説明

廃石膏再生コンクリート

【課題】環境汚染廃棄物の廃石膏を無公害化して、コンクリート骨材に再利用する。
【解決手段】有害な廃石膏の粉砕材に発明した結束材を1〜2%添加することで、従来の砂セメント系コンクリートと同じ強度でフッ素溶出量も同じく無害となり、重量は2.3に対して1.8と軽量化でき、廃石膏材を建材として再利用する。具体的には、多孔質でフッ素溶出をする廃石膏の表面処理をPVACでコートすることにより、セメント骨材として使用可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃石膏の無害化処理及びその再利用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は用途が無い環境汚染物質である廃石膏を処理して無害で再利用が可能となる材料を開発したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は廃石膏から溶出するフッ素化合物などの環境汚染物を無公害化と、コンクリート添加材として再利用するために従来砂など岩石粉砕材料に比べて強度低下を防ぐため、安定化補強薬剤の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は廃石膏を50%以上配合するセメントモルタル材の溶出フッ素量を0.8ppm以下にして、圧縮強度を一般の岩石骨材セメントモルタル同等20MPa以上とする溶出防止補強効果を可能にする有機系結束材の開発にある。
【発明の効果】
【0005】
本発明で得られる添加剤は廃石膏の無公害化と建材ブロック、敷石など再利用を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
廃石膏を100−1000ミクロンに粉砕したものに固形分添加量で0.5〜5%範囲で添加することにより、セメント強度を劣化させることなく、環境汚染物質である廃石膏の添加量を50%以上使用しても、フッ素が環境基準の0.8ppm以下で圧縮強度が20MPa以上を可能にすることが出来る結束材とその配合条件と、生産方法を発明した。
【0007】
発明した結束材は、PVAC(酢酸ビニール)系の反応基を有するものが最適であり、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などアルカリ性に強く、親水性でセメント水和反応と共有する反応基を有しているものが適用する。特に廃石膏は多孔質体であり、強度向上には集束効果を必要とすることから、結束材料は少なくとも20%以上の伸びを有し、セメントアルカリで加水分解が起こりにくく、防水性でセメントの保水効果を保ち、安価であるPVAC材が適する。
【0008】
発明の最適実施条件は、重量比で廃石膏55%、セメント24%、砂20%、結束材1%で圧縮圧力20MPaの加圧成形条件が良く、このときの圧縮強度は約20MPa以上で比重が1.8であった。これは従来の砂骨材75%セメント25%比重2.3のコンクリートモルタルより強度が同等または強い。なお、最適実施条件での材料配合水は、固形分重量比で23%であった。材料の配合手順は、廃石膏と水溶解の結束材を混合、その後砂を調合して最後にセメントを混入する方法が最も強度がたかくい。また、固形物の溶出フッ素はコンクリートモルタルと同等で0.8ppm以下であった。
【実施例1】
【0009】
結束材の添加効果で最も経済的に強く効果的な添加量は重量比で2%であった。また結束材の材質で最も効果的なのはPVACとEVAの6:4配合であった。この場合1%から2.5%までは添加量に正比例して強度が向上する特性を持つ。一方、アクリル系はPVAC、EVA系に比べて効果は20%程度と効果が低い。エポキシ系はPVAC系より効果が高いが、材料価格がより高く、経済効果から見て、PVAC系に比べて劣る。
【実施例2】
【0010】
水添加量と成形圧力は強度に影響する。水添加量は砂セメントコンクリート成形時は11%が最適であったものが、廃石膏に結束材2%添加条件では20〜25%水添加が最も強度が高く安定した。また成形圧力は2MPa以上は同じであるが、以下は比例して強度低下する。実用上は最低0.5MPaは必要である。
【実施例3】
【0011】
上記実施例にさらに補強効果を試験した結果、ガラス繊維の添加が効果的であった。効果が顕著に現れるのは添加量が3%以上からであり、おおむね比例して複合則に従い、7mmカット繊維使用では添加効果がある。最大で25%程度まで添加が可能であった。使用ガラス繊維は対アルカリガラス繊維のCガラスなどが適する。
【実施例4】
【0012】
生産速度の向上を行う試験実施の結果、セメント急速硬化剤の効果は堅調であり、常温でも数十分の脱型が可能であった。ただし、完全硬化ではなく、形状安定した状態であった。温度を高めると比例して時間が短縮された。このことから、生産設備は、加熱機構を持ち、生産には急速硬化剤の併用が適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボードから紙部材を除去してなる廃石膏の粉砕物50%以上と、セメント15%以上の無機物材料に、酢酸ビニール樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂など樹脂化合物の水溶液1%(固形分比率)以上と、必要によっては顔料やセメント急速硬化剤、残りを無機物の砂を充填して拡散混合した後、加圧固化成形された粒子分散複合構造体。
【請求項2】
請求項1記載の粒子分散複合構造体を生産する方法において、廃石膏に酢酸ビニール樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂など樹脂化合物の水溶液1%以上を最初に混合、次いでセメントまたは砂重点材を投入混合、25%以下の必要水分を混合して成形原料を作り、バルク状態で型内に必要量投入し、型締め付け圧力が少なくとも0.5MPa以上で、必要な場合最大150℃以下の加熱を行って、製品は形状が保てる未硬化状態または完全硬化状態で型より脱型して生産する。

【公開番号】特開2011−168471(P2011−168471A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51053(P2010−51053)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(309027193)NBLマテリアル株式会社 (5)
【Fターム(参考)】