説明

座金付き締結具

【課題】 座金が脱落することがないように、座金と締結具の座面部とを密着した状態で保持可能な座金付き締結具を提供する。
【解決手段】 雌ねじ部11が形成された筒状部13と雄ねじ部3cと雌ねじ部11との螺合による締結力を受け止める座面部12aとを有するナット本体10と、筒状部13外側に嵌合された座金20と、筒状部13の外周面を内側に押圧する形で取り付けられて座金20の抜けを防止する保持部材30と、を備え、ナット本体10の筒状部外周面13aには、座面部12aに向けて筒状部13の半径方向中心側に縮径する本体側傾斜面14aが形成され、その傾斜面上に保持部材30が配置されるとともに、ナット本体側からの保持部材30に対する押圧反力の軸線方向に生ずる分力に基づいて、座金20とともに座面部12aに押し付け付勢し座金20と座面部12aとを密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座金付き締結具に関し、特に車体側のハブとディスクホイールとを締結するために用いられるホイールナット(ハブナットとも称する)及びホイールボルト(ハブボルトとも称する)に用いて好適な締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナットやボルトにおける座金の固定方法としては、例えば、図16(a)に示すかしめによる方法や、図16(b)に示す圧入による方法等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図16(a)のかしめによる方法では、かしめ圧のバラツキ、ナット500のかしめ部510の出っ張り寸法のバラツキ等により、座金520の脱落等の問題があった。また、ホイールナットに通常採用されている図16(b)の圧入による方法では、ホイールナット200の筒状部610に座金620を圧入前にローレット加工を施してローレット目611を形成し、その後座金620を圧入しているが、そのローレット径のバラツキ、座金620の内径のバラツキ等により座金の回転の妨げや座金脱落のおそれ等の問題があった。さらに、ローレット目611に座金620を圧入する際にはローレット目611が削られて削り粉が生じ、その削り粉がナットやボルトのねじ溝内部に入り込む可能性がある。削り粉が入り込んだねじ溝に対してボルトやナット等のねじ部材を螺合させると、削り粉がねじ溝に焼き付いて組み付けに支障が出る可能性もある。また、これらの方法の場合、座金と座面部との間にわずかな隙間が生じるため、座金と座面部との接触によって耳障りな音が生じることもある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、座金が脱落することがないように、座金と締結具の座面部とを密着した状態で保持可能な座金付き締結具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の座金付き締結具の第一は、
螺合関係を構成する相手側に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成された筒状部と、雄ねじ部と雌ねじ部との螺合による締結力を受け止めるために筒状部に対して外方向に突出して形成される座面部と、を有するナット本体と、
ナット本体の筒状部外側に嵌合される座金と、
ナット本体の座面部との間で座金を挟む形態で、且つ筒状部外周面を該筒状部の半径方向中心側へ押圧した状態で配置され、座金をナット本体の筒状部に位置保持する保持部材と、
を備えて構成されるとともに、
ナット本体の筒状部外周面には、保持部材を座金とともに座面部に対し軸線方向に押し付け付勢する保持部材付勢部が形成されており、該保持部材付勢部に押し付け付勢された保持部材により座金と座面部とが密着して保持されることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するために本発明の座金付き締結具の第二は、
螺合関係を構成する相手側に形成された雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成された軸状部と、雌ねじ部と雄ねじ部との螺合による締結力を受け止めるために軸状部に対して外方向に突出して形成される座面部と、を有するボルト本体と、
ボルト本体の軸状部外側に嵌合される座金と、
ボルト本体の座面部との間で座金を挟む形態で、且つ軸状部外周面を該軸状部の半径方向中心側へ押圧した状態で配置され、座金をボルト本体の軸状部に位置保持する保持部材と、
を備えて構成されるとともに、
ボルト本体の軸状部外周面には、保持部材を座金とともに座面部に対し軸線方向に押し付け付勢する保持部材付勢部が形成されており、該保持部材付勢部に押し付け付勢された保持部材により座金と座面部とが密着して保持されることを特徴とする。
【0007】
上記構成の座金付き締結具は、保持部材によって座金を固定するので、ローレット加工が不要となり、ローレットによるかしめ寸法やローレット径のバラツキによる座金の回転作用の妨げや座金の脱落といった問題を抑制することができる。また、ローレット目への圧入のような、筒状部又は軸状部の外周表面から外側に突出する構造が存在しないので、座金を嵌め込む際に削り粉等は発生せず、削り粉に起因する締結不良等は生じない。また、筒状部又は軸状部の外周表面に本体側傾斜面が形成されない場合を考えると、筒状部又は軸状部の外周表面には保持部材の脱落を防ぐための具体的な構造が存在しないことになるから、保持部材が自らの縮径方向への押圧力で筒状部又は軸状部の外周表面を押圧し、その押圧力だけで自身の位置保持と、座金の支持とを行なうことになる。ところが、保持部材の押圧力だけでは、外部から大きな力や振動が作用した場合に、保持部材自身を保持位置に保つことが困難であり、場合によっては保持部材の脱落の可能性もないとは言い難い。本発明のように、筒状部又は軸状部の外周表面に保持部材の脱落を妨げる具体的な構造(本体側傾斜面)が形成されることで、その構造部分によって物理的に保持部材の脱落を阻止することができるため、保持部材の位置保持効果、ひいては座金の脱落防止効果をより強力なものとすることができる。
【0008】
また、上記構成によれば、保持部材付勢部が、保持部材を座金とともに座面部に対し軸線方向に押し付け付勢するため、座金と座面部とを密着した状態に保持することができる。保持部材は、筒状部又は軸状部の外周面の半径方向中心側への押圧力によって、座金が座面部に対し絶えず押圧されるから、座金の脱落を阻止することができる。また、その押圧力によって座金と座面部とは絶えず密着した状態となり、それらの間には隙間が形成されない。隙間が生じる場合には、座金が保持部材と座面部との間で振動して、それらと接触した際に耳障りな音が生じるが、上記構成の場合、そうした音は発生しない。
【0009】
本発明の座金付き締結具では、保持部材付勢部には、座面部に向けて筒状部又は軸状部の半径方向中心側に縮径する本体側傾斜面が形成され、当該本体側傾斜面上に保持部材が配置されるとともに、該ナット本体側からの保持部材に対する押圧反力の軸線方向に生ずる分力に基づいて、座金とともに座面部に押し付け付勢し、座金と座面部とを密着させることができる。この構成によれば、保持部材が本体側傾斜面を押圧することによって、座金を座面部に押し付け付勢する分力が生じるため、座金と座面部とが隙間なく密着保持され、座金の脱落を阻止することができる。なお、この本体側傾斜面は平面をなして形成することもできるし、曲面をなして形成することもできる。
【0010】
本発明の座金付き締結具では、保持部材付勢部は、筒状部又は軸状部の外周面において半径方向中心側に窪んだ本体側凹部として形成し、本体側傾斜面は、軸線方向において本体側凹部の座面部から遠い側の内面に形成することができる。また、保持部材付勢部は、筒状部又は軸状部外周面において半径方向外側突出する本体側凸部として形成し、本体側傾斜面は、軸線方向において本体側凸部の座面部に近い側の外面に形成することもできる。これらの構成によれば、筒状部又は軸状部の外周面に溝又はリブを設ける等により、本体側傾斜面を有する本体側凹部又は本体側凸部を容易に形成することができる。また、本体側凹部の場合は、保持部材を本体側傾斜面上に配置して座金を支持させる際には、座金の厚みが製造時の誤差等でばらついていたとしても、保持部材を筒状部又は軸状部の外周面上を滑らせる形で本体側傾斜面まで持っていけば、後は保持部材自身の縮径方向の押圧力によって、保持部材が座金を保持する最適な位置に配置されるので、保持部材の組み付けが容易となる。本体側凸部の場合であっても、凸部さえ乗り越えれば、本体側凹部と同様に、保持部材自身の縮径方向の押圧力によって、保持部材を座金を保持する最適な位置に配置することができる。
【0011】
本発明の座金付き締結具では、座金の内周縁部には、座面部に面した側と反対側に、座ぐり部、切欠部その他により、保持部材を収容する収容部が形成され、該収容部を、保持部材によるナット本体又はボルト本体の座面部と座金との位置保持状態において、保持部材の一部を収容するように形成することができる。保持部材が収容部に収容されることにより、締結時において、座金と接触する構造体によって潰されて変形し、保持部材の縮径方向への押圧力が低下することを防ぐことができる。また、保持部材の露出面積が小さくなるので、他の構造物との接触によって傷等が生じることを防ぐこともできる。また、ナット本体又はボルト本体の外周面に上記した本体側凹部が形成されている場合には、その本体側凹部を収容部としてもよいし、座金の内周縁部とその本体側凹部とで収容部を形成してもよい。
【0012】
また、ナット本体を有する座金付き締結具(例えばホイールナット)における保持部材は、円形環状断面をなす筒状部の外周面に弾性接触する円形環状部材で構成するのが望ましい。また、ボルト本体を有する座金付き締結具における保持部材は、雄ねじ部外径より大きい径を有する円形断面をなす軸状部外周面に弾性接触する円形環状部材で構成するのが望ましい。このように、シンプルな形状の環状部材を用いることで、コストダウンを図ることができるとともに、座金の確実な保持も可能となる。なお、円形環状部材は、円形環状形状の一部が切断されたC型形状をなし、弾性機能を有し、例えばステンレス線材等で構成することができる。円形環状部材は、線材等に対して曲げ加工を施すだけで容易に製造することができるから製造コストを抑えることが可能である。
【0013】
また、本発明の座金付き締結具は、ディスクホイールを車体側に締結するためのホイールナットやホイールボルトとすることができ、ホイールナットである場合には、ナット本体を、車体側に突設されるホイールボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成された筒状部と、そのホイールボルトとの螺合による締結力を受け止める座面部と、その座面部に連設された筒状部とを有して構成することができる。
【0014】
この場合、筒状部の端部には雌ねじ部の雌ねじ孔開口部が形成されており、該雌ねじ孔開口部の外部周縁をテーパ面として形成することができる。スペアタイヤのホイール(薄いスチールホイール)は、ホイールナットの雌ねじ孔開口部の外部周縁をなすテーパ面に対して接触した状態で位置固定し、位置固定されたホイールナットに対してホイールボルトを締結するが、この場合、座金はホイールと接触しないため、ホイール側から座金に対して締結力を得ることができないため、ナット本体の座面部側において保持部材のみで保持されることとなる。このとき、本発明の本体側凹部のように保持部材を固定する具体的な構造部分が形成されない場合は、保持部材とホイールナットの筒状部との間に十分な保持力が得られず、車両走行中に大きな衝撃を受けた場合には保持部材が筒状部に沿って移動し、座金との間に隙間が生じてしまう可能性がある。隙間が生じると、座金が保持部材と座面部との間で振動して、それらと接触した際に耳障りな音が生じる。本発明の場合は、保持部材を固定することができる本体側凹部がホイールナットの筒状部に形成されるため、保持部材とホイールナットの筒状部との間にはより大きな保持力が生じ、保持部材の位置ずれが生じ難いので、上記のような音は発生し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施例1)
以下、本発明の座金付き締結具をホイールナットに適用した実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、ホイールナットをホイールボルトと組み合わせて使用する場合の一実施例を示す正面半断面図、図2は図1のホイールナットの分解半断面図、図3は図1に示すホイールナットのA−A断面図、図4は図1に示すホイールナットの座金の内縁部分を拡大した部分拡大図である。
【0016】
図1に示すホイールナット100は、互いに対向配置される自動車等の車体側のハブ1とディスクホイール2とを締結するために用いられる。ディスクホイール2には、ボルト挿通孔2aが所定数形成されている。ボルト挿通孔2aを挿通するホイールボルト3は、ボルト挿通孔2aと軸線Oを共通にする円形断面形状をなす軸状部3aとを有し、その軸状部3aがハブ1に対して回転不能に固定される。また、15はスパナ等の工具と係合する六角部、16は防塵効果又は装飾効果を付与するために雌ねじ部11を先端開口側(車体最外側)から覆うキャップ部である。
【0017】
図2に示すように、このホイールナット100は、ナット本体10と座金20と弾性C型リング30(環状部材;保持部材)とを備えて構成されている。このうちナット本体10は、ハブ1側からボルト挿通孔2aに挿通されるホイールボルト3の軸状部3aの先端側に形成された雄ねじ部3c(図1参照)と螺合する雌ねじ部11と、ホイールボルト3との螺合によってハブ1及びディスクホイール2を介して伝達される締結力を受け止める座面部12aと、その座面部12aから突出する円形環状断面形状の筒状部13とを有している。座面部12aは、筒状部13から外方向に突出して設けられたフランジ部12の筒状部13側(図の軸線方向下側)に設けられている。筒状部13のフランジ部12側には、筒状部13の外周面のうち、締結状態において弾性C型リング30の一部を内部に収容可能な位置に溝部(保持部材付勢部をなす本体側凹部)14が形成されている。溝部14は、その開口部の幅が弾性C型リング30の幅よりも大きく形成されている。
【0018】
座金20は、不連続部を有する円環状をなしディスクホイール2とナット本体10との間に位置して、そのナット本体10の筒状部13の外側に嵌合される(図1参照)。座金20は、ナット本体10に嵌合されたときに座面部12aと面接触する端面20aと、座面部12aに面する側と反対側に開口した座ぐり部(収容部)24とを有している。座ぐり部24は、立面20cと水平面20dとで構成され、座金20の座面部12aに面した側と反対側の端面20bから所定深さの段差を有している。
【0019】
弾性C型リング30は、図3に示すように、座金20の内部周縁の、座面部12aに面した側とは反対側に位置してナット本体10の筒状部13に嵌合され、座金20を筒状部13に位置保持する機能を有している。具体的には、弾性C型リング30は、例えばステンレス線材を円形に曲げたC型形状をなす円形環状部材であり、ナット本体10の筒状部13の外周面13aを半径方向中心側へ押圧付勢した状態、即ち、弾性接触状態で嵌合された状態で、その弾性嵌合力によって自身30及び座金20の筒状部13からの脱落を防止している。また、この弾性C型リング30は、図1のホイールナット1への嵌合時には、座金20の座ぐり部24及びナット本体の溝部14内に収容され、座金20の端面20bから外へ突出しないようになっている。本実施例では、座金20の座ぐり部24及びナット本体10の溝部14とが、弾性C型リング収容部分(保持部材収容部)として機能している。
【0020】
(ホイールナット100の組立方法)
次に、このホイールナット100の組立方法について、図2及び図6を参照して説明する。図2に示すように、ナット本体10、座金20及び弾性C型リング30をそれぞれ別途に製造する。なお、キャップ16は溶接、かしめ等によってナット本体10に固着、又は一体成形しておく。そして、ナット本体10の座面部12aに座金20の端面20aが対面するように座金20をナット本体10の筒状部13に嵌め込み、次に弾性C型リング30をナット本体10の筒状部13の外周面13aに嵌め込む。この時、弾性C型リング30は、座金20の座ぐり部24部分に収容され、座金20の下端面側から突出しないよう組み付けることが望ましい。
【0021】
弾性C型リング30を嵌め込む際には、弾性C型リング30を、ナット本体10の筒状部13の外周表面を滑らせる形で溝部14に向けて移動させ、図4に示すように、座金20の立面20cと筒状部13との間に形成される開口部20eから溝部14に嵌め込む。開口部20eは弾性C型リング30が通過可能な形状及び大きさで形成されており、開口部20eの幅R0が弾性C型リング30の断面幅よりもわずかに広く形成されている。弾性C型リング30は、自らのばね力(縮径方向への押圧力)によって絶えずF方向の力が作用しているから、開口部20eを通過すると溝部14の本体側傾斜面14a上をその傾斜方向に沿って移動し、座金20の水平面20dに接触して止まる。この状態で、弾性C型リング30は、自身のばね力f1によって本体側傾斜面14aとの接点で支持され、ばね力f1の本体側傾斜面方向の分力f2と同等の力f4の、水平面20dと垂直な方向の分力f5によって、その水平面20dとの接点で支持される。即ち、弾性C型リング30は、自身のばね力f1の分力によって、自身30を筒状部13(本体側傾斜面14a)に押圧付勢しつつ、座金20を座面部12aに押圧付勢することで、その一部をナット本体10の溝部14に収容した状態で座金20の座ぐり部24に収容され、一体化する。このようにして組み付けられたホイールナット100がホイールボルト3に締結されることとなる。なお、本体側傾斜面14aを第一本体側傾斜面としたとき、これに対向する位置に設けられた本体側第二傾斜面14bに対し、弾性C型リング30は本体側第二傾斜面14bと該非接触状態な状態で座金20を座面部12a側に押し付け、この状態で座金20と座面部12aとが接触して保持される必要がある。また、収容された弾性C型リング30は、座金20の端面20bから突出することなく隠れる状態にして組み付けることが望ましい。また、弾性C型リング30は、線材を腕曲・切断加工しつつ嵌合させる工法を採用することができる。
【0022】
このように、弾性C型リング30は、座金20のナット本体10の座面部12aに面した側と反対側に位置し、ナット本体10の溝部14に半径方向中心側へ押圧嵌合(弾性接触)して座金20を保持している。座金20は弾性C型リング30によって保持されているので、かしめ加工、ローレット加工が不要で、ナット本体10の座面部12aに対して回転可能に密着保持される。また、ホイールナット100の組み立ては、座金20の立面20cと筒状部13との間に形成される開口部20eに弾性C型リング30を嵌め込むだけでよく、後は弾性C型リング30が自身のばね力によって座金20を保持する最適な位置に移動するから、座金20を予め位置合わせしてから弾性C型リング30を嵌め込むような手間は生じることはない。さらに、溝部14は比較的大きな溝形状をなして形成されており、座金20と弾性C型リング30とが組み立てられた完成状態において、溝部14内には、弾性C型リング30のさらに上方奥側に残余空間が存在するように形成されている。つまり、溝部14は、座金20が存在していない状態であれば、弾性C型リング30をさらに奥まで移動させることができるように形成されている。従って、座金20との接触によって定められる弾性C型リング30の配置位置は、本体側傾斜面14a上の溝部開口部からその残余空間までの間であればどこであってもよく、座金20や弾性C型リング30等に僅かな加工寸法のバラツキが生じたり、多少の大きさの規格の違いがあったとしても、自身の位置を本体側傾斜面14a上でずらすことで、座金20と自身30とを保持する最適な位置を見つけ出すことができる。また、締結時には、座ぐり部24及び溝部14部分に弾性C型リング30が収容されると、座金20内に弾性C型リング30が隠れるから、締結作用に支障を及ぼすこともない。なお、ディスクホイール2のボルト挿通2aの開口周縁部に弾性C型リング30を収容する空間がある場合は、座金20の座ぐり部24は必ずしも必要ではない。
【0023】
また、図1〜図4において、溝部14はV溝として形成されているが、図5のように形成されていてもよい。即ち、図5に示す座金付き締結具の場合、弾性C型リング(保持部材)30が予圧縮状態で第一傾斜面(本体側第一傾斜面)14aに押し付けられることで、溝部14の座面部12aから遠い側の内面14aに形成されている第一傾斜面14aには、溝底(溝部14の底部)14cに向かう方向の弾性力f2が生じ、この弾性力の座金20に対する垂直成分の分力f5が座金20を座面部12aに常時押し付けた状態に維持する構造を有する。この構造では、溝部14は、座面部12aに向かうほどナット本体の中心軸線側に近接する第一の溝面である第一傾斜面(本体側第一傾斜面)14aと、さらに、該第一傾斜面14aに対向する第二の溝面である第二傾斜面(本体側第二傾斜面)14bと、第一傾斜面14aと第二傾斜面14bとの双方と滑らかに連続する円弧状断面を有する溝底部14cとを有して形成されており、溝部14が滑らかに連続する内面を有して形成されていることで、クラック等を生じるような応力集中を生じ難い構造となっている。図5において、第一傾斜面14a及び第二傾斜面14bは、円弧状断面を有する溝底部14cからの法線に対し、それぞれが30°の角度をなす傾斜面として形成され、該法線に対し第一傾斜面14a及び第二傾斜面14bは対称をなして形成されている。なお、第二傾斜面14bについては、弾性C型リング(保持部材)30が座金20を座面部12aに密着保持する位置にあるときに、該弾性C型リング30と非接触状態となるように形成されていれば、特に傾斜面として形成される必要はない。
【0024】
また、ホイールナットは、上記のディスクホイール2のような比較的厚みのあるホイール(例えばアルミホイール)だけでなく、比較的厚みの薄いホイール(例えばスペアタイヤ等のスチールホイール)の締結にも使用することができる。図6は、上記実施例のホイールナット100によってスペアタイヤのスチールホイールを締結した状態を示す図である。スペアタイヤのホイールディスク2´は、上記実施例のディスクホイール2よりも薄く形成されるから、座金20の端面20bとは接触せず、座面部12bはディスクホイール2´側からの締結力を受けず、代わりに筒状部13の雌ねじ孔開口部11aの外部周縁に設けられたテーパ面(軸線Oに対して60度をなして形成される)13bとディスクホイール2´のディスクホイール面2b´とが面接触して、ディスクホイール2´側から締結力を受ける。本発明によれば、弾性C型リング30を固定することができる溝部14がホイールナット100の筒状部13に形成されるため、弾性C型リング30と筒状部13との間にはより大きな保持力が生じ、外部から振動や衝撃が加えられたとしても弾性C型リング30の位置ずれは生じ難いので、座金20が振動して耳障りな音が生じるようなことはなく、厚みの薄いホイールの締結にも使用することができる。
【0025】
(変形例1)
図7、図8、図9は、上記ホイールナットの変形例1を示す。これらの図に示すホイールナット101は、実施例1(図1〜図6)に次のような変更を加えている。ナット本体10には、上記実施例の溝部14に代わって、筒状部13の内側に断面が円弧状をなして窪んだ円弧溝(保持部材付勢部をなす本体側凹部)140が形成されており、座金21の内周縁部には、上記座ぐり部24に代わって、座面部12aに面した端面21aと反対側に開口部21e(図9)が形成され、端面21bから端面21aに向かって縮径する座面側傾斜面21cにより、穴部(切欠部:収容部)240が形成されている。組み立ての際には、図9に示すようにして、弾性C型リング30をナット本体10の筒状部13の外周表面13aを滑らせる形で円弧溝140に向けて移動させ、座金21の座金側傾斜面21cの下端と筒状部13との間に形成される開口部21eから弾性C型リング30を嵌め込む。開口部21eは弾性C型リング30が通過可能となるように形成されている。弾性C型リング30は、自らのばね力によって絶えずF方向の力(図9)が作用しているから、開口部21eを通過すると円弧溝140の本体側傾斜面(座面部12a側を向く傾斜面)140a上をその円弧形状に沿って移動し、座金21の座金側傾斜面21cに接触して止まる。これら双方の面140a、21cへの接触状態において、弾性C型リング30は、自身のばね力f6によって本体側傾斜面140aとの接点で支持され、さらに、ばね力f6の傾斜面方向の分力f7と同等の力f9の、座面部12aに対して垂直な方向の分力f10によって、座金側傾斜面21cとの接点で支持される。即ち、弾性C型リング30は、自身のばね力f6の分力によって、自身30を筒状部13(本体側傾斜面140a)に押圧付勢しつつ、座金21を座面部12aに押圧付勢することで、その一部をナット本体10の円弧溝140に収容した状態で座金21の穴部240に収容され、一体化する。このとき、本体側傾斜面140aを第一傾斜面(本体側第一傾斜面)としたとき、該第一傾斜面に対向する位置にある第二傾斜面(本体側第二傾斜面)140bについては、弾性C型リング(保持部材)30が座金20を座面部12aに密着保持する位置にあるときに、該弾性C型リング30と非接触状態となるように形成されていれば、特に傾斜面として形成される必要はない。なお、図7〜図9において図1〜図6と共通する機能を有する部分には同一符号を付してある。
【0026】
(変形例2)
図10、図11、図12は、上記ホイールナットの変形例2を示す。これらの図に示すホイールナット101は、実施例1(図1〜図6)に次のような変更を加えている。ナット本体10には、上記実施例の溝部14に代わって、筒状部13の半径方向外側に突出するリブ部(保持部材付勢部をなす本体側凸部)141が形成されており、座金22の内周縁部には、上記座ぐり部(収容部)241が形成されている。組み立ての際には、図12に示すようにして、弾性C型リング30をナット本体10の筒状部13の外周表面13aを滑らせる形でリブ部141に向けて移動させ、そのリブ部141を乗り越えさせた後、座金22の座金20の座金側傾斜面22cの下端と筒状部13との間に形成される開口部22eから弾性C型リング30を嵌め込む。開口部22eは弾性C型リング30が弾性変形することによって通過可能となるように形成されている。弾性C型リング30は、自らのばね力によって絶えずF方向の力(図12)が作用しているから、開口部22eを通過するとリブ部141の本体側傾斜面(座面部12a側を向く傾斜面)141a上を移動し、座金22の座金側傾斜面22cに接触して止まる。これら双方の面141a、22cへの接触状態において、弾性C型リング30は、自身のばね力f11によって本体側傾斜面141aとの接点で支持され、さらに、ばね力f11の傾斜面方向の分力f12と同等の力f14の、座面部12aに対して垂直な方向の分力f15によって、座金側傾斜面22cとの接点で支持される。即ち、弾性C型リング30は、自身のばね力f11の分力によって、自身30を筒状部13(本体側傾斜面141a)に押圧付勢しつつ、座金22を座面部12aに押圧付勢することで、座ぐり部241に収容され、一体化する。なお、図10〜図12において図1〜図6と共通する機能を有する部分には同一符号を付してある。
【0027】
(実施例2)
図13、図14、図15は、本発明の座金付き締結具をホイールボルトに適用した例を示す正面半断面図である。図13に示すホイールボルト110は、互いに対向配置される自動車等の車体側のハブ1とディスクホイール2とを締結するために用いられる。ディスクホイール2には、ボルト挿通孔2aが所定数形成されている。また、ハブ1には、ボルト挿通孔2aと軸線Oを共通にする雌ねじ部1cが形成されている。
【0028】
図14に示すように、このホイールボルト110は、ボルト本体50と座金20と弾性C型リング30(環状部材;保持部材)とを備えている。このうちボルト本体50は、ボルト挿通孔2aに挿通されてハブ1に形成された雌ねじ部1c(図13参照)と螺合する雄ねじ部51と、雌ねじ部1cとの螺合によってハブ1及びディスクホイール2を介して伝達される締結力を受け止める座面部52aと、その座面部52aから突出し雄ねじ部51の外径より大きい径の断面円形状の軸状部53とを有している。52は座面部52を有するフランジ部であり、軸状部53のフランジ部52側には、軸状部53の外周面のうち、締結状態において弾性C型リング30の一部を内部に収容可能な位置に溝部(保持部材付勢部をなす本体側凹部)54が形成されている。弾性C型リング30は、図13に示すように、締結時にその一部が溝部54に収容される。なお、55はスパナ等の工具と係合する六角部である。
【0029】
座金20は、不連続部を有する円環形状をなし、そのボルト本体50の軸状部53の外側に嵌合されている(図13参照)。座金20は、ボルト本体50に嵌合されたときに座面部52aと面接触する端面20aと、内周縁部に座面部52aに面した側と反対側に開口した座ぐり部(収容部)24とを有している。座ぐり部24は、座金20の座面部52aに面した側と反対側の端面20bから所定深さの段差を有している。
【0030】
弾性C型リング30は、座金20の内部周縁の、座面部52aに面した側と反対側に位置してボルト本体50の軸状部53に嵌合され、座金20を軸状部53に位置保持する機能を有している。弾性C型リング30は、ボルト本体50の軸状部53の外周面53aを半径方向中心側へ押圧付勢した状態で、即ち、弾性接触状態で嵌合された状態で、その弾性嵌合力によって自身30及び座金20の軸状部53からの脱落を防止している。また、この弾性C型リング30は、図13のホイールボルト110への嵌合時には、座ぐり部24及びボルト本体50の溝部54に収容され、座金20の端面20bから外へ突出しないようになっている。本実施例では、座金20の座ぐり部24及びボルト本体50の溝部54とが、弾性C型リング収容部分(保持部材収容部)として機能している。
【0031】
(1)ホイールボルト110の組立方法
次に、このホイールボルト110の組立方法について、図14を参照して説明する。図14に示すように、ボルト本体50、座金20及び弾性C型リング30をそれぞれ別途に製造する。そして、ボルト本体50の座面部52aに座金20の端面20aが対面するようにして座金20をボルト本体50に嵌め込み、次に、弾性C型リング30をボルト本体50の軸状部53の外周面53aに嵌め込む。
【0032】
弾性C型リング30を嵌め込む際には、弾性C型リング30を、ボルト本体50の軸状部53の外周表面を滑らせる形で溝部54に向けて移動させ、図15に示すように、座金20の立面20cと軸状部13との間に形成される開口部20eから溝部54に嵌め込む。開口部20eは弾性C型リング30が通過可能となるように形成されている。弾性C型リング30は、自らのばね力によって絶えずF方向の力が作用しているから、開口部20eを通過すると溝部54の本体側傾斜面54a上を傾斜方向に沿って移動し、座金20の水平面20dに接触して止まる。この状態で、弾性C型リング30は、自身のばね力f1によって本体側傾斜面54aとの接点で支持され、ばね力f1の本体側傾斜面方向の分力f2と同等の力f4の水平面20dと垂直な方向の分力f5によってその水平面20dとの接点で支持される。即ち、弾性C型リング30は、自身のばね力f1の分力によって、自身30を軸状部53(本体側傾斜面54a)に押圧しつつ、座金20を座面部52aに押圧することで、その一部をボルト本体50の溝部54に収容した状態で座金20の座ぐり部24に収容され、一体化する。この構成により、上記の実施例1のホイールナットと同様の効果を有するホイールボルトを組み立てることができる。
【0033】
なお、ホイールナットの変形例として示した変形例1及び変形例2について、ホイールボルトの変形例として用いることができる。即ち、変形例1(図7、図8、図9)では、座金21に座面側傾斜面21cを有する穴部240を形成した例を示しているが、座金20の座ぐり部24に替えて穴部240としてもよい。また、変形例1及び変形例2(図10、図11、図12)では、筒状部13に溝部14、140を形成した例を示しているが、この溝部14、140に替えてリブ部141としてもよい。また、上記実施例における溝部54はV溝として形成されているが、図5の溝部14と同様にして形成することもできる。
【0034】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本発明の保持部材は、上記のような弾性C型リングの形状に限られず、少なくとも筒状部又は軸状部に設けられる保持部材付勢部の内面形状に対応する形状を有し、その保持部材付勢部に取り付けた際に半径方向内側に押圧力を生じる形状のものであればよい。
【0035】
また、本発明の保持部材付勢部をなす本体側凹部は、座面部に向けて縮径する傾斜面を有して構成されるほうが望ましい。この場合、この傾斜面によって保持部材を本体側凹部のより奥側へと誘導し、座金とこの傾斜面とで保持部材をより強く狭圧して保持することができる。なお、本体側傾斜面の傾斜方向と保持部材のばね力の作用する方向とがなす角(図4、図9、図15のθ)が小さい方が保持部材は抜けにくい。
【0036】
また、本発明の座金は、本発明の保持部材が嵌め込まれた際に、該保持部材によって座面部側に押圧される面を有する形状であれば、特に上記のような保持部材を収容する座ぐり部24や穴部240等の収容部を形成する必要は無い。ただし、収容部を形成して保持部材を外部に対して隠すことが可能であれば、締結時に保持部材に対して余計なストレスが加わってばね力が低下するといった問題を回避することができる。また、その収容部を構成する面のうち、保持部材によって座面部側に押圧される面が、座面部側とは逆側から座面部側に向かって拡径する座金側傾斜面として形成され、筒状部又は軸状部に臨むように形成されていれば、その傾斜面によって保持部材を収容部奥側へと誘導し、この傾斜面と保持部材付勢部とによって保持部材をより安定して狭圧保持することができる。
【0037】
上記のような傾斜面は、筒状部又は軸状部の保持部材付勢部と、座金の収容部とのいずれか又は両方に設けることが可能であり、両方に設けることによって保持部材を収容部及び保持部材付勢部のより奥側に誘導しやすくなり、より強固に狭圧保持することが可能となる。この場合は、保持部材が接触する位置において、保持部材付勢部の傾斜面と保持部材のばね力の作用する方向とがなす角度よりも、座金側傾斜面と保持部材のばね力の作用する方向とがなす角度の方が大きくなるように形成する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の座金付き締結具をホイールナットに適用した一実施例を示す正面半断面図。
【図2】図1のホイールナットの正面分解半断面図。
【図3】図1のホイールナットのA−A断面図。
【図4】図1のホイールナットの部分拡大図。
【図5】図4の溝部の改良例を示す図。
【図6】図1のホイールナットの他の使用例。
【図7】図1のホイールナットの変形例1を示す正面半断面図。
【図8】図7のホイールナットの正面分解半断面図。
【図9】図7のホイールナットの部分拡大図。
【図10】図1のホイールナットの変形例2を示す正面半断面図。
【図11】図10のホイールナットの正面分解半断面図。
【図12】図10のホイールナットの部分拡大図。
【図13】本発明の座金付き締結具をホイールボルトに適用した一実施例を示す正面半断面図。
【図14】図13のホイールボルトの正面分解半断面図。
【図15】図13のホイールボルトの部分拡大図。
【図16】従来のホイールナットの正面半断面図。
【符号の説明】
【0039】
1 ハブ
2,2´ ディスクホイール
2a ボルト挿通孔
10 ナット本体
11,1c 雌ねじ部
12a,52a 座面部
13,53 筒状部
13a,53a 外周面
14,54 溝部(保持部材付勢部)
140 穴部(保持部材付勢部)
141 リブ部(保持部材付勢部)
14a,54a,140a,141a 傾斜面(本体側傾斜面)
24 座ぐり部
20,21,22 座金
30 弾性C型リング(環状部材;保持部材)
50 ボルト本体
51,3c 雄ねじ部
53 軸状部
100,101 ホイールナット(座金付き締結具)
110 ホイールボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺合関係を構成する相手側に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成された筒状部と、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合による締結力を受け止めるために前記筒状部に対して外方向に突出して形成される座面部と、を有するナット本体と、
前記ナット本体の筒状部外側に嵌合される座金と、
前記ナット本体の座面部との間で前記座金を挟む形態で、且つ前記筒状部外周面を該筒状部の半径方向中心側へ押圧した状態で配置され、前記座金をナット本体の筒状部に位置保持する保持部材と、
を備えて構成されるとともに、
前記ナット本体の筒状部外周面には、前記保持部材を前記座金とともに前記座面部に対し前記軸線方向に押し付け付勢する保持部材付勢部が形成されており、該保持部材付勢部に押し付け付勢された前記保持部材により前記座金と前記座面部とが密着して保持されることを特徴とする座金付き締結具。
【請求項2】
前記保持部材付勢部には、前記座面部に向けて前記筒状部の半径方向中心側に縮径する本体側傾斜面が形成され、当該本体側傾斜面上に前記保持部材が配置されるとともに、該ナット本体側からの前記保持部材に対する押圧反力の前記軸線方向に生ずる分力に基づいて、前記座金とともに前記座面部に押し付け付勢する請求項1記載の座金付き締結具。
【請求項3】
前記保持部材付勢部は、前記筒状部外周面において半径方向中心側に窪んだ本体側凹部として形成され、
前記本体側傾斜面は、前記軸線方向において前記本体側凹部の前記座面部から遠い側の内面に形成されている請求項2記載の座金付き締結具。
【請求項4】
前記保持部材付勢部は、前記筒状部外周面において半径方向外側に突出する本体側凸部として形成され、
前記本体側傾斜面は、前記軸線方向において前記本体側凸部の前記座面部に近い側の外面に形成されている請求項2記載の座金付き締結具。
【請求項5】
前記座金の内周縁部には、前記座面部に面した側と反対側に前記保持部材を収容する収容部が形成され、該収容部は、前記保持部材による前記ナット本体の座面部と前記座金との位置保持状態において、前記保持部材の一部を収容するように形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の座金付き締結具。
【請求項6】
前記筒状部の端部には前記雌ねじ部の雌ねじ孔開口部が形成されており、該雌ねじ孔開口部の外部周縁がテーパー面として形成されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の座金付き締結具。
【請求項7】
前記筒状部は、円形環状の断面形状をなし、
前記保持部材は、該筒状部外周面に弾性接触する円形環状部材で構成されている請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の座金付き締結具。
【請求項8】
螺合関係を構成する相手側に形成された雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成された軸状部と、前記雌ねじ部と前記雄ねじ部との螺合による締結力を受け止めるために前記軸状部に対して外方向に突出して形成される座面部と、を有するボルト本体と、
前記ボルト本体の軸状部外側に嵌合される座金と、
前記ボルト本体の座面部との間で前記座金を挟む形態で、且つ前記軸状部外周面を該軸状部の半径方向中心側へ押圧した状態で配置され、前記座金をボルト本体の軸状部に位置保持する保持部材と、
を備えて構成されるとともに、
前記ボルト本体の軸状部外周面には、前記保持部材を前記座金とともに前記座面部に対し前記軸線方向に押し付け付勢する保持部材付勢部が形成されており、該保持部材付勢部に押し付け付勢された前記保持部材により前記座金と前記座面部とが密着して保持されることを特徴とする座金付き締結具。
【請求項9】
前記保持部材付勢部には、前記座面部に向けて前記軸状部の半径方向中心側に縮径する本体側傾斜面が形成され、当該本体側傾斜面上に前記保持部材が配置されるとともに、該ボルト本体側からの前記保持部材に対する押圧反力の前記軸線方向に生ずる分力に基づいて、前記座金とともに前記座面部に押し付け付勢する請求項8記載の座金付き締結具。
【請求項10】
前記保持部材付勢部は、前記筒状部外周面において半径方向中心側に窪んだ本体側凹部として形成され、
前記本体側傾斜面は、前記軸線方向において前記本体側凹部の前記座面部から遠い側の内面に形成されている請求項9記載の座金付き締結具。
【請求項11】
前記保持部材付勢部は、前記軸状部外周面において半径方向外側に突出する本体側凸部として形成され、
前記本体側傾斜面は、前記軸線方向において前記本体側凸部の前記座面部に近い側の外面に形成されている請求項9記載の座金付き締結具。
【請求項12】
前記座金の内周縁部には、前記座面部に面した側と反対側に前記保持部材を収容する収容部が形成され、該収容部は、前記保持部材による前記ボルト本体の座面部と前記座金との位置保持状態において、前記保持部材の一部を収容するように形成されている請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の座金付き締結具。
【請求項13】
前記軸状部は前記雄ねじ部外径より大径の円形断面形状をなし、
前記保持部材は、該軸状部外周面に弾性接触する円形環状部材で構成されている請求項8ないし請求項12のいずれか1項に記載の座金付き締結具。
【請求項14】
前記円形環状部材は、円形環状形状の一部が切断されたC型形状をなし、弾性機能を有した線材で構成されている請求項7又は請求項13記載の座金付き締結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−211936(P2007−211936A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34512(P2006−34512)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000147109)株式会社杉浦製作所 (11)
【Fターム(参考)】