説明

底付き筒状容器の製造方法

【課題】延伸ブロー成形により製造されるカップ状容器の薄肉、軽量化を実現すること。
【解決手段】延伸ブロー成形によりカップ状容器1を製造するために用いる熱可塑性樹脂からなる板状プリフォーム10は、板状体部分12と、この外周縁部分に形成したフランジ13とを備えている。板状体部分12は延伸ブローされてカップ状容器1の容器本体部2になる延伸部分であり、フランジ13は延伸ブローされることなく、そのままカップ状容器1の容器口部3になる非延伸部分である。板状体部分12の表面12aは平坦面であり、その裏面12bは中央が最大肉厚となる凸状の曲面によって規定されている。板状プリフォーム10は立体的な形状ではないので、肉厚を薄くしても加熱時に延伸ブロー成形に支障を来すような変形が発生しない。よって、板状プリフォーム10を薄肉化して軽量なカップ状容器1が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームを延伸ブロー成形してカップ状容器などの底付き筒状容器を製造する底付き筒状容器の製造方法に関し、特に、底付き筒状容器の軽量化に適した熱可塑性樹脂からなるプリフォームの形状に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ブロー成形によって製造される底付の筒状容器としては、乳飲料などの容器として用いられる熱可塑性樹脂製の広口カップ状容器が知られている。広口カップ状容器は、底付きの円筒状胴部と、この円筒状胴部の上端開口に連続して外側に広がっている口部フランジとを備え、上端開口の径が円筒状胴部の他の部分よりも大きい形状をしている。一般的には、カップ状容器に内容物を充填したのちに、その口部フランジの表面にアルミ箔製、樹脂合成紙製などの蓋を接着して、カップ状容器をシールするようにしている。
【0003】
カップ状容器としては、射出成形品、真空圧空成形品およびプリフォーム(一次成形品)の延伸ブロー成形品が知られている。射出成形カップは、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの樹脂を用いて製造され、肉厚が約0.5mmで重く、酸素バリア性能が悪い。真空圧空成形カップは、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる単層シート、あるいは複数種類の樹脂の多層シートを用いて製造されるが、バリの発生が多く歩留まりが悪く、成形時にシートに割れが発生しやすいので、底の深い容器の成形には向かない。延伸ブロー成形カップはバリの発生が無く、酸素バリア性能も良く、底の深い容器の成形も可能である。本願出願人は特許文献1において、耐熱性に優れた延伸ブロー成形カップの成形方法および、そのためのプリフォームを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−58602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、カップ状容器などの底付の筒状容器については、そのコストダウンのために軽量化を図ることが極めて有効である。しかしながら、延伸ブロー成形容器においてはその軽量化が困難である。
【0006】
例えば、現在市販されている延伸ブロー成形カップの重量は、200mリットルのカップの場合には、約11〜14gである。また、延伸ブロー成形カップの製造に用いるプリフォームの形状は半球状、円錐状または釣鐘状のものであり、一般には射出成形品である。延伸ブロー成形に当たっては、延伸ブローに適した温度までプリフォームを加熱する必要があり、PETプリフォームの場合には大凡100℃に加熱される。延伸ブロー成形カップの軽量化を図るためには、プリフォームの軽量化を図ればよい。換言すると、プリフォームを薄肉にすればよい。
【0007】
しかしながら、プリフォームが余りに薄肉の場合には加熱によって自己保形性が損なわれやすくなり、延伸ブローに適した温度に加熱される時点で元の形状を維持できずに変形して潰れてしまい、延伸ブロー成形に支障を来すおそれがある。そのために、カップ状容器を製造するために用いるカップ状プリフォームの肉厚を2mmを超える厚さにしておく必要があり、その薄肉、軽量化に限界がある。したがって、延伸ブロー成形して得られるカップ状容器の薄肉、軽量化にも限界があり、十分なコストダウンを図ることができない。
【0008】
本発明の課題は、この点に鑑みて、薄くて軽い底付き筒状容器をプリフォームを延伸ブローして成形することのできる底付き筒状容器の製造方法を提案することにある。また、当該製造方法に用いるプリフォームを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、熱可塑性樹脂製のプリフォームから底付き筒状容器を延伸ブロー成形する底付き筒状容器の製造方法において、
前記底付き筒状容器は、底付きの筒状容器本体部と、当該筒状容器本体部の開口縁に形成されている容器口部とを備えており、
前記プリフォームは、板状体部分と、この板状体部分の外周縁に形成されているフランジとを備え、このフランジは前記容器口部と同一形状であり、
前記プリフォームの前記板状体部分を延伸ブローして前記筒状容器本体部を成形し、
前記プリフォームの前記フランジを延伸ブローすることなく、そのまま前記容器口部として残すことを特徴としている。
【0010】
本発明の製造方法に用いるプリフォームは、従来のような立体的な形状ではなく、板形状のものである。したがって、肉厚を薄くした場合に、加熱によって軟化しても中央部分が下方に僅かに撓む程度であり、延伸ブロー成形に支障を来すような変形が発生しない。よって、自己保持性が無くなって立体的な形状が潰れて延伸ブロー成形に支障を来すという従来の問題を回避でき、プリフォームの薄肉、軽量化を図ることができる。この結果、延伸ブロー成形によって得られた底付き筒状容器の薄肉、軽量化を達成でき、それによって底付き筒状容器の大幅なコストダウンを達成できる。
【0011】
このように本発明の製造方法に用いるプリフォームは板状のプリフォームであるので、射出成形によって製造できることは勿論のこと、圧縮成形によっても製造可能である。また、形状が単純であるので、プリフォーム成形金型の製造コストを下げることができ、PET以外のPP、PE、PEN、PSなどの各種の熱可塑性樹脂を用いて容易に製造できる。さらに、板状プリフォームであるので、同一樹脂あるいは異種の樹脂から積層成形することも容易であり、各樹脂層の間に、塗膜、フィルムを挟み込むことも容易であり、さらに、各樹脂層の間に耐熱性、酸素バリア性などを備えた機能性材料を挟み込むことも容易である。
【0012】
ここで、前記プリフォームの前記板状体部分(12)において、前記筒状容器本体部の内周面になる表面および前記筒状容器本体部の外周面になる裏面のうち、少なくとも一方の面を平坦面とすることが望ましい。このようにすると、プリフォーム成形用の成形型の成形面が単純な形状となるので、成形型の製造が容易になり、その製造コストを低減できる。
【0013】
また、一方の面を平坦面とし、他方の面を曲面(単一曲率の曲面、あるいは、曲率の異なる複数の曲面からなる複合曲面)とすることにより、前記板状体部分の各部を所望の肉厚に設定することができる。
【0014】
一般的には、延伸倍率が最も高い前記板状体部分の中央部分を、その外周側部分に比べて、厚くなるように設定すればよい。
【0015】
次に、底付き筒状容器、たとえば、カップ状容器の口部は一定幅の平坦なフランジとなっている。このような場合には、プリフォームのフランジを一定厚とし、当該フランジの表面部分および裏面部分を共に平坦面によって規定すればよい。
【0016】
また、フランジの外周縁に連続して、その裏面側に折れ曲がって延びているリブを形成し、このリブを、延伸ブロー成形されることなく、そのまま底付き筒状容器の口部の一部とすることが望ましい。リブを形成しておくことにより、薄肉化して変形しやすくなったプリフォームの変形を防止できる。また、このプリフォームを延伸ブロー成形して得られた薄肉の底付き筒状容器の口部の変形も防止できる。
【0017】
次に、本発明の製造方法において、前記プリフォームを予め定めた加熱経路に沿って搬送しながら加熱する加熱工程においては、前記プリフォームの厚さ方向における少なくとも一方の側から当該プリフォームを加熱すればよい。
【0018】
従来のプリフォームは試験管形状、円錐状などの立体的な形状をしており、加熱工程においては、プリフォームの全周を均一の加熱するために、立てた状態で搬送されるプリフォームをその中心軸線回りに回転させながら、その両側あるいは片側から加熱ヒーターによって加熱する必要がある。また、上下方向(中心軸線方向)においても均一に加熱できるように、両側あるいは片側には上下に3〜5段の加熱ヒーターを配置する必要がある。これに対して、本発明の板状あるいはフラット型のプリフォームは、その厚さ方向の一方の側あるいは両側から加熱ヒーターによって加熱すればよいので、加熱ヒーターの本数が1本あるいは2本で十分である。
【0019】
ここで、前記プリフォームの前記フランジにおける前記加熱工程における加熱側の面を覆い隠すことのできる枠状の遮蔽部材を用意し、前記加熱工程に先だって、前記プリフォームの前記フランジが前記遮蔽部材によって覆い隠された状態となるように、前記プリフォームに前記遮蔽部材を取り付け、前記延伸ブロー工程では、前記プリフォームに前記遮蔽部材を取り付けたままの状態で当該プリフォームを延伸ブロー成形し、前記延伸ブロー成形工程の後に、前記底付き筒状容器の口部から前記遮蔽部材を取り外すことが望ましい。
【0020】
遮蔽部材を取り付けることによって薄肉化したプリフォームの外周縁側のフランジが加熱されてしまうことを防止でき、また、加熱工程および延伸ブロー工程に亘って遮蔽部材を取り付けておくことにより、薄肉化したプリフォームが加熱、延伸ブロー工程中に変形することを防止できる。
【0021】
本発明の製造方法によれば、従来の延伸ブロー成形による底付き筒状容器の製造方法では使用不可能であった軽量で薄型のプリフォームを用いて、従来においては得ることのできなかった軽量で薄い底付き筒状容器を製造できる。たとえば、前記プリフォームとして、重量が5g〜8gであり、前記中央部分の最大肉厚寸法が2mmのものを用いて、内容積が200mリットル、最大肉厚が0.5mmの前記底付き筒状容器の前記筒状容器本体部分を成形することができる。
【0022】
本発明のカップ状容器は、上記の薄肉化した板状あるいはフラット状のプリフォームを用いて製造されているので、従来の延伸ブロー成形によっては得ることのできなかった薄肉寸法を備えており、従来のカップ状容器に比べて大幅に軽量化でき、大幅なコストダウンを達成できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の底付き筒状容器の製造方法では、プリフォームが板状あるいはフラット状をしているので、従来のような筒状あるいはカップ状のプリフォームを用いる場合におけるその立体的な形状の加熱変形に起因する成形不良を回避することができる。したがって、プリフォームの薄肉化、軽量化を図ることができる。この結果、従来の延伸ブロー成形方法では得ることのできない薄肉の底付き筒状容器を得ることができる。よって、延伸ブロー成形によって製造される底付き筒状容器の大幅な軽量化およびコストダウンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)および(b)は、本発明によるカップ状容器の一例を示す側面図および縦断面図である。
【図2】(a)、(b)および(c)は、図1のカップ状容器を二軸延伸ブローによって成形するために用いる板状プリフォームの一例を示す側面図、断面図、および、その拡大半断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、板状プリフォームの各種の断面形状の例を示す説明図である。
【図4】図2のプリフォームを用いたカップ状容器の延伸ブロー成形方法を示す説明図である。
【図5】図4の延伸ブロー成形方法における延伸ブロー工程を示す説明図である。
【図6】底付き筒状容器および板状プリフォームの別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るカップ状容器、板状プリフォーム、およびカップ状容器の製造方法を説明する。
【0026】
(カップ状容器)
図1を参照して説明すると、本実施の形態に係るカップ状容器1は、底付の容器本体部2と、この容器本体部2の上端開口縁から外方に広がっている円環状の容器口部3とを備えている。容器本体部2は二軸延伸ブローされた延伸部分であり、容器口部3は二軸延伸ブローされていない非延伸部分である。
【0027】
容器本体部2は、全体として上端開口側から底側に向けて径が漸減している広口の円筒状胴部4と、この円筒状胴部4の下端を封鎖している円形の底板部分5とを備えている。容器口部3は、円筒状胴部4の上端開口縁4aから外方に広がっている円環状のフランジ本体板6と、このフランジ本体板6の外周縁から下方に直角に折れ曲がっている円環状のリブ7とを備えたL形断面をしている。
【0028】
たとえば、カップ状容器1の各部の寸法は次の通りであるが、本発明のカップ状容器の各部の寸法をこれらの値に限定することを意図したものではない。カップ状容器1は内容積が200ミリリットルであり、容器本体部2の上端開口縁4bの内径が約62mmであり、高さが約83mmであり、円筒状胴部4の平均厚さが約0.3mmであり、底板部分5の平均厚さが約0.4mmである。また、容器口部3のフランジ6の厚さが約0.5mmであり、そのリブ7の厚さが約0.5mmである。カップ状容器1の重さは約7gである。
【0029】
(板状プリフォーム)
図2を参照して、二軸延伸ブロー成形によりカップ状容器1を製造するために用いる板状プリフォームの形状を説明する。板状プリフォーム10は、PETなどの熱可塑性樹脂からなる板状体部分12と、この板状体部分12の外周縁部分に連続して形成されている円環状のフランジ13とを備えている。板状体部分12は延伸ブロー成形によってカップ状容器1の容器本体部2になる延伸部分であり、フランジ13は延伸ブロー成形されることなく、そのままカップ状容器1の容器口部3として残る非延伸部分である。したがって、フランジ13は、カップ状容器1の容器口部3と同一形状をしており、円環状のフランジ本体板16および円環状のリブ17とを備えたL形断面をしている。
【0030】
板状体部分12の表面12aは平坦面によって規定されている。この表面12aは延伸ブロー成形によってカップ状容器1の容器本体部2の内周面になる。板状体部分12の裏面12bは曲率の異なる曲面からなる複合曲面によって規定されている。この裏面12bは延伸ブロー成形によってカップ状容器1の容器本体部2の外周面になる。フランジ13のフランジ本体板16の表面部分16aは表面12aと同一面上に位置する平坦面であり、その裏面部分16bも平坦面であり、裏面12bに滑らかに連続している。本例では、板状体部分12の裏面12bにおけるフランジ本体板16の裏面部分16aに連続している外周側部分は湾曲面12b(1)によって規定され、湾曲面12b(1)の内側部分が、当該湾曲面12b(1)に滑らかに連続する凸曲面12b(2)によって規定されており、延伸倍率の最も高い板状体部分12の中心部分が最大肉厚となっている。
【0031】
例えば、この中央部分の最大肉厚が約2mmに設定されている。200mリットルの内容量の円筒状あるいは角筒状のカップ状容器の製造に用いる板状プリフォーム10の場合には、最大肉厚を、板状体部分12の最大幅の約10%、本例の場合にはその外径の約10%以下にすればよい。
【0032】
なお、図3(a)に示すように、板状体部分12の両面を平坦面によって規定して、板状体部分12の全体を一定肉厚にすることもできる。また、図3(b)に示すように、板状体部分12の表面12aを曲面によって規定し、その裏面12bを平坦面によって規定することも可能であり、図3(c)に示すように、両面を曲面によって規定することも可能である。また、曲面としては、複合曲面ではなく、円弧面を用いることも可能である。さらに、本例では、板状体部分12の中央部分が最大肉厚となるようにしているが、カップ状容器1の形状によっては、図3(d)に示すように、中央部分から外れた部分に輪状の最大肉厚部分が形成される場合もあり得る。
【0033】
(カップ状容器の製造方法)
図4を参照して、板状プリフォーム10を二軸延伸ブローしてカップ状容器1を製造する製造方法の例を説明する。この図に示すように、カップ状容器の製造方法Sは、板状プリフォーム10をプリフォーム搬送路21に1枚ずつ供給するプリフォーム供給工程S1を備えている。プリフォーム搬送路21は一定ピッチでプリフォームキャリア22を循環させる循環経路となっており、プリフォーム搬送路21におけるプリフォーム供給位置23において、板状プリフォーム10はその裏面(12b、16b)が上を向く状態でプリフォームキャリア22に乗せられる。
【0034】
カップ状容器の製造方法Sは遮蔽板取付工程S2を備えており、板状プリフォーム10を担持したプリフォームキャリア22は、プリフォーム搬送路21に沿って搬送され、その途中の遮蔽リング取付位置24において遮蔽リング25(遮蔽部材)が板状プリフォーム10に取り付けられる。遮蔽リング25は、図2(c)において想像線で示してあるように、矩形断面のリングであり、板状プリフォーム10におけるフランジ本体板16の裏面部分16bおよびリブ17の内周面部分17bを覆い隠す状態に取り付けられる。
【0035】
カップ状容器の製造方法Sはプリフォーム加熱工程S3を備えている。プリフォーム搬送路21に沿って配置されている加熱ステーション26には、その天面部分に加熱ヒーター27が搬送方向に一列あるいは二列配置されており、真下を通過する板状プリフォーム10の板状体部分12をその裏面12bの側からブロー成形に適した温度まで加熱する。たとえば、板状プリフォーム10をその中心軸線回りに回転させながら、加熱が行われる。
【0036】
カップ状容器の製造方法Sはプリフォーム加熱工程S3の次に延伸ブロー工程S4を備えている。延伸ブロー工程S4では、プリフォーム加熱工程S3を経て延伸ブロー成形に適した温度に加熱された板状プリフォーム10を延伸ブロー成形型に入れ、その延伸部分12に二軸延伸ブロー成形を施して、カップ状容器1を形成する。
【0037】
図5に示すように、延伸ブロー成形型30内には、板状プリフォーム10がプリフォームキャリア22に担持されたままセットされる。また、板状プリフォーム10の非延伸部分13には遮蔽リング25が取り付けられたままの状態となっている。この状態で、延伸ブロー成形型30の型締を行い、下側から延伸用ブローエアーを導入して、板状体部分12を上方に延伸させる。また、所定のタイミングで延伸ロッド31を押し上げて板状体部分12を延伸させながら延伸用ブローエアーを供給して、図において想像線で示すように板状体部分12を二軸方向に延伸させて、延伸ブロー成形型30の成形面形状を板状体部分12に付与する。この結果、図1に示すカップ状容器1が得られる。
【0038】
再び、図4を参照して説明すると、ブロー成形工程S4が終了した後は、延伸ブロー成形型30の型開きが行われ、そこから、カップ状容器1が担持されているプリフォームキャリア22が搬出され、遮蔽リング25の取り外し、および、カップ状容器1をプリフォームキャリア22から外して回収する容器回収工程S5が行われる。カップ状容器1が外された後のプリフォームキャリア22はプリフォーム搬送路21に沿って搬送されて再びプリフォーム供給位置23に戻り、板状プリフォーム10が供給される。
【0039】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例は広口のカップ状容器の製造方法であるが、本発明はカップ状容器以外の底付き筒状容器の製造に用いることができる。例えば、図6に示すように、口部3Aに雄ねじ部が形成されている略一定の外径の底付きの円筒状容器1Aの製造にも適用できる。この場合には、口部3Aと同一形状のフランジ13Aが外周縁部分に形成されている板状体部分12Aからなる板状プリフォーム10Aを用いればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 カップ状容器
2 容器本体部
3 容器口部
4 円筒状胴部
5 底板部分
6 フランジ本体板
7 リブ
10 板状プリフォーム
12 板状体部分
12a 表面
12b 裏面
12b(1) 湾曲面
12b(2) 凸曲面
13 フランジ
16 フランジ本体板
16a 表面部分
16b 裏面部分
17 リブ
17b 内周面部分
21 プリフォーム搬送路
22 プリフォームキャリア
23 プリフォーム供給位置
24 遮蔽リング取付位置
25 遮蔽リング
26 加熱ステーション
27 加熱ヒーター
30 延伸ブロー成形型
31 延伸ロッド
S 底付き筒状容器の製造方法
S1 プリフォーム供給工程
S2 遮蔽板取付工程
S3 プリフォーム加熱工程
S4 延伸ブロー工程
S5 容器回収工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製のプリフォーム(10)から底付き筒状容器(1)を延伸ブロー成形する底付き筒状容器の製造方法(S)であって、
前記底付き筒状容器(1)は、底付きの筒状容器本体部(2)と、当該筒状容器本体部(2)の開口縁に形成されている容器口部(3)とを備えており、
前記プリフォーム(10)は、板状体部分(12)と、この板状体部分(12)の外周縁に形成されているフランジ(13)とを備え、このフランジ(13)は前記容器口部(3)と同一形状であり、
前記プリフォーム(10)の前記板状体部分(12)を延伸ブローして前記筒状容器本体部(2)を成形し、
前記プリフォームの前記フランジ(13)を延伸ブローすることなく、そのまま前記容器口部(3)として残すことを特徴とする底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項2】
前記プリフォーム(10)の前記板状体部分(12)は、前記筒状容器本体部(2)の内周面になる表面(12a)および前記筒状容器本体部(2)の外周面になる裏面(12b)のうち、少なくとも一方の面は平坦面であることを特徴とする請求項1に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項3】
前記プリフォーム(10)の前記板状体部分(12)の前記表面(12a)および前記裏面(12b)のうち一方の面は平坦面であり、他方の面は曲面によって規定されていることを特徴とする請求項2に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項4】
前記プリフォーム(10)の前記板状体部分(12)は、その中央部分が最も厚いことを特徴とする請求項3に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項5】
前記プリフォーム(10)の前記フランジ(13)は一定厚さであり、
当該フランジ(13)における前記板状体部分(12)の前記表面(12a)に連続している表面部分(16a)および前記裏面(12b)に連続している裏面部分(16b)は共に平坦面であることを特徴とする請求項4に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項6】
前記プリフォーム(10)の前記フランジ(13)には、その外周縁に連続して前記裏面部分(16b)の側に折れ曲がって延びているリブ(17)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項7】
予め定めた加熱経路に沿って搬送しながら加熱する加熱工程(S3)と、
前記加熱工程(S3)を経て延伸ブロー成形に適した温度に加熱された前記プリフォーム(10)を延伸ブロー成形してカップ状容器(1)を得る延伸ブロー工程(S4)とを有し、
前記加熱工程(S3)では、前記プリフォーム(10)の表面(12a)および裏面(12b)のうちの少なくも一方の側から当該プリフォーム(10)を加熱することを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項8】
前記プリフォーム(10)の前記フランジ(13)における前記加熱工程(S3)での加熱側の面(16a,17b)を覆い隠すことのできる枠状の遮蔽部材(25)を用意し、
前記加熱工程(S3)に先だって、前記プリフォーム(10)の前記フランジ(13)が前記遮蔽部材(25)によって覆い隠された状態となるように、前記プリフォーム(10)に前記遮蔽部材(25)を取り付け、
前記延伸ブロー工程(S4)では、前記プリフォーム(10)に前記遮蔽部材(25)を取り付けられたままの状態で当該プリフォーム(10)を延伸ブロー成形し、
前記延伸ブロー成形工程(S4)の後に、前記カップ状容器(1)の口部フランジ(3)から前記遮蔽部材(25)を取り外すことを特徴とする請求項7に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項9】
前記プリフォーム(10)の重量は5g〜8gであり、
前記中央部分の最大肉厚寸法は2mmであり、
前記板状体部分(12)を延伸ブローして、内容積が200mリットル、最大肉厚が0.5mmの前記底付き筒状容器(1)の前記筒状容器本体部(2)を成形することを特徴とする請求項1ないし8のうちのいずれかの項に記載の底付き筒状容器の製造方法(S)。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちのいずれかの項に記載の底付き筒状容器の製造方法に用いる前記プリフォーム(10)。
【請求項11】
請求項1ないし9のうちのいずれかの項に記載の製造方法により製造された前記底付き筒状容器(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−188711(P2010−188711A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38596(P2009−38596)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(594082648)株式会社フロンティア (34)
【Fターム(参考)】