説明

底泥置換装置、底泥置換システム及び底泥置換方法

【課題】底泥の除去及び改質材料の埋設を、一連の流れにて行うことが可能な底泥置換装置、底泥置換システム及び底泥置換方法を提供する。
【解決手段】底泥置換装置1により、次のように底泥の置換作業が行われる。バックホウ13により、底泥置換装置1をインナーケーシング3が底泥吸引位置にある状態で作業場所の底泥層17上に設置する。その後、底泥の攪拌及び、攪拌された底泥の吸引を行いながら、バックホウ13により底泥置換装置1を除去する底泥の高さに合わせて底泥層17内に圧入し、底泥を除去する。その後、バックホウ13によりインナーケーシング3を持ち上げ、底泥が除去された空間をアウターケーシング2内に形成する。その後、改質材料投入部4より改質材料19を投入し、底泥が除去された空間に改質材料19を埋設した後、バックホウ13により底泥置換装置1を底泥層17内より持ち上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川等の水底の底泥を透水性のよい改質材料に置換する底泥置換装置、底泥置換システム及び底泥置換方法に関する。詳しくは、攪拌手段と吸引手段を有して底泥の除去に用いられる内箱部及び、底泥が除去された空間への改質材料の埋設に用いられる外箱部を備え、内箱部と外箱部が連動して機能することで、底泥の除去と改質材料の埋設を一連の流れで行うことにより底泥置換作業の効率化を図るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、流水の停滞、生活排水による汚染等により、河川等の底に底泥(ヘドロ)が堆積する例が多くなっている。水底に底泥が堆積した場合、底生動物の生息環境が悪化して河川の浄化機能が損なわれ、その結果、水質の悪化、悪臭の発生等の原因になる。
【0003】
この問題を解決するため、底泥の一部を透水性のよい改質材料に置換することで改質材料による底泥への酸素供給を可能にし、河川の底質及び底生動物の生息環境の改善を行う方法が提案されている。
【0004】
この水質改善方法を実施する際には、底泥の一部を除去した後、底泥を除去した空間に改質材料を埋設することにより、底泥の改質材料への置換を行う。
【0005】
従来の技術による底泥の置換は次のように行われる。まず底泥の除去方法としては、次のようなものがある。図21はクラムシェル50による底泥の除去方法を説明する断面図である。クラムシェル50は断面されていない状態で示されている。
【0006】
河川等の水底の砂層51の上部に底泥が堆積し、底泥層52が形成されている。底泥を除去する場所に円筒状のケーシング53を打設する。ケーシング53の打設後、ケーシング53内部を排水し、ケーシング53の内部をクラムシェル50のバケット50aを開閉することにより掘削し、底泥を除去する。
【0007】
図22はオーガー54による底泥の除去方法を説明する断面図である。オーガー54は断面されていない状態で示されている。オーガー54は、先端部にらせん状のスクリューを備えており、回転させながら底泥層52内に圧入することにより、底泥層52を掘削し、底泥を除去する。
【0008】
上記のような方法にて底泥を除去した後、底泥を除去した空間に改質材料を埋設する。
【0009】
また上記とは別に、河川等の水底における上層の底泥と下層の土又は砂等を置換することにより、底生動物の生息環境の改善を行う底泥置換装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
特許文献1に開示される底泥置換装置は、攪拌装置により掘削された下層の土又は砂等を、吸引装置により上層の底泥の上又は水面上に持ち上げることにより、河川等の水底における上層の底泥と下層の土又は砂等を置換し、底生動物の生息環境の改善を行う底泥置換装置である。
【0011】
【特許文献1】特開2003−82640公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、前述した従来の底泥の置換方法では次のような問題がある。まず、クラムシェル50により底泥を除去する場合、改質材料の埋設に適した小口径の穴での底泥の除去ができない。
【0013】
また、オーガー54にて底泥を除去する場合、除去した底泥が作業場所の周囲の水中に拡散してしまい回収が困難であるため、作業時の水質汚濁が発生する問題がある。ケーシング53を使用してオーガー54による底泥除去を行った場合も、ケーシング53とオーガー54の隙間から除去した底泥が落ちる、底泥がオーガー54のスクリューに付着して撤去できない等の問題がある。
【0014】
このため、オーガー54にて底泥の除去を行った場合は、底泥除去後の改質材料の埋設が困難になる。
【0015】
更に、従来の底泥の置換方法では、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を別々の装置を用いて行う必要があるため、作業効率が悪く、施工期間が長期化してしまう問題がある。
【0016】
また、特許文献1にて提案されている底泥置換装置は、上層の底泥と下層の土又は砂等を置換する構成となっており、底泥の一部を改質材料に置換する作業には適用できない。
【0017】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、改質材料の埋設に適した小口径の底泥の除去及び改質材料の埋設を、一連の流れにて行うことが可能な底泥置換装置、底泥置換システム及び底泥置換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した問題を解決するため、本発明に係る底泥置換装置は、水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換装置であって、下面が開放され、外部と内部を連通する改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、下面が開放され、外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥層内の底泥を攪拌する攪拌手段及び、攪拌手段により攪拌された底泥を底泥層内から吸引する吸引手段を有する内箱部を備え、内箱部は、攪拌手段による底泥の攪拌及び吸引手段による底泥の吸引を行う底泥吸引位置から、改質材料投入穴部を開放する改質材料投入位置まで、外箱部に対して上下方向に直動自在であることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る底泥置換装置では、次のような方法で底泥の置換作業が行われる。攪拌手段による底泥の攪拌及び、攪拌手段により攪拌された底泥の吸引手段による吸引を行いながら、除去する底泥の高さに合わせて、内箱部及び外箱部を底泥層内に圧入して、底泥層内から除去対象の底泥を除去する。
【0020】
その後、改質材料投入穴部を開放する位置まで、外箱部に対して内箱部を持ち上げる。これにより、底泥層より除去対象の底泥が取り除かれた空間を外箱部内に形成する。
【0021】
その後、改質材料投入穴部より改質材料を投入し、除去対象の底泥が取り除かれた空間に改質材料を埋設する。
【0022】
上述した問題を解決するため、本発明に係る底泥置換システムは、水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換システムであって、底泥を改質材料に置換する底泥置換装置と、底泥置換装置により吸引された底泥を回収する回収装置と、底泥置換装置を水底に降ろし、水底での昇降を行う上下装置と、改質材料の投入を行う改質材料投入装置とを備え、底泥置換装置は、下面が開放され、外部と内部を連通するとともに改質材料投入装置に接続された改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、下面が開放され、外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥層内の底泥を攪拌する攪拌手段及び、攪拌手段により攪拌された底泥を底泥層内から吸引して回収装置に送る吸引手段を有する内箱部を備え、内箱部は、攪拌装置による底泥の攪拌及び吸引装置による底泥の吸引を行う底泥吸引位置から、改質材料投入穴部を開放する改質材料投入位置まで、外箱部に対して上下方向に直動自在であることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る底泥置換システムでは、次のような方法で底泥の置換作業が行われる。底泥置換装置を上下装置に取り付け、上下装置により底泥置換装置を置換対象の底泥層の上部に設置する。
【0024】
その後、攪拌手段による底泥の攪拌、攪拌手段により攪拌された底泥の吸引手段による吸引及び、吸引手段により吸引された底泥の回収装置による回収を行いながら、除去する底泥の高さに合わせて、内箱部及び外箱部を上下装置により底泥層内に圧入して、底泥層内から除去対象の底泥を除去する。
【0025】
その後、上下装置により、改質材料投入穴部を開放する位置まで、外箱部に対して内箱部を持ち上げる。これにより、底泥層より除去対象の底泥が取り除かれた空間を外箱部内に形成する。
【0026】
その後、改質材料投入装置により改質材料投入穴部より改質材料を投入し、除去対象の底泥が取り除かれた空間に改質材料を埋設する。改質材料の埋設後、上下装置により底泥層内から底泥置換装置を持ち上げる。
【0027】
上述した問題を解決するため、本発明に係る底泥置換方法は、水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換方法であって、下面が開放され、外部と内部を連通する改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、下面が開放され、外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥を攪拌する攪拌手段及び、攪拌された底泥を吸引する吸引手段を有し、外箱部に対して上下方向に直動自在である内箱部を備えた底泥置換装置を用い、攪拌手段による底泥の攪拌及び、攪拌手段により攪拌された底泥の吸引手段による吸引を行いながら、除去する底泥の高さに合わせて、内箱部及び外箱部を底泥層内に圧入して、底泥層内から除去対象の底泥を除去し、改質材料投入穴部が開放される位置まで外箱部に対して内箱部を持ち上げて、外箱部内に底泥が除去された空間を形成し、改質材料投入穴部より改質材料を投入し、外箱部内部の底泥が除去された空間に改質材料を埋設し、底泥置換装置を底泥層内から持ち上げることを特徴とするものである。
【0028】
本発明に係る底泥置換方法では、攪拌手段による底泥の攪拌及び、攪拌手段により攪拌された底泥の吸引手段による吸引を行いながら、除去する底泥の高さに合わせて、内箱部及び外箱部が底泥層内に圧入され、底泥層内から除去対象の底泥が除去される。
【0029】
その後、改質材料投入穴部を開放する位置まで、外箱部に対して内箱部が持ち上げられ、底泥層より除去対象の底泥が取り除かれた空間が外箱部内に形成される。
【0030】
その後、改質材料投入穴部より改質材料が投入され、除去対象の底泥が取り除かれた空間に改質材料が埋設される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の底泥置換装置によれば、攪拌手段と吸引手段を有して底泥の除去に用いられる内箱部及び、底泥が除去された空間への改質材料の埋設に用いられる外箱部を備え、内箱部が外箱部に挿入されて内接して、内箱部と外箱部が連動して機能する構成により、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を同一の装置により、一連の流れにて行うことが可能になる。これにより、施工作業の容易化及び施工期間の短縮化が実現できる。
【0032】
更に、内箱部と外箱部の二重構造で、外箱部に対して内箱部を昇降させる単純な構成のため、装置の作製が容易となり、また、使用時の故障を少なくすることが可能となる。
【0033】
また、改質材料の埋設に適した小口径の穴での底泥の除去及び改質材料の置換を行うことができる。
【0034】
更に、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を同一の装置により行うことにより、底泥の置換作業に必要な装置の構成を単純化できる。
【0035】
本発明の底泥置換システムによれば、攪拌手段と吸引手段を有して底泥の除去に用いられる内箱部及び、底泥が除去された空間への改質材料の埋設に用いられる外箱部を備え、内箱部が外箱部に挿入されて内接して、内箱部と外箱部が連動して機能する底沼置換装置、底泥の回収装置、底泥置換装置の上下装置及び改質材料投入装置を備えた構成により、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を同一の装置により、一連の流れにて行うことが可能になる。これにより、施工作業の容易化及び施工期間の短縮化が実現できる。
【0036】
また、本発明の底泥置換システムによれば、除去対象の底泥の吸引及び、吸引された底泥の底泥置換装置からの回収を同時に行う構成により、底泥置換作業後に底泥置換装置内より底泥を回収する必要がなく、一つの対象の底泥置換作業後、すぐに次の対象の底泥置換作業を行うことができる。
【0037】
また、本発明の底泥置換システムによれば、水底の底泥層に所望の配置で改質材料の埋設を行うことができるので、改質材料による水質改善の効果を促進できる。
【0038】
本発明の底泥置換方法によれば、攪拌手段と吸引手段を有して底泥の除去に用いられる内箱部及び、底泥が除去された空間への改質材料の埋設に用いられる外箱部を備え、内箱部が外箱部に挿入されて内接して、内箱部と外箱部が連動して機能する底沼置換装置を用いた置換方法により、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を同一の装置により、一連の流れにて行うことが可能になる。これにより、施工作業の容易化及び施工期間の短縮化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下図面を参照して、本発明の底泥置換装置、底泥置換システム及び底泥置換方法の実施の形態について説明する。
<本実施の底泥置換装置の構成例>
図1から図6は、本実施の形態の底泥置換装置1の一例を示す説明図である。図1は概略斜視図であり、説明のため構成の一部を透視した状態で破線にて示している。図2から図5は底泥置換装置1の断面図であり、図2及び図4は図1のA−A断面を示し、図3及び図5は図1のB−B断面を示したものである。
【0040】
図2から図5は後述する底泥吸引ポンプ9を、切断されていない状態で示している。また、図2においては、後述する排泥管14c、攪拌用水管21及びマニーホールド22を切断されていない状態で示している。
【0041】
図6は、底泥置換装置1を上方から見た状態を示した図であり、図6(a)は図1の矢印Cで示すように底泥置換装置1を上方から見た状態を示し、図6(b)は図2のD−D断面を示したものである。
【0042】
本実施の形態の底泥置換装置1は、円筒状のアウターケーシング2と、同じく円筒状でアウターケーシング2に内接したインナーケーシング3を備える。アウターケーシング2は外箱部の一例であり、インナーケーシング3は内箱部の一例である。
【0043】
図1及び図2等に示すように、インナーケーシング3は上部に、中央部に穴部を備えた上フランジ4a及び下フランジ4bから構成されるフランジ4を備える。また、インナーケーシング3の下面の近傍に、中央部に底泥吸引穴部3bを有するインナーケーシング底3aを備える。
【0044】
また、図1及び図2等に示すように、アウターケーシング2は下面が開放されており、側面の一部が開口されて外部と内部を連通する改質材料投入部4を、例えば二つ備える。改質材料投入部4は改質材料投入穴部の一例である。また、改質材料投入部4は、後述する改質材料投入管15gが取り付け可能な構成となっている。
【0045】
インナーケーシング3はアウターケーシング2に挿入され、アウターケーシング2に対して、底泥の吸引を行う底泥吸引位置から、改質材料投入部4を開放して改質材料の投入を行う改質材料投入位置まで上下方向に直動自在な構成となっている。
【0046】
図2及び図3は、インナーケーシング3がアウターケーシング2に対して底泥吸引位置にある状態を示している。図4及び図5は、インナーケーシング3がアウターケーシング2に対して改質材料投入位置にある状態を示している。
【0047】
インナーケーシング3が底泥吸引位置にある状態では、アウターケーシング2及びインナーケーシング3は、例えば次のような位置関係となる。図2及び図3に示すように、インナーケーシング3の上部に固定された下フランジ4bとアウターケーシング2の上部が接し、アウターケーシング2とインナーケーシング3の下端が同一の高さとなる。
【0048】
また、下フランジ4bによりインナーケーシング3がアウターケーシング2に対して底泥吸引位置より下方に位置することを防ぐ構成になっている。下フランジ4bによりインナーケーシング3が底泥吸引位置より下方に位置することを防ぐ構成は、位置決め手段の一例である。
【0049】
インナーケーシング3が改質材料投入位置にある状態では、アウターケーシング2及びインナーケーシング3は、例えば次のような位置関係となる。図4及び図5に示すように、改質材料投入部4が開放される位置に、インナーケーシング3はアウターケーシング2に対して上方に持ち上げられた状態となる。これにより、インナーケーシング3下方のアウターケーシング2内部の空間と外部が、改質材料投入部4を通じて連通した状態になる。
【0050】
また、例えば図1、図3及び図5に示すように、アウターケーシング2のワイヤー取り付け部5及びインナーケーシング3のワイヤー取り付け部6がケーシングワイヤー7にて結ばれている。
【0051】
図5に示すように、ケーシングワイヤー7はインナーケーシング3が改質材料投入位置にある時に張った状態になり、インナーケーシング3がアウターケーシング2に対して改質材料投入位置より上方に位置することを防ぐ構成になっている。ケーシングワイヤー7により、インナーケーシング3が改質材料投入位置より上方に位置することを防ぐ構成は、位置決め手段の一例である。
【0052】
また、インナーケーシング3の内部には底泥の攪拌を行うための攪拌手段として、例えば攪拌水を噴出するための攪拌水チューブ8を複数備える。攪拌水チューブ8は噴出手段の一例である。
【0053】
図7は、図6(b)のE−Eにて切断した状態を示す要部断面図である。図1、図2、図6及び図7等を用いて攪拌水チューブ8の構成例を説明する。攪拌水チューブ8では、攪拌水入力部8aから供給された高圧の攪拌水が、攪拌水噴出口8bから噴出される。また、図1及び図6等に示すように、各攪拌水チューブ8はインナーケーシング3内部の外周部に位置するように上フランジ4aにナット等で固定される。
【0054】
図1及び図2等に示すように、攪拌水入力部8aは上フランジ4aの上部に位置し、攪拌水噴出口8bはインナーケーシング底3aの下方部に位置する。図7に示すように、攪拌水噴出口8bは、矢印Iで示す水平方向の攪拌水の噴出が行われるように、攪拌水チューブ8の下端部に設けられる。また、攪拌水チューブ固定台3cの上部に攪拌水噴出口8bが位置するように、攪拌水チューブ8は固定される。
【0055】
また、図6(b)の矢印Fに示すように、各攪拌水噴出口8bから噴出された攪拌水により、インナーケーシング3内部に円周方向に一定の流れが生じるような角度にて、各攪拌水チューブ8は固定される。また、図2に示すように攪拌水入力部8aには、後述する接続チューブ23が取り付け可能な構成となっている。
【0056】
更に、インナーケーシング3の内部には、底泥吸引ポンプ9が固定される。底泥吸引ポンプ9は、吸引手段の一例である。底泥吸引ポンプ9は例えば次のような構成となる。底泥吸引ポンプ9は下部に吸引口9aを、上部に排出口9bを備え、吸引口9aから吸引した泥等を排出口9bから排出する構成となっている。
【0057】
底泥吸引ポンプ9は、吸引口9aがインナーケーシング底3aの中央部に形成された底泥吸引穴部3b上に位置するように、インナーケーシング3に対して固定される。
【0058】
また、図2に示すように底泥吸引ポンプ9の排出口9bには、後述する排泥管14cが取り付け可能な構成となっている。
【0059】
底泥吸引ポンプ9として、例えば汎用的な水中ポンプが使用可能である。
【0060】
図8は図6(b)のG−G断面図であり、負圧防止管10を示す説明図である。インナーケーシング3をアウターケーシング2に対して底泥吸引位置から上方に持ち上げた状態で、図6(b)のG−G断面にて切断された部材のみを示している。攪拌水チューブ8及び攪拌水チューブ固定台3cは示していない。負圧防止管10は、負圧防止手段の一例である。
【0061】
負圧防止管10は、例えば図8に示すようにアウターケーシング2の側面の下方に設けられた側面負圧防止穴部2aと、アウターケーシング2外部の側面の置換対象の底泥に応じた高さの位置とを連通する管状の部材等で構成される。負圧防止管上端部10aは、置換対象の底泥に応じた高さに位置する。
【0062】
図8に示すように、インナーケーシング3をアウターケーシング2に対して底泥吸引位置から持ち上げることにより、アウターケーシング2内部でインナーケーシング3のインナーケーシング底3aの下方の空間と、アウターケーシング2外部の水中が、負圧防止管10にて連通された状態となる。
【0063】
図9は図6(b)のH−H断面にて切断された部材のみを示した断面図であり、補強板11を示す説明図である。補強板11は補強部の一例である。
【0064】
アウターケーシング2の外部の側面に、上下方向に伸びた板状の補強板11が備えられる。補強板11は、例えば図9に示すようにアウターケーシング2の外部側面下方部にて備えられる。更に、例えば図6(b)に示すように、二つの補強板11がアウターケーシング2の外部側面の向かい合う位置に備えられる。
【0065】
本実施の形態の底泥置換装置1は、インナーケーシング3とアウターケーシング2の二重構造で、アウターケーシング2に対してインナーケーシング3を昇降させる単純な装置構成である。このため、装置の作製を容易に行うことが可能であり、また、使用時の故障を少なくすることが可能となる。
【0066】
<本実施の底泥置換システムの構成例>
次に、図1等で説明した構成の底泥置換装置1を用いた底泥置換システム12について説明する。
【0067】
図10及び図11は本実施の形態の底泥置換システム12の一例を示す説明図である。底泥置換システム12は、バックホウ13、底泥回収装置14及び改質材料投入装置15等を備える。本例の底泥置換システム12は、バックホウ13、底泥回収装置14及び改質材料投入装置15が陸上に設置される例を示す。
【0068】
底泥置換作業の対象となる水中では、図11に示すように、河川等の水底の砂層16の上部に底泥が堆積して底泥層17が形成されている。底泥置換システム12では底泥層17の一部を除去し、改質材料19の埋設を行う。
【0069】
図11に示すように底泥置換装置1は、例えば装置取り付け部18を介してフランジ4にて汎用的なバックホウ13のアーム部13aの先端に取り付け可能な構成となっている。バックホウ13は上下装置の一例である。バックホウ13により底泥置換装置1を水底に下ろし、水底での昇降を行うことができる。
【0070】
図10に示しように底泥回収装置14は、排泥用水槽14a及び,逆止弁14bを備えた排泥管14cにより構成される。排泥管14cは一方の端が排泥用水槽14a内に入れられ、もう一方の端が図2及び図11に示すように、底泥置換装置1の底泥吸引ポンプ9の排出口9bに接続される。
【0071】
これにより、底泥置換装置1の底泥吸引ポンプ9より排出された底泥が、排泥管14cを通じて排泥用水槽14a内に回収される。また、逆止弁14bにより、排泥用水槽14a側から底泥置換装置1の底泥吸引ポンプ9側への、回収された底泥の逆流を防ぐ構成となっている。
【0072】
図10に示すように改質材料投入装置15は、作業用水槽15a、作業用水中ポンプ15b、作業用水管15c、チーズ管15d、ボールバルブ15e、改質材料投入用ホッパー15f及び改質材料投入管15gにより構成される。
【0073】
作業用水槽15a内に作業用水中ポンプ15bが設置され、作業用水中ポンプ15bに作業用水管15cが接続される。作業用水管15cはチーズ管15dにより分岐され、一方にボールバルブ15eを介して後述する異径管20が接続される。もう一方側にて、さらにチーズ管15dにより分岐され、ボールバルブ15eを介して二つ改質材料投入用ホッパー15fにそれぞれ接続される。
【0074】
これにより、作業用水中ポンプ15bを動作させて、改質材料19の投入作業に用いられる作業用水を二つの改質材料投入用ホッパー15fへ供給する。また、二つの改質材料投入用ホッパー15fに対する作業用水の供給は、それぞれの改質材料投入用ホッパー15fに接続されたボールバルブ15eを開閉することにより、別々に行うことができる。
【0075】
二つの改質材料投入用ホッパー15fにそれぞれ改質材料投入管15gが接続される。改質材料投入管15gは、図11に示すように底泥置換装置1の二つの改質材料投入部4にそれぞれ接続される。作業用水槽15aより改質材料投入用ホッパー15fに対して作業用水を供給しながら、改質材料投入用ホッパー15fに改質材料19を投入することにより、改質材料投入部4への改質材料19の投入が行われる。
【0076】
また、図10に示すように、先述した異径管20に攪拌用水管21が接続される。攪拌用水管21は、図2及び図11に示すようにマニーホールド22に接続される。マニーホールド22は、装置取り付け部18に取り付けられている。
【0077】
また、図2に示すようにマニーホールド22と底泥置換装置1の各攪拌水チューブ8の攪拌水入力部8aが接続チューブ23により接続される。これにより、作業用水中ポンプ15bを動作させ、ボールバルブ15eを開くことにより、作業用水槽15aより攪拌用水管21を通じて供給された攪拌水が、マニーホールド22にて分岐されて底泥置換装置1の各攪拌水チューブ8に供給され、各攪拌水噴出口8bから攪拌水が噴出される。
【0078】
図10で示される底泥置換システム12は、底泥置換対象の場所が陸上から近い場合に適用される。底泥置換作業に用いられる各装置を陸上に設置することが可能であるため、各装置の設置及び移動作業を容易に行うことが可能になる。
【0079】
図12は本実施の形態の底泥置換システム12の他の例を示す説明図である。図12で示される底泥置換システム12においては、バックホウ13、底泥回収装置14及び改質材料投入装置15が作業船24上に設置される。
【0080】
図12で示される底泥置換システム12では、改質材料投入装置15は、作業用水中ポンプ15b、作業用水管15c、チーズ管15d、ボールバルブ15e、改質材料投入用ホッパー15f及び、改質材料投入管15gにより構成される。また、作業用水中ポンプ15bは図12に示すように水中に設置される。
【0081】
図10で示される底泥置換システム12の改質材料投入装置15と同様に、作業用水中ポンプ15b、作業用水管15c、チーズ管15d、二つのボールバルブ15e、二つの改質材料投入用ホッパー15f及び二つの改質材料投入管15gが接続され、図11に示すように二つの改質材料投入管15gが底泥置換装置1の改質材料投入部4にそれぞれ接続される。
【0082】
改質材料投入部4に改質材料19を投入する際の作業用水は、水中に設置された作業用水中ポンプ15bにより水中から供給される。
【0083】
また、図10で示される底泥置換システム12と同様に、作業用水管15cがチーズ管15dにより分岐され、ボールバルブ15e、異径管20及び攪拌用水管21が接続される。攪拌用水管21は、装置取り付け部18に取り付けられたマニーホールド22に接続され、マニーホールド22と底泥置換装置1の各攪拌水チューブ8の攪拌水入力部8aが接続チューブ23により接続される。
【0084】
これにより、水中に設置された作業用水中ポンプ15bにより、攪拌水が底泥置換装置1の各攪拌水チューブ8に供給される構成となる。
【0085】
図12で示される底泥置換システム12は、底泥置換対象の場所が陸上から離れている場合、陸上にバックホウ13、底泥回収装置14及び改質材料投入装置15等の設置エリアが確保できない場合に適用可能である。
【0086】
図10及び図12で示される底泥置換システム12を用いることにより、河川等の水底の底泥層17に所望の配置で底泥の置換及び改質材料19の埋設を行うことができ、改質材料19による水質改善の効果を促進することが可能になる。
【0087】
<本実施の底泥置換方法例>
次に、図1等で説明した底泥置換装置1及び、図10等で説明した底泥置換システム12の動作を、底泥置換方法の実施の形態として説明する。
【0088】
図13から図20は底泥置換の過程を示す断面図である。底泥吸引ポンプ9、アーム部13a、マニーホールド22、攪拌用水管21,排泥管14c、装置取り付け部18及び、改質材料投入管15gは切断されていない状態で示されている。図13から図20を用いて底泥置換の過程を説明する。
【0089】
図13はアウターケーシング2が底泥層17に着底した状態を示し、図14はインナーケーシング3が底泥層17に着底した状態を示している。
【0090】
バックホウ13のアーム部13aに取り付けられた底泥置換装置1を、バックホウ13により、水底の砂層16の上部に形成された底泥層17上の底泥置換作業場所に設置する。図13に示すように、バックホウ13により底泥置換装置1を降ろしてアウターケーシング2を底泥層17に着底させる。
【0091】
その後、図14に示すようにバックホウ13によりインナーケーシング3を降ろし、インナーケーシング3を底泥層17に着底させる。この時、インナーケーシング3はアウターケーシング2に対して底泥吸引位置に位置する状態になる。
【0092】
その後、作業用水中ポンプ15bを動作させ、ボールバルブ15eを開き、各攪拌水チューブ8の攪拌水噴出口8bから攪拌水を噴出させる。更に、底泥吸引ポンプ9を動作させる。
【0093】
図15は、インナーケーシング3及びアウターケーシング2を底泥層17内に圧入した状態を示したものである。インナーケーシング3内部のインナーケーシング底3a下方で底泥層17内の底泥の攪拌及び、攪拌された底泥の吸引を行いながら、バックホウ13によりインナーケーシング3及びアウターケーシング2を底泥層17内に圧入する。
【0094】
図6(b)の矢印F、図7の矢印I及び図15の矢印Jに示すように、攪拌水チューブ8の攪拌水噴出口8bより、インナーケーシング3内部のインナーケーシング底3a下方の底泥層17の底泥に、水平方向で内向きに攪拌水を噴出させることにより、底泥を攪拌する。
【0095】
また、図15の矢印Kに示すように、噴出された攪拌水により攪拌された底泥を、底泥吸引穴部3bを通じて底泥吸引ポンプ9の吸引口9aから吸引する。
【0096】
また、図2及び図3に示すように、下フランジ4bによりインナーケーシング3がアウターケーシング2に対して底泥吸引位置より下方に位置することを防ぐ構成になっているため、インナーケーシング3及びアウターケーシング2を底泥層17内に圧入する際には、バックホウ13により装置取り付け部18を介してインナーケーシング3に下方へ力が加えられることにより、インナーケーシング3及びアウターケーシング2が一体となって底泥層17内に圧入される。
【0097】
また、図10等で説明したアウターケーシング2の外部の側面に備えられた補強板11により、バックホウ13によるインナーケーシング3及びアウターケーシング2の底泥層17への圧入時に、アウターケーシング2が歪むことが防止される。
【0098】
またこの時、吸引された底泥が底泥吸引ポンプ9の排出口9bより排出され、排泥管14cを通じて、排泥用水槽14a内に回収される。
【0099】
以上のような方法により、底泥層17内から底泥置換装置1による底泥の除去及び、除去された底泥の回収が行われる。
【0100】
図16は、インナーケーシング3及びアウターケーシング2を、除去する底泥の高さに合わせて最下部まで底泥層17内に圧入した状態を示したものである。先述した方法により、底泥の攪拌及び攪拌された底泥の吸引を行いながら、バックホウ13によりインナーケーシング3及びアウターケーシング2を除去する底泥の高さに合わせて圧入し、除去対象の底泥を底泥層17より除去する。
【0101】
図17及び図18は、インナーケーシング3をアウターケーシング2に対して改質材料投入位置まで持ち上げた状態を示したものである。図18は底泥置換装置1を図6(b)のG−G断面にて切断された部材のみを示している。攪拌水チューブ8及び攪拌水チューブ固定台3cは示していない。
【0102】
除去対象の底泥の除去後、ボールバルブ15eを閉じて、各攪拌水噴出口8bからの攪拌水の噴出を止める。また、底泥吸引ポンプ9を停止させる。
【0103】
その後、バックホウ13によりインナーケーシング3を改質材料投入位置まで持ち上げ、アウターケーシング2内に底泥が除去された空間を形成する。またこの時、図18に示すように負圧防止管10の負圧防止管上端部10aが、底泥層17の上面より上方に位置した状態にある。
【0104】
このため、インナーケーシング3を持ち上げる際に、アウターケーシング2内部の底泥が除去された空間と、アウターケーシング2外部の水中が負圧防止管10にて連通された状態になる。よって、アウターケーシング2内部の底泥が除去された空間に負圧が生じることが防がれ、インナーケーシング3の持ち上げを容易に行うことが可能になる。
【0105】
図19は、底泥層17から底泥を除去した空間に改質材料19を埋設した状態を示したものである。底泥層17から底泥を除去した空間の形成後、図10等で説明した改質材料投入装置15により、改質材料19を改質材料投入部4よりアウターケーシング2内に投入する。これにより、底泥層17から底泥を除去した空間に改質材料19を埋設する。
【0106】
図20は、底泥層17内から底泥置換装置1を持ち上げた状態を示したものである。改質材料19の埋設後、バックホウ13により底泥層17内から底泥置換装置1を持ち上げる。この時、図5に示すようにケーシングワイヤー7が張った状態となり、改質材料投入位置より上方にインナーケーシング3がアウターケーシング2に対して位置することを防ぐ構成になっている。
【0107】
このため、バックホウ13により装置取り付け部18を介してインナーケーシング3に上方へ力が加えられることにより、インナーケーシング3及びアウターケーシング2が一体となって上方に持ち上げられる。
【0108】
この結果、河川等の水底において底泥層17より底泥が除去され、改質材料19が埋設された状態になる。
【0109】
また、本実施の形態の底泥置換方法では、改質材料19として例えば石炭灰を主材料として加水混合し、造粒方法により粒状に作製された石炭灰材料が用いられる。例えば潮の干満がある感潮河川にて、水底に堆積した底泥層の一部を石炭灰材料に置換することにより、潮の潮汐により埋設された石炭灰材料内に水の流れが生じ、石炭灰材料を介して底泥層内に酸素が供給される。また、干潮時には空気中より石炭灰材料を介して底泥層内に酸素が供給される。
【0110】
これにより底泥層内の還元状態が解消され、河川の底質及び底生動物の生息環境が改善される。
【0111】
本実施の形態の底泥置換装置1では、攪拌水チューブ8及び底泥吸引ポンプ9を備えたインナーケーシング3により底泥を除去し、アウターケーシング2により改質材料19の埋設を行う構成により、改質材料19の埋設に適した径にて底泥の除去及び改質材料19の埋設を行うことが可能となる。
【0112】
また、本実施の形態の底泥置換装置1は、底泥除去時にインナーケーシング3内部のインナーケーシング底3a下方の底泥層17内の底泥に、水平方向で内向きに攪拌水を噴出して底泥を攪拌し、攪拌された底泥を底泥吸引ポンプ9により吸引する構成である。これにより、底泥層17内の底泥を周囲の水中に拡散させずに底泥の吸引を行うことが可能になる。これにより、底泥置換作業時の水質汚濁の発生を防ぐことができる。
【0113】
また、本実施の形態の底泥置換システム12では、底泥吸引ポンプ9の排出口9bに接続された底泥回収装置14により、除去対象の底泥の吸引を行いながら、吸引された底泥の底泥置換装置1からの回収を行うことができる。これにより、底泥置換作業後に底泥置換装置1内部より除去された底泥を回収する必要がなく、一つの対象の底泥置換作業後、すぐに次の対象の底泥置換作業を行うことができる。
【0114】
更に、本実施の形態の底泥置換方法では、図13等で説明した方法により、底泥の除去作業と改質材料19の埋設作業を底泥置換装置1のみで一連の流れで行うことができる。このため、底泥の除去作業と改質材料の埋設作業を別々の装置を用いて行う必要のある従来の底泥置換方法と比べて、底泥の置換作業に必要な装置の構成を単純化でき、また、施工作業の容易化及び施工期間の短縮化が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、河川等の水底の底泥を透水性のよい改質材料に置換する底泥置換装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す概略斜視図である。
【図2】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す説明図である。
【図4】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態の底泥置換装置の例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態の攪拌水噴出口の例を示す構成図である。
【図8】本実施の形態の負圧防止管の例を示す構成図である。
【図9】本実施の形態の補強板の例を示す構成図である。
【図10】本実施の形態の底泥置換システムの例を示す説明図である。
【図11】本実施の形態の底泥置換システムの例を示す説明図である。
【図12】本実施の形態の底泥置換システムの他の例を示す説明図である。
【図13】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図14】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図15】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図16】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図17】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図18】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図19】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図20】本実施の形態の底泥置換方法の過程を示す説明図である。
【図21】従来技術による底泥の除去方法を示す説明図である。
【図22】従来技術による底泥の除去方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0117】
1 底泥置換装置
2 アウターケーシング
3 インナーケーシング
4 改質材料投入部
8 攪拌水チューブ
9 底泥吸引ポンプ
10 負圧防止管
11 補強板
12 底泥置換システム
13 バックホウ
14 底泥回収装置
15 改質材料投入装置
24 作業船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換装置であって、
下面が開放され、外部と内部を連通する改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、
下面が開放され、前記外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥層内の底泥を攪拌する攪拌手段及び、前記攪拌手段により攪拌された底泥を前記底泥層内から吸引する吸引手段を有する内箱部を備え、
前記内箱部は、前記攪拌手段による前記底泥の攪拌及び前記吸引手段による底泥の吸引を行う底泥吸引位置から、前記改質材料投入穴部を開放する改質材料投入位置まで、前記外箱部に対して上下方向に直動自在である
ことを特徴とする底泥置換装置。
【請求項2】
前記攪拌手段は、前記底泥層内に噴出口より水を噴出して底泥を攪拌する噴出手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の底泥置換装置。
【請求項3】
前記噴出手段を複数備え、
前記各噴出口は、前記内箱部内で水平方向の内向きに前記底泥層内に水を噴出して、前記底泥層内の底泥を攪拌する
ことを特徴とする請求項2記載の底泥置換装置。
【請求項4】
前記外箱部に対する前記内箱部の移動範囲を制限する位置決め手段を備えた
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の底泥置換装置。
【請求項5】
前記内箱部が前記外箱部に対して、前記底泥吸引位置と前記改質材料投入位置の間を移動する際に、前記外箱部内部で前記内箱部の下方の空間と、前記外箱部外部の水中を連通する負圧防止手段を、前記外箱部の側面に備えた
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の底泥置換装置。
【請求項6】
前記外箱部は、外部の側面に上下方向へ伸びた板状の補強部を備えた
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載の底泥置換装置。
【請求項7】
水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換システムであって、
底泥を改質材料に置換する底泥置換装置と、
前記底泥置換装置により吸引された底泥を回収する回収装置と、
前記底泥置換装置を水底に降ろし、水底での昇降を行う上下装置と、
改質材料の投入を行う改質材料投入装置とを備え、
前記底泥置換装置は、下面が開放され、外部と内部を連通するとともに前記改質材料投入装置に接続された改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、
下面が開放され、前記外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥層内の底泥を攪拌する攪拌手段及び、前記攪拌手段により攪拌された底泥を前記底泥層内から吸引して前記回収装置に送る吸引手段を有する内箱部を備え、
前記内箱部は、前記攪拌装置による底泥の攪拌及び前記吸引装置による底泥の吸引を行う底泥吸引位置から、前記改質材料投入穴部を開放する改質材料投入位置まで、前記外箱部に対して上下方向に直動自在である
ことを特徴とする底泥置換システム。
【請求項8】
前記回収装置、前記上下装置及び前記改質材料投入装置が、陸上に設置されている
ことを特徴とする請求項7記載の底泥置換システム。
【請求項9】
前記回収装置、前記上下装置及び前記改質材料投入装置が、作業船上に設置されている
ことを特徴とする請求項7記載の底泥置換システム。
【請求項10】
水底の底泥を改質材料に置換する底泥置換方法であって、
下面が開放され、外部と内部を連通する改質材料投入穴部を側面に備えた筒状の外箱部と、下面が開放され、前記外箱部に対して挿入されて内接する筒状で、底泥を攪拌する攪拌手段及び、攪拌された底泥を吸引する吸引手段を有し、前記外箱部に対して上下方向に直動自在である内箱部を備えた底泥置換装置を用い、
前記攪拌手段による底泥の攪拌及び、前記攪拌手段により攪拌された底泥の前記吸引手段による吸引を行いながら、除去する底泥の高さに合わせて、前記内箱部及び前記外箱部を底泥層内に圧入して、前記底泥層内から除去対象の底泥を除去し、
前記改質材料投入穴部が開放される位置まで前記外箱部に対して前記内箱部を持ち上げて、前記外箱部内に底泥が除去された空間を形成し、
前記改質材料投入穴部より改質材料を投入し、前記外箱部内部の前記底泥が除去された空間に改質材料を埋設し、
前記底泥置換装置を前記底泥層内から持ち上げる
ことを特徴とする底泥置換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−316469(P2006−316469A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139116(P2005−139116)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(594127330)中国高圧コンクリート工業株式会社 (37)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】