列された蛍光体領域、及び、アノード電極が基板に設けられたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合され、線順次駆動される平面型表示装置であって、
第m番目(但し、m=1,2・・・M)の第1電極が走査電極として選択されたとき、第(m−1)番目の第1電極及び第(m+1)番目の第1電極が同時に走査電極として選択され、第(m−1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域、及び、第(m+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域からの電子の放出状態がN本の第2電極によって制御され、第(m,n)番目(但し、n=1,2・・・N)に位置する電子放出領域、第(m−1,n)番目に位置する電子放出領域、及び、第(m+1,n)番目に位置する電子放出領域から放出された電子は、第(m,n)番目に位置する蛍光体領域に衝突することを特徴とする平面型表示装置。
【請求項7】
第(m,n)番目に位置する蛍光体領域の中心点は、第(m,n)番目に位置する電子放出領域の中心点に対応していることを特徴とする請求項6に記載の平面型表示装置。
【請求項8】
第1電極と平行に第1の方向に延び、第(−1)番目、第0番目、第1番目から第(M+1)番目までの、電子ビームを偏向させる(M+3)本の帯状の偏向電極を更に備え、
第(−1)番目の偏向電極は、第0番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の外側の領域の上方に配設され、
第m’番目(但し、m’=0,1,2・・・M)の偏向電極は、それぞれ、第m’番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域と、第(m’+1)番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域との間の領域の上方に配設され、
第(M+1)番目の偏向電極は、第(M+1)番目の第1電極によって構成されるN個の外側の領域の上方に配設され、
第m番目の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域の動作選択をしたとき、第(m−2)番目、第(m−1)番目、第m番目、及び、第(m+1)番目の偏向電極が、同時に動作させられることを特徴とする請求項6に記載の平面型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−133086(P2007−133086A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325008(P2005−325008)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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