説明

床パネル

【課題】床パネルを切断する際の強度低下を防止する。
【解決手段】金属製の上板3及び下板5は、その外周側のフランジ部9及び11相互を溶接固定して一体化し、上板3と下板5との間の下板7側に形成してある凹部5a内にモルタル7を充填して床パネル1を構成する。下板5には上板3に向けて突出する突起5cを、縦横等間隔に複数設け、この各突起5cの先端と上板3とを溶接固定して突起溶接部13を形成する。上板3の表面の外周部には、突起溶接部13の縦横の配列方向の延長上に位置する寸法目印17を設ける。この寸法目印17を目当てに、壁際の施工領域の寸法に合わせて切断線19を罫書き、切断線19に沿って床パネル1を切断して使用する。切断線19を罫書く際には、突起溶接部13を避けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板形状の上板の周縁部と、この上板に対向する側に凹部を備えた下板の周縁部とを接合固定するとともに、上板に向けて突出する下板の突起の先端と上板とを接合固定した床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事務所の床面に配線用空間を形成するための二重床システムが採用されている。この二重床システムは、コンクリートスラブなどの床基材の上に多数の支持脚を立設して支持脚により床パネルを支持することにより、床パネルと床基材との間の隙間を配線用空間とし、この配線用空間に電力線、情報線等のケーブルを配線するようにしている。
【0003】
このような二重床システムに使用する床パネルとしては、平板形状の上板と、この上板側にモルタルなどの充填材を収容する凹部を備える下板とを備え、これら上板及び下板を互いに重ね合わせてその外周縁部を接合固定している。
【0004】
また、下板には、上板と反対側を凹ませることで上板に向けて突出する突起を設け、この突起の先端と上板とを接合固定している(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−62837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような床パネルは、通常ほぼ正方形状としてあり、これを順次床面に施工配置する際には、そのままの形状で施工スペースの全域を埋め尽くすことができない場合があり、最後に残った例えば壁際の未施工のスペースに合わせるために、床パネルを切断する必要が生じることがある。この際、壁際の未施工スペースの寸法を測った上で、その寸法に合わせて現場にて床パネルを切断することになる。
【0007】
ここで、床パネルを切断する作業は、平板形状の上板の表面に、上記測定寸法に合わせて切断線を罫書いてから行うが、その際、上板の表面に単に寸法線を罫書いただけであると、切断線を、下板の突起の先端と上板との接合固定位置に罫書いてしまう恐れがあり、接合固定位置に沿って床パネルを切断した場合には、床パネルの強度が低下するものとなる。
【0008】
そこで、本発明は、床パネルを切断する際の強度低下を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、平板形状の上板と、この上板に対向する側に凹部を備えた下板とを備え、前記上板の周縁部と前記下板の凹部外側の周縁部とを接合固定するとともに、前記下板は、前記上板と反対側を凹ませることで上板に向けて突出する突起を複数備え、この各突起の先端と前記上板とを接合固定した床パネルであって、前記上板の表面に、前記突起の先端と前記上板との接合固定位置を示す寸法目印を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、寸法目印に対応する部位については切断しないようにすることで、下板側の突起の先端と上板との接合固定部位の切断による床パネルの強度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の一実施形態を示す床パネルの平面図、(b)は(a)の床パネルの左半分を溶接固定位置の断面として示す側面図である。
【図2】図1の床パネルの底面図である。
【図3】図1の床パネルを使用した二重床システムの一部を分解した斜視図である。
【図4】図1の床パネルを切断線に沿って切断して2枚の切断パネルとした状態を示す説明図である。
【図5】(a)は本発明の参考例を示す床パネルの平面図、(b)は(a)の床パネルを切断線に沿って切断して2枚の切断パネルとした状態を示す説明図である。
【図6】(a)は切断線を縦方向及び横方向に細かく多数設けた場合の床パネルの平面図、(b)は(a)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1に示す床パネル1は、いずれも平面視でほぼ正方形状の上板3及び下板5と、これら上板3及び下板5相互間の空隙に充填される充填材としてのモルタル7とを備えている。上板3及び下板5は、鋼板で構成した金属製であり、下板5は、上板3に対向する側に凹部5aを備えるとともに、上板3と反対側の裏面には、凹曲面で構成される複数の窪み部となるディンプル5bを備えて、プレス成形されている。すなわち、下板5は、上板3と反対側を凹ませることで上板3に向けて突出する突起5cを複数備えていることになる。
【0014】
上記したディンプル5b(突起5c)は、図2に示すように、縦方向及び横方向にいずれも等間隔に複数配列して設けてあり、また配列方向最も外側の端部に位置するディンプル5b(突起5c)と床パネル1の端部との間隔も、ディンプル5b(突起5c)相互の間隔とほぼ同等としている。
【0015】
これらの上板3及び下板5は、外周部に形成してある周縁部としてのフランジ部9及び11を、溶接やヘム曲げなどによって接合固定するとともに、上記した下板5の突起5cの先端と上板3との接触部を溶接によって接合固定して溶接固定位置となる突起溶接部13を形成している。
【0016】
そして、上板3と下板5との間の空隙を構成する凹部5a内には、前記した充填材としてのモルタル7を充填している。
【0017】
このような床パネル1は、図3に示すように、互いに隣接するもの同士の角部周辺を支柱15により支持して、該支柱15を設置してあるコンクリートスラブなどの床基材とで二重床システムを構成している。
【0018】
ここで、本実施形態では、図1(a)に示すように、上板3の表面には、縦方向及び横方向にそれぞれ等間隔に形成してある突起溶接部13に対応して寸法目印17を設けている。すなわち、この寸法目印17は、図1(a)中で縦方向に並ぶ複数の突起溶接部13の配列方向上下両側の端部付近に設けることで、該複数の突起溶接部13の配列方向の延長線上に位置するとともに、図1(a)中で横方向に並ぶ複数の突起溶接部13の配列方向左右両側の端部付近に設けることで、該複数の突起溶接部13の配列方向の延長線上に位置している。
【0019】
したがって、突起溶接部13相互の間隔の寸法をあらかじめ把握しておけば、寸法目印17の位置を目印として床パネル1を切断することが可能となる。
【0020】
なお、図1(a)に示す突起溶接部13は、単にその溶接位置を示すものであって、溶接状態を図示するものではなく、したがってこの溶接部位を図のように外部から容易に判別できるものではない。また、寸法目印17は、刻印や印刷あるいはシールの貼付によって表示することができるが、その表示方法は特に限定されるものではない。
【0021】
このような構造の床パネル1を使用した二重床システムにおいて、床パネル1を室内の床面に支柱15に支持させながら、順次敷き詰めて施工していく。そして、最後に例えば壁際の未施工の領域が、正方形の床パネル1では狭過ぎる場合には、その未施工の領域に合わせて、床パネル1を切断する。
【0022】
その際、本実施形態では、上記未施工の領域の寸法を計測し、この計測した寸法に合わせて床パネル1(上板3)の表面に、例えば図1(a)のように切断線19を罫書き、この切断線19に沿って切断する(図4参照)。ここで本実施形態では、切断線19は、突起溶接部13に対応する寸法目印17を避けて罫書くものとする。なお、図1(a)では2本の切断線19を罫書き、この2本の切断線19に沿って切断することで、2枚の切断パネル21,23を作製している。
【0023】
これにより、上記未施工の領域に合わせて床パネル1を切断する際に、突起溶接部13を切断してしまうことを避けることができ、この結果突起5cの先端と上板3との突起溶接部13の切断による床パネル1の強度低下を防止することができる。
【0024】
また、切断線19を罫書き入れる作業は、両端の寸法目印17を目当てに効率よく行え、作業スピードが速くなって作業性が向上する。なお、この寸法目印17の間隔は、床パネル1を縦横500mmの正方形状とした場合に、71mm程度となるので、図6に示す床パネル10のように、切断線25を縦方向及び横方向に細かく多数設けた場合に比較して寸法把握が容易にできる。図6に示す床パネル10の場合には、特に作業スピードが要求される現場での寸法把握に時間がかかり、作業効率の低下を招く。
【0025】
図5は、参考例として、上記した突起溶接部13とは関係なく、縦横500mmの正方形状の床パネル1Aの表面に、周囲四辺の端部に沿って100mm間隔に寸法目印17を設けた例を示している。
【0026】
上記した参考例では、図1に示した本発明の実施形態と同様に、切断線19を罫書き入れる作業が、100mm間隔の寸法目印17を目当てに効率よく行え、作業スピードが速くなって作業性が向上する。
【符号の説明】
【0027】
1 床パネル
3 上板
5 下板
5a 下板の凹部
5c 下板の突起
9 上板のフランジ部(上板の周縁部)
11 下板のフランジ部(下板の周縁部)
13 突起溶接部(溶接固定位置)
17 寸法目印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状の上板と、この上板に対向する側に凹部を備えた下板とを備え、前記上板の周縁部と前記下板の凹部外側の周縁部とを接合固定するとともに、前記下板は、前記上板と反対側を凹ませることで上板に向けて突出する突起を複数備え、この各突起の先端と前記上板とを接合固定した床パネルであって、前記上板の表面に、前記突起の先端と前記上板との接合固定位置を示す寸法目印を設けたことを特徴とする床パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−255378(P2010−255378A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109554(P2009−109554)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】