説明

廃液晶パネル処理装置、液晶回収システム及び方法

【課題】液晶抽出処理において、廃液晶パネルの樹脂部分を効果的に脆弱化させることができ、しかも減圧加熱の処理温度を液晶の揮発する温度程度に下げることができ、液晶を効率的に且つ安全に回収できる、廃液晶パネル処理装置、液晶回収システム及び方法を提供すること。
【解決手段】反応容器としてのチャンバー21内に廃液晶パネル10を配置した状態で、チャンバー21内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧し加熱することで超臨界流体を生成する。この超臨界流体の生成によって廃液晶パネル10のシール樹脂部分を脆弱化(破壊)する。さらに、シール樹脂部分が脆弱化された廃液晶パネル内から気化(抽出)した液晶を、凝集手段である回収装置24によって回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶回収システム及びその方法に係り、特に液晶パネルの製造工場等において廃棄される液晶パネル、及び市場において廃棄される映像表示装置や情報表示装置等に用いられた液晶パネルから、減圧加熱によって液晶抽出を行う廃液晶パネル処理装置、液晶回収システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般廃棄物や産業廃棄物の量が増加の一途を辿っており、これら廃棄物の増加を抑制すると共に、廃棄物による環境の悪化を抑制するために廃棄物を無害化することの要請が一層高まっている。
【0003】
これらの要請に応えるため、工場からは排出される産業廃棄物、および不要になった家電製品や情報機器等の廃棄物等に関して、リサイクルの促進により廃棄量を抑制する努力もなされている。
【0004】
例えば、家電製品や情報機器等には液晶パネルが使用されており、少電力駆動及び省スペースという特性から、高度情報化社会の進展に伴い、今後急速にその使用量が増大することが予想される。
【0005】
この液晶パネルは、一般的には、ITO(In-Sn Oxide)などの透明電極が蒸着された一対のガラス基板間に、主として有機物質からなる液晶を封入した後、外周の接合面をエポキシ系などの接着剤により接着し封印した構造を有するものであり、ガラス基板の外側には偏光板が接着されており、内側にはカラーフィルタなどの有機材料が配置され構成される。
【0006】
例えば、特許文献1では、 廃液晶パネルをチャンバーに配置し、前記チャンバー内を減圧しかつ加熱して(0〜40kPa,200〜400℃)、前記廃液晶パネルを構成する有機物をガス化する。廃液晶パネルをパネルを構成する2枚のガラス基板を破砕した状態でチャンバー内に配置する。チャンバー内にキャリアガスを導入し、ガス化した有機物をチャンバー外に排出する。チャンバー外に排出した有機ガスを有機ガス分解装置に導入してこの分解装置で無機ガスと水に分解する。有機ガスの分解したガスに含まれる有機成分をガスセンサで検出し、ガスセンサで検出されたガス中の有機成分の濃度が所定値以上であるとき、分解したガスを有機ガス分解装置にフィードバックし再分解する。
【0007】
一方、液晶パネルからガラスや希少金属を回収する方法及び装置も既に提案されている。例えば特許文献2では、廃液晶パネルを破砕しないで反応炉に配置し、反応炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶、およびガラス基板の内・外面に配した固形有機物の一部を蒸発させると共に、固形有機物の残部を炭化させる廃液晶パネルの処理方法及びその装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002−23126号公報
【特許文献2】特開2004−230229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2では、廃液晶パネルを減圧加熱する際、真空状態であるため、昇温しにくく、処理パネルへの加温が難しい。真空に近い減圧加熱により液晶パネルから液晶を抽出するためには、シール材や封止材の樹脂部分を破壊(脆弱化)させる必要があり、このための温度が液晶の抽出条件よりも高温になる。つまり、液晶を減圧下で揮発させるのに必要な温度は150〜200℃であるのに対して、樹脂部分を脆弱化させるのに必要な温度は300℃以上であるため、減圧加熱の処理温度を300℃以上に設定しなければならない。その結果、処理温度が300℃以上と高温になると、蒸発した液晶が有害物質に変化する可能性があり、液晶のリサイクルに適しないと共に、安全上好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は上記の問題に鑑み、液晶抽出処理において、廃液晶パネルの樹脂部分を効果的に脆弱化させることができ、しかも減圧加熱の処理温度を液晶の揮発する温度程度に下げることができ、液晶を効率的に且つ安全に回収できる、廃液晶パネル処理装置、液晶回収システム及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による廃液晶パネル処理装置は、超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、内部に廃液晶パネルを配置可能とする反応容器と、前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段とを具備し、前記廃液晶パネルの樹脂部分を前記超臨界流体によって脆弱化して液晶を抽出することを特徴とする。
【0011】
このような本発明の構成によれば、反応容器内に廃液晶パネルを配置した状態で、反応容器内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧・加熱することで超臨界流体を生成する。この超臨界流体の生成によって廃液晶パネルのシール樹脂部分を脆弱化(破壊)する。
【0012】
本発明の装置において、前記超臨界流体生成用の物質は、二酸化炭素,エチレン又は亜酸化窒素であることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、上記の二酸化炭素,エチレン又は亜酸化窒素は、超臨界の臨界点(温度,圧力)が常温,常圧に比較的近く、超臨界状態を生成し易い物質である。中でも、二酸化炭素は、通常の大気中に存在し、不燃性で取扱いが容易であると共に、低コストに製造できることから、最適である。
【0014】
本発明による廃液晶パネル処理装置は、超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、内部に廃液晶パネルを配置可能とする反応容器と、前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段と、前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集手段とを具備し、前記廃液晶パネルの樹脂部分を前記超臨界流体によって脆弱化して前記液晶を抽出することを特徴とする。
【0015】
このような本発明の構成によれば、反応容器内に廃液晶パネルを配置した状態で、反応容器内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧・加熱することで超臨界流体を生成する。この超臨界流体の生成によって廃液晶パネルのシール樹脂部分を脆弱化(破壊)し、その後に、廃液晶パネル内から抽出した液晶を凝集手段によって回収する。
【0016】
本発明の液晶回収システムは、超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、 内部に廃液晶パネルを配置可能とし、前記内部を加熱する手段を有する反応容器と、前記反応容器の内部の圧力及び温度を高めて、前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段と、前記反応容器内で前記廃液晶パネルが前記超臨界流体の中におかれた状態で、前記反応容器内の圧力を開放する圧力開放手段と、前記反応容器内の圧力を開放した後に、前記反応容器内を所定の減圧状態にして加熱する減圧加熱手段と、前記減圧加熱によって前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集手段と、を具備したものである。
【0017】
このような本発明の構成によれば、反応容器内に廃液晶パネルを配置した状態で、反応容器内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧・加熱することで超臨界流体を生成し、超臨界流体をシール樹脂部分に溶け込ませた後、反応容器内の圧力を開放することによって廃液晶パネルのシール樹脂を脆弱化(破壊)する。その後に、減圧加熱処理を行うことによって廃液晶パネル内から液晶を気化して抽出し、気化した液晶を凝集手段によって回収することができる。これらの一連の動作は、自動的に行うことができる。従って、廃液晶パネルの樹脂部分を効果的に脆弱化させ、しかも減圧加熱の処理温度を液晶の揮発する温度程度に下げることができ、液晶を有害形質に変化させることなく、効率的且つ安全に回収することが可能となる。
【0018】
本発明の装置において、前記反応容器における減圧加熱を行う前に、該反応容器内の前記超臨界流体の圧力を常圧に開放する第2の圧力開放手段を有し、圧力を開放したとき、前記反応容器から流出する超臨界流体から該超臨界流体生成用の物質を凝集して回収するリサイクル系を、更に具備することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、前述の圧力開放手段にて圧力を開放すると同時に、第2の圧力開放手段にて大気圧に圧力を開放し、そのとき前記反応容器から流出する超臨界流体から超臨界流体生成用の物質を凝集して回収するリサイクル系を設けたので、被処理物である液晶パネルから液晶を回収できると共に、樹脂部分の脆弱化に用いる超臨界流体生成用の物質をも回収することが可能となる。
【0020】
本発明の液晶回収方法は、反応容器内で加圧し加熱することによって生成した超臨界流体の中に廃液晶パネルを置いた状態で、該反応容器内の圧力を開放し、該廃液晶パネルを減圧加熱することによって液晶を抽出し回収することを特徴とする。
【0021】
本発明の液晶回収方法は、加熱手段を有し内部に廃液晶パネルを配置した反応容器に、超臨界流体生成用の物質を供給する工程と、前記反応容器の内部の圧力及び温度を高めて、前記物質の超臨界流体を生成する超臨界流体生成工程と、前記反応容器内で前記廃液晶パネルが前記超臨界流体の中におかれた状態で、前記反応容器内の圧力を開放する圧力開放工程と、前記反応容器内の圧力を開放した後に、前記反応容器内を所定の減圧状態にして加熱する減圧加熱工程と、前記減圧加熱工程によって前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集工程と、を具備したものである。
【0022】
このような本発明の方法によれば、 反応容器内に廃液晶パネルを配置した状態で、反応容器内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧・加熱することで超臨界流体を生成し、超臨界流体をシール樹脂部分に溶け込ませた後、反応容器内の圧力を開放することによって廃液晶パネルのシール樹脂を脆弱化(破壊)する。その後に、減圧加熱処理を行うことによって廃液晶パネル内から液晶を気化して抽出し、気化した液晶を凝集手段によって回収することができる。従って、廃液晶パネルの樹脂部分を効果的に脆弱化させ、しかも減圧加熱の処理温度を液晶の揮発する温度程度に下げることができ、液晶を有害形質に変化させることなく、効率的且つ安全に回収することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2を参照して本発明の実施形態を説明する前に、先ず図3及び図4を参照して本実施形態により液晶が回収される、一般的な廃液晶パネルの構造を説明する。
【0024】
図5は一般的な廃液晶パネルを模式化して示す縦断面図である。この廃液晶パネル10は、液晶パネルの製造工場より排出されたり、或いは市場において使用済みの情報表示装置や映像表示装置等から取り出されたものである。なお、ここで述べる廃液晶パネル10は、2枚のガラス基板1a,1bの外面にそれぞれ偏光板2,2を備えたものを示している。また、図5に示す廃液晶パネル10は、TFT液晶パネル等のアクティブ液晶パネルである。但しパッシブタイプの液晶パネルでも同様に処理することができる。廃液晶パネル10は、所定の間隔で対向配置された2枚のガラス基板1a,1bを有している。これらガラス基板1a,1bは、これらの内面間に、これらの周縁部に沿って設けられたエポキシ樹脂等のシール材7により貼合されている。
【0025】
ガラス基板1a,1bとシール材7とにより密封された領域は、スペーサ8により所定の間隔に維持されて有機物質からなる液晶9が充填され、液晶層を形成する。各ガラス基板1a,1bの外面には、粘着材により偏光板2が貼着されている。一方のガラス基板1aは、外側に偏光板2を配し内側にカラーフィルタ3、透明導電膜6が形成されたオーバコート4、配向膜5を配したものであり、他方のガラス基板1bは外側に偏光板2を配し内側に透明導電膜6と配向膜5を配したものである。
偏光板2、カラーフィルタ3、配向膜5は有機物を主体とした材料からなり、透明導電膜6はインジウムなどを含む膜からなる。図中の符号11はスイッチ素子で、金属類からなる。
【0026】
図6(a)は図5に示した廃液晶パネル10のうちの要部を構成する、2枚のガラス基板1a,1bと、ガラス基板1a,1b間に液晶9を保持するためのシール材7と、このシール材7の一部に形成された封口部7aを封止する封止材7bと、を示すものである。図6(b)は図6(a)のA−A線断面図を示している。ガラス基板1a又は1bの厚さをL1とし、ガラス基板1a,1b間の間隔をL2としたとき、例えばL1=0.5mm、L2=5〜10μmである。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図である。
図1において、液晶回収システム20は、反応容器であるチャンバー21と、超臨界流体生成用の物質Gの供給源であるガスボンベ22と、加圧ポンプP1と、逆止め用バルブV1と、圧力開放用バルブV2と、加熱手段であるヒータ23と、回収装置24と、減圧ポンプP2と、活性炭フィルタ25と、制御装置30とを備えている。
チャンバー21は、廃液晶パネル10を収納する内部空間を備え、その内部空間を加熱する加熱手段としてヒータ23を有している。チャンバー21は、略直方体又は立方体の箱形状に構成され、前面には開閉可能でかつ密閉可能な図示しない扉部がある。この扉部には耐熱性のガラスを取り付けて内部空間を観察可能に構成してある。
【0028】
チャンバー21は、内部空間の圧力及び温度が外部のポンプやヒータにて制御可能とされており、圧力及び温度を高めて内部空間内で超臨界流体(例えば超臨界二酸化炭素)を生成して廃液晶パネル10のシール樹脂に溶け込ませた後、バルブV2にて圧力開放することによって樹脂を脆弱化(破壊)させ、その状態で内部空間を減圧加熱することによって廃液晶パネル10から液晶9を揮発させて抽出するための反応容器として機能するものである。
【0029】
供給源であるガスボンベ22は、超臨界流体生成用の物質G、例えば二酸化炭素(CO2)を貯留していて、貯留した二酸化炭素は加圧ポンプP1とバルブV1を用いて加圧されて前記チャンバー21に供給可能である。
加圧ポンプP1及びヒータ23は超臨界流体生成手段を構成しており、チャンバー21内にガスボンベ22から物質Gが供給され、そのチャンバー21の内部の圧力及び温度を高めて超臨界流体を生成する。
ヒータ23は、超臨界二酸化炭素の生成時や減圧加熱時に、チャンバー21内を加熱する加熱装置として機能する。
【0030】
バルブV2は、チャンバー21内で廃液晶パネル10が前記超臨界流体の中におかれた状態で、チャンバー21内の圧力を開放することによって、廃液晶パネル10のシール樹脂を脆弱化(破壊)する第1の圧力開放手段として機能するもので、チャンバー21における減圧加熱を行う前に、チャンバー21内の超臨界二酸化炭素の圧力を常圧に開放する。
【0031】
減圧ポンプP2及びヒータ23は減圧加熱手段を構成しており、チャンバー21内の圧力をバルブV2にて開放した後に、チャンバー21内を所定の減圧状態にして加熱する減圧加熱処理を行う。なお、減圧加熱時、チャンバー21の内部空間は、圧力が0.01〜10kPaに減圧され、温度については液晶揮発温度150℃程度とされる。
【0032】
回収装置24は、冷却器を有し、減圧加熱処理によって廃液晶パネル10から気化(抽出)した液晶を凝集させるもので、前記バルブV2による圧力開放後に減圧ポンプP2を用いて減圧加熱を行った時に、チャンバー21内でシール樹脂が脆弱化された前記廃液晶パネル10内から気化・抽出させた液晶9を冷却・凝集し他のガスと分離して回収する凝集手段として機能する。
活性炭フィルタ25は、回収装置24にて液晶を凝集・分離した後の残留ガスを清浄化(無害化)して大気中へ排出する機能を有している。
【0033】
さらに、液晶回収システム20は、温度や圧力などの各種センサ(図示せず)からの計測データが入力されると共に、加圧ポンプP1及び減圧ポンプP2のオンオフ制御、逆止め用バルブV1及び圧力開放用バルブV2のオンオフ(開閉)制御、ヒータ23の温度制御を行う制御装置30を備えている。
チャンバー21内の温度Tおよび圧力Pは、図示しない温度計および圧力計により計測され、その計測データは制御装置30に入力され、制御装置30は当該計測データに基いてヒータ23の温度制御およびバルブV1,V2の圧力調節制御を行うことになる。
【0034】
以上の説明において、超臨界状態とは、ある物質の温度と圧力とを上昇していくと、その物質に固有な温度と圧力を組合わせた条件(臨界点)以上では液体と気体の境界線が消滅し、液体と気体の区別がつかなくなる状態を言う。また、この超臨界状態になった流体は、液体に近い密度を有していることから、気体よりもその溶解力が数百倍大きくなるとともに、気体に近い拡散性を有していることから、溶質分子への浸透が気体よりも数百倍速く進行することになる。超臨界状態の二酸化炭素は、廃液晶パネル10のエポキシ樹脂等のシール材に作用して樹脂中に溶け込み、その後にチャンバー21内の圧力を開放してやると、樹脂中から二酸化炭素が抜け出して樹脂を脆弱化(破壊)することができる。
【0035】
超臨界流体生成用の物質Gとしては、二酸化炭素のほかに、エチレン又は亜酸化窒素が使用可能である。二酸化炭素について言えば、図3に示すように二酸化炭素の超臨界の臨界点(温度,圧力)は31.1℃,7.38MPaであり、これを超えた領域が超臨界領域となる。本発明も超臨界領域で脆弱化処理を行うのが好ましいが、この超臨界領域の図中左側に亜臨界領域(図示略)が存在し、この亜臨界領域における物性は超臨界領域における物性に近似したものである。従って、亜臨界領域の二酸化炭素でも、樹脂中に溶け込みこれを脆弱化(破壊)することが可能である。また、エチレンの超臨界の臨界点は9.2℃,5.0MPaであり、亜酸化窒素の超臨界の臨界点は36.4℃,7.24MPaである。二酸化炭素,エチレン又は亜酸化窒素の物質の中で、臨界点の温度,圧力を考慮すると、二酸化炭素が最も適切である。すなわち、二酸化炭素は、超臨界状態に移行する臨界点が低いことにより容易に超臨界状態とできることと、二酸化炭素は、通常の大気中に存在し、不燃性で取扱いが容易であると共に、低コストに製造できることとから、本実施例では最適として採用している。
【0036】
次に、以上説明した図1の液晶回収システムを用いた液晶回収工程の例について、図4(1)〜(12)を参照して説明する。
(1)先ず、チャンバー21の内部空間に廃液晶パネル10を配置する。
(2)次に、圧力開放用のバルブV2をオフ(閉)する。
(3)そして、加圧ポンプP1をオン、逆止め用バルブV1をオンし、ガスボンベ22から二酸化炭素(CO2)を加圧ポンプP1でチャンバー21の内部空間に注入する。
【0037】
(4)図示しない圧力計により、チャンバー21内の圧力Pが計測され、その計測データは制御装置30に入力される。制御装置30は、チャンバー21内の圧力Pが二酸化炭素の臨界点の圧力7.38MPa以上、即ちP≧7.38MPa になったら、加圧ポンプP1をオフ、逆止め用バルブV1をオフする。
【0038】
(5)続いて、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の加圧された内部空間を加熱する。
(6)そのとき、図示しない温度計により、チャンバー21内の温度Tが計測され、その計測データは制御装置30に入力される。制御装置30は、チャンバー21内の温度Tが二酸化炭素の臨界点の温度31.1℃以上、即ちT≧31.1℃ になったら、ヒータ23をオフにする。このときのチャンバー21内の状態は、二酸化炭素による超臨界流体の状態となっている。
【0039】
(7)そして、(6)で生成した超臨界流体状態のまま、所定時間(0〜20分)待つ。これによって、超臨界流体状態の二酸化炭素が廃液晶パネル10のシール樹脂に溶け込むのを待つ。
(8)所定時間後、圧力開放用バルブV2をオン(開)し、チャンバー21内を常圧、即ち大気圧に開放する。これによって、廃液晶パネル10のシール樹脂中に溶け込んでいる二酸化炭素が抜け出し、シール材7が脆弱化(破壊)する。その結果、図2(a)に示すようにシール材7に貫通孔7cが形成される。
(9)次に、減圧ポンプP2をオンし、所定圧(0.01〜10kPa)まで減圧する。
【0040】
(10)さらに、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の減圧空間を所定温度、例えば200℃まで加熱する。これにより、廃液晶パネル10のシール樹脂の貫通孔7cを通して、図2(b)に示すように廃液晶パネル10内の液晶(LC)が気化し、チャンバー21から排出される。この気化した液晶をバルブV2を経て凝集手段である回収装置24で冷却・凝集して回収する。この減圧状態での加熱は、実験的に求めた所定の時間だけ行う。
この期間には、同時に、液晶を凝集・分離した後のガスを活性炭フィルタ25にて清浄化(無害化)して大気中へ排出する。
【0041】
(11)そして、減圧ポンプP2をオフ、ヒータ23をオフし、液晶の抽出・回収を終了させる。
(12)その後、チャンバー21から液晶なしの廃パネルを取り出す。
【0042】
本発明の第1の実施形態によれば、反応容器内に廃液晶パネルを配置した状態で、反応容器内へ超臨界流体生成用の物質を供給して加圧・加熱することで超臨界流体を生成し、超臨界流体をシール樹脂部分に溶け込ませた後、反応容器内の圧力を開放することによって廃液晶パネルのシール樹脂を脆弱化(破壊)する。その後に、減圧加熱処理を行うことによって廃液晶パネル内から液晶を気化して抽出し、気化した液晶を凝集手段によって回収することができる。これらの一連の動作は、制御装置30の制御によって自動的に行うことができる。従って、廃液晶パネルの樹脂部分を効果的に脆弱化させ、しかも減圧加熱の処理温度を液晶の揮発する温度程度に下げることができ、液晶を有害物質に変化させることなく、効率的且つ安全に回収することが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図である。
図7に示す液晶回収システム20Aは、第1の実施形態の液晶回収システムに、第2の圧力開放手段である圧力開放用バルブV3と、減圧ポンプP3と、液化装置27とから構成される、二酸化炭素の回収及び再利用を行うリサイクル系を追加したシステムとしたものである。
【0044】
すなわち、チャンバー21に配管を接続して圧力開放用バルブV3を配設し、圧力開放用バルブV3のオン、減圧ポンプP3のオンによってチャンバー21内の超臨界二酸化炭素が大気圧に開放されたとき、二酸化炭素に含まれて拡散する液晶を回収装置26で冷却して回収(除去)する一方、前記大気圧開放によって導かれた二酸化炭素を液化装置27で圧力をかけて液化して回収し、前記ガスボンベ22に再貯留するリサイクル系を設けたものである。
【0045】
制御装置30Aは、第1の実施形態の場合と同様に、温度や圧力などの各種センサ(図示せず)からの計測データが入力されると共に、加圧ポンプP1及び減圧ポンプP2のオンオフ制御、逆止め用バルブV1及び圧力開放用バルブV2のオンオフ(開閉)制御、ヒータ23の温度制御を行う一方、圧力開放用バルブV3のオンオフ(開閉)制御、及び減圧ポンプP3のオンオフ制御を行う機能を備えたものである。
【0046】
次に、以上説明した図7の液晶回収システムを用いた液晶回収工程の例について、図8(1)〜(12)及び(8’),(8'')を参照して説明する。
【0047】
(1)先ず、チャンバー21の内部空間に廃液晶パネル10を配置する。
(2)次に、圧力開放用のバルブV2、V3をオフ(閉)する。
(3)そして、加圧ポンプP1をオン、逆止め用バルブV1をオンし、ガスボンベ22から二酸化炭素(CO2)を加圧ポンプP1でチャンバー21の内部空間に注入する。
【0048】
(4)図示しない圧力計により、チャンバー21内の圧力Pが計測され、その計測データは制御装置30Aに入力される。制御装置30Aは、チャンバー21内の圧力Pが二酸化炭素の臨界点の圧力7.38MPa以上、即ちP≧7.38MPa になったら、加圧ポンプP1をオフ、逆止め用バルブV1をオフする。
(5)続いて、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の加圧された内部空間を加熱する。
【0049】
(6)そのとき、図示しない温度計により、チャンバー21内の温度Tが計測され、その計測データは制御装置30Aに入力される。制御装置30Aは、チャンバー21内の温度Tが二酸化炭素の臨界点の温度31.1℃以上、即ちT≧31.1℃ になったら、ヒータ23をオフにする。このときのチャンバー21内の状態は、二酸化炭素による超臨界流体の状態となっている。
(7)そして、(6)で生成した超臨界流体状態のまま、所定時間(0〜20分)待つ。これによって、超臨界流体状態の二酸化炭素が廃液晶パネル10のシール樹脂に溶け込むのを待つ。
【0050】
(8)所定時間後、圧力開放用バルブV3をオン(開)し、チャンバー21内を常圧、即ち大気圧に開放する。これによって、廃液晶パネル10のシール樹脂中に溶け込んでいる二酸化炭素が抜け出し、シール材7が脆弱化(破壊)する。その結果、図2(a)に示すようにシール材7に貫通孔7cが形成される。
【0051】
(8’)圧力開放用バルブV3をオン(開)すると同時に、チャンバー21内の圧力を開放し且つ減圧ポンプP3をオンにして、大気圧まで一気に減圧する。この圧力開放及び減圧吸引によって導かれた二酸化炭素を液化装置27に導き圧力をかけて液化して回収し、供給源としての前記ガスボンベ22にフィードバックして再貯留し、再利用(リサイクル)する。この際、二酸化炭素に溶け出した液晶が存在すれば回収装置26で冷却・凝集して回収可能である。
【0052】
(8'')二酸化炭素を回収した後、圧力開放用バルブV3をオフ(閉)、減圧ポンプP3をオフにする。
【0053】
(9)次に、圧力開放用バルブV2をオン(開)すると同時に、減圧ポンプP2をオンし、所定圧(0.01〜10kPa)まで減圧する。
【0054】
(10)さらに、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の減圧空間を所定温度、例えば200℃まで加熱する。これにより、廃液晶パネル10のシール樹脂の貫通孔7cを通して、図2(b)に示すように廃液晶パネル10内の液晶(LC)が気化し、チャンバー21から排出される。この気化した液晶をバルブV2を経て凝集手段である回収装置24で冷却・凝集して回収する。この減圧状態での加熱は、実験的に求めた所定の時間だけ行う。
この期間には、同時に、液晶を凝集・分離した後のガスを活性炭フィルタ25にて清浄化(無害化)して大気中へ排出する。
【0055】
(11)そして、減圧ポンプP2をオフ、ヒータ23をオフし、液晶の抽出・回収を終了させる。
(12)その後、チャンバー21から液晶なしの廃パネルを取り出す。
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を有すると共に、第1の実施形態における第1の圧力開放手段にて圧力を開放すると同時に、第2の圧力開放手段にて大気圧に圧力を開放し、そのとき前記反応容器から流出する超臨界流体から超臨界流体生成用の物質を凝集して回収し再利用(リサイクル)する構成としたので、被処理物である廃液晶パネルから液晶を回収できる一方、樹脂部分の脆弱化に用いる超臨界流体生成用の物質をも回収・再利用することが可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
図9は本発明の第3の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図である。
図9に示す液晶回収システム20Bは、第1の実施形態の液晶回収システムに、減圧ポンプP3と、液化装置27とから構成される、二酸化炭素の回収及び再利用を行うリサイクル系を追加したシステムとしたものである。
【0057】
すなわち、チャンバー21に配管を接続して圧力開放用バルブV3を配設し、圧力開放開放用バルブV2のオン、減圧ポンプP3のオンによってチャンバー21内の超臨界二酸化炭素が大気圧に開放されたとき、この圧力開放及び減圧吸引によって導かれた二酸化炭素を回収装置24を介して液化装置27に導き圧力をかけて液化して回収し、前記ガスボンベ22に再貯留するリサイクル系を設けたものである。
【0058】
制御装置30Bは、第1の実施形態の場合と同様に、温度や圧力などの各種センサ(図示せず)からの計測データが入力されると共に、加圧ポンプP1及び減圧ポンプP2のオンオフ制御、逆止め用バルブV1及び圧力開放用バルブV2のオンオフ(開閉)制御、ヒータ23の温度制御を行う一方、減圧ポンプP3のオンオフ制御を行う機能を備えたものである。
【0059】
次に、以上説明した図9の液晶回収システムを用いた液晶回収工程の例について、図10(1)〜(12)及び(8’),(8'')を参照して説明する。
【0060】
(1)先ず、チャンバー21の内部空間に廃液晶パネル10を配置する。
(2)次に、圧力開放用のバルブV2をオフ(閉)する。
(3)そして、加圧ポンプP1をオン、逆止め用バルブV1をオンし、ガスボンベ22から二酸化炭素(CO2)を加圧ポンプP1でチャンバー21の内部空間に注入する。
【0061】
(4)図示しない圧力計により、チャンバー21内の圧力Pが計測され、その計測データは制御装置30Bに入力される。制御装置30Bは、チャンバー21内の圧力Pが二酸化炭素の臨界点の圧力7.38MPa以上、即ちP≧7.38MPa になったら、加圧ポンプP1をオフ、逆止め用バルブV1をオフする。
(5)続いて、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の加圧された内部空間を加熱する。
【0062】
(6)そのとき、図示しない温度計により、チャンバー21内の温度Tが計測され、その計測データは制御装置30Bに入力される。制御装置30Bは、チャンバー21内の温度Tが二酸化炭素の臨界点の温度31.1℃以上、即ちT≧31.1℃ になったら、ヒータ23をオフにする。このときのチャンバー21内の状態は、二酸化炭素による超臨界流体の状態となっている。
(7)そして、(6)で生成した超臨界流体状態のまま、所定時間(0〜20分)待つ。これによって、超臨界流体状態の二酸化炭素が廃液晶パネル10のシール樹脂に溶け込むのを待つ。
【0063】
(8)所定時間後、圧力開放用バルブV2をオン(開)し、チャンバー21内を常圧、即ち大気圧に開放する。これによって、廃液晶パネル10のシール樹脂中に溶け込んでいる二酸化炭素が抜け出し、シール材7が脆弱化(破壊)する。その結果、図2(a)に示すようにシール材7に貫通孔7cが形成される。
【0064】
(8’)圧力開放用バルブV2をオン(開)すると同時に、チャンバー21内の圧力を開放し且つ減圧ポンプP3をオンにして、大気圧まで一気に減圧する。この圧力開放及び減圧吸引によって導かれた二酸化炭素を回収装置24を介して液化装置27に導き圧力をかけて液化して回収し、供給源としての前記ガスボンベ22にフィードバックして再貯留し、再利用(リサイクル)する。この際、二酸化炭素に溶け出した液晶が存在すれば回収装置24で冷却・凝集して回収可能である。
【0065】
(8'')二酸化炭素を回収した後、減圧ポンプP3をオフにする。
【0066】
(9)次に、減圧ポンプP2をオンし、所定圧(0.01〜10kPa)まで減圧する。
【0067】
(10)さらに、チャンバー加熱用のヒータ23をオンして、チャンバー21の減圧空間を所定温度、例えば200℃まで加熱する。これにより、廃液晶パネル10のシール樹脂の貫通孔7cを通して、図2(b)に示すように廃液晶パネル10内の液晶(LC)が気化し、チャンバー21から排出される。この気化した液晶をバルブV2を経て凝集手段である回収装置24で冷却・凝集して回収する。この減圧状態での加熱は、実験的に求めた所定の時間だけ行う。
この期間には、同時に、液晶を凝集・分離した後のガスを活性炭フィルタ25にて清浄化(無害化)して大気中へ排出する。
【0068】
(11)そして、減圧ポンプP2をオフ、ヒータ23をオフし、液晶の抽出・回収を終了させる。
(12)その後、チャンバー21から液晶なしの廃パネルを取り出す。
本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を有すると共に、第1の実施形態における第1の圧力開放手段にて圧力を開放すると同時に、前記反応容器から流出する超臨界流体から超臨界流体生成用の物質を凝集して回収し再利用(リサイクル)する構成としたので、被処理物である廃液晶パネルから液晶を回収できる一方、樹脂部分の脆弱化に用いる超臨界流体生成用の物質をも回収・再利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明では、封止口有り,封止口無しのどちらのタイプの液晶パネルを用いた製品に対しても、有害物質の発生を無くした状態で液晶を有害物質に変えることなくそのままの形で抽出して回収することが可能となり、液晶回収時の安全性及び品質を高め、或いは液晶を無害化する上での安全性を高めた回収システムを実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図。
【図2】液晶回収前のシール樹脂脆弱化、及び液晶抽出を説明する説明図。
【図3】二酸化炭素の臨界点を示す状態図。
【図4】第1の実施形態の液晶回収システムを用いた液晶回収工程を示す図。
【図5】一般的な廃液晶パネルの縦断面図。
【図6】封口タイプの液晶パネルを示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図。
【図8】第2の実施形態の液晶回収システムを用いた液晶回収工程を示す図。
【図9】本発明の第3の実施形態の液晶回収システムの構成を概略的に示す図。
【図10】第3の実施形態の液晶回収システムを用いた液晶回収工程を示す図。
【符号の説明】
【0071】
10…廃液晶パネル、20…液晶回収システム、21…チャンバー(反応容器)、22…ガスボンベ、23…ヒータ(加熱手段)、24…回収装置(凝集手段)、27…液化装置、P1…加圧ポンプ、P2…減圧ポンプ、V1…逆止め用バルブ、V2…圧力開放用バルブ(第1の圧力開放手段)、V3…圧力開放用バルブ(第2の圧力開放手段)、P3…減圧ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、
内部に廃液晶パネルを配置可能とする反応容器と、
前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段とを具備し、
前記廃液晶パネルの樹脂部分を前記超臨界流体によって脆弱化して液晶を抽出することを特徴とする廃液晶パネル処理装置。
【請求項2】
前記超臨界流体生成用の物質は、二酸化炭素,エチレン又は亜酸化窒素であることを特徴とする請求項1に記載の廃液晶パネル処理装置。
【請求項3】
超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、
内部に廃液晶パネルを配置可能とする反応容器と、
前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段と、
前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集手段とを具備し、
前記廃液晶パネルの樹脂部分を前記超臨界流体によって脆弱化して前記液晶を抽出することを特徴とする液晶回収システム。
【請求項4】
超臨界流体生成用の物質を供給する供給源と、
内部に廃液晶パネルを配置可能とし、前記内部を加熱する手段を有する反応容器と、
前記反応容器の内部の圧力及び温度を高めて、前記供給源より前記反応容器内に供給された前記物質から超臨界流体を生成する超臨界流体生成手段と、
前記反応容器内で前記廃液晶パネルが前記超臨界流体の中におかれた状態で、前記反応容器内の圧力を開放する圧力開放手段と、
前記反応容器内の圧力を開放した後に、前記反応容器内を所定の減圧状態にして加熱する減圧加熱手段と、
前記減圧加熱によって前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集手段と、
を具備したことを特徴とする液晶回収システム。
【請求項5】
前記超臨界流体によって、前記廃液晶パネルの樹脂部分を脆弱化して液晶を抽出することを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶回収システム。
【請求項6】
前記超臨界流体生成用の物質は、二酸化炭素,エチレン又は亜酸化窒素であることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の液晶回収システム。
【請求項7】
前記反応容器における減圧加熱を行う前に、該反応容器内の前記超臨界流体の圧力を常圧に開放する第2の圧力開放手段を有し、圧力を開放したとき、前記反応容器から流出する超臨界流体から該超臨界流体生成用の物質を凝集して回収するリサイクル系を、更に具備したことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の液晶回収システム。
【請求項8】
反応容器内で加圧し加熱することによって生成した超臨界流体の中に廃液晶パネルを置いた状態で、該反応容器内の圧力を開放し、該廃液晶パネルを減圧加熱することによって液晶を抽出し回収することを特徴とする液晶回収方法。
【請求項9】
加熱手段を有し内部に廃液晶パネルを配置した反応容器に、超臨界流体生成用の物質を供給する工程と、
前記反応容器の内部の圧力及び温度を高めて、前記物質の超臨界流体を生成する超臨界流体生成工程と、
前記反応容器内で前記廃液晶パネルが前記超臨界流体の中におかれた状態で、前記反応容器内の圧力を開放する圧力開放工程と、
前記反応容器内の圧力を開放した後に、前記反応容器内を所定の減圧状態にして加熱する減圧加熱工程と、
前記減圧加熱工程によって前記廃液晶パネルから抽出した液晶を凝集させる凝集工程と、
を具備したことを特徴とする液晶回収方法。
【請求項10】
前記超臨界流体によって、前記廃液晶パネルの樹脂部分を脆弱化して液晶を抽出することを特徴とする請求項8又は9に記載の液晶回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−14832(P2007−14832A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195808(P2005−195808)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】