説明

廃トナー回収容器、及び、画像形成装置

【課題】容器内に廃トナーの架橋が形成されにくく、大容量の容器内に廃トナーを全体的に満遍なく回収することができる、廃トナー回収容器、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】奥行方向に延在する廃トナー貯留部31には、廃トナーを奥行方向に搬送する搬送部材41が設置されている。廃トナー貯留部31の上方に突設されて廃トナーの流入口32a1BKが形成された廃トナー流入部32には、搬送部材41の動作に連動して第1内壁面32eに沿って揺動して第1内壁面32e及び第2内壁面32gに摺動する可撓性部材61が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、そこに設置される廃トナー回収容器と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、転写工程がおこなわれた後に感光体ドラム、感光体ベルト、中間転写ベルト、中間転写ドラム等の像担持体上に残留する未転写トナーをクリーニング部で除去して、クリーニング部で回収された未転写トナーを廃トナーとしてクリーニング部から排出して廃トナー回収容器に回収する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
このような廃トナー回収容器は、容器内が回収された廃トナーで満杯になると(又は、満杯に近い状態になると)、画像形成装置本体から取出されて、空の容器と交換(メンテナンス)される。
【0003】
特許文献1、2等には、略直方体の廃トナー回収容器が開示されている。そして、略直方体の廃トナー回収容器の内部において廃トナーが満遍なく充填されるように、廃トナーを搬送する搬送部材(廃トナー搬送手段、パドル)が容器に内設されている。
【0004】
一方、特許文献3等には、トナー搬送経路におけるトナーの架橋を防止することを目的として、トナー搬送経路において、傾斜する内壁面に沿って上下方向に揺動する揺動部材(揺動手段)を設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、2等の廃トナー回収容器は、略直方体の容器であって、画像形成装置本体の無駄なスペースを有効的に利用できずに、廃トナーの回収容量がそれ程多くないという問題があった。したがって、廃トナー回収容器のメンテナンスサイクルが比較的早くなっていた。
このような問題を解決するために、作像部、給紙部、定着部、用紙搬送部等の機能部を除く画像形成装置本体の無駄なスペースを最大限に利用して、奥行方向に延在する直方体の部分の上方にさらに直方体の部分を突設させるように廃トナー回収容器を形成して、廃トナー回収容器を大容量化する方策が考えられる。しかし、その場合、上方に突設された部分も含めて廃トナー回収容器の全体に廃トナーが満遍なく充填されるように構成する必要があるとともに、廃トナー回収容器の内部において廃トナーが凝集・固着して架橋が形成されて廃トナーのスムーズな回収が妨げられないように構成する必要がある。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、容器内に廃トナーの架橋が形成されにくく、大容量の容器内に廃トナーを全体的に満遍なく回収することができる、廃トナー回収容器、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかる廃トナー回収容器は、像担持体上の未転写トナーを除去するクリーニング部から排出された当該未転写トナーを廃トナーとして回収する廃トナー回収容器であって、奥行方向に延在するように形成されるとともに、廃トナーを貯留する廃トナー貯留部と、前記廃トナー貯留部の上方に突設されるとともに、前記クリーニング部から排出された廃トナーが搬送される搬送管の排出口に連通する流入口が形成された廃トナー流入部と、を備え、前記廃トナー貯留部は、前記廃トナー流入部を介して流入されて堆積された廃トナーを奥行方向に搬送する搬送部材を具備し、前記廃トナー流入部は、上下方向に延在して互いに交会する第1内壁面と第2内壁面とが前記流入口の下方に形成され、前記搬送部材の動作に連動して前記第1内壁面に沿って上下方向に揺動して、その平面部が前記第1内壁面に摺動するとともに、その側部が前記第2内壁面に摺動する可撓性部材をさらに備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、奥行方向に延在するように形成された廃トナー貯留部の上方に廃トナー流入部を突設させるとともに、廃トナー貯留部に廃トナーを奥行方向に搬送する搬送部材を設けて、搬送部材の動作に連動して廃トナー流入部の第1内壁面に沿って揺動して第1内壁面及び第2内壁面に摺動する可撓性部材をさらに設けている。これにより、容器内に廃トナーの架橋が形成されにくく、大容量の容器内に廃トナーが全体的に満遍なく回収される、廃トナー回収容器、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】廃トナー回収容器を奥行方向に示す構成図である。
【図4】廃トナー回収容器を示す斜視図である。
【図5】廃トナー回収容器を示す上面図である。
【図6】廃トナー回収容器を示す側面図である。
【図7】廃トナー回収容器を示す正面図である。
【図8】第1搬送部材を示す斜視図である。
【図9】第1搬送部材を示す上面図である。
【図10】第1搬送部材の腕部を示す側面図である。
【図11】第2搬送部材を示す斜視図である。
【図12】第2搬送部材を示す側面図である。
【図13】廃トナー貯留部の奥行方向奥側を示す拡大断面図である。
【図14】廃トナー満杯状態の廃トナー回収容器の一部を示す図である。
【図15】可撓性部材の近傍であって廃トナー回収容器の内部を示す斜視図である。
【図16】(A)本実施の形態における可撓性部材を示す正面図と、(B)比較例としての可撓性部材を示す正面図と、である。
【図17】可撓性部材の近傍を示す拡大図である。
【図18】可撓性部材が揺動する状態を示す斜視図である。
【図19】第2搬送部材や可撓性部材が設置されていない状態の廃トナー回収容器の内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数の作像部としてのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKが中間転写体としての中間転写ベルト17に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。
【0012】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、3は原稿を原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、6は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、7は転写紙等の記録媒体Pが収納される給紙部、10Y、10M、10C、10BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部としてのプロセスカートリッジ、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト(像担持体)、18は中間転写ベルト17上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する2次転写ローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着部、28は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの現像装置に各色のトナーを補給するためのトナー容器、30は廃トナーが回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0013】
ここで、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)は、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像部13(現像装置)、クリーニング部15(クリーニング装置)が一体化されたものである(図2を参照できる。)。そして、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKは、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKにおける感光体ドラム11(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0014】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部(不図示である。)で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0015】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部6に送信される。そして、書込み部6からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11上に向けて照射される。
【0016】
一方、4つの感光体ドラム11は、それぞれ、図の時計方向に回転している。そして、図2を参照して、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電部12(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、像担持体としての感光体ドラム11上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部6において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。図示は省略するが、レーザ光は、ポリゴンミラーに入射して反射した後に、複数のレンズを透過する。複数のレンズを透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0017】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラー(不図示である。)により、感光体ドラム11の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ12aにて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0018】
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ10Cの感光体ドラム11表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ10Mの感光体ドラム11表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目(中間転写ベルト17の走行方向に対して最も下流側である。)のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)の感光体ドラム11表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0019】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11表面は、それぞれ、現像部13(図2を参照できる。)との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、像担持体としての中間転写ベルト17(中間転写体)との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写体としての中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ14が設置されている。そして、1次転写ローラ14の位置で、像担持体としての中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(第1転写工程である。)。
【0020】
そして、第1転写工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、クリーニング部15(図2を参照できる。)との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11(像担持体)上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11表面は、除電部(不図示である。)の位置を通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
他方、感光体ドラム11上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト17表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ18の位置に達する。そして、2次転写ローラ18の位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上のフルカラーの画像が2次転写される(第2転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部9(クリーニング部)の位置に達する。そして、像担持体としての中間転写ベルト17上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部9(クリーニング部)に回収されて、中間転写ベルト17上の一連の転写プロセスが完了する。
【0022】
ここで、2次転写ローラ18位置の記録媒体Pは、給紙部7から搬送ガイド、レジストローラ19等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された転写紙Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ19に導かれる。レジストローラ19に達した記録媒体Pは、中間転写ベルト17上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ18の位置に向けて搬送される。
【0023】
その後、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20に導かれる。定着部20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラ29によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙部5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、図2にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
図2は、黒色用のプロセスカートリッジ10BKを示す構成図である。その他の3つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cは、それぞれ、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる点を除き、黒色用のプロセスカートリッジ10BKとほぼ同じに構成されているため、その図示と説明とを省略する。
【0025】
図2に示すように、プロセスカートリッジ10BKには、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電部12と、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する現像部13と、感光体ドラム11上の未転写トナーを回収するクリーニング部15と、がケースに一体的に収納されている。
【0026】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。図示は省略するが、感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層(表面層)が順次積層されている。
帯電部12は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電部12(帯電ローラ)に不図示の電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
【0027】
現像部13(現像装置)は、主として、感光体ドラム11に対向する現像ローラ13aと、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13b1と、仕切部材を介して第1搬送スクリュ13b1に対向する第2搬送スクリュ13b2と、現像ローラ13aに対向するドクターブレード13cと、で構成される。現像ローラ13aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ13a(スリーブ)上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ13a上に現像剤が担持されることになる。
【0028】
現像部13内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。本実施の形態において、トナーは、画質向上のために、小粒径で略球形のものを用いている。
具体的に、トナーは、円形度が0.92以上になるように形成されたものである。「円形度」は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」(東亜医用電子社製)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。)を0.1〜0.5ml加えて、さらに測定試料(トナー)を0.1〜0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、分散液濃度が3000〜10000個/μlとなるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。
また、トナーは、形状係数SF−1と形状係数SF−2とが、いずれも、100〜180の範囲になるように形成されたものである。
また、トナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmの範囲であって、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.05〜1.40の範囲になるように形成されたものである。
さらに、トナーは、長軸と短軸との比(r1/r2)が0.5〜1.0の範囲であって、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であって、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を満足するように形成されたものである。
このような小粒径・球形トナーは、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子が存在する状態で架橋又は/及び伸長反応させることで製造することができる。
【0029】
図2を参照して、クリーニング部15(クリーニング装置)には、感光体ドラム11に当接するクリーニングブレード15a、クリーニング部15内に回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー回収容器30(図3を参照できる。)に向けて搬送する搬送コイル15b(搬送管16)、等が設置されている。クリーニングブレード15aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー等の付着物が機械的に掻き取られてクリーニング部15内に回収されることになる。そして、クリーニング部15内に回収された未転写トナーは、搬送管16(搬送コイル15bが内設されている。)を介して、廃トナー回収容器30まで搬送されて、廃トナーとして廃トナー回収容器30の内部に回収される。
同様に、図1を参照して、クリーニング部としての中間転写ベルトクリーニング部9にも、中間転写ベルト17(中間転写体)に当接するクリーニングブレード、中間転写ベルトクリーニング部9内に回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー回収容器30(図3を参照できる。)に向けて搬送する搬送コイル(搬送管16)、等が設置されている。そして、中間転写ベルトクリーニング部9内に回収された未転写トナーは、搬送管16(搬送コイルが内設されている。)を介して、廃トナー回収容器30まで搬送されて、廃トナーとして廃トナー回収容器30の内部に回収される。なお、廃トナー回収容器30の構成・動作については、後でさらに詳しく説明する。
なお、感光体ドラム11や中間転写ベルト17上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、記録媒体P(用紙)から生じる紙粉、帯電ローラ12(帯電部)による放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等があるが、本願ではこれらを総称して「未転写トナー」と呼ぶことにする。
【0030】
図2にて、先に述べた作像プロセスをさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、図2中の矢印方向(反時計方向)に回転している。現像部13内の現像剤は、間に仕切部材を介在するように配設された第1搬送スクリュ13b1及び第2搬送スクリュ13b2の回転によって、不図示のトナー補給部によってトナー容器28から補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図2の紙面垂直方向である。)。
【0031】
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、キャリアとともに現像ローラ13a上に担持される。現像ローラ13a上に担持された現像剤は、その後にドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤は、ドクターブレード13cの位置で適量に調整された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)に達する。
【0032】
その後、現像領域において、現像剤中のトナーが、感光体ドラム11表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ13aに印加された現像バイアスとの、電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーが潜像に付着する(トナー像が形成される)。
【0033】
その後、現像工程にて感光体ドラム11に付着したトナーは、そのほとんどが中間転写ベルト17上に転写される。そして、感光体ドラム11上に残存した未転写トナーが、クリーニングブレード15aによってクリーニング部15内に回収される。
【0034】
ここで、図示は省略するが、装置本体1に設けられたトナー補給部は、交換自在に構成されたボトル状のトナー容器28と、トナー容器28を保持・回転駆動するとともに現像部13に新品トナーを補給するトナーホッパ部と、で構成されている。また、トナー容器28内には、新品のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれかである。)が収容されている。また、トナー容器28(トナーボトル)の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0035】
なお、トナー容器28内の新品トナーは、現像部13内のトナー(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像部13内に適宜に補給されるものである。図示は省略するが、現像部13内のトナーの消費は、感光体ドラム11に対向する反射型フォトセンサと、現像部13の第2搬送スクリュ23b2の下方に設置された磁気センサと、によって間接的又は直接的に検知される。
【0036】
以下、図3〜図19を用いて、本実施の形態において特徴的な、廃トナー回収容器30の構成・動作について詳述する。
図3、図4、図6等を参照して、本実施の形態における廃トナー回収容器30は、側方からみた形状が略L字状になるように形成されている。なお、図3(及び図14)は廃トナー回収容器30を右側方(図1の右側である。)からみた概略断面図であって、図6(及び図13)は廃トナー回収容器30を左側方(図1の左側である。)からみた詳細断面図である。
【0037】
図3〜図7を参照して、廃トナー回収容器30は、主として、クリーニング部9、15から排出された廃トナーが流入される廃トナー流入部32と、廃トナーを貯留する廃トナー貯留部31と、で構成されている。
廃トナー貯留部31は、奥行方向(図3、図6の左右方向であって、図1の紙面垂直方向である。)に延在するように形成された略直方体の箱状部であって、その内部に搬送部材(第1搬送部材)としての押込部材41が設置されている。さらに、廃トナー貯留部31には、容器内に堆積された廃トナーが所定量(所定高さ)に達したことを検知する廃トナー検知部54が設置されている。
廃トナー流入部32(第2廃トナー貯留部)は、廃トナー貯留部31の上方に突設された略直方体の箱状部であって、その内部に第2搬送部材としての搬送スクリュ51が設置されている。廃トナー流入部32と廃トナー貯留部31との境界は、その全面が開口となっている。また、図4、図5、図7を参照して、廃トナー流入部32の天井部32aには、クリーニング部9、15から排出された廃トナーが流入される流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tが5つ形成されている(図3、図6では、「32a1」に付する符号を省略している。)。また、図4等を参照して、廃トナー流入部32は、廃トナー貯留部31に対して幅方向における一端側(破線で囲んだ部分である。)が突出するように形成されている。なお、廃トナー流入部32において、この突出した部分も、装置本体1における無駄なスペースを最大限に利用するために形成されたものである。
そして、このように構成された廃トナー回収容器30に、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの各クリーニング部15から排出された未転写トナーと、中間転写ベルトクリーニング部9から排出された未転写トナーと、がそれぞれ廃トナーとして回収されることになる。そして、廃トナー貯留部31に大量の廃トナーが収容されて、さらに廃トナー流入部32のスペースの一部にさらに付加的に廃トナーが収容されることになる。
【0038】
図7を参照して、廃トナー流入部32の天井部において、幅方向(奥行方向に直交する方向であって、図7の左右方向である。)の最左方に形成された流入口32a1BK(黒色用の流入口である。)は、黒色用プロセスカートリッジ10BKのクリーニング部15で回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー流入部32内に流入するためのものであって、黒色用のクリーニング部15に接続された搬送管16の排出口16a(図3を参照できる。)が流入口32a1BKに連通した状態で、搬送管16から廃トナー流入部32内にトナーが排出される。なお、黒色用の流入口32a1BKの下方の位置には、可撓性部材61(図7及び図15を参照できる。)が第1内壁面32eに沿って斜め上下方向に揺動可能に設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
また、廃トナー流入部32において、幅方向の左から2番目に形成された流入口32a1Cは、シアン用プロセスカートリッジ10Cのクリーニング部15で回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー流入部32内に流入するためのものであって、シアン用のクリーニング部15に接続された搬送管16の排出口16aが流入口32a1Cに連通した状態で、搬送管16から廃トナー流入部32内にトナーが排出される。
また、廃トナー流入部32において、幅方向の左から3番目に形成された流入口32a1Mは、マゼンタ用プロセスカートリッジ10Mのクリーニング部15で回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー流入部32内に流入するためのものであって、マゼンタ用のクリーニング部15に接続された搬送管16の排出口16aが流入口32a1Mに連通した状態で、搬送管16から廃トナー流入部32内にトナーが排出される。
また、廃トナー流入部32において、幅方向の左から4番目に形成された流入口32a1Yは、イエロー用プロセスカートリッジ10Yのクリーニング部15で回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー流入部32内に流入するためのものであって、イエロー用のクリーニング部15に接続された搬送管16の排出口16aが流入口32a1Yに連通した状態で、搬送管16から廃トナー流入部32内にトナーが排出される。
また、廃トナー流入部32において、幅方向の最右方に形成された流入口32a1T(中間転写体用の流入口である。)は、中間転写ベルトクリーニング部9で回収された未転写トナーを廃トナーとして廃トナー流入部32内に流入するためのものであって、中間転写ベルトクリーニング部9に接続された搬送管16の排出口16aが流入口32a1Tに連通した状態で、搬送管16から廃トナー流入部32内にトナーが排出される。
なお、図7等において、5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tにそれぞれ接続される搬送管16の図示は省略している。
【0039】
そして、5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1T(排出口16a)から流入された廃トナー(未転写トナー)は、主として自重落下して廃トナー流入部32から廃トナー貯留部31(廃トナー流入部32の下方の位置である。)に堆積される。そして、その位置に堆積された廃トナーは、その平板部41aが上下左右方向に揺動する第1搬送部材(搬送部材)としての押込部材41(図3の破線で示す動作範囲を参照できる。)によって、奥行方向手前側(図3の左側である。)から奥行方向奥側(図3の右側である。)に押し込まれるように搬送される。そして、廃トナー貯留部31内の全体にわたって廃トナーが回収(充填)されると(又は、それに近い状態になると)、5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tから流入された廃トナーは、廃トナー流入部32に堆積されることになる。そして、第2搬送部材としての搬送スクリュ51の位置(高さ)近傍に達した廃トナーが搬送スクリュ51によって幅方向(図3の紙面垂直方向であって、図7の白矢印方向である。)に搬送される。そして、廃トナー貯留部31と廃トナー流入部32とに堆積された廃トナーが所定量に達した状態が廃トナー検知部54(廃トナー満杯検知部)によって検知されると、制御部によって廃トナー回収容器30への廃トナーの搬送が停止されるとともに、その状態が装置本体1の表示部(不図示である。)に報知される。そして、その状態を認知したユーザー(又は、サービスマン)は、満杯になった廃トナー回収容器30の交換メンテナンスをおこなうことになる。
【0040】
なお、廃トナー回収容器30は、装置本体1の本体カバー(不図示である。)を開放して、図3の左方(図1の紙面手前側である。)に移動することで装置本体1から取出することができる。そして、新品(空)の廃トナー回収容器30が、本体カバーが開放された状態の装置本体1に対して、図3の右方(図1の紙面奥側である。)に移動することで装着される。
ここで、本実施の形態における廃トナー回収容器30は、廃トナー回収容器30のメンテナンスサイクルを長期化するために、作像部10Y、10M、10C、10BKや書込み部6や中間転写ベルト17(中間転写ベルトユニット)等の機能部を除くスペースを最大限に利用して、上述したように廃トナー貯留部31の上方に廃トナー流入部32(第2廃トナー貯留部)を設けて大容量化されている。
【0041】
ここで、第2搬送部材としての搬送スクリュ51は、主として軸部51aとスクリュ部51bとで構成されていて、その幅方向両端部が軸受(不図示である。)を介して廃トナー流入部32のケースに回転可能に支持されている。
詳しくは、図3、図7、図11、図12を参照して、搬送スクリュ51(第2搬送部材)の軸部51aの幅方向両端部には、それぞれ、カム部材52が設置されている。このカム部材52は、搬送スクリュ51とともに軸部51aを中心にして回転するものであって、軸部51aと一体的に形成することもできるし、軸部51aとは別部材として形成することもできる。なお、カム部材52の回転中心となる軸部51aの位置は、カム部材52の円中心から偏心した位置となっていて、これによりカム部材52が搬送スクリュ51の回転にともない「カム」として機能することになる。また、このカム部材52は、後述する押込部材41(第1搬送部材)を駆動するためのものであって、押込部材41の腕部41bが吊設されている。
また、搬送スクリュ51(第2搬送部材)の軸部51aにおいて、カム部材52が形成された位置を除く位置であって、幅方向の一端側から他端側に至らない中央部の位置にかけて、スクリュ部51bが形成(巻装)されている。換言すると、搬送スクリュ51の軸部51aには、カム部材52が形成された位置や他端側(図7の左方である。)を除く位置に、スクリュ部51bが形成されている。また、このスクリュ部51bは、廃トナー貯留部31の上方において幅方向の一端側(図7の右側端部である。)に突出するように形成された廃トナー流入部32において、廃トナー貯留部31に向けて送出される廃トナーの幅方向のバランスと、廃トナー流入部32内に堆積される廃トナーの幅方向のバランスと、を整えるためのものであって、上述した軸部51aの範囲(一端側から中央部の位置までの範囲である。)にのみ形成されている。すなわち、廃トナー流入部32において幅方向一端側に突出するように形成された部分に、スクリュ部51bを有する搬送スクリュ51を設置することで、その部分に廃トナーが滞留する不具合を防止することができる。さらに、搬送スクリュ51においてスクリュ部51bを幅方向一端側のみに形成することで、スクリュ部51bを幅方向全域にわたって形成する場合に比べて、搬送スクリュ51の駆動トルクを低減することができる。
また、スクリュ部51bは、一端側(図7の右側端部である。)のカム部材52から離れる方向に廃トナーを搬送するように形成されている。これにより、カム部材52に廃トナーが付着してカム部材52と押込部材41(第1搬送部材)との駆動伝達不良が生じる不具合が防止される。
なお、図7を参照して、搬送スクリュ51(第2搬送部材)の軸部51aの一端側には、装置本体1に設置された駆動ギア(不図示である。)に噛合するギア71が設置されている。そして、駆動ギアからギア71に駆動力が伝達されて、搬送スクリュ51が所定方向に回転駆動されると、搬送スクリュ51によって廃トナーが幅方向における一端側から他端側に至らない中央部の位置に向けて搬送されることになる(図7の白矢印方向への搬送である。)。
【0042】
一方、図3、図7〜図10等を参照して、搬送部材(第1搬送部材)としての押込部材41は、廃トナー貯留部31に内設された平板部41aと、平板部41aにおいて廃トナー流入部32に近い側の奥行方向手前側であって幅方向両端部にそれぞれ接続された腕部41bと、で構成されている。そして、押込部材41(第1搬送部材)は、廃トナー流入部32を介して流入されて堆積された廃トナーを、奥行方向に搬送するとともに、幅方向(奥行方向に直交する方向である。)の中央部に向けて搬送することになる。
【0043】
詳しくは、押込部材41(第1搬送部材)の平板部41aは、図8、図9に示すように、略格子状に形成されている。すなわち、平板部41aには、上下方向からみて、縦横にわたって複数の矩形のすかし(貫通穴)が設けられている。なお、本願において「格子状」とは、縦横にわたって複数の矩形のすかし(貫通穴)が規則正しく整列されているものの他、矩形に関らず複数のすかし(貫通穴)がランダムに形成されているものも含むものとする。
【0044】
ここで、本実施の形態における平板部41aは、幅方向(図9の上下方向である。)の中央部の格子が廃トナーの搬送方向(図9の右方向である。)とそれに略直交する方向に略矩形状になるように形成されていて、幅方向の両端部の格子が廃トナーの搬送方向に対して中央部側に傾斜する略平行四辺形状になるように形成されている。
詳しくは、図8及び図9を参照して、平板部41aは、幅方向両端部において格子状に形成された部分にて奥行方向奥側への廃トナーの搬送方向に交差する方向に起立する壁部41a12〜41a14が、その搬送方向に対して幅方向中央部側に向けて傾斜するように形成されている。具体的に、図9中に示す角度θ2、θ3が75度程度に、角度θ4が60度程度に設定されている。
また、平板部41aは、幅方向中央部において格子状に形成された部分にて搬送方向に交差する方向に起立する壁部41a11が、搬送方向に対して略直交するように形成されている。具体的に、図9中に示す角度θ1が90度程度に設定されている。
廃トナー貯留部31に流入された廃トナーは、押込部材41の平板部41aの壁部41a11〜41a14に押し出されるようにして奥行方向に搬送されるため、上述のように壁部41a11〜41a14を構成することで、押込部材41の揺動によって、廃トナーは幅方向中央部に向けてかき集められるように搬送されながら奥行方向奥側(図9の右方である。)に搬送されることになる。その一方で、奥行方向に押し出されるように搬送される廃トナーには常に幅方向両端部に向けて移動しようとする力が作用するため、上述した壁部41a11〜41a14による幅方向中央部側への搬送力とバランスがとれて、廃トナー貯留部31内の全体にわたって偏りなく廃トナーが回収されることになる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、平板部41aの幅方向の片側最端部(図9の下方である。)の格子の傾斜角度θ4が、それよりも中央部側にある格子の傾斜角度θ3よりも小さくなるように形成されている。
詳しくは、平板部41aは、幅方向端部において格子状に形成された部分における壁部41a14の搬送方向に対する傾斜角度θ4が、その部分よりも幅方向中央部側において格子状に形成された部分にて搬送方向に交差する方向に起立する壁部41a13の搬送方向に対する傾斜角度θ3に比べて、小さくなるように形成されている。具体的に、図9中に示す傾斜角度θ4が、傾斜角度θ3よりも小さくなるように設定されている(θ4<θ3)。
このような構成により、幅方向中央部から離れた幅方向最端部の位置であっても、幅方向中央部に向けて廃トナーを移動させる力を大きく作用させることができるため、押込部材41の揺動によって、廃トナー貯留部31内の全体にわたって偏りなく廃トナーが回収される効果が確実に発揮されることになる。
【0046】
なお、平板部41aにおいて格子状に形成された部分(格子部)の形態は、本実施の形態のものに限定されることなく、例えば、幅方向両端部の格子部を傾斜させることなく、格子部の搬送方向(奥行方向奥側への廃トナーの搬送方向である。)におけるピッチが奥行方向手前側に比べて奥行方向奥側が大きくなるように形成することもできる。
その場合であっても、奥行方向奥側において廃トナーの搬送スピードが遅くなって幅方向両端部に向けて移動しようとする廃トナー量が少なくなるために、押込部材41の揺動によって廃トナー貯留部31内の全体にわたって偏りなく廃トナーが回収されることになる。
【0047】
また図8、図10等を参照して、押込部材41(第1搬送部材)の腕部41bは、その先端部に略O字状の当接部41b1が形成されていて、その当接部41b1がフック部となって搬送スクリュ51のカム部材52に吊設されている(引っ掛けられている)。そして、この腕部41bとカム部材52との当接部41b1が、搬送スクリュ51の駆動力を押込部材41に伝達するための駆動伝達部となる。すなわち、押込部材41(第1搬送部材)は、搬送スクリュ51(第2搬送部材)の回転駆動に連動して、腕部41bとカム部材52との当接部41b1が駆動伝達部となって平板部41aが奥行方向に対する傾斜角度を可変しながら揺動することになる。具体的に、図3に示すように、カム部材52が軸部51aを中心にして偏心回転することで、その動作にともない腕部41bに接続された平板部41aが、破線で示すように両矢印方向に上下動するとともに奥行方向にスライド移動することになる。すなわち、平板部41aは、奥行方向に対する傾斜角度及び位置を可変しながら揺動することになる。このような格子状の平板部41a(押込部材41)の動作によって、廃トナー流入部32の下方に堆積した廃トナーが、奥行方向奥側に徐々に押し込まれていくことになる(図3の左側から右側への移動である。)。こうして、奥行方向に延在された廃トナー貯留部31の全域にわたって廃トナーがスペースの無駄なく充填(回収)されることになる。
【0048】
ここで、本実施の形態における廃トナー回収容器30は、押込部材41(第1搬送部材)が、搬送スクリュ51(第2搬送部材)の駆動に連動して駆動される。さらに、搬送スクリュ51との駆動伝達部(腕部41bとカム部材52との当接部41b1である。)が、廃トナー貯留部31の内部とは異なる位置(廃トナー流入部32の幅方向両端部である。)に配設されている。
これにより、廃トナー貯留部32に貯留される廃トナーが押込部材41と搬送スクリュ51との駆動連結部に付着しにくくなるため、搬送スクリュ51の駆動に連動して押込部材41が確実に駆動することになり、押込部材41の動作不良の発生が抑止される。したがって、大容量の廃トナー回収容器30内に廃トナーが全体的に満遍なく回収されることになる。
【0049】
特に、本実施の形態では、搬送スクリュ51のカム部材52は、廃トナー流入部32における幅方向両端部であって、5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tが形成された幅方向の範囲に対して外側の位置にそれぞれ配設されている。さらに、搬送スクリュ51のスクリュ部51bによって、廃トナーが幅方向中央部に向けて搬送されるように形成されている。
このような構成により、カム部材52(又は、腕部41bとの駆動連結部41b1)には廃トナー流入部52に流入される廃トナーが直接的に付着しにくくなるため、上述した押込部材41の動作不良を抑止する効果がさらに確実なものになる。
【0050】
ここで、図7及び図8等を参照して、本実施の形態における押込部材41(第1搬送部材)は、幅方向両端部にそれぞれ形成された腕部41bと腕部41bとの間に連結部41cが橋設されている。この連結部41cは、押込部材41の全体の強度を補強するためのものであって、平板部41aに対して交差する方向(略垂直方向である。)に起立するように平板部41aに接続されている。また、連結部41cは、腕部41bの延在する方向(略垂直方向である。)に沿って面状に形成されるとともに、平板部41aとの間に接続されるリブ部41c1が幅方向に複数形成されている。
このように構成された連結部41cを設けることで、廃トナーを所定方向に搬送するために繰り返し揺動する押込部材41の機械的強度を向上させることができる。
【0051】
ここで、本実施の形態では、図3等を参照して、廃トナー流入部32(第2廃トナー貯留部)に、搬送管16の延在方向(図3の左右方向である。)に沿うように搬送管16の下面に対向する天井部32aが形成されている。また、天井部32aには、搬送管16の排出口16aに連通する流入口32a1が形成されている。
さらに、廃トナー流入部32の天井部32aには、搬送管16に対する装着方向の奥側(図3の右方である。)に対応する位置に、装着方向に沿って下方に傾斜する傾斜部(テーパ部)が形成されている。このように廃トナー流入部32に傾斜部を設けることで、装置本体1(搬送管16)に対する廃トナー回収容器30の着脱動作(特に、装着動作である。)をスムーズにおこなうことができる。
【0052】
また、図6等を参照して、廃トナー流入部32の天井部32aには、装着方向の手前側(図の右方である。)に、搬送管16の先端部に形成された位置決め穴部(不図示である。)に係合する位置決めピン32bが設けられている。
詳しくは、天井部32aには、装着方向手前側において上方に起立する起立部(壁面)が設けられている。そして、この起立部上に、位置決めピン32bが水平方向に起立するように固設されている。そして、搬送管16(装置本体1)に対する廃トナー回収容器30の装着がおこなわれ、搬送管16の位置決め穴部に廃トナー回収容器30の位置決めピン32bが係合することで、搬送管16(装置本体1)に対する廃トナー回収容器30の位置が定められる。そして、そのような状態で、搬送管16の排出口16aと、廃トナー回収容器30の流入口32a1と、が連通して、搬送管16を介して廃トナー回収容器30内に廃トナーが流入されることになる。
【0053】
ここで、本実施の形態における廃トナー回収容器30には、図3等を参照して、容器30内に回収された廃トナーが所定量に達したことを検知する廃トナー検知部54が、廃トナー貯留部31において押込部材41の平板部41aの先端部が位置する奥行方向奥側であって幅方向端部の上方に配設されている。この廃トナー検知部54は、廃トナー貯留部31に回収された廃トナー量の増加にともないその一部(奥行方向奥側の先端部である。)が上方へ変位する押込部材41に対して、押込部材41の上方への変位にともない容器30内に回収された廃トナーが所定量に達したことを検知するものである。
【0054】
詳しくは、図13、図14等に示すように、廃トナー回収容器30(廃トナー貯留部31)内に回収された廃トナーが増加してくると、押込部材41の先端部(図13の左方の先端部である。)が増加した廃トナーによって徐々に押し上げられた状態になる。これは、押込部材41は、搬送スクリュ51に吊設された状態であって、その先端部が自由端になっているためである。すなわち、廃トナー貯留部31の奥側(図13の左方である。)に廃トナーが充分に充填されると、搬送スクリュ51との当接部41b1を中心にして、押込部材41の先端部(自由端)が廃トナーによって持ち上げられることになる。したがって、押込部材41は、非満杯時には図6に示すような姿勢で揺動して、最終的に満杯時には図14に示すような姿勢に変位することになる。
そして、図14に示すように、押込部材41の先端部が廃トナー貯留部31の上端近傍まで持ち上がった状態は、廃トナー貯留部31の全体にわたって充分に廃トナーが充填されるとともに、廃トナー流入部31にも付加的に廃トナーが充填された状態である。そして、図14のように先端部が持ち上がった状態の押込部材41を廃トナー検知部54によって検知する。
【0055】
ここで、廃トナー検知部54は、図6、図13等を参照して、可撓性材としてのゴムシート56、可動部材としてのフィラー55、検知手段としてのフォトセンサ57(光学センサ)、等で構成されている。
ゴムシート56(可撓性材)は、廃トナー回収容器30(廃トナー貯留部31)に形成された開口部31aを塞ぐように設置(貼着)されていて、その位置に持ち上げられる押込部材41の先端部による押動によって変形するように形成されている。なお、ゴムシート56は、例えば、厚さが1mm以下のゴム材料で形成することができる。
また、フィラー55(可動部材)は、廃トナー回収容器30の外側からゴムシート56に接触するように設置されるとともに、支軸55aを中心にして回動可能に廃トナー回収容器30に支持されている。そして、フィラー55は、廃トナー量の増加にともなうゴムシート56を介在した押込部材41による押動によって変位して、その変位がフォトセンサ57によって検知されることになる。
【0056】
このように構成された廃トナー検知部54によって、容器30内に回収された廃トナーTが満杯状態になっていないときには、図6、図13に示すように、フィラー55は、フォトセンサ57によって検知されない姿勢に維持されることになる。これに対して、容器30内に回収された廃トナーTが満杯状態(又は、それに近い状態)になったときには、図14に示すように、フィラー55は、ゴムシート56とともに変位して、フォトセンサ57によって検知される位置に回動することになる。
なお、フォトセンサ57は、主として発光素子と受光素子とで構成されていて、発光素子と受光素子との間にフィラー55が介在して発光素子から射出されて受光素子に至る光が遮られるか否かで上述したフィラー55の姿勢を検知する。
なお、本実施の形態では、フォトセンサ57を装置本体1側に設置したが、フォトセンサ57を廃トナー回収容器30側に設置することもできる。
【0057】
そして、本実施の形態では、このように構成された廃トナー検知部54が、押込部材41(平板部41a)の先端部に対向する位置(奥行方向奥側の上方である。)に設置されているため、奥行方向手前側に廃トナー検知部54が設置される場合に比べて、変位量が大きくなり、廃トナー貯留部31における廃トナー量の増加にともない変位する押込部材41を精度よく検知することができる。また、廃トナー検知部54(ゴムシート56及びフィラー55)が押込部材41によって直接的に押動される状態を検知しているため、廃トナー検知部54(ゴムシート56及びフィラー55)が廃トナーによって押動される状態を検知する方式(例えば、特許文献3等に開示された検知方式である。)に比べて、廃トナー回収容器30における廃トナーの満杯検知の精度を高めることができる。
【0058】
ここで、本実施の形態では、図8及び図9を参照して、押込部材41(第1搬送部材)の平板部41aにおいて、廃トナー検知部54(ゴムシート56及びフィラー55)に対向する位置に、格子状に形成されていない面状部41a1を設けている。なお、本実施の形態では、別部品として形成された平板状のマイラーを平板部41a(押込部材41)に貼着することで面状部41a1を形成したが、面状部41a1を平板部41a(押込部材41)に予め一体的に成形することもできる。
そして、このように押込部材41に面状部41a1を設けることで、廃トナー検知部54に対して面状部41a1(押込部材41)の大きな面で押動することができるため、押込部材41の変位を廃トナー検知部54によって確実に検知することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、廃トナー検知部54によって押込部材41の上方への変位が断続的に検知されたときには、容器30内に回収された廃トナーが満杯に近い状態(ニア満杯状態)であるものと判断するように制御する。これに対して、廃トナー検知部54によって押込部材41の上方への変位が連続的に所定回数(例えば、5回以上である。)検知されたときに、容器30内に回収された廃トナーが満杯の状態(満杯状態)であるものと判断するように制御する。
具体的に、廃トナー検知部54によってニア満杯状態が検知されると、その状態が装置本体1の表示部(不図示である。)に報知される。これにより、その状態を認知したユーザー(又は、サービスマン)は、満杯状態になる時期をある程度予見できるため、満杯状態になって突然に装置本体1が停止して装置本体1の使用ができなくなるのを避けることができる。そして、廃トナー検知部54によって満杯状態が検知されると、制御部によって適当なタイミングで装置本体1の稼動が休止されて廃トナー回収容器30への廃トナーの搬送が停止されるとともに、その状態が装置本体1の表示部に報知される。そして、その状態を認知したユーザー(又は、サービスマン)は、満杯になった廃トナー回収容器30の交換メンテナンスをおこなうことになる。
【0060】
また、本実施の形態では、所定の可動範囲で可動するフィラー55が廃トナー貯留部31の上端を超えないように形成されている。すなわち、フィラー55は、非満杯時においても、満杯時においても、廃トナー貯留部31の上端よりも下方に位置するように構成されている。具体的に、廃トナー貯留部31の奥行方向奥側に上端から凹んだ領域を形成して、その凹んだ領域に廃トナー検知部54を配設している。
このような構成により、装置本体1に対して廃トナー回収容器30を着脱する場合に、装置本体1の設置部200(図14において一点鎖線で示すように箱状に形成されている。)にフィラー55が干渉する不具合が抑止される。
【0061】
また、図4を参照して、本実施の形態において、廃トナー検知部54は、廃トナー貯留部31が画像形成装置本体1に位置決めされる係合部31cの近傍であって幅方向端部側に配設されている。
詳しくは、廃トナー回収容器30の廃トナー貯留部31の幅方向両端部には、それぞれ、装置本体1の設置部に設けられたガイドレール(不図示である。)に係合するガイド部31bが形成されている。そして、廃トナー回収容器30は、ガイド部31bを装置本体1のガイドレールに係合させた状態でガイドレールに沿って案内されながら、奥行方向に移動して装置本体1に対して着脱されることになる。
また、廃トナー回収容器30の廃トナー貯留部31の奥行方向奥側には、装置本体1の設置部に設けられた位置決め用の凸部(不図示である。)に係合する係合部31c(凹部)が形成されている。そして、廃トナー回収容器30は、装置本体1のガイドレールに案内されながら装置本体1に装着されて、奥行方向奥側の位置で係合部31cが装置本体1の位置決め用の凸部に係合して、装置本体1に対する奥行方向の装着位置が定められることになる。
そして、本実施の形態では、この係合部31cの近傍に廃トナー検知部54が設置されているために、装置本体1への廃トナー回収容器30の装着時に装置本体1側に設置されたフォトセンサ57に対してフィラー55の位置が定まらなくなる不具合が生じにくくなる。したがって、廃トナー検知部54による検知不良が生じにくくなる。
【0062】
なお、図4を参照して、廃トナー貯留部31(廃トナー回収容器30)は、奥行方向奥側であって幅方向端部の1箇所と、奥行方向手前側であって幅方向両端部の2箇所と、の3箇所(図4中、実線で囲んだ部分である。)で画像形成装置本体1に支持されるように構成されている。詳しくは、廃トナー貯留部31における一方のガイド部31bの奥行方向両端部と、他方のガイド部31bの奥行方向手前側端部と、が支点となって、画像形成装置本体1のガイドレール上に3点支持されるように構成されている。なお、ガイドレール上における3つの支持部は、高精度な水平面が形成されている。
このように構成することで、廃トナー貯留部31(廃トナー回収容器30)を、装置本体1内において精度よく水平状態に保持することが可能になるため、廃トナー回収容器30内に回収された廃トナーが一箇所に偏って回収されてしまう不具合が抑止される。
【0063】
なお、本実施の形態における廃トナー回収容器30は、図7に示すように、5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tのうち、一端側(搬送スクリュ51においてスクリュ部51bが形成された幅方向の範囲である。)に形成された数が、他端側(搬送スクリュ51においてスクリュ部51bが形成されていない幅方向の範囲である。)に形成された数に比べて多くなるように形成されている。具体的には、幅方向一端側(図7の右方である。)には3つの流入口32a1Y、32a1M、32a1Tが形成され、幅方向他端側(図7の左方である。)には2つの流入口32a1C、32a1BKが形成されている。
このように構成することで、廃トナー貯留部31に向けて送出される廃トナーの幅方向のバランスと、廃トナー流入部32内に堆積される廃トナーの幅方向のバランスと、を整えやすくなる。すなわち、流入口の数が多い範囲に搬送スクリュ51のスクリュ部51bを設けることで、幅方向に搬送できる廃トナー量を多くすることができるため、幅方向のバランスを整えやすくなる。
【0064】
また、本実施の形態における廃トナー回収容器30は、図7に示すように、中間転写体用の流入口32a1Tは幅方向一端側(図7の右方である。)に形成され、黒色用の流入口321BKは幅方向他端側(図7の左方である。)に形成されている。これにより、廃トナー貯留部31に向けて送出される廃トナーの幅方向のバランスと、廃トナー流入部32内に堆積される廃トナーの幅方向のバランスと、を整えやすくなる。
詳しくは、一般的に、モノクロ画像のプリント頻度は他のカラー画像のプリント頻度に比べて多くなるとともに、中間転写ベルト17上では4色の画像が重ねて転写されるため、黒色用の流入口32a1BKから流入される廃トナー量と、中間転写ベルト17用(中間転写体用)の流入口32a1Tからから流入される廃トナー量と、は他のカラー用の流入口32a1Y、32a1M、32a1Cから流入される廃トナー量に比べて、多くなる。そして、このように廃トナーの流入量が多くなる流入口32a1BK、32a1Tを遠い位置(幅方向両端部側である。)に配置して、その間にカラー用の流入口32a1Y、32a1M、32a1Cを配置することで、廃トナーが幅方向にバランスよく搬送・充填されることになる(幅方向両端部側の廃トナーの高さが低くなってしまうような不具合が生じにくくなる)。
さらに、黒色用の流入口32a1BKから流入される廃トナー量と、中間転写ベルト17用(中間転写体用)の流入口32a1Tからから流入される廃トナー量と、を比べると、一般的に、後者の方がやや多くなる傾向があるため、その方をスクリュ部51bの側(一端側)に配置して積極的に幅方向に搬送することで、廃トナーが幅方向にバランスよく搬送・充填されることになる。
【0065】
ここで、図15(及び、図7)を参照して、本実施の形態における廃トナー回収容器30には、廃トナー流入部32の第1内壁面32e(黒色用の流入口32a1BKの側の幅方向端部の内壁面である。)に、可撓性部材61(揺動部材)が近設されている。そして、この可撓性部材61は、押込部材41(搬送部材)の動作に連動して第1内壁面32eに沿って上下方向に揺動する。
【0066】
詳しくは、図7、図19等を参照して、廃トナー流入部32には、上下方向に延在して互いに交会する第1内壁面32eと第2内壁面32gとが、黒色用の流入口32a1BKの下方に形成されている。
第1内壁面32eは、幅方向に直交する仮想平面に対して上方から幅方向中央部に向けて下方に傾斜するように形成された傾斜面である。第2内壁面32gは、幅方向に平行するように形成された鉛直面である。そして、第1内壁面32eは、第2内壁面32gに直交するように配設されている。
【0067】
可撓性部材61(揺動部材)は、押込部材41(搬送部材)の動作に連動して第1内壁面32eに沿って上下方向(斜め上下方向)に揺動して、その平面部が第1内壁面32eに摺動するとともに、その側部が第2内壁面32gに摺動する。
さらに具体的に、図17等を参照して、可撓性部材61は、その当接部61aが駆動伝達部41b1(押込部材41が搬送スクリュ51のカム52に当接する部分である。)に吊設されている。そして、可撓性部材61は、カム52の動作に連動して図17の破線両矢印方向(上下方向)に揺動する腕部41b(押込部材41)とともに、図17の両矢印方向(斜め上下方向)に揺動することになる。具体的に、可撓性部材61は、押込部材41の上下動に合わせて、図18(A)〜(D)の順に上下動を繰り返すことになる。
【0068】
このように、第1内壁面32eに沿って揺動しながら第1内壁面32e及び第2内壁面32gに摺動する可撓性部材61を設けているため、第1内壁面32eや第2内壁面32gに廃トナーが架橋(付着)して、その部分を中心にして廃トナーが大量に堆積して、容器30内の全体に充分に廃トナーが回収される前に流入口32a1BKから廃トナーが漏出してしまう不具合を未然に防止することができる。すなわち、第1内壁面32eに沿って揺動する可撓性部材61によって、流入口32a1BKの下方に位置する内壁面(第1内壁面32e及び第2内壁面32gである。)に廃トナーが付着しにくくなるとともに、第1内壁面32eや第2内壁面32gに廃トナーが付着してしまっても可撓性部材61によって付着した廃トナーが弾かれるように除去されるために、第1内壁面32eや第2内壁面32gに廃トナーの架橋が形成されにくくなる。
【0069】
特に、廃トナー流入量の多い黒色用の流入口32a1BKが幅方向端部に設けられていて、その下方に位置する第1内壁面32e及び第2内壁面32gには流入口32a1BKから流入した廃トナーが付着しやすくなっているため、この位置に可撓性部材61を設置することが有用になる。また、黒色用の流入口32a1BKが設けられた側(他端側)は、搬送スクリュ51のスクリュ部51bが形成されておらず、廃トナーの流動が積極的におこなわれない領域(架橋が生じやすい領域)であるため、この位置に可撓性部材61を設置することが有用になる。
なお、第1内壁面32eは、廃トナー流入部32(廃トナー回収容器30)の容積を少しでも大容量化するために、上方から幅方向中央部に向けて下方に傾斜するように形成されている。そして、第1内壁面32eは、廃トナーが付着しにくいように垂直に近い比較的急な傾斜角度で形成されているものの、廃トナーが新品トナーに比べて架橋を形成しやすいため、可撓性部材61を設置することが有用になる。
【0070】
ここで、可撓性部材61には、図15や図16(A)に示すように、第2内壁面32gに摺動する側部(端部)に、上下方向に沿って複数の切込み部61bが形成されている。そのため、図18(A)〜(D)の可撓性部材61の揺動動作を参照して、可撓性部材61の側部が第2内壁面32gを摺動するときに、複数の切込み部61bがそれぞれバラバラに弾性変形して上下方向や左右方向に複雑な動作をしながら第2内壁面32g上を摺動することになる。
そのため、第2内壁面32gに廃トナーが付着してしまっても可撓性部材61の切込み部61bによって付着した廃トナーが激しく弾かれるように除去されて、第2内壁面32gに廃トナーの架橋が形成されにくくなる。
【0071】
なお、本願発明者は、可撓性部材61の材質や厚さや切込み部61bの深さ(切込み方向の長さ)を複数振って、第1内壁面32e及び第2内壁面32gに対するクリーニング性を比較する実験をおこなった。その結果、可撓性部材61は、厚さが0.03〜0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、切込み部61bの深さが5〜15mmになるように形成されたものが、好適であることを確認した。
特に、可撓性部材61の厚さが0.03mm未満の場合には、廃トナーを弾く力が弱くなり、内壁面32e、32gへの廃トナーの堆積を防止する効果が低くなってしまう。また、可撓性部材61の厚さが2mmを超えてしまう場合には、廃トナーを弾く力が強くなりすぎて、耳障りな音が生じてしまう。
【0072】
また、本実施の形態では、図6(A)に示すように、可撓性部材61に、切欠き部ではなく、切込み部61bを形成しているので、流入口32a1BKから落下した廃トナーが可撓性部材61上を滑落して廃トナー貯留部31に導かれやすくなる。
すなわち、図6(B)に示すように、可撓性部材161に櫛歯状に切欠き部161bを形成した場合には、流入口32a1BKから可撓性部材61上に落下した廃トナーが、切欠き部161bに引っ掛かったり、切欠き部161bから第1内壁面32e上に落下したりして、可撓性部材61上を滑落しにくくなる。そのため、流入口32a1BKから廃トナー貯留部31に導かれる廃トナーの挙動にロスが生じて、廃トナーの回収性が低下してしまう可能性がある。
これに対して、本実施の形態では、可撓性部材61に切込み部61bを形成しているので、流入口32a1BKから可撓性部材61上に落下した廃トナーが廃トナー貯留部31に直接的に導かれやすくなって、廃トナーの回収性を高めることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、奥行方向に延在するように形成された廃トナー貯留部31の上方に廃トナー流入部32を突設させるとともに、廃トナー貯留部31に廃トナーを奥行方向に搬送する押込部材41(搬送部材)を設けて、押込部材41の動作に連動して廃トナー流入部32の第1内壁面32eに沿って揺動して第1内壁面32e及び第2内壁面32gに摺動する可撓性部材61をさらに設けている。これにより、廃トナー回収容器30内に廃トナーの架橋が形成されにくく、大容量の廃トナー回収容器30内に廃トナーを全体的に満遍なく回収することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、作像部における各部(感光体ドラム11、帯電部12、現像部13、クリーニング部15である。)を一体化してプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。これに対して、廃トナー回収容器30をプロセスカートリッジの構成部材として、プロセスカートリッジと一体化することもできる。また、感光体ドラム11、帯電部12、現像部13、クリーニング部15の一部又は全部をプロセスカートリッジの構成部材とせずに、単体で装置本体1に交換自在に設置されるように構成することもできる。そして、このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像部13が搭載された画像形成装置に対して本発明を適用したが、1成分現像剤を用いる1成分現像方式の現像部13が搭載された画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
なお、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部(クリーニング装置)とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0075】
また、本実施の形態では、廃トナー流入部32に5つの流入口32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1Tが形成された廃トナー回収容器30に対して、本発明を適用した。これに対して、廃トナー流入部32に流入口が4つ以下又は6つ以上形成された廃トナー回収容器30に対しても、当然に本発明を適用することができる。そして、このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、本実施の形態における廃トナー回収容器30では、可撓性部材61を押込部材41(搬送部材)に係合させて可撓性部材61を揺動させたが、可撓性部材61を第2搬送部材としての搬送スクリュ51に係合させて可撓性部材61を揺動させることもできる。例えば、搬送スクリュ51の軸部51aにカムを形成して、そのカムに可撓性部材を吊設することで、搬送スクリュ51の動作に連動して可撓性部材を上下に揺動させる。
さらに、本実施の形態における廃トナー回収容器30では、可撓性部材61の当接部61aをカム部材52(駆動伝達部)に吊設させて押込部材41に連動させて可撓性部材61を揺動させたが、可撓性部材61の上部を押込部材41の腕部41bに貼着することで、押込部材41に連動させて可撓性部材61を揺動させることもできる。
そして、これらのような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
9 中間転写ベルトクリーニング部(クリーニング部)、
10Y、10M、10C、10BK プロセスカートリッジ(作像部)、
11 感光体ドラム(像担持体)、
15 クリーニング部、
16 搬送管、
16a 排出口、
17 中間転写ベルト(像担持体、中間転写体)、
30 廃トナー回収容器、
31 廃トナー貯留部、
32 廃トナー流入部(第2廃トナー貯留部)、
32a 天井部、
32a1 流入口、
32a1Y、32a1M、32a1C、32a1BK、32a1T 流入口、
32e 第1内壁面、
32g 第2内壁面、
41 押込部材(搬送部材、第1搬送部材)、
41a 平板部、
41b 腕部、 41b1 当接部、
51 搬送スクリュ(第2搬送部材)、
51a 軸部、 51b スクリュ部、
52 カム部材、
61 可撓性部材(揺動部材)、
61a 当接部、 61b 切込み部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2007−139905号公報
【特許文献2】特許第4286704号公報
【特許文献3】特開2001−147629号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上の未転写トナーを除去するクリーニング部から排出された当該未転写トナーを廃トナーとして回収する廃トナー回収容器であって、
奥行方向に延在するように形成されるとともに、廃トナーを貯留する廃トナー貯留部と、
前記廃トナー貯留部の上方に突設されるとともに、前記クリーニング部から排出された廃トナーが搬送される搬送管の排出口に連通する流入口が形成された廃トナー流入部と、
を備え、
前記廃トナー貯留部は、前記廃トナー流入部を介して流入されて堆積された廃トナーを奥行方向に搬送する搬送部材を具備し、
前記廃トナー流入部は、上下方向に延在して互いに交会する第1内壁面と第2内壁面とが前記流入口の下方に形成され、
前記搬送部材の動作に連動して前記第1内壁面に沿って上下方向に揺動して、その平面部が前記第1内壁面に摺動するとともに、その側部が前記第2内壁面に摺動する可撓性部材をさらに備えたことを特徴とする廃トナー回収容器。
【請求項2】
前記可撓性部材は、前記第2内壁面に摺動する前記側部に、上下方向に沿って複数の切込み部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収容器。
【請求項3】
前記可撓性部材は、厚さが0.03〜0.2mmのポリエチレンテレフタレートからなり、
前記切込み部は、その深さが5〜15mmになるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の廃トナー回収容器。
【請求項4】
前記廃トナー流入部は、廃トナーを幅方向に搬送するとともに、前記搬送部材に駆動力を伝達する第2搬送部材を具備し、
前記第1内壁面は、幅方向に直交する仮想平面に対して上方から幅方向中央部に向けて下方に傾斜するように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の廃トナー回収容器。
【請求項5】
前記第2搬送部材は、
その幅方向の一部にカム部材が形成された軸部と、
前記軸部に巻装されたスクリュ部と、
を具備し、
前記搬送部材は、
格子状に形成されるとともに、前記廃トナー貯留部に内設された平板部と、
前記平板部に接続されるとともに、前記第2搬送部材の前記カム部材に吊設された腕部と、
を具備し、
前記搬送部材は、前記第2搬送部材の回転駆動に連動して、前記腕部と前記カム部材との当接部が駆動伝達部となって前記平板部が奥行方向に対する傾斜角度及び位置を可変しながら揺動することを特徴とする請求項4に記載の廃トナー回収容器。
【請求項6】
前記可撓性部材は、前記駆動伝達部に吊設されたことを特徴とする請求項5に記載の廃トナー回収容器。
【請求項7】
前記廃トナー流入部は、前記流入口が幅方向に複数形成され、
前記可撓性部材と前記第1内壁面とは、前記複数の流入口のうち幅方向端部に配設された流入口の下方に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の廃トナー回収容器。
【請求項8】
前記廃トナー流入部は、像担持体としての中間転写体に対応するクリーニング部から排出された未転写トナーが廃トナーとして流入される中間転写体用の流入口と、黒色のトナー像が形成される像担持体に対応するクリーニング部から排出された未転写トナーが廃トナーとして流入される黒色用の流入口と、カラー用のトナー像が形成される像担持体に対応するクリーニング部から排出された未転写トナーが廃トナーとして流入されるカラー用の流入口と、を具備し、
前記中間転写体用の流入口は幅方向の一端側に形成され、前記黒色用の流入口は幅方向の他端側に形成され、前記カラー用の流入口は前記中間転写体用の流入口と前記黒色用の流入口との間に形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の廃トナー回収容器。
【請求項9】
前記廃トナー流入部は、前記一端側から前記他端側に至らない中央部の位置に向けて廃トナーを搬送するとともに、前記搬送部材に駆動力を伝達する第2搬送部材を具備し、
前記可撓性部材と前記第1内壁面とは、前記黒色用の流入口の下方に配設されたことを特徴とする請求項8に記載の廃トナー回収容器。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の廃トナー回収容器が前記画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−104879(P2013−104879A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246171(P2011−246171)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】