説明

床下蓄熱式暖房システム

【課題】ベタ基礎下部や基礎立ち上がり部分からの放熱を考慮した熱量投入が可能な床下蓄熱式暖房システムを提供する。
【解決手段】住宅1の土間コンクリート13内に温水管21を布設し、熱源であるヒートポンプユニット22から温水管21に熱媒体を循環させて土間コンクリート13を蓄熱させることにより住宅1の室内を暖房するに際し、温水管21は、土間コンクリート13の下面からの高さが、当該土間コンクリート13の厚みに対して0.3〜0.5の範囲内で、且つ、埋設体積が土間コンクリート13の体積の0.30〜0.40%で布設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプなどの熱交換器によって生成された温水などの熱媒体を住宅等の建造物の基礎内に布設した配管に導いて室内を暖房する床下蓄熱式暖房システムに関し、特に、住宅等の建造物の基礎内に布設する配管の配置を最適化することにより蓄熱効果を高めた床下蓄熱式暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内を暖房する場合、最も簡単な方法はストーブ等の暖房器具を利用することであるが、このような器具を使用した場合、ユーザは定期的な換気や火災防止に気を配る必要がある。例えば、長時間締め切った室内でストーブを使用すると酸欠の危険がある。しかしながら、換気のために窓やドアを開けることは折角暖まっている空気を室内から追い出すことになるので暖房効率の点から見れば好ましくない。また、ストーブ等は燃焼を行うことから誤ってカーテンや洗濯物などに引火することがないよう周囲に配慮する必要がある。このような必要性を無くし、安全に使用できるものとしてシーズヒータ式床下蓄熱暖房システムや、ヒートポンプ式床暖房システムが知られている。
【0003】
その他、関連するシステムとしては、室内の天井に空調ユニットを設置すると共に、床下に配置した蓄熱材としてのコンクリート内に埋め込んだ配管を介して天井と床の両方から空調を行うことにより室内の温度むらを低減した空気調和機(特許文献1)、床下の土間コンクリートを蓄熱体とし、土間コンクリート内に設置した配管にヒートポンプで昇温/冷却した冷温水を通過させて室内の床暖房/冷房を行う冷暖房装置(特許文献2)、床に設置したバイプにヒートポンプチラーから冷水/温水を供給して室内の空調を行うに際し、屋外及び床の蓄熱体内のそれぞれに温度センサを設置し、目標蓄熱量に適した蓄熱体内部を流通する熱媒体の温度と熱媒体を蓄熱体内部に流通させる蓄熱時間を決定し、ヒートポンプチラーを複数のマイコンによって制御するようにした蓄熱空調システム(特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−21143号公報
【特許文献2】特開平9−324933号公報
【特許文献3】特開2001−263762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したシーズヒータ式床下蓄熱暖房システムの場合は、夜間の安価な電力を使用することにより電気料金を安く押さえることは可能であるが、消費電力量が多いので省エネではない。また、上述したヒートポンプ式床暖房システムは省エネではあるが、蓄熱式ではないので昼間の電力を使用することになるため電気料金はあまり安くならない。さらに、上述した従来の床下蓄熱式の各種の装置及びシステムでは、各機器及び熱媒体の経路を含むシステムの構築に関する技術は進展しているが、住宅等の建造物の躯体側の問題点についてはあまり検討されておらず改良の余地がある。例えば、住宅のコンクリート製の基礎を蓄熱材として利用する場合、できるだけコンクリート全体に熱が行き渡るようにすればコンクリート製の基礎全体を蓄熱材として効率よく利用することができる。また、コンクリート製の基礎と熱媒体を流通させるための配管の関係などコンクリートの基礎を蓄熱材として効率的に利用するためにはさらに検討すべき課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みなされたもので、住宅等の建造物のコンクリート製の基礎を蓄熱媒体とする際に、コンクリート製の基礎全体を蓄熱材として効率良く利用することが可能な床下蓄熱式暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、暖房対象となる室内空間を有する建造物の室内空間の床下に施工された土間コンクリート内に配管を布設し、配管を介して熱源によって加温した熱媒体を循環させて土間コンクリートを加温して蓄熱させることにより建造物の室内空間を暖房する床下蓄熱式暖房システムにおいて、配管は、土間コンクリートの下面からの高さが、当該土間コンクリートの厚みに対して0.3〜0.5の範囲内で、且つ、埋設体積が土間コンクリートの体積の0.30〜0.40%で布設されていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、配管は内径が10mm〜20mmで、並列される配管の間隔を100mm〜200mmピッチで配設したことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、土間コンクリートの厚みは、150〜250mmであることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、熱源は、ヒートポンプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る床下蓄熱式暖房システムによれば、住宅等の建造物の基礎を構成する土間コンクリート内に熱媒体を流通させる配管を最適に配置したことによって、土間コンクリートの全体を蓄熱材として有効利用することが可能な床下蓄熱式暖房システムを提供することができ、効率的な床暖房を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る床下蓄熱式暖房システムの一実施形態が設置された住宅を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る床下蓄熱式暖房システムの各部の接続を示す系統図である。
【図3】土間コンクリートの厚みと温水管の高さ位置の関係を示す断面図である。
【図4】土間コンクリートの温度分布を示す特性図である。
【図5】温水管のピッチの違いによる影響を示すグラフである。
【図6】配管の高さ位置を示す土間コンクリートの断面図である。
【図7】フィールド試験場所(飯豊)における室温、運転時間、電力の関係を示すグラフである。
【図8】ヒートポンプ式基礎蓄熱暖房、蓄熱式電気暖房器及び電熱式基礎蓄熱暖房についての年間消費電力量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る床下蓄熱式暖房システムについて、好ましい一実施形態に基づいて図面を参照しつつ詳細に説明する。
[住宅及び床下蓄熱式暖房システムの構成]
図1は、本発明に係る床下蓄熱式暖房システムの一実施形態が設置された住宅を示す斜視図(一部を断面図で示す)である。図示された住宅1は、木造の一戸建てであり、概略として、鉄筋コンクリート製のいわゆるベタ基礎11を備えている。ベタ基礎11は、その平面部の上面側に敷設された断熱材12を挟んで所定の厚みを有して打設された土間コンクリート13を備え、その端縁部は平面部よりもやや高く形成されており、断熱材12はこの高く形成された端縁部の内側に沿って垂直に敷設されている。
【0014】
土間コンクリート13上の所定の位置には所要数の床束(ゆかつか)14が立設され、複数の床束14上に直交させるようにして水平に配設された所要数の大引(おおびき)15と、複数の大引15上にこの大引15に直交させて水平に配設された所要数の根太(ねだ)16と、根太16上に床下地17を介して設置されたフローリング材18とを備えて構成されている。従って、土間コンクリート13と床下地17との間には床下空間が存在している。尚、フローリング材18の壁際には床下換気口となるガラリ28が設けられている。また、必要に応じてエアコン室内機27が室内の壁に取り付けられている。
【0015】
[床下蓄熱式暖房システムの構成]
図2は、床下蓄熱式暖房システムの各部の接続を示す系統図である。住宅1に設置された床下蓄熱式暖房システム2は、図1及び図2に示すように、概略として、土間コンクリート13内に所定のパターンで蛇行させるようにして布設された温水管21と、温水管21に温水を循環させる熱源としてのヒートポンプユニット22と、このヒートポンプユニット22に接続されると共に室内の壁面に設置されてヒートポンプユニット22を制御するコントローラ23と、温水管21の一端とヒートポンプユニット22の温水戻り口との間に必要に応じて介在させた放熱器24と、複数の配管(ヒートポンプユニット22の温水供給口と温水管21の一端とを接続する配管25a、ヒートポンプユニット22の温水戻り口と放熱器24とを接続する配管25b、温水管21の他端と放熱器24とを接続する配管25c)と、土間コンクリート13内に設置されて土間コンクリート13内の温度を検知する温度センサ26(図1では図示を省略)と、必要に応じてヒートポンプユニット22に接続されると共に、図1に示したように室内の壁に取り付けられ、室内を床暖房と共に室内側から暖房するエアコン室内機27とを備えている。尚、放熱器24は戻り温水の温度を下げることでヒートポンプ22を効率よく動作させるため利用するものであり、特に設けない構成とすることも可能である。
【0016】
温水管21は、ヒートポンプユニット22の温水出口及び戻り口の径に合わせた直径(例えば、10〜20mmφ)のパイプである。本実施形態における温水管21の材質は、架橋ポリエチレンパイプであり、土間コンクリート13の流し込み前に布設される。尚、温水管21の材質は架橋ポリエチレンに限るものではないが、架橋ポリエチレンは錆びの心配がなく、耐寒性や耐熱性に優れると共に、軽くて柔軟性があるので配管施工にも適しているという利点がある。配管ピッチP(隣り合う温水管21の間隔、図3参照)は、例えば、100mm〜200mmとするのが好ましい。配管ピッチPがあまり狭いと温水管21の折り曲げ部の変形や熱効率が悪くなり、逆にあまり広いと土間コンクリート13に十分に蓄熱することができないからである。コントローラ23は、マイクロコンピュータ及びプログラムによってヒートポンプユニット22を制御するもので、電源スイッチ、各種の設定ボタン、液晶表示器等を備えて構成されている。
【0017】
ヒートポンプユニット22は一般の市販品を用いることができる。本実施形態で用いたヒートポンプユニット22は、単相200Vの電源で動作すると共に、空調装置の室外機としても使用可能な仕様になっている。このヒートポンプユニット22は、大気から採熱する空気熱交換器(蒸発器)と、この空気熱交換機に直列に接続された圧縮機(コンプレッサ)と、水熱交換器(凝縮器)及び膨張弁等を備えて構成されており、空気熱交換機、圧縮機及び水熱交換器に媒体(温水)を循環させ、水熱交換器で生成された温水を温水管21に循環させるようになっている。
【0018】
ここで、図4は土間コンクリートの温度分布を示す特性図であり、図6は配管の高さ位置を示す土間コンクリートの断面図である。ピッチPが100mmの温水管21は断熱材12の表面から85mmの位置に配置し、ピッチPが200mmの温水管21は断熱材12の表面から150mmの位置に配置しており、温度レベル(温度測定位置)については図6に示す12箇所(L1〜L12)を設定し、これを図4の横軸とした。それぞれの位置は以下の通りである。
L1(0mm):断熱材表面
L2(30mm):ピッチ100(mm)配管21と断熱材との中間
L3(85mm):ピッチ100(mm)配管21の表面
L4(120mm):ピッチ100(mm)配管21と200(mm)配管21との中間
L5(150mm):ピッチ200(mm)配管21の表面
L6(190mm):ピッチ200(mm)配管21とコンクリート表面との中間
L7(230mm):土間コンクリート表面
L8:床下空気層
L9:フローリング材裏面
L10:ガラリ内部
L11:フローリング材表面
L12:室温
【0019】
図4に示すように、温水管21の配管ピッチPが100mmの場合では断熱材12の表面に近いレベル(図5におけるL1)の温度上昇が大きく、ピッチPが200mmの場合では土間表面に近いレベル(図5におけるL6乃至L7)で温度上昇が大きくなっている。しかしながら、図4に示された温度分布の違いは、ピッチPの差によるものというより、温水管21の埋設位置(高さ)の違いによるものと考えられる。なぜなら、図5に示すように、ピッチPの差は温度分布に影響を与えないと考えられるからである。すなわち、図5は、土間コンクリート13の厚みを210mmとし、温水管21を断熱材12の表面から61.5mmの位置に、ピッチPを100mmと200mmでそれぞれ埋設し、土間コンクリート13の厚みの中央位置(土間コンクリート13の下面から105mmの高さ)の温度を測定してその比較を行った結果を示すグラフであるが、図示されているように、ピッチPが100mmの場合と200mmの場合とでは時間の経過に対する温度上昇は殆ど差がないことがわかる。
【0020】
図4に示すように、ピッチPが200mmの場合ではL4(土間コンクリート13の下面から120mmの高さ)の温度よりもL1(断熱材表面)の温度が低くなっていおり土間コンクリート13の下側が蓄熱材として十分に活用されていない。これに対して、ピッチPが100mmの場合ではL1(断熱材表面)の温度がピッチPが200mmの場合よりも高くなっており土間コンクリート13の下側までが蓄熱材として十分に活用されていることがわかる。このように、土間コンクリート13の上面に近い位置に温水管21を埋設すると土間コンクリート13の表面からの放熱が多くなり、土間コンクリート13の下側が十分に加温されないので土間コンクリート13全体を蓄熱材として活用できないことから、温水管21を埋設する高さ位置は、少なくとも土間コンクリート13の厚みの中央部よりも断熱材表面に近い側(中央部よりも下側)に埋設することが好ましい。具体的には、後述する実施例(表1)に示すように、温水管21を埋設する高さ位置は、土間コンクリート13の表面から当該土間コンクリート13の厚みに対して0.308〜0.465の高さとなる範囲内で埋設することが好ましい。これにより、土間コンクリート13全体を蓄熱材として有効利用することが可能となる。尚、一般住宅のベタ基礎の多くは土間コンクリート13の厚みは150mm〜250mmが一般的である。
【0021】
尚、温水管21は、内径のあまり大きなものを使用すると土間コンクリート13の強度低下のおそれのみならず、流通させる温水の量が増えると共に、土間コンクリート13との熱交換の効率が悪くなることから内径が10mm〜20mmのものを使用することが好ましい。
【0022】
[床下蓄熱式暖房システムの動作]
次に、上述した床下蓄熱式暖房システムの動作について説明する。床下蓄熱式暖房システム2は、住宅1の新築時やリフォーム時に図1に示すように設置される。図1及び図2において床暖房を行いたい場合、ユーザはコントローラ23を操作してヒートポンプユニット22の運転を開始する。ヒートポンプユニット22は、内蔵の空気熱交換器によって大気の熱を吸収して空気熱交換器を流れる冷媒の温度を上げ(例えば−3℃程度から2℃程度に上げ)、次に、この冷媒を圧縮器で圧縮して105℃程度に加温して水熱交換器に送り、温水管21に流れる温水の温度を例えば45〜55℃にする。更に、水熱交換器から排出される冷媒(55℃程度)を膨張弁に供給して2℃程度に下げ、これを空気熱交換器に供給する。ヒートポンプユニット22は以上の動作を繰り返し実行する。これにより、温水管21を循環する温水によって土間コンクリート13及びその上方の空間が温められ、更にフローリング材18に伝熱されることにより住宅1の室内は一定の温度(例えば、20℃前後、25℃前後等)で暖房される。そして、ヒートポンプユニット22の運転を低料金の夜間電力を利用して行うことにより電力料金を低減(節約)することができる。
【0023】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る床下蓄熱式暖房システムによれば、温水管21の埋設位置及び土間コンクリート13の体積に対する温水管21の埋設体積比に基づいて温水管21を最適に配置することができるので、土間コンクリート13全体を蓄熱材として効率良く利用することが可能になり、床暖房を効率良く行えるようになるという効果がある。
尚、ヒートポンプユニット22に室内機ユニットを接続することにより、室温が低下した場合でも、土間コンクリート13によって20℃前後のベース暖房を確保しながら室内機ユニットの運転により室内機ユニット無しの場合よりも室温を上げることで快適な温度環境を維持することができるという効果がある。
【実施例】
【0024】
本発明者らは、実際に4棟の住宅において異なる場所及び異なる床面積によるフィールド試験を実施した。その実施データを表1に示す。尚、表1における試験場所とは住宅を建設した場所である。また、温水管21の埋設高さは土間の下面から61.5mm(飯豊は93.0mm)の位置に埋設すると共に、ピッチPは全て100mmとした。
【0025】
【表1】


【0026】
表1には、各住宅における温水管21の長さ、温水管21の体積、土間コンクリート13の体積、温水管21の埋設高さと高さ比、及び、温水管21の体積と土間コンクリート13の体積の比が示されている。尚、用いた温水管21の径は全て10mmφ(その断面積は、0.000078.5m)である。表1の配管埋設高さ比は、温水管21の埋設高さと土間コンクリート13の厚みとの比率である。また、体積比は、温水管21の長さに温水管21の断面積を掛けた体積(例えば、フィールド試験場所が「鳴子」ならば、204m×0.000078.5mm=0.0160mが温水管21の体積)と、土間コンクリート13の体積(6.4m([温水管21の布設面積]30.6m×[土間コンクリート13の厚み]210mm))との比率であり、「鳴子」における温水管21の体積比は0.0025(=0.25%)となる。
【0027】
表1に示す各住宅における平均外気温、平均室温、平均土間コンクリート温度についての結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
鳴子を除く他のフィールド試験場所では平均約20℃を超える室温を確保することができた。ここで、鳴子における温水管21の埋設高さは土間コンクリート13の下面から61.5mmの位置で、ピッチPは100mmであり、他のフィールド試験場所の場合とほぼ変わらないが、温水管21の体積と土間コンクリート13の体積の体積比は0.25%であり、他のフィールド試験場所よりも温水管21の埋設体積が少ないために平均室温が他のフィールド試験場所では20℃前後であるのに対して16℃前後と下回る結果になったものと考えられる。従って、表1及び表2から、温水管21の埋設高さは、土間コンクリート13の厚みに対する高さ比が0.3〜0.5の範囲内で配設することが好ましい。また、温水管21の体積比は0.30〜0.40%であることが好ましい。尚、図7に飯豊におけるフィールド試験についての室温、運転時間、電力の関係を示すグラフを示すと共に、図8に飯豊におけるヒートポンプ式基礎蓄熱暖房、蓄熱式電気暖房器及び電熱式基礎蓄熱暖房についての年間消費電力量の比較について示す。尚、図7における電力1、電力2の違いは、ヒートポンプの機種の違いによるものである。図7に示されているように、外気温が低下しても室温の変動は小さく、しかも、室温は、24時間20〜23℃程度で安定し保持されていることがわかる。また、図8に示すように、ヒートポンプ基礎蓄熱暖房方式は、蓄熱式電気暖房器や電熱式基礎蓄熱暖房に比べて年間消費電力量も少なく、より省エネである。
【0030】
このように、本発明に係る床下蓄熱式暖房システムによれば、温水管21の埋設高さと、土間コンクリート13と温水管21の体積比を最適にすることによって土間コンクリート13の全体を蓄熱材として効率の良く暖房することができるという効果がある。
【0031】
以上のように、好ましい各実施形態について説明したが、本発明に係る床下蓄熱式暖房システムは、住宅以外の建造物、例えば、事務所、店舗等の建造物に採用される床下蓄熱式暖房システム、更には、野菜栽培等の温室、動物園の飼育場等の暖房システムにも採用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 住宅
2 床下蓄熱式暖房システム
10 床
11 ベタ基礎
12 断熱材
12 温水管
13 土間コンクリート
14 床束
15 大引
16 根太
17 床下地
18 フローリング材
21 温水管
22 ヒートポンプユニット
23 コントローラ
24 放熱器
25a 配管
25b 配管
25c 配管
26 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房対象となる室内空間を有する建造物の前記室内空間の床下に施工された土間コンクリート内に配管を布設し、前記配管を介して熱源によって加温した熱媒体を循環させて前記土間コンクリートを加温して蓄熱させることにより前記建造物の室内空間を暖房する床下蓄熱式暖房システムにおいて、
前記配管は、前記土間コンクリートの下面からの高さが、当該土間コンクリートの厚みに対して0.3〜0.5の範囲内で、且つ、埋設体積が前記土間コンクリートの体積の0.30〜0.40%で布設されていることを特徴とする床下蓄熱式暖房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、
前記配管は内径が10mm〜20mmで、並列される配管の間隔を100mm〜200mmピッチで配設したことを特徴とする床下蓄熱式暖房システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、
前記土間コンクリートの厚みは、150〜250mmであることを特徴とする床下蓄熱式暖房システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の床下蓄熱式暖房システムにおいて、
前記熱源は、ヒートポンプであることを特徴とする床下蓄熱式暖房システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−13240(P2012−13240A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147131(P2010−147131)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(591160268)北日本電線株式会社 (41)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【Fターム(参考)】