説明

床コンクリート貫通用継ぎ手

【課題】建物新築時、床コンクリート貫通配管作業において、余分な作業工程や余分な作業時間が多く、また、床貫通配管用ボイドの撤去後モルタル補修するまでの間、床コンクリートと床貫通配管の隙間から、雨水の侵入やコンクリートのハツリ殻や建設資材の切りクズ等の落下により、下階での作業に支障をきたすという問題点があった。
【解決手段】配管用継ぎ手1と、モルタル補修用樹脂製受け板2と、ボイド固定用ツバ3と、落下防止用突起4を同一化させ、床コンクリート内に密着固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物新築時、給排水設備の配管に用いる継ぎ手であり、配管が床コンクリートを貫通する部分に設置することにより、床貫通部分のモルタル補修用受け板の制作及び設置工程の省略と、ボイド撤去後の下階への雨水の侵入や、コンクリートハツリ殻等の落下を防止できる。また、床コンクリート貫通用継ぎ手に、下階で配管を接続した時点で、下階での作業工程がすべて完了となり、従来のような、下階とを行き来するといった、余分な作業時間の省略が可能となる床コンクリート貫通用継ぎ手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床コンクリートの配管貫通部分の施工方法は、1.貫通する配管径より大き目の床貫通配管用ボイドを、床コンクリート打設前に設置しておく。2.床コンクリート打設後、その床コンクリート下面型枠と、上階の壁と梁と床コンクリートの型枠が外れた時点で、床貫通配管用ボイドを抜き取り、配管を貫通させる。3.配管終了後、薄ベニヤ等で制作した補修用受け板を床コンクリート下面にコンクリート釘で打ちつけ設置する。4.床コンクリート上面よりモルタルを流し込みボイドと配管の隙間の補修を行う。5.補修モルタルが硬化した時点で補修用受け板の撤去を行う。以上の作業がすべて完了した時点で、床コンクリート配管貫通の作業工程が完了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、従来の工法では床貫通配管用ボイドを設置しコンクリート打設後、その床階の上階の床コンクリートの打設及び型枠の解体か終了するまでの間、雨水の下階への侵入防止や、型枠解体作業時の足元の安全確保等の理由により、床貫通配管用ボイドの抜き取りが出来ないため、床貫通配管が出来ず、配管作業が一時中断するという問題点があった。また、床貫通配管用ボイドの抜き取り後、貫通穴と配管の隙間をモルタル補修するまでの間、貫通穴と配管の隙間から、雨水の侵入やコンクリートのハツリ殻や建設資材の切りクズ等が下階へ落下し、下階での作業に支障をきたすという問題点があった。また、貫通穴と配管の隙間をモルタル補修する際、補修用受け板の製作、設置、撤去といった余分な作業工程や、下階とを行き来する余分な作業時間が発生するという問題点があった。
解決しようとする問題点は
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、配管用継ぎ手にモルタル補修用の樹脂製受け板とボイド固定用のツバが同一化した、床コンクリート貫通用継ぎ手である。
【発明の効果】
【0005】
床コンクリート貫通用継ぎ手を設置する床の下階では、上階の壁、梁、床の型枠解体に関係なく、床コンクリート貫通用継ぎ手に配管を接続するだけで、モルタル補修用受け板の製作や設置の必要が無くなり、すべての作業工程が完了する。床コンクリート貫通用継ぎ手を設置する床階では型枠解体が完了した時点でボイドを抜き取り、床コンクリート内にて床コンクリート貫通用継ぎ手に配管を接続し、直ちに床コンクリートと配管の隙間にモルタルを流し込み補修を行うことで、床コンクリート配管貫通作業のすべてが完了する。よって、下階との作業の行き来をせずに、各階ごとに作業工程を完了することが出来るため、余分な作業時間の省略が可能となり、作業効率の向上が可能となる。また、床コンクリート貫通用継ぎ手に設置したボイドを抜き取ったとき、モルタル補修用樹脂製受け板が存在するため、下階への雨水の侵入やコンクリートのハツリ殻等の落下もなく、下階の作業の安全性が確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面に従って、本発明品の実施形態を説明する。
【0007】
図1に本発明品を示す。床コンクリート配管貫通用継ぎ手は、配管用継ぎ手1と、モルタル補修用樹脂製受け板2と、ボイド固定用ツバ3と、落下防止用突起4と、床コンクリート貫通用継ぎ手固定用釘穴5と、コンクリート侵入防止用パッキン6と、ボイド固定用ビス穴7から構成される。
【0008】
図2は、本発明品が床コンクリート内に設置されている状況を示す。本発明品を床コンクリートA打設前に、床コンクリート型枠Bに固定し設置する。
【0009】
本発明品の、床コンクリートBへの固定は、固定用釘穴5を用いて釘で固定する。
【0010】
床コンクリートの厚みAは、場所ごとに異なるためAの長さに合わせたボイドCを用意し、本発明品のボイド固定用ビス穴7にてビスでボイドを固定した後、ボイドの上部よりコンクリートの侵入を防ぐためのガムテープ等Dで養生する。
【0011】
本発明品へのボイドCの固定は、ボイド固定用ビス穴7よりビスにて固定を行う。
【0012】
本発明品の、コンクリート侵入防止用パッキン6の存在で、コンクリート打設時のコンクリート侵入を防ぐことが出来る。
【0013】
図3は、床コンクリートA打設、床コンクリート型枠B解体後に、下階にて配管接続する状況を示す。本発明品1に、配管を差し込む事により、下階での作業はすべて完了する。
【0014】
上階では、床コンクリート型枠Eや型枠支保鋼Fの解体前である事から、ボイドCとボイド養生用のガムテープDは撤去せずに残しておく。
【0015】
図4は、上階の型枠解体後に、ボイドの撤去及び配管接続をする状況を示す。
本発明品の1及び、上階の床コンクリート内に設置した本発明品1´に配管を接続する。接続完了後、床コンクリートと配管の隙間Gにモルタルを流し込み、配管の床貫通作業のすべてが完了する。
【0016】
本発明品のボイド固定用ツバ3が床コンクリートに密着している事と、落下防止用突起4が存在する事で、本発明品が配管差込の際、床コンクリートからの落下を防ぐ事が出来る。
【0017】
床コンクリートと配管の隙間Gにモルタルを流し込む際、モルタル補修用樹脂製受け板2が存在するため、床コンクリート下面での薄ベニヤ等の補修用受け板の製作や設置、撤去といった作業を省略する事が出来る。
【0018】
各階ごとで、配管接続作業及びモルタル補修作業を完了することが出来る。
【0019】
図5は、従来工法の床貫通配管用ボイドの設置及び配管貫通作業の概要を示した説明図である。床コンクリート打設前に床貫通配管用ボイドを設置しておく。設置したボイドHは、上階の床コンクリート型枠E及び型枠支保鋼Fの解体まで抜き取り出来ない。従って、床貫通配管Iの接続が出来ず、配管作業が一時中断する。
【0020】
図6は、従来工法の床貫通配管用ボイドの抜き取り後の概要を示した説明図である。床貫通配管Iを接続後、モルタル補修用受け板Kを薄ベニヤ等で製作し、コンクリート釘にて床コンクリート下面に打ちつけ設置し、床コンクリートと配管の隙間Gにモルタルを流し込み、床コンクリートの補修を行う。モルタルが硬化した後、モルタル補修板Kの撤去を行う。
【0021】
上階の床コンクリート内に設置した床貫通配管用ボイドJは、その上階の型枠及び型枠支保鋼の撤去が完了するまで抜き取り出来ないため、床貫通配管Lの接続が出来ず、配管作業が一時中断する。
【0022】
図7は、従来工法のモルタル補修用受け板の概要を示した説明図である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明品の概要を示した説明図である。
【図2】本発明品を、床コンクリート内に設置した概要を示した説明図である。
【図3】本発明品を設置した後、下階での配管接続の概要を示した説明図である。
【図4】本発明品を設置した後、上階の型枠解体後のボイド撤去及び配管接続の概要を示した説明図である。
【図5】従来工法の、床貫通配管用ボイドの設置及び貫通配管作業の概要を示した説明図である。
【図6】従来工法の、床貫通配管用ボイドの抜き取り後の貫通配管作業の概要を示した説明図である。
【図7】従来工法の、モルタル補修用受け板の概要を示した説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 床コンクリート貫通用継ぎ手
1´ 上階の床コンクリート内に設置した床コンクリート貫通用継ぎ手
2 モルタル補修用樹脂製受け板
3 ボイド固定用ツバ
4 落下防止用突起
5 床コンクリート貫通用継ぎ手の固定用釘穴
6 コンクリート侵入防止用パッキン
7 ボイド固定用ビス穴
A 床コンクリート
B 床コンクリート用型枠
C ボイド
D ボイドにコンクリートが侵入することを防ぐための養生用ガムテープ
E 上階の床コンクリート用型枠
F 上階の型枠支保鋼
G 床コンクリートと配管の隙間
H 従来工法の床貫通配管用ボイド
I 従来工法の床貫通配管
J 従来工法の上階の床貫通配管用ボイド
K 従来工法のモルタル補修用受け板
L 従来工法の上階の床貫通配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管用継ぎ手にモルタル補修用の樹脂製受け板とボイド固定用ツバが同 一化されていることが特徴の床コンクリート貫通用継ぎ手。
【請求項2】
ボイド固定用ツバが、ボイドの外側部分に位置し、床コンクリートとボイド固定用ツバが密着するため、床コンクリート内で床コンクリート貫通用継ぎ手が固定されることが特徴の床コンクリート貫通用継ぎ手。
【請求項3】
ボイド固定用ツバの床コンクリート密着面に、落下防止用の突起があることが特徴の床コンクリート貫通用継ぎ手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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