説明

廃棄物管理コンテナ

【課題】 コンテナにごみ袋を投棄する許可の有無を自動判別し、無許可投棄を防止するとともに、ごみ袋の中に金属などの異物が含まれていた場合、コンテナへの投棄をその場で拒否し、コンテナ回収後の集中処理ヤードでの判別負担を軽減し、異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止する。
【解決手段】 投棄情報を読み書き可能なICタグ21を付けたごみ袋2の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31を備え、ICタグ21に正規の投棄情報があっても、金属などの異物を検知した時には、投入口を閉じた状態に保持する廃棄物管理コンテナ3を提案する。ごみの不法投棄を防止し、ごみ投棄許可者の投棄時間への制約をなくす。万が一ごみ袋に金属などの異物を混入させた場合にも投棄者を自動的に特定できるので、ごみの分別投棄を徹底させ、異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物管理システムに係り、特に、コンテナへのごみ袋投棄許可の有無およびごみの種類の自動判別手段と、投棄許可があってもごみ袋内に金属などの異物がある場合に、投棄を未然に阻止する廃棄物管理コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ袋をコンテナに投棄し回収する方式の場合、そのコンテナに投棄許可が無い外来者などがごみ袋を投棄することがある。外来者などの投棄を防止する手段として、コンテナに鍵をかけてコンテナの管理者以外は投棄できないようにする方法がある。
【0003】
この方法では、コンテナに回収された各ごみ袋の中に金属などの異物が含まれていた時にそのごみ袋を投棄した者の情報などを取得するには、ごみ袋に投棄者の情報を記載するようにしていた。
【0004】
上記従来技術は、コンテナにごみ袋を投棄する許可の有無を自動判定する機能が無く、不法投棄を防止するには、管理者を置く必要があり、ごみ投棄可能な時間が限定されるなどの制約があった。
【0005】
また、コンテナに回収されたごみ袋の投棄者情報を自動的に取得する機能が無く、回収されたごみ袋の中に金属などの異物が含まれていた場合、ごみ袋に記載された投棄者の情報を手動で読み取らなければならなかった。
【0006】
この問題を解決するために、ごみ袋にICタグを付け、ごみ袋投棄許可の有無を自動的に判定する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、ICタグに排出事業者コードを取り込み、コンテナに回収された医療廃棄物の投棄者情報を自動的に取得する方式が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平2005−008339号公報(第7,8頁 図2,図3)
【特許文献2】特開平2005−066458号公報(第4,5頁 図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記ICタグを取り付ける方法を採用しても、コンテナを回収して集中処理する場合、コンテナに投入後直ちに異物を検知し回収するとは限らないので、回収後に集中処理ヤードで金属などの異物を検知しても、投入時期と投入者への報告時期にずれがあり、異物を混入した者のエコロジー意識に訴えにくかった。
【0010】
また、金属などの異物混入により、例えばRDF(廃棄物から得られた固形燃料)製造装置などのごみ処理設備の故障を招き、耐用年数が短くなるなどの問題があった。
【0011】
本発明の課題は、コンテナにごみ袋を投棄する許可の有無を自動判別し、許可の無い外来者などによる投棄を防止するとともに、ごみ袋の中に金属などの異物が含まれていた場合、コンテナへの投棄をその場で拒否し、コンテナ回収後の集中処理ヤードにおける判別の負担を軽減し、金属などの異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止する廃棄物管理コンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、投棄情報を読み書き可能なICタグを付けたごみ袋の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタを備え、前記ICタグに正規の投棄情報があっても金属などの異物を検知した時には前記投入口を閉じた状態に保持する廃棄物管理コンテナを提案する。
【0013】
本発明は、また、投棄情報を読み書き可能なICタグを付けたごみ袋の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタを備え、前記ICタグに正規の投棄情報があっても金属などの異物を検知した時には前記投入口を閉じた状態に保持する投入口パネルと、前記投入口パネルに着脱可能で投入されたごみ袋を受け入れ集中処理ヤードとの間で往復し反復使用される汎用容器とからなる廃棄物管理コンテナを提案する。
【0014】
本発明は、さらに、前記廃棄物管理コンテナで回収されたごみ袋を搬送するコンベアと、当該コンベアの搬送路近くに配置され金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタとを含む廃棄物管理システムを提案する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテナにごみ袋を投棄する許可の有無を自動判別し、許可の無い外来者などによる投棄を防止できることはもちろん、ごみ袋の中に金属などの異物が含まれていた場合、コンテナへの投棄をその場で拒否し、コンテナ回収後の集中処理ヤードにおける判別の負担を軽減でき、金属などの異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止する廃棄物管理コンテナが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
従来の方法では、異物混入者へのリアルタイムの情報フィードバック系が無い。また、異物が混入したごみを誰が誰の負担で最終的に処分するのかの認識が投入者に無かった。
【0017】
このように、回収後に集中処理ヤードで金属などの異物を検知しても、投入時期と投入者への報告時期にずれがあり、異物を混入した者のエコロジー意識に訴えにくかったので、集中処理ヤードで異物を検知して、本人に後日注意するよりも、投入現場で本人の注意を喚起する方が良いと考えられる。
【0018】
従来の方法では、製薬会社などの特定のごみ発生先だけを前提としている。この方法を一般に広げようとすると、たまたま間違って入れたという性善説では、もはやだめである。駅のごみ箱や高速道路のサービスエリアのごみ箱などに、家庭ごみを廃棄する事例が報告されている。
【0019】
そこで、本発明では、異物を混入したごみを最初から受け入れ拒否し、集中処理ヤードの段階では、基本的に金属などの異物を検知しないで済むようなシステムを構築することにした。
【0020】
投棄情報を読み書き可能なICタグを付けたごみ袋の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタを備え、ICタグに正規の投棄情報があっても金属などの異物を検知した時には投入口を閉じた状態に保持する廃棄物管理コンテナ器を設置する。
【0021】
ただし、この方式では、各コンテナのコストが上がるので、ごみ袋を受け取り集中処理ヤードとの間を往復する容器としては従来の汎用容器を使い、汎用容器と異物検知装置およびICタグリーダ/ライタが付いた投入口パネルとを組み合わせる。
【0022】
次に、図1および図2を参照して、本発明による廃棄物管理コンテナおよび実施形態を図面および図面に付した符号を引用して説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明による廃棄物管理コンテナの構成を示す斜視図である。
【0024】
本実施例の特徴は、分別回収方式のコンテナ3のそれぞれにおいて、投入口付近に異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31を設置したことである。
【0025】
ごみ投棄者には、ICタグライタ1により事前に投棄許可情報およびごみの種類が入力されたICタグ21を有するごみ袋2が配布される。
【0026】
ごみ投棄者は、ICタグライタ1を用いて、ごみ投棄元(部署),投棄元の責任者,連絡先をICタグ21に入力する。ごみ投棄者は、配布されたごみ袋2が許可する種類のごみのみを入れる。
【0027】
ごみ投棄者は、許可された種類のごみを入れたごみ袋2を異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31を有するコンテナ3に近づけ、コンテナ3にごみ袋2のICタグ21から投棄情報を読み取らせる。
【0028】
コンテナ3は、金属などの異物が無く、読み取った投棄情報から投棄許可を確認でき、かつ、コンテナ3とごみ袋2のごみの種類とが一致した場合のみ、コンテナ3の蓋が自動に開き、ごみ袋2の投棄が可能となる。
【0029】
異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31は、ごみ投棄時に追加情報として、コンテナ3に内蔵された時計機能を利用して、投棄日時および投棄されたコンテナ3の所在場所などを投棄履歴としてICタグ21に書き込む。
【0030】
もし、金属などの異物が混入していた場合、投棄許可が無い場合、コンテナ3とごみ袋2のごみの種類とが一致しない場合は、その投入口を開かず、受け取りを拒否する旨とその理由とを表示したり、アナウンスしたりすることもできる。
【0031】
この方式を採用すれば、例えば、駅のごみ箱や高速道路のサービスエリアのごみ箱などに、元々投棄許可の無い家庭ごみを廃棄することを防止できる。
【0032】
ごみ袋2の中に金属などの異物が含まれていた場合、コンテナ3への投棄をその場で拒否し、コンテナ3を回収した後の集中処理ヤードにおける判別の負担を軽減でき、金属などの異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止する廃棄物管理コンテナが得られる。
【実施例2】
【0033】
実施例1の方式では、可搬の各コンテナに異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31を設置する構造上、各コンテナのコストが上がる。また、各コンテナを運搬する際に、コンテナを他のコンテナとぶっつけたり、落下させたりする場合もあり、異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31の耐久性には好ましくない。
【0034】
本実施例2においては、ごみ袋2を受け取り集中処理ヤードとの間を往復する容器としては従来の汎用容器を使い、汎用容器と異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31が付いた投入口パネルとを組み合わせる。
【0035】
本実施例2によれば、異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31が付いた投入口パネルを投棄指定エリアに残し、汎用容器だけを交換して、集中処理ヤードとの間で往復させればよいので、異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ31の耐久性を維持できる。
【実施例3】
【0036】
図2は、本発明による廃棄物管理システムの集中処理ヤードに設置された部分の構成を示す斜視図である。
【0037】
実施例1,2の方式によれば、基本的に金属などの異物は混入しないはずである。
【0038】
しかし、例えば、スチール缶を受け入れないように設定してある場合、他の金属をすべて検出し、投入を拒否できるとは限らない。
【0039】
そこで、コンテナ3内に回収された各ごみ袋2に金属などの異物が誤って混入していた場合、ごみの分別投棄を徹底するために、誤って異物を混入させた投棄者を特定する必要がある。
【0040】
本実施例の廃棄物管理システムにおいて集中処理ヤードに設置された部分は、従来の分別処理システムと構成が似ているので、従来のシステムをそのまま転用できる。
【0041】
この廃棄物管理システムでは、コンテナ3で回収された各ごみ袋2をベルトコンベア43で搬送し、金属などの異物検知装置4を通過させ、異物の有無を検査する。もし異物が検出された場合、アラーム音を発生させるとともに、ICタグリーダ41によりごみ袋2のICタグ21から投棄情報を読み取り、表示パネル42に表示し、異物混入の事実を記録する。
【0042】
この記録をオンラインまたはオフラインで投棄者に連絡し、注意を促す。
【0043】
本実施例3によれば、ごみ投棄を許可されていない外来者などによる不法投棄を自動的に防止し管理でき、コンテナの管理者の常駐を不要にし、投棄許可者のごみ投棄時間の制約をなくせる。また、種類の異なるごみ袋2を誤ってコンテナ3に投棄することを防止できる。
【0044】
万が一、回収ごみ袋2内に金属などの異物が混入していた場合、誤って異物を混入させた投棄者の情報を自動的に特定できるので、ごみの分別投棄が徹底され、金属などの異物混入によるごみ処理設備の故障を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による廃棄物管理コンテナの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明による集中処理ヤードに設置された部分の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ICタグライタ
2 ごみ袋
21 ICタグ
3 コンテナ
31 異物検知装置およびICタグリーダ/ライタ
4 金属などの異物検知装置
41 ICタグリーダ
42 表示パネル
43 ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投棄情報を読み書き可能なICタグを付けたごみ袋の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタを備え、前記ICタグに正規の投棄情報があっても金属などの異物を検知した時には前記投入口を閉じた状態に保持する廃棄物管理コンテナ。
【請求項2】
投棄情報を読み書き可能なICタグを付けたごみ袋の投入口近くに金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタを備え、前記ICタグに正規の投棄情報があっても金属などの異物を検知した時には前記投入口を閉じた状態に保持する投入口パネルと、
前記投入口パネルに着脱可能で投入されたごみ袋を受け入れ集中処理ヤードとの間で往復し反復使用される汎用容器とからなる廃棄物管理コンテナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の廃棄物管理コンテナで回収されたごみ袋を搬送するコンベアと、当該コンベアの搬送路近くに配置され金属などの異物検知装置およびICタグリーダ/ライタとを含む廃棄物管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−137584(P2007−137584A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332863(P2005−332863)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】