説明

廃棄物処分場における廃棄物の管理システム

【課題】廃棄物処分場に埋め立て処分された廃棄物を、どの位置に、どのような種類の廃棄物があるのかを容易に把握し、再利用を容易にする。
【解決手段】廃棄物処分場45に搬入された廃棄物の種類を含む廃棄物情報を取得する廃棄物情報取得部と、前記取得した廃棄物情報を記憶する廃棄物情報記憶部と、前記搬入された廃棄物が、前記廃棄物処分場内に投入された箇所の平面的な位置情報及び高さ情報を含む投入位置情報を取得する投入位置情報取得部と、前記取得した投入位置情報を、該当する廃棄物の廃棄物情報に関連付けて前記廃棄物情報記憶部に記憶する位置情報記憶部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場における廃棄物の管理システムに関し、特に、廃棄物処分場に埋め立て処分した廃棄物の種類、埋立量、埋め立て位置等の管理に有効な廃棄物処分場における廃棄物の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場へ廃棄物を埋め立て処分する場合、ダンプトラック等の車両によって廃棄物を廃棄物処分場へ搬入し、ダンプトラックから廃棄物を処分場内へ直接投入し、又はダンプトラックから廃棄物をバケットに受け取り、バケットによって廃棄物を処分場へ投入している。
【0003】
また、処分場内へ投入した廃棄物に対して、処分場内に配置した各種の重機(バックホウ、ブルドーザー等)を作業者が直接操縦し、又は無線操縦することにより、敷き均し、転圧等の作業を行っている。
【0004】
一方、処分場内に埋め立て処分した廃棄物は、将来的に処分場から取り出して各種の資源として再利用することが考えられるが、処分場内には、複数の種類の廃棄物が混ざった状態で埋め立て処分されているため、処分場から廃棄物を種類毎に分けて取り出すことができない。
【0005】
この場合、処分場へ投入する廃棄物の種類、投入位置、投入量等の廃棄物の情報を作業者が管理することにより、処分場内に廃棄物を種類毎に埋め立て処分することも可能であるが、これらの情報を作業者が計測、計量等によって手作業で行わなければならないため、その作業に非常に手間がかかり、現実的ではない。
【0006】
また、特許文献1に記載のように、GPS(人工衛星による測位システム)を利用した管理システムを用いることにより、どの位置にどのような属性を有する廃棄物が分布しているかを把握することは可能である。しかし、埋め立てブロックの位置をGPSで測定しているため、ブロック毎にGPSアンテナを設置する必要があり、煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−190902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたこのであって、処分場に投入した廃棄物の種類、深度等の管理を容易に行うことができるとともに、処分場に埋め立て処分した廃棄物を種類毎に分けて取り出して再利用することができる、廃棄物処分場における廃棄物の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、廃棄物処分場に搬入された廃棄物の種類を含む廃棄物情報を取得する廃棄物情報取得部と、前記取得した廃棄物情報を記憶する廃棄物情報記憶部と、前記搬入された廃棄物が、前記廃棄物処分場内に投入された箇所の平面的な位置情報及び高さ情報を含む投入位置情報を取得する投入位置情報取得部と、前記取得した投入位置情報を、該当する廃棄物の廃棄物情報に関連付けて前記廃棄物情報記憶部に記憶する位置情報記憶部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の廃棄物処分場における廃棄物の管理システムによれば、廃棄物処分場のどの位置に、どのような廃棄物にあるかどうかを把握できるので、廃棄物の再利用が容易になる。
【0011】
また、本発明において、前記投入位置情報は、搬入された廃棄物を前記廃棄物処分場内で3次元的に移動可能な投入用バケット、又は、搬入された廃棄物を積載して前記廃棄物処分場内を走行可能な車両による投入位置の位置情報であることとしてもよい。
【0012】
さらに、本発明において、前記位置情報に含まれる高さ情報は、投入前の高さと投入後の高さとを含むこととしてもよい。
【0013】
本発明の廃棄物処分場における廃棄物の管理システムによれば、廃棄物に投入された各種類の廃棄物の厚さを把握することができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記廃棄物処分場内における廃棄物の高さ分布の測定値を取得する高さ分布取得部と、前記取得した高さ分布を表示する表示部と、を備えることとしてもよい。
【0015】
本発明の廃棄物処分場における廃棄物の管理システムによれば、投入済みの廃棄物の高さ分布が表示されるので、その表示を見て、どの位置に投入すべきかの判断が容易となる。
【0016】
さらに、本発明において、前記廃棄物情報記憶部に記憶された廃棄物情報、及び前記投入位置情報記憶部に記憶された投入位置情報に基づいて、各種類の廃棄物の位置の分布を表示する表示部を備えることしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明したように、本発明の廃棄物処分場における廃棄物の管理システムによれば、廃棄物処分場内に投入した廃棄物の種類、深度等の管理を容易に行うことができるとともに、処分場内に埋め立て処分した廃棄物を種類毎に分けて取り出して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による廃棄物処分場内における廃棄物の管理システムの一実施の形態を示した概略図である。
【図2】中央管理室の制御部のブロック図である。
【図3】廃棄物情報の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施の形態の廃棄物処分場における廃棄物の管理システムは、廃棄物処分場に埋め立て処分する廃棄物の管理に有効なものであって、図1及び図2に示すように、廃棄物処分場45に搬入された廃棄物の種類を含む廃棄物情報を取得して記憶し、搬入された廃棄物が投入された箇所の平面的な位置情報及び高さ情報を含む投入位置情報を取得して記憶し、かつ、取得した投入位置情報を、該当する廃棄物の廃棄物情報に関連付けて記憶する制御部41を有する中央管理室40を備えている。
【0020】
廃棄物処分場45は、例えば、図1に示すように、地表面に開口する円筒状の貯留部46と、貯留部46の底面の中心部に立設されたセンターシャフト部47と、センターシャフト部47と貯留部46の開口周縁部と間に旋回可能に架設された旋回式天井クレーン(以下、クレーン1という。)と、貯留部46の上部開口を覆う建屋48とを備え、この貯留部46内に廃棄物の敷き均し、転圧等の作業を行う重機50〜52が配置されている。
ている。
なお、センターシャフト部47の内部には、散水用の配管等の各種の配管、各種の換気ダクト、監査路等が設けられている。
【0021】
クレーン1は、センターシャフト部47の上部に回転可能に設けられる内側支持脚3と、貯留部46の開口周縁部に旋回可能に設けられる外側支持脚5と、内側支持脚3と外側支持脚5との間に水平に架け渡されるガータ2と、ガータ2に長手方向に移動可能に設けられるトロリ10とを備えている。
【0022】
内側支持脚3は、センターシャフト部47の上部に軸受(図示せず)によって回転可能に支持され、外側支持脚5は、貯留部46の開口周縁部に敷設されたレール(図示せず)及びレール上を転動可能な外側支持脚5に設けられた車輪(図示せず)によって旋回可能に支持され、駆動源(図示せず)によって車輪を回転させてレール上を転動させることにより、ガータ2をセンターシャフト部47を中心として貯留部46の周方向に旋回させることができる。
【0023】
外側支持脚5の車輪の駆動源には、駆動源の回転位置を検出するロータリエンコーダ等からなるバケット周方向位置検出手段8が設けられ、このバケット周方向位置検出手段8によって検出した駆動源の回転位置に応じて、外側支持脚5の周方向の位置、すなわち、後述するウインチ13のワイヤ14に取り付けられた投入用バケット16(以下、バケット16という。)の周方向の位置が検出される。バケット周方向位置検出手段8が検出したバケット16の周方向の位置データは、ガータ2のクレーン無線アンテナ56、中央管理室40のクレーン無線アンテナ57を中継して中央管理室40の制御部41に送信され、記憶される。
【0024】
トロリ10は、ガータ2の上部に長手方向に移動可能に設けられる台車本体11と、台車本体11をガータ2の長手方向に移動させる駆動源(図示せず)とを備え、台車本体11には、廃棄物搬入用のバケット16を昇降させるウインチ13、及びガス吸引ホース22の繰出・巻取手段20が設けられている。
【0025】
台車本体11の上部には配電盤(図示せず)が設けられ、配電盤にガータ2の下部に吊設された電源ケーブル12が接続されるとともに、配電盤に台車本体11の駆動源、ウインチ13の駆動源、リール21の駆動源、及びバケット16の開閉用の駆動源がケーブルを介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0026】
ガータ2の上部には、全長に亘ってレール(図示せず)が敷設されるとともに、このレール上を転動可能な車輪(図示せず)が台車本体11に設けられ、駆動源(図示せず)により車輪を回転させることにより、台車本体11がガータ2の長手方向に移動する。
【0027】
ウインチ13は、台車本体11の上部に設けられている。ウインチ13には、繰出、巻取可能にワイヤ14が巻回され、駆動源(図示せず)によってウインチ13を駆動させることにより、ウインチ13からワイヤ14が繰出され、又は巻取られる。
【0028】
ワイヤ14の先端には、支持フレーム15を介して廃棄物搬入用のバケット16が開閉自在に取り付けられるとともに、支持フレーム15には、バケット16の開閉用の駆動源(図示せず)が取り付けられている。
【0029】
繰出・巻取手段20は、台車本体11の上部に回転可能に設けられたリール21と、リール21の駆動源(図示せず)とから構成され、リール21にガス吸引ホース22が繰出、巻取可能に巻回されている。
なお、リール21の駆動源は、ウインチ13の駆動源に連動するように構成されている。
【0030】
ガス吸引ホース22は、リール21の周囲に巻回された状態で先端部が支持フレーム15から張り出した吊治具17に締結バンド等によって固定され、後端部が台車本体11に設けられるポンプ24に接続されている。
【0031】
ウインチ13の駆動源を駆動させて、ウインチ13からワイヤ14を繰出し、又は巻取ることによってバケット16を上下方向に移動させるとともに、ウインチ13の駆動源に連動してリール21の駆動源を駆動することで、バケット16の上下方向への移動に追従してリール21からガス吸引ホース22が繰り出され、又は巻き取られる。
【0032】
ウインチ13の駆動源には、ウインチ13の回転位置を検出するロータリエンコーダ等からなるバケット上下位置検出手段6が設けられ、このバケット上下位置検出手段6によって検出したウンチ13の回転位置に応じて、ウインチ13から繰出され、又は巻取られたワイヤ14の先端位置、すなわち、ワイヤ14の先端に取り付けられたバケット16の貯留部46内における上下方向の位置が検出される。バケット上下位置検出手段6が検出したバケット16の上下方向の位置データは、ガータ2のクレーン無線アンテナ56、中央管理室40のクレーン無線アンテナ57を中継して中央管理室40の制御部41に送信され、記憶される。
【0033】
台車本体11の駆動源には、台車本体11のガータ2上の位置を検出するロータリエンコーダ等からなるバケット水平方向位置検出手段7が設けられ、このバケット水平方向位置検出手段7によって検出した台車本体11の水平位置に応じて、ウインチ13のワイヤ14に取り付けられたバケット16の貯留部46内における水平方向の位置が検出される。バケット水平方向位置検出手段7が検出したバケット16の水平位置データは、ガータ2のクレーン無線アンテナ56、中央管理室40のクレーン無線アンテナ57を中継して中央管理室40の制御部41に送信され、記憶される。
【0034】
リール21の駆動源には、リール21の回転位置を検出するロータリエンコーダ等からなるガス検知手段23の構成部材であるガス吸引ホース位置検出手段9が設けられ、このガス吸引ホース位置検出手段9によって検出したリール21の回転位置に応じて、リール21から繰出され、又はリール21に巻取られるガス吸引ホース22の先端位置が検出される。
【0035】
ガス検知手段23は、上述したガス吸引ホース22と、トロリ10の台車本体11の上部に設けられるとともに、ガス吸引ホース22を介してガスを吸引するポンプ24と、ポンプ24により吸引したガスの種類及びその濃度を検知するガス検知部25と、無線送信部26とを備えている。
【0036】
ガス検知手段23のガス検知部25により検知したガス検知データ、及びガス吸引ホース位置検出手段9より検出したガス吸引ホース22の先端位置を示すホース位置データは、ガス検知手段23の無線送信部26から無線によって中央管理室40のガス検知受信部27を中継して中央管理室40の制御部41に送信され、記憶される。
【0037】
なお、本実施の形態においては、ガス検知手段23に7種類のガス(メタンガス、水素ガス、硫化水素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス)及びその濃度を検知するガス検知部25を設けている。
【0038】
重機50〜52には、重機50〜52の貯留部46内における位置を検出する重機位置検出手段30が設けられている。重機位置検出手段30は、無線操縦方式の重機50〜52に設けられるICタグ31と、貯留部46の内壁面、建屋48の天井部等に設けられる位置検出用アンテナ32とを備え、ICタグ31には重機50〜52の種類等の各種の情報が記録されている。
【0039】
重機位置検出手段30は、ICタグ31から発信された信号を貯留部46内の位置検出用アンテナ32、及び中央管理室40の位置検出用アンテナ33を中継して、中央管理室40の制御部41に送信し、中央管理室40に予め記録しておいた貯留部46の平面的な位置情報基づいてICタグ31の位置情報を算出することにより、ICタグ31が設けられた重機50〜52の貯留部46内における位置情報を検出する。
【0040】
重機位置検出手段30としては、無線LANを使用した各種の位置情報検出システムを使用することができる。本実施の形態においては、WiFiロケーション・システム(NECネッツエスアイ株式会社製))を使用している。この位置情報検出システムは、ICタグ31に各種の情報を記録させることができるので、重機の50〜52種類等の情報の他、貯留部46に投入する廃棄物の種類、投入日時等の廃棄物情報を記録させることもできる。
なお、本実施の形態においては、ダンプトラック49で廃棄物処分場45に搬入した廃棄物の情報(廃棄物の種類、搬入日時、搬入量等の情報)は、中央管理室40の制御部41に記録させている。
【0041】
埋立量検出手段35は、建屋48の天井部、又はクレーン1のガータ2の複数箇所に設けられるレーザ距離センサ36と、レーザ距離センサ36によって検出した高さ情報(貯留部46に投入された廃棄物の高さ情報)を無線送信する無線送信部37と、建屋48の天井部又はクレーン1のガータ2に設けられるとともに、無線送信部37から送信された高さ情報を受信し、中央管理室40の距離センサ用アンテナ39に向けて送信する距離センサ用アンテナ38とを備えている。
【0042】
埋立量検出手段35は、レーザ距離センサ36からの信号を距離センサ用アンテナ38で受信し、距離センサ用アンテナ48から中央管理室40の距離センサ用アンテナ39を中継して中央管理室40の制御部41に送信し、中央管理室40の制御部41に記録しておいた貯留部46の底部の高さ情報に基づいて廃棄物の高さ情報を算出することにより、レーザ距離センサ36に対応する部分の廃棄物の埋立量を検出する。レーザ距離センサ36には、公知の各種のレーザ距離センサ36を使用することができる。なお、レーザ距離センサ36に限らず、距離を検出可能な各種のセンサを使用してもよい。
【0043】
なお、本実施の形態においては、重機50〜52、クレーン2の各部、貯留部46の各所にカメラ(図示せず)を設置し、このカメラを通じて重機50〜52及びクレーン1の各部を中央管理室40のモニタ(図示せず)に表示し、モニタに表示された画像を目視しながら作業者が重機50〜52及びクレーン1(トロリ10、ウインチ13、リール21、バケット16)を無線操縦している。なお、重機50〜52及びクレーン1を、中央管理室40のコンピュータを通じて自動運転してもよい。
【0044】
上記のように構成した廃棄物処分場45に廃棄物を埋め立て処分するには、ダンプトラック49によって廃棄物処分場45に搬入した廃棄物の情報(種類、搬入日時、搬入量等)をICタグに記憶させて、このICタグを搬入するダンプに付しておき、このICタグに記憶させた廃棄物の情報を、図2に示すように、中央管理室40の制御部41の廃棄物情報取得部42aにより読み取って、図3に示すように、廃棄物情報記憶部42bに記録する。
なお、図3における「位置」の欄は、後述するように、45内に廃棄物が投入された時点でその投入位置が記録される。
【0045】
次に、中央管理室40からクレーン1を無線操縦して、バケット16を貯留部46の開口縁部に移動させ、ダンプトラック49の荷台から廃棄物をバケット16に受け取る。そして、クレーン1を無線操縦して、バケット16を廃棄物を投入するべき領域60〜63(以下、投入領域62という。)の上方に移動させる。
【0046】
ここで、中央管理室40の制御部41は、各重機50〜52から発せられる信号に基づいて、各重機50〜52の位置情報を検出するとともに、各レーザ距離センサ36からの信号に基づいて、投入領域62の各部の高さ情報を検出することにより、投入領域62において、重機50〜52が配置されておらず、かつ、高さが最も低い位置を特定する。そして、バケット16の位置を微調整して、その特定した位置に位置決めし、バケット16を下降させて、その特定した位置に廃棄物を投入する。ただし、貯留部46における廃棄物の高さ分布を表示させ、その表示させた高さ分布に基づいて、作業者がクレーン1を操縦して、バケット16を上記の特定した位置に位置決めしてもよい。
【0047】
ここで、廃棄物を投入した箇所の平面的な位置情報は、バケット上下位置検出手段6、バケット水平位置検出手段7、及びバケット周方向位置手段9からの信号に基づいて、中央管理室40の制御部41の投入位置情報取得部43aを通じて投入位置情報記憶部43bに投入位置情報として記憶される。また、投入位置情報記憶部43bに記憶された投入位置情報は、該当する廃棄物の廃棄物情報に関連付けて廃棄物情報記憶部42bに記憶される。
具体的には、投入してから一定時間内に投入されるので、投入位置情報記憶部43bは、投入された投入日時が直近の廃棄物情報に関連付けて記憶する。
【0048】
そして、中央管理室40からの無線操縦により、所望の重機(第1重機50、第2重機51、又は第3重機52)を運転し、その重機50〜52によって上記の投入領域62に投入した廃棄物を敷き均し、かつ転圧することにより、上記の投入領域62に廃棄物を埋め立て処分することができる。
【0049】
なお、バケット16にレーザ距離センサ36を設けておき、このレーザ距離センサ36によって貯留部46の底部までの距離、又は貯留部36に既に投入された廃棄物の上面までの距離を検出することにより、バケット16が貯留部46の底部又は貯留部46に既に投入された廃棄物に接触するのを防止できる。
【0050】
また、各重機50〜52に接触防止用センサ55を設けておくことにより、重機50〜52同士が接触するのを防止できるとともに、重機50〜52が貯留部46の内壁面に接触して傷等をつけるのを防止できる。
【0051】
そして、上記のようなダンプトラック49による廃棄物処分場45への廃棄物の搬入作業、搬入した廃棄物をバケット16で受け取り、貯留部46の所定の投入領域(第1領域60〜第4領域63)へ投入する作業、投入した廃棄物の重機50〜52による敷き均し、転圧作業を繰り返し行うことにより、貯留部46の内部に複数種類の廃棄物を種類毎に分類して埋め立て処分することができる。
【0052】
上記のように構成した本実施の形態の廃棄物処分場の管理システムにあっては、貯留部46の内部に埋め立て処分した廃棄物の種類、搬入日時、搬入量等の廃棄物情報、廃棄物を投入した箇所の平面的な位置情報、及び廃棄物の高さ情報を含む投入位置情報を中央管理室40の制御部41に記憶させてあるので、それらの記憶させた情報に基づいて、廃棄物処分場45のどの位置に、どのような廃棄物があるかどうかを把握することができる。
【0053】
従って、将来的に埋め立て処分した廃棄物を再利用する場合に、中央管理室40の制御部41に記憶させた情報に基づいて、貯留部46に埋め立て処分されている廃棄物を種類毎に分けて取り出すことができるので、廃棄物の再利用が容易になるとともに、廃棄物を取り出した後の貯留部46を廃棄物の埋め立て処分に再度利用することができ、廃棄物処分場1の延命化を図ることができる。
【0054】
また、各種の廃棄物を貯留部46に埋め立て処分する途中の過程において、ガス検知手段23によって貯留部46に発生するガスの発生位置、ガスの種類、及び濃度を検知でき、その検知したデータを中央管理室40のモニタ上にリアルタイムで表示できるので、モニタに表示されたデータに基づいて、適切な対策(警報器の作動、換気装置の作動等)を採ることができ、建屋48内において、各種の作業を行う作業者の安全を確保することができる。
【0055】
さらに、廃棄物処分場45の貯留部46へダンプトラック49を搬入させるための搬入道路を建設する必要がないので、貯留部46への廃棄物の埋め立て処分量を増大させることができ、設備費を大幅に削減することができる。また、ダンプトラック49による廃棄物の投入時に発生する粉塵量を大幅に低減させることができるので、建屋48の内部で各種の作業を行う作業者の作業環境を改善することができる。さらに、ダンプトラック49が貯留部46の内部に搬入道路によって進入する場合のように、遮水設備を損傷させるようなおそれもなくなる。
【0056】
さらに、貯留部46に投入した廃棄物の敷き均し作業、転圧作業等の作業は、中央管理室40から各種の重機50〜52を無線操縦することによって行うので、それらの作業を作業者が重機50〜52を運転して行う必要はなく、作業者の負担を軽減させることができる。
【0057】
さらに、バケット16にガスを採取するガス吸引ホース22を設け、ガス吸引ホース22で吸引したガスの種類及び濃度を検知するガス検知部25をクレーン1の台車本体11の上部に設けたので、貯留部46への廃棄物の埋め立ての進捗に応じてガス検知部25を上方に順次盛り替える必要がなくなり、発生するガスの種類及び濃度の検知を容易に行うことができる。
【0058】
なお、上記の説明においては、本発明の管理システムを円筒状の貯留部46を備えた廃棄物処分場45に適用したが、矩形状等の他の形状の貯留部を備えた廃棄物処分場に適用してもよい。
【0059】
また、上記の説明においては、バケット16を用いて廃棄物を貯留部46内に投入し、バケット16の貯留部46内における位置情報を、バケット上下位置検出手段6、バケット水平位置手段7、バケット周方向位置検出手段8によって検出し、この検出したバケット16の位置情報に基づいて廃棄物の投入位置の情報を取得したが、ダンプトラック等の車両をエレベータによって貯留部46内に降ろし、又はスロープを利用して貯留部46内に進入させ、ダンプトラック等の車両から貯留部46内に直接に廃棄物を投入してもよい。ダンプトラック等の車両を用いる場合には、ダンプトラックの位置情報をレーザ距離センサ等の各種のセンサを用いて検出し、その検出した位置情報に基づいて廃棄物の投入位置の情報を取得すればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 旋回式天井クレーン(クレーン)
2 ガータ
3 内側支持脚
5 外側支持脚
6 バケット上下位置検出手段
7 バケット水平位置検出手段
8 バケット周方向位置検出手段
9 ガス吸引ホース位置検出手段
10 トロリ
11 台車本体
12 電源ケーブル
13 ウインチ
14 ワイヤ
15 支持フレーム
16 バケット
17 吊治具
20 繰出・巻取手段
21 リール
22 ガス吸引ホース
23 ガス検知手段
24 ポンプ
25 ガス検知部
26 無線送信部
27 ガス検知受信部
30 重機位置検出手段
31 ICタグ
32 位置検出用アンテナ
33 位置検出用アンテナ
35 埋立量検出手段
36 レーザ距離センサ
37 無線送信部
38 距離検出用アンテナ
39 距離検出用アンテナ
40 中央管理室
41 制御部
42a 廃棄物情報取得部
42b 廃棄物情報記憶部
43a 投入位置情報取得部
43b 投入位置情報記憶部
44 表示部
45 クローズド廃棄物処分場(廃棄物処分場)
46 貯留部
47 センターシャフト部
48 建屋
49 ダンプトラック
50 第1重機
51 第2重機
52 第3重機
53 重機無線アンテナ
54 重機無線アンテナ
55 接触防止用センサ
56 クレーン無線アンテナ
57 クレーン無線アンテナ
60 第1領域
61 第2領域
62 第3領域
63 第4領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処分場に搬入された廃棄物の種類を含む廃棄物情報を取得する廃棄物情報取得部と、
前記取得した廃棄物情報を記憶する廃棄物情報記憶部と、
前記搬入された廃棄物が、前記廃棄物処分場内に投入された箇所の平面的な位置情報及び高さ情報を含む投入位置情報を取得する投入位置情報取得部と、
前記取得した投入位置情報を、該当する廃棄物の廃棄物情報に関連付けて前記廃棄物情報記憶部に記憶する位置情報記憶部と、
を備えることを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物の管理システム。
【請求項2】
請求項1において、前記投入位置情報は、搬入された廃棄物を前記廃棄物処分場内で3次元的に移動可能な投入用バケット、又は、搬入された廃棄物を積載して前記廃棄物処分場内を走行可能な車両による投入位置の位置情報であることを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物の管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記位置情報に含まれる高さ情報は、投入前の高さと投入後の高さとを含むことを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物の管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3において、前記廃棄物処分場内における廃棄物の高さ分布の測定値を取得する高さ分布取得部と、
前記取得した高さ分布を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物の管理システム。
【請求項5】
請求項1〜3において、前記廃棄物情報記憶部に記憶された廃棄物情報、及び前記投入位置情報記憶部に記憶された投入位置情報に基づいて、各種類の廃棄物の位置の分布を表示する表示部を備えることを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−24676(P2012−24676A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164254(P2010−164254)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】