説明

廃棄ポリマー処理装置

【課題】ポリマー濾過装置から排出される廃棄ポリマーを円滑に回収できると共に、廃棄ポリマーの付着を防止できる廃棄ポリマー処理装置を提供すること。
【解決手段】廃棄ポリマー処理装置1は、ポリマー濾過装置7の排出口74から落下する液状の廃棄ポリマー81を受け取って滑落させる冷却用傾斜プレート21と、冷却用傾斜プレート21の上面における傾斜方向上側の端部から滑落用気体を吹き出す滑落用吹出ノズル31と、冷却用傾斜プレート21の下面に冷却用気体を吹き出す冷却用吹出ノズル32とを有している。廃棄ポリマー処理装置1は、冷却用傾斜プレート21の上面に落下した液状の廃棄ポリマー81を、冷却用気体によって冷却すると共に滑落用気体によって押し出して滑落させ、シューター6へ回収するよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状ポリマーを濾過した後に残った異物を含む廃棄ポリマーを処理する廃棄ポリマー処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの重合プロセスにおいては、モノマーを重合させてポリマーを製造するが、その際混入する異物は、製品であるポリマーの商品価値を著しく低下させる。異物混入の原因としては、モノマーや触媒等に元々含まれていた異物が混入する場合や、重合プロセスで発生した異物が混入する場合等が考えられる。よって、ポリマー中の異物を減らすには、異物の発生原因を突き止め、断つことが重要であるが、いかなる手段を取っても、異物の混入をゼロにすることは困難であり、ポリマー中の異物を最も確実に低減する方法は、濾過で取り除くことである。
【0003】
ところが、粘度の高いポリマーの場合には、微小な異物を濾過で取り除くことは容易ではなく、特に溶融状態でポリマーを濾過するには、特殊な構造と広い濾過面積を有し、耐熱性や機械的強度に優れたフィルターが必要である(例えば特許文献1)。
しかしながら、このようなフィルターを用いても、ポリマー中の異物がフィルター上に捕捉されるに従いフィルターの目詰まりが激しくなり、濾過効率の低下を招く。この際、新しいフィルターに取り換えようとすると、濾過プロセスを一旦中断して行わねばならず、ポリマーの熱滞留による品質劣化を招いたり、新たな異物の発生を招いたりする。さらに、フィルターの交換作業は、一般的にはポリマーが固化しないように高温で行う必要があるため、作業の安全性や効率性の点でも問題が大きい。
【0004】
この問題を解決するために、フィルターをプロセスに影響がないように連続的に更新する方法が提案されおり(特許文献2)、さらにフィルターの交換までの寿命を延ばす方法として、フィルターの目詰まりの程度を検知して、フィルターの逆洗浄を行う方法が提案されている(特許文献3)。
これらの方法は、フィルター寿命を著しく延長させてフィルター交換の頻度を大幅に下げるだけではなく、自動化されたシステムによってフィルター洗浄の省力化が図られ、フィルター交換作業の安全面からも優れている。
【0005】
しかしながら、これらの方法においては、逆洗浄により一定間隔で排出される廃棄ポリマーが、排出された場所に溜まってしまい、新たにその処理に労力と危険性が発生するという問題を惹起している。さらには、廃棄ポリマーが溶融状態で排出される場合には、先に排出された廃棄ポリマーに新たに排出された廃棄ポリマーが融着し、時間とともに大きな塊に成長し、ますます作業の繁雑さを招くという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−19704号公報
【特許文献2】特開平6−47794号公報
【特許文献3】特表2003−516847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ポリマー濾過装置から排出される廃棄ポリマーを円滑に回収することができると共に、廃棄ポリマーの付着を防止することができる廃棄ポリマー処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、ポリマー濾過装置から排出される液状の廃棄ポリマーを冷却固化し、該冷却固化させた廃棄ポリマーをその場に滞留させることなく取り除くよう構成してあることを特徴とする廃棄ポリマー処理装置にある(請求項1)。
本発明の廃棄ポリマー処理装置によれば、ポリマー濾過装置から排出される廃棄ポリマーを円滑に回収することができると共に、廃棄ポリマーの付着を防止することができる。
【0009】
本発明でいうポリマーとは、モノマーユニットが繰り返し結合した高分子量化合物であり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの共重合体等が挙げられるが、中でも熱可塑性樹脂である場合に本発明による効果が大きい。
また、ポリマーを濾過する際の形態は、溶媒等に溶かされた溶液状態、分散媒に分散された懸濁あるいは乳化状態、ポリマー自体が溶融した溶融状態等が挙げられるが、本発明においては、濾過時の温度が高く、粘度の高い溶融状態である場合に改良効果が大きい。
【0010】
本発明におけるポリマー濾過装置とは、フィルターを用いてポリマー中の異物を濾過する装置を言い、公知のものが使用できるが、中でも特許文献2に挙げたような、プロセスに悪影響を及ぼすことなく、連続的に目詰まりの小さなフィルター面に交換できる装置が好ましく、中でも特許文献3に挙げたように、定期的にプロセスに影響を及ぼさないよう、フィルターの使用している部分とは異なる部分で、フィルターの目詰まりを新鮮なポリマーを用いてプロセスのポリマー流路の逆方向から流して洗浄する、いわゆる逆洗浄を行う種類のものであることが好ましい。
【0011】
本発明における液状の廃棄ポリマーとは、ポリマー濾過装置から排出される液状のポリマーのことを言い、具体的にはポリマー濾過装置から漏れ出したり染み出したりした商品価値の低いポリマーや、洗浄で排出されたポリマーのことを指す。中でも、廃棄ポリマーが上記フィルターの逆洗浄で排出されるポリマーである場合には、定期的に排出され、その積算量も多いため、本発明による改良効果が大きい。
【0012】
本発明において液状の廃棄ポリマーは冷却固化することを必須するが、その冷却方法に制限はなく、水等の冷媒に直接触れさせる方法や、冷却用プレート上等で、水や空気、窒素等の冷媒を用いて間接的に冷却する方法が挙げられる。中でも、傾斜した冷却用プレートを通じ間接的に冷却用気体で冷却すると同時に、冷却用気体を直接廃棄ポリマーに吹き付け移動させ、廃棄ポリマーの固化と冷却用プレートからの除去を同時に行う方法が簡便で好ましい。この場合、廃棄ポリマーの粘度等により、固化後の滑り性が異なるため、廃棄ポリマー処理装置は、冷却用プレートの傾斜角度を変えられるよう角度調節機能を有していることが好ましい。
【0013】
また、冷却固化された廃棄ポリマーが確実に回収用シューターに導入されるよう冷却用プレートにはサイドガードを有していることが好ましく、清掃等を容易にするために該冷却用プレートは、高さを調節するリフター上に配設し、当該リフターは台車等を用いて可動式にしておくことが特に好ましい。
【0014】
本発明において、冷却固化した廃棄ポリマーを冷却した場所に滞留させることなく取り除く方法については特に制限はなく、水等の冷媒中で廃棄ポリマーを冷却する場合には、冷媒と廃棄ポリマーを一緒に排出したり、冷却用プレート上で直接的又は間接的に冷却する場合には、コンベアやアクチュエーター等で機械的に取り除いたりする方法が挙げられるが、中でも上述のように、傾斜した冷却用プレートを用いて、重力を利用して取り除く方法が、簡便で好ましい。
【0015】
冷却固化された廃棄ポリマーの外周の上限は、通常1000mm、好ましくは800mm、更に好ましくは600mm、特に好ましくは500mmである。下限は通常50mm、好ましくは100mmである。冷却された廃棄ポリマーの外周が大きすぎると、シューター等で閉塞し回収がうまく行かなかったり、冷却が不十分になって融着を招いたりするおそれがある。
【0016】
第2の発明は、ポリマー濾過装置から落下する液状の廃棄ポリマーを受け取って、冷却固化させた後、該廃棄ポリマーをシューターへ回収させる廃棄ポリマー処理装置であって、
該廃棄ポリマー処理装置は、上記ポリマー濾過装置から落下する液状の廃棄ポリマーを受け取って、該廃棄ポリマーをシューターへ滑落させて回収させる冷却用傾斜プレートと、該冷却用傾斜プレートの上面における傾斜方向上側の端部から滑落用気体を吹き出す滑落用吹出ノズルと、上記冷却用傾斜プレート部の下面に冷却用気体を吹き出す冷却用吹出ノズルとを有しており、
上記冷却用傾斜プレートの上面に落下した上記廃棄ポリマーを、上記冷却用気体によって冷却すると共に上記滑落用気体によって押し出して滑落させ、上記シューターへ回収するよう構成してあることを特徴とする廃棄ポリマー処理装置にある(請求項7)。
【0017】
本発明の廃棄ポリマー処理装置は、ポリマー濾過装置から排出される液状の廃棄ポリマーをシューターへ容易に回収するための工夫を行っている。
すなわち、廃棄ポリマー処理装置は、冷却用傾斜プレート、滑落用吹出ノズル及び冷却用吹出ノズルを有している。また、廃棄ポリマー処理装置は、冷却用傾斜プレートを、ポリマー濾過装置における廃棄ポリマーの排出口の下方に配置して設置する。
【0018】
ポリマー濾過装置から排出された液状の廃棄ポリマーは、冷却用傾斜プレートの上に落下する。そして、廃棄ポリマーが落下する際には、冷却用吹出ノズルからは冷却用気体が吹き出され、滑落用吹出ノズルからは滑落用気体が吹き出される。この滑落用気体は廃棄ポリマーの冷却を兼ねることが好ましい。
【0019】
そして、冷却用傾斜プレートの上面に落下した廃棄ポリマーは、冷却用傾斜プレートの下面に吹き出された冷却用気体によって冷却され、固化が促進される。これにより、冷却用傾斜プレートの上面に落下した廃棄ポリマーは、ほとんど固化した状態又は固体に近い状態で、シューターへ回収することができる。
そのため、廃棄ポリマーがシューターに付着してしまうことがほとんどなく、シューターの取り扱いを悪化させてしまうことを防止することができる。
【0020】
また、冷却用傾斜プレートの上面に落下した廃棄ポリマーは、冷却用傾斜プレートの上面における傾斜方向上側の端部から吹き出された滑落用気体によって、冷却用傾斜プレートの上面における傾斜方向下側に向けて押し出される。そのため、廃棄ポリマーは、冷却用傾斜プレートの途中で滑落が止まってしまうことなく、冷却用傾斜プレートに付着してしまうことを防止することができる。
【0021】
それ故、本発明の廃棄ポリマー処理装置によれば、ポリマー濾過装置から排出される廃棄ポリマーを円滑にシューターへ回収することができると共に、シューター又は冷却用傾斜プレートに廃棄ポリマーが付着してしまうことを防止することができる。
【0022】
上記廃棄ポリマー処理装置は、上記冷却用傾斜プレートの傾斜角度を調節する角度調節機構を有していることが好ましい(請求項8)。この場合には、角度調節機構を用いて冷却用傾斜プレートの傾斜角度を適切に調節することにより、廃棄ポリマーの冷却と円滑な滑落とをバランスよく実現することができる。
【0023】
また、上記廃棄ポリマー処理装置は、上記冷却用傾斜プレートの上面における両側部に、上記廃棄ポリマーの滑落をガードするサイドガードを有していることが好ましい(請求項9)。この場合には、サイドガードによって、冷却用傾斜プレートの上面を滑落する廃棄ポリマーが誤って側部へ落下しないようにガードすることができる。
【0024】
また、上記冷却用傾斜プレートは、その高さを調節する高さ調節リフター上に配設し、該高さ調節リフターは、台車上に配設することが好ましい(請求項10)。この場合には、高さ調整リフターによって、冷却用傾斜プレートの設置高さを調節することができる。また、冷却用傾斜プレート及び高さ調節リフターを備えた廃棄ポリマー処理装置は、台車によって様々な目的位置まで移動させることができる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明の廃棄ポリマー処理装置にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の廃棄ポリマー処理装置1は、図1〜図3に示すごとく、ポリマー濾過装置7から排出された液状の廃棄ポリマー81を処理するよう構成されている。
【0026】
ポリマー濾過装置7は、図3に示すごとく、溶融した液状ポリマー80をフィルター72を通過させ常時濾過すると同時に、このフィルター72の上流側に蓄積された液状の逆洗浄用ポリマー82を用いて、一定間隔でフィルター72を液状ポリマー80の流れとは逆方向から洗浄し、廃棄ポリマー81を排出するよう構成されている。
なお、ここで言う一定間隔で洗浄するとは、時間的間隔を一定にして洗浄する場合、フィルター72の入口部と出口部の圧力損失を検知し、その圧力が一定値に達した時に洗浄する場合、フィルター72が一定角度回転した時に洗浄する場合等が挙げられる。
【0027】
廃棄ポリマー処理装置1は、図1、図2に示すごとく、ポリマー濾過装置7から排出される液状の廃棄ポリマー81を冷却固化し、この冷却固化させた廃棄ポリマー81をその場に滞留させることなくシューター6へ回収させるよう構成してある。
具体的には、廃棄ポリマー処理装置1は、ポリマー濾過装置7から落下する液状の廃棄ポリマー81を受け取って、この廃棄ポリマー81をシューター6へ滑落させて回収させる冷却用傾斜プレート21と、この冷却用傾斜プレート21の上面における傾斜方向Dの上側の端部201から滑落用気体A1を吹き出す滑落用吹出ノズル31と、冷却用傾斜プレート21の下面に冷却用気体A2を吹き出す冷却用吹出ノズル32とを有している。
【0028】
そして、本例の廃棄ポリマー処理装置1は、冷却用傾斜プレート21の上面に落下した液状の廃棄ポリマー81を、冷却用気体A2によって冷却して固化させると共に、滑落用気体A1によって固化した状態の廃棄ポリマー81を押し出して滑落させ、シューター6へ回収するよう構成してある。
【0029】
以下に、本例の廃棄ポリマー処理装置1につき、図1〜図3と共に詳説する。
図1、図2に示すごとく、本例の廃棄ポリマー処理装置1は、ポリマー濾過装置7から排出される液状の廃棄ポリマー81をシューター6へ容易に回収することができるものである。そして、廃棄ポリマー処理装置1は、冷却用傾斜プレート21を、ポリマー濾過装置7における廃棄ポリマー81の排出口74の下方に配置して設置する。
【0030】
図3に示すごとく、本例のポリマー濾過装置7は、液状ポリマー80を通過させるポリマー通路71と、このポリマー通路71の途中に配設し、液状ポリマー80の濾過を行うフィルター72と、液状ポリマー80の一部を用い、フィルター72の上流側に蓄積された異物を除去する逆洗浄部73とを有している。
逆洗浄部73は、ポリマー通路71内を流れる液状ポリマー80の一部を逆洗浄用ポリマー82としてフィルター72の下流側から上流側に向けて逆流させ、フィルター72の上流側に蓄積された異物を、逆洗浄用ポリマー82に混合させて廃棄ポリマー81とし、この廃棄ポリマー81をポリマー濾過装置7における排出口74から排出するよう構成されている。
【0031】
図1に示すごとく、本例のシューター6は、冷却用傾斜プレート21を滑落し、冷却用傾斜プレート21の傾斜方向Dの下側の端部202から落下する廃棄ポリマー81を受け取って滑落させ、廃棄物集積所まで回収する廃棄ダクトである。
なお、シューター6は、これ以外にも、廃棄ポリマー81を集積するバット(回収箱)とすることもできる。
【0032】
図1、図2に示すごとく、本例の滑落用気体A1及び冷却用気体A2は、好ましくはエアーであり、滑落用吹出ノズル31及び冷却用吹出ノズル32は、工場内で用いるエアー配管33の先端部に設けてある。エアー配管33において、滑落用吹出ノズル31の上流側及び冷却用吹出ノズル32の上流側には、バルブ34がそれぞれ配設してあり、これらのバルブ34により、滑落用気体A1の吹出流量及び冷却用気体A2の吹出流量をそれぞれ調節することができる。
【0033】
本例においては、ポリマー濾過装置7内に液状ポリマー80を通過させて、液状ポリマー80の濾過を行っている際には、各バルブ34を開けておき、滑落用吹出ノズル31及び冷却用吹出ノズル32から滑落用気体A1及び冷却用気体A2をそれぞれ常時吹き出しておく。
そして、廃棄ポリマー処理装置1は、ポリマー濾過装置7から定期的に排出される液状の廃棄ポリマー81を、冷却用傾斜プレート21に受け取り、冷却してほとんど固化させた状態で、シューター6へ滑落させる。また、廃棄ポリマー81は、冷却用傾斜プレート21の上面において板状に固まってシューター6へ回収される。
【0034】
図1、図2に示すごとく、本例の廃棄ポリマー処理装置1は、冷却用傾斜プレート21の傾斜角度を調節する角度調節機構4を有している。この角度調節機構4を用いて冷却用傾斜プレート21の傾斜角度を適切に調節することにより、処理するポリマーの種類や粘度が変化した場合においても、冷却用気体A2によって液状の廃棄ポリマー81を固化させる間は、この廃棄ポリマー81がほとんど滑落せず、廃棄ポリマー81がほぼ固化したときに、この廃棄ポリマー81が冷却用傾斜プレート21の上面を円滑に滑落するよう調整することができる。
【0035】
本例の角度調節機構4は、パンタグラフジャッキ4を用いて構成してある。このパンタグラフジャッキ4は、ねじ部41の回転操作により、左右のパンタグラフ部材42の間隔を拡縮させて、左右のパンタグラフ部材42の上部に設けた持上部43の上下位置を変更することができるものである。本例においては、パンタグラフジャッキ4の持上部43が、冷却用傾斜プレート21における傾斜方向Dの上側の端部201に取り付けてある。そして、パンタグラフジャッキ4のねじ部41を回転操作することにより、冷却用傾斜プレート21の傾斜角度を調節することができる。
なお、角度調節機構4としてはパンタグラフジャッキ4以外にも、スクリュージャッキ等を用いることができる。
【0036】
また、図1、図2に示すごとく、冷却用傾斜プレート21の上面における両側部には、廃棄ポリマー81の滑落をガードする板状のサイドガード22が立設してある。このサイドガード22によって、冷却用傾斜プレート21の上面を滑落する廃棄ポリマー81が誤って側部へ落下しないようにガードすることができる。
また、廃棄ポリマー処理装置1は、冷却用傾斜プレート21の下面における全周縁から板状の滞留壁23を形成してなる。この滞留壁23の形成により、冷却用吹出ノズル32から吹き出された冷却用気体A2を、冷却用傾斜プレート21の下面に滞留させることができ、冷却用傾斜プレート21の上面における廃棄ポリマー81の冷却を効果的に行うことができる。
【0037】
また、図1に示すごとく、冷却用傾斜プレート21は、その高さを調節する高さ調節リフター51上に配設してあり、この高さ調節リフター51は、台車52上に配設してある。本例の台車52は、複数のキャスタ521を有しており、作業者によって移動可能なものであり、高さ調節リフター51は、台車52に設けられたパンタグラフ式のリフター51である。高さ調節リフター51によって、冷却用傾斜プレート21の設置高さを調節することができ、廃棄ポリマー処理装置1は、台車52によって様々な目的位置まで移動させることができる。
【0038】
図2に示すごとく、上記ポリマー濾過装置7を用いて液状ポリマー80の濾過を行う際には、ポリマー濾過装置7から排出された液状の廃棄ポリマー81は、廃棄ポリマー処理装置1における冷却用傾斜プレート21の上に落下する。そして、廃棄ポリマー81が落下する際には、冷却用吹出ノズル32からは冷却用気体A2が吹き出され、滑落用吹出ノズル31からは滑落用気体A1が吹き出されている。
【0039】
そして、冷却用傾斜プレート21の上面に落下した廃棄ポリマー81は、冷却用傾斜プレート21の下面に吹き出された冷却用気体A2によって冷却され、固化が促進される。これにより、冷却用傾斜プレート21の上面に落下した廃棄ポリマー81は、ほとんど固化した状態又は固体に近い状態で、シューター6へ回収することができる。そのため、廃棄ポリマー81がシューター6に付着してしまうことがほとんどなく、シューター6のメンテナンス、清掃等の取り扱いを悪化させてしまうことを防止することができる。
また、シューター6へ回収された廃棄ポリマー81は、重力の働きでシューター6を通って廃棄ポリマー回収用容器(図示せず)に導かれる。
【0040】
また、冷却用傾斜プレート21の上面に落下した廃棄ポリマー81は、冷却用傾斜プレート21の上面における傾斜方向Dの上側の端部201から吹き出された滑落用気体A1によって、冷却用傾斜プレート21の上面における傾斜方向Dの下側の端部202に向けて押し出される。そのため、廃棄ポリマー81は、冷却用傾斜プレート21の途中で滑落が止まってしまうことなく、冷却用傾斜プレート21に付着してしまうことを防止することができる。
【0041】
それ故、本例の廃棄ポリマー処理装置1によれば、ポリマー濾過装置7から排出される廃棄ポリマー81を円滑にシューター6へ回収することができると共に、シューター6又は冷却用傾斜プレート21に廃棄ポリマー81が付着してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例における、廃棄ポリマー処理装置及びポリマー濾過装置を示す斜視図。
【図2】実施例における、廃棄ポリマー処理装置の要部を拡大して示す断面図。
【図3】実施例における、ポリマー濾過装置を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0043】
1 廃棄ポリマー処理装置
21 冷却用傾斜プレート
22 サイドガード
31 滑落用吹出ノズル
32 冷却用吹出ノズル
4 角度調節機構
51 高さ調節リフター
52 台車
6 シューター
7 ポリマー濾過装置
80 液状ポリマー
81 廃棄ポリマー
82 逆洗浄用ポリマー
A1 滑落用気体
A2 冷却用気体
D 傾斜方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー濾過装置から排出される液状の廃棄ポリマーを冷却固化し、該冷却固化させた廃棄ポリマーをその場に滞留させることなく取り除くよう構成してあることを特徴とする廃棄ポリマー処理装置。
【請求項2】
上記冷却固化された廃棄ポリマーの外周の長さは、600mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項3】
上記廃棄ポリマーは、上記ポリマー濾過装置に具備されたフィルターの逆洗浄に用いられたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項4】
上記ポリマー濾過装置は、上記フィルターの逆洗浄を一定の間隔で自動的に行うものであることを特徴とする請求項3に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項5】
上記液状の廃棄ポリマーを気体によって直接冷却するよう構成してあることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項6】
傾斜を持った冷却装置上で上記液状の廃棄ポリマーを冷却固化し、該冷却固化させた廃棄ポリマーを重力を利用してシューターへ導くことにより、当該廃棄ポリマーを上記冷却装置上に滞留させることなく回収するよう構成してあることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項7】
ポリマー濾過装置から落下する液状の廃棄ポリマーを受け取って、冷却固化させた後、該廃棄ポリマーをシューターへ回収させる廃棄ポリマー処理装置であって、
該廃棄ポリマー処理装置は、上記ポリマー濾過装置から落下する液状の廃棄ポリマーを受け取って、該廃棄ポリマーをシューターへ滑落させて回収させる冷却用傾斜プレートと、該冷却用傾斜プレートの上面における傾斜方向上側の端部から滑落用気体を吹き出す滑落用吹出ノズルと、上記冷却用傾斜プレート部の下面に冷却用気体を吹き出す冷却用吹出ノズルとを有しており、
上記冷却用傾斜プレートの上面に落下した上記廃棄ポリマーを、上記冷却用気体によって冷却すると共に上記滑落用気体によって押し出して滑落させ、上記シューターへ回収するよう構成してあることを特徴とする廃棄ポリマー処理装置。
【請求項8】
上記冷却用傾斜プレートの傾斜角度を調節する角度調節機構を有していることを特徴とする請求項7に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項9】
上記冷却用傾斜プレートの上面における両側部に、上記廃棄ポリマーの滑落をガードするサイドガードを有していることを特徴とする請求項7又は8に記載の廃棄ポリマー処理装置。
【請求項10】
上記冷却用傾斜プレートは、その高さを調節する高さ調節リフター上に配設してあり、該高さ調節リフターは、台車上に配設してあることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載の廃棄ポリマー処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−118348(P2007−118348A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312593(P2005−312593)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】