説明

広告装置

【課題】気流膨張バルーンによる広告装置において、屋外での使用によるバルーン内へのほこり等の吸い込みや、フィルターの目詰まりの防止ができ、横風を受けてもバルーンの回転の不調や停止を起こさない広告装置を提供する。
【解決手段】バルーン2の開口部を回転可能に支持する基底部を、固定部と回転部とで構成し、回転部の内側に固定部を囲み、回転部で囲まれた空間Lに送風器15と、その吸気口を設ける。そして、回転部を歯車でなくベルト22Bで駆動する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は広告装置、特に気流で膨らませた半透明の風船の表面に広告メッセージを設け、内部から照明して広告の目的を達する広告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非通気性または半通気性の柔軟な皮膜から成る半透明の風船(以下、バルーンと言う)の表面に広告メッセージを設け、連続的な気流で膨張させたバルーンの内側から広告メッセージを照明して広告の目的を達する広告装置は、特許文献1(特開2000−132130号)や特許文献2(特開2002−287677号)に開示されており、商品として市販されているものもある。
【0003】
特許文献1には、化学繊維布にコーティングを施した光透過性バルーンの表面に、広告メッセージを取り付け、連続的な気流で膨張させたバルーンの内部に設けた光源で広告メッセージを照明する広告装置が、開示されている。
【0004】
また特許文献2には、表面に光透過性の広告メッセージを設けた半通気性又は非通気性の化学繊維布のバルーンと、これを支持する基底部とから成り、バルーンを内側から照明するための光源及びバルーンを膨張させるための送風器を基底部に具えた広告装置が、開示されている。この広告装置は、旋回機構を具えることにより、広告メッセージを搭載したバルーンを、理髪店の回転灯のように旋回できるようにしている。これによりどの方向からも広告が視認できるようにするとともに、メッセージに動きを与え、広告効果の向上を図っている。
【0005】
図6は、特許文献2に開示された広告装置を示す。広告装置はバルーン82と基底部(原文では筐体)81から成り、基底部81の内側にはライト89、送風ファン83、およびバルーン旋回機構87が設けられている。
【0006】
図7及び図8は、特許文献2の広告装置のバルーン旋回機構の細部を示す。基底部81の上縁91の内側に、バルーン82を旋回可能に保持するための固定リング93が設けられ、固定リング93は溝96を有する。固定リング93の内面に接して回転できる回転リング94が設けられ、これにバルーン82の開口部82aが固定されている。回転リング94は外側に突起部97を、内側にはギア歯98を有する。突起部97は溝96に摺動可能に係合する形状を、ギア歯98は歯車95の歯95aに係合する形状を有する。
【0007】
歯車95を回転させると、その歯95aに係合するギア歯98を内側に有する回転リング94は、突起部97が溝96内を摺動するので、固定具93の内周に沿って回転する。回転リング94に開口部が固定されているバルーン82は、基底部81の上縁91と共通の軸の回りを回転する。
【0008】
【特許文献1】 特開2000−132130号
【特許文献2】 特開2002−287677号
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2の広告装置では、バルーンと基底部が内部の空間を共有する構造であるため、バルーンを膨張させるための気流は外部から送風器を経てこの共通の空間に供給される。従って、送風器の吸気口は基底部の外壁に臨んで設けられ、空気は外部から送風器へ基底部の外壁を貫通して取り入れられる。特許文献2の広告装置では、送風器の吸気口は基底部の底面に設けられている。
【0010】
この構造では、ほこりや雨の水滴が外部から送風器を通してバルーン内へ吸い込まれ、バルーンの内面が汚れて、広告効果が著しく損なわれる。送風器の吸気口にフィルターを設ければ、ごみ等の吸い込みは防げるが、雨天、雨後に外気が水滴を伴うときは、フィルターが容易に目詰まりを起こし、風量が不足して、バルーンが充分浮揚しなくなる。
【0011】
ごみ等の侵入は、基底部の底面を高くすることにより軽減されるが、程度が滅るだけで、吸気口の目詰まりは依然難問として残る。
【0012】
また、特許文献2の広告装置では、バルーンを回転させるために直径及び曲率の異なる歯車の組み合わせを用いており、長期間バルーンの回転を継続および反復すると歯車が磨耗して、バルーンの回転が不調になり、さらには歯の欠損を生じて、回転が不可能になる。
【0013】
この種の広告装置は屋外での使用が多いので、バルーンが横方向から風を受けて、斜めに傾ける力を受けるため、歯車の歯が斜めに磨耗して変形する傾向があり、かみ合わせが不良となり、遂には回転不能に至る。
【0014】
本発明の目的は、屋外で使用しても、バルーン内へのごみや砂ほこりの吸い込みや、それを阻止するためのフィルターの目詰まりが防止された、気流膨張バルーンによる広告装置を実現することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、屋外での使用を継続および反復しても、長い期間にわたりバルーンの回転の不調や停止を起こさない、気流膨張バルーンによる広告装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達するため本発明の広告装置は、光透過性の広告メッセージを表面、裏面、面内の少なくとも一に有する光透過性かつ可撓性の皮膜から成るバルーンと、このバルーンの開口部を回転可能に支持するための基底部と、バルーンを内側から照明するための光源を具える光源部と、バルーンを膨張させるための気流を供給する送風器とを具える広告装置において、基底部が、バルーンの使用中回転しない固定部と、この固定部に回転可能に支持された回転部と、この回転部を回転させるための駆動手段から成り、バルーンの開口部は回転部に気密に固定され、バルーンの内部は回転部により固定部から隔てられ、送風器および駆動手段は固定部に支持され、回転部は、固定部の上部と側面を囲んで、基底部の対応する部分に空間を形成し、この空間に送風器と駆動手段が収容され、光源部は光源および光源支持部から成り、光源はバルーン内に位置し、光源支持部は固定部に支持され、回転部は、送風器からバルーン内へ気流を通過させる貫通部を有することを特徴とする。
【0017】
このような特徴を具える本発明の広告装置は、回転部を、中心付近に開口部を有する環状円盤部と、この環状円盤部の外周に一端が固定された外側円筒部と、環状円盤部の内周に一端が固定された内側円筒部とで構成して、環状円盤部が固定部の上部に、外側円筒部が固定部の側面に、それぞれ位置して、上記の空間(固定部の上部と側面が回転部に囲まれて形成される)を形成するようにし、バルーンの開口部を環状円盤部の外周付近に固定すると、容易に実現できる。バルーン内部への気流の供給は、回転部に囲まれた空間に位置し、固定部に支持された送風器から、回転部の内側円筒部と、環状円盤部の開口部とを介して行われる。
【0018】
この構造によると、回転部を回転させるための駆動手段を固定部に設け、駆動手段と回転部の内側円筒部をベルトにより連結し、駆動手段によりベルトを介して回転部全体を回転させ、円盤部に固定されたバルーンを回転することが、容易にできる。
【0019】
上記の駆動手段を、ベルトを旋回させるためのプーリーと、このプーリーに回転力を伝達するクラッチと、このクラッチの入力側に連結されたモーターとで構成し、クラッチとして、所定の負荷を超えたとき回転力の伝達を停止するものを用いると、装置の故障を防止する上で有用である。このようなクラッチは、例えば、所定の負荷を超えたときスリップするフリクションクラッチである。
【0020】
固定部には、内側円筒部の側面または環状円盤部から遠い端部に接続され、内側円筒部に通ずる開口部を有する区画を、設けてもよい。この区画の外側に送風器が配置されるため、区画には送風器の排気口に連結される第二の開口部を設ける。この場合、気流の経路(請求項1の「貫通部」)は、この区画、内側円筒部の内部、および環状円盤部の開口部により形成される。
【0021】
光源部は、通常、バルーンを内側から照明する光源と、これを基底部の固定部に結合し支持するための光源支持部とから成る。光源はバルーンの内部に位置する必要があるため、光源支持部は回転部の内側円筒部を貫通することになるが、光源支持部の主要部が内側円筒部内に位置することが好ましい。光源支持部の主要部が内側円筒部内に位置するとき、残りの部分は環状円盤部の開口部を貫通して、バルーンの内部に向かって若干突出することになる。光の損失を避け、光源の放熱を図るためには、光源の全部が内側円筒部の外に位置することが好ましい。
【0022】
固定部内に位置する送風器を内側円筒部に直接連結し、環状円盤部の開口部を経て、バルーンに気流を供給することもできる。また、環状円盤部に、中央付近の開口部以外に別の貫通部を設け、それを通してバルーンに気流を供給することも可能である。
【0023】
回転部の外側円筒部の内側に重なるように、固定部に円筒部(固定)部を設けることも可能であるが、固定部の重量が重くなり、また固定部の保守の作業がしにくいから、基底部の側面は回転部の外側円筒部のみから成るほうが好ましい。
【0024】
本発明の気流膨張バルーン式広告装置では、基底部にバルーン内部から独立した空間が形成されるから、その中に送風器の吸気口を設けることができ、送風器には基底部の内部を経由して空気を取り込むことができる。基底部内の送風器の吸気口を基底部の底面に平行の方向に設ければ、外気をたとえ固定部の下部から取り入れても、ほこりや水滴の吸い込みが少ない。
【0025】
バルーン内部へのほこりや水滴の吸い込みを防ぐため、送風器の吸気口にはろ過部材を具えることが好ましい。口径の異なる少なくとも2つの多孔円筒から成り、それらの孔の位置が互いにずれるように配置されたろ過部材は、水滴による目詰まりがなく、ほこりや水滴の除去効果もすぐれ、特に好ましい。このようなろ過部材の吸気口と反対側の端部は、閉塞されてもよく、また孔の位置が互いにずれた2枚以上の多孔板で構成してもよい。
【0026】
基底部には、光源支持部または回転円盤部に、光源からの光束をバルーンに向かって収束する反射鏡を設けてもよい。光源支持部に設けた場合には反射鏡は固定されているが、回転円盤部に設けた場合には、反射鏡は回転部と共に回転する。この反射鏡に、バルーンと反対方向に向かう光束の一部を通過させる窓を設け、基底部の反射鏡の窓に臨む位置(例えば、環状円盤部の上面)に光反射部材を設け、窓を通過した光束を反射してバルーンに向かわせるようにしてもよく、バルーン全体にわたり一そう均等な照明が得られる。反射鏡の窓は、2個以上を点対称に設けるのが有利である。窓は反射鏡を貫通する孔から成ってもよいし、貫通していないが光透過性材料から成る窓でもよい。
【0027】
バルーンの基底部から遠い末端部に、バルーン内を通過した光束をバルーンに向かって再び反射する光反射部材を設けてもよい。光反射部材は、バルーンの末端部の内側に設けてもよく、またバルーンの先端部が透明なら、外側に設けてもよい。
【0028】
光源部と送風器は固定部に固定されてもよいし、必要に応じて若干の移動、例えば位置の調節ができるようにしてもよい。
【0029】
バルーンは球状、半球状、円筒状、円錐状等、種々の形にすることができるが、開口部は円であることが望ましい。基底部から遠い部分は、開口部より拡がっていてもよく、人像、動物像、果実、花、樹木、車両など、任意の立体形状にすることもできる。
【0030】
バルーンと回転部との結合部は、気流のもれを十分防ぐことができるように構成する。結合部を着脱自在にすると、取り扱いに便利である。結合手段としては公知のもの、例えばマジックファスナーを用いればよい。
【0031】
バルーンの皮膜は通常、半透明とするが、一部透明でもよい。皮膜の材料としては、例えばポリエステル布が好適である。皮膜は単層でも重層でもよい。
【0032】
バルーンの一部を透明にし、バルーンの内部に発光体または複雑に運動する運動体を存在させ、それらが透明部分を通して見えるようにしてもよい。運動体の複雑な運動は、規則的でもよいが、不規則な運動でもよい。
【0033】
発光体は、例えばLCDやELワイヤである。発光体は回転等の規則的な運動をしてもよく、また複雑な運動、例えば自転と公転とか、回転しつつ直線的移動を、してもよい。発光体は蛍光体であってもよく、その場合励起のための光源をバルーン内部または基底部に設けてもよいが、外部からの紫外線等を蛍光体の励起に利用してもよい。
【0034】
複雑に運動する運動体は、気流により浮遊する浮遊体が好ましい。この気流としては、バルーンを膨張させるための気流をそのまま利用してもよいが、バルーン膨張のための気流とは別の気流を用いることもできる。
【0035】
広告メッセージは、皮膜の外面、内面、面内のいずれか一つ以上に設ける。広告メッセージを皮膜の表面に設ける場合には、その部分を皮膜に対し着脱自在にすると、必要に応じて容易に交換できる。
【0036】
基底部の固定部の平面形状は、回転部に囲まれるため、円が好適である。送風器の吸気口へ外気が供給できるように、必要に応じて底面に貫通部を設けてもよい。回転部の外側円筒部に設けた貫通部から外気が供給できるようにしてもよい。貫通部の付近にはフィルター等の、ほこりや水滴の侵入を防止する手段を設けてもよい。固定部は、広告装置を使用しないとき、必要なら回転できるようにしてもよい(例えばキャスターを設ける)。
【0037】
(本発明の広告装置の動作)
基底部に設けた送風器を作動させると、気流は、基底部内部の、回転部に囲まれた空間に配置された送風器から、貫通部を経てバルーン内部へ送られ、この気流が与える圧力によって、広告メッセージを伴うバルーンが膨張する。光源を点灯すると、光源から直接の、および反射鏡や反射部材からの光束により、光透過性のバルーンの上に設けた広告メッセージが均一の明るさに照明され、明るい所はもちろん、暗い所でも広告の機能が発揮される。バルーンは回転部の回転につれて回転し、通りかかる人々の注意をひくので、広告効果が高い。広告が不要なときには、光源を消灯し、バルーンの回転と送風器を停止し、バルーンを収縮させ、容積を小さくして適当な場所に収納する。
【発明の効果】
【0038】
本発明の気流膨張バルーン方式の広告装置では、バルーンの開口部を回転可能に支持する基底部が、装置の使用中は回転しない固定部と、バルーンの開口部を支持して回転させる回転部から成り、バルーンと、固定部を囲む形の回転部とが一体となって回転するように構成されているため、バルーンを含む回転部分全体の重心が低く、従って、バルーンに横風を受けても安定である。
【0039】
また、バルーンと回転部の側壁が連続して装置全体の側面を形成しており、回転するバルーンと固定部の側面の間に、回転を許すための連結部が介在しないため、横から風雨を受けても、雨水が固定部内部に侵入することがない。
【0040】
本発明の気流膨張バルーン式広告装置では、固定部にバルーン内部から独立した空間を有するため、この空間の中に送風器の吸気口を設けることが可能になる。従来のように(例えば特許文献2)、送風器がバルーン内部と共通の空間に配置される場合には、固定部の外から空気を取り入れるほかないから、送風器にほこりや水分が侵入しやすいが、本発明の装置では固定部内で送風器に空気を取り込むことができるから、ほこりや水滴の吸い込みを少なくすることができる。
【0041】
本発明の好ましい広告装置(請求項4)では、回転部を環状円盤部と内側円筒部と外側円筒部で構成し、さらに固定部の一部に、内側円筒部に接続する区画を設けることによって、この区画と内側円筒部とを経て、送風器からバルーンへの気流を供給することができる。
【0042】
本発明の好ましい広告装置(請求項2)の構造によると、内側円筒部を、固定部に支持された駆動部(例えば、モーターとプーリー)とベルトで連結して、回転部を回転させ、回転円盤部の外周に固定されているバルーンを回転させることができる。このような装置(請求項9)では、駆動部(モーター等)が、バルーンを回転させる回転部とベルトで連結されているため、バルーンが横風を受けて若干傾いても、変位はベルトにより吸収され、駆動部その他の回転機構には強い外力がかからない。もし外力によるやや強い負荷が生じても、駆動部とベルトの間にそれを回避する機構(例えばフリクションクラッチ)が介在するので、回転が一時停止するだけで、回転に関わる部品の損傷が避けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(第1の実施の形態の構成)
図1(A)および同(B)は、本発明の第一の実施の形態によるバルーン広告装置の平面図および立面図である。広告装置は、基底部1と半透明のバルーン2から成り、基底部1は回転部1Bと、それに囲まれた固定部1A(破線で要部のみを示した)から成る。固定部1Aには、図示しないが光源部と送風ファンが設けられている。バルーン2の側面には、半透明(必要に応じ一部不透明または一部透明)の広告画シート3が貼り付けられている。
【0044】
図2は図1(A)の線分V−Vに沿った断面を示す。この図は基底部1の構造を説明するためのもので、バルーン2は大部分を省略した。固定部1Aは、底部11、区画12、光源支持部14S、光源14L、送風ファン15、脚部16を具える。底部11の中央付近には光源支持部14Sが配置され、その頂部に光源14Lが固定されている。これらの他に固定部1Aは、図示しない回転駆動部を具える。
【0045】
回転部1Bは、環状円盤部21、内側円筒部22、及び外側円筒部23から成る。環状円盤部21の外周には、バルーン2の開口部2Aが、気密に固定されている。内側円筒部22は、上端が環状円盤部21の内周に固定され、下端が固定部の区画12の円形開口部に、図示しない連結部材を介して回転可能に支持されている。そして内側円筒部22は下部において、図示されない回転駆動部とベルト22Bで連結されており、円筒の中心軸のまわりに回転する。
【0046】
区画12は、光源支持部14Sを囲むように、そして上部の円形開口部の近傍で内側円筒部22の下端に接するように配置されている。側壁には貫通部13が設けられ、送風ファン15の排気口として機能する。送風ファン15は、空間Lから紙面に垂直の方向に空気を取り込み、紙面に沿って図の左方に気流を送る(通称シロッコファン)。
【0047】
さらに、環状円盤部21の中央の開口を囲むように、円錐面を有する反射鏡24が配置されている。反射鏡24には複数の円形の窓24Wが設けられ、環状円盤部21の上面には反射板21Rが設けられている。
【0048】
図3は、図1(B)の線分H−Hに沿った基底部1の断面図である。図2について説明した通り、固定部1Aは底部11、区画12、光源支持部14Sと光源14L、送風ファン15、及び脚部16を具えるが、さらに回転部1Bを回転させるための回転駆動部17を具え、回転駆動部17は内側円筒部22とベルト22Bで連結されている。ベルト22Bは内側円筒部22に設けられた溝に係合(図2参照)して旋回し、回転駆動部17の回転に従って内側円筒部22を回転させる。送風ファン15の吸気口15aは、底部11に平行な方向(底部11の円周方向)に向いており、円筒状のフィルター15bが連結されている。
【0049】
図4は回転駆動部17の細部を示す。回転駆動部17は、モーター31と、モーター31により回転される原動回転軸32と、この軸に連結されたフリクションクラッチ33と、ベルト22Bを旋回させるためのプーリー34とで、構成されている。フリクションクラッチ33は、プーリー34の側面に圧接されるクラッチ板33aを有する。プーリー34は原動回転軸32の回りに自由に回転でき、原動回転軸32はフリクションクラッチ33のクラッチ板33aを介してプーリー34に回転力を伝達する。
【0050】
図5はフィルター15bの軸方向の断面を示す。フィルター15bは、口径の異なる2つの多孔円筒41および42から成り、それらの孔の位置は互いにずれるように配置されている。円筒の一端は送風ファン15の吸気口15aにはめ込まれ、他端は塞がれている。
【0051】
(第1の実施の形態の動作)
(バルーンの膨張)
基底部1に設けられた送風ファン15を作動させると、空間L内の空気がフィルター15bを経て送風ファン15の吸気口15aに取り込まれ、気流は、区画12の側壁に設けられた貫通部13、内側円筒部22、環状円盤部21の中央部開口を経て、バルーン内部の空間Uに供給され、広告画シート3を伴うバルーン2が膨張する。
【0052】
(バルーンの照明)
図1(B)を参照しつつ、バルーンの照明に関して説明する。光源14Lを点灯すると、光源14Lから直接および間接の光によりバルーン2は内側から照明される。バルーン2の中間部2bは、主に光源14Lから直接および反射鏡24で反射された光束により照明される。バルーン2と反対方向に向かう光束の大部分は、反射鏡24によりバルーン2に向かって収束されるから、光源14Lから遠いバルーンの上部2cまで全周が明るく照明される。バルーン2と反対方向に向かう光束の一部は窓24Wを通過し、環状円盤部21の上面に設けられた反射板21Rで反射され、反射鏡24の周り等を通ってバルーン2に向かう。この反射光により、反射鏡24からの反射光が少ないバルーン2の下部2aの照度が補われる。バルーン2の側面に貼り付けられた広告画シート3は、光透過性のバルーン2を通して照明され、夜間や暗い所でも広告の機能が発揮される。
【0053】
(バルーンの回転)
光源14Lの点灯の前後又は同時に、回転駆動部17のモーター31に電力を供給すると、原動回転軸32が回転し、フリクションクラッチ33を介してプーリー31に回転力が伝達され、プーリー31が原動回転軸32を軸として回転し、ベルト22Bが回り、ベルト22Bに連結された内側円筒部22が回転する。内側円筒部22とともに環状円盤部21が回転するから、その外周に開口部2Aが固定されたバルーン2が回転する。
【0054】
(バルーンの収納)
装置の使用が不要なときには、光源14Lを消灯し、モーター31を停止してバルーン2の回転を止めた後、送風ファン15を停止し、バルーン2を収縮させれば、装置の容積は小さくなり、適当な場所に収納することができる。
【0055】
(第1の実施の形態の効果)
回転部1Bを環状円盤部21と、内側円筒部22と、外側円筒部23とで構成したことにより、それらにより覆われた空間Lに、送風ファン15や回転駆動部17を底部11に設置した固定部が収容される。一方、環状円盤部21の外周にバルーン2の開口部2Aが気密に固定され、環状円盤部21、内側円筒部22、区画12、固定部の底部11が連続しているから、これらに囲まれ、バルーン2内部を含む空間Uが、形成される。バルーン2への気流は、空間L内に設けた送風ファン15から、区画12に設けた貫通部13を経て空間Uに供給される。すなわち、バルーン2への気流は、空間L内に設けた送風ファン15の吸気口15aから、送風ファン15、貫通部13、区画12、内側円筒部22を経て供給される。送風ファン15は基底部1の外からでなく、固定部1A内の空間Lから、基底部の底面に平行に空気を取り入れるから、空気中のほこりや水滴の侵入を防ぐことが容易である。
【0056】
また、広告装置の上記構成によると、内側円筒部22と、固定部1Aに支持された回転駆動部17を、ベルト22Bで連結して、回転部1B全体を回転させ、環状円盤部21の外周に固定されているバルーン2を回転させることができる。駆動部17とバルーン2がベルト22Bを介して連結されているため、バルーン2が横風を受けて若干傾いても、傾斜はベルト22Bにより吸収され、駆動部等の回転機構には強い外力がかからない。もし外力によるやや強い負荷が生じても、モーター31とベルト22Bの間にフリクションクラッチ33が介在するので、回転が一時停止するだけで、部品の損傷が避けられる。
【0057】
さらに、バルーン2と、回転部の外側円筒部23が、装置全体の側面を形成しており、横風を受けた場合に、この両者に風の外力がかかり、バルーン2を傾斜させる力が、そうでない場合より軽減される。また、バルーン2と回転部1Bが一体化された構造体は、比較的重心が低く、固定部との連結部にかかるモーメントが小さくなるので、連結部の損傷が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】 本発明の第1の実施形態による広告装置を示し、(A)は平面図、(B)は立面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態による広告装置の断面図。
【図3】 本発明の第1の実施形態による広告装置の別の断面図。
【図4】 本発明の第1の実施形態による広告装置の、回転駆動部の説明図。
【図5】 本発明の第1の実施形態による広告装置の、フィルターの断面図。
【図6】 従来の広告装置の説明図。
【図7】 従来の広告装置のバルーン旋回機構の、断面を含む斜視図。
【図8】 従来の広告装置のバルーン旋回機構の分解斜視図。
【符号の説明】
1 基底部
1A 固定部
1B 回転部
2 バルーン 2a 下部
2b 中間部
2c 上部
2A 開口部
3 広告画シート
11 底部
12 区画
13 貫通部
14 光源部
14S 光源支持部
14L 光源
15 送風ファン
15a 吸気口
15b フィルター
16 脚部
17 回転駆動部
21 環状円盤部
21R 反射板
22 内側円筒部
22B ベルト
23 外側円筒部
24 反射鏡
24W 窓
31 モーター
32 原動回転軸
33 フリクションクラッチ
33a クラッチ板
34 プーリー
41,42 多孔円筒
81 基底部
82 バルーン
83 送風ファン
87 バルーン旋回機構
89 ライト
91 基底部の上縁
93 固定リング
94 回転リング
95 歯車
95a 歯
96 溝
97 突起部
98 ギア歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の広告メッセージを表面、裏面、面内の少なくとも一に有する光透過性かつ可撓性の皮膜から成るバルーンと、このバルーンの開口部を回転可能に支持するための基底部と、前記バルーンを内側から照明するための光源を具える光源部と、前記バルーンを膨張させるための気流を供給する送風器とを具える広告装置において、
前記基底部が、前記バルーンの使用中回転しない固定部と、この固定部に回転可能に支持された回転部と、この回転部を回転させるための駆動手段から成り、
前記バルーンの開口部は、前記回転部に気密に固定され、
前記バルーンの内部は、前記回転部により前記固定部から隔てられ、
前記送風器および前記駆動手段は前記固定部に支持され、
前記回転部は、前記固定部の上部と側面を囲んで、前記基底部の対応する部分に空間を形成し、
この空間に前記送風器と前記駆動手段が収容され、
前記光源部は前記光源および光源支持部から成り、前記光源は前記バルーン内に位置し、前記光源支持部は前記固定部に支持され、
前記回転部は、前記送風器から前記バルーン内へ前記気流を通過させる貫通部を有することを特徴とする広告装置。
【請求項2】
前記回転部は、中心付近に開口部を有する環状円盤部と、この環状円盤部の外周に一端が固定された外側円筒部と、前記環状円盤部の内周に一端が固定された内側円筒部とから成り、
前記環状円盤部が前記固定部の上部に、前記外側円筒部が前記固定部の側面に、それぞれ位置して、前記空間を形成し、
前記バルーンの開口部が、前記環状円盤部の外周付近に固定される、請求項1の広告装置。
【請求項3】
前記貫通部の全部または一部が、前記内側円筒部の内部と、前記環状円盤部の前記開口部とにより形成される、請求項2の広告装置。
【請求項4】
前記空間は、前記内側円筒部の側面または前記環状円盤部から遠い端部に接続された区画を有し、
前記送風器はこの区画の外側に配置され、
前記区画は、前記内側円筒部に通ずる第一の開口部と、前記送風器の排気口に連結された第二の開口部を具え、
前記貫通部を、前記区画、前記内側円筒部の内部、前記環状円盤部の前記開口部により形成することができる、請求項3の広告装置。
【請求項5】
前記貫通部が、前記環状円盤部の前記開口部以外に設けた開口である、請求項2の広告装置。
【請求項6】
前記送風器は、その吸気口が前記環状円盤部に平行の方向に設けられている、請求項2ないし5いずれかの広告装置。
【請求項7】
前記吸気口が、口径の異なる2以上の多孔円筒から成り、それらの孔の位置が互いにずれるように設けられた、ろ過部材を具える、請求項6の広告装置。
【請求項8】
前記回転部と前記駆動手段がベルトにより連結され、このベルトを介して前記回転部が前記駆動手段により回転される、請求項1の広告装置。
【請求項9】
前記内側円筒部が前記駆動手段とベルトにより連結され、前記回転部が前記ベルトを介して前記駆動手段により回転される、請求項2の広告装置。
【請求項10】
前記駆動手段が、前記ベルトを旋回させるためのプーリーと、このプーリーに回転力を伝達するクラッチと、このクラッチの入力側に連結されたモーターから成り、前記クラッチは所定の負荷を超えたとき前記回転力の伝達を停止することができる、請求項8または9の広告装置。
【請求項11】
前記クラッチは、所定の負荷を超えたときスリップするフリクションクラッチである、請求項10の広告装置。
【請求項12】
前記光源支持部の一部または全部が、前記内側円筒部に収容されるように設けられた、請求項2ないし5いずれかの広告装置。
【請求項13】
前記光源支持部の一部または全部が、前記内側円筒部および前記区画の中に収容されるように設けられた、請求項2または4の広告装置。
【請求項14】
前記基底部が、前記光源からの光束を前記バルーンに向かって収束する反射鏡を具える、請求項1の広告装置。
【請求項15】
前記回転円盤部が、前記光源からの光束を前記バルーンに向かって収束する反射鏡を具える、請求項2の広告装置。
【請求項16】
前記光源支持部が、前記光源からの光束を前記バルーンに向かって収束する反射鏡を具える、請求項2の広告装置。
【請求項17】
前記反射鏡は、前記バルーンと反対方向に向かう光束の一部を通過させる窓を有し、前記回転円盤部が前記反射鏡の前記窓に臨む位置に、前記窓を通過した光束を反射して前記バルーンに向かわせる光反射部材を有する、請求項15の広告装置。
【請求項18】
前記反射鏡は、前記バルーンと反対方向に向かう光束の一部を通過させる窓を有し、前記回転円盤部が前記反射鏡の前記窓に臨む位置に、前記窓を通過した光束を反射して前記バルーンに向かわせる光反射部材を有する、請求項16の広告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−221119(P2006−221119A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64596(P2005−64596)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックファスナー
【出願人】(501282198)晶和貿易株式会社 (6)
【Fターム(参考)】