説明

廃トナー検出装置、および画像形成装置

【課題】 廃トナー回収容器の交換時等にセンサ部に廃トナーが付着しても、誤検出することなく廃トナー回収容器の満杯状態を判断する。
【解決手段】 廃トナーを回収する廃トナー回収容器と、発光部と受光部とを有するセンサ部と、を備える画像形成装置の廃トナー検出装置であって、画像形成装置の出荷時に受光部が受光する受光量に対して所定の補正用基準値を設定する基準値設定部と、廃トナー回収容器の交換時において受光部の受光量が補正用基準値に到達するように発光部の発光量を調整する光量調整部と、廃トナー回収容器の交換時に補正用基準値を用いて廃トナー回収容器の満杯状態を判断するための受光量基準値を設定する基準値調整部と、受光量基準値に基づき廃トナー回収容器の満杯状態を判断する満杯判断部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃トナー回収容器の満杯状態を検出する廃トナー検出装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、スキャナ、複合機などの画像形成装置では、一般的に静電潜像が形成された感光体ドラムの表面に現像装置からトナーが供給され、感光ドラム表面にトナー像が形成された後、コピー用紙等の転写材にトナー像が転写される。この際、転写材に転写されずに感光体ドラム表面に残留したトナーは、クリーニング装置によって取り除かれ、廃トナーとして画像形成装置に装着された廃トナー回収容器に排出され回収される。この廃トナー回収容器は、画像形成装置に対して着脱可能に構成され、ユーザは廃トナー回収容器を画像形成装置から取り外して廃トナーを廃棄する。
【0003】
ここで画像形成装置は、一般的に廃トナー検知装置を有しており、回収された廃トナー量が廃トナー回収容器内で満杯状態にあるかどうかを監視するようにしている。例えば、廃トナー回収容器内の廃トナー量がある一定の満杯状態になると遮光されるように光学式センサを廃トナー回収容器の近隣に設置し、廃トナー回収容器の満杯状態を検出する。
【特許文献1】特開2003−066803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の廃トナー検知装置では、廃トナーの満杯状態を画像形成装置の出荷時に調整された一定の固定値によって判断している。また、近年、高画質化のためにトナーの粒径が小さくなる傾向にある。従って、画像形成装置の使用において、特に廃トナー回収容器の交換時等に廃トナーが飛散して光学式センサに付着し易くなる。そのため、廃トナーの付着により光学式センサの光が遮光され、廃トナー回収容器が満杯状態ではないにもかかわらず満杯であると誤検知されるという問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、廃トナー回収容器の交換時等に光学式センサに廃トナーが付着しても、誤検出することなく廃トナー回収容器の満杯状態を判断することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る画像形成装置の廃トナー検出装置は、本体と、本体内に設けられた感光体ドラムと、感光体ドラム上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、本体に対して交換可能であってクリーニング装置により除去された廃トナーを上部に設けられた開口部を通して回収する廃トナー回収容器と、廃トナー回収容器の開口部付近に設けられ、光を出射する発光部と発光部からの光を受光する受光部とを有するセンサ部と、を備える画像形成装置の廃トナー検出装置であって、基準値設定部と、光量調整部と、基準値調整部と、満杯判断部と、を備える。
【0007】
基準値設定部は、画像形成装置の出荷時に受光部の受光量に対する補正用基準値を設定する。光量調整部は、廃トナー回収容器の交換時に、受光部の受光量が補正用基準値に到達するように発光部の発光量を調整する。基準値調整部は、廃トナー回収容器の交換時に、廃トナー回収容器の満杯状態を判断するための受光量基準値を補正用基準値を用いて設定する。満杯判断部は、その受光量基準値に基づき廃トナー回収容器の満杯状態を判断する。
【0008】
ここでは、廃トナー回収容器の交換時毎に、受光部に対して設定された所定の補正用基準値に受光部の受光量が到達するように発光部の発光量を調整する。そして、このように調整された発光量に対応する受光部の受光量と、前述の補正用基準値を用いて設定された所定の受光量基準値とに基づいて、廃トナー回収容器の満杯状態が判断される。
【0009】
従って、本発明の画像形成装置の廃トナー検出装置によると、画像形成装置の使用において、特に廃トナー回収容器の交換する際などにセンサ部に廃トナーが付着したとしても、廃トナー回収容器の交換時毎に受光部が一定の受光量を受光できるように発光部の発光量が調整されるため、センサ部への廃トナーの付着から生じる受光部自体の受光量の減少を防ぐことができる。従って、センサ部への廃トナーの付着を原因とする廃トナーの満杯状態の誤検出を防ぐことができる。
【0010】
請求項2に係る画像形成装置の廃トナー検出装置では、請求項1の装置において満杯報知部をさらに含む。満杯報知部は、廃トナー回収容器が満杯状態であると判断されたときにその旨の報知動作を行う。
【0011】
ここでは、満杯判断部によって廃トナー回収容器が満杯状態であると判断されたときに満杯報知部がその旨の報知動作を行うので、ユーザに対して適切に廃トナー回収容器の交換を促すことができる。
【0012】
請求項3に係る画像形成装置の廃トナー検出装置では、請求項1または2の装置において、汚れ判断部をさらに備える。ここで、光量調整部は、画像形成装置の出荷時において受光部の受光量が補正用基準値に到達するように発光部の発光量である発光量基準値を設定している。そして汚れ判断部は、その発光量基準値と、廃トナー回収容器の交換時に光量調整部が調整した発光部の発光量とを用いてセンサ部への廃トナーの付着状態を判断する。
【0013】
ここでは、所定の補正用基準値に対する廃トナー回収容器の交換時の発光部の発光量と、補正用基準値に対する画像形成装置の出荷時の発光量基準値とを用いることで、廃トナー回収装置ではなくセンサ部自体への廃トナーの付着状態を判断することができる。
【0014】
請求項4に係る画像形成装置の廃トナー検出装置では、請求項3の装置において、汚れ判断部によって判断されたセンサ部への廃トナーの付着状態が所定量以上である場合にセンサ部の清掃を促す旨の報知動作を行う清掃報知部をさらに含む。
【0015】
ここでは、汚れ判断部が判断する廃トナーの付着状態に応じて、清掃報知部がセンサ部の清掃を促す旨の報知動作を行う。従って、適切にユーザに対してセンサ部の清掃を促すことができる。
【0016】
請求項5に係る画像形成装置は、本体と、本体内に設けられた感光体ドラムと、感光体ドラム上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、本体に対して交換可能であってクリーニング装置により除去された廃トナーを上部に設けられた開口部を通して回収する廃トナー回収容器と、廃トナー回収容器の開口部付近に設けられ、光を出射する発光部と発光部からの光を受光する受光部とを有するセンサ部と、請求項1から4に記載の画像形成装置の廃トナー検出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明によれば、廃トナー回収容器の交換時等にセンサ部に廃トナーが付着しても、廃トナー回収容器の満杯状態の誤検出を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置としての複合機の概略断面図である。図2は、複合機の画像形成部及びその周辺の要部構成を示す正面図である。
【0019】
複合機1は、原稿搬送装置2および本体3を備える。本体3は、原稿から画像を読み取る画像読取装置4、および画像読取装置4が読み取った画像等を用紙上に印刷する画像形成部5等を備える。
【0020】
原稿搬送装置2は、画像読取装置4に対して原稿を搬送するための装置であり、本体3の上方に配置される。
【0021】
本体3は、画像読取装置4および画像形成部5の他に、画像読取装置4及び画像形成部5を収容するハウジング6と、ハウジング6の一側面に画像形成後の用紙が排出される用紙排出トレイ7と、ハウジング6に対して出し入れ可能に設けられ、用紙を収容する用紙カセット8とを備える。また本体3は、ハウジング6の上面に、ユーザからの指示を受け付けたりユーザに種々の情報を提示したりする操作表示パネル9を備える。
【0022】
用紙カセット8の上部のハウジング6の一部は、本体3に対して開閉可能に設けられて前カバー10としての役割を果たす。この前カバー10によって図2の紙面手前側の本体3の内部は露出可能となる。そして、ユーザはこの前カバー10を開けることで、本体3内で発生する紙詰まり等の不具合の処理や後述する廃トナー回収容器22の交換等を行うことができる。また、前カバー10には、プッシュスイッチ等の開閉センサ10a(図4参照)が設けられている。この開閉センサ10aは、前カバー10の開閉状態に応じた信号を後述する廃トナー検出部25に出力する。本実施形態では、前カバー10が閉じられたとき、開閉センサ10aは押圧されてON信号を出力する。
【0023】
本体3は、さらに制御装置11を備える。制御装置11は、CPU11a(図4参照)、ROM、および記憶部11b(図4参照)を含むRAMを備える。制御装置11は複写機1の各部と電気的に接続され、バスによって互いにデータがやりとり可能となっている。CPU11aは、ROM等の記録媒体内に記録されたプログラムを読み出し、複写機1内の各部の動作を制御し各種演算を行うものである。また、CPU11aは、本実施形態では後述する廃トナー検出部25を含む。記憶部11bには、後述するフォトセンサ24の光量に関する情報や、廃トナー回収容器22の満杯判断情報が記憶される。
【0024】
図2を参照して、画像形成部5について詳細に説明する。図2に示すように、画像形成部5は、回転可能に設けられた円柱状の感光体ドラム12を備えると共に、感光体ドラム12の回転方向(図2中に矢印で示す)に沿って、感光体ドラム12を一様に帯電させる帯電装置13、帯電した感光体ドラム12に光を照射することで感光体ドラム12上に静電潜像を描く露光装置14、静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置15、トナー像が用紙に転写された後に感光体ドラム12を除電する除電装置16およびクリーニング装置17を備える。
【0025】
クリーニング装置17は、感光体ドラム12をクリーニングし残留トナー等を除去するための装置である。このクリーニング装置17は、感光体ドラム12に近接して配置され、クリーニングローラ17aおよびクリーニングブレード17bを備える。クリーニングローラ17aは、感光体ドラム12の表面の転写残トナーを除去する部材であって、感光体ドラム12の回転軸と平行に配置される。クリーニングブレード17bは、クリーニングローラ17aによって除去されなかった残留トナーを感光体ドラム12から掻き取るための部材である。このクリーニング装置17によって除去された廃トナーは、後述する廃トナー回収装置21(図3参照)へと搬送される。
【0026】
複写機1は、さらに感光体ドラム12上のトナー像を用紙へ転写する転写部18、転写後の用紙に熱圧着によりトナー像を定着させる定着装置19、および用紙カセット8から、転写部18、定着装置19を経て、用紙排出トレイ7に至るまで、用紙を搬送する用紙搬送部20を備える。
【0027】
<廃トナー回収装置>
図3を参照して、廃トナー回収装置について説明する。図3は、廃トナー回収装置の概略図である。
【0028】
廃トナー回収装置21は、クリーニング装置17と連結されたスクリュー(図示せず)、廃トナー回収容器22、容器装着部(図示せず)、廃トナー回収容器センサ23(図4参照)およびセンサ部としてのフォトセンサ24を有する。
【0029】
廃トナー回収容器22は、クリーニング装置17によって除去された廃トナーTを収納するための容器である。この廃トナー回収容器22の上方部分には上部が開いた突出部22aが設けられている。クリーニング装置17によって除去された廃トナーTは、クリーニング装置17に連結されたスクリューによってクリーニング装置17から搬送され、突出部22aから廃トナー回収容器22内に回収される。なお、図3に示す矢印は、廃トナーTの搬入方向を示す。また、廃トナー回収容器22は、後述のとおりフォトセンサ24を用いて満杯状態が判断されるため、少なくともフォトセンサ24による光の経路部分は光が透過可能な部材から形成される。
【0030】
廃トナー回収容器22は、本体3に対して着脱可能に設けられる。そして廃トナー回収容器22内の廃トナーTが満杯状態になった場合は、ユーザは前カバー11aを開いて廃トナー回収容器22を本体3から取り外し、新しい廃トナー回収容器22を本体3に装着することができる。本実施形態では、本体3内であって前カバー10に隣接した位置に上部の開いた箱状の容器装着部が設けられ、廃トナー回収容器22はこの容器装着部に対して装着可能に設けられる。またこの容器装着部には、プッシュスイッチ等の廃トナー回収容器センサ23(図4参照)が設けられている。この廃トナー回収容器センサ23は、容器装着部への廃トナー回収容器22の装着状態に応じた信号を後述する廃トナー検出部25に出力する。本実施形態では、容器装着部へ廃トナー回収容器22が装着されたとき、廃トナー回収センサ22は押圧され、ON信号が廃トナー検出部25に出力される。
【0031】
フォトセンサ24は、廃トナー回収容器22の突出部22aを挟んで対向するように配置された発光部24aおよび受光部24bを有する。発光部24aは、発光素子(例えば発光ダイオード)を含み、光を受光部24bに向かって出射する。発光部24aによる発光量は、例えばデジタル−アナログ変換回路を含む検知回路(図示せず)を介して調整することができる。受光部24bは、受光素子(例えばフォトトランジスタ)を含み、発光部24aから出射された光を突出部22aを経て受光する。そして、例えばアナログ−デジタル変換回路を含む検知回路(図示せず)を介して、その受光量に応じた出力信号を後述する廃トナー検出部25に出力する。このように設けられたフォトセンサ24では、廃トナー回収容器22の突出部22aにまで廃トナーが堆積すると、発光部24aから受光部24bへの光は廃トナーによって遮断される。なお、本実施形態では、受光量が増えるにつれて受光部24bからの出力信号も大きくなるとする。
【0032】
<廃トナー検出部>
次に図4を参照して、廃トナー検出部について説明する。図4は、廃トナー検出部の機能構成を示すブロック図である。
【0033】
廃トナー検出部25は、廃トナー回収容器22の満杯状態を判断するものであり、本実施形態ではさらに廃トナーによるフォトセンサ24の汚れ状態を判断する。廃トナー検出部25は、基準値設定部26、満杯判断部27、光量調整部28、基準値調整部29、汚れ判断部30、報知部31および制御部32を有する。
【0034】
近年におけるトナーの小粒径化に伴い、廃トナーは飛散し易く、また廃トナー回収容器22内において沈殿しにくいため、複写機1の使用時間や廃トナー回収容器の交換頻度に応じてフォトセンサ24への廃トナーの付着量は多くなる。すると発光部24aからの一定の発光量に対する受光部24bの受光量は減少し、このような受光部24bの受光量に応じた出力信号を、複写機1の出荷時に調整された一定の固定値と比較して廃トナー検出装置22の満杯状態を検出すると、満杯状態ではないにもかかわらず廃トナー回収容器22は満杯状態であるとの誤検出が生じ得るという問題が生じる。本実施形態の廃トナー検出部25では、下記のような構成を有することによりこのような誤検出の発生を防ぐ。
【0035】
基準値設定部26は、複写機1の出荷時に、受光部24bの受光量に関する任意の値である補正用基準値を設定する。この値は、後述するように、廃トナー回収容器22の満杯状態を検出したり、フォトセンサ24の汚れ状態を判断し廃トナー回収容器22の清掃を促したりするための基準となり、具体的には受光量基準値、発光量基準値および調整後発光量値を設定するための基準となる。設定された補正用設定値は記憶部11bに記憶される。
【0036】
満杯判断部27は、受光部24bから光の受光量に応じた出力信号を受け取り、所定の基準値を用いて廃トナー回収容器22の満杯状態を判断する。具体的には、受光部24bより受け取った出力信号と記憶部11bに記憶されている所定の基準値とを比較し、出力信号が所定の基準値未満であると判断した場合は、満杯判断部27は廃トナー回収容器22が満杯状態であると判断する。一方、出力信号が所定の基準値以上であると判断した場合は、満杯検出部27は廃トナー回収容器22が満杯状態でなはいと判断する。ここで所定の基準値とは、後述する基準値調整部26が補正用基準値を用いて設定した受光量基準値のことをいう。満杯判断部27が廃トナー回収容器22の満杯状態を判断すると、後述する報知部31によってユーザに廃トナー回収容器22の満杯状態が知らされる。また、それと同時に満杯状態を判断した旨の満杯判断情報が記憶部11bに記憶される。
【0037】
光量調整部28は、発光部24bの発光量を調整する部分である。この光量調整部28は、複写機1の出荷時および廃トナー回収容器22の交換時のタイミングで、上述の補正用基準値に到達するように発光部24aの発光量を調整する。
【0038】
図5を用いて、光量調整部28による発光部24aの発光量の調整を説明する。図5は、フォトセンサにおける発光部の発光量と受光部の受光量の推移を示した図である。光量調整部28は、発光部24aの発光量を低い値から徐々に上昇させ、受光部24bの補正用基準値に到達するように発光部24aの発光量を調整する。ここで光量調整部28は、複写機1の出荷時においては、その調整した発光量を発光量基準値として記憶部11bに記憶させる。また、廃トナー回収容器22の交換時においては、調整した発光量を調整後発光量値として記憶部11bに記憶させる。このように、複写機1の出荷時および廃トナー回収容器22の交換時毎に、一定の補正用基準値に対応する発光部24aの発光量を調整する。よって、フォトセンサ24に廃トナーが付着したとしても、受光部24bが一定の受光量を受光できるように発光部24aの発光量を調整される。従って、フォトセンサ24への廃トナーの付着から生じる受光部24bの受光量の減少を防ぐことができる。
【0039】
なお、複写機1の出荷時および廃トナー回収容器22の交換時のタイミングは、廃トナー回収容器センサ23からON信号が出力された時点をトリガとして図られる。また、複写機1の出荷時であるか廃トナー回収容器22の交換時であるかの判断は、後述する制御部32によってなされるが、これについては後述する。
【0040】
なお、この光量調整部28は、発光量基準値および調整後発光量値の調整時以外では、一定の発光量を保つように発光部24aの発光量を調整する。具体的には、発光量基準値設定された後から廃トナー回収容器22が交換され調整後発光量値が調整されるまでは、光量調整部28は発光量基準値に基づく一定の発光量を保つように発光部24aの発光量を調整する。また、廃トナー回収容器22が交換され調整後発光量値が調整された後は、次に廃トナー回収容器22が交換され調整後発光量値が調整されるまで最新の調整後発光量値による一定の発光量を保つように発光部24aの発光量を調整する。なお、デジタル−アナログコンバータで制御するため、発光部24aに印加される電圧は0V〜5Vの間の値が好ましい。
【0041】
基準値調整部29は、基準値設定部26によって設定された補正用基準値を用いて、廃トナー回収容器22の満杯状態を判断するための受光量基準値を設定する部分である。基準値調整部29は、複写機1の出荷時および廃トナー回収容器22の交換時のタイミングで受光量基準値を設定する。具体的には、基準値調整部29は、上記タイミングで補正用基準値より低い値を受光量基準値として設定しその値を記憶部11bに記憶させる。このように補正用基準値より低い値を、満足状態の判断基準となる受光量基準値を設定することによって、廃トナーによるフォトセンサ24の汚れに対するマージンを確保することができる。
【0042】
本実施形態では、基準値調整部29は複写機1の出荷時に補正用基準値を半減した値を受光量基準値として設定し、フォトセンサ24の廃トナーによる汚れに対するマージンを予め2倍確保するようにする。そしてこの補正用基準値は、記憶部11bに記憶されていて、廃トナー回収容器22の交換時には、この受光量基準値を読み出されて満杯状態の基準値として用いられる。
【0043】
なお、受光量基準値は補正用基準値を半減した値に限定されることなく、複写機1の使用環境に応じて変更することができる。例えば、フォトセンサ24の汚れ具合に応じて、基準値調整部29は補正用基準値の3分の1の値を受光量基準値として設定し、フォトセンサ24の廃トナーによる汚れに対するマージンを3倍とすることができる。また、本実施形態では、複写機1の出荷時と廃トナー回収容器22の交換時とにおいて常に一定の受光量基準値が設定されることを例に挙げているが、この例には限定されず、複写機1の使用状況に応じて、廃トナー回収容器22の交換時に受光量基準値の値を変えてもよい。
【0044】
汚れ判断部30は、廃トナー回収容器22の交換時においてフォトセンサ24への廃トナーの付着状態を判断する部である。また汚れ判断部30は、廃トナーの付着状態に応じてフォトセンサ24の清掃の要否を判断したり、清掃が不要である場合はその旨を基準値調整部29に通知したりする。
【0045】
この汚れ判断部30は、記憶部11bに記憶されている発光量基準値を読み出し、この値および廃トナー回収容器22の交換時において調整された最新の調整後発光量値に基づいて、フォトセンサ24における廃トナーの付着状態を判断する。具体的には、発光量基準値と調整後発光量値とを比較し、調整後発光量値が発光量基準値より所定量以上である場合は、汚れ判断部30はフォトセンサ24における廃トナーの付着量が多いと判断する。そして、フォトセンサ24の清掃が必要であると判断し、フォトセンサ24の清掃に関する情報を後述する報知部31に通知する。
【0046】
一方、発光量基準値と比較して調整後発光量値が所定量未満である場合は、汚れ判断部30は、フォトセンサ24における廃トナーの付着量は清掃を要するほど多いものではないと判断して、その旨を基準値調整部29に通知する。その後基準値調整部29は受光量基準値を記憶部11bから読み出す。そして満杯判断部27は、その受光量基準値に基づき廃トナー回収容器22の満杯状態を判断し、判断結果に応じて報知部31に満杯状態の通知を行う。以下では、調整後発光量値が発光量基準値の2倍以上であるかによってフォトセンサ24の汚れ状態を判断する例を挙げるが、複写機1の使用状況に応じてこの数値は変更可能である。
【0047】
報知部31は、満杯報知部および清掃報知部として、廃トナー回収容器22が満杯状態である旨の報知動作またはフォトセンサ24の清掃に関する報知動作を行う。本実施形態では、満杯判断部27が廃トナー回収容器22の満杯状態を判断した場合は、「廃トナー回収容器を交換して下さい。」等のメッセージを操作表示パネル9に表示させる。また、汚れ判断部31によって、フォトセンサ24の清掃が必要であると判断された場合は、「廃トナー回収容器のフォトセンサを清掃して下さい。」等のメッセージを操作表示パネル9に表示させる。なお、報知の方法はこの例に限定されず、音による報知であってもよい。
【0048】
制御部32は、開閉センサ10aおよび廃トナー回収容器センサ23からの出力信号を受け取り、受け取った出力信号に応じて、前カバー10の閉状態および容器装着部への廃トナー回収容器22の装着状態を検知する。本実施形態では、開閉センサ10aからON信号を受け取った場合、制御部32は前カバー10が閉状態であると検知する。また、廃トナー回収容器センサ23からON信号を受け取った場合、容器装着部へ廃トナー回収容器22が装着されたと検知する。
【0049】
制御部32は、さらに容器装着部へ廃トナー回収容器22が装着されたと検知すると、その装着が複写機1の出荷時における装着であるのか、廃トナー回収容器22の交換時における装着であるのかどうかを判断する。具体的には、記憶部10bに廃トナー回収容器22の満杯状態を判断した旨の満杯判断情報が記憶されているかどうかに基づき判断する。すなわち、記憶部11bに満杯判断情報が記憶されていない場合は、廃トナー回収容器22の装着は複写機1の出荷時におけるものであると判断する。一方、記憶部11bに満杯判断情報が記憶されている場合は、廃トナー回収容器22の装着は廃トナー回収容器22の交換時におけるものであると判断する。
【0050】
[廃トナー検出部の動作]
次に、図6を参照して廃トナー検出部25の動作について説明する。図6は、廃トナー検出部の各部が行う廃トナーの満杯状態の判断動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、制御部32は、廃トナー回収容器センサ23よりON信号が受け取ると廃トナー回収容器22が容器装着部に装着されたと検知する(ステップS1)。そしてこの廃トナー回収容器22の装着が複写機1の出荷時におけるものであるかどうかを、記憶部11bにおける満杯判断情報の有無に基づいて判断する(ステップS2)。ここで、記憶部11bに満杯判断情報が記憶されていない場合は、廃トナー回収容器22の装着は複写機1の出荷時におけるものであると判断する。一方、記憶部11bに満杯判断情報が記憶されている場合は、廃トナー回収容器22の装着は、廃トナー回収容器22の交換時におけるものであると判断する。
【0052】
複写機1の出荷時であると判断されると、基準値設定部26は受光部24bの受光量に関する任意の値である補正用基準値を設定し、その値を記憶部11bに記憶させる(ステップS3)。
【0053】
補正用基準値が設定されると、光量調整部28は、受光部24bの受光量がこの補正用基準値に到達するように発光部24aの発光量を調整し、調整後の値を発光量基準値として記憶部11bに記憶させる(ステップS4)。ここで光量調整部28は、後述する調整後発光量値が設定されるまで、この発光量基準値に基づく一定の発光量を保つように発光部24aの発光量を調整する。
【0054】
次に基準値調整部29は、前述の補正用基準値を調整し、廃トナー回収容器22の満杯状態を判断するための基準となる受光量基準値を設定する(ステップS5)。本実施形態では、基準値調整部29は、補正用基準値を半減させた値を受光量基準値として設定し、その値を記憶部11bに記憶させる。
【0055】
次に満杯判断部27は、ステップ4で調整された発光量を受光する受光部24bからの出力信号と記憶部11bに記憶されている受光量基準値とを比較して、廃トナー検出容器22の満杯状態を判断する(ステップS6)。比較の結果、出力信号が受光量基準値未満である場合は、満杯検出部25は廃トナー回収容器22が満杯状態になったと判断する。このとき、満杯検出部25は報知部31に満杯状態を判断した旨を通知し、さらに満杯状態を判断した旨の満杯判断情報を記憶部11bに記憶させる。一方、出力信号が所定の受光量基準値以上である場合は、満杯判断部25は廃トナー回収容器22が満杯状態ではないと判断する。この場合は、満杯状態が判断されるまで、ステップ6が所定の間隔をおいて繰り返される。
【0056】
廃トナー回収容器22が満杯状態であると判断された場合は、報知部31は、操作表示パネル9の表示部に廃トナー回収容器22の交換をユーザに促す旨の表示を行う(ステップS7)。表示が行われると、前述のステップ1に戻る。
【0057】
廃トナー回収容器22の交換を促されたユーザは、前カバー10を開け、満杯状態になった廃トナー回収容器22を容器装着部から取り外し、新しい廃トナー回収容器22を装着する。すると、制御部32は、廃トナー回収容器22の装着状態を検出し(ステップS1)、この装着が複写機1の出荷時のものであるかどうかを判断する(ステップS2)。ここでは、ステップS6において記憶部11bに満杯判断情報が記憶されているので、制御部11は、出荷時ではない、つまり廃トナー回収容器22の交換時であると判断する。
【0058】
ユーザによって前カバー10が閉められると、制御部32は開閉センサ10aからON信号を受け取って前カバー10が閉状態であることと検出し(ステップS8)、基準値設定部26は、記憶部11bからステップ3で設定された補正用基準値を読み出す(ステップS9)。
【0059】
補正用基準値を読み出されると、光量調整部28は、受光部24bの受光量がこの補正用基準値に到達するように発光部24aの発光量を調整し、調整後の値を調整後発光量値として記憶部11bに記憶させる(ステップS10)。ここで光量調整部28は、次に廃トナー回収容器22が交換されて調整後発光領地が設定されるまで、この調整後発光量値に基づく一定の発光量を保つように発光部24aの発光量を調整する。
【0060】
次に、汚れ判断部30は、調整後発光量値およびステップS4において調整された発光量基準値を用いてフォトセンサ24における廃トナーの汚れ状態を判断する(ステップS11)。具体的には、発光量基準値と調整後発光量値とを比較し、調整後発光量値が発光量基準値より所定量以上である場合には、汚れ判断部30はフォトセンサ24における廃トナーの付着量が多く、フォトセンサ24の清掃が必要であると判断する。本実施形態では、所定量以上とは、2倍以上である場合を例に挙げて説明する。フォトセンサ24の清掃が必要であると判断すると、汚れ判断部30はその旨を報知部31に通知し、報知部31は操作表示パネル9の表示部にフォトセンサ24の掃除を促す旨の表示を行う(ステップS12)。このようなメッセージを受けたユーザは、前カバー10aを開けてフォトセンサ24を清掃することになる。フォトセンサ24の清掃後は、再びステップS8に戻り、ステップS8以下のステップを繰り返す。
【0061】
一方、ステップS11において、発光量基準値と比較して調整後発光量値が2倍未満である場合は、汚れ判断部30はフォトセンサ24における廃トナーの付着量は清掃を要するほど多くないものであると判断して、その旨を基準値調整部29に通知する。通知された基準値調整部29は、補正用基準値を調整して受光量基準値を設定する(ステップS13)。受光量基準値が設定されると、満杯判断部27は、廃トナー検出容器22の満杯状態を判断する(ステップS14)。すなわち、ステップS13にて調整された発光量を受光した受光部24bからの出力信号と、記憶部11bに記憶されている受光量基準値とを比較する。そして比較の結果、出力信号が受光量基準値未満である場合は、満杯検出部27は廃トナー回収容器22が満杯状態になったと判断する。このとき、満杯検出部27は報知部31に満杯状態を判断した旨を通知し、さらに満杯状態を判断した旨の満杯判断情報を記憶部11bに記憶させる。一方、出力信号が所定の受光量基準値以上である場合は、満杯判断部27は廃トナー回収容器22が満杯状態ではないと判断する。この場合は、満杯状態が判断されるまで、ステップ14が所定の間隔をおいて繰り返される。
【0062】
廃トナー回収容器22が満杯状態であるとの通知を受けた報知部31は、操作表示パネル9の表示部に廃トナー回収容器22の交換をユーザに促す旨の表示を行う(ステップS15)。
【0063】
このように本実施形態では、複写機の出荷時に受光部に対して設定された所定の補正用基準値に対応する発光部の発光量を、廃トナー回収容器の交換時毎に調整する。よって、複写機の使用において、特に廃トナー回収容器の交換する際などにフォトセンサに廃トナーが付着したとしても、受光部が一定の受光量を受光できるように発光部の発光量を調整することにより、フォトセンサへの廃トナーの付着から生じる受光部の受光量の減少を防ぐことができる。従って、フォトセンサへの廃トナーの付着を原因とする廃トナーの満杯状態の誤検出を防ぐことができる。
【0064】
また、複写機の出荷時および廃トナー回収容器の交換時において、受光部の受光量が補正用基準値に到達するように発光部の発光量をそれぞれ調整しこれらを比較することで、廃トナー回収装置ではなく廃トナーによるフォトセンサ自体の汚れ状態を判断することができる。そしてフォトセンサの汚れ状態をユーザに通知することにより、ユーザにフォトセンサを清掃させ、安定した機械状態を作りだすことができる。
【0065】
[他の実施形態]
(a)本発明の廃トナー検出装置の適用は、複写機に限定されるものではなく、廃トナー回収容器を備える他の画像形成装置においても同様に適用することができる。
【0066】
(b)上記実施形態では、廃トナー検出部の各部が行う廃トナーの満杯状態の判断動作のステップS10の開始は、前カバーに設けられた開閉センサによるON信号の出力をトリガとしているが、この例には限定されない。例えば、操作表示パネルに開始の指示を表すキーを設け、ユーザによりこのキーが入力された時点をステップS10の開始と認識してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置としての複合機の概略断面図。
【図2】複合機の画像形成部及びその周辺の要部構成を示す正面図。
【図3】廃トナー回収装置の概略図。
【図4】廃トナー検出装置の機能構成を示すブロック図
【図5】フォトセンサにおける発光部の発光量と受光部の受光量の推移を示した図。
【図6】廃トナー検出部が行う廃トナーの満杯状態の検出動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
1 複合機
3 本体
4 画像読取装置
5 画像形成部
9 操作表示パネル
10a 開閉センサ
11a 記憶部
23 廃トナー回収容器センサ
24 フォトセンサ
24a 発光部
24b 受光部
25 廃トナー検出部
26 基準値設定部
27 満杯判断部
28 光量調整部
29 基準値調整部
30 清掃判断部
31 報知部
32 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体内に設けられた感光体ドラムと、前記感光体ドラム上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、前記本体に対して交換可能であって前記クリーニング装置により除去された廃トナーを上部に設けられた開口部を通して回収する廃トナー回収容器と、前記廃トナー回収容器の開口部付近に設けられ、光を出射する発光部と前記発光部からの光を受光する受光部とを有するセンサ部と、を備える画像形成装置の廃トナー検出装置であって、
前記画像形成装置の出荷時に、前記受光部の受光量に対する補正用基準値を設定する基準値設定部と、
前記廃トナー回収容器の交換時に、前記受光部の受光量が前記補正用基準値に到達するように前記発光部の発光量を調整する光量調整部と、
前記廃トナー回収容器の交換時に、前記廃トナー回収容器の満杯状態を判断するための受光量基準値を前記補正用基準値を用いて設定する基準値調整部と、
前記受光量基準値に基づき前記廃トナー回収容器の満杯状態を判断する満杯判断部と、
を含む画像形成装置の廃トナー検出装置。
【請求項2】
前記満杯判断部において前記廃トナー回収容器が満杯状態であると判断された場合にその旨の報知動作を行う満杯報知部をさらに含む、請求項1に記載の画像形成装置の廃トナー検出装置。
【請求項3】
前記光量調整部は、前記画像形成装置の出荷時において前記受光部の受光量が前記補正用基準値に到達するように前記発光部の発光量である発光量基準値を調整していて、
前記発光量基準値と前記廃トナー回収容器の交換時に前記光量調整部が調整した前記発光部の発光量とを用いて、前記センサ部への廃トナーの付着状態を判断する汚れ判断部をさらに含む、請求項1または2に記載の画像形成装置の廃トナー検出装置。
【請求項4】
前記汚れ判断部によって判断された前記センサ部への廃トナーの付着状態が所定量以上である場合に、前記センサ部の清掃を促す旨の報知動作を行う清掃報知部をさらに含む、請求項3に記載の画像形成装置の廃トナー検出装置。
【請求項5】
本体と、
前記本体内に設けられた感光体ドラムと、
前記感光体ドラム上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、
前記本体に対して交換可能であって前記クリーニング装置により除去された廃トナーを上部に設けられた開口部を通して回収する廃トナー回収容器と、
前記廃トナー回収容器の開口部付近に設けられ、光を出射する発光部と前記発光部からの光を受光する受光部とを有するセンサ部と、
請求項1から4に記載の画像形成装置の廃トナー検出装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−128345(P2010−128345A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305032(P2008−305032)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】