床組立て用パネルを用いた床構造と床組立て用パネルセット並びにそれを用いた床構造の形成方法
【課題】床組立て用パネル間の真上に位置する被覆材のみに伸縮応力を集中させずに、被覆材の膨れや破損を防止できる床構造を提供する。
【解決手段】パネル本体1a,2aの表面に軟質の被覆材1b,2bを第一の貼着剤3で貼着した床組立て用パネル1,2を、パネル本体1a,2aの相互間に間隙5を設けて並べた床構造であって、第一のパネル1の被覆材1bを第二のパネル2側に延設すると共に、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端を控除して、第一のパネル1の被覆材端縁1bと第二のパネル2の被覆材2b端縁を突き合わせ、少なくとも第一のパネル1の延設された被覆材1bの第二のパネル本体2a上に位置する領域を、第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4で第二のパネル本体2aに貼着すると共に、第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁とを突き合わせた継目6部分をシール7した構成とする。
【解決手段】パネル本体1a,2aの表面に軟質の被覆材1b,2bを第一の貼着剤3で貼着した床組立て用パネル1,2を、パネル本体1a,2aの相互間に間隙5を設けて並べた床構造であって、第一のパネル1の被覆材1bを第二のパネル2側に延設すると共に、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端を控除して、第一のパネル1の被覆材端縁1bと第二のパネル2の被覆材2b端縁を突き合わせ、少なくとも第一のパネル1の延設された被覆材1bの第二のパネル本体2a上に位置する領域を、第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4で第二のパネル本体2aに貼着すると共に、第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁とを突き合わせた継目6部分をシール7した構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にバルコニーなどの床として設置される床組立て用パネルを用いた床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などのバルコニーの床は、工場で床パネルを製造し、現場で床パネルを組立てながら躯体と固定することで形成されることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め防水シートをパネル本体に貼付した床パネル間に、防水シートの厚みだけパネル本体よりも厚みが薄い連結用床パネルを挟んで床パネルと連結し、パネル本体に貼付した防水シートを、パネル本体の端部よりも連結用床パネル側にそれぞれ延出した防水床の構造が開示されている。
【0004】
かかる防水床の構造は、連結用床パネルの上面において、延出された2枚の防水シートを重ね合わせることで、防水床の表面を段差なく略平滑にすることができるので、意匠性が良好であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−327527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のような床構造であると、寒暖差によってパネル本体が伸縮した場合、防水シートのうち、床パネル間(床パネルと連結用床パネルの間)の真上に位置する部分のみに過大な伸縮応力が集中し、この部分の防水シートに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生する恐れがあった。このように防水シートに亀裂等の破損が生じると、パネル本体と防水シートの間に水が浸入し、パネル本体とパネル本体の間から水が下方に漏れ出す危険性がある。また、厚みの薄い連結用床パネルを製造するのに別途工場のラインが必要となってコストが嵩み、バルコニーに床を設置する際も、床パネルや連結用床パネルの寸法調整が難しくなる、という問題もあった。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、床組立て用パネル間の真上に位置する被覆材のみに伸縮応力を集中させないことで、被覆材の膨れや破損を防止し、意匠性及び防水性が高く、且つ、組立ても容易な床組立て用パネルを用いた床構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁を突き合わせ、少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁とを突き合わせた継目部分をシール又は溶接したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造は、パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との隙間に第二の貼着剤を充填したことを特徴とするものである。
【0010】
上記の床組立て用パネルを用いた床構造においては、上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されていることが好ましい。また、上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されていることが好ましく、上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられていることがより好ましい。
【0011】
次に、本発明の床組立て用パネルセットは、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除した床組立て用パネルセットであって、上記第一のパネルの被覆材を延設した寸法が、第二のパネルの被覆材を控除した寸法に、第一のパネルと第二のパネルを並べた際に設けられるパネル本体相互間の間隙の幅寸法を加えた寸法よりも長いことを特徴とするものである。
【0012】
そして、本発明の床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法は、上記の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材を所望の継目形成箇所で切断して双方の被覆材端縁を突き合わせ、柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、上記双方の被覆材端縁を突き合わせた新たな継目部分をシール又は溶接することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法は、上記の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材とを切断して双方の被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、上記双方の被覆材端縁の隙間に第二の貼着剤を充填することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の床組立て用パネルを用いた床構造は、少なくとも第一のパネルの被覆材を延設した部分が柔軟性のある貼着剤で第二のパネル本体の表面に貼着されているため、パネル本体相互間の間隙が寒暖差により伸縮し、その間隙距離が変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤と、その第二の貼着剤によって貼着された被覆材の当該領域全体に分散し、パネル本体相互間の間隙の真上に位置する被覆材のみに集中することがないので、パネル本体相互間の間隙上の被覆材に膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止することができる。このように、被覆材の膨れや破損を防止することで、意匠性や防水性が良好となり、厚みの異なるパネルを別途製造することが不要となるため、経済性や施工性の面でも好ましい。
【0015】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造も、少なくとも第一のパネルの被覆材を延設した部分が柔軟性のある貼着剤で第二のパネル本体の表面に貼着されているため、パネル本体相互間の間隙が寒暖差により伸縮し、その間隙距離が変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤と、その第二の貼着剤によって貼着された被覆材の当該領域全体に分散し、パネル本体相互間の間隙の真上に位置する被覆材のみに集中することがないので、パネル本体相互間の間隙上の被覆材に膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止することができる。また、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、その隙間に第二の貼着剤を充填することで、この隙間部分に充填された第二の貼着剤によっても伸縮応力が分散されるので、双方の被覆材端縁に膨れが生じたりする心配がなくなり、より一層防水性が向上する。
【0016】
また、上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されている床組立て用パネルを用いた床構造は、柔軟性のある第二の貼着剤が、パネル本体相互間に設けられた間隙に充填されることで、万一パネル本体と被覆材との間に水が浸入したとしても、柔軟性のある貼着剤によって止水されるので、第一のパネルと第二のパネル相互間の防水が確実となる。
【0017】
特に、上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されている床構造のように、第二の貼着剤を塗布する領域を、第一のパネル本体の第二のパネル側、又は/及び、第二のパネルの被覆材端部にまで増やすことで、前述した伸縮応力の分散による被覆材の膨れや破損等の防止効果がより顕著となる。また、第二の貼着剤は、施工時に塗布するものなので、第一のパネル本体に第二の貼着剤を塗布するときは、第一のパネルの被覆材を捲り上げることで、パネル本体相互間の間隙に柔軟性のある第二の貼着剤を容易に充填することができるようになるし、第二のパネルの被覆材端部に第二の貼着剤を塗布するときは、第二のパネルの被覆材を捲り上げることで、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤が被覆材の表面に付着してしまうことがなくなるので、施工性が高い。
【0018】
更に、上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられている床構造は、パネル本体上に第二の貼着剤を塗布すると、自然と第二の貼着剤がパネル本体相互間の間隙に充填され、容易に防水処理を行うことができるようになる。しかも、切面と隣接するパネル本体の端面とで形成された凹部にも第二の貼着剤が充填されることで、第二の貼着剤を塗布する層の厚みが増し、第二の貼着剤の層が破損しにくくなるので、防水性がより一層向上する。
【0019】
次に、本発明の床組立て用パネルセットは、第一のパネルの被覆材を、第二のパネルの被覆材の控除した寸法に、パネル本体相互間の間隙寸法を加えた寸法分よりも延設することで、床組立て用パネルセットを一定の間隙を設けて躯体と固定すると、第一のパネルの延設した端部分が、第二のパネルの控除された被覆材の端部分と重なることになる。この被覆材同士の重なり部分をカッター等の切断具で切断して切除することで、被覆材同士の端をピッタリと合致させることができ、きれいに継目処理することができるようになり、防水性を確保することができる。また、このような床組立て用パネルセットを用いることで、パネルの組立て誤差や被覆材のパネル本体への貼着誤差があっても、被覆材同士を切断する際にその誤差を調整することが可能となり、施工性がよい。
【0020】
そして、本発明の床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法は、上記床組立て用パネルセットを用いることで、きれいに継目処理ができるようになり、被覆材の膨れや破損を防止できるのは勿論のこと、防水性や意匠性に優れる床組立て用パネルを用いた床構造を、簡単に形成することができるようになる。
【0021】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法も、上記の床構造の形成方法と同様に、被覆材の膨れや破損を防止する床組立て用パネルを用いた床構造を簡単に形成することができる。更に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、その隙間に第二の貼着剤を充填すると、この隙間部分に充填された第二の貼着剤によっても伸縮応力が分散されて、双方の被覆材端縁に膨れが生じたりする心配がなくなるので、非常に防水性の良好な床構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造を示す部分断面図である。
【図2】同床構造の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図5】図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る床組立て用パネルセットを示す部分断面図である。
【図7】同床組立て用パネルセットを用いて図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図10】図6に示す床組立て用パネルセットを用いて図9に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図12】図6に示す床組立て用パネルセットを用いて図11に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0024】
図1、図2に示す本発明の床組立て用パネルを用いた床構造は、主にバルコニーなどの床として設置される床組立て用パネル1,2を用いた構造体であって、第一のパネル1のパネル本体1aと第二のパネル2のパネル本体2aとの相互間に間隙5を設けて並べられて、躯体の腕木8に固定されている。この第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの相互間の間隙5の幅寸法Wは0.5〜3mm程度とするのが好ましく、このように、パネル本体1a,2aの相互間に間隙5を設けて腕木8と固定することで、寒暖差によってパネル本体1a,2aや腕木8が熱伸縮しても、パネル本体1a,2a同士が突き上げられたり、破損したりするのを防止することができる。
尚、第一のパネル1と第二のパネル2は、ボルト・ナットやビス等の公知の固定手段で腕木8と固定されている。
【0025】
上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの表面には、図1、図2に示すように、軟質の被覆材1b,2bが第一の貼着剤3によってそれぞれ貼着されており、この第一のパネル1の被覆材1bが第二のパネル2側に延設されている。また、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端は、上記第一のパネル1の被覆材1bの延設寸法Eからパネル本体1a,2a相互間に設けられた間隙5の幅寸法Wを引いた寸法Sの分だけ控除されている。寒暖差によるパネル本体1a,2aの熱伸縮による伸縮応力分散の観点から、この第一のパネル1の被覆材1bの延設寸法Eは50〜300mm程度に設定することが好ましく、従って、第二のパネル2の被覆材2bを控除した寸法Sは、間隙5の幅寸法Wが、上記のように0.5〜3mm程度であるので、その分を差し引いた寸法に設定される。
【0026】
上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aは同種のもので、木質合板製、金属製又はコンクリート若しくは鉄筋コンクリート製、或いは上記材質の板体を積層した偏平な板体であり、中空部を形成して軽量化すると共に、強度を向上させたものが好適に用いられ、本実施形態では、メッキ鋼板製のパネルが用いられている。このパネル本体1a,2aには、腕木8に固定するために公知の固定部(不図示)が形成されており、前述したように、ボルト・ナットやビス等の公知の固定手段で腕木8に固定されている。
【0027】
また、上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの表面に貼着されている被覆材1b,2bも同種のもので、軟質塩化ビニル樹脂又はオレフィン樹脂などの合成樹脂、ゴムなどで形成され、巻き取りや捲り上げができる程度に柔軟で、厚みが1〜3mm程度の長尺シートが好適に用いられる。この被覆材1b,2bは、予め工場で第一の貼着剤3によってパネル本体1a,2aに貼着されて出荷される。
【0028】
被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着する第一の貼着剤3は、強固に被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aを貼着するため、貼着後に硬化反応や溶剤が揮散して固くなるものが用いられる。例えば、一液湿気反応型ウレタン系接着剤、二液混合タイプの反応型エポキシ系接着剤、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤、溶剤揮散型ゴム系接着剤などが該当するが、使い勝手がよく、強固に被覆材とパネル本体を貼着できる一液湿気反応型ウレタン系接着剤が特に好適に用いられる。この第一の貼着剤3をパネル本体1a,2aの表面に塗布するときは、貼着剤3の目付け量を適切なものとし、また、第一の貼着剤3から発生する反応ガスや第一の貼着剤3に含有する溶剤ガスの圧力を逃がして、被覆材1b,2bの表面に膨れが発生することを防止する目的から、櫛目ゴテ(不図示)を用いて第一の貼着剤3を櫛目状に塗布することが好ましい。
【0029】
図2に示すように、上記第一の貼着剤3で第一のパネル本体1aに貼着されている被覆材1bの、延設されて第二のパネル本体2aの上に位置する領域は、第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4によって、第二のパネル本体2aに貼着されている。
【0030】
この第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4は、50%引張応力(50%モジュラス)が0.1〜1.5N/mm2、好ましくは0.1〜0.75N/mm2(本実施形態の第二の貼着剤4は、0.2N/mm2、)引張破断伸び率が50〜1000%程度、好ましくは300〜800%(本実施形態の第二の貼着剤4は、650%)のものが用いられ、この条件には、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤、一液湿気反応型ウレタン系接着剤、ポリサルファイド系接着剤のような柔軟性のある貼着剤などが合致し、本実施形態では、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤が第二の貼着剤4として用いられている。
【0031】
上記50%引張応力(50%モジュラス)は、第二の貼着剤4と非接着性の平板上に、中央部を矩形に切り除いた2mm厚のスペーサーを置いて、矩形の切り除いた部分に第二の貼着剤4を流し込み、均し具をスペーサー上でスライドさせて不要な第二の貼着剤4を取り除き、そのまま、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で1日間養生し、スペーサー、平板を除去して2mm厚の第二の貼着剤4のシートを作製する。そして、貼着剤シートから切り抜いてJIS K 6251で規定するダンベル状1号形の引張試験サンプルを作製し、このサンプルを引張試験機で引張試験し(引張速度:100mm/分)、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で、JIS A 1439に準じて50%引張応力を測定した。
【0032】
また、上記引張破断伸び率は、上記サンプルを引張試験機で引張試験し(引張速度:100mm/分)、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で、JIS K 6251に従って引張破断伸び率を測定した。
【0033】
このような特性を有する柔軟な第二の貼着剤4は、略均一な厚みで塗布(所謂ベタ塗り)されており、このように第二の貼着剤4を塗布すると、継目6のシール剤7が破損して、被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aとの間に水が浸入しても、水路がないため防水性が高い。
【0034】
また、予め被覆材1b,2bを貼着するための第一の貼着剤3の塗布時と同じ理由で、櫛目ゴテを用いて第二の貼着剤4を塗布してもよいが、このとき、万一防水処理した被覆材1b,2bの継目6のシール剤7が破損して水が浸入した場合、櫛目ゴテで形成される櫛目の凹条が水路となって、水が被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aの間に広がる恐れがあるため、櫛目の方向は継目6と平行に塗布することが好ましい。このように、櫛目ゴテを用いて第二の貼着剤4を塗布すると、櫛目ゴテで形成した櫛目凸条が左右に倒れるように変形して応力を分散させるので、被覆材1bの保護の観点からも好ましい。
【0035】
上記特性を有する柔軟性のある第二の貼着剤4によって、第一のパネル1の被覆材1bの延設部分を第二のパネル本体2aに貼着すると、寒暖差による熱伸縮等によってパネル本体1a,2aの間隙5の幅寸法Wが変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤4と、その第二の貼着剤4によって貼着された被覆材1bの当該塗布領域全体に分散されて、間隙5の真上に位置する被覆材1bのみに伸縮応力が集中することがなく、パネル本体1a,2a相互間の間隙5上の被覆材1bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生したりする心配がなくなる。
【0036】
図2に示すように、上記の第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁は、それらを突き合わせた際の継目6がV字状となるように切除されている。そして、被覆材1b,2bの継目6は、シール剤7によって封止されている。
【0037】
上記被覆材1b,2bの継目6を封止するシール剤7は、一液湿気反応型変成シリコーン系充填剤、二液混合型エポキシ系充填剤などの充填剤、または被覆材1b,2bと相溶性のある樹脂(被覆材1b,2bが塩化ビニル樹脂であれば、塩化ビニル樹脂)を溶剤で溶解させたシール液であって、このシール剤7を継目6に充填することで、被覆材1b,2bの継目6が防水処理されると共に、被覆材1b,2bの端が捲くれ上がるといった不具合を防止することができる。被覆材1b,2bの継目6を封止する際に、継目6から食み出した余分なシール剤7はウエス等で除去したり、予め被覆材1b,2bの端縁にマスキングを施しておいてから、シール剤7を継目6に充填し、充填後にマスキングを剥がして不要なシール剤7を除去してもよい。
【0038】
尚、被覆材1b,2bの継目6は、上記のようにシール剤7で封止する他にも、溶接によって封止することができる。被覆材1b,2bの継目6の溶接は、熱風等の熱を継目6に照射して当該継目6部分の被覆材1b,2bを溶融しながら、被覆材1b,2bと相溶性のある塩化ビニル樹脂などの溶接棒を溶融しながらV字状に形成した継目6に充填することにより行われる。この際、食み出して不要となった溶接樹脂はカッター等で除去すればよい。
【0039】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、2つの床組立て用パネル1,2を用いたものであるが、床組立て用パネルは2つのみでなく、更に数を増やして組立てすることができる。その場合は、第一のパネル1と第二のパネル2との関係を第二のパネル2と第三のパネル(不図示)との関係におくことで対応することができる。また、第一のパネル1と第二のパネル2との関係を、第三のパネルと第二のパネル2との関係におくこともできる。即ち、延設された被覆材1bのある第一のパネル1を順繰りに並べて組立ててもよいし、それとは別に一つのパネルの両側の被覆材を控えて設けてもよいし、逆に両側に延設された被覆材を設けてもよい。
【0040】
以上のような構成の床組立て用パネルを用いた床構造の効果確認試験を行った。この効果確認試験は、0.68m×1.8mのメッキ鋼板製のパネル本体1a,2aを長手つかいにした床組立て用パネル1,2を用いて、気温5℃の環境下で組立てて1日間養生したのち、気温を50℃で1日間放置する。次に、5℃で1日間放置したのち、50℃で1日間放置する。このサイクル試験を5サイクル行ったが、被覆材1b,2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するなどの異常は見られなかった。
【0041】
図3は、本発明の他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0042】
この実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、上記柔軟性のある第二の貼着剤4を、第一のパネル1と第二のパネル2との間隙6にも充填したものである。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図1、図2に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0043】
以上のような床組立て用パネル1,2を用いた床構造は、柔軟性のある第二の貼着剤4が、パネル本体1a,2a相互間に設けられた間隙5にも充填されることで、万一パネル本体1a,2aと被覆材1b,2bとの間に水が浸入したとしても、柔軟性のある貼着剤4によって止水されるので、第一のパネル1と第二のパネル2相互間の防水が確実となる。
【0044】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図、図5は、図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【0045】
図4に示す床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端部と、その上方に位置する第一のパネル1の被覆材1bが、第二の貼着剤4で貼着されたもので、換言すれば、第二の貼着剤4を塗布する領域が、第一のパネル1側に寸法E1の分だけ延長されたものである。
【0046】
この延長寸法E1(即ち、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端から第一のパネル本体1aに塗布されている第一の貼着剤3までの距離)は、10〜200mm程度に設定することが好ましく、この範囲で第二の貼着剤4を塗布する領域を延長すると、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の両側に、柔軟性のある第二の貼着剤4の層が形成されるので、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wが変動する際に発生する伸縮応力が間隙5の両側に分散し、応力緩和効果が更に向上して、被覆材1bに悪影響を及ぼすことがなくなる。また、第二の貼着剤4は施工現場で塗布するものなので、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル1側に延長する(即ち、第一の貼着剤3の塗布領域が控除される)ことで、第一のパネル1の被覆材1bを捲り上げて第二の貼着剤4を塗布することが可能となり、パネル本体1a,2a相互間の間隙5にも容易に柔軟性のある第二の貼着剤4を充填することができるようになる。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図3に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0047】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル本体1aにまで延長することで、前述した伸縮応力の分散による被覆材1bの膨れや破損等の防止効果がより顕著となる。
【0048】
次に、本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法を説明する。
【0049】
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、以下の手順で形成することができる。まず、図5の(a)に示すように、第一の貼着剤3を第一のパネル本体1aの表面に塗布して、延設寸法Eの分だけ第二のパネル2側に延設された被覆材1bを貼着して第一のパネル1を作製する。この際、前述したように、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端から延長寸法E1の領域は第一の貼着剤3を塗布するのを控えておく。そして、第二のパネル本体2aは控除寸法Sの分だけ控除された被覆材2bを第一の貼着剤3によって貼着して第二のパネル2を作製しておく。次に、図5の(b)に示すように、パネル本体1a,2aの相互間に幅寸法Wの分だけ間隙5を設けて床組立て用パネル1,2を腕木8に固定し、パネル本体1a,2a表面の第一の貼着剤3が塗布されていない領域に第二の貼着剤4を塗布すると共に、パネル本体1a,2a相互間の間隙5にも第二の貼着剤4を充填し、図5の(c)に示すように、第一のパネル1の被覆材1bを、第二の貼着剤4が塗布された領域に貼着する。そして、図5の(d)に示すように、被覆材1b,2bの継目6をシール剤7によって封止することで、前述した優れた効果を奏する床組立て用パネルを用いた床構造が完成する。
尚、本実施形態では、継目6は予めV字状に切除されているが、シール剤7を充填して封止する直前にV字状の継目6を形成してもよいことは言うまでもない。
【0050】
また、上記図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、次に説明する床組立て用パネルセット10,2を用いると、より一層容易に形成することができる。
【0051】
即ち、この床組立て用パネルセット10,2は、図6に示すように、被覆材10bを第二のパネル2側に延設した第一のパネル10と、被覆材2bの第一のパネル10側の端を控除した第二のパネル2からなるもので、第一のパネル10の被覆材10bは、第二のパネル2の被覆材2bを控除した寸法Sに、第一のパネル10と第二のパネル2を並べた際に設けられるパネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wを加えた寸法よりも長くなるように形成されている。換言すれば、本実施形態の第一のパネル10の被覆材10bは、前述した実施形態の第一のパネル1の被覆材1bに、更に、延設寸法E2の分だけ延設されたもので、並べた際に第二のパネル2の被覆材2bの上に重なるようになっている。この延設寸法E2は、施工性を考慮すると、5〜150mm程度に設定するのが好ましい。
この床組立て用パネルセット10,2のその他の構造は、前述した図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造の床組立て用パネル1,2と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0052】
上記のような床組立て用パネルセット10,2を用いて床構造を形成するには、図7の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある双方の被覆材10b,2bを所望する継目予定形成箇所6aで切断具9によって切断し、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。この際、第二のパネル2の被覆材2bの切断片は第一の貼着剤3によって第二のパネル本体2aに貼着されているので、スクレーパーなどの剥離具を用いて第一の貼着剤3と共にパネル本体表面から取り除く必要がある。そして、図7の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)に塗布すると共に、パネル本体1a,2aの間隙5に第二の貼着剤4を充填し、第一のパネル10の被覆材10bを第二の貼着剤4の塗布領域(第一のパネル本体1a及び第二のパネル本体2a)に貼着し、最後に双方の被覆材10b,2bが向かい合った新たな継目6を、シール剤7によって封止することで完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図5に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0053】
上記のような床組立て用パネルセット10,2とそれを用いた床構造の形成方法は、第一のパネル10の被覆材10bを、前述した第一のパネル1の被覆材1bよりも延設寸法E2の分だけ更に延設することで、間隙5を設けて腕木8に固定した際に、第一のパネル10の被覆材10bの更に延設した部分が、第二のパネル2の被覆材2bと重なることになる。この被覆材10b,2bの重なり部分をカッター等の切断具9で切断して切除することで、被覆材10b,2bの端をピッタリと合致させることができ、きれいに継目6を処理することができるようになり、良好な防水性を確保することができる。また、このような床組立て用パネルセット10,2を用いて床構造を形成すると、床組立て用パネルセット10,2のパネルの組立て誤差や、被覆材10b,2bのパネル本体1a,2aへの貼着誤差があっても、被覆材10b,2bを切断する際にその誤差を調整することができるので施工性が極めてよい。
この点につき、逆説的に補足すると、前述した実施形態の床組立て用パネル1,2では、被覆材1bの延設寸法Eを床組立て用パネル1,2の組立て計画通りに設定していた場合においても、パネル1,2の組立て誤差等によって被覆材1b,2bの端縁間に隙間が生じることがあり、そのような時には被覆材1b,2bの端縁同士の封止が適切にできず被覆材1b,2bとパネル本体1a,2a間に雨水等が浸入する恐れがある。そのため、床組立て用パネル1,2を再度組立て直したり、被覆材1b,2b端縁の隙間に幅の狭い別の被覆材を用いて隙間を塞ぐ必要があるので、施工に慎重さと手間を要することになるのである。床組立て用パネルセット10,2を用いた本実施形態は、上記の不具合を解消することができ、極めて好ましいものといえる。
【0054】
図8は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0055】
この図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル本体1a表面の第二のパネル2側の端部と、その上方に位置する第一のパネル1の被覆材1bが第二の貼着剤4で貼着されていると共に、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体2aが、第二の貼着剤4で貼着されているものである。即ち、第二の貼着剤4を塗布する領域が、第一のパネル1側に延長寸法E1の分だけ延長されていると共に、第一のパネル1の被覆材1bと第二のパネル2の被覆材2bとの継目6よりも第二のパネル2側に延長寸法E3の分だけ延長されている。
【0056】
被覆材1b,2bの継目6から第二のパネル本体2aに塗布されている第一の貼着剤3までの距離である上記延長寸法E3は、10〜200mm程度の範囲に設定されていることが好ましく、この範囲で第二の貼着剤4を塗布する領域を延長すると、寒暖差による熱伸縮等によってパネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wが変動し、例えば、第一のパネル1の延設された被覆材1bがパネル本体1a,2a相互間の間隙5の方向へ引っ張られるような状況となっても、第二のパネル2の控えられた被覆材2bの端部でも応力を分散させることができるので、継目6のシール剤7への引張応力の負荷を低減し、比較的強度の弱い継目6が破損することがなくなる。また、第二のパネル2の被覆材2bを捲り上げて第二の貼着剤4の塗布が容易となり、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤4が被覆材2bの表面に付着してしまうことがなくなるので、施工性が高い。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0057】
上記図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル本体1aと、第二のパネル2の被覆材2bにまでそれぞれ延長することで、前述した伸縮応力の分散による被覆材1b,2bの膨れや破損等の防止効果がより一層顕著となる。
【0058】
図9は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0059】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、図9に示すように、第一のパネル本体1a表面の第二のパネル2側の上端辺と、第二のパネル本体2a表面の第一のパネル1側の上端辺に切面が設けられて、凹部1cが形成されたものである。この凹部1cは、互いに向かい合うパネル本体1a,2aの表面端部を、面取りしたりアール加工したり、クランク状に屈曲して凹ますことで形成したもので、深さ2mm程度、幅2mm程度の範囲で切面を設けることで凹部1cを形成することが好ましい。この凹部1cは、パネル本体1a,2aのどちらか一方に設けることでも作用効果を奏するものであるが、凹部1cが第二の貼着剤4の貼着剤溜まりとなるので、双方のパネル本体1a,2aを切欠いて凹部1cを形成することがより好ましい。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0060】
上記のような凹部1cが形成されたパネル本体1a,2aを用いた床構造は、パネル本体1a,2aに第二の貼着剤4を塗布すると、自然と第二の貼着剤4がパネル本体1a,2a相互間の間隙5に充填され、容易に防水処理を行うことができるようになる。しかも、凹部1cにも第二の貼着剤4が充填されることで、第二の貼着剤4を塗布する層の厚みが増し、第二の貼着剤4の層が破損しにくくなるので、防水性がより一層向上する、といった顕著な効果を奏する。
【0061】
また、図9に示す実施形態の床構造は、前述した図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセット10,2を用いても形成することができる。
【0062】
即ち、図9に示す床構造を形成するには、図10の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある双方の被覆材10b,2bを所望する継目予定形成箇所6aで切断具9によって切断し、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。この際、前述した図7に示す実施形態とは異なり、第二のパネル2の被覆材2bの端部(延長寸法E3の部分)は、第一の貼着剤3によって貼着されていないので、第二の貼着剤4の塗布領域(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)に継目予定形成箇所6aが位置するようにすれば、スクレーパーなどの剥離具が不要となって施工性がより向上する。次に、図10の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面に塗布すると共に、パネル本体1a,2aの間隙5と凹部1cに第二の貼着剤4を充填する。この際、前述した図7に示す実施形態とは異なり、第二のパネル2の被覆材2bの下方(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)にも第二の貼着剤4を塗布することに留意する。そして、第一のパネル10の被覆材10bを第二の貼着剤4の塗布領域に貼着すると共に、第二のパネル2の被覆材2bを第二の貼着剤4の塗布領域に貼着し、最後に双方の被覆材10b,2bが突き合わされた新たな継目6を、シール剤7によって封止することで完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図7に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0063】
上記方法で図9に示す床組立て用パネルを用いた床構造を形成すると、第二のパネル2の被覆材2bを捲り上げて第二の貼着剤4を塗布することが可能となり、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤4が被覆材2bの表面に付着してしまうことがなくなるので、容易に継目6のシール剤7への引張応力の負荷を低減し、比較的強度の弱い継目6が破損する心配のない床構造を形成することができて、施工性が極めて高い。
【0064】
図11は本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図、図12は同床構造を図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセットを用いて形成する方法を示す説明図である。
【0065】
この実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル1の被覆材1bを第二のパネル2側に延設し、それと共に第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端を控除した際に、第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁との間に所定の隙間Cを形成したものである。換言すれば、第一のパネルの被覆材1bの延設寸法Eに双方の被覆材1b,2b端縁の隙間Cを加えた寸法から、間隙5の幅寸法Wを差し引いた分だけ、第二のパネル2の被覆材2bを控除したものである。そして、被覆材1b,2b端縁の隙間Cに、前述したシール剤7に代わって柔軟性のある第二の貼着剤4を充填している。
尚、隙間Cに充填する第二の貼着剤4は、予めパネル本体1a表面に第二の貼着剤4を塗布する際に、適量より多く塗布し、被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着して余分の第二の貼着剤4を溢れさせて隙間Cに充填させてもよく、被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着した後に、別途、隙間Cに充填してもよい。
【0066】
上記第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁との間に形成される隙間Cの幅寸法W1は、1〜10mm程度(更に好ましくは2〜5mm程度)に設定することが好ましい。この幅寸法W1が1mmよりも小さいと、第二の貼着剤4の充填量が不充分で、被覆材1b,2bの端縁が捲くれ上がる恐れが生じるし、幅寸法W1が10mmよりも大きいと、相当量の第二の貼着剤4が必要となりコストが嵩んでしまうといった問題が生じるので、隙間Cの幅寸法W1は、上記の範囲内に設定することが好ましい。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図9に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0067】
このような床組立て用パネルを用いた床構造は、前述した図9に示す床構造の効果に加えて、隙間Cに充填された第二の貼着剤4によっても、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wの変動により発生する伸縮応力を緩和するので、パネル本体1a,2a相互間の間隙5上の被覆材1b,2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止するのは勿論のこと、双方の被覆材1b,2b端縁に膨れが生じたりする心配がなくなり、より一層防水性が向上する。
【0068】
上記の床組立て用パネルを用いた床構造も、前述した図6に示す床組立て用パネルセット10,2を用いて形成することができる。
【0069】
即ち、図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセット10,2を用いて上記床構造を形成するには、図12の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネル1の被覆材1bと第二のパネル2の被覆材2bを、所定の隙間幅寸法W1を開けて2箇所切断し、双方の被覆材1b,2b端縁の間に所定の隙間Cを形成して、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。次に、図12の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの間隙5と凹部1cに充填し、パネル本体1a,2aの表面に第二の貼着剤4を塗布して、第一のパネル10の被覆材10bと第二のパネル2の被覆材2bを貼着する。そして、双方の被覆材1b,2bの端縁の隙間Cに第二の貼着剤4を充填することで、図11に示す床組立て用パネルを用いた床構造が完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図10に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0070】
上記の方法で床組立て用パネルを用いた床構造を形成する際に、予め適量より多く(つまり、隙間Cに充填させるための第二の充填剤4を見越した量)の第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面に塗布し、双方の被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに押し付けて貼着することで、自然と第二の貼着剤4が双方の被覆材1b,2bの端縁の隙間Cに充填されることになるので、防水性の高い床構造を極めて簡単に形成することができる。
尚、隙間Cから食み出した第二の貼着剤4はあとから拭き取るなどして取り除けばよいことはいうまでもない。
【0071】
以上、図1から図12まで、種々の実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造を詳述してきたが、どの実施形態の床構造であっても、被覆材1b(10b),2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生したりするのを防止することができるものなので、バルコニーの形状などを考慮した上で、任意に選択すればよい。
【符号の説明】
【0072】
1,10 床組立て用パネル(第一のパネル)
1a 第一のパネル本体
1b,10b 被覆材
1c 凹部
2 床組立て用パネル(第二のパネル)
2a 第二のパネル本体
2b 被覆材
3 第一の貼着剤
4 第二の貼着剤
5 間隙
6 継目
6a 継目予定形成箇所
7 シール剤
8 腕木
9 切断具
C 隙間
E 第一のパネルの被覆材を延設した寸法
E1 第二の貼着剤塗布領域の延長寸法(第一のパネル側)
E2 延設された第一のパネルの被覆材を更に延設した寸法
E3 第二の貼着剤塗布領域の延長寸法(第二のパネル側)
S 第二のパネルの被覆材を控除した寸法
W 間隙幅寸法
W1 隙間幅寸法
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にバルコニーなどの床として設置される床組立て用パネルを用いた床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などのバルコニーの床は、工場で床パネルを製造し、現場で床パネルを組立てながら躯体と固定することで形成されることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め防水シートをパネル本体に貼付した床パネル間に、防水シートの厚みだけパネル本体よりも厚みが薄い連結用床パネルを挟んで床パネルと連結し、パネル本体に貼付した防水シートを、パネル本体の端部よりも連結用床パネル側にそれぞれ延出した防水床の構造が開示されている。
【0004】
かかる防水床の構造は、連結用床パネルの上面において、延出された2枚の防水シートを重ね合わせることで、防水床の表面を段差なく略平滑にすることができるので、意匠性が良好であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−327527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のような床構造であると、寒暖差によってパネル本体が伸縮した場合、防水シートのうち、床パネル間(床パネルと連結用床パネルの間)の真上に位置する部分のみに過大な伸縮応力が集中し、この部分の防水シートに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生する恐れがあった。このように防水シートに亀裂等の破損が生じると、パネル本体と防水シートの間に水が浸入し、パネル本体とパネル本体の間から水が下方に漏れ出す危険性がある。また、厚みの薄い連結用床パネルを製造するのに別途工場のラインが必要となってコストが嵩み、バルコニーに床を設置する際も、床パネルや連結用床パネルの寸法調整が難しくなる、という問題もあった。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、床組立て用パネル間の真上に位置する被覆材のみに伸縮応力を集中させないことで、被覆材の膨れや破損を防止し、意匠性及び防水性が高く、且つ、組立ても容易な床組立て用パネルを用いた床構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁を突き合わせ、少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁とを突き合わせた継目部分をシール又は溶接したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造は、パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との隙間に第二の貼着剤を充填したことを特徴とするものである。
【0010】
上記の床組立て用パネルを用いた床構造においては、上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されていることが好ましい。また、上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されていることが好ましく、上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられていることがより好ましい。
【0011】
次に、本発明の床組立て用パネルセットは、第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除した床組立て用パネルセットであって、上記第一のパネルの被覆材を延設した寸法が、第二のパネルの被覆材を控除した寸法に、第一のパネルと第二のパネルを並べた際に設けられるパネル本体相互間の間隙の幅寸法を加えた寸法よりも長いことを特徴とするものである。
【0012】
そして、本発明の床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法は、上記の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材を所望の継目形成箇所で切断して双方の被覆材端縁を突き合わせ、柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、上記双方の被覆材端縁を突き合わせた新たな継目部分をシール又は溶接することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法は、上記の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材とを切断して双方の被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、上記双方の被覆材端縁の隙間に第二の貼着剤を充填することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の床組立て用パネルを用いた床構造は、少なくとも第一のパネルの被覆材を延設した部分が柔軟性のある貼着剤で第二のパネル本体の表面に貼着されているため、パネル本体相互間の間隙が寒暖差により伸縮し、その間隙距離が変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤と、その第二の貼着剤によって貼着された被覆材の当該領域全体に分散し、パネル本体相互間の間隙の真上に位置する被覆材のみに集中することがないので、パネル本体相互間の間隙上の被覆材に膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止することができる。このように、被覆材の膨れや破損を防止することで、意匠性や防水性が良好となり、厚みの異なるパネルを別途製造することが不要となるため、経済性や施工性の面でも好ましい。
【0015】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルを用いた床構造も、少なくとも第一のパネルの被覆材を延設した部分が柔軟性のある貼着剤で第二のパネル本体の表面に貼着されているため、パネル本体相互間の間隙が寒暖差により伸縮し、その間隙距離が変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤と、その第二の貼着剤によって貼着された被覆材の当該領域全体に分散し、パネル本体相互間の間隙の真上に位置する被覆材のみに集中することがないので、パネル本体相互間の間隙上の被覆材に膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止することができる。また、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、その隙間に第二の貼着剤を充填することで、この隙間部分に充填された第二の貼着剤によっても伸縮応力が分散されるので、双方の被覆材端縁に膨れが生じたりする心配がなくなり、より一層防水性が向上する。
【0016】
また、上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されている床組立て用パネルを用いた床構造は、柔軟性のある第二の貼着剤が、パネル本体相互間に設けられた間隙に充填されることで、万一パネル本体と被覆材との間に水が浸入したとしても、柔軟性のある貼着剤によって止水されるので、第一のパネルと第二のパネル相互間の防水が確実となる。
【0017】
特に、上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されている床構造のように、第二の貼着剤を塗布する領域を、第一のパネル本体の第二のパネル側、又は/及び、第二のパネルの被覆材端部にまで増やすことで、前述した伸縮応力の分散による被覆材の膨れや破損等の防止効果がより顕著となる。また、第二の貼着剤は、施工時に塗布するものなので、第一のパネル本体に第二の貼着剤を塗布するときは、第一のパネルの被覆材を捲り上げることで、パネル本体相互間の間隙に柔軟性のある第二の貼着剤を容易に充填することができるようになるし、第二のパネルの被覆材端部に第二の貼着剤を塗布するときは、第二のパネルの被覆材を捲り上げることで、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤が被覆材の表面に付着してしまうことがなくなるので、施工性が高い。
【0018】
更に、上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられている床構造は、パネル本体上に第二の貼着剤を塗布すると、自然と第二の貼着剤がパネル本体相互間の間隙に充填され、容易に防水処理を行うことができるようになる。しかも、切面と隣接するパネル本体の端面とで形成された凹部にも第二の貼着剤が充填されることで、第二の貼着剤を塗布する層の厚みが増し、第二の貼着剤の層が破損しにくくなるので、防水性がより一層向上する。
【0019】
次に、本発明の床組立て用パネルセットは、第一のパネルの被覆材を、第二のパネルの被覆材の控除した寸法に、パネル本体相互間の間隙寸法を加えた寸法分よりも延設することで、床組立て用パネルセットを一定の間隙を設けて躯体と固定すると、第一のパネルの延設した端部分が、第二のパネルの控除された被覆材の端部分と重なることになる。この被覆材同士の重なり部分をカッター等の切断具で切断して切除することで、被覆材同士の端をピッタリと合致させることができ、きれいに継目処理することができるようになり、防水性を確保することができる。また、このような床組立て用パネルセットを用いることで、パネルの組立て誤差や被覆材のパネル本体への貼着誤差があっても、被覆材同士を切断する際にその誤差を調整することが可能となり、施工性がよい。
【0020】
そして、本発明の床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法は、上記床組立て用パネルセットを用いることで、きれいに継目処理ができるようになり、被覆材の膨れや破損を防止できるのは勿論のこと、防水性や意匠性に優れる床組立て用パネルを用いた床構造を、簡単に形成することができるようになる。
【0021】
また、本発明のもう一つの床組立て用パネルセットを用いた床構造の形成方法も、上記の床構造の形成方法と同様に、被覆材の膨れや破損を防止する床組立て用パネルを用いた床構造を簡単に形成することができる。更に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、その隙間に第二の貼着剤を充填すると、この隙間部分に充填された第二の貼着剤によっても伸縮応力が分散されて、双方の被覆材端縁に膨れが生じたりする心配がなくなるので、非常に防水性の良好な床構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造を示す部分断面図である。
【図2】同床構造の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図5】図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る床組立て用パネルセットを示す部分断面図である。
【図7】同床組立て用パネルセットを用いて図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図10】図6に示す床組立て用パネルセットを用いて図9に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【図12】図6に示す床組立て用パネルセットを用いて図11に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0024】
図1、図2に示す本発明の床組立て用パネルを用いた床構造は、主にバルコニーなどの床として設置される床組立て用パネル1,2を用いた構造体であって、第一のパネル1のパネル本体1aと第二のパネル2のパネル本体2aとの相互間に間隙5を設けて並べられて、躯体の腕木8に固定されている。この第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの相互間の間隙5の幅寸法Wは0.5〜3mm程度とするのが好ましく、このように、パネル本体1a,2aの相互間に間隙5を設けて腕木8と固定することで、寒暖差によってパネル本体1a,2aや腕木8が熱伸縮しても、パネル本体1a,2a同士が突き上げられたり、破損したりするのを防止することができる。
尚、第一のパネル1と第二のパネル2は、ボルト・ナットやビス等の公知の固定手段で腕木8と固定されている。
【0025】
上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの表面には、図1、図2に示すように、軟質の被覆材1b,2bが第一の貼着剤3によってそれぞれ貼着されており、この第一のパネル1の被覆材1bが第二のパネル2側に延設されている。また、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端は、上記第一のパネル1の被覆材1bの延設寸法Eからパネル本体1a,2a相互間に設けられた間隙5の幅寸法Wを引いた寸法Sの分だけ控除されている。寒暖差によるパネル本体1a,2aの熱伸縮による伸縮応力分散の観点から、この第一のパネル1の被覆材1bの延設寸法Eは50〜300mm程度に設定することが好ましく、従って、第二のパネル2の被覆材2bを控除した寸法Sは、間隙5の幅寸法Wが、上記のように0.5〜3mm程度であるので、その分を差し引いた寸法に設定される。
【0026】
上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aは同種のもので、木質合板製、金属製又はコンクリート若しくは鉄筋コンクリート製、或いは上記材質の板体を積層した偏平な板体であり、中空部を形成して軽量化すると共に、強度を向上させたものが好適に用いられ、本実施形態では、メッキ鋼板製のパネルが用いられている。このパネル本体1a,2aには、腕木8に固定するために公知の固定部(不図示)が形成されており、前述したように、ボルト・ナットやビス等の公知の固定手段で腕木8に固定されている。
【0027】
また、上記第一のパネル本体1aと第二のパネル本体2aの表面に貼着されている被覆材1b,2bも同種のもので、軟質塩化ビニル樹脂又はオレフィン樹脂などの合成樹脂、ゴムなどで形成され、巻き取りや捲り上げができる程度に柔軟で、厚みが1〜3mm程度の長尺シートが好適に用いられる。この被覆材1b,2bは、予め工場で第一の貼着剤3によってパネル本体1a,2aに貼着されて出荷される。
【0028】
被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着する第一の貼着剤3は、強固に被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aを貼着するため、貼着後に硬化反応や溶剤が揮散して固くなるものが用いられる。例えば、一液湿気反応型ウレタン系接着剤、二液混合タイプの反応型エポキシ系接着剤、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤、溶剤揮散型ゴム系接着剤などが該当するが、使い勝手がよく、強固に被覆材とパネル本体を貼着できる一液湿気反応型ウレタン系接着剤が特に好適に用いられる。この第一の貼着剤3をパネル本体1a,2aの表面に塗布するときは、貼着剤3の目付け量を適切なものとし、また、第一の貼着剤3から発生する反応ガスや第一の貼着剤3に含有する溶剤ガスの圧力を逃がして、被覆材1b,2bの表面に膨れが発生することを防止する目的から、櫛目ゴテ(不図示)を用いて第一の貼着剤3を櫛目状に塗布することが好ましい。
【0029】
図2に示すように、上記第一の貼着剤3で第一のパネル本体1aに貼着されている被覆材1bの、延設されて第二のパネル本体2aの上に位置する領域は、第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4によって、第二のパネル本体2aに貼着されている。
【0030】
この第一の貼着剤3よりも柔軟性のある第二の貼着剤4は、50%引張応力(50%モジュラス)が0.1〜1.5N/mm2、好ましくは0.1〜0.75N/mm2(本実施形態の第二の貼着剤4は、0.2N/mm2、)引張破断伸び率が50〜1000%程度、好ましくは300〜800%(本実施形態の第二の貼着剤4は、650%)のものが用いられ、この条件には、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤、一液湿気反応型ウレタン系接着剤、ポリサルファイド系接着剤のような柔軟性のある貼着剤などが合致し、本実施形態では、一液湿気反応型変成シリコーン系接着剤が第二の貼着剤4として用いられている。
【0031】
上記50%引張応力(50%モジュラス)は、第二の貼着剤4と非接着性の平板上に、中央部を矩形に切り除いた2mm厚のスペーサーを置いて、矩形の切り除いた部分に第二の貼着剤4を流し込み、均し具をスペーサー上でスライドさせて不要な第二の貼着剤4を取り除き、そのまま、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で1日間養生し、スペーサー、平板を除去して2mm厚の第二の貼着剤4のシートを作製する。そして、貼着剤シートから切り抜いてJIS K 6251で規定するダンベル状1号形の引張試験サンプルを作製し、このサンプルを引張試験機で引張試験し(引張速度:100mm/分)、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で、JIS A 1439に準じて50%引張応力を測定した。
【0032】
また、上記引張破断伸び率は、上記サンプルを引張試験機で引張試験し(引張速度:100mm/分)、温度20±3℃、湿度50±10%の環境下で、JIS K 6251に従って引張破断伸び率を測定した。
【0033】
このような特性を有する柔軟な第二の貼着剤4は、略均一な厚みで塗布(所謂ベタ塗り)されており、このように第二の貼着剤4を塗布すると、継目6のシール剤7が破損して、被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aとの間に水が浸入しても、水路がないため防水性が高い。
【0034】
また、予め被覆材1b,2bを貼着するための第一の貼着剤3の塗布時と同じ理由で、櫛目ゴテを用いて第二の貼着剤4を塗布してもよいが、このとき、万一防水処理した被覆材1b,2bの継目6のシール剤7が破損して水が浸入した場合、櫛目ゴテで形成される櫛目の凹条が水路となって、水が被覆材1b,2bとパネル本体1a,2aの間に広がる恐れがあるため、櫛目の方向は継目6と平行に塗布することが好ましい。このように、櫛目ゴテを用いて第二の貼着剤4を塗布すると、櫛目ゴテで形成した櫛目凸条が左右に倒れるように変形して応力を分散させるので、被覆材1bの保護の観点からも好ましい。
【0035】
上記特性を有する柔軟性のある第二の貼着剤4によって、第一のパネル1の被覆材1bの延設部分を第二のパネル本体2aに貼着すると、寒暖差による熱伸縮等によってパネル本体1a,2aの間隙5の幅寸法Wが変動しても、その際に発生する伸縮応力が、柔軟性のある第二の貼着剤4と、その第二の貼着剤4によって貼着された被覆材1bの当該塗布領域全体に分散されて、間隙5の真上に位置する被覆材1bのみに伸縮応力が集中することがなく、パネル本体1a,2a相互間の間隙5上の被覆材1bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生したりする心配がなくなる。
【0036】
図2に示すように、上記の第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁は、それらを突き合わせた際の継目6がV字状となるように切除されている。そして、被覆材1b,2bの継目6は、シール剤7によって封止されている。
【0037】
上記被覆材1b,2bの継目6を封止するシール剤7は、一液湿気反応型変成シリコーン系充填剤、二液混合型エポキシ系充填剤などの充填剤、または被覆材1b,2bと相溶性のある樹脂(被覆材1b,2bが塩化ビニル樹脂であれば、塩化ビニル樹脂)を溶剤で溶解させたシール液であって、このシール剤7を継目6に充填することで、被覆材1b,2bの継目6が防水処理されると共に、被覆材1b,2bの端が捲くれ上がるといった不具合を防止することができる。被覆材1b,2bの継目6を封止する際に、継目6から食み出した余分なシール剤7はウエス等で除去したり、予め被覆材1b,2bの端縁にマスキングを施しておいてから、シール剤7を継目6に充填し、充填後にマスキングを剥がして不要なシール剤7を除去してもよい。
【0038】
尚、被覆材1b,2bの継目6は、上記のようにシール剤7で封止する他にも、溶接によって封止することができる。被覆材1b,2bの継目6の溶接は、熱風等の熱を継目6に照射して当該継目6部分の被覆材1b,2bを溶融しながら、被覆材1b,2bと相溶性のある塩化ビニル樹脂などの溶接棒を溶融しながらV字状に形成した継目6に充填することにより行われる。この際、食み出して不要となった溶接樹脂はカッター等で除去すればよい。
【0039】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、2つの床組立て用パネル1,2を用いたものであるが、床組立て用パネルは2つのみでなく、更に数を増やして組立てすることができる。その場合は、第一のパネル1と第二のパネル2との関係を第二のパネル2と第三のパネル(不図示)との関係におくことで対応することができる。また、第一のパネル1と第二のパネル2との関係を、第三のパネルと第二のパネル2との関係におくこともできる。即ち、延設された被覆材1bのある第一のパネル1を順繰りに並べて組立ててもよいし、それとは別に一つのパネルの両側の被覆材を控えて設けてもよいし、逆に両側に延設された被覆材を設けてもよい。
【0040】
以上のような構成の床組立て用パネルを用いた床構造の効果確認試験を行った。この効果確認試験は、0.68m×1.8mのメッキ鋼板製のパネル本体1a,2aを長手つかいにした床組立て用パネル1,2を用いて、気温5℃の環境下で組立てて1日間養生したのち、気温を50℃で1日間放置する。次に、5℃で1日間放置したのち、50℃で1日間放置する。このサイクル試験を5サイクル行ったが、被覆材1b,2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するなどの異常は見られなかった。
【0041】
図3は、本発明の他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0042】
この実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、上記柔軟性のある第二の貼着剤4を、第一のパネル1と第二のパネル2との間隙6にも充填したものである。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図1、図2に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0043】
以上のような床組立て用パネル1,2を用いた床構造は、柔軟性のある第二の貼着剤4が、パネル本体1a,2a相互間に設けられた間隙5にも充填されることで、万一パネル本体1a,2aと被覆材1b,2bとの間に水が浸入したとしても、柔軟性のある貼着剤4によって止水されるので、第一のパネル1と第二のパネル2相互間の防水が確実となる。
【0044】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図、図5は、図4に示す床構造の形成方法を示す説明図である。
【0045】
図4に示す床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端部と、その上方に位置する第一のパネル1の被覆材1bが、第二の貼着剤4で貼着されたもので、換言すれば、第二の貼着剤4を塗布する領域が、第一のパネル1側に寸法E1の分だけ延長されたものである。
【0046】
この延長寸法E1(即ち、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端から第一のパネル本体1aに塗布されている第一の貼着剤3までの距離)は、10〜200mm程度に設定することが好ましく、この範囲で第二の貼着剤4を塗布する領域を延長すると、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の両側に、柔軟性のある第二の貼着剤4の層が形成されるので、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wが変動する際に発生する伸縮応力が間隙5の両側に分散し、応力緩和効果が更に向上して、被覆材1bに悪影響を及ぼすことがなくなる。また、第二の貼着剤4は施工現場で塗布するものなので、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル1側に延長する(即ち、第一の貼着剤3の塗布領域が控除される)ことで、第一のパネル1の被覆材1bを捲り上げて第二の貼着剤4を塗布することが可能となり、パネル本体1a,2a相互間の間隙5にも容易に柔軟性のある第二の貼着剤4を充填することができるようになる。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図3に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0047】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル本体1aにまで延長することで、前述した伸縮応力の分散による被覆材1bの膨れや破損等の防止効果がより顕著となる。
【0048】
次に、本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法を説明する。
【0049】
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、以下の手順で形成することができる。まず、図5の(a)に示すように、第一の貼着剤3を第一のパネル本体1aの表面に塗布して、延設寸法Eの分だけ第二のパネル2側に延設された被覆材1bを貼着して第一のパネル1を作製する。この際、前述したように、第一のパネル本体1aの第二のパネル2側の端から延長寸法E1の領域は第一の貼着剤3を塗布するのを控えておく。そして、第二のパネル本体2aは控除寸法Sの分だけ控除された被覆材2bを第一の貼着剤3によって貼着して第二のパネル2を作製しておく。次に、図5の(b)に示すように、パネル本体1a,2aの相互間に幅寸法Wの分だけ間隙5を設けて床組立て用パネル1,2を腕木8に固定し、パネル本体1a,2a表面の第一の貼着剤3が塗布されていない領域に第二の貼着剤4を塗布すると共に、パネル本体1a,2a相互間の間隙5にも第二の貼着剤4を充填し、図5の(c)に示すように、第一のパネル1の被覆材1bを、第二の貼着剤4が塗布された領域に貼着する。そして、図5の(d)に示すように、被覆材1b,2bの継目6をシール剤7によって封止することで、前述した優れた効果を奏する床組立て用パネルを用いた床構造が完成する。
尚、本実施形態では、継目6は予めV字状に切除されているが、シール剤7を充填して封止する直前にV字状の継目6を形成してもよいことは言うまでもない。
【0050】
また、上記図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、次に説明する床組立て用パネルセット10,2を用いると、より一層容易に形成することができる。
【0051】
即ち、この床組立て用パネルセット10,2は、図6に示すように、被覆材10bを第二のパネル2側に延設した第一のパネル10と、被覆材2bの第一のパネル10側の端を控除した第二のパネル2からなるもので、第一のパネル10の被覆材10bは、第二のパネル2の被覆材2bを控除した寸法Sに、第一のパネル10と第二のパネル2を並べた際に設けられるパネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wを加えた寸法よりも長くなるように形成されている。換言すれば、本実施形態の第一のパネル10の被覆材10bは、前述した実施形態の第一のパネル1の被覆材1bに、更に、延設寸法E2の分だけ延設されたもので、並べた際に第二のパネル2の被覆材2bの上に重なるようになっている。この延設寸法E2は、施工性を考慮すると、5〜150mm程度に設定するのが好ましい。
この床組立て用パネルセット10,2のその他の構造は、前述した図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造の床組立て用パネル1,2と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0052】
上記のような床組立て用パネルセット10,2を用いて床構造を形成するには、図7の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある双方の被覆材10b,2bを所望する継目予定形成箇所6aで切断具9によって切断し、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。この際、第二のパネル2の被覆材2bの切断片は第一の貼着剤3によって第二のパネル本体2aに貼着されているので、スクレーパーなどの剥離具を用いて第一の貼着剤3と共にパネル本体表面から取り除く必要がある。そして、図7の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)に塗布すると共に、パネル本体1a,2aの間隙5に第二の貼着剤4を充填し、第一のパネル10の被覆材10bを第二の貼着剤4の塗布領域(第一のパネル本体1a及び第二のパネル本体2a)に貼着し、最後に双方の被覆材10b,2bが向かい合った新たな継目6を、シール剤7によって封止することで完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図5に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0053】
上記のような床組立て用パネルセット10,2とそれを用いた床構造の形成方法は、第一のパネル10の被覆材10bを、前述した第一のパネル1の被覆材1bよりも延設寸法E2の分だけ更に延設することで、間隙5を設けて腕木8に固定した際に、第一のパネル10の被覆材10bの更に延設した部分が、第二のパネル2の被覆材2bと重なることになる。この被覆材10b,2bの重なり部分をカッター等の切断具9で切断して切除することで、被覆材10b,2bの端をピッタリと合致させることができ、きれいに継目6を処理することができるようになり、良好な防水性を確保することができる。また、このような床組立て用パネルセット10,2を用いて床構造を形成すると、床組立て用パネルセット10,2のパネルの組立て誤差や、被覆材10b,2bのパネル本体1a,2aへの貼着誤差があっても、被覆材10b,2bを切断する際にその誤差を調整することができるので施工性が極めてよい。
この点につき、逆説的に補足すると、前述した実施形態の床組立て用パネル1,2では、被覆材1bの延設寸法Eを床組立て用パネル1,2の組立て計画通りに設定していた場合においても、パネル1,2の組立て誤差等によって被覆材1b,2bの端縁間に隙間が生じることがあり、そのような時には被覆材1b,2bの端縁同士の封止が適切にできず被覆材1b,2bとパネル本体1a,2a間に雨水等が浸入する恐れがある。そのため、床組立て用パネル1,2を再度組立て直したり、被覆材1b,2b端縁の隙間に幅の狭い別の被覆材を用いて隙間を塞ぐ必要があるので、施工に慎重さと手間を要することになるのである。床組立て用パネルセット10,2を用いた本実施形態は、上記の不具合を解消することができ、極めて好ましいものといえる。
【0054】
図8は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0055】
この図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル本体1a表面の第二のパネル2側の端部と、その上方に位置する第一のパネル1の被覆材1bが第二の貼着剤4で貼着されていると共に、第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体2aが、第二の貼着剤4で貼着されているものである。即ち、第二の貼着剤4を塗布する領域が、第一のパネル1側に延長寸法E1の分だけ延長されていると共に、第一のパネル1の被覆材1bと第二のパネル2の被覆材2bとの継目6よりも第二のパネル2側に延長寸法E3の分だけ延長されている。
【0056】
被覆材1b,2bの継目6から第二のパネル本体2aに塗布されている第一の貼着剤3までの距離である上記延長寸法E3は、10〜200mm程度の範囲に設定されていることが好ましく、この範囲で第二の貼着剤4を塗布する領域を延長すると、寒暖差による熱伸縮等によってパネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wが変動し、例えば、第一のパネル1の延設された被覆材1bがパネル本体1a,2a相互間の間隙5の方向へ引っ張られるような状況となっても、第二のパネル2の控えられた被覆材2bの端部でも応力を分散させることができるので、継目6のシール剤7への引張応力の負荷を低減し、比較的強度の弱い継目6が破損することがなくなる。また、第二のパネル2の被覆材2bを捲り上げて第二の貼着剤4の塗布が容易となり、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤4が被覆材2bの表面に付着してしまうことがなくなるので、施工性が高い。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図4に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0057】
上記図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、第二の貼着剤4を塗布する領域を、第一のパネル本体1aと、第二のパネル2の被覆材2bにまでそれぞれ延長することで、前述した伸縮応力の分散による被覆材1b,2bの膨れや破損等の防止効果がより一層顕著となる。
【0058】
図9は、本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図である。
【0059】
本実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造は、図9に示すように、第一のパネル本体1a表面の第二のパネル2側の上端辺と、第二のパネル本体2a表面の第一のパネル1側の上端辺に切面が設けられて、凹部1cが形成されたものである。この凹部1cは、互いに向かい合うパネル本体1a,2aの表面端部を、面取りしたりアール加工したり、クランク状に屈曲して凹ますことで形成したもので、深さ2mm程度、幅2mm程度の範囲で切面を設けることで凹部1cを形成することが好ましい。この凹部1cは、パネル本体1a,2aのどちらか一方に設けることでも作用効果を奏するものであるが、凹部1cが第二の貼着剤4の貼着剤溜まりとなるので、双方のパネル本体1a,2aを切欠いて凹部1cを形成することがより好ましい。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図8に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0060】
上記のような凹部1cが形成されたパネル本体1a,2aを用いた床構造は、パネル本体1a,2aに第二の貼着剤4を塗布すると、自然と第二の貼着剤4がパネル本体1a,2a相互間の間隙5に充填され、容易に防水処理を行うことができるようになる。しかも、凹部1cにも第二の貼着剤4が充填されることで、第二の貼着剤4を塗布する層の厚みが増し、第二の貼着剤4の層が破損しにくくなるので、防水性がより一層向上する、といった顕著な効果を奏する。
【0061】
また、図9に示す実施形態の床構造は、前述した図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセット10,2を用いても形成することができる。
【0062】
即ち、図9に示す床構造を形成するには、図10の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある双方の被覆材10b,2bを所望する継目予定形成箇所6aで切断具9によって切断し、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。この際、前述した図7に示す実施形態とは異なり、第二のパネル2の被覆材2bの端部(延長寸法E3の部分)は、第一の貼着剤3によって貼着されていないので、第二の貼着剤4の塗布領域(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)に継目予定形成箇所6aが位置するようにすれば、スクレーパーなどの剥離具が不要となって施工性がより向上する。次に、図10の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面に塗布すると共に、パネル本体1a,2aの間隙5と凹部1cに第二の貼着剤4を充填する。この際、前述した図7に示す実施形態とは異なり、第二のパネル2の被覆材2bの下方(第一の貼着剤3が塗布されていない領域)にも第二の貼着剤4を塗布することに留意する。そして、第一のパネル10の被覆材10bを第二の貼着剤4の塗布領域に貼着すると共に、第二のパネル2の被覆材2bを第二の貼着剤4の塗布領域に貼着し、最後に双方の被覆材10b,2bが突き合わされた新たな継目6を、シール剤7によって封止することで完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図7に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0063】
上記方法で図9に示す床組立て用パネルを用いた床構造を形成すると、第二のパネル2の被覆材2bを捲り上げて第二の貼着剤4を塗布することが可能となり、マスキング等の処理をしなくても、第二の貼着剤4が被覆材2bの表面に付着してしまうことがなくなるので、容易に継目6のシール剤7への引張応力の負荷を低減し、比較的強度の弱い継目6が破損する心配のない床構造を形成することができて、施工性が極めて高い。
【0064】
図11は本発明の更に他の実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造の要部を示す断面図、図12は同床構造を図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセットを用いて形成する方法を示す説明図である。
【0065】
この実施形態に係る床組立て用パネルを用いた床構造は、第一のパネル1の被覆材1bを第二のパネル2側に延設し、それと共に第二のパネル2の被覆材2bの第一のパネル1側の端を控除した際に、第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁との間に所定の隙間Cを形成したものである。換言すれば、第一のパネルの被覆材1bの延設寸法Eに双方の被覆材1b,2b端縁の隙間Cを加えた寸法から、間隙5の幅寸法Wを差し引いた分だけ、第二のパネル2の被覆材2bを控除したものである。そして、被覆材1b,2b端縁の隙間Cに、前述したシール剤7に代わって柔軟性のある第二の貼着剤4を充填している。
尚、隙間Cに充填する第二の貼着剤4は、予めパネル本体1a表面に第二の貼着剤4を塗布する際に、適量より多く塗布し、被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着して余分の第二の貼着剤4を溢れさせて隙間Cに充填させてもよく、被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに貼着した後に、別途、隙間Cに充填してもよい。
【0066】
上記第一のパネル1の被覆材1b端縁と第二のパネル2の被覆材2b端縁との間に形成される隙間Cの幅寸法W1は、1〜10mm程度(更に好ましくは2〜5mm程度)に設定することが好ましい。この幅寸法W1が1mmよりも小さいと、第二の貼着剤4の充填量が不充分で、被覆材1b,2bの端縁が捲くれ上がる恐れが生じるし、幅寸法W1が10mmよりも大きいと、相当量の第二の貼着剤4が必要となりコストが嵩んでしまうといった問題が生じるので、隙間Cの幅寸法W1は、上記の範囲内に設定することが好ましい。
この実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造のその他の構造は、前述した図9に示す実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0067】
このような床組立て用パネルを用いた床構造は、前述した図9に示す床構造の効果に加えて、隙間Cに充填された第二の貼着剤4によっても、パネル本体1a,2a相互間の間隙5の幅寸法Wの変動により発生する伸縮応力を緩和するので、パネル本体1a,2a相互間の間隙5上の被覆材1b,2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生するのを防止するのは勿論のこと、双方の被覆材1b,2b端縁に膨れが生じたりする心配がなくなり、より一層防水性が向上する。
【0068】
上記の床組立て用パネルを用いた床構造も、前述した図6に示す床組立て用パネルセット10,2を用いて形成することができる。
【0069】
即ち、図6と同様に延設寸法E2を有する床組立て用パネルセット10,2を用いて上記床構造を形成するには、図12の(a),(b)に示すように、第一のパネル10と第二のパネル2を、パネル本体1a,2a相互間に間隙5を設けて腕木8と固定し、第二のパネル2の被覆材2bの上に第一のパネル10の被覆材10bを重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネル1の被覆材1bと第二のパネル2の被覆材2bを、所定の隙間幅寸法W1を開けて2箇所切断し、双方の被覆材1b,2b端縁の間に所定の隙間Cを形成して、双方の被覆材10b,2bから切断片を除去する。次に、図12の(c),(d)に示すように、柔軟性のある第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの間隙5と凹部1cに充填し、パネル本体1a,2aの表面に第二の貼着剤4を塗布して、第一のパネル10の被覆材10bと第二のパネル2の被覆材2bを貼着する。そして、双方の被覆材1b,2bの端縁の隙間Cに第二の貼着剤4を充填することで、図11に示す床組立て用パネルを用いた床構造が完成する。
この実施形態の床組立て用パネルセット10,2を用いた床構造の形成方法のその他の形成方法は、前述した図10に示す実施形態と同じであるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0070】
上記の方法で床組立て用パネルを用いた床構造を形成する際に、予め適量より多く(つまり、隙間Cに充填させるための第二の充填剤4を見越した量)の第二の貼着剤4をパネル本体1a,2aの表面に塗布し、双方の被覆材1b,2bをパネル本体1a,2aに押し付けて貼着することで、自然と第二の貼着剤4が双方の被覆材1b,2bの端縁の隙間Cに充填されることになるので、防水性の高い床構造を極めて簡単に形成することができる。
尚、隙間Cから食み出した第二の貼着剤4はあとから拭き取るなどして取り除けばよいことはいうまでもない。
【0071】
以上、図1から図12まで、種々の実施形態の床組立て用パネルを用いた床構造を詳述してきたが、どの実施形態の床構造であっても、被覆材1b(10b),2bに膨れが生じたり、白化や亀裂が発生したりするのを防止することができるものなので、バルコニーの形状などを考慮した上で、任意に選択すればよい。
【符号の説明】
【0072】
1,10 床組立て用パネル(第一のパネル)
1a 第一のパネル本体
1b,10b 被覆材
1c 凹部
2 床組立て用パネル(第二のパネル)
2a 第二のパネル本体
2b 被覆材
3 第一の貼着剤
4 第二の貼着剤
5 間隙
6 継目
6a 継目予定形成箇所
7 シール剤
8 腕木
9 切断具
C 隙間
E 第一のパネルの被覆材を延設した寸法
E1 第二の貼着剤塗布領域の延長寸法(第一のパネル側)
E2 延設された第一のパネルの被覆材を更に延設した寸法
E3 第二の貼着剤塗布領域の延長寸法(第二のパネル側)
S 第二のパネルの被覆材を控除した寸法
W 間隙幅寸法
W1 隙間幅寸法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁を突き合わせ、
少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁とを突き合わせた継目部分をシール又は溶接したことを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項2】
パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、
少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との隙間に第二の貼着剤を充填したことを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項3】
上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項4】
上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項5】
上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項6】
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除した床組立て用パネルセットであって、上記第一のパネルの被覆材を延設した寸法が、第二のパネルの被覆材を控除した寸法に、第一のパネルと第二のパネルを並べた際に設けられるパネル本体相互間の間隙の幅寸法を加えた寸法よりも長いことを特徴とする床組立て用パネルセット。
【請求項7】
請求項6に記載の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、
第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材を所望の継目形成箇所で切断して双方の被覆材端縁を突き合わせ、
柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、
上記双方の被覆材端縁を突き合わせた新たな継目部分をシール又は溶接することを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法。
【請求項8】
請求項6に記載の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、
第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材とを切断して双方の被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、
柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、
上記双方の被覆材端縁の隙間に第二の貼着剤を充填することを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法。
【請求項1】
パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁を突き合わせ、
少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁とを突き合わせた継目部分をシール又は溶接したことを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項2】
パネル本体の表面に軟質ないし半硬質の被覆材を第一の貼着剤で貼着した床組立て用パネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べた床構造であって、
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除して、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との間に所定の隙間を形成し、
少なくとも第一のパネルの延設された被覆材の第二のパネル本体上に位置する領域を、上記第一の貼着剤よりも柔軟性のある第二の貼着剤で第二のパネル本体に貼着すると共に、第一のパネルの被覆材端縁と第二のパネルの被覆材端縁との隙間に第二の貼着剤を充填したことを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項3】
上記第一のパネルと第二のパネルとの間隙に、第二の貼着剤が充填されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項4】
上記第一のパネル本体の第二のパネル側の端部と、その上方に位置する第一のパネルの被覆材が、又は/及び、上記第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端部と、その下方に位置する第二のパネル本体が、第二の貼着剤で貼着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項5】
上記第一のパネル本体表面の第二のパネル側の上端辺に、又は/及び、上記第二のパネル本体表面の第一のパネル側の上端辺に、切面が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の床組立て用パネルを用いた床構造。
【請求項6】
第一のパネルの被覆材を第二のパネル側に延設すると共に、第二のパネルの被覆材の第一のパネル側の端を控除した床組立て用パネルセットであって、上記第一のパネルの被覆材を延設した寸法が、第二のパネルの被覆材を控除した寸法に、第一のパネルと第二のパネルを並べた際に設けられるパネル本体相互間の間隙の幅寸法を加えた寸法よりも長いことを特徴とする床組立て用パネルセット。
【請求項7】
請求項6に記載の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、
第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材を所望の継目形成箇所で切断して双方の被覆材端縁を突き合わせ、
柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、
上記双方の被覆材端縁を突き合わせた新たな継目部分をシール又は溶接することを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法。
【請求項8】
請求項6に記載の床組立て用パネルセットの第一のパネルと第二のパネルを、パネル本体の相互間に間隙を設けて並べて躯体と固定し、
第二のパネルの被覆材の上に第一のパネルの被覆材を重ね合わせて、その重なり部分にある第一のパネルの被覆材と第二のパネルの被覆材とを切断して双方の被覆材端縁の間に所定の隙間を形成し、
柔軟性のある第二の貼着剤をパネル本体の表面に塗布し、又は/及び、パネル本体の表面に第二の貼着剤を塗布すると共に第一のパネルと第二のパネルとの間隙に第二の貼着剤を充填して被覆材を貼着し、
上記双方の被覆材端縁の隙間に第二の貼着剤を充填することを特徴とする床組立て用パネルを用いた床構造の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−132744(P2011−132744A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293225(P2009−293225)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
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