広範囲に波長調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイス
本発明は、広範囲に波長調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイスを開示し、その光学Bragg回折阻止域およびより高いエネルギー域の波長、幅および強度は、複合材料の電子配置の所定の変化によって行われるコロイド状光子格子寸法の膨張または収縮を制御することによって、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に、かつ広いスペクトル範囲にわたって調整することができる。その好ましい実施形態において、材料は、電荷および流体含有率が連続的に変動可能な酸化還元状態の架橋金属ポリマー網目マトリックス中に微小球を組織化したアレイからなる、フィルムもしくはパターン形成したフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形の複合材である。コロイド状光子結晶-金属ポリマーゲルの化学-機械的および電気-機械的光学応答は、例外的に急速かつ可逆性であり、その乾燥収縮状態から完全な膨張状態、およびその逆を秒以下の時間尺度で達成する。これらの複合材料は、前述のコロイド状光子結晶金属ポリマー-ゲル網目から構成要素の微小球を除去することによって逆にして、巨大多孔質の金属ポリマー-ゲル網目の逆コロイド状光子結晶フィルム、もしくはパターン形成したフィルム、または任意の寸法の形状を形成することができる。光学Bragg回折阻止域およびより高いエネルギー域の波長、幅、および強度は、コロイド状光子格子寸法の膨張または収縮を制御することによって、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に、かつ広いスペクトル範囲にわたって酸化還元調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材フィルムの阻止域またはより高いエネルギー域から発生する光学的なBragg回折光の波長を調整することができるように調節可能な格子寸法を有する微粒子を含む、架橋した金属ポリマー網目複合材フィルムから作られた複合光子結晶材料に関する。さらに詳細には、本発明は、広範囲に波長調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイス、詳細には、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に調整可能な光子結晶格子寸法を有し、同時に、電磁気スペクトルの紫外線、可視光および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させもしくは透過させる予め定められた能力を有する、フィルムもしくはパターン形成したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形の新しい型の3-DBragg回折光素子の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
光子結晶は新しい種類の材料であり、周期が照射波長の大きさに一致するとき、それらの屈折率における周期的な変調によって電磁放射と相互作用する(E.Yablonovitch, Phys. Rev. Lett. 58, 2059 (1987), and S.Hohn, Phys. Rev. Lett. 58, 2486 (1987)参照)。今のところ、それらは大部分基礎的な科学的興味の対象であるが、光子結晶はますます基礎と応用分野の両方で有力になり、多数の提案された未知の用途におけるその潜在的な可能性が広がっている(J.D.Joannopoulos, P.R.Villeneuve, Nature 386, 143 (1997)参照)。
【0003】
これらの複雑な構造の材料を製造する特にすばらしい方法は、良好に画定された幾何形状の広範囲の整列格子中に、単一サイズの分散球状コロイド集団を自己集合することを含む。無機およびポリマー両方の組成の球状コロイドは徹底的に研究され(P.C.Hiemenz, R.Rajagopalan "Principles of Colloid and Surface Chemistry", Marcel Dekker Inc., New York (1997)参照)、単分散懸濁物としてごく普通に得ることができ、製造は非常に安価である。これらのことや、これらのコロイドを非常に低い欠陥濃度で面心立方体(fcc)結晶中に組織化する最近の成功を考慮すれば、それらが光子結晶研究の最先端に押し出されたことも驚くべきことではない(最近の概論は、(a) Y.Xia, B.Gates, Z-Y.Li, Adv. Mater. 13, 409 (2001) ; (b) V.L.Colvin, MRS Bull. 26, 637 (2001)参照)。
【0004】
新しいものではあるが、自己集合コロイド状光子結晶の概念は、幾度も盛大に提示され、コロイド状結晶の鋳型またはそれらの複製(誘電体媒体中の空気孔のアレイ)によって非常に様々な材料がこれらの系に組み込まれた。B.T.Holland, C.Blanford, A.Stein, Science 1998, 281, 538を参照されたい。したがって、当領域の研究は、この点において未開発なだけでなく外部の刺激によって様々に調整することの可能な材料からなる系を設計することに集中され始めた。K.Busch, S.John, NATO Sci. Ser., Ser. C:Math. Phys. Sci. 563, 41 (2001)。この手法の有望性は、非常に制御された形に光特性を変化できるだけでなく、これらのコロイド状光子結晶材料中の構造的な色彩(すなわち、顔料または発色団からの色彩とは対照的である)を作り出す複雑な光-微小構造の相互作用を用いて、容易に測定可能な光応答による正確な検知を行うことにある。
【0005】
コロイド状光子結晶を調整する方法のひとつは機械的な応答によるもの、すなわち、結晶が形状または寸法を変化させるように外部条件を変化させることである。この概念を実験的に示す、膨張したヒドロゲルの容積変化を用いた萌芽的な研究は、Asherおよびその共同研究者らによって行われた。J.M.Weissman, H.B.Sunkara, A.S. Tse, S.A. Asher, Science 274, 959 (1996)を参照されたい。かれらの手法は、非最密充填アレイに自己集合し高度に荷電したラテックス微小球のアレイを、厳密に脱イオン化した媒体中の互いに反発性のある静電相互作用によって、ヒドロゲルマトリックス中に固定することであった。
【0006】
これらのいわゆる重合結晶コロイドアレイ(PCCA)は、アクリルアミドベースの有機ポリマーゲル(T.Tanaka, Phys. Rev. Lett. 40, 820 (1978))のよく知られた特性を利用することができ、同時にこれらの有機ポリマーに特定の検体の受容体を組み込むことによって検知機能を行うことができよう(J.H.Holtz, S.A.Asher, Nature 389, 829 (1997))。これらの系はすばらしいが、高い溶媒含有率による機械的安定性の低さ、刺激に対する応答の遅さ、サンプルの多結晶質性などのいくつかの欠点を有し、その波長、幅、強度などのBragg光回折ピークの特徴を正確に制御することができない。
【0007】
ある研究者達は、Asherとその共同研究者達に従ってPCCA系を用い、より高い機械的安定性を得るためにそれを後修飾した(S.H.Foulger, J.Pong, A.C.Lattam, Y.Ying, D.W.Smith Jr., Adv. Mater. 13, 1898 (2001))が、この系はAsherらによって開発されたオリジナルの材料のようにやはり同じ基本的な欠点を有した。さらに他の研究者達はこれら先駆研究者達の採用した同じ有機ポリマーヒドロゲルを使用し、それらを最密充填コロイド状結晶に組み込み、単に僅かな修飾経路によって作製したものと類似の種類の材料を得た(Y.Takeoka, M.Watanabe, Langmuir 18, 5977 (2002))。この先行のPCCA研究について注目すべき重要な点は、コロイド状結晶を封入するマトリックスが有機ポリマーゲルであり、以下に詳細に述べるように、その組成物と特性は、本明細書に述べた発明に使用される金属ポリマーゲルと明らかに異なることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書に述べる本発明で研究した材料は、弱く架橋したポリフェロセニルシラン(PFS)(その架橋密度は連続的にかつ精密に調節することができる)と、可逆的に酸化還元調整可能で膨張-収縮可能な金属ポリマーゲルとして機能する独特の能力を有する新規な金属ポリマー(本発明でも金属ポリマーと呼ぶ)のマトリックス中のサブミクロンサイズ微小球の整列面心立方体(fcc)配列からなる平面化した複合コロイド光子結晶である(K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001))。この種類の可逆的に酸化還元調整可能で膨張-収縮可能なコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料は、全く新規であり、この種類の組成物は以前に作られたことがなく、特許または公開文献に報告されたこともない。金属ポリマーゲルマトリックスは、全ての知られた有機ポリマーゲルとは異なり、ポリマーの骨格に直接一体化された金属原子を有するので、それらは独特の化学的および物理的特性を示す。ポリマー骨格が金属原子からなる結果、これらの金属ポリマーゲルは有機ポリマー類似化合物に固有の多くの欠点を克服し、また、使用される金属骨格含有ポリマーの特性のおかげで、追加の価値のある機能を導入する(I.Manners, Science 294, 1664 (2001))。この種の酸化還元活性金属ポリマーはよく画定された安定な酸化還元対を有するので、金属ポリマーの荷電状態を連続的にかつ精密に、可逆的に化学的もしくは電気化学的に直接変化させて、流体媒体とのその相互作用を変化させることができる。これは、金属ポリマーゲルを様々な入手可能な流体媒体によって酸化または還元された状態に切り替えると、化学-機械的または電気-機械的に誘起されたコロイド状光子結晶格子の膨張または収縮をもたらすことができる。
【0009】
三酸化タングステンから作られた逆コロイド状結晶の光特性の電気化学的調整を取り扱う以前の報告(Sumida,T.;Wada,Y.;Kitamura,T.;Yanagida,S. Chemistry Letters 2, 180 (2002))があるが、この系は、三酸化タングステンが固体状態の材料であり、ポリマーではなく、さらに光コロイド状光子結晶特性の調整が、三酸化タングステンで逆転されたコロイド状光子結晶マトリックスにおいて、リチウムイオンおよび電子がそれぞれ構造内の空隙空間と伝導性帯域に電気化学的に注入される際に起きる、古典的な金属-非金属で誘起された屈折率の変化から生じ、本明細書に述べる実施形態の金属ポリマーゲルコロイド状光子結晶複合材料の動作モードに基づくコロイド状光子結晶格子寸法の変化ではない点で、本発明に述べたものとは完全に異なることに注目することは極めて重要である。
【0010】
急速に再現性良く波長調整可能なコロイド状光子結晶材料を経済的に製造する方法を提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
複合材料からなる、広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイスを直接合成する方法を述べることは本発明の目的であり、複合材料の微小構造は、酸化還元活性架橋金属ポリマー網目内に封入された微小球などの回折ユニットの組織化されたアレイに基づいており、本発明において、用語「架橋された網目」は「ゲル」と互換性をもって使用される。
【0012】
本発明の一態様において、
第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を含む波長調整可能な複合材料であって、第1の構成要素の秩序配列は複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、
架橋金属ポリマー網目は、その中に化学的に一体化された金属原子を含むポリマー骨格からなり、架橋金属ポリマー網目は、金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときそれは膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させるように、架橋金属ポリマー網目による選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であり、流体の捕捉と排除の量は架橋金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される、複合材料が提供される。
【0013】
本発明の他の態様において、
a)第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を製造することであって、第1の構成要素の秩序配列は複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、架橋金属ポリマー網目は、ポリマー骨格に化学的に一体化され互いに直接または結合ユニットを経由して接続された金属原子を含むポリマー骨格からなり、架橋金属ポリマー網目は、金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときそれは膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は架橋ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御され、
b)架橋ポリマー網目が寸法を変化させ、第1の構成要素の秩序配列の格子間隔を変調して、Bragg回折波長を予め選択した波長に移動するように、架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えることとを含む複合材料の波長調整方法が提供される。
【0014】
微小球はコロイド状光子結晶の中へ自己集合し、かつ、微小球が堅固に接続されず、コロイド状光子結晶格子の内部空間がある程度架橋金属ポリマー網目で充填されるように自己集合する。ポリマーゲルは、酸化還元変化または金属ポリマーゲルに加えられた流体(液体または蒸気)の変化によって可逆的に膨張または収縮できるように選択される。コロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料は、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形であり、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイは制御された面積と厚さを有し、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイは基板上に成長し、そこへ接着される。
【0015】
基板は、導電性または絶縁性であり、光学的に透明または反射性または吸収性があるように選択することができ、コロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料の格子寸法は、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に酸化還元調節または流体調節することができ、それによって、阻止域またはより高いエネルギー域から起きる光学的なBragg回折光の波長を、光電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外波長領域にわたって、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に調節可能な格子寸法のコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイによって同時に調整する手段を提供し、それによって新規な種類の化学-機械的および電子-機械的に広く色彩調整可能なBragg光回折デバイスを提供し、その多色光官能性は、波長調整可能なフィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング光通信用途ならびに光検知および光像形成、ディスプレイ、フィンガープリントおよび印刷用途に有用性を見出すことができよう。
【0016】
本発明の他の目的は、前述のコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合フィルムから構成要素の微小球を除去して、巨大多孔質金属ポリマーゲル光子結晶フィルムを作成する直接的な合成方法を述べることであり、その格子寸法は、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に酸化還元調節可能または流体調節可能であり、それによって、阻止域または前記巨大多孔質金属ポリマーゲル光子結晶フィルムからのより高いエネルギー域から起きる光学的なBragg回折光の波長を、光電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外波長領域にわたって、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に同時に調整する手段を提供し、それによって、新規で明らかに異なる種類の化学-機械的および電子-機械的に広く色彩調整可能なBragg光回折デバイスを提供し、その多色光官能性は、波長調整可能なフィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング光通信用途ならびに検知および像形成、ディスプレイ、印刷およびフィンガープリント用途に有用性を見出すことができよう。
【0017】
微小球が使用されるとき、それらは0.1〜5ミクロンの範囲の直径を有することができる。好ましい架橋ポリマーは軽度に架橋したポリフェロセニルシラン(PFS)である。
【0018】
本発明は、広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイス、詳細には、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に調節可能な光子格子寸法を有し、同時に電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させ、もしくは透過させる所定の能力を有する、フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形の新しい種類の3-D bragg回折光素子を提供する。このコロイド状光子結晶デバイスの調整可能な多色性は、フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、および光通信システムに使用されるスイッチなど光学部品ならびに像形成、ディスプレイ、印刷、フィンガープリントおよび検知システムに使用される色彩調整可能材料など、光の波長調整可能性を要求する多くの用途に有用であるが、これらは例示であり制限されない。
【0019】
ここで、本発明による広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイスを作成する方法を、付随する図面を参照して、例示としてのみ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書で使用される用語「金属ポリマー」は、それ自体で複数回繰り返す少なくとも1種類の化学ユニットを有する金属含有分子もしくは分子集合体を意味し、金属原子および/または金属原子基はポリマーの骨格に化学的に一体化されているが、これらの金属ポリマーは、金属ポリマーもしくは金属オリゴマーの側枝官能基に化学的に一体化された金属原子または金属原子基を含むものであってもよい。
【0021】
本明細書に述べる本発明の詳細な説明において、われわれは、広範囲の波長にわたって、複合架橋金属ポリマー網目コロイド状光子結晶フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの所定の面積と厚さのフィルムもしくはパターン形成したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイからなる合成複合材料を、連続的に精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に、電気機械的に色調整する新規な方法を提供し、その多色光官能性は、波長調整可能な光通信フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング、ならびに検知、像形成、ディスプレイ、印刷システムにおける有用性を意味する。本発明に説明される、広範囲に波長調整可能な多色複合架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶デバイスの全体的な動作モードは図16に示されている。詳細には、図16は、本発明に説明した多色複合コロイド状光子結晶金属ポリマーゲルデバイスを示す。デバイスを含む材料は、溶媒を液体または蒸気の形で捕捉することができ、この例示では左から中間へ移動させる。これは格子定数を増加させ、光Bragg回折波長を赤へ移動させる。材料の酸化はデバイスを含む材料の特性を変化させ、それを収縮させて、この例示の中間から右への進行として示すように、光Bragg回折波長を青へ移動させる。デバイスの動作モードの例示は、非極性溶媒に曝されるときのデバイスを含む材料の挙動を説明しており、十分極性の溶媒中で構造は酸化状態でさらに膨張し、したがって酸化は回折波長を赤移動させるであろう。
【0022】
複合材料の波長を調整する本方法は、異なる屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた選択された屈折率を有する微粒子の秩序配列の製造を含み、微粒子の秩序配列は、複合材料が照射されるとき、特性波長でBragg反射を起こす格子間隙を有する。微粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体を含むことができるがそれらに制限されない。微粒子は、絶縁体、ポリマー、金属、半導体から作ることができるがそれらに制限されない。微粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの直径を有するシリカから作られた単分散の微小球(3〜5%)であることが好ましい。固体粒子の代りに、秩序配列は、金属ポリマー粒子複合材を逆にして粒子を溶解して除去し、その痕に金属ポリマー中の空隙のアレイを残すことで形成することができ、それは適切な圧力の適切なガスで充填することができる。空気は1の屈折率を有し、架橋ポリマー網目を形成する金属ポリマーと異なる屈折率を与えるであろう。
【0023】
「金属ポリマー」と呼ぶとき、発明者達は、本発明が典型的なポリマーよりも少数の繰り返しユニットを有する金属オリゴマーを使用して作製できることも考えていることを理解できよう。したがって、本発明に関する限り、用語「金属ポリマー」は「金属オリゴマー」も意味する。
【0024】
微粒子は金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマー、液体とすることのできる基板上に薄膜として形成することが好ましい。それらは、基板表面上にパターンで成長して、デバイスの最終用途に応じて光または電子回路の成分とすることができる。また、構成要素は自立型モノリス構造として形成することもでき、言い換えれば、微小球の場合、大きな塊の結晶を成長させ、次いで、架橋ポリマー網目へ前駆体を浸透させることができる。微粒子自体は絶縁体、ポリマー、金属、半導体から作ることができるがそれらに制限されない。好ましくはシリカから作った単分散の微小球である。第1の構成要素微粒子の表面と任意の支持基板表面の両方は予備処理または後処理を行って、例えば架橋基にこれらの表面へのアンカー効果を与えることによって、架橋金属ポリマー網目への表面の接着を高めることができる。
【0025】
架橋ポリマー網目は、互いに直接または結合ユニットを経由してポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子を含む骨格を有する金属ポリマーを使用して製造される。架橋金属ポリマーr網目は金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は複数の電子配置の間で切り替え可能である。架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目が流体を捕捉するときそれは膨張してBragg反射波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg反射波長をより短波長へ移動させるように、架橋金属ポリマー網目による制御された流体の捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張および収縮することができる。流体の捕捉と排除の量は架橋p金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される。
【0026】
電子配置の切り替えは、核に対する外側軌道の電子分極を含んで金属含有架橋金属ポリマー網目中の電荷分布の変化を含むことができ、それによってイオン、二極、誘起二極および波動する二極相互作用等を変化させる。同様に、架橋金属ポリマー網目の電子配置の切り替えは、例えば、パターン形成した電極上に複合材料を作製することによって、架橋金属ポリマー網目の局部的な空間領域で行うことができる。
【0027】
金属含有架橋金属ポリマーr網目の好ましい実施形態において、異なる電子配置は複数の酸化状態を指し、金属原子は2以上の酸化状態の間で切り換わって局部の環境を変化させ、それによって流体の捕捉または排除を起こす。したがって、この場合架橋金属ポリマー網目の電子配置の切り替えは所与の比率の金属原子をひとつの酸化状態から他の状態へ切り替えることを含む。
【0028】
架橋金属ポリマー網目は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、亜鉛およびその組合せを制限して含む金属原子を含んで製造することができる。材料を作る好ましいユニットは、上記の金属のいくつかを含む金属含有架橋メタロセノファンであり、これらの中で好ましいものは、直鎖シラ-1-フェロセノファンの場合、架橋金属ポリマー網目がポリフェロセニルシランからなるような、2個のシクロペンタジエニル配位子を橋架けするケイ素原子を有する鉄である。
【0029】
直鎖金属ポリマーを形成するシラ-1-フェロセノファンは、ジアルキルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルコキシシラ-1-フェロセノファン、ジアルコキシシラ-1-フェロセノファン、シクロアルキルシラ-1-フェロセノファン、ジアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルケニルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルキニルシラ-1-フェロセノファン、またはその組合せを含む化学種であるがそれらに制限されない。ポリマー鎖間に架橋を形成するシラ-1-フェロセノファンは、シクロブチルシラ-1-フェロセノファン、シラ-1,1'-ジフェロセノファン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エタン、またはその組合せを含むがそれらに制限されない。これらの化学種は、熱的に、または遷移金属触媒もしくはカルバニオンもしくは様々な波長の電磁放射などの様々な重合開始剤で重合することができる。
【0030】
架橋金属ポリマー網目は、約50〜100重量%のモノマー、0〜30重量%の架橋剤、0〜20重量%の開始剤を含む化合物の混合物を使用する上述の金属含有モノマーを使用して形成することができる。得られる網目は架橋ポリフェロセニルシランからなり、架橋の密度は上記混合物の架橋剤の比率によって制御可能である。金属ポリマー網目の気孔率は、上記混合物を溶媒などの不活性物質中に希釈すれば調整することができ、溶媒は重合の後に除去することができる。
【0031】
金属の酸化状態は、化学的酸化還元反応、光化学酸化還元反応、熱化学的酸化還元反応、電気化学的酸化還元反応などの刺激を加えることを含む、1種またはそれ以上のいくつかの異なる方法によって切り替えることができるが制限されない。熱化学的酸化還元反応は、2個の酸化性酸素中心ラジカルを与える過酸化物の熱開裂など、酸化剤または還元剤になることのできる反応性化合物に分解する化合物を用いることによって行うことができる。光化学酸化還元反応は、酸化性塩素ラジカルを生じるクロロホルムの光開裂など、酸化剤または還元剤になることのできる反応性化合物に分解する化合物を用いることによって行うことができる。
【0032】
ポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子は、直接または結合ユニットを経由して、またはその組合せで互いに接続される。例えば、金属含有ポリマー骨格は、2個またはそれ以上の金属原子が直接互いに結合して、架橋ポリマー網目に化学的、物理的、電気化学的、電子的特性のいくつかの組を付与する周期的な部分を有することができる。代りに、各金属はその最隣接金属から結合ユニットによって間隔を置くことができる。結合ユニットは、架橋ポリマー網目に、予め選択された化学的、物理的、電気化学的、電子的特性を付与するように選択される。結合ユニットは、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せを含むことができるがそれらに制限されない。
【0033】
化学的にポリマー骨格に一体化された金属原子ユニットは、それ自体で様々な種類の金属原子ユニットに結合することのできる、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せを含む側鎖配位子を保持することができるがそれらに制限されない。
【0034】
金属ポリマーの合成方法および処方に応じて、ポリマー網目の架橋は、化学結合、物理結合、ナノ粒子、表面、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水相互作用、疎フッ素性(fluorophobic)相互作用、相分離ドメイン、またはその組合せによって形成される。金属ポリマー網目中の架橋は導電性または電子的に絶縁性、またはその組合せのいずれかであるように選択することができる。
【0035】
波長調整可能な複合材料は、a)Bragg反射を示す第1の構成要素の秩序配列を架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中に形成し、次いで、b)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋を誘起させ、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換することによって製造することができる。
【0036】
ステップa)は、微粒子をBragg反射を示す秩序配列に組織化し、次いで、第1構成要素間の間隙空間に架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を浸透させることを含むことができる。代りに、ステップa)は、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の存在下で微粒子を秩序配列中に組織化することを含むことができる。
【0037】
金属ポリマー網目は複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および分布で製造することができ、これは知られたポリマー加工条件によって制御することができる。例えば、所与の数の架橋密度の制御は、架橋金属ポリマー網目中の所定数の結合の開裂を制御することによって達成することができる。開裂の制御は、網目の1種以上の所定の電子配置(例えば酸化状態)の間を電気化学的に循環することによって行うことができる。
【0038】
微粒子の表面は、第1の構成要素と架橋金属ポリマー網目ならびに選択された基板の間の接着を適切に高めるように修飾することができる。例えば、微粒子の表面は、金属ポリマー網目の微小球の表面ならびに選択された基板の表面への結合を高める基で官能化することができる。
【0039】
架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、第1構成要素の間の空隙空間に浸透する液体とすることができる。代りに、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、加熱して、第1構成要素の間の空隙空間に液体溶融物として浸透する固体とすることができる。架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、微粒子間の空隙空間に昇華によって浸透する固体とすることができる。また、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、空隙空間に液体中の溶液として浸透する固体とすることができる。または、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、溶液中に溶解した液体または固体および酸化性電位または還元性電位を用いて電着させた金属ポリマー網目前駆体混合物とすることができ、制御された電位の印加が金属ポリマー網目前駆体混合物の溶解性を変化させ、第1構成要素の空隙空間に固体の付着をもたらす。
【0040】
複合材は、微粒子アレイの頂部表面が第1構成要素粒子の断面寸法よりも大きな厚さの架橋金属ポリマー網目前駆体混合物で被覆されることを避けるように製造することができる。これは、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を浸透させた第1構成要素のアレイにエラストマー基板を押し付け、第1構成要素自体の間の間隙内以外のあらゆる過剰物を搾り出すことによって行うことができる。制御された量の重合開始剤を、時間、温度変化、電磁放射、化学的反応および電気化学的反応から選択される刺激によって、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の中、および架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋の中に組み込むことができる。
【0041】
架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、予め選択された量の添加剤を含むことができ、これは架橋の後(例えば溶解によって)除去され、予め選択された多孔率の架橋金属ポリマー網目が得られる。逆に、添加剤は架橋に続いて架橋金属ポリマー網目に組み込むことができる。これらは、架橋金属ポリマー網目の特性を修正するように選択することができ、溶媒、溶液、ガス、固体、染料、分子、金属ナノクラスターおよび半導体ナノクラスター、巨大分子、分子集合体、ならびに、約0.1ナノメートルから約1マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体、またはその組合せの群から選択される粒子を含むことができる。
【0042】
ここで、本発明による製品、およびこれらの製品を製造するのに使用される方法を、例示を意味するだけの次の非制限的な実施例で示す。
【実施例1】
【0043】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の合成
本発明の方法を展望すれば、この研究で研究された材料は、膨張可能な酸化還元活性金属ポリマーゲル、すなわち金属ポリマーゲルである弱く架橋したポリ(フェロセニルシラン)(PFS)のマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロン球からなる平面化複合コロイド状光子結晶である。K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001)。
【0044】
金属ポリマーマトリックスの骨格に直接一体化された金属原子を有するこの新しい種類の金属ポリマー-コロイド状結晶複合材は、ポリアクリルアミドで代表されるが制限するものではない種類の有機ポリマー類似品の欠陥を克服し、ならびに使用される金属含有金属ポリマーによって追加の官能性を導入する。
【0045】
本発明を特徴付けるポリ(フェロセニルシラン)PFSは、金属ポリマーであり、その骨格は、シクロペンタジエン(Cp)環の1-と1'-の位置に接続した交互に置換されたケイ素原子およびフェロセン基からなる。曲がって傾斜した環状[1]-シラフェロセノファンの熱的開環重合(ROP)は高分子量のポリマーを与える。D.A.Foucher, B.Z.Tang, I.Manners, J.Am.Chem.Soc. 114, 6246 (1992)。この実施例に使用したモノマーは、ケイ素原子に非対称置換基を保持し、金属ポリマー網目内の微小結晶化の可能性を防止する(エチルメチル)シラ-[1]-フェロセノファンであった(K.Temple, J.A.Massey, Z.Chen, N.Vaidya, A.Berenbaum, M.D.Foster, I.Manners, J.Inorg.Organomet.Poly. 9, 189 (1999))。架橋剤は、2個の歪んだ環からなり、両方とも熱的に開環することのできるシラ(シクロブチル)-[1]-フェロセノファンであった(M.J.MacLachlan, A.J.Lough, I.Manners, Macromolecules 29, 8562 (1996))。
【0046】
この金属ポリマー系に実施してその機械的、酸化還元、およびしたがって光特性を調整することのできる広範囲の化学的修飾がある。例えば、説明した架橋剤は導電性架橋を形成する化学種で置換することができよう。これらには1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エテンが含まれる。
【0047】
これらの完全に新しい一実施例の合成および結晶構造を図1Aに示す。より詳細には、図1Aaは複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルム用の次世代の架橋剤の合成を示す。新しいPFS中の架橋剤は、導電性のpi-共役ジエチニルベンゼン基の2個の末端に付着した、2個の重合可能なシラフェロセニル環を含む。図1Ab)は、合成スキームに示した製品の単結晶x-線構造決定を示す。この次世代複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶中の伝導性架橋は、フィルム内の電荷移動速度を高めることによって電気化学的な刺激への膨張および収縮応答時間を改善するよう設計されていることに留意されたい。
【0048】
図1Bは、複合材料の製造に係わるステップの図を示し、(i)シリカコロイドの気相成長;(ii)200℃、12時間、真空;(iii)キャッピング剤1での処理;(iv)モノマー2と3の浸透、300mmHgで溶剤の除去;(v)サンプルをPTFEシートとガラススライドで被覆し、結合クリップで結合する;(vi)190℃、13時間、N2;(vii)クリップとPTFEとガラスカバーを注意深く取り除くステップを含む。
【0049】
高品質のコロイド状光子結晶を製造するには、われわれはテトラ(エトキシ)シランの制御された加水分解によって製造された、高度に単分散した(平均球直径の標準偏差<2〜3%)直径280±5nmのシリカ微小球(走査電子顕微鏡(SEM)で測定して)から出発する(W.Stober, A.Fink, E.J.Bohn, J.Colloid Interface Sci. 26, 62 (1968))。微小球を僅かに沈澱させて懸濁物の底部と頂部をピペットで取り出して除去する分別を2〜3ステップ行って、多分散性をさらに狭くした。平面化シリカコロイド状結晶は、ガラス顕微鏡スライド上に気相成長法(P.Jiang, J.F.Bertone, K.S.Hwang, V.L.Colvin, Chem.Mater. 11, 2132 (1999))によって製造し、ガラスの1面のフィルムを拭き取った。
【0050】
また、コロイド状結晶は、インジウム-酸化スズ(ITO)またはフッ素酸化スズ(FTO)をコーティングしたガラススライドなどの導電性基板上に成長させることもできよう。例えば、ITO-ガラススライドは、RCAの標準規約(5:1:1H2O:NH3(水性):30%H2O2(水性))によって洗浄し、次いで上述のようにシリカ微小球の気相成長を行った。ひとつの注目すべき修飾は、15mLのエタノール性ゾルに0.1mLのジイソプロピルエチルアミンを添加することであり、これがないとITO表面にコロイド状結晶フィルムは付着しなかった。これらのコロイド状結晶はUV-Vis-NIRスペクトル計によって特性を求め、次いで脱水し、窒素充填グローブボックス中に移した。次いで、微小球の表面および基板を乾燥ヘキサン中のクロロシラン1で修飾し、塩素をシリカシラノール基で置換することによって重合可能基の表面層を形成した(D.L.Zechel, K.C.Hultszch, R.Rulkens, D.Balaishis, Y.Ni, J.K.Pudelski, A.J.Lough, I.Manners, D.A.Foucher, Organometallics 15, 1972 (1996))。
【0051】
代りに、化合物1は、表面のシラノール基と反応して重合可能なシラシクロブチル基の表面結合層を形成する架橋剤2で置換することができる。このステップは基板上に良好な接着を有するコロイド状結晶材料を得るために重要である。次いで、乾燥ベンゼン中の10重量%の架橋剤2と90重量%のモノマー3の非常に濃厚な溶液をコロイド状結晶フィルム上に滴下し、溶媒を部分的な真空中で乾燥して除いた。サンプルと、清浄な研磨したポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE;Teflon(登録商標))と、他のガラススライドを結合クリップで互いに結合し、サンプルを熱的に重合した。組立体を注意深く分離し、望ましいシリカ-PFS複合コロイド状結晶フィルムを得て、これをテトラヒドロフラン(THF)に一夜浸漬し、PFS網目の中に重合しなかったあらゆるオリゴマーを除去した。
【0052】
一サンプルの断面SEM像を図2に示す。この複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの断面のSEM像は、ガラス基板、浸透したコロイド状結晶、および塊の金属ポリマー(PFS)被覆層を示す。挿入図はサンプルの開裂中に曝された(111)結晶面の拡大図を示し、これらのコロイド状結晶中の微小球の面心立方体(fcc)配列が確認される。
【0053】
サンプルのサイクルの際の機械的安定性を大きく改善するために、この方法の変形を用いた。上述のモノマーの浸透および乾燥の際、PTFEカバーおよびガラススライドを、6000オングストロームの銅金属でスパッタリングしたガラススライドで、銅コーティングがコロイド状結晶サンプルに面するように置き換えた。組立体を結合クリップで結合し、サンプルを窒素の分圧100〜150トルおよび190℃で15時間熱的重合を行った。重合の後、頂部のガラスカバーは容易に分離することができ、露出した銅コーティングをFeCl3とNH4Clの水性溶液で10分間エッチングした。
【0054】
同様に、浸透ステップの間に、制御された量のPFSホモポリマー(骨格のケイ素原子上の様々なアルキル基)をモノマーと一緒にフィルムへ組み込むことができる。ポリマーの含有には2つの機能があり、第1に浸透ステップにおいて、モノマー/架橋剤溶液の粘度を高め、結晶化の傾向を低下させ、両方ともより均一で再現性のある浸透をもたらす。同様に、未反応のオリゴマー除去の働きを行う洗浄ステップは、組み込まれたホモポリマーも除去し、容易に調整可能な気孔率を提供する。これは充填画分の制御によって光特性の調整を可能にし、ポリマー網目中の自由容積を増加させることによって動力学応答の調整を可能にする。
【実施例2】
【0055】
溶融浸透による、ポリマー被覆層のない平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の合成
ここで詳述する方法は、実施例1どおり、弱く架橋したPFSのマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロンのシリカ球からなる平面化複合コロイド状光子結晶の製造方法を説明する。前の実施例において、材料は様々な厚さのポリマー被覆層を備えて製造されるが、この実施例では、ポリマー被覆層は再現性良く球直径よりも薄い。手順の概要を図7に示す。この第1のステップは、アセトン続いて水中の超音波によるガラス顕微鏡スライドの洗浄からなる。次いで、それをpiranha(前の実施例参照)と水で洗浄し、次いで乾燥してペルフルオロオクチルトリクロロシランに露出してそれを非接着性にしたシリコンウェーハ上に置く。ガラススライドとシリコンウェーハの間のスペーサとして厚さ0.1mmのガラス微小片を使用する。液体PDMSプレポリマーを組立体上に注ぎ、真空で空気を除き、全体を60℃の炉中に24時間置き、PDMSを硬化する。シリコンウェーハをリフトオフで取り除き、厚さ0.1mmのPDMSフィルムを有するガラススライドが残り、その上に75〜300nmの銅金属をスパッタリングする。
【0056】
次に、実施例1で述べた方法によって調製したコロイド状結晶フィルムを、触媒として1〜10モル%の4-ジメチルアミノ-ピリジンを使用して、ジクロロメタン中の架橋剤2で処理する。次いで、フィルムをジクロロメタン中で十分洗い乾燥する。次いで、上述の銅被覆複合基板を銅側を上にして窒素充填グローブボックス中の50〜130℃の温度の熱板上に置く。次いで、約50mgのモノマー1と架橋剤2の固体混合物、典型的には10重量%の1と2の混合物を銅の上に置き、溶融させる。混合物が溶融したら直ちに、これも溶融温度に平衡化させた、調製したコロイド状結晶フィルムをコロイド状結晶側を下にして銅に押し付ける。組立体を迅速に互いに折り畳み結合クリップで結合し、窒素下で180〜200℃で10〜20時間重合する。
【0057】
重合の後、組立体を炉から取り出し、クリップを取り外し、メスの刃を使用してコロイド状結晶フィルムと銅コーティング基板を分離する。このようにして、弱く架橋したPFSのマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロンのシリカ球からなる平面化複合コロイド状光子結晶が得られ、元々PDMS上の銅フィルムは平面化した光子結晶の頂部に移動される。次いで、銅コーティングしたフィルムは典型的には蒸留水150mL中の0.2gのFeCl3と3gのNH4Clの溶液中で5分間攪拌し、銅をエッチングして除去する。これらのサンプルのひとつの断面像が図8a)と8b)に示されており、図8a)はフィルム断面の低解像度のSEM像を示し、図8b)はフィルム断面の高解像度のSEM像を示している。両方の白い尺度は1マイクロメートルを表す。コロイド状結晶フィルムの頂部表面上に浸透したPFSの被覆層がないことに留意されたい。図8a)と8b)はフィルムが完全に充填されており、過剰のポリマー被覆層がないことを示している。この工程におけるPDMSの役割は、サンプル表面に対して等角圧力を確保することであり、粒子に関する偶発的な問題に対してより大きな許容性を提供する。
【実施例3】
【0058】
液体溶媒調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
乾燥および溶媒浸漬したサンプルの両方の光特性を、矩形石英板と、PTFEスペーサと、溶媒の注入と除去を可能にするための2個の穿孔を有する石英板を備え、窓を有する金属枠と締め付けネジによって互いに押し付けられた標準的なIRセルで測定した。小さなサンプル面積のスペクトルを得るために、0.3mmの開口がセルに取り付けられた。スペクトルはUV-vis-NIRスペクトル計(Perkin-Elmer Lambda 900 モデル)を用い、サンプル(111)表面を整列マークを使用して入射ビームに垂直に配列して収集した。実験的に得たスペクトルの一部を図3(a)に示す。示したピークは、コロイド状光子結晶の(111)面からの光のBragg回折による狭帯域波長の選択的な反射を表し、主ピークの両側の第2の最大値はサンプルの頂部と底部からの干渉反射(Fabrey-Perot縞)によるものである。
【0059】
コロイド状光子結晶の構造への膨張の影響を予測するために、光特性測定の結果をスカラ波近似に基づく理論的モデルを用いて解析した(K.W.-K.Shung, Y.C.Tsai, Phys.Rev. B 48, 11265 (1993))。この簡単なモデルは、われわれがここで研究しているものなどの、より低いエネルギー光子域に相当するスペクトル領域で、有限サイズの光子結晶の透過率と反射率を記述するのに有効であることが実証された(I.Tarhan, G.H.Watson, Phys. Rev. B 54, 7593 (1996), J.F.Bertone, P.Jiang, K.S.Hwang, D.M.Mittleman, V.L.Colvin, Phys. Rev. Lett. 83, 300 (1999), H.Miguez, S.-M.Yang, G.A.Ozin, Appl. Phys. Lett., 81, 2493-95 (2002), Y.A.Vlasov, M.Deutsch, D.J.Norris, Appl. Phys. Lett. 76, 1627 (2000))。
【0060】
本発明の場合、シリカ微小球と浸透した架橋ポリマーの両方の屈折率、それぞれn=1.425およびn=1.65(F.Garcia-Santamaria, H.Miguez, M.Ibisate, F.Meseguer, C.Lopez, Langmuir 18, 1942 (2002), J.Galloro, M.Ginzburn, H.Miguez, S.M.Yang, N.Coombs, A.Safa-Sefat, J.E.Greedan, I.Manners, G.A.Ozin, Adv. Funct. Mater. 2002, 12, 382)ならびに溶媒のそれを知ることによって、われわれは膨張工程から得られる(111)の面間距離d(111)の増加を得ることができる。われわれは、膨張が起きるとき、ポリマー網目中に溶媒を組み込むことによるコロイド状光子結晶間隙部位の屈折率の変化を考慮する。
【0061】
また、われわれは、基板(ガラススライド)および異なる屈折率の被覆層(superstrate)(過剰ポリマー、図2参照)の存在も含む(D.M.Mittleman, J.F.Bertone, P.Jiang, K.S.Hwang, V.L.Colvin, J. Chem. Phys. 111,345 (1999))。この手法を用いることによって、われわれは唯一の調節可能なパラメーターとしてd(111)を考慮して、シミュレートした反射率のスペクトルを実験のスペクトルにフィッティングする。同時に、われわれは、溶媒のそれぞれで観察された反射率ピーク幅、位置、強度などの特定の光学的特徴を再現する。図3aおよび3bに、フィッティングの主な結果をまとめる。図3aおよび3bは、乾燥ポリマー-シリカコロイド状結晶複合材の出発材料、および同じフィルムを様々な溶媒に浸漬する間の実験および理論の結果をそれぞれ示す。さらに詳細には、図3(a)は、異なる溶解性パラメーターと屈折率の溶媒で浸漬した同じシリカ-架橋ゲルコロイド状光子結晶の実験透過スペクトルを示す。円:溶媒浸透前のサンプル。太い実線:メチルシクロヘキサン、n=1.422、δs=16。細い実線:ベンゾニトリルn=1.528、δs=17.2。点線:クロロベンゼン、n=1.524、δs=19.4。図3(b)はスカラ波近似を用いて計算した対応するシミュレートしたスペクトルを示す図である。コロイド状光子結晶サイズは、フィルムのSEM分析によって11(111)微小球層と考えられた。(111)面間距離を唯一の可変パラメーターとして、実験で観察された位置、幅、強度をフィッティングした。このようにすることによって、われわれは各溶媒による膨張の程度を予測することができる。
【0062】
モデルおよび実験の両方とも、適切な対の溶媒を選択することによって、最大値のスペクトル位置を一定に保ちながら光子阻止域の幅を変調することが可能であることを明らかに示している(結果は示していない)。これは、調整工程の二重の特徴の結果である。一方では、微小球間の距離は膨張中に増加し、格子定数を拡大して同時に構造中へのシリカ微小球の充填割合を減少させる。他方では、ポリマー網目中へ溶媒が組み込まれる結果、微小球と背景の間の屈折率の差は修正される。このシミュレーションから得たd(111)の値は溶媒の溶解性パラメーターδに対して図4にプロットしている。詳細には、図4は、図3に示した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムについての光学データのフィッティングから抽出された、(111)面間距離の変化対異なる溶媒の溶解性パラメーターを示す。これらの結果は、重量差測定によって行われた同じ種類の純粋に塊の金属ポリマーゲルの膨張性に関する前に報告された研究と定性的に一致する。
【0063】
溶解性パラメーターは特定の溶媒の挙動を実験的に記述する数値である(J.H.Hildebrand, R.L.Scott, "The Solubility of Non-Electrolytes", 3rd ed. Rienhold Publishing Corporation New York (1950);Dover Publications Inc. New York (1964))。微小球間距離の正確な調整が達成されることを見ることができる。類似の曲線は、はるかに解像度が低いが、重量-差技術(K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001))を用いて得られており、これらの結果が本明細書の結果とよく一致することを述べるのは価値がある。
【0064】
架橋ポリマー網目は、架橋の存在が有効に無限分子量の「超分子」を形成するので、いかなる溶媒にも溶解することはできない。それらの構造は、熱力学的に好ましい接触を最大にするために溶媒を吸収することができるが、架橋点間の鎖が引き伸ばされるので、入手可能な自由度の程度が低下して、エントロピーの代価を支払う(P.J.Flory, "Principles of Polymer Chemistry", Cornell Univ. Press, New York (1953))。したがって、ポリマーゲルの膨張の程度は、溶媒-ポリマー相互作用に影響を及ぼす様々な要因に依存することができ(S.H.Gehrke, Adv. Polym. Sci. 110, 81 (1993))、これらの系を本質的に調整可能にする。われわれの研究している材料において、d(111)の値が大きいほど、溶媒-ポリマーの相互作用はより好ましく、これに基づいてポリマー溶解性のパラメーターの決定が可能になる。
【0065】
これらのサンプルの膨張は液相の溶媒に制限されない。本発明に述べた溶媒蒸気も、溶媒分子のより高い移動性を与え、応答速度を制限し得る液体-固体または液体-気体界面を取り去って、潜在的にはるかに速い応答で前記格子寸法の変化を起こすことができる。
【実施例4】
【0066】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の液体溶媒に対する経時的光応答
溶媒に曝す際のポリマー-シリカコロイド状光子結晶複合材料の応答速度を評価するために動力学的実験を行った。その実験結果を図5に示す。図5は、液体二硫化炭素に曝す際の、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの応答時間を示すグラフを示す。プロットは、時間(0.1秒間隔)に対してプロットした843nmでの吸収率を表し、この波長は、二硫化炭素で膨張したサンプルの第1阻止域強度の最大値を表す。測定を始める前に、低い初期の吸収値を得るために乾燥サンプルからバックグラウンドを取得した。見えるように、サンプルは0.2〜0.4秒内でその平衡膨張値に達する。
【0067】
サンプルがその完全な膨張状態に達した時を決定するために、膨張したサンプルの第1Braggピーク強度の最大値に注目した。次いで、この波長を時間に関して監視し、二硫化炭素をセル中に注入した。溶媒の注入前は、バッククラウンドが乾燥サンプルから取得したので吸収値は低く、この値は0〜7秒間一定であった。
【0068】
次いで、われわれは若干の増加を観察するが、これは、サンプルセル中に発生して入射ビームを横断する溶媒によって形成された空気-液体界面による散乱に起因する。次に、われわれは、セルの液体含有率(空気ではなく溶媒)と石英板間の屈折率比(nquarts/nair=1.54;ncarbon disulfide/nquarts=1.06)ならびにガラス基板(△nold=1.45; △nnew=1.12)とPFS被覆層(△nold=1.65; △nnew=1.01)の屈折率比の低下に起因する吸収の鋭い低下を観察する。これはこれらの界面で反射される光を減少させ、検出器により多くの光を到達させる。この強度の低下の後、われわれは膨張現象を表す急速な増加を観察し、その後サンプルは一定の定常的な吸収値を得る。乾燥ポリマー-シリカコロイド状光子結晶サンプルへの初期の溶媒注入から完全な膨張状態までの全体の工程は、0.2〜0.4秒で起きる。
【実施例5】
【0069】
溶媒蒸気調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目サンプルの溶媒蒸気への応答を評価するために、特殊な光セルを作製した。サンプル保持具は開放頂部を有する5cm×10cm×20cmの光学キュベット(cuvette)からなった。光学キュベットの頂部を圧力計を備えた主チャンバーに対して封止した。チャンバーからは2個のガラス管が伸び、両方とも少量のガラス配管を残して2個のガラスコック栓を有し、それにより溶媒蒸気の充填または真空下での排気を行うことができた。装備は溶媒蒸気を徐々にまたは急速にサンプルセル中へ導入することを可能にし、かつ真空は少しずつ、またはいきなり真空にすることが可能であった。
【0070】
サンプルの蒸気膨張挙動を例示する試験溶媒として二硫化炭素を選択した。少量の溶媒を反復して装置の側部チャンバーに装填し、主チャンバーに開放されたこの側部チャンバーは静的真空下においた。基板の垂線に直角方向での光スペクトルを各溶媒蒸気圧の増加サイクルごとに監視した。蒸気膨張試験の結果は図9aに示されており、これは底部のプロットから開始して増加する溶媒蒸気圧力に露出したサンプルの光スペクトルを示す。逆に、サンプルの収縮を監視するために、側部チャンバーを真空下におき、互いを分離するストップ栓を開くことによって、この真空にした空間を主チャンバーと平衡にし、主チャンバー中の圧力を緩やかに下げることが可能である。収縮実験の結果は図9b)に示されており、底部プロットから出発して減少する溶媒蒸気圧力に露出したサンプルの光スペクトルを示す。
【0071】
実験の全体の結果は図9cに示されており、サンプルの阻止域のピーク波長を主チャンバー中の溶媒蒸気圧に対してプロットしている。図9cは、サンプルの阻止域の位置対蒸気圧を増加および低下させた溶媒の蒸気圧(黒い矢で示す)を示す図であり、溶媒蒸気圧が変化しても阻止域波長にヒステリシスがないことに注目されたい。ピーク-圧力プロットにはヒステリシスが非常に少ないようであり、良好に制御された可逆的工程であることを示している。少量の反復装填と同様に、サンプルは側部チャンバーに高濃度の溶媒蒸気を装填することによって単一ステップで完全に膨張させることができよう。完全な収縮は主チャンバーを動的真空に開くことによって達成することができよう。
【実施例6】
【0072】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の溶媒蒸気に対する経時的光応答
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の蒸気に対する切り替えの速度と程度をさらに調査するために、全体のスペクトルを0.1秒内で捕捉可能なCCDアレイ光ファイバースペクトル計を用いて動力学研究を行った。サンプルを溶媒蒸気で完全に膨張させた後、動的真空を与え、光学特性をインシトゥーに監視した。動力学的実験の結果は図10に示しており、真空に露出した溶媒蒸気膨張複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムサンプルの収縮動力学を示している。系の秒以下の応答時間に注目されたい。図10から、サンプルは完全に膨張した状態から完全に収縮した状態へ0.5秒で達することが判る。したがって、ピーク移動速度はこの実施例では200nm/秒程度である。
【実施例7】
【0073】
化学的酸化還元調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
PFSは酸化還元活性なフェロセン基の骨格からなり、したがって、ポリマー自体酸化還元活性である。鉄原子上の電荷はCpπ-雲およびケイ素電子軌道によってポリマー鎖上に非局在化し(R.Rulkens, A.J.Lough, I.Manners, S.R.Lovelace, C.Grant, W.E.Geiger, J. Am. Chem. Soc. 118, 12683 (1996))、したがって、それはポリカチオンとして挙動し、その電荷密度は各ポリマー繰り返しユニットについて0〜+1の電荷(平均)で制御することができる。したがって、PFSはそれが接触している任意の溶媒と連続的に変動する相互作用を有するであろう。この現象の実験的な実証として、1種の電子酸化剤であり、フェロセン誘導体を明確に酸化することで知られているジクロロメタン(DCM)中のトリス(4-ブロモフェニル)アンモニウムヘキサフルオロホスファート溶液を用いて、PFS-シリカ複合オパールに部分的な酸化を複数回行った(E.Steckhan, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 25, 683, (1986))。完全に洗浄し乾燥した後、酸化したサンプルを二硫化炭素中で膨張させ、吸収スペクトルを取った。このスペクトルから、特性フェロセニウムLMCT域の強度に基づいてポリマー酸化の程度を予測することができよう。サンプルの乾燥後、それを再び酸化し、これらのステップをLMCT遷移の強度が増加しなくなるまで繰り返した。得られたスペクトルは図6(A)に示してあり、図6(B)にはピーク強度の最大値の波長がポリマー酸化の程度に対してプロットしてある。詳細には、図6(a)は、サンプルを二硫化炭素n=1.627、□s=20.5中で膨張させた後、異なる酸化程度を有する、同じ複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムサンプルについて得られたスペクトルを示す。最小の酸化から最大酸化までのスペクトルの順序は;塗りつぶした四角;白い四角;白い円;塗りつぶした円;白いダイアモンドである。図6(b)は、635nmでの金属ポリマー骨格フェロセニウム配位子-金属間電荷移動(LMCT)域の最大値強度から計算したポリマー酸化の程度に対してプロットした、(a)中のBragg回折ピークの最大値を示す。金属ポリマーの
酸化の程度は、バックグラウンドレベルが一定であると仮定して計算したので、予測である。
【0074】
明らかなように、荷電したポリマーは事実上非極性溶媒で溶媒化することができないので、膨張状態で回折した波長は酸化状態の増加と共に着実に減少する。この系の回折波長は2つの極端な値の間で変化できるだけではなく、全ての中間状態へ個々におよび制御可能に到達することができる。注目すべき興味深い点は、90%から100%の酸化されたサンプルへ動くピーク位置の増加である。電荷密度の増加と共に、アニオン組み込みまたはポリマー自体の分極性変化のいずれかによって、酸化もポリマーの屈折率を変化させることがあり得る。
【0075】
サンプルが上述のようにして酸化され、次いでDCM中のデカメチルフェロセン溶液で還元されたとき、溶媒膨張の際に得られるスペクトルは、酸化前の同じ溶媒中のスペクトルと実質上重ね合わせることができた(データは示さず。対応する情報を参照のこと)。これは、電子-光子的に調整可能なコロイド状光子結晶を実際の用途に使用するために必要な要求事項である、系が可逆的であることを示唆する。
【実施例8】
【0076】
電気化学的に調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
電気化学的なサイクルを加えたときの平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目サンプル挙動を試験するために、電気化学セルを作製した。セル自体は、液体溶媒へのサンプルの応答を検知するために使用される実施例6による光セルからなり、光セルの境界を定める、頂部と底部の石英板を分離するTeflonガスケットの間に細いワイヤを挟んだ。セル中の動作電極は、ITOやFTOなどの伝導性ガラス基板上に支持された平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目からなり、伝導性ガラスは、2個を互いにサンドイッチした1片のTeflonによってセルの外へ導かれる、白金ワイヤに接触した。対電極はセルの外部へ導かれる白金ワイヤリードを有する白金ワイヤメッシュからなった。参照電極(擬似参照電極が適している)は銀ワイヤからなり、電気化学セルの電解質に浸漬された末端は、銀ワイヤを1Mの水性HClで電気化学的に陽極酸化することによって先に塩化銀の層を被覆しておいた。次いで、最終的に窒素充填したグローブボックス中でセルに乾燥溶媒および支持電解質を装填し、電気化学的および光学測定のためにブローブボックスから取り出した。最初に金属ポリマー自体の電気化学的挙動を決定するために純粋なサンプルでサイクルボルタンメトリーを行った。
【0077】
サンプルのサイクル電圧電流図が図11に示されており、われわれは2つの酸化波と2つの還元波を明瞭に見ることができ、最初の波は金属ポリマーの骨格を含むフェロセンユニット中のひとつおきの鉄原子の酸化/還元に相当する。この場合、ジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる電解質を使用した。サンプルがサイクル電圧電流図中の2つの酸化波の範囲内の電位を用いて酸化されると、それはサイクルに対して極めて安定していることが判明した。しかし、サンプルが第2の酸化波を超えて酸化されると、いくつかのポリマー鎖の分解が観察され、さらに過酸化が進んでサンプル全体の分解をまねく。
【0078】
金属ポリマーフィルムの酸化還元電位がサイクルボルタンメトリーで明らかになると、電気化学的酸化の程度に関するサンプルの阻止域の位置を検知する実験を行った。これは、CCD光ファイバーアレイスペクトル計を用いてフィルムの光学特性を監視することによって行った。入射ビームはサンプル表面に垂直に配向させた。これらの実験のひとつの結果を図12に示しており、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域位置(青線)対印加した電気化学電位(棒)を示す。電解質はジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各段階で、電位は、阻止域位置が求められるまで指示された値で2分間保持した。阻止域の波長と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの印加電位間の相関に注目されたい。見ることができるように、サンプルへの印加電位がより多く酸化すれば、サンプルの膨張はより大きく、したがって阻止域の赤移動はより大きい。これは多分、フィルム中に拡散する対イオンをポリマーの骨格中の酸化されたフェロセン部分でイオン対に溶媒化する、溶媒分子の電気浸透流入によるものである。阻止域位置の検知と同様に、われわれは同時に、ポリマー骨格中の酸化されたフェロセン部分の配位子-金属間-電荷-移動(LMCT)吸収の強度によって示されるポリマーの酸化状態を監視することができよう。
【0079】
図13は、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの635での吸収強度のプロット図を示し、酸化されたフェロセンの配位子-金属遷移(赤線)対印加された電気化学的電位(棒)を表している。電解質はジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各段階で、電位は、吸収値が求められるまで指示された値で2分間保持した。印加電位と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの酸化程度の間の極めて良好な相関に注目されたい。図13に見ることができるように、ポリマーの酸化還元状態は非常に良好に挙動し、単に印加電位を変化することによって、この独特の種類の金属ポリマーの独特の特性を任意の酸化割合に調整することができる。
【0080】
過酸化の効果は平面化シリカPFS-ゲル複合コロイド状光子結晶の膨張特性を修飾するのに有利に用いることができよう。サンプルがPFSの第2酸化波を超える電位を用いて酸化され、次いで再び電気化学的に還元されるならば、これは少量の鎖の開裂をもたらし、ゲルの架橋密度を事実上減少させ、サンプルは電気化学的過酸化の前よりも大きく膨張することが可能になる。
【0081】
さらに、金属ポリマー複合材サンプルの特性の電気化学的調整は、実施サンプルのピクセル化によって小さな面積に局在化することができよう。ピクセル化はタングステンカーバイドチップで微小切断することによって行われ、これは伝導性ガラスコーティングにかき傷を与え、フィルムのその面積を事実上電気的に絶縁した。図14は、Fドープ酸化スズ基板上に支持された平面化複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのピクセルの2枚の光学写真を示す。左側の写真はその還元された状態のピクセルを示し、右側の写真はその酸化された状態を示す。色の変化は、還元されたフェロセンの薄い黄色、および酸化されたフェロセンの青色によるものである。このサンプルの阻止域は近赤外で起き、したがって光学写真では見えないので、この写真の可視色は回折によるものではなく、ポリマーの還元された状態と酸化された状態の間の色の差に起因するものである。
【実施例9】
【0082】
巨大多孔質金属ポリマーフィルムを得るための、平面化コロイド状光子結晶金属ポリマー-ゲル網目からの微小球の除去
巨大多孔質平面化コロイド状光子結晶金属ポリマー-ゲル網目を形成する第1ステップは、実施例1または実施例2に従ってサンプルを合成することである。これらのサンプルを水中のフッ化水素酸1.5%溶液に2日間浸漬してシリカ微小球を除去し、自立型巨大多孔質PFSフィルムを形成する。
【0083】
より大きな機械的安定性を達成し、かつ酸化還元活性な巨大多孔質金属ポリマーフィルムに電気的な接触を与えるために、シリカ球のエッチングの前に、実施例1または2によって調製したサンプル頂部表面上に、厚さ10〜2000nmの金または他の金属のフィルムをアルゴン-イオンスパッタリングによって付着する。次いで、シリカを上記に従ってエッチングし、その結果、逆像のオパール色の金属ポリマーゲルの薄い金属でコーティングされたフィルムになる。これらのフィルムのひとつのSEM像は図15に示されており、シリカ球と基板が無く、得られた三次元の多孔質を明瞭に示している。より詳細には、図15は複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの頂部側に金の層をスパッタリングし、次いでシリカ球と基板を1.5%の水性HFでエッチングすることによって作製した巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルの自立フィルムの走査電子顕微鏡写真である。主図の中および上部左の挿入図の尺度は1マイクロメートルを表し、下部右の尺度は10マイクロメートルを表す。コロイド状結晶中にfcc最密充填された元の微小球のサイズおよび形状および位置を複製する金属ポリマーゲルマトリックス中の良好に整列された巨大孔、およびコロイド状結晶中の配置を反映するfcc最密充填された微小球が接触している良好に整列した中間孔の存在を明瞭に示す、フィルムサンプルの高度な構造品質に注目されたい。
【0084】
シリカ-PFSゲル複合コロイド状結晶(示していない)のHFエッチングによって作られた、巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルのこれらの自立フィルムのひとつの光学顕微鏡像は、これらの材料から得ることの可能な輝く真珠色を示し、それらの高品質の構造特性および高レベルの光学光子結晶特性を実証する。
【0085】
PFSゲル逆オパールフィルムを透明なポリメチルメタクリラート基板上に支持するには、僅かに修正した合成手順が必要である。実施例1に述べた方法によって調製したコロイド状結晶フィルムは、触媒として1〜10モル%の4-ジメチルアミノピリジンを用いて、ジクロロメタン中の架橋剤2で処理する。次いで、フィルムをジクロロメタン中でよく洗い、乾燥する。次いで、コロイド状結晶フィルムを約60℃に平衡にした熱板の表面に面を上にして置き、フィルムの表面上にジnプロピルシラ-1-フェロセノファン90重量%、およびシラシクロブチルシラ-1-フェロセノファン10重量%の混合物約50mgを滴下する。モノマー混合物が溶融すれば、ポリメチルメタクリラート(PMMA、Plexiglass(登録商標))のシートを溶融した液滴の上に置き、組立体を折り返し結合クリップで互いに挟む。次いで、サンプルを70℃で48時間熱重合する。最終的に、サンプルは1.5%の水性HF溶液中に1〜4日間浸漬し、シリカ基板とシリカ球の両方を溶解して、PMMA基板上に巨大多孔質ポリマー逆オパールフィルムを残す。代りに、PMMAシートは可撓性の透明ポリマーであるMylar(ポリエチレンテレフタラート)のシートに置き換えることができる。
【0086】
要約すれば、本発明は、金属ポリマーゲルフィルムとその中に配置された微粒子とから製造された複合光子結晶材料を提供し、複合フィルムからの光学Bragg回折光の波長を調整することができるように、調節可能な格子寸法を有する。材料はフィルムもしくはパターン形成されたフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形で製造することができる。これらの新しい材料は、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に調整可能な光子結晶格子寸法を有し、同時に、電磁気スペクトルの紫外線、可視光および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させ、もしくは透過させる予め定められた能力を有する。
【0087】
この複合コロイド状光子結晶デバイスの調整可能な多色性は、フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、および光通信システムに使用されるスイッチならびに像形成、ディスプレイ、印刷、フィンガープリントおよび検知システムに使用される色彩調整可能材料など、光の波長調整可能性を要求する多くの用途に有用であるが、これらは例示であり制限されない。
【0088】
上の背景で述べたように、この先行のPCCA研究において、コロイド状結晶を封入するマトリックスは有機ポリマーゲルであり、以下に詳細に述べるように、その組成物と特性は、本明細書に述べた発明に使用される金属ポリマーゲルと明らかに異なることが注目される。この意味で、全てのAsherとその共同研究者達の研究の基礎を形成する重合した結晶コロイド状結晶アレイPCCAの種類と、本明細書に述べた実施形態の中心を形成するものとの間には大きな相違が存在することに注目することは重要である。Asherとその共同研究者達、ならびに上述のように彼の指導に従った他のグループの手法では、かれらはもっぱら有機ポリマーヒドロゲル内に高度に充填された単分散球を自己集合し、それらを非最密充填コロイド状結晶配列として有機ポリマーヒドロゲル内に固定する。
【0089】
この種の非最密充填PCCAは、最初に再現性よく材料を調製することが非常に困難であること、さらに、材料の構造、したがって光学特性は、その現在の環境における温度変動、振動、湿度等などのあらゆる偶発的な変化に対して極めて敏感であることから、この種類の材料に想定される用途にとって理想的な配列ではないことを理解することが重要である。
【0090】
PCCAと鋭く対比して、本実施形態で説明した研究の基礎であるコロイド状光子結晶材料は、Asherとその共同研究者達のPCCAとは根本的に大きく異なるように、さらに同時にAsherとその共同研究者達の研究に使用されたPCCA材料に固有の問題を回避するように意図的に設計される。第1に、本明細書に述べた研究において使用される所望のコロイド状光子結晶を構成する微小球は、安定な最密充填配列に予備組織化される。第2に、ポリマー前駆体は、安定配列を提供するためにコロイド状光子結晶中に意図的に最密充填された構成要素の球の間の空隙空間内に浸透し重合する。第3に、コロイド状光子結晶中の球の間の空隙空間を占めるポリマーは、有機ポリマーゲルでも、あるいはポリマーヒドロゲルでもなく、代りに、金属ポリマー(または金属オリゴマー)の骨格中に一体化された金属原子が存在する結果、それは独特の特性を有する独特の種類の金属ポリマーゲルである。第4に、Asherとその共同研究者達がPCCAに関する彼の研究について記述したとき、本明細書に記述した研究にもっぱら使用した金属ポリマー(または金属オリゴマー)ゲルは以前には合成されたことがなく、公開文献または特許文献にも記述がなかったことに注目することは重要である。
【0091】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含む(includes)」、「含んで(including)」は包含的であり終わりがなく、排他的ではないものと解釈すべきである。詳細には、請求項を含むこの明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含む(includes)」、「含んで(including)」およびその変形は特定の特徴、ステップまたは成分が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、または成分の存在が排除されるものと解釈すべきではない。
【0092】
本発明の好ましい実施形態の先の説明は、本発明の原理を例示するためになされたもので、例示した特定の実施形態に本発明を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲およびその等価内に包含される全ての実施形態によって定義されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】図1Aa)は複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルム用の次世代架橋剤の合成を示す図である。新しいPFSの架橋剤は、導電性pi-共役ジエチニルベンゼン基の2個の末端に付着する2個の重合可能なシラフェロセニル環を含む。b)は合成スキームに示した製品の単結晶x-線構造解析を示す図である。この次世代複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶における伝導性架橋は、フィルム内の電荷移動速度を高めることによって電気化学的刺激に応答する膨張と収縮の時間を改善するように設計されている。
【図1B】図1Bは材料製造の工程を示す概要図である。(i)シリカコロイドの気相成長;(ii)200℃、12時間、真空;(iii)キャッピング剤1での処理;(iv)モノマー2と3の浸透、300mmHgで溶媒の除去;(v)サンプルをPTFEシートとガラススライドで被覆し、クリップでとめる。;(vi)190℃、13時間、N2;(vii)クリップとPTFEとガラスカバーを注意深く取り除く。
【図2】ガラス基板、浸透されたコロイド状結晶、バルクの金属ポリマー(PFS)被覆層を示す、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの断面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。挿入図は、サンプルの開裂中に曝された(111)結晶面の拡大図を示し、これらのコロイド状結晶の微小球の面心立方体(fcc)配列が確認される。
【図3】(a)は同じシリカ架橋ゲルコロイド状光子結晶に異なる溶解性パラメーターと屈折率を有する溶媒で浸漬した実験の透過スペクトルを示す図である。円:溶媒浸透前のサンプル。太い実線:メチルシクロヘキサン、n=1.422、δs=16。細い実線:ベンゾニトリル、n=1.528、δs=17.2。点線:クロロベンゼン、n=1.524、δs=19.4。図3(b)はスカラ波近似を用いて計算した対応するシミュレートしたスペクトルを示す図である。コロイド状光子結晶サイズは、フィルムのSEM分析によって11(111)微小球層と考えられた。(111)面間距離を唯一の可変パラメーターとして、実験で観察された位置、幅、強度を当てはめた。このようにすることによって各溶媒による膨張の程度を予測することができる。
【図4】図3に示した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの光データを当てはめて抽出した、(111)面間距離対異なる溶媒の溶解性パラメーターの変化を示す図である。これらの結果は、前に報告された、重量差測定によって行われた同じ種類の純粋なバルクの形の金属ポリマーゲルの膨張性に関する研究と定性的に一致する。
【図5】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムを液体二硫化炭素に露出したときの応答時間を示すグラフである。プロットは、時間(0.1秒間隔)に対してプロットした843nmでの吸収を表し、この波長は、二硫化炭素で膨張させたときのサンプルの第1阻止域の強度の最大値を表す。測定を開始する前に、初期の低い吸収値を得るために乾燥サンプルからバックグラウンドを取得した。見ることができるように、サンプルはその平衡膨張値に0.2〜0.4秒以内で到達する。
【図6】(a)は二硫化炭素(n=1.627、δs=20.5)中で膨張させた後の異なる酸化程度を有する同じ複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルについて得たスペクトルを示すプロット図である。スペクトルの順序は、最小から最大酸化まで、塗りつぶした四角;白い四角;白い円;塗りつぶした円;白いダイアモンドである。(b)は、635nmでの金属ポリマー骨格フェロセニウム配位子-金属間電荷移動(LMCT)域の最大値強度から計算したポリマー酸化の程度に対してプロットした、(a)中のBragg回折ピークの最大値を示す。金属ポリマーの酸化の程度は、バックグラウンドレベルが一定であると仮定して計算したので、予測である。
【図7】次世代の複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプル作製を示す概要図である。シリカコロイドの気相成長によって成長させたコロイド状結晶フィルムを、ガラスマイクロスライド上の厚さ0.1mmのPDMSフィルムに厚さ75〜300nmの銅フィルムをスパッタリングして作製した複合基板上に面を下にして置く。組立品を約110℃に加熱し、モノマーと架橋剤の混合物をフィルムの縁に置いて溶融させ、毛細管作用によってコロイド状結晶フィルムを吸い込ませる。代りに、モノマーと架橋剤を銅被覆基板上で溶融させ、コロイド状結晶フィルムを溶融した液滴に押し当ててコロイド状結晶フィルムに浸透させる。次いで、複合基板およびコロイド状結晶フィルムを組み付けクリップで互いに結合し、180℃で10〜12時間熱重合させる。次いで銅-PDMS界面をメスで破壊してサンプルを分離する。次いで、銅を三塩化鉄/塩化アンモニウム/水の浴で5分間エッチングする。
【図8】次世代の複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルを示すSEM像である。a)フィルム断面の低解像度の像。b)断面の高解像度の像。両方の白い尺度は1マイクロメートルを表す。コロイド状結晶フィルムの頂部表面上に浸透したPFSの被覆層がないことに留意されたい。
【図9】溶媒蒸気に露出した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの光応答を示す図である。特注の光セルを用いて、サンプル溶媒として用いた二硫化炭素の蒸気圧をモニターしながらサンプルの光特性を検出した。a)最低プロットから開始して、溶媒蒸気の圧力を増加させながら露出させたサンプルの光スペクトルである。b)最低プロットから開始して、溶媒蒸気の圧力を減少させながら露出させたサンプルの光スペクトルである。c)サンプルの阻止域の位置対溶媒蒸気圧の増加および減少(黒い矢で示す)を示す図であり、溶媒蒸気圧が変化しても阻止域波長にヒステリシスがないことに注目されたい。
【図10】溶媒蒸気で膨張した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルを真空に露出した収縮動力学を示す図である。系の秒以下の応答時間に注目されたい。
【図11】伝導性ITO基板上に支持された金属ポリマー(PFS)ゲルのフィルムのサイクル電圧電流(CV)図である。このCVは、ジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート電解質を用い、100mV/sの走査速度で得た。
【図12】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域の位置(青線)対印加された電気化学的電位(棒)のプロット図である。電解質は、ジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各ステップで、電位は、阻止域の位置が求められるまで指示された値で2分間保持した。複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域波長と印加電位間の相関に注目されたい。
【図13】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの635での吸収強度のプロット図であり、酸化されたフェロセンの配位子-金属遷移(赤線)対印加された電気化学的電位(棒)を表している。電解質はジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各ステップで、電位は、吸収値が求められるまで指示された値で2分間保持した。印加電位と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの酸化程度の間の極めて良好な相関に注目されたい。
【図14】Fドープ酸化スズ基板上に支持された、平面化した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのピクセルの光学写真である。左側の写真はその還元された状態のピクセルを示し、右側はその酸化された状態を示す。色の変化は、還元されたフェロセンの薄い黄色および酸化されたフェロセンの青色によるものである。このサンプルの阻止域は近赤外で起き、したがって光学写真では見えない。
【図15】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの頂部側に金の層をスパッタリングし、次いでシリカ球と基板を1.5%の水性HFでエッチングすることによって作製した巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルの自立フィルムの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。主図の中および上部左の挿入図の尺度は1マイクロメートルを表し、下部右の尺度は10マイクロメートルを表す。コロイド状結晶中にfcc最密充填された元の微小球のサイズおよび形状および位置を複製する金属ポリマーゲルマトリックス中の整列された巨大孔、およびコロイド状結晶中の位置を反映するfcc最密充填された微小球が接触している良好に整列した中間孔の存在を明瞭に示す、フィルムサンプルの高品質の構造に注目されたい。
【図16】本発明で説明した多色複合コロイド状光子結晶金属ポリマーゲルデバイスの動作モードを示す概要図である。デバイスを含む材料は、溶媒を液体または蒸気の形で捕捉することができ、この例示では左から中間へ移動させる。これは格子定数を増加させ、光Bragg回折波長を赤へ移動させる。材料の酸化はデバイスを含む材料の特性を変化させ、それを収縮させて、示したように、この例示の中間から右に、光Bragg回折波長を青へ移動させる。デバイスの動作モードの例示は、非極性溶媒に曝されるときのデバイスを含む材料の挙動を説明しており、十分極性の溶媒中で構造は酸化状態でさらに膨張し、したがって酸化は回折波長を赤移動するであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材フィルムの阻止域またはより高いエネルギー域から発生する光学的なBragg回折光の波長を調整することができるように調節可能な格子寸法を有する微粒子を含む、架橋した金属ポリマー網目複合材フィルムから作られた複合光子結晶材料に関する。さらに詳細には、本発明は、広範囲に波長調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイス、詳細には、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に調整可能な光子結晶格子寸法を有し、同時に、電磁気スペクトルの紫外線、可視光および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させもしくは透過させる予め定められた能力を有する、フィルムもしくはパターン形成したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形の新しい型の3-DBragg回折光素子の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
光子結晶は新しい種類の材料であり、周期が照射波長の大きさに一致するとき、それらの屈折率における周期的な変調によって電磁放射と相互作用する(E.Yablonovitch, Phys. Rev. Lett. 58, 2059 (1987), and S.Hohn, Phys. Rev. Lett. 58, 2486 (1987)参照)。今のところ、それらは大部分基礎的な科学的興味の対象であるが、光子結晶はますます基礎と応用分野の両方で有力になり、多数の提案された未知の用途におけるその潜在的な可能性が広がっている(J.D.Joannopoulos, P.R.Villeneuve, Nature 386, 143 (1997)参照)。
【0003】
これらの複雑な構造の材料を製造する特にすばらしい方法は、良好に画定された幾何形状の広範囲の整列格子中に、単一サイズの分散球状コロイド集団を自己集合することを含む。無機およびポリマー両方の組成の球状コロイドは徹底的に研究され(P.C.Hiemenz, R.Rajagopalan "Principles of Colloid and Surface Chemistry", Marcel Dekker Inc., New York (1997)参照)、単分散懸濁物としてごく普通に得ることができ、製造は非常に安価である。これらのことや、これらのコロイドを非常に低い欠陥濃度で面心立方体(fcc)結晶中に組織化する最近の成功を考慮すれば、それらが光子結晶研究の最先端に押し出されたことも驚くべきことではない(最近の概論は、(a) Y.Xia, B.Gates, Z-Y.Li, Adv. Mater. 13, 409 (2001) ; (b) V.L.Colvin, MRS Bull. 26, 637 (2001)参照)。
【0004】
新しいものではあるが、自己集合コロイド状光子結晶の概念は、幾度も盛大に提示され、コロイド状結晶の鋳型またはそれらの複製(誘電体媒体中の空気孔のアレイ)によって非常に様々な材料がこれらの系に組み込まれた。B.T.Holland, C.Blanford, A.Stein, Science 1998, 281, 538を参照されたい。したがって、当領域の研究は、この点において未開発なだけでなく外部の刺激によって様々に調整することの可能な材料からなる系を設計することに集中され始めた。K.Busch, S.John, NATO Sci. Ser., Ser. C:Math. Phys. Sci. 563, 41 (2001)。この手法の有望性は、非常に制御された形に光特性を変化できるだけでなく、これらのコロイド状光子結晶材料中の構造的な色彩(すなわち、顔料または発色団からの色彩とは対照的である)を作り出す複雑な光-微小構造の相互作用を用いて、容易に測定可能な光応答による正確な検知を行うことにある。
【0005】
コロイド状光子結晶を調整する方法のひとつは機械的な応答によるもの、すなわち、結晶が形状または寸法を変化させるように外部条件を変化させることである。この概念を実験的に示す、膨張したヒドロゲルの容積変化を用いた萌芽的な研究は、Asherおよびその共同研究者らによって行われた。J.M.Weissman, H.B.Sunkara, A.S. Tse, S.A. Asher, Science 274, 959 (1996)を参照されたい。かれらの手法は、非最密充填アレイに自己集合し高度に荷電したラテックス微小球のアレイを、厳密に脱イオン化した媒体中の互いに反発性のある静電相互作用によって、ヒドロゲルマトリックス中に固定することであった。
【0006】
これらのいわゆる重合結晶コロイドアレイ(PCCA)は、アクリルアミドベースの有機ポリマーゲル(T.Tanaka, Phys. Rev. Lett. 40, 820 (1978))のよく知られた特性を利用することができ、同時にこれらの有機ポリマーに特定の検体の受容体を組み込むことによって検知機能を行うことができよう(J.H.Holtz, S.A.Asher, Nature 389, 829 (1997))。これらの系はすばらしいが、高い溶媒含有率による機械的安定性の低さ、刺激に対する応答の遅さ、サンプルの多結晶質性などのいくつかの欠点を有し、その波長、幅、強度などのBragg光回折ピークの特徴を正確に制御することができない。
【0007】
ある研究者達は、Asherとその共同研究者達に従ってPCCA系を用い、より高い機械的安定性を得るためにそれを後修飾した(S.H.Foulger, J.Pong, A.C.Lattam, Y.Ying, D.W.Smith Jr., Adv. Mater. 13, 1898 (2001))が、この系はAsherらによって開発されたオリジナルの材料のようにやはり同じ基本的な欠点を有した。さらに他の研究者達はこれら先駆研究者達の採用した同じ有機ポリマーヒドロゲルを使用し、それらを最密充填コロイド状結晶に組み込み、単に僅かな修飾経路によって作製したものと類似の種類の材料を得た(Y.Takeoka, M.Watanabe, Langmuir 18, 5977 (2002))。この先行のPCCA研究について注目すべき重要な点は、コロイド状結晶を封入するマトリックスが有機ポリマーゲルであり、以下に詳細に述べるように、その組成物と特性は、本明細書に述べた発明に使用される金属ポリマーゲルと明らかに異なることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書に述べる本発明で研究した材料は、弱く架橋したポリフェロセニルシラン(PFS)(その架橋密度は連続的にかつ精密に調節することができる)と、可逆的に酸化還元調整可能で膨張-収縮可能な金属ポリマーゲルとして機能する独特の能力を有する新規な金属ポリマー(本発明でも金属ポリマーと呼ぶ)のマトリックス中のサブミクロンサイズ微小球の整列面心立方体(fcc)配列からなる平面化した複合コロイド光子結晶である(K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001))。この種類の可逆的に酸化還元調整可能で膨張-収縮可能なコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料は、全く新規であり、この種類の組成物は以前に作られたことがなく、特許または公開文献に報告されたこともない。金属ポリマーゲルマトリックスは、全ての知られた有機ポリマーゲルとは異なり、ポリマーの骨格に直接一体化された金属原子を有するので、それらは独特の化学的および物理的特性を示す。ポリマー骨格が金属原子からなる結果、これらの金属ポリマーゲルは有機ポリマー類似化合物に固有の多くの欠点を克服し、また、使用される金属骨格含有ポリマーの特性のおかげで、追加の価値のある機能を導入する(I.Manners, Science 294, 1664 (2001))。この種の酸化還元活性金属ポリマーはよく画定された安定な酸化還元対を有するので、金属ポリマーの荷電状態を連続的にかつ精密に、可逆的に化学的もしくは電気化学的に直接変化させて、流体媒体とのその相互作用を変化させることができる。これは、金属ポリマーゲルを様々な入手可能な流体媒体によって酸化または還元された状態に切り替えると、化学-機械的または電気-機械的に誘起されたコロイド状光子結晶格子の膨張または収縮をもたらすことができる。
【0009】
三酸化タングステンから作られた逆コロイド状結晶の光特性の電気化学的調整を取り扱う以前の報告(Sumida,T.;Wada,Y.;Kitamura,T.;Yanagida,S. Chemistry Letters 2, 180 (2002))があるが、この系は、三酸化タングステンが固体状態の材料であり、ポリマーではなく、さらに光コロイド状光子結晶特性の調整が、三酸化タングステンで逆転されたコロイド状光子結晶マトリックスにおいて、リチウムイオンおよび電子がそれぞれ構造内の空隙空間と伝導性帯域に電気化学的に注入される際に起きる、古典的な金属-非金属で誘起された屈折率の変化から生じ、本明細書に述べる実施形態の金属ポリマーゲルコロイド状光子結晶複合材料の動作モードに基づくコロイド状光子結晶格子寸法の変化ではない点で、本発明に述べたものとは完全に異なることに注目することは極めて重要である。
【0010】
急速に再現性良く波長調整可能なコロイド状光子結晶材料を経済的に製造する方法を提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
複合材料からなる、広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイスを直接合成する方法を述べることは本発明の目的であり、複合材料の微小構造は、酸化還元活性架橋金属ポリマー網目内に封入された微小球などの回折ユニットの組織化されたアレイに基づいており、本発明において、用語「架橋された網目」は「ゲル」と互換性をもって使用される。
【0012】
本発明の一態様において、
第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を含む波長調整可能な複合材料であって、第1の構成要素の秩序配列は複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、
架橋金属ポリマー網目は、その中に化学的に一体化された金属原子を含むポリマー骨格からなり、架橋金属ポリマー網目は、金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときそれは膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させるように、架橋金属ポリマー網目による選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であり、流体の捕捉と排除の量は架橋金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される、複合材料が提供される。
【0013】
本発明の他の態様において、
a)第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を製造することであって、第1の構成要素の秩序配列は複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、架橋金属ポリマー網目は、ポリマー骨格に化学的に一体化され互いに直接または結合ユニットを経由して接続された金属原子を含むポリマー骨格からなり、架橋金属ポリマー網目は、金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときそれは膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は架橋ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御され、
b)架橋ポリマー網目が寸法を変化させ、第1の構成要素の秩序配列の格子間隔を変調して、Bragg回折波長を予め選択した波長に移動するように、架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えることとを含む複合材料の波長調整方法が提供される。
【0014】
微小球はコロイド状光子結晶の中へ自己集合し、かつ、微小球が堅固に接続されず、コロイド状光子結晶格子の内部空間がある程度架橋金属ポリマー網目で充填されるように自己集合する。ポリマーゲルは、酸化還元変化または金属ポリマーゲルに加えられた流体(液体または蒸気)の変化によって可逆的に膨張または収縮できるように選択される。コロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料は、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形であり、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイは制御された面積と厚さを有し、フィルムもしくはパターン形成されたフィルム、または任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイは基板上に成長し、そこへ接着される。
【0015】
基板は、導電性または絶縁性であり、光学的に透明または反射性または吸収性があるように選択することができ、コロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合材料の格子寸法は、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に酸化還元調節または流体調節することができ、それによって、阻止域またはより高いエネルギー域から起きる光学的なBragg回折光の波長を、光電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外波長領域にわたって、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に調節可能な格子寸法のコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイによって同時に調整する手段を提供し、それによって新規な種類の化学-機械的および電子-機械的に広く色彩調整可能なBragg光回折デバイスを提供し、その多色光官能性は、波長調整可能なフィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング光通信用途ならびに光検知および光像形成、ディスプレイ、フィンガープリントおよび印刷用途に有用性を見出すことができよう。
【0016】
本発明の他の目的は、前述のコロイド状光子結晶金属ポリマーゲル複合フィルムから構成要素の微小球を除去して、巨大多孔質金属ポリマーゲル光子結晶フィルムを作成する直接的な合成方法を述べることであり、その格子寸法は、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に酸化還元調節可能または流体調節可能であり、それによって、阻止域または前記巨大多孔質金属ポリマーゲル光子結晶フィルムからのより高いエネルギー域から起きる光学的なBragg回折光の波長を、光電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外波長領域にわたって、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に同時に調整する手段を提供し、それによって、新規で明らかに異なる種類の化学-機械的および電子-機械的に広く色彩調整可能なBragg光回折デバイスを提供し、その多色光官能性は、波長調整可能なフィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング光通信用途ならびに検知および像形成、ディスプレイ、印刷およびフィンガープリント用途に有用性を見出すことができよう。
【0017】
微小球が使用されるとき、それらは0.1〜5ミクロンの範囲の直径を有することができる。好ましい架橋ポリマーは軽度に架橋したポリフェロセニルシラン(PFS)である。
【0018】
本発明は、広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイス、詳細には、連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に調節可能な光子格子寸法を有し、同時に電磁気スペクトルにおける紫外線、可視および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させ、もしくは透過させる所定の能力を有する、フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形の新しい種類の3-D bragg回折光素子を提供する。このコロイド状光子結晶デバイスの調整可能な多色性は、フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、および光通信システムに使用されるスイッチなど光学部品ならびに像形成、ディスプレイ、印刷、フィンガープリントおよび検知システムに使用される色彩調整可能材料など、光の波長調整可能性を要求する多くの用途に有用であるが、これらは例示であり制限されない。
【0019】
ここで、本発明による広範囲に波長を調整可能な多色コロイド状光子結晶デバイスを作成する方法を、付随する図面を参照して、例示としてのみ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書で使用される用語「金属ポリマー」は、それ自体で複数回繰り返す少なくとも1種類の化学ユニットを有する金属含有分子もしくは分子集合体を意味し、金属原子および/または金属原子基はポリマーの骨格に化学的に一体化されているが、これらの金属ポリマーは、金属ポリマーもしくは金属オリゴマーの側枝官能基に化学的に一体化された金属原子または金属原子基を含むものであってもよい。
【0021】
本明細書に述べる本発明の詳細な説明において、われわれは、広範囲の波長にわたって、複合架橋金属ポリマー網目コロイド状光子結晶フィルムもしくはパターン化したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの所定の面積と厚さのフィルムもしくはパターン形成したフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイからなる合成複合材料を、連続的に精密に、急速かつ可逆的に、再現性良く予測可能に、電気機械的に色調整する新規な方法を提供し、その多色光官能性は、波長調整可能な光通信フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、およびスイッチング、ならびに検知、像形成、ディスプレイ、印刷システムにおける有用性を意味する。本発明に説明される、広範囲に波長調整可能な多色複合架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶デバイスの全体的な動作モードは図16に示されている。詳細には、図16は、本発明に説明した多色複合コロイド状光子結晶金属ポリマーゲルデバイスを示す。デバイスを含む材料は、溶媒を液体または蒸気の形で捕捉することができ、この例示では左から中間へ移動させる。これは格子定数を増加させ、光Bragg回折波長を赤へ移動させる。材料の酸化はデバイスを含む材料の特性を変化させ、それを収縮させて、この例示の中間から右への進行として示すように、光Bragg回折波長を青へ移動させる。デバイスの動作モードの例示は、非極性溶媒に曝されるときのデバイスを含む材料の挙動を説明しており、十分極性の溶媒中で構造は酸化状態でさらに膨張し、したがって酸化は回折波長を赤移動させるであろう。
【0022】
複合材料の波長を調整する本方法は、異なる屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた選択された屈折率を有する微粒子の秩序配列の製造を含み、微粒子の秩序配列は、複合材料が照射されるとき、特性波長でBragg反射を起こす格子間隙を有する。微粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体を含むことができるがそれらに制限されない。微粒子は、絶縁体、ポリマー、金属、半導体から作ることができるがそれらに制限されない。微粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの直径を有するシリカから作られた単分散の微小球(3〜5%)であることが好ましい。固体粒子の代りに、秩序配列は、金属ポリマー粒子複合材を逆にして粒子を溶解して除去し、その痕に金属ポリマー中の空隙のアレイを残すことで形成することができ、それは適切な圧力の適切なガスで充填することができる。空気は1の屈折率を有し、架橋ポリマー網目を形成する金属ポリマーと異なる屈折率を与えるであろう。
【0023】
「金属ポリマー」と呼ぶとき、発明者達は、本発明が典型的なポリマーよりも少数の繰り返しユニットを有する金属オリゴマーを使用して作製できることも考えていることを理解できよう。したがって、本発明に関する限り、用語「金属ポリマー」は「金属オリゴマー」も意味する。
【0024】
微粒子は金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマー、液体とすることのできる基板上に薄膜として形成することが好ましい。それらは、基板表面上にパターンで成長して、デバイスの最終用途に応じて光または電子回路の成分とすることができる。また、構成要素は自立型モノリス構造として形成することもでき、言い換えれば、微小球の場合、大きな塊の結晶を成長させ、次いで、架橋ポリマー網目へ前駆体を浸透させることができる。微粒子自体は絶縁体、ポリマー、金属、半導体から作ることができるがそれらに制限されない。好ましくはシリカから作った単分散の微小球である。第1の構成要素微粒子の表面と任意の支持基板表面の両方は予備処理または後処理を行って、例えば架橋基にこれらの表面へのアンカー効果を与えることによって、架橋金属ポリマー網目への表面の接着を高めることができる。
【0025】
架橋ポリマー網目は、互いに直接または結合ユニットを経由してポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子を含む骨格を有する金属ポリマーを使用して製造される。架橋金属ポリマーr網目は金属原子に応じた電子配置を有し、金属原子は複数の電子配置の間で切り替え可能である。架橋金属ポリマー網目は、架橋金属ポリマー網目が流体を捕捉するときそれは膨張してBragg反射波長をより長波長へ移動させ、架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg反射波長をより短波長へ移動させるように、架橋金属ポリマー網目による制御された流体の捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張および収縮することができる。流体の捕捉と排除の量は架橋p金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される。
【0026】
電子配置の切り替えは、核に対する外側軌道の電子分極を含んで金属含有架橋金属ポリマー網目中の電荷分布の変化を含むことができ、それによってイオン、二極、誘起二極および波動する二極相互作用等を変化させる。同様に、架橋金属ポリマー網目の電子配置の切り替えは、例えば、パターン形成した電極上に複合材料を作製することによって、架橋金属ポリマー網目の局部的な空間領域で行うことができる。
【0027】
金属含有架橋金属ポリマーr網目の好ましい実施形態において、異なる電子配置は複数の酸化状態を指し、金属原子は2以上の酸化状態の間で切り換わって局部の環境を変化させ、それによって流体の捕捉または排除を起こす。したがって、この場合架橋金属ポリマー網目の電子配置の切り替えは所与の比率の金属原子をひとつの酸化状態から他の状態へ切り替えることを含む。
【0028】
架橋金属ポリマー網目は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、亜鉛およびその組合せを制限して含む金属原子を含んで製造することができる。材料を作る好ましいユニットは、上記の金属のいくつかを含む金属含有架橋メタロセノファンであり、これらの中で好ましいものは、直鎖シラ-1-フェロセノファンの場合、架橋金属ポリマー網目がポリフェロセニルシランからなるような、2個のシクロペンタジエニル配位子を橋架けするケイ素原子を有する鉄である。
【0029】
直鎖金属ポリマーを形成するシラ-1-フェロセノファンは、ジアルキルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルコキシシラ-1-フェロセノファン、ジアルコキシシラ-1-フェロセノファン、シクロアルキルシラ-1-フェロセノファン、ジアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルケニルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルキニルシラ-1-フェロセノファン、またはその組合せを含む化学種であるがそれらに制限されない。ポリマー鎖間に架橋を形成するシラ-1-フェロセノファンは、シクロブチルシラ-1-フェロセノファン、シラ-1,1'-ジフェロセノファン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エタン、またはその組合せを含むがそれらに制限されない。これらの化学種は、熱的に、または遷移金属触媒もしくはカルバニオンもしくは様々な波長の電磁放射などの様々な重合開始剤で重合することができる。
【0030】
架橋金属ポリマー網目は、約50〜100重量%のモノマー、0〜30重量%の架橋剤、0〜20重量%の開始剤を含む化合物の混合物を使用する上述の金属含有モノマーを使用して形成することができる。得られる網目は架橋ポリフェロセニルシランからなり、架橋の密度は上記混合物の架橋剤の比率によって制御可能である。金属ポリマー網目の気孔率は、上記混合物を溶媒などの不活性物質中に希釈すれば調整することができ、溶媒は重合の後に除去することができる。
【0031】
金属の酸化状態は、化学的酸化還元反応、光化学酸化還元反応、熱化学的酸化還元反応、電気化学的酸化還元反応などの刺激を加えることを含む、1種またはそれ以上のいくつかの異なる方法によって切り替えることができるが制限されない。熱化学的酸化還元反応は、2個の酸化性酸素中心ラジカルを与える過酸化物の熱開裂など、酸化剤または還元剤になることのできる反応性化合物に分解する化合物を用いることによって行うことができる。光化学酸化還元反応は、酸化性塩素ラジカルを生じるクロロホルムの光開裂など、酸化剤または還元剤になることのできる反応性化合物に分解する化合物を用いることによって行うことができる。
【0032】
ポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子は、直接または結合ユニットを経由して、またはその組合せで互いに接続される。例えば、金属含有ポリマー骨格は、2個またはそれ以上の金属原子が直接互いに結合して、架橋ポリマー網目に化学的、物理的、電気化学的、電子的特性のいくつかの組を付与する周期的な部分を有することができる。代りに、各金属はその最隣接金属から結合ユニットによって間隔を置くことができる。結合ユニットは、架橋ポリマー網目に、予め選択された化学的、物理的、電気化学的、電子的特性を付与するように選択される。結合ユニットは、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せを含むことができるがそれらに制限されない。
【0033】
化学的にポリマー骨格に一体化された金属原子ユニットは、それ自体で様々な種類の金属原子ユニットに結合することのできる、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せを含む側鎖配位子を保持することができるがそれらに制限されない。
【0034】
金属ポリマーの合成方法および処方に応じて、ポリマー網目の架橋は、化学結合、物理結合、ナノ粒子、表面、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水相互作用、疎フッ素性(fluorophobic)相互作用、相分離ドメイン、またはその組合せによって形成される。金属ポリマー網目中の架橋は導電性または電子的に絶縁性、またはその組合せのいずれかであるように選択することができる。
【0035】
波長調整可能な複合材料は、a)Bragg反射を示す第1の構成要素の秩序配列を架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中に形成し、次いで、b)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋を誘起させ、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換することによって製造することができる。
【0036】
ステップa)は、微粒子をBragg反射を示す秩序配列に組織化し、次いで、第1構成要素間の間隙空間に架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を浸透させることを含むことができる。代りに、ステップa)は、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の存在下で微粒子を秩序配列中に組織化することを含むことができる。
【0037】
金属ポリマー網目は複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および分布で製造することができ、これは知られたポリマー加工条件によって制御することができる。例えば、所与の数の架橋密度の制御は、架橋金属ポリマー網目中の所定数の結合の開裂を制御することによって達成することができる。開裂の制御は、網目の1種以上の所定の電子配置(例えば酸化状態)の間を電気化学的に循環することによって行うことができる。
【0038】
微粒子の表面は、第1の構成要素と架橋金属ポリマー網目ならびに選択された基板の間の接着を適切に高めるように修飾することができる。例えば、微粒子の表面は、金属ポリマー網目の微小球の表面ならびに選択された基板の表面への結合を高める基で官能化することができる。
【0039】
架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、第1構成要素の間の空隙空間に浸透する液体とすることができる。代りに、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、加熱して、第1構成要素の間の空隙空間に液体溶融物として浸透する固体とすることができる。架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、微粒子間の空隙空間に昇華によって浸透する固体とすることができる。また、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、空隙空間に液体中の溶液として浸透する固体とすることができる。または、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、溶液中に溶解した液体または固体および酸化性電位または還元性電位を用いて電着させた金属ポリマー網目前駆体混合物とすることができ、制御された電位の印加が金属ポリマー網目前駆体混合物の溶解性を変化させ、第1構成要素の空隙空間に固体の付着をもたらす。
【0040】
複合材は、微粒子アレイの頂部表面が第1構成要素粒子の断面寸法よりも大きな厚さの架橋金属ポリマー網目前駆体混合物で被覆されることを避けるように製造することができる。これは、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を浸透させた第1構成要素のアレイにエラストマー基板を押し付け、第1構成要素自体の間の間隙内以外のあらゆる過剰物を搾り出すことによって行うことができる。制御された量の重合開始剤を、時間、温度変化、電磁放射、化学的反応および電気化学的反応から選択される刺激によって、架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の中、および架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋の中に組み込むことができる。
【0041】
架橋金属ポリマー網目前駆体混合物は、予め選択された量の添加剤を含むことができ、これは架橋の後(例えば溶解によって)除去され、予め選択された多孔率の架橋金属ポリマー網目が得られる。逆に、添加剤は架橋に続いて架橋金属ポリマー網目に組み込むことができる。これらは、架橋金属ポリマー網目の特性を修正するように選択することができ、溶媒、溶液、ガス、固体、染料、分子、金属ナノクラスターおよび半導体ナノクラスター、巨大分子、分子集合体、ならびに、約0.1ナノメートルから約1マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体、またはその組合せの群から選択される粒子を含むことができる。
【0042】
ここで、本発明による製品、およびこれらの製品を製造するのに使用される方法を、例示を意味するだけの次の非制限的な実施例で示す。
【実施例1】
【0043】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の合成
本発明の方法を展望すれば、この研究で研究された材料は、膨張可能な酸化還元活性金属ポリマーゲル、すなわち金属ポリマーゲルである弱く架橋したポリ(フェロセニルシラン)(PFS)のマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロン球からなる平面化複合コロイド状光子結晶である。K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001)。
【0044】
金属ポリマーマトリックスの骨格に直接一体化された金属原子を有するこの新しい種類の金属ポリマー-コロイド状結晶複合材は、ポリアクリルアミドで代表されるが制限するものではない種類の有機ポリマー類似品の欠陥を克服し、ならびに使用される金属含有金属ポリマーによって追加の官能性を導入する。
【0045】
本発明を特徴付けるポリ(フェロセニルシラン)PFSは、金属ポリマーであり、その骨格は、シクロペンタジエン(Cp)環の1-と1'-の位置に接続した交互に置換されたケイ素原子およびフェロセン基からなる。曲がって傾斜した環状[1]-シラフェロセノファンの熱的開環重合(ROP)は高分子量のポリマーを与える。D.A.Foucher, B.Z.Tang, I.Manners, J.Am.Chem.Soc. 114, 6246 (1992)。この実施例に使用したモノマーは、ケイ素原子に非対称置換基を保持し、金属ポリマー網目内の微小結晶化の可能性を防止する(エチルメチル)シラ-[1]-フェロセノファンであった(K.Temple, J.A.Massey, Z.Chen, N.Vaidya, A.Berenbaum, M.D.Foster, I.Manners, J.Inorg.Organomet.Poly. 9, 189 (1999))。架橋剤は、2個の歪んだ環からなり、両方とも熱的に開環することのできるシラ(シクロブチル)-[1]-フェロセノファンであった(M.J.MacLachlan, A.J.Lough, I.Manners, Macromolecules 29, 8562 (1996))。
【0046】
この金属ポリマー系に実施してその機械的、酸化還元、およびしたがって光特性を調整することのできる広範囲の化学的修飾がある。例えば、説明した架橋剤は導電性架橋を形成する化学種で置換することができよう。これらには1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エテンが含まれる。
【0047】
これらの完全に新しい一実施例の合成および結晶構造を図1Aに示す。より詳細には、図1Aaは複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルム用の次世代の架橋剤の合成を示す。新しいPFS中の架橋剤は、導電性のpi-共役ジエチニルベンゼン基の2個の末端に付着した、2個の重合可能なシラフェロセニル環を含む。図1Ab)は、合成スキームに示した製品の単結晶x-線構造決定を示す。この次世代複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶中の伝導性架橋は、フィルム内の電荷移動速度を高めることによって電気化学的な刺激への膨張および収縮応答時間を改善するよう設計されていることに留意されたい。
【0048】
図1Bは、複合材料の製造に係わるステップの図を示し、(i)シリカコロイドの気相成長;(ii)200℃、12時間、真空;(iii)キャッピング剤1での処理;(iv)モノマー2と3の浸透、300mmHgで溶剤の除去;(v)サンプルをPTFEシートとガラススライドで被覆し、結合クリップで結合する;(vi)190℃、13時間、N2;(vii)クリップとPTFEとガラスカバーを注意深く取り除くステップを含む。
【0049】
高品質のコロイド状光子結晶を製造するには、われわれはテトラ(エトキシ)シランの制御された加水分解によって製造された、高度に単分散した(平均球直径の標準偏差<2〜3%)直径280±5nmのシリカ微小球(走査電子顕微鏡(SEM)で測定して)から出発する(W.Stober, A.Fink, E.J.Bohn, J.Colloid Interface Sci. 26, 62 (1968))。微小球を僅かに沈澱させて懸濁物の底部と頂部をピペットで取り出して除去する分別を2〜3ステップ行って、多分散性をさらに狭くした。平面化シリカコロイド状結晶は、ガラス顕微鏡スライド上に気相成長法(P.Jiang, J.F.Bertone, K.S.Hwang, V.L.Colvin, Chem.Mater. 11, 2132 (1999))によって製造し、ガラスの1面のフィルムを拭き取った。
【0050】
また、コロイド状結晶は、インジウム-酸化スズ(ITO)またはフッ素酸化スズ(FTO)をコーティングしたガラススライドなどの導電性基板上に成長させることもできよう。例えば、ITO-ガラススライドは、RCAの標準規約(5:1:1H2O:NH3(水性):30%H2O2(水性))によって洗浄し、次いで上述のようにシリカ微小球の気相成長を行った。ひとつの注目すべき修飾は、15mLのエタノール性ゾルに0.1mLのジイソプロピルエチルアミンを添加することであり、これがないとITO表面にコロイド状結晶フィルムは付着しなかった。これらのコロイド状結晶はUV-Vis-NIRスペクトル計によって特性を求め、次いで脱水し、窒素充填グローブボックス中に移した。次いで、微小球の表面および基板を乾燥ヘキサン中のクロロシラン1で修飾し、塩素をシリカシラノール基で置換することによって重合可能基の表面層を形成した(D.L.Zechel, K.C.Hultszch, R.Rulkens, D.Balaishis, Y.Ni, J.K.Pudelski, A.J.Lough, I.Manners, D.A.Foucher, Organometallics 15, 1972 (1996))。
【0051】
代りに、化合物1は、表面のシラノール基と反応して重合可能なシラシクロブチル基の表面結合層を形成する架橋剤2で置換することができる。このステップは基板上に良好な接着を有するコロイド状結晶材料を得るために重要である。次いで、乾燥ベンゼン中の10重量%の架橋剤2と90重量%のモノマー3の非常に濃厚な溶液をコロイド状結晶フィルム上に滴下し、溶媒を部分的な真空中で乾燥して除いた。サンプルと、清浄な研磨したポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE;Teflon(登録商標))と、他のガラススライドを結合クリップで互いに結合し、サンプルを熱的に重合した。組立体を注意深く分離し、望ましいシリカ-PFS複合コロイド状結晶フィルムを得て、これをテトラヒドロフラン(THF)に一夜浸漬し、PFS網目の中に重合しなかったあらゆるオリゴマーを除去した。
【0052】
一サンプルの断面SEM像を図2に示す。この複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの断面のSEM像は、ガラス基板、浸透したコロイド状結晶、および塊の金属ポリマー(PFS)被覆層を示す。挿入図はサンプルの開裂中に曝された(111)結晶面の拡大図を示し、これらのコロイド状結晶中の微小球の面心立方体(fcc)配列が確認される。
【0053】
サンプルのサイクルの際の機械的安定性を大きく改善するために、この方法の変形を用いた。上述のモノマーの浸透および乾燥の際、PTFEカバーおよびガラススライドを、6000オングストロームの銅金属でスパッタリングしたガラススライドで、銅コーティングがコロイド状結晶サンプルに面するように置き換えた。組立体を結合クリップで結合し、サンプルを窒素の分圧100〜150トルおよび190℃で15時間熱的重合を行った。重合の後、頂部のガラスカバーは容易に分離することができ、露出した銅コーティングをFeCl3とNH4Clの水性溶液で10分間エッチングした。
【0054】
同様に、浸透ステップの間に、制御された量のPFSホモポリマー(骨格のケイ素原子上の様々なアルキル基)をモノマーと一緒にフィルムへ組み込むことができる。ポリマーの含有には2つの機能があり、第1に浸透ステップにおいて、モノマー/架橋剤溶液の粘度を高め、結晶化の傾向を低下させ、両方ともより均一で再現性のある浸透をもたらす。同様に、未反応のオリゴマー除去の働きを行う洗浄ステップは、組み込まれたホモポリマーも除去し、容易に調整可能な気孔率を提供する。これは充填画分の制御によって光特性の調整を可能にし、ポリマー網目中の自由容積を増加させることによって動力学応答の調整を可能にする。
【実施例2】
【0055】
溶融浸透による、ポリマー被覆層のない平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の合成
ここで詳述する方法は、実施例1どおり、弱く架橋したPFSのマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロンのシリカ球からなる平面化複合コロイド状光子結晶の製造方法を説明する。前の実施例において、材料は様々な厚さのポリマー被覆層を備えて製造されるが、この実施例では、ポリマー被覆層は再現性良く球直径よりも薄い。手順の概要を図7に示す。この第1のステップは、アセトン続いて水中の超音波によるガラス顕微鏡スライドの洗浄からなる。次いで、それをpiranha(前の実施例参照)と水で洗浄し、次いで乾燥してペルフルオロオクチルトリクロロシランに露出してそれを非接着性にしたシリコンウェーハ上に置く。ガラススライドとシリコンウェーハの間のスペーサとして厚さ0.1mmのガラス微小片を使用する。液体PDMSプレポリマーを組立体上に注ぎ、真空で空気を除き、全体を60℃の炉中に24時間置き、PDMSを硬化する。シリコンウェーハをリフトオフで取り除き、厚さ0.1mmのPDMSフィルムを有するガラススライドが残り、その上に75〜300nmの銅金属をスパッタリングする。
【0056】
次に、実施例1で述べた方法によって調製したコロイド状結晶フィルムを、触媒として1〜10モル%の4-ジメチルアミノ-ピリジンを使用して、ジクロロメタン中の架橋剤2で処理する。次いで、フィルムをジクロロメタン中で十分洗い乾燥する。次いで、上述の銅被覆複合基板を銅側を上にして窒素充填グローブボックス中の50〜130℃の温度の熱板上に置く。次いで、約50mgのモノマー1と架橋剤2の固体混合物、典型的には10重量%の1と2の混合物を銅の上に置き、溶融させる。混合物が溶融したら直ちに、これも溶融温度に平衡化させた、調製したコロイド状結晶フィルムをコロイド状結晶側を下にして銅に押し付ける。組立体を迅速に互いに折り畳み結合クリップで結合し、窒素下で180〜200℃で10〜20時間重合する。
【0057】
重合の後、組立体を炉から取り出し、クリップを取り外し、メスの刃を使用してコロイド状結晶フィルムと銅コーティング基板を分離する。このようにして、弱く架橋したPFSのマトリックス中にばらばらにされたfcc配列に整列させたサブミクロンのシリカ球からなる平面化複合コロイド状光子結晶が得られ、元々PDMS上の銅フィルムは平面化した光子結晶の頂部に移動される。次いで、銅コーティングしたフィルムは典型的には蒸留水150mL中の0.2gのFeCl3と3gのNH4Clの溶液中で5分間攪拌し、銅をエッチングして除去する。これらのサンプルのひとつの断面像が図8a)と8b)に示されており、図8a)はフィルム断面の低解像度のSEM像を示し、図8b)はフィルム断面の高解像度のSEM像を示している。両方の白い尺度は1マイクロメートルを表す。コロイド状結晶フィルムの頂部表面上に浸透したPFSの被覆層がないことに留意されたい。図8a)と8b)はフィルムが完全に充填されており、過剰のポリマー被覆層がないことを示している。この工程におけるPDMSの役割は、サンプル表面に対して等角圧力を確保することであり、粒子に関する偶発的な問題に対してより大きな許容性を提供する。
【実施例3】
【0058】
液体溶媒調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
乾燥および溶媒浸漬したサンプルの両方の光特性を、矩形石英板と、PTFEスペーサと、溶媒の注入と除去を可能にするための2個の穿孔を有する石英板を備え、窓を有する金属枠と締め付けネジによって互いに押し付けられた標準的なIRセルで測定した。小さなサンプル面積のスペクトルを得るために、0.3mmの開口がセルに取り付けられた。スペクトルはUV-vis-NIRスペクトル計(Perkin-Elmer Lambda 900 モデル)を用い、サンプル(111)表面を整列マークを使用して入射ビームに垂直に配列して収集した。実験的に得たスペクトルの一部を図3(a)に示す。示したピークは、コロイド状光子結晶の(111)面からの光のBragg回折による狭帯域波長の選択的な反射を表し、主ピークの両側の第2の最大値はサンプルの頂部と底部からの干渉反射(Fabrey-Perot縞)によるものである。
【0059】
コロイド状光子結晶の構造への膨張の影響を予測するために、光特性測定の結果をスカラ波近似に基づく理論的モデルを用いて解析した(K.W.-K.Shung, Y.C.Tsai, Phys.Rev. B 48, 11265 (1993))。この簡単なモデルは、われわれがここで研究しているものなどの、より低いエネルギー光子域に相当するスペクトル領域で、有限サイズの光子結晶の透過率と反射率を記述するのに有効であることが実証された(I.Tarhan, G.H.Watson, Phys. Rev. B 54, 7593 (1996), J.F.Bertone, P.Jiang, K.S.Hwang, D.M.Mittleman, V.L.Colvin, Phys. Rev. Lett. 83, 300 (1999), H.Miguez, S.-M.Yang, G.A.Ozin, Appl. Phys. Lett., 81, 2493-95 (2002), Y.A.Vlasov, M.Deutsch, D.J.Norris, Appl. Phys. Lett. 76, 1627 (2000))。
【0060】
本発明の場合、シリカ微小球と浸透した架橋ポリマーの両方の屈折率、それぞれn=1.425およびn=1.65(F.Garcia-Santamaria, H.Miguez, M.Ibisate, F.Meseguer, C.Lopez, Langmuir 18, 1942 (2002), J.Galloro, M.Ginzburn, H.Miguez, S.M.Yang, N.Coombs, A.Safa-Sefat, J.E.Greedan, I.Manners, G.A.Ozin, Adv. Funct. Mater. 2002, 12, 382)ならびに溶媒のそれを知ることによって、われわれは膨張工程から得られる(111)の面間距離d(111)の増加を得ることができる。われわれは、膨張が起きるとき、ポリマー網目中に溶媒を組み込むことによるコロイド状光子結晶間隙部位の屈折率の変化を考慮する。
【0061】
また、われわれは、基板(ガラススライド)および異なる屈折率の被覆層(superstrate)(過剰ポリマー、図2参照)の存在も含む(D.M.Mittleman, J.F.Bertone, P.Jiang, K.S.Hwang, V.L.Colvin, J. Chem. Phys. 111,345 (1999))。この手法を用いることによって、われわれは唯一の調節可能なパラメーターとしてd(111)を考慮して、シミュレートした反射率のスペクトルを実験のスペクトルにフィッティングする。同時に、われわれは、溶媒のそれぞれで観察された反射率ピーク幅、位置、強度などの特定の光学的特徴を再現する。図3aおよび3bに、フィッティングの主な結果をまとめる。図3aおよび3bは、乾燥ポリマー-シリカコロイド状結晶複合材の出発材料、および同じフィルムを様々な溶媒に浸漬する間の実験および理論の結果をそれぞれ示す。さらに詳細には、図3(a)は、異なる溶解性パラメーターと屈折率の溶媒で浸漬した同じシリカ-架橋ゲルコロイド状光子結晶の実験透過スペクトルを示す。円:溶媒浸透前のサンプル。太い実線:メチルシクロヘキサン、n=1.422、δs=16。細い実線:ベンゾニトリルn=1.528、δs=17.2。点線:クロロベンゼン、n=1.524、δs=19.4。図3(b)はスカラ波近似を用いて計算した対応するシミュレートしたスペクトルを示す図である。コロイド状光子結晶サイズは、フィルムのSEM分析によって11(111)微小球層と考えられた。(111)面間距離を唯一の可変パラメーターとして、実験で観察された位置、幅、強度をフィッティングした。このようにすることによって、われわれは各溶媒による膨張の程度を予測することができる。
【0062】
モデルおよび実験の両方とも、適切な対の溶媒を選択することによって、最大値のスペクトル位置を一定に保ちながら光子阻止域の幅を変調することが可能であることを明らかに示している(結果は示していない)。これは、調整工程の二重の特徴の結果である。一方では、微小球間の距離は膨張中に増加し、格子定数を拡大して同時に構造中へのシリカ微小球の充填割合を減少させる。他方では、ポリマー網目中へ溶媒が組み込まれる結果、微小球と背景の間の屈折率の差は修正される。このシミュレーションから得たd(111)の値は溶媒の溶解性パラメーターδに対して図4にプロットしている。詳細には、図4は、図3に示した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムについての光学データのフィッティングから抽出された、(111)面間距離の変化対異なる溶媒の溶解性パラメーターを示す。これらの結果は、重量差測定によって行われた同じ種類の純粋に塊の金属ポリマーゲルの膨張性に関する前に報告された研究と定性的に一致する。
【0063】
溶解性パラメーターは特定の溶媒の挙動を実験的に記述する数値である(J.H.Hildebrand, R.L.Scott, "The Solubility of Non-Electrolytes", 3rd ed. Rienhold Publishing Corporation New York (1950);Dover Publications Inc. New York (1964))。微小球間距離の正確な調整が達成されることを見ることができる。類似の曲線は、はるかに解像度が低いが、重量-差技術(K.Kulbaba, M.J.MacLachlan, C.E.B.Evans, I.Manners, Macromol. Chem. Phys. 202, 1768 (2001))を用いて得られており、これらの結果が本明細書の結果とよく一致することを述べるのは価値がある。
【0064】
架橋ポリマー網目は、架橋の存在が有効に無限分子量の「超分子」を形成するので、いかなる溶媒にも溶解することはできない。それらの構造は、熱力学的に好ましい接触を最大にするために溶媒を吸収することができるが、架橋点間の鎖が引き伸ばされるので、入手可能な自由度の程度が低下して、エントロピーの代価を支払う(P.J.Flory, "Principles of Polymer Chemistry", Cornell Univ. Press, New York (1953))。したがって、ポリマーゲルの膨張の程度は、溶媒-ポリマー相互作用に影響を及ぼす様々な要因に依存することができ(S.H.Gehrke, Adv. Polym. Sci. 110, 81 (1993))、これらの系を本質的に調整可能にする。われわれの研究している材料において、d(111)の値が大きいほど、溶媒-ポリマーの相互作用はより好ましく、これに基づいてポリマー溶解性のパラメーターの決定が可能になる。
【0065】
これらのサンプルの膨張は液相の溶媒に制限されない。本発明に述べた溶媒蒸気も、溶媒分子のより高い移動性を与え、応答速度を制限し得る液体-固体または液体-気体界面を取り去って、潜在的にはるかに速い応答で前記格子寸法の変化を起こすことができる。
【実施例4】
【0066】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の液体溶媒に対する経時的光応答
溶媒に曝す際のポリマー-シリカコロイド状光子結晶複合材料の応答速度を評価するために動力学的実験を行った。その実験結果を図5に示す。図5は、液体二硫化炭素に曝す際の、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの応答時間を示すグラフを示す。プロットは、時間(0.1秒間隔)に対してプロットした843nmでの吸収率を表し、この波長は、二硫化炭素で膨張したサンプルの第1阻止域強度の最大値を表す。測定を始める前に、低い初期の吸収値を得るために乾燥サンプルからバックグラウンドを取得した。見えるように、サンプルは0.2〜0.4秒内でその平衡膨張値に達する。
【0067】
サンプルがその完全な膨張状態に達した時を決定するために、膨張したサンプルの第1Braggピーク強度の最大値に注目した。次いで、この波長を時間に関して監視し、二硫化炭素をセル中に注入した。溶媒の注入前は、バッククラウンドが乾燥サンプルから取得したので吸収値は低く、この値は0〜7秒間一定であった。
【0068】
次いで、われわれは若干の増加を観察するが、これは、サンプルセル中に発生して入射ビームを横断する溶媒によって形成された空気-液体界面による散乱に起因する。次に、われわれは、セルの液体含有率(空気ではなく溶媒)と石英板間の屈折率比(nquarts/nair=1.54;ncarbon disulfide/nquarts=1.06)ならびにガラス基板(△nold=1.45; △nnew=1.12)とPFS被覆層(△nold=1.65; △nnew=1.01)の屈折率比の低下に起因する吸収の鋭い低下を観察する。これはこれらの界面で反射される光を減少させ、検出器により多くの光を到達させる。この強度の低下の後、われわれは膨張現象を表す急速な増加を観察し、その後サンプルは一定の定常的な吸収値を得る。乾燥ポリマー-シリカコロイド状光子結晶サンプルへの初期の溶媒注入から完全な膨張状態までの全体の工程は、0.2〜0.4秒で起きる。
【実施例5】
【0069】
溶媒蒸気調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目サンプルの溶媒蒸気への応答を評価するために、特殊な光セルを作製した。サンプル保持具は開放頂部を有する5cm×10cm×20cmの光学キュベット(cuvette)からなった。光学キュベットの頂部を圧力計を備えた主チャンバーに対して封止した。チャンバーからは2個のガラス管が伸び、両方とも少量のガラス配管を残して2個のガラスコック栓を有し、それにより溶媒蒸気の充填または真空下での排気を行うことができた。装備は溶媒蒸気を徐々にまたは急速にサンプルセル中へ導入することを可能にし、かつ真空は少しずつ、またはいきなり真空にすることが可能であった。
【0070】
サンプルの蒸気膨張挙動を例示する試験溶媒として二硫化炭素を選択した。少量の溶媒を反復して装置の側部チャンバーに装填し、主チャンバーに開放されたこの側部チャンバーは静的真空下においた。基板の垂線に直角方向での光スペクトルを各溶媒蒸気圧の増加サイクルごとに監視した。蒸気膨張試験の結果は図9aに示されており、これは底部のプロットから開始して増加する溶媒蒸気圧力に露出したサンプルの光スペクトルを示す。逆に、サンプルの収縮を監視するために、側部チャンバーを真空下におき、互いを分離するストップ栓を開くことによって、この真空にした空間を主チャンバーと平衡にし、主チャンバー中の圧力を緩やかに下げることが可能である。収縮実験の結果は図9b)に示されており、底部プロットから出発して減少する溶媒蒸気圧力に露出したサンプルの光スペクトルを示す。
【0071】
実験の全体の結果は図9cに示されており、サンプルの阻止域のピーク波長を主チャンバー中の溶媒蒸気圧に対してプロットしている。図9cは、サンプルの阻止域の位置対蒸気圧を増加および低下させた溶媒の蒸気圧(黒い矢で示す)を示す図であり、溶媒蒸気圧が変化しても阻止域波長にヒステリシスがないことに注目されたい。ピーク-圧力プロットにはヒステリシスが非常に少ないようであり、良好に制御された可逆的工程であることを示している。少量の反復装填と同様に、サンプルは側部チャンバーに高濃度の溶媒蒸気を装填することによって単一ステップで完全に膨張させることができよう。完全な収縮は主チャンバーを動的真空に開くことによって達成することができよう。
【実施例6】
【0072】
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の溶媒蒸気に対する経時的光応答
平面化したコロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の蒸気に対する切り替えの速度と程度をさらに調査するために、全体のスペクトルを0.1秒内で捕捉可能なCCDアレイ光ファイバースペクトル計を用いて動力学研究を行った。サンプルを溶媒蒸気で完全に膨張させた後、動的真空を与え、光学特性をインシトゥーに監視した。動力学的実験の結果は図10に示しており、真空に露出した溶媒蒸気膨張複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムサンプルの収縮動力学を示している。系の秒以下の応答時間に注目されたい。図10から、サンプルは完全に膨張した状態から完全に収縮した状態へ0.5秒で達することが判る。したがって、ピーク移動速度はこの実施例では200nm/秒程度である。
【実施例7】
【0073】
化学的酸化還元調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
PFSは酸化還元活性なフェロセン基の骨格からなり、したがって、ポリマー自体酸化還元活性である。鉄原子上の電荷はCpπ-雲およびケイ素電子軌道によってポリマー鎖上に非局在化し(R.Rulkens, A.J.Lough, I.Manners, S.R.Lovelace, C.Grant, W.E.Geiger, J. Am. Chem. Soc. 118, 12683 (1996))、したがって、それはポリカチオンとして挙動し、その電荷密度は各ポリマー繰り返しユニットについて0〜+1の電荷(平均)で制御することができる。したがって、PFSはそれが接触している任意の溶媒と連続的に変動する相互作用を有するであろう。この現象の実験的な実証として、1種の電子酸化剤であり、フェロセン誘導体を明確に酸化することで知られているジクロロメタン(DCM)中のトリス(4-ブロモフェニル)アンモニウムヘキサフルオロホスファート溶液を用いて、PFS-シリカ複合オパールに部分的な酸化を複数回行った(E.Steckhan, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 25, 683, (1986))。完全に洗浄し乾燥した後、酸化したサンプルを二硫化炭素中で膨張させ、吸収スペクトルを取った。このスペクトルから、特性フェロセニウムLMCT域の強度に基づいてポリマー酸化の程度を予測することができよう。サンプルの乾燥後、それを再び酸化し、これらのステップをLMCT遷移の強度が増加しなくなるまで繰り返した。得られたスペクトルは図6(A)に示してあり、図6(B)にはピーク強度の最大値の波長がポリマー酸化の程度に対してプロットしてある。詳細には、図6(a)は、サンプルを二硫化炭素n=1.627、□s=20.5中で膨張させた後、異なる酸化程度を有する、同じ複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムサンプルについて得られたスペクトルを示す。最小の酸化から最大酸化までのスペクトルの順序は;塗りつぶした四角;白い四角;白い円;塗りつぶした円;白いダイアモンドである。図6(b)は、635nmでの金属ポリマー骨格フェロセニウム配位子-金属間電荷移動(LMCT)域の最大値強度から計算したポリマー酸化の程度に対してプロットした、(a)中のBragg回折ピークの最大値を示す。金属ポリマーの
酸化の程度は、バックグラウンドレベルが一定であると仮定して計算したので、予測である。
【0074】
明らかなように、荷電したポリマーは事実上非極性溶媒で溶媒化することができないので、膨張状態で回折した波長は酸化状態の増加と共に着実に減少する。この系の回折波長は2つの極端な値の間で変化できるだけではなく、全ての中間状態へ個々におよび制御可能に到達することができる。注目すべき興味深い点は、90%から100%の酸化されたサンプルへ動くピーク位置の増加である。電荷密度の増加と共に、アニオン組み込みまたはポリマー自体の分極性変化のいずれかによって、酸化もポリマーの屈折率を変化させることがあり得る。
【0075】
サンプルが上述のようにして酸化され、次いでDCM中のデカメチルフェロセン溶液で還元されたとき、溶媒膨張の際に得られるスペクトルは、酸化前の同じ溶媒中のスペクトルと実質上重ね合わせることができた(データは示さず。対応する情報を参照のこと)。これは、電子-光子的に調整可能なコロイド状光子結晶を実際の用途に使用するために必要な要求事項である、系が可逆的であることを示唆する。
【実施例8】
【0076】
電気化学的に調整可能な平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目の光学特性
電気化学的なサイクルを加えたときの平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目サンプル挙動を試験するために、電気化学セルを作製した。セル自体は、液体溶媒へのサンプルの応答を検知するために使用される実施例6による光セルからなり、光セルの境界を定める、頂部と底部の石英板を分離するTeflonガスケットの間に細いワイヤを挟んだ。セル中の動作電極は、ITOやFTOなどの伝導性ガラス基板上に支持された平面化コロイド状光子結晶-金属ポリマー-ゲル網目からなり、伝導性ガラスは、2個を互いにサンドイッチした1片のTeflonによってセルの外へ導かれる、白金ワイヤに接触した。対電極はセルの外部へ導かれる白金ワイヤリードを有する白金ワイヤメッシュからなった。参照電極(擬似参照電極が適している)は銀ワイヤからなり、電気化学セルの電解質に浸漬された末端は、銀ワイヤを1Mの水性HClで電気化学的に陽極酸化することによって先に塩化銀の層を被覆しておいた。次いで、最終的に窒素充填したグローブボックス中でセルに乾燥溶媒および支持電解質を装填し、電気化学的および光学測定のためにブローブボックスから取り出した。最初に金属ポリマー自体の電気化学的挙動を決定するために純粋なサンプルでサイクルボルタンメトリーを行った。
【0077】
サンプルのサイクル電圧電流図が図11に示されており、われわれは2つの酸化波と2つの還元波を明瞭に見ることができ、最初の波は金属ポリマーの骨格を含むフェロセンユニット中のひとつおきの鉄原子の酸化/還元に相当する。この場合、ジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる電解質を使用した。サンプルがサイクル電圧電流図中の2つの酸化波の範囲内の電位を用いて酸化されると、それはサイクルに対して極めて安定していることが判明した。しかし、サンプルが第2の酸化波を超えて酸化されると、いくつかのポリマー鎖の分解が観察され、さらに過酸化が進んでサンプル全体の分解をまねく。
【0078】
金属ポリマーフィルムの酸化還元電位がサイクルボルタンメトリーで明らかになると、電気化学的酸化の程度に関するサンプルの阻止域の位置を検知する実験を行った。これは、CCD光ファイバーアレイスペクトル計を用いてフィルムの光学特性を監視することによって行った。入射ビームはサンプル表面に垂直に配向させた。これらの実験のひとつの結果を図12に示しており、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域位置(青線)対印加した電気化学電位(棒)を示す。電解質はジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各段階で、電位は、阻止域位置が求められるまで指示された値で2分間保持した。阻止域の波長と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの印加電位間の相関に注目されたい。見ることができるように、サンプルへの印加電位がより多く酸化すれば、サンプルの膨張はより大きく、したがって阻止域の赤移動はより大きい。これは多分、フィルム中に拡散する対イオンをポリマーの骨格中の酸化されたフェロセン部分でイオン対に溶媒化する、溶媒分子の電気浸透流入によるものである。阻止域位置の検知と同様に、われわれは同時に、ポリマー骨格中の酸化されたフェロセン部分の配位子-金属間-電荷-移動(LMCT)吸収の強度によって示されるポリマーの酸化状態を監視することができよう。
【0079】
図13は、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの635での吸収強度のプロット図を示し、酸化されたフェロセンの配位子-金属遷移(赤線)対印加された電気化学的電位(棒)を表している。電解質はジクロロメタン中の0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各段階で、電位は、吸収値が求められるまで指示された値で2分間保持した。印加電位と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの酸化程度の間の極めて良好な相関に注目されたい。図13に見ることができるように、ポリマーの酸化還元状態は非常に良好に挙動し、単に印加電位を変化することによって、この独特の種類の金属ポリマーの独特の特性を任意の酸化割合に調整することができる。
【0080】
過酸化の効果は平面化シリカPFS-ゲル複合コロイド状光子結晶の膨張特性を修飾するのに有利に用いることができよう。サンプルがPFSの第2酸化波を超える電位を用いて酸化され、次いで再び電気化学的に還元されるならば、これは少量の鎖の開裂をもたらし、ゲルの架橋密度を事実上減少させ、サンプルは電気化学的過酸化の前よりも大きく膨張することが可能になる。
【0081】
さらに、金属ポリマー複合材サンプルの特性の電気化学的調整は、実施サンプルのピクセル化によって小さな面積に局在化することができよう。ピクセル化はタングステンカーバイドチップで微小切断することによって行われ、これは伝導性ガラスコーティングにかき傷を与え、フィルムのその面積を事実上電気的に絶縁した。図14は、Fドープ酸化スズ基板上に支持された平面化複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのピクセルの2枚の光学写真を示す。左側の写真はその還元された状態のピクセルを示し、右側の写真はその酸化された状態を示す。色の変化は、還元されたフェロセンの薄い黄色、および酸化されたフェロセンの青色によるものである。このサンプルの阻止域は近赤外で起き、したがって光学写真では見えないので、この写真の可視色は回折によるものではなく、ポリマーの還元された状態と酸化された状態の間の色の差に起因するものである。
【実施例9】
【0082】
巨大多孔質金属ポリマーフィルムを得るための、平面化コロイド状光子結晶金属ポリマー-ゲル網目からの微小球の除去
巨大多孔質平面化コロイド状光子結晶金属ポリマー-ゲル網目を形成する第1ステップは、実施例1または実施例2に従ってサンプルを合成することである。これらのサンプルを水中のフッ化水素酸1.5%溶液に2日間浸漬してシリカ微小球を除去し、自立型巨大多孔質PFSフィルムを形成する。
【0083】
より大きな機械的安定性を達成し、かつ酸化還元活性な巨大多孔質金属ポリマーフィルムに電気的な接触を与えるために、シリカ球のエッチングの前に、実施例1または2によって調製したサンプル頂部表面上に、厚さ10〜2000nmの金または他の金属のフィルムをアルゴン-イオンスパッタリングによって付着する。次いで、シリカを上記に従ってエッチングし、その結果、逆像のオパール色の金属ポリマーゲルの薄い金属でコーティングされたフィルムになる。これらのフィルムのひとつのSEM像は図15に示されており、シリカ球と基板が無く、得られた三次元の多孔質を明瞭に示している。より詳細には、図15は複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの頂部側に金の層をスパッタリングし、次いでシリカ球と基板を1.5%の水性HFでエッチングすることによって作製した巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルの自立フィルムの走査電子顕微鏡写真である。主図の中および上部左の挿入図の尺度は1マイクロメートルを表し、下部右の尺度は10マイクロメートルを表す。コロイド状結晶中にfcc最密充填された元の微小球のサイズおよび形状および位置を複製する金属ポリマーゲルマトリックス中の良好に整列された巨大孔、およびコロイド状結晶中の配置を反映するfcc最密充填された微小球が接触している良好に整列した中間孔の存在を明瞭に示す、フィルムサンプルの高度な構造品質に注目されたい。
【0084】
シリカ-PFSゲル複合コロイド状結晶(示していない)のHFエッチングによって作られた、巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルのこれらの自立フィルムのひとつの光学顕微鏡像は、これらの材料から得ることの可能な輝く真珠色を示し、それらの高品質の構造特性および高レベルの光学光子結晶特性を実証する。
【0085】
PFSゲル逆オパールフィルムを透明なポリメチルメタクリラート基板上に支持するには、僅かに修正した合成手順が必要である。実施例1に述べた方法によって調製したコロイド状結晶フィルムは、触媒として1〜10モル%の4-ジメチルアミノピリジンを用いて、ジクロロメタン中の架橋剤2で処理する。次いで、フィルムをジクロロメタン中でよく洗い、乾燥する。次いで、コロイド状結晶フィルムを約60℃に平衡にした熱板の表面に面を上にして置き、フィルムの表面上にジnプロピルシラ-1-フェロセノファン90重量%、およびシラシクロブチルシラ-1-フェロセノファン10重量%の混合物約50mgを滴下する。モノマー混合物が溶融すれば、ポリメチルメタクリラート(PMMA、Plexiglass(登録商標))のシートを溶融した液滴の上に置き、組立体を折り返し結合クリップで互いに挟む。次いで、サンプルを70℃で48時間熱重合する。最終的に、サンプルは1.5%の水性HF溶液中に1〜4日間浸漬し、シリカ基板とシリカ球の両方を溶解して、PMMA基板上に巨大多孔質ポリマー逆オパールフィルムを残す。代りに、PMMAシートは可撓性の透明ポリマーであるMylar(ポリエチレンテレフタラート)のシートに置き換えることができる。
【0086】
要約すれば、本発明は、金属ポリマーゲルフィルムとその中に配置された微粒子とから製造された複合光子結晶材料を提供し、複合フィルムからの光学Bragg回折光の波長を調整することができるように、調節可能な格子寸法を有する。材料はフィルムもしくはパターン形成されたフィルムまたは任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイの形で製造することができる。これらの新しい材料は、連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能に調整可能な光子結晶格子寸法を有し、同時に、電磁気スペクトルの紫外線、可視光および近赤外領域にわたって、広範囲に異なる波長の光を連続的にかつ精密に、急速にかつ可逆的に、再現性良く予測可能にかつ効率的に反射させ、もしくは透過させる予め定められた能力を有する。
【0087】
この複合コロイド状光子結晶デバイスの調整可能な多色性は、フィルター、ミラー、マルチプレクサ、補償板、リミッタ、および光通信システムに使用されるスイッチならびに像形成、ディスプレイ、印刷、フィンガープリントおよび検知システムに使用される色彩調整可能材料など、光の波長調整可能性を要求する多くの用途に有用であるが、これらは例示であり制限されない。
【0088】
上の背景で述べたように、この先行のPCCA研究において、コロイド状結晶を封入するマトリックスは有機ポリマーゲルであり、以下に詳細に述べるように、その組成物と特性は、本明細書に述べた発明に使用される金属ポリマーゲルと明らかに異なることが注目される。この意味で、全てのAsherとその共同研究者達の研究の基礎を形成する重合した結晶コロイド状結晶アレイPCCAの種類と、本明細書に述べた実施形態の中心を形成するものとの間には大きな相違が存在することに注目することは重要である。Asherとその共同研究者達、ならびに上述のように彼の指導に従った他のグループの手法では、かれらはもっぱら有機ポリマーヒドロゲル内に高度に充填された単分散球を自己集合し、それらを非最密充填コロイド状結晶配列として有機ポリマーヒドロゲル内に固定する。
【0089】
この種の非最密充填PCCAは、最初に再現性よく材料を調製することが非常に困難であること、さらに、材料の構造、したがって光学特性は、その現在の環境における温度変動、振動、湿度等などのあらゆる偶発的な変化に対して極めて敏感であることから、この種類の材料に想定される用途にとって理想的な配列ではないことを理解することが重要である。
【0090】
PCCAと鋭く対比して、本実施形態で説明した研究の基礎であるコロイド状光子結晶材料は、Asherとその共同研究者達のPCCAとは根本的に大きく異なるように、さらに同時にAsherとその共同研究者達の研究に使用されたPCCA材料に固有の問題を回避するように意図的に設計される。第1に、本明細書に述べた研究において使用される所望のコロイド状光子結晶を構成する微小球は、安定な最密充填配列に予備組織化される。第2に、ポリマー前駆体は、安定配列を提供するためにコロイド状光子結晶中に意図的に最密充填された構成要素の球の間の空隙空間内に浸透し重合する。第3に、コロイド状光子結晶中の球の間の空隙空間を占めるポリマーは、有機ポリマーゲルでも、あるいはポリマーヒドロゲルでもなく、代りに、金属ポリマー(または金属オリゴマー)の骨格中に一体化された金属原子が存在する結果、それは独特の特性を有する独特の種類の金属ポリマーゲルである。第4に、Asherとその共同研究者達がPCCAに関する彼の研究について記述したとき、本明細書に記述した研究にもっぱら使用した金属ポリマー(または金属オリゴマー)ゲルは以前には合成されたことがなく、公開文献または特許文献にも記述がなかったことに注目することは重要である。
【0091】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含む(includes)」、「含んで(including)」は包含的であり終わりがなく、排他的ではないものと解釈すべきである。詳細には、請求項を含むこの明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含む(includes)」、「含んで(including)」およびその変形は特定の特徴、ステップまたは成分が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、または成分の存在が排除されるものと解釈すべきではない。
【0092】
本発明の好ましい実施形態の先の説明は、本発明の原理を例示するためになされたもので、例示した特定の実施形態に本発明を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲およびその等価内に包含される全ての実施形態によって定義されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】図1Aa)は複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルム用の次世代架橋剤の合成を示す図である。新しいPFSの架橋剤は、導電性pi-共役ジエチニルベンゼン基の2個の末端に付着する2個の重合可能なシラフェロセニル環を含む。b)は合成スキームに示した製品の単結晶x-線構造解析を示す図である。この次世代複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶における伝導性架橋は、フィルム内の電荷移動速度を高めることによって電気化学的刺激に応答する膨張と収縮の時間を改善するように設計されている。
【図1B】図1Bは材料製造の工程を示す概要図である。(i)シリカコロイドの気相成長;(ii)200℃、12時間、真空;(iii)キャッピング剤1での処理;(iv)モノマー2と3の浸透、300mmHgで溶媒の除去;(v)サンプルをPTFEシートとガラススライドで被覆し、クリップでとめる。;(vi)190℃、13時間、N2;(vii)クリップとPTFEとガラスカバーを注意深く取り除く。
【図2】ガラス基板、浸透されたコロイド状結晶、バルクの金属ポリマー(PFS)被覆層を示す、複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの断面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。挿入図は、サンプルの開裂中に曝された(111)結晶面の拡大図を示し、これらのコロイド状結晶の微小球の面心立方体(fcc)配列が確認される。
【図3】(a)は同じシリカ架橋ゲルコロイド状光子結晶に異なる溶解性パラメーターと屈折率を有する溶媒で浸漬した実験の透過スペクトルを示す図である。円:溶媒浸透前のサンプル。太い実線:メチルシクロヘキサン、n=1.422、δs=16。細い実線:ベンゾニトリル、n=1.528、δs=17.2。点線:クロロベンゼン、n=1.524、δs=19.4。図3(b)はスカラ波近似を用いて計算した対応するシミュレートしたスペクトルを示す図である。コロイド状光子結晶サイズは、フィルムのSEM分析によって11(111)微小球層と考えられた。(111)面間距離を唯一の可変パラメーターとして、実験で観察された位置、幅、強度を当てはめた。このようにすることによって各溶媒による膨張の程度を予測することができる。
【図4】図3に示した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの光データを当てはめて抽出した、(111)面間距離対異なる溶媒の溶解性パラメーターの変化を示す図である。これらの結果は、前に報告された、重量差測定によって行われた同じ種類の純粋なバルクの形の金属ポリマーゲルの膨張性に関する研究と定性的に一致する。
【図5】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムを液体二硫化炭素に露出したときの応答時間を示すグラフである。プロットは、時間(0.1秒間隔)に対してプロットした843nmでの吸収を表し、この波長は、二硫化炭素で膨張させたときのサンプルの第1阻止域の強度の最大値を表す。測定を開始する前に、初期の低い吸収値を得るために乾燥サンプルからバックグラウンドを取得した。見ることができるように、サンプルはその平衡膨張値に0.2〜0.4秒以内で到達する。
【図6】(a)は二硫化炭素(n=1.627、δs=20.5)中で膨張させた後の異なる酸化程度を有する同じ複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルについて得たスペクトルを示すプロット図である。スペクトルの順序は、最小から最大酸化まで、塗りつぶした四角;白い四角;白い円;塗りつぶした円;白いダイアモンドである。(b)は、635nmでの金属ポリマー骨格フェロセニウム配位子-金属間電荷移動(LMCT)域の最大値強度から計算したポリマー酸化の程度に対してプロットした、(a)中のBragg回折ピークの最大値を示す。金属ポリマーの酸化の程度は、バックグラウンドレベルが一定であると仮定して計算したので、予測である。
【図7】次世代の複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプル作製を示す概要図である。シリカコロイドの気相成長によって成長させたコロイド状結晶フィルムを、ガラスマイクロスライド上の厚さ0.1mmのPDMSフィルムに厚さ75〜300nmの銅フィルムをスパッタリングして作製した複合基板上に面を下にして置く。組立品を約110℃に加熱し、モノマーと架橋剤の混合物をフィルムの縁に置いて溶融させ、毛細管作用によってコロイド状結晶フィルムを吸い込ませる。代りに、モノマーと架橋剤を銅被覆基板上で溶融させ、コロイド状結晶フィルムを溶融した液滴に押し当ててコロイド状結晶フィルムに浸透させる。次いで、複合基板およびコロイド状結晶フィルムを組み付けクリップで互いに結合し、180℃で10〜12時間熱重合させる。次いで銅-PDMS界面をメスで破壊してサンプルを分離する。次いで、銅を三塩化鉄/塩化アンモニウム/水の浴で5分間エッチングする。
【図8】次世代の複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルを示すSEM像である。a)フィルム断面の低解像度の像。b)断面の高解像度の像。両方の白い尺度は1マイクロメートルを表す。コロイド状結晶フィルムの頂部表面上に浸透したPFSの被覆層がないことに留意されたい。
【図9】溶媒蒸気に露出した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの光応答を示す図である。特注の光セルを用いて、サンプル溶媒として用いた二硫化炭素の蒸気圧をモニターしながらサンプルの光特性を検出した。a)最低プロットから開始して、溶媒蒸気の圧力を増加させながら露出させたサンプルの光スペクトルである。b)最低プロットから開始して、溶媒蒸気の圧力を減少させながら露出させたサンプルの光スペクトルである。c)サンプルの阻止域の位置対溶媒蒸気圧の増加および減少(黒い矢で示す)を示す図であり、溶媒蒸気圧が変化しても阻止域波長にヒステリシスがないことに注目されたい。
【図10】溶媒蒸気で膨張した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルを真空に露出した収縮動力学を示す図である。系の秒以下の応答時間に注目されたい。
【図11】伝導性ITO基板上に支持された金属ポリマー(PFS)ゲルのフィルムのサイクル電圧電流(CV)図である。このCVは、ジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート電解質を用い、100mV/sの走査速度で得た。
【図12】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域の位置(青線)対印加された電気化学的電位(棒)のプロット図である。電解質は、ジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各ステップで、電位は、阻止域の位置が求められるまで指示された値で2分間保持した。複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの阻止域波長と印加電位間の相関に注目されたい。
【図13】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのサンプルの635での吸収強度のプロット図であり、酸化されたフェロセンの配位子-金属遷移(赤線)対印加された電気化学的電位(棒)を表している。電解質はジクロロメタン中0.5Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートからなる。各ステップで、電位は、吸収値が求められるまで指示された値で2分間保持した。印加電位と複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの酸化程度の間の極めて良好な相関に注目されたい。
【図14】Fドープ酸化スズ基板上に支持された、平面化した複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムのピクセルの光学写真である。左側の写真はその還元された状態のピクセルを示し、右側はその酸化された状態を示す。色の変化は、還元されたフェロセンの薄い黄色および酸化されたフェロセンの青色によるものである。このサンプルの阻止域は近赤外で起き、したがって光学写真では見えない。
【図15】複合シリカ架橋金属ポリマー(PFS)ゲルコロイド状光子結晶フィルムの頂部側に金の層をスパッタリングし、次いでシリカ球と基板を1.5%の水性HFでエッチングすることによって作製した巨大多孔質金属ポリマー(PFS)ゲルの自立フィルムの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。主図の中および上部左の挿入図の尺度は1マイクロメートルを表し、下部右の尺度は10マイクロメートルを表す。コロイド状結晶中にfcc最密充填された元の微小球のサイズおよび形状および位置を複製する金属ポリマーゲルマトリックス中の整列された巨大孔、およびコロイド状結晶中の位置を反映するfcc最密充填された微小球が接触している良好に整列した中間孔の存在を明瞭に示す、フィルムサンプルの高品質の構造に注目されたい。
【図16】本発明で説明した多色複合コロイド状光子結晶金属ポリマーゲルデバイスの動作モードを示す概要図である。デバイスを含む材料は、溶媒を液体または蒸気の形で捕捉することができ、この例示では左から中間へ移動させる。これは格子定数を増加させ、光Bragg回折波長を赤へ移動させる。材料の酸化はデバイスを含む材料の特性を変化させ、それを収縮させて、示したように、この例示の中間から右に、光Bragg回折波長を青へ移動させる。デバイスの動作モードの例示は、非極性溶媒に曝されるときのデバイスを含む材料の挙動を説明しており、十分極性の溶媒中で構造は酸化状態でさらに膨張し、したがって酸化は回折波長を赤移動するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を含み、前記第1の構成要素の秩序配列は、前記複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、
前記架橋金属ポリマー網目は、その中に化学的に一体化された金属原子を含むポリマー骨格からなり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記金属原子に応じた電子配置を有し、前記金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、前記架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときには膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、前記架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮して前記Bragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される、波長調整可能な複合材料。
【請求項2】
前記架橋金属ポリマー網目が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、亜鉛およびその組合せからなる群から選択される金属原子を含む請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項3】
前記ポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子が、直接、または結合ユニットもしくはその組合せを介して、互いに連結している請求項1または2に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項4】
前記結合ユニットが、予め選択された化学的、物理的、電気化学的、光学的および電気的特性を前記架橋金属ポリマー網目に付与するように選択される請求項3に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項5】
前記架橋金属ポリマー網目が、前記金属原子が互いに直接連結して予め選択された化学的、物理的、電気化学的、光学的および電気的特性を前記架橋ポリマー網目に付与する部分を有する請求項3に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項6】
前記結合ユニットが、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せからなる群から選択される請求項4に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項7】
前記ポリマー骨格中に化学的に一体化された金属原子が、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せからなる群から選択される側鎖配位子を保持する請求項1、2、3、4、5、または6に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項8】
前記金属ポリマー網目中の架橋が、化学結合、物理結合、ナノ粒子、表面、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水相互作用、疎フッ素相互作用、相分離ドメイン、またはその組合せのうちのひとつである請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項9】
前記架橋金属ポリマー網目中の架橋が、導電性または絶縁性である請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項10】
前記架橋金属ポリマー網目が、複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および架橋分布を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項11】
前記架橋金属ポリマー網目が、架橋したメタロセノファンからなる群から選択される金属含有モノマーの重合から形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項12】
前記架橋したメタロセノファンが、置換シラ-1-フェロセノファンである請求項11に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項13】
前記置換シラ-1-フェロセノファンが、ジアルキルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルコキシシラ-1-フェロセノファン、ジアルコキシシラ-1-フェロセノファン、シクロアルキルシラ-1-フェロセノファン、ジアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルケニルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルキニルシラ-1-フェロセノファン、またはその組合せからなる群、および、シクロブチルシラ-1-フェロセノファン、シラ-1,1'-ジフェロセノファン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エタン、またはその組合せからなる群から選択される金属含有架橋剤から選択される請求項12に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項14】
前記架橋金属ポリマー網目が、約50〜100重量%のモノマー、0〜30重量%の架橋剤、0〜20重量%の開始剤を含む化合物の混合物の重合から形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項15】
前記架橋金属ポリマー網目が、ポリフェロセニルシランの群から選択されるポリマーである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項16】
前記架橋金属ポリマー網目が、予め選択された多孔率を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項17】
前記第1の構成要素が、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの断面寸法を有する、球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体の群から選択される微粒子を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項18】
前記第1の構成要素が、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの直径を有する実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項19】
前記第1の構成要素が、絶縁体、ポリマー、金属、半導体、またはその組合せからなる群から選択される実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項20】
前記第1の構成要素が、シリカから作られた実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項21】
前記第1の構成要素が、ポリスチレンとポリメチルメタクリラートからなる群から選択される実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項22】
前記第1の構成要素が、所定の圧力の予め選択されたガスで充填された空隙である請求項10、11、12、13、または14に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項23】
前記第1の構成要素が、金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマー、液体、またはその組合せからなる群から選択される基板上に、所定のパターンの形の薄膜として形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項24】
前記第1の構成要素が、自立型モノリス構造として形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項25】
前記第1の構成要素が、集合して予め選択された三次元形状を有する結晶になる請求項17に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項26】
前記結晶が、単結晶または多結晶である請求項25に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項27】
前記第1の構成要素が、前記第1の構成要素と前記架橋ポリマー網目の間の接着を高めるために修飾される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項28】
前記基板が、前記基板と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高め、同様に前記基板に最も近い前記第1の構成要素と前記架橋ポリマー網目間の接着を高めるように修飾される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項29】
前記第1の構成要素が、複合材料中で面心立方体(fcc)配列を形成する請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項30】
a)第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を製造するステップであって、前記第1の構成要素の秩序配列は前記複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、前記架橋金属ポリマー網目は、ポリマー骨格に化学的に一体化され互いに直接または結合ユニットを経由して連結した金属原子を含むポリマー骨格からなり、前記架橋ポリマー網目は、前記金属原子に応じた電子配置を有し、前記金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、前記架橋ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときには膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、前記架橋ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は前記架橋ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御されるステップと、
b)前記架橋ポリマー網目が寸法を変化させ、前記第1の構成要素の秩序配列の格子間隔を変調して、Bragg回折波長を予め選択した波長に移動するように、前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップとを含む複合材料の波長調整方法。
【請求項31】
前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップが、前記架橋ポリマー網目の局在化した空間領域で行われる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップが、所与の割合の前記金属原子を所定の酸化状態に切り替えることを含む請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記所与の割合の金属原子の酸化状態が、予め選択された刺激を加えることによって切り替えられる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記刺激が、酸化剤であり前記所与の割合の金属原子の酸化状態をより高い酸化状態へ切り替える物質に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記酸化剤が、遷移金属錯体、主族の化合物、ラジカル、ラジカルカチオン、およびその組合せからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記刺激が、還元剤であり前記所与の割合の金属原子の酸化状態をより低い酸化状態へ切り替える物質に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記還元剤が、遷移金属錯体、主族の化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ラジカル、ラジカルアニオン、およびその組合せからなる群から選択される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激が、前記複合材料を電磁放射に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記刺激が、電磁放射に曝されると酸化剤または還元剤になる物質の存在下で前記複合材料を電磁放射に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記刺激が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を一時的に変化させる電磁放射に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記刺激が、前記複合材料を温度変化に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記刺激が、温度変化に曝されると酸化剤または還元剤になる物質の存在下で前記複合材料を温度変化に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記刺激が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を一時的に変化させる温度変化に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記刺激が、前記複合材料を電界に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を増加させる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を減少させる請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の、酸化状態または電荷分布を再分布させる請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記流体が制御された静圧のガスである請求項30から47に記載の方法。
【請求項49】
前記流体がガスであり、前記複合材料が制御されたガスの流れに曝される請求項30から47に記載の方法。
【請求項50】
前記流体が制御された静圧の液体である請求項30から47に記載の方法。
【請求項51】
前記流体が液体であり、前記複合材料が制御された液体の流れに曝される請求項30から47に記載の方法。
【請求項52】
a)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中にBragg回折を示す第1の構成要素の秩序配列を形成するステップと、
b)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中に架橋を誘起し、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換するステップとを含む方法に従って製造される請求項1によって製造される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項53】
ステップa)が、前記第1の構成要素を、Bragg回折を示す秩序配列に組織化し、次いで前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を前記第1の構成要素の間の空隙空間に浸透させることを含む請求項52によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項54】
ステップa)が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の存在下で、前記第1の構成要素を秩序配列に組織化することを含む請求項52によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項55】
前記第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように第1の構成要素の表面を修飾することを含む請求項52、53、または54によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項56】
前記第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高め、同様に、前記基板に最も近い第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように、前記第1の構成要素と前記基板の表面を修飾することを含む請求項52、53、または54によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項57】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する液体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項58】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、加熱され液体溶融物として前記第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項59】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、昇華によって前記第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項60】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、液体中の溶液として前記空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項61】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、前記第1の構成要素の表面上の表面反応によって前記架橋金属ポリマー網目を形成するガスである請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項62】
前記第1の構成要素の空隙空間中の前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の量と分布を制御することを含む請求項52、53、57、58、59、60、または61によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項63】
前記第1の構成要素のアレイの頂部表面が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物によって厚さ0nm〜100mmに被覆される請求項52、53、57、58、59、60、61、または62によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項64】
前記被覆が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物で浸透した第1の構成要素のアレイに対して基板を押し付け、前記第1の構成要素間の空間内以外のあらゆる過剰物を搾り出すことによって、前記第1の構成要素粒子の断面寸法に制限される請求項63によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項65】
前記基板が、エラストマー材料から作られる請求項64によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項66】
ステップb)が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の中に組み込まれた制御された量の重合開始剤を使用して前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させることを含む請求項52から65によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項67】
前記重合開始剤が、時間、温度変化、電磁放射、化学反応、電気化学反応、およびその組合せから選択される刺激によって、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させる請求項66によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項68】
ステップb)が、時間、温度変化、電磁放射、化学反応、電気化学反応、およびその組合せから選択される刺激によって、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させることを含む請求項52から65によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項69】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、架橋の後に除去され、予め選択された多孔率の架橋金属ポリマー網目をもたらす、予め選択された量の添加剤を含む請求項52から68によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項70】
ステップb)が、前記複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および架橋分布を与えるように前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋することを含む請求項52から69によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項71】
架橋に続いて添加剤が前記架橋金属ポリマー網目中に組み込まれる請求項52から70によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項72】
前記添加剤が、前記架橋金属ポリマー網目の特性を修正するように選択される請求項71によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項73】
前記添加剤が、溶媒、溶液、ガス、固体、染料、分子、金属ナノクラスター、半導体ナノクラスター、巨大分子、分子集合体、ならびに、約0.1ナノメートルから約1マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体および多面体の群から選択される粒子からなる群から選択される請求項72によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項74】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に制御された面積および厚さの薄膜として製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項75】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に制御された面積および厚さのパターン形成された薄膜として製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項76】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイとして製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項77】
前記基板が、金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマーおよび液体からなる群から選択される請求項76によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項78】
前記基板と前記架橋ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように前記基板の表面を修飾することを含む請求項76によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項79】
ステップb)が、前記架橋金属ポリマー網目中の所定数の結合を制御して開裂することによって、所与の数の架橋密度を制御することを含む請求項52から78によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項80】
前記制御された開裂が、前記架橋金属ポリマー網目の1種以上の所定の電子配置の間を電気化学的に循環することによって行われる請求項79によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項81】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋を誘起し、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換するステップb)の完了後、前記複合材料から前記第1の構成要素を除去して、実質上第1の構成要素粒子と架橋金属ポリマー網目の形状を有する周期的空隙のアレイからなる逆構造を形成するステップを含んで、請求項52から80によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項82】
前記基板が、インジウム酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、ケイ素およびシリカ、アルミニウムまたは化学的に処理した金などの金属表面、ポリフェニレンビニレン、ポリメチルメタクリラート、マイラーのうちの1種である請求項52から81によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項83】
前記第1の構成要素が、シリカから作られた実質上単分散の微小球であり、フッ化水素酸水溶液でエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項84】
前記第1の構成要素が、ポリスチレンから作られた実質上単分散の微小球であり、トルエンまたはテトラヒドロフランでエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項85】
前記第1の構成要素が、ポリアルキルメタクリラートから作られた実質上単分散の微小球であり、アセトンまたはテトラヒドロフランでエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項86】
前記基板が、伝導性または絶縁性、光学的に透明または反射性または不透明である請求項1から29に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項87】
基板上にそれぞれ予め選択された面積を有する複数の領域で形成され、各領域は表示ピクセルを画定し、他の全てのピクセルから独立に各ピクセルを刺激する手段を含む請求項1から29に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項88】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、液体、および溶液中に溶解した固体、ならびに酸化電位または還元電位を用いて電着された架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の1種であり、制御された電位の印加が架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の溶解性を変化させ、前記第1の構成要素の空隙空間中に固体を付着させる請求項52から81によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項1】
第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を含み、前記第1の構成要素の秩序配列は、前記複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、
前記架橋金属ポリマー網目は、その中に化学的に一体化された金属原子を含むポリマー骨格からなり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記金属原子に応じた電子配置を有し、前記金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、前記架橋金属ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときには膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、前記架橋金属ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮して前記Bragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御される、波長調整可能な複合材料。
【請求項2】
前記架橋金属ポリマー網目が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオビウム、モリブデン、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、亜鉛およびその組合せからなる群から選択される金属原子を含む請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項3】
前記ポリマー骨格に化学的に一体化された金属原子が、直接、または結合ユニットもしくはその組合せを介して、互いに連結している請求項1または2に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項4】
前記結合ユニットが、予め選択された化学的、物理的、電気化学的、光学的および電気的特性を前記架橋金属ポリマー網目に付与するように選択される請求項3に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項5】
前記架橋金属ポリマー網目が、前記金属原子が互いに直接連結して予め選択された化学的、物理的、電気化学的、光学的および電気的特性を前記架橋ポリマー網目に付与する部分を有する請求項3に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項6】
前記結合ユニットが、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せからなる群から選択される請求項4に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項7】
前記ポリマー骨格中に化学的に一体化された金属原子が、置換もしくは非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、直鎖オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、またはその組合せからなる群から選択される側鎖配位子を保持する請求項1、2、3、4、5、または6に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項8】
前記金属ポリマー網目中の架橋が、化学結合、物理結合、ナノ粒子、表面、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水相互作用、疎フッ素相互作用、相分離ドメイン、またはその組合せのうちのひとつである請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項9】
前記架橋金属ポリマー網目中の架橋が、導電性または絶縁性である請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項10】
前記架橋金属ポリマー網目が、複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および架橋分布を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項11】
前記架橋金属ポリマー網目が、架橋したメタロセノファンからなる群から選択される金属含有モノマーの重合から形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項12】
前記架橋したメタロセノファンが、置換シラ-1-フェロセノファンである請求項11に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項13】
前記置換シラ-1-フェロセノファンが、ジアルキルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルコキシシラ-1-フェロセノファン、ジアルコキシシラ-1-フェロセノファン、シクロアルキルシラ-1-フェロセノファン、ジアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルケニルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルキニルシラ-1-フェロセノファン、またはその組合せからなる群、および、シクロブチルシラ-1-フェロセノファン、シラ-1,1'-ジフェロセノファン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチニルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エタン、またはその組合せからなる群から選択される金属含有架橋剤から選択される請求項12に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項14】
前記架橋金属ポリマー網目が、約50〜100重量%のモノマー、0〜30重量%の架橋剤、0〜20重量%の開始剤を含む化合物の混合物の重合から形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項15】
前記架橋金属ポリマー網目が、ポリフェロセニルシランの群から選択されるポリマーである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項16】
前記架橋金属ポリマー網目が、予め選択された多孔率を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項17】
前記第1の構成要素が、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの断面寸法を有する、球、長円体、棒、球含有多面体、立方体、多面体の群から選択される微粒子を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項18】
前記第1の構成要素が、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの直径を有する実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項19】
前記第1の構成要素が、絶縁体、ポリマー、金属、半導体、またはその組合せからなる群から選択される実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項20】
前記第1の構成要素が、シリカから作られた実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項21】
前記第1の構成要素が、ポリスチレンとポリメチルメタクリラートからなる群から選択される実質上単分散の微小球を含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項22】
前記第1の構成要素が、所定の圧力の予め選択されたガスで充填された空隙である請求項10、11、12、13、または14に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項23】
前記第1の構成要素が、金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマー、液体、またはその組合せからなる群から選択される基板上に、所定のパターンの形の薄膜として形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項24】
前記第1の構成要素が、自立型モノリス構造として形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項25】
前記第1の構成要素が、集合して予め選択された三次元形状を有する結晶になる請求項17に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項26】
前記結晶が、単結晶または多結晶である請求項25に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項27】
前記第1の構成要素が、前記第1の構成要素と前記架橋ポリマー網目の間の接着を高めるために修飾される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項28】
前記基板が、前記基板と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高め、同様に前記基板に最も近い前記第1の構成要素と前記架橋ポリマー網目間の接着を高めるように修飾される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項29】
前記第1の構成要素が、複合材料中で面心立方体(fcc)配列を形成する請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項30】
a)第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する架橋金属ポリマー網目内に埋め込まれた、第1の屈折率を有する第1の構成要素の秩序配列を製造するステップであって、前記第1の構成要素の秩序配列は前記複合材料が照明されたときにBragg回折を起こす格子間隔を有し、前記架橋金属ポリマー網目は、ポリマー骨格に化学的に一体化され互いに直接または結合ユニットを経由して連結した金属原子を含むポリマー骨格からなり、前記架橋ポリマー網目は、前記金属原子に応じた電子配置を有し、前記金属原子は、複数の電子配置の間で切り替え可能であり、前記架橋金属ポリマー網目は、前記架橋金属ポリマー網目により選択された流体の制御された捕捉と排除に応答してそれぞれ膨張と収縮が可能であるため、前記架橋ポリマー網目が選択された流体を捕捉するときには膨張してBragg回折波長をより長波長へ移動させ、前記架橋ポリマー網目が選択された流体を排除するときには収縮してBragg回折波長をより短波長へ移動させ、流体の捕捉と排除の量は前記架橋ポリマー網目の電子配置を制御することによって制御されるステップと、
b)前記架橋ポリマー網目が寸法を変化させ、前記第1の構成要素の秩序配列の格子間隔を変調して、Bragg回折波長を予め選択した波長に移動するように、前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップとを含む複合材料の波長調整方法。
【請求項31】
前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップが、前記架橋ポリマー網目の局在化した空間領域で行われる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記架橋金属ポリマー網目の電子配置を切り替えるステップが、所与の割合の前記金属原子を所定の酸化状態に切り替えることを含む請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記所与の割合の金属原子の酸化状態が、予め選択された刺激を加えることによって切り替えられる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記刺激が、酸化剤であり前記所与の割合の金属原子の酸化状態をより高い酸化状態へ切り替える物質に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記酸化剤が、遷移金属錯体、主族の化合物、ラジカル、ラジカルカチオン、およびその組合せからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記刺激が、還元剤であり前記所与の割合の金属原子の酸化状態をより低い酸化状態へ切り替える物質に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記還元剤が、遷移金属錯体、主族の化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ラジカル、ラジカルアニオン、およびその組合せからなる群から選択される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激が、前記複合材料を電磁放射に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記刺激が、電磁放射に曝されると酸化剤または還元剤になる物質の存在下で前記複合材料を電磁放射に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記刺激が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を一時的に変化させる電磁放射に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記刺激が、前記複合材料を温度変化に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記刺激が、温度変化に曝されると酸化剤または還元剤になる物質の存在下で前記複合材料を温度変化に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記刺激が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を一時的に変化させる温度変化に前記複合材料を曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記刺激が、前記複合材料を電界に曝すことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を増加させる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の酸化状態を減少させる請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記電界が、前記架橋金属ポリマー網目内にある前記所与の割合の金属原子の、酸化状態または電荷分布を再分布させる請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記流体が制御された静圧のガスである請求項30から47に記載の方法。
【請求項49】
前記流体がガスであり、前記複合材料が制御されたガスの流れに曝される請求項30から47に記載の方法。
【請求項50】
前記流体が制御された静圧の液体である請求項30から47に記載の方法。
【請求項51】
前記流体が液体であり、前記複合材料が制御された液体の流れに曝される請求項30から47に記載の方法。
【請求項52】
a)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中にBragg回折を示す第1の構成要素の秩序配列を形成するステップと、
b)架橋金属ポリマー網目前駆体混合物中に架橋を誘起し、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換するステップとを含む方法に従って製造される請求項1によって製造される請求項1に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項53】
ステップa)が、前記第1の構成要素を、Bragg回折を示す秩序配列に組織化し、次いで前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を前記第1の構成要素の間の空隙空間に浸透させることを含む請求項52によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項54】
ステップa)が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の存在下で、前記第1の構成要素を秩序配列に組織化することを含む請求項52によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項55】
前記第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように第1の構成要素の表面を修飾することを含む請求項52、53、または54によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項56】
前記第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高め、同様に、前記基板に最も近い第1の構成要素と前記架橋金属ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように、前記第1の構成要素と前記基板の表面を修飾することを含む請求項52、53、または54によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項57】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する液体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項58】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、加熱され液体溶融物として前記第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項59】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、昇華によって前記第1の構成要素の間の空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項60】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、液体中の溶液として前記空隙空間へ浸透する固体である請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項61】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、前記第1の構成要素の表面上の表面反応によって前記架橋金属ポリマー網目を形成するガスである請求項52または53によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項62】
前記第1の構成要素の空隙空間中の前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の量と分布を制御することを含む請求項52、53、57、58、59、60、または61によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項63】
前記第1の構成要素のアレイの頂部表面が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物によって厚さ0nm〜100mmに被覆される請求項52、53、57、58、59、60、61、または62によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項64】
前記被覆が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物で浸透した第1の構成要素のアレイに対して基板を押し付け、前記第1の構成要素間の空間内以外のあらゆる過剰物を搾り出すことによって、前記第1の構成要素粒子の断面寸法に制限される請求項63によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項65】
前記基板が、エラストマー材料から作られる請求項64によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項66】
ステップb)が、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の中に組み込まれた制御された量の重合開始剤を使用して前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させることを含む請求項52から65によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項67】
前記重合開始剤が、時間、温度変化、電磁放射、化学反応、電気化学反応、およびその組合せから選択される刺激によって、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させる請求項66によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項68】
ステップb)が、時間、温度変化、電磁放射、化学反応、電気化学反応、およびその組合せから選択される刺激によって、前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋させることを含む請求項52から65によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項69】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、架橋の後に除去され、予め選択された多孔率の架橋金属ポリマー網目をもたらす、予め選択された量の添加剤を含む請求項52から68によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項70】
ステップb)が、前記複合材料全体に予め選択された数の架橋密度および架橋分布を与えるように前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物を架橋することを含む請求項52から69によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項71】
架橋に続いて添加剤が前記架橋金属ポリマー網目中に組み込まれる請求項52から70によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項72】
前記添加剤が、前記架橋金属ポリマー網目の特性を修正するように選択される請求項71によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項73】
前記添加剤が、溶媒、溶液、ガス、固体、染料、分子、金属ナノクラスター、半導体ナノクラスター、巨大分子、分子集合体、ならびに、約0.1ナノメートルから約1マイクロメートルの断面寸法を有する球、長円体、棒、球含有多面体、立方体および多面体の群から選択される粒子からなる群から選択される請求項72によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項74】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に制御された面積および厚さの薄膜として製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項75】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に制御された面積および厚さのパターン形成された薄膜として製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項76】
前記第1の構成要素の秩序配列が、予め選択された基板上に任意の寸法の形状もしくは任意の寸法の形状のアレイとして製造される請求項52から73によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項77】
前記基板が、金属、絶縁体、半導体、半金属、ポリマーおよび液体からなる群から選択される請求項76によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項78】
前記基板と前記架橋ポリマー網目の間の接着を高めるのに適切なように前記基板の表面を修飾することを含む請求項76によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項79】
ステップb)が、前記架橋金属ポリマー網目中の所定数の結合を制御して開裂することによって、所与の数の架橋密度を制御することを含む請求項52から78によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項80】
前記制御された開裂が、前記架橋金属ポリマー網目の1種以上の所定の電子配置の間を電気化学的に循環することによって行われる請求項79によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項81】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の架橋を誘起し、それを所与の数の架橋密度を有する架橋金属ポリマー網目に変換するステップb)の完了後、前記複合材料から前記第1の構成要素を除去して、実質上第1の構成要素粒子と架橋金属ポリマー網目の形状を有する周期的空隙のアレイからなる逆構造を形成するステップを含んで、請求項52から80によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項82】
前記基板が、インジウム酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、ケイ素およびシリカ、アルミニウムまたは化学的に処理した金などの金属表面、ポリフェニレンビニレン、ポリメチルメタクリラート、マイラーのうちの1種である請求項52から81によって製造される波長調整可能な複合材料。
【請求項83】
前記第1の構成要素が、シリカから作られた実質上単分散の微小球であり、フッ化水素酸水溶液でエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項84】
前記第1の構成要素が、ポリスチレンから作られた実質上単分散の微小球であり、トルエンまたはテトラヒドロフランでエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項85】
前記第1の構成要素が、ポリアルキルメタクリラートから作られた実質上単分散の微小球であり、アセトンまたはテトラヒドロフランでエッチングされる請求項1から16に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項86】
前記基板が、伝導性または絶縁性、光学的に透明または反射性または不透明である請求項1から29に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項87】
基板上にそれぞれ予め選択された面積を有する複数の領域で形成され、各領域は表示ピクセルを画定し、他の全てのピクセルから独立に各ピクセルを刺激する手段を含む請求項1から29に記載の波長調整可能な複合材料。
【請求項88】
前記架橋金属ポリマー網目前駆体混合物が、液体、および溶液中に溶解した固体、ならびに酸化電位または還元電位を用いて電着された架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の1種であり、制御された電位の印加が架橋金属ポリマー網目前駆体混合物の溶解性を変化させ、前記第1の構成要素の空隙空間中に固体を付着させる請求項52から81によって製造される波長調整可能な複合材料。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−504984(P2006−504984A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542118(P2004−542118)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001512
【国際公開番号】WO2004/034134
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505129725)
【出願人】(503139197)
【出願人】(503137942)
【出願人】(505129736)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001512
【国際公開番号】WO2004/034134
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505129725)
【出願人】(503139197)
【出願人】(503137942)
【出願人】(505129736)
【Fターム(参考)】
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