説明

床用目地テープ、及び、床目地の防汚施工方法

【課題】ワックスコーティングやそれに伴う処理などの施工後の処理が不要でありながら、長期の使用によっても、P−タイル同士の間の目地部が目立たず、かつ、そこに汚れが付着しない、美観が長期に亘って保たれる解決方法を提供する。
【解決手段】ベースフィルム層の、一方の面にハードコート層を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層を、それぞれ備えた床用目地テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P−タイル、セラミックタイルなどの床面に用いる、床材の目地部の汚れを防止する床用目地テープ、及び、そのような床用目地テープを用いる床目地の防汚施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートなどの床下面にP−タイル(樹脂製タイル)を布設してなるタイル敷き床面は、美しくかつ清掃が容易であるために、事務所、公共施設、店舗、飲食店などで広く採用されている。
【0003】
P−タイルは一般的には30cm四方などの比較的小型のものであり、複数、基本的には隙間なく敷き詰めて施工する。
【0004】
ここでP−タイルは塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の比較的軟質な樹脂からなるが、使用の結果、その表面に細かい傷が発生し、この傷に汚れ成分が付着するので汚れて見える。このためにワックスコーティングによって細かい傷を隠す処理を行うが、この場合、コーティング処理に伴う前処理や後処理が必要になって時間がかかり、人件費がかさむ。また、これら処理時には通行禁止とする必要があるなど、様々な問題点があった。
【0005】
このため、例えばP−タイルが施工された床に対して、一方の面に粘着剤層が形成された硬質なシート(一般的には厚さが150μm程度)からなる床用保護シートを貼り合わせて保護する技術が提案されている(特許文献1)。この技術によれば美観が維持されるとともに、P−タイル間のわずかな隙間への汚れ成分の侵入が防止され、極めて有効であると考えられた。
【0006】
しかしながら、床用保護シートを実際に用いてみると、やはり大きい問題が残っていることが判った。
【0007】
すなわち、床用保護シートは部分的に重ね合わせて隙間が生じないように施工する。その端部にも人が歩き、カートなどが通るが、その結果、図7にモデル的に示すように重ね合わされた上側の床用保護シート11aの端部から粘着剤12が浸みだして広がり、この粘着剤12に汚れ成分が付着して美観を著しく損なうことが判った。
【0008】
これに対して、本発明者等は床用保護シートの施工後に、重ね合わされた上側の床用保護シート11aの端部に瞬間接着剤16によって粘着剤の滲出防止処理を行うと云う方法について検討を行った。
【0009】
この方法によれば、重ね合わされた上側の床用保護シート11aの端部からの粘着剤の滲出が生じないので、上記のような問題が解決するかに思われたが、実際に用いて見ると、硬化後の瞬間接着剤に割れが生じて粘着剤の滲出が防止できず、結局、滲出した粘着剤に汚れ成分が付着してしまうと云う結果となった。これは、貼り合わせ部の硬化後の瞬間接着剤が、足などにより踏まれることにより経時的に与えられる力で割れてしまうことによるものと考えられた。
【0010】
さらに床用保護シートを一部重ね合わせて施工すると云う技術の場合、重ね合わせ部分は粘着剤層が2層存在することになるが、粘着剤は経時的に黄変する。このために、施工後しばらく経つと、この重ね合わせ部分が、他の部分より濃く黄変して見えるために著しく美観を損なう結果となることが判った。
【0011】
このように、ワックスコーティングやそれに伴う処理などの施工後の処理が不要でありながら汚れにくく、かつ、美観が長期に亘って保たれる解決方法が求められていた。
【特許文献1】特願2007−85114公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、ワックスコーティングやそれに伴う処理などの施工後の処理が不要でありながら汚れにくく、かつ、美観が長期に亘って保たれる解決手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の床用目地テープは前記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、ベースフィルム層の、一方の面にハードコート層を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層を、それぞれ備えたことを特徴とする床用目地テープである。
【0014】
また、本発明の床用目地テープは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の床用目地テープにおいて、前記ホットメルト接着剤が、粘着付与剤を含有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の床用目地テープは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の床用目地テープにおいて、前記ホットメルト層のテープの中央ないし中央付近が、その周辺に比して厚くなっていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の床用目地テープは、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の床用目地テープにおいて、前記ハードコート層の厚さが5μm以上10μm以下であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の床用目地テープは、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の床用目地テープにおいて、前記ホットメルト層の表面のすくなくとも一部が粗面となっていることを特徴とする。
【0018】
本発明の床目地の防汚施工方法は、前記請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の床用目地テープを用いることを特徴とする床目地の防汚施工方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の床用目地テープによれば、ベースフィルム層の、一方の面にハードコート層を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層を、それぞれ備えたために、自らも長期に亘って傷がつきにくく、結果として汚れないために目立たず、また、粘着剤を用いることがないのでその浸出、及び、粘着剤浸出によるごみ付着も生じず、また、熱を受けない限りは剥がれないので通常環境では剥がれも生じず、かつ、再施工の場合には再加熱すれば簡単に剥がすことができる、効果的にP−タイルなどの床目地の汚れ防止が可能となる。さらに粘着剤を用いないために施工後長期間経っても黄変が生じないので部分的な違和感を与えることもない。
【0020】
さらに、前記ホットメルト接着剤が、粘着付与剤を含有するホットメルト接着剤であると、P−タイル表面の硬質な保護フィルム(アクリル系樹脂が主として用いられる)に対しての接着性が向上するので耐久性がより向上する。
【0021】
さらに、前記ホットメルト層のテープの中央ないし中央付近が、その周辺に比して厚くなっていると、P−タイルの目地に隙間がある場合においても、経時後にもテープの隙間部分が反りにくく、そのために、光が床面に反射した場合にもテープ部が目立ちにくくなり、美観が損なわれることがない。
【0022】
さらに、前記ハードコート層の厚さが5μm以上10μm以下であると、耐久性が向上する。
【0023】
さらに、前記ホットメルト層の表面のすくなくとも一部が粗面となっていると、巻きテープとした場合であっても離型性が付与されるので、離型紙が不要となり、取り扱いが向上するうえに低コスト化が可能である。
【0024】
本発明の床目地の防汚施工方法によれば、上記のいずれか1つの床用目地テープを用いるので、結果として汚れないために目立たず、また、粘着剤を用いることがないのでその浸出、及び、粘着剤浸出によるごみ付着も生じず、また、熱を受けない限りは剥がれないので通常環境では剥がれも生じず、かつ、再施工の場合には再加熱すれば床用目地テープを簡単に剥がすことができるので、効果的にP−タイルなどの床目地の汚れ防止が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の床用目地テープは上記のように、ベースフィルム層の、一方の面にハードコート層を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層を、それぞれ備えた床用目地テープである。
【0026】
本発明の床用目地テープにおいてテープ幅としては適宜決定することができるが、特殊な場合を除き、その目的及び取り扱い性から通常5mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0027】
ベースフィルムとしては、特殊な効果を求める場合を除き、無色透明であることが好ましい。
【0028】
ベースフィルムを構成する樹脂としては、テープとしての巻き取り性、薄膜成膜性、施工性などを勘案して適宜選択できるが、透明性、耐収縮性、耐熱性などの点でポリエステル樹脂からなることが好ましく、その中でポリエチレンテレフタレートが安価で容易に入手できるのでより好ましい。
【0029】
ベースフィルムの厚さとしてはテープとしての巻き取り性、施工性、施工後の床用目地テープとしての目立ちにくさ、施工後の強度などを勘案すると25μm以上150μm以下であることが好ましく、より好ましい範囲としては30μm以上80μm以下である。
【0030】
ハードコート層は床用目地テープの表面側に耐摩耗性、平面平滑性、光沢性、及び、耐傷つき性を付与するためのものであり、このため、ベースフィルム層を構成するベースフィルムよりも硬質のものであることが必要である。なお、ハードコート層は特殊な効果を求める場合を除き、無色透明であることが好ましい。
【0031】
さらに、このようなハードコート層としては鉛筆硬度がH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
【0032】
ハードコート層の厚さが5μm以上10μm以下であることが好ましい。5μm未満であるとハードコート層としての効果が少なくなってしまう場合がある。一方、10μm超であると、床用目地テープとして巻き取った場合に、あるいは、施工後の経時において、ハードコート層に割れが生じるおそれがある。
【0033】
ここで、ハードコート層を形成する樹脂組成物としては光硬化型であると、ベースフィルム層の表面(片面)に樹脂組成物を必要厚さ塗布後に迅速かつ容易に硬化させることができるので、ハードコート層の形成が容易となる。このような光硬化型のハードコート層用樹脂は、日本化薬社、荒川化学社、日本合成化学工業社などから市販されている。
【0034】
本発明において、ホットメルト層とベースフィルム層との接着性を向上させるために、ベースフィルムのホットメルト層形成面に、適宜選択したプライマ剤を用いてプライマ処理を施してからホットメルト層を形成してもよい。
【0035】
ホットメルト層は加熱により接着性をもつホットメルト接着剤から形成する。
【0036】
ホットメルト接着剤としては、ポリエステル系、変性オレフィン系、反応型ウレタン系、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)系のものなどが市販されている。
【0037】
ここでこのようなホットメルト接着剤主剤に対して粘着付与剤を添加した、粘着付与剤を含有するホットメルト接着剤であると、P−タイル表面の硬質な保護フィルム(アクリル系樹脂が主として用いられる)に対しての接着性が向上するので耐久性がより向上するので好ましい。このような粘着付与剤としては、ヒロダイン7589(ヤスハラケミカル社製)、エステルガムH(荒川化学社製)、YSポリスターT(ヤスハラケミカル社製)などが挙げられる。
【0038】
ホットメルト接着剤全体に対する粘着付与剤の添加量は、5重量%以上50重量%以下の範囲であることが好ましい。すなわち、5重量%未満であると粘着付与剤添加の効果が得られにくく、50重量%を越えて添加するとホットメルト接着剤としての充分な接着性が得られにくくなる。
【0039】
ホットメルト層の厚さとしては、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満であると接着力が低くなり施工後の耐久性に問題が生じるおそれがある。100μm超であると、ホットメルト接着剤の使用量の増加に伴う接着力の向上が得られにくく、かつ、コストが増大する。
【0040】
このようなホットメルト層は、例えば押出ラミネートによってベースフィルム上に形成することができる。このホットメルト層に形成時にナシ地ローラを併用することにより、ホットメルト層表面をナシ地(粗面)化することができ、このように表面の少なくとも一部が粗面化されたホットメルト層としたときには、巻きテープとした場合であっても層間で離型性が付与されるので、離型紙が不要となり、低コスト化が可能となると共に、取り扱い性が向上し、またブロッキング(テープの巻き戻しができなくなってしまうこと)の発生が防止される。
【0041】
本発明において、ベースフィルム層とホットメルト層との接着性を向上させるために、ベースフィルムのホットメルト層形成面に、適宜選択したプライマ剤を用いてプライマ処理を施してからホットメルト層を形成してもよい。
【0042】
このようにして得られる床用目地テープを用いる床目地の防汚施工は、例えば次のようにして行うことができる。
【0043】
P−タイルなどにより形成された床面に対し、粘着剤層が片面に形成された床用保護シート(例えば特許文献1に記載のもの)を貼り合わせる。
このとき、床用保護シート同士は、重なることなく端同士がつきあうように、そして可能な限り隙間が生じないように施工する。
【0044】
次いで、これら床用保護シート同士からなる目地部上に適切な長さに切った本発明に係る床用目地テープをホットメルト層が下となるようにして当てる。このとき、別途粘着テープなどを用いて、床用目地テープを床に仮止めしても良い。ついで、ヘアドライアーやそれに類似する熱風機、などの加熱手段によって床用目地テープを加熱してそのホットメルト層のホットメルト接着剤が接着性を発揮する温度まで加熱させ、次いで、ローラなどの圧接手段により床用目地テープを床に対して圧接させることにより、容易に施工することができる。
【0045】
上記加熱手段及び圧接手段の他に、アイロン、あるいは、加熱可能なローラなどの加熱と圧接を同時に行える加熱圧接手段を用いても良い。
【0046】
床用目地テープの交換などの目的で床用目地テープを剥がす場合には、床用目地テープを加熱することで容易に床材から剥離させることができる。
【0047】
図1に本発明の床用目地テープの一例Aのモデル断面図を示す。
【0048】
ベースフィルム層1の、一方の面にハードコート層2を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層4を、それぞれ備えた床用目地テープである。
【0049】
図中の符号3はベースフィルム層1へのホットメルト層4の接着性向上のために行ったプライマ処理によるプライマ処理層である。ホットメルト層4の表面は図中の部分拡大モデル断面図に示したように粗面化されている。
【0050】
図2には床用目地テープAを用いて床目地の防汚施工を行った状態を示すモデル断面図である。図中符号11は保護フィルム付きP−タイルで、P−タイル11bとP−タイル11bに粘着剤層(図示しない)を介して固定された保護フィルム層11a(床用保護シート)とからなる。符号14は目地の隙間、符号12は床(コンクリート床)である。
【0051】
上記のような床用目地テープAを用いたときに、図2に示すように目地の隙間14があった場合、図3に部分拡大モデル断面図を示したように床用目地テープAの目地に相当する部分にわずかな凹み7が発生することがある。この凹み7は通常は目視されないが、照明器具、特に直線状の蛍光灯などが床面に映ったときには視認される場合があり、美観を損なうおそれがある。
【0052】
このようなわずかな瑕疵の発生を防止するためには図4にモデル的に示すようなホットメルト層のテープの中央ないし中央付近が、その周辺に比して厚くなっている床用目地テープを用いることができる。
【0053】
図4中符号Bを付して示されているのは本発明の床用目地テープの他の例であり、ベースフィルム層1の、一方の面にハードコート層2を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層4を、それぞれ備えた床用目地テープである。
【0054】
図中の符号3はベースフィルム層1へのホットメルト層4の接着性向上のために行ったプライマ処理によるプライマ処理層である。
【0055】
この床用目地テープではホットメルト層4のテープの中央にさらにホットメルト接着剤からなるホットメルト層5が形成されており、ホットメルト層全体としてみるとホットメルト層5形成部分はその周辺に比して厚くなっている。
【0056】
ホットメルト層4のホットメルト層5が形成されている以外の部分の表面は図中の部分拡大モデル断面図に示したように粗面化されている。
【0057】
図5には床用目地テープBを用いて床目地の防汚施工を行った状態を示すモデル断面図である。図中符号11は保護フィルム付きP−タイルで、P−タイル11bとP−タイル11bに粘着剤層(図示しない)を介して固定された保護フィルム層11a(床用保護シート)とからなる。符号14は目地の隙間である。目地の隙間14が大きい場合においてもホットメルト層5部分はいわば補強材として機能するために経時利用においても床用目地テープAで生じたような凹みの発生が防止される。一方、目地の隙間が狭い場合であっても、施工時にホットメルト層5を構成するホットメルト接着剤は目地の隙間に吸収されるので、施工後の床用目地テープBの表面側にはホットメルト層5部分に凸部が形成されることはない。
【0058】
このような床用目地テープBは例えば図6にモデル的に示すように、上記床用目地テープAをその長さ方向に移動させながら、そのホットメルト層4側に、図示しないノズルを用いて、加熱されて低粘度となったホットメルト接着剤5’を部分的に供給させ、その後、放冷させることにより製造することができる。
【0059】
なお、ホットメルト接着剤5’はホットメルト層4を形成するものと同じものを用いても良いが、例えばロジン系の粘着付与剤とエチレン−エチルアクリレート系のホットメルト接着剤主剤とを混合したものを用いてもよく、このとき、この部分の溶着温度を下げることが可能となるのでより高い接着力を得ることができる。
【実施例】
【0060】
以下に本発明の床用目地テープの実施例について具体的に説明する。
【0061】
ベースフィルム層として38μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(幅110cm)の一方の面に光硬化型ハードコート用樹脂である日本合成化学工業社製UV−1400Bを用いて、厚さ8μmのハードコート層を形成した。このハードコート層の鉛筆硬度(JISK5600−5−4に準拠した鉛筆引っかき値)は4Hであった。
【0062】
次いで、トルエン・酢酸エチルを体積比で2:1に混合した混合溶媒500重量部にプライマ剤成分として大日精化社製セイカダインPET−2100重要部、及び、同セイカダインPET−2用硬化剤2重量部とを加え、上記ベースフィルムの他方の面に換算乾燥目付0.3g/mとなるように塗布したのち、溶媒を蒸発させてプライマ処理をおこなった。
【0063】
このプライマ処理面全体に対して、ホットメルト接着剤であるヤスハラケミカル社製ヒロダイン7589を押出ラミネートによって積層し、ホットメルト層を形成した。このときナシ地ローラを併用して、ホットメルト層の表面を粗面化した。
【0064】
次いで、幅方向に複数配置したノズルを用いて、上記フィルムを移動させながらプライマ処理面に対して、エチレン−エチルアクリレート系ホットメルト接着剤主剤である日本ユニカー社製NUS6090を75重量部と粘着付与剤としてテンペンフェノール共重合体であるヤスハラケミカル社製マイティーエースG−125とを25重量部とを2軸押出機によって混合して得たホットメルト接着剤を部分的に供給して畝状の凸状部(幅2mm、凸部高さ50μm)を形成した。
【0065】
上記畝状の凸状部が中央になるように切断し、幅1cmの床用目地テープαを得て、巻き取った。
【0066】
この床用目地テープαを用いて実際の床目地の防汚施工をおこなった。
【0067】
具体的には、P−タイルによって施工された床面上に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルムの一方の面に厚さ30μmの粘着剤層(ヒロダイン7589からなる)を形成した特許文献1にかかる床用保護シートを互いの端部をつきあわせるようにして貼り合わせた。
【0068】
床用保護シート同士によって形成された目地部に沿って床用目地テープαを置き、別の粘着テープを用いて、仮固定した。その後ヒートガンを用いて床用目地テープαを加熱しながらスキージーで上から押さえて目地部に密着させた。放冷後には容易には剥がれないように接着された。
【0069】
その結果、1ヶ月後にも目地部の床用目地テープαには剥がれなく、汚れも付着しておらず、目視ではP−タイル部と一体に見える状態であった。なお、施工場所は、コンビニエンスストアで、例えば午後2時からの1時間での人の通行は100人程度である。
【0070】
また、上記畝状の凸状部形成に、ホットメルト接着剤主剤として日本ユニカー社製NUS6090を75重量部と粘着付与剤であるヤスハラケミカル社製マイティーエースG−125を25重量部とを2軸押出機によって混合して得た粘着付与剤を含有するホットメルト接着剤の代わりに、日本ユニカー社製NUS6090を80重量部とヤスハラケミカル社製YSポリスターT−100を20重量部とを混合して得たホットメルト接着剤を用いて作製した床用目地テープβを用いて同様に実際の床目地の防汚施工を行った場合も同様に、施工後1ヶ月後にも目地部の床用目地テープβには剥がれなく、汚れも付着しておらず、目視ではP−タイル部と一体に見える状態であった。
【0071】
なお、床用目地テープαと同様に、ただし、ホットメルト層の粗面化を行わずに作製した床用目地テープα’は作製後室温で1日間放置したところ、施工に際して巻き戻ししにくいものとなっていたが、同様に作製後放置した床用目地テープαでは容易に巻き戻しできた。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明にかかる床用目地テープの一例Aを示すモデル断面図及びその部分拡大モデル断面図である。
【図2】床用目地テープAを用いて床目地の防汚施工を行った状態を示すモデル断面図及びその部分拡大モデル断面図である。
【図3】床用目地テープAを用いて床目地の防汚施工を行った場合に経時的に生じる凹み7を説明するためのモデル図である。
【図4】本発明にかかる床用目地テープの一例Bを示すモデル断面図及びその部分拡大モデル断面図である。
【図5】床用目地テープBを用いて床目地の防汚施工を行った状態を示すモデル断面図及びその部分拡大モデル断面図である。
【図6】床用目地テープBのホットメルト層4のテープの中央にさらにホットメルト接着剤からなるホットメルト層5を形成する方法を示すモデル図である。
【図7】従来技術の問題を説明するモデル図である。
【図8】従来技術の問題を説明するモデル図である。
【符号の説明】
【0073】
A 本発明に係る床用目地テープ
B 本発明に係る床用目地テープ
1 ベースフィルム層
2 ハードコート層
3 プライマ処理層
4 ホットメルト層
5 ホットメルト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム層の、一方の面にハードコート層を、他方の面にホットメルト接着剤からなるホットメルト層を、それぞれ備えたことを特徴とする床用目地テープ。
【請求項2】
前記ホットメルト接着剤が、粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の床用目地テープ。
【請求項3】
前記ホットメルト層のテープの中央ないし中央付近が、その周辺に比して厚くなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の床用目地テープ。
【請求項4】
前記ハードコート層の厚さが5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の床用目地テープ。
【請求項5】
前記ホットメルト層の表面のすくなくとも一部が粗面となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の床用目地テープ。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の床用目地テープを用いることを特徴とする床目地の防汚施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−249845(P2009−249845A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96043(P2008−96043)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(505360937)株式会社エスウェル (5)
【出願人】(505244394)日本ウェーブロック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】