説明

延伸医療用管材

【課題】医療用管材を提供すること。
【解決手段】初期直径を有し、かつ剛直なハウジング(74、72)に連結するために適切なポリマー管材(10、32)であって、流体通路を規定し、かつ長軸を有し、99.999重量%〜90.0重量%の範囲内の量のポリマー材料、および0.001重量%〜10重量%の範囲内の量の添加剤の側壁を備え、そしてこの管材(10、32)は、延伸されて該管材の長軸に沿ってその直径を減少して延伸直径を規定する。本発明は、医療用管材を作製するための方法、より詳細には管材の長軸に沿って管材を延伸するためのプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、医療用管材を作製するための方法、より詳細には管材の長軸に沿って管材を延伸するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
医療分野において、有益な薬剤を回収し、容器内で処理しおよび貯蔵し、チューブを通して輸送しおよび最終的に患者に注入により送達する場合、ポリビニルクロライドのような現在使用されている材料の欠点を有しない、このような容器および管材を作製するために有用な材料を開発することが近年の傾向である。管材用のこれらの新規の材料は、特性の独特な組み合わせを有さねばならず、その結果、管材は液体投与セット中で、および医療用注入ポンプとともに使用され得る。これらの特性において、材料は、光学的に透明で、環境に適合し、十分な降伏強度および可撓性を有し、最少量の低分子量添加剤を有し、および医療用溶液と適合していなければならない。
【0003】
医療用管材は、管材中の流体の視覚的検査を可能にするために光学的に透明であることが望ましい。超音波もまた、管材を通過し得なければならない。なぜなら、注入ポンプに連結されたセンサーは、代表的には、管材中の空気泡のような異常な状態を検出するために超音波を使用するためである。
【0004】
多量の医療用管材は、ゴミ投棄場においておよび焼却により廃棄されるので、管材が環境に適合することがまた必要とされる条件である。ゴミ投棄場で廃棄される管材については、管材を作製するために可能な限り少ない材料を使用することが望ましい。さらなる利点は、熱可塑性の再利用可能な材料を用いることにより実現され、製造の間に発生したスクラップは、未使用の材料中に取り込まれ、そして他の有用な物品へ再加工され得る。
【0005】
焼却により廃棄される管材については、無機酸のような副産物を発生しないかまたはその形成を最少にする物質を使用することが必要である。これらの副産物は環境的に有害で、刺激的で、および腐食性である。例えば、PVCは、焼却の際に好ましくない量の塩化水素(または水と接触した場合塩酸)を発生し得、これは焼却炉の腐食および環境に対する汚染の可能性を生じる。
【0006】
医療用溶液と適合するために、管材材料は、可塑剤、安定剤などのような低分子量添加剤を含まないかまたはその最少含量を有することが望ましい。これらの成分は、材料と接触する治療用溶液により抽出され得る。添加剤は、治療用薬剤と反応し得るか、またはこの溶液の有効性をなくし得る。これは、薬物の濃度が重量パーセントまたは容量パーセントで測定されるよりはむしろ100万あたりの部(ppm)で測定される生物工学薬物製剤において特に問題である。生物工学薬物の極めて少量の損失さえ製剤を使用不可能にし得る。生物工学製剤は1用量あたり数千ドルの経費で有り得るので、用量が変化しないことが重要である。
【0007】
ポリ塩化ビニル(「PVC」)は、これらの要求の大部分を満たすものとして、医療用管材を作製するために広く用いられてきた。PVC管材は光学的に透明であり、管材を通って流れる流体の視覚的検査が可能にする。PVC管材はポンプ投与セットで良好に機能することが証明されている。PVC医療用管材はまた所望の応力−ひずみ特性を有するので、材料は、管材の直径の減少を生じることなく管材の長軸に沿って延伸され得る。換言すれば、PVC管材はくびれ(necking)に抵抗する。PVC医療用管材はまた好ましい表面特性を有し、管材を通過する流体の流れを停止または減少させるために管材の側壁を圧着(crimp)することにより操作されるスライドクランプ(slideclamp)を用いて管材を通過する液体の流速を制御することを可能にする。スライドクランプは、管材のひっかき(scoring)または切断を生じることなく用いられ得る。
【0008】
PVCはそれ自体が剛直なポリマーであるため、可塑剤として既知の低分子量成物がPVCに可撓性を与えるために添加されなければならない。上記のように、これらの可塑剤は流体により管材から抽出され得る。この理由のために、そしてPVCを焼却する場合に遭遇する困難さのために、PVC医療用管材を置き換える必要性が存在する。
【0009】
ポリオレフィン(polyolefin)およびポリオレフィン合金は、PVCにともなう不都合なくして、医療用容器および管材の多くの要求を満たすものとして開発されてきた。ポリオレフィンは、代表的には、医療用途に適合する。なぜなら、これらは液体に対する抽出可能性が最少であるからである。ほとんどのポリオレフィンは焼却の際に有害な分解物を発生せず、そしてたいていの場合熱可塑的にリサイクル可能であるので、環境的に安全である。多くのポリオレフィンは、PVCに対する経済的な代替物を提供し得るコスト的に有効な材料である。しかし、PVCの全ての好ましい特性をポリオレフィンで置き換えるために克服すべき多くの障害が存在する。
【0010】
例えば、医療用管材を作製するために、ポリオレフィン(例えば、超低密度ポリエチレン(ULDPE))を使用する際にいくつかの問題に遭遇する。このような管材は表面特性に乏しいことが見出されているので、スライドクランプを用いて管材をクランプで固定する場合、容易に切断され、ずたずたにされ、またはひっかき傷が生じる。ULDPE管材はまた、ポンプが、所定の時間にわたって正確な量の液体を送達するために、管材の側壁上に連続的に突き当たることにより、管材を通って流れる流体の流速を制御するポンプ加圧投与セットで使用される間、困難性を示す。
【0011】
患者に有益な薬剤を注入するために使用されるポンプは、代表的には、種々のセンサーを有し、管材中の流体の背圧、および流体流れ中の気泡のような状態を検出する。このセンサーは、受容できない背圧または空気泡を検出すると、ポンプを止める。このセンサーは、通常、投与セットの管材のセグメントが所定の場所に固定されるセンサー本体を有する。センサーハウジングの側壁との抵抗力に起因して、センサー本体中に配置された場合、ポリオレフィン管材が変形する傾向があることが見出されている。いくつかの場合においてこの変形は、検出器を異常な状態を示すように導き、そして注入ポンプを不適切に停止させる。
【0012】
さらに、ポリオレフィン管材は低い降伏強度(yield strength)を有することが見出され、従ってくびれと呼ばれる現象を容易に受ける。くびれは管材の直径を局所的に減少する。これは、管材の長軸に沿って中程度のひずみの下で管材を伸張する際に起こる。くびれは、管材を通過する流体の流れを減少させるかまたは完全に制限し、それにより管材を無効にし得る。降伏強度と引っ張り応力(modulus)との間に直線状の相関関係が存在するので、降伏強度を増加させるために材料の引っ張り応力を増大することが可能である。しかし、医療用途に対して十分な降伏強度を得た場合、得られる管材は、引っ張り強度が高すぎて、ポンプで機能しない。
【0013】
本出願人は、管材の長軸に沿って管材を予め延伸することによりくびれに対する管材の抵抗性を増大させることが可能であることを見出した。しかし、この延伸プロセスは寸法不安定性を導き得る。特に、延伸されたポリオレフィン管材は熱回復として知られる現象を経験する。これはときに「記憶効果」と呼ばれる。熱回復は、延伸される管材が延伸プロセス中に到達した温度を超えて熱せられるときに起こる複雑な現象である。これが起こると、管材はその延伸性を失い、管材の収縮および大きさの変化を引き起こす。
【0014】
ポリオレフィン管材はまた、貯蔵、輸送の間、および末端用途の間で熱安定性に乏しいことが示されている。乏しい熱安定性は、部分的には、ポリオレフィンの低い溶融温度または結晶化温度、低いガラス転移温度に起因し、そして上記で言及された延伸プロセスに起因すると考えられている。ポリオレフィン管材の乏しい熱安定性は、所望の寸法における変化を導き、そしてまた積み出し(shipping)または使用中に管材がコイル状になり得る。これらの寸法および形状の変化は、次いで、機能的な問題(精度、ポンプ適合性など)を導き、そして他の外見的な欠点を生じ得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の開示
本発明は、可撓性の医療用管材を作製するための方法を提供し、この方法は、長軸および初期直径を有するポリマー管材を提供する工程、管材の長軸に沿って管材を延伸して管材の直径を減少させ延伸された直径を規定する工程、および熱を延伸された管材に適用して管材を熱硬化し管材の寸法安定性を維持する工程を包含する。好ましくは、初期直径は、延伸された直径より10%〜300%より大きい。好ましくは管材の延伸工程は、湿潤または乾燥プロセスで行われ得る。各延伸プロセスは、所定の距離だけ離れて間隔を置いて配置される第1のプラー(puller)と第2のプラーとの間で管材を伸長する工程、および第1のプラーと第2のプラーの相対速度を制御し、第2のプラーの引張り速度を第1のプラーの引張り速度より速くしてこの間の管材を延伸する工程を共有する。湿潤延伸プロセスでは、管材は、延伸工程の間に水浴を通過し、そして乾燥プロセスでは管材は水浴を通過しない。
【0016】
本発明は、上記で論議した記憶効果を克服するために管材の熱硬化工程をさらに提供する。熱硬化プロセスは、管材が、積み出し、貯蔵および使用の間に通常曝される温度よりも高い温度であるが、管材が十分に融解する温度未満の温度に管材を曝す工程を包含する。使用温度を超える温度に管材を曝すことにより;より整っていない、より低い溶融性の結晶が溶融してより高い溶融性の結晶を残す。これは、使用温度範囲にわたって熱的に安定である。高度に延伸したマクロ分子鎖の一部分はまた、熱硬化温度で弛緩して良好な熱安定性を備えた管材をもたらす。
【0017】
熱硬化工程は、熱した水浴中での延伸工程の後に管材を熱する工程を包含する。好ましくは、管材は、この加熱工程の間では延伸されないが、十分な張力下で保持され管材のたわみを防ぐ。管材を少しゆるませて管材をわずかにたわませることもまた可能である。管材を、管材のさらなる延伸を妨げるかまたは最少にする構造で支持することもまた好ましい。
【0018】
最後に、加熱浴中で複数の間隔を置いて配置されたローラーを位置決めすることが望ましい。管材は、ローラーを巡って扱われ、曲折パターンを規定し、管材は、熱浴を通じていくつかの長さ方向の通過を行う。これらのローラーはモーターで駆動されることが所望され得る。
【0019】
本発明によると、以下が提供され、上記目的が達成される。
(項目1)初期直径を有し、かつ剛直なハウジングに連結するために適切なポリマー管材であって:
流体通路を規定し、かつ長軸を有する側壁であって、99.999重量%〜90.0重量%の範囲内の量のポリマー材料、および0.001重量%〜10重量%の範囲内の量の添加剤の側壁を備え;そして
ここで、該管材を該管材の長軸に沿って延伸してその直径を減少して延伸直径を規定する、管材。
(項目2)前記添加剤が、5より多い炭素原子を有し、そしてアミン、アミド、ヒドロキシル、酸、アセテート、アンモニウム塩、金属アルコラート、金属カルボキシレート、および多数の1,3ジカルボニル化合物の金属錯体のような有機金属化合物、フェニルホスフィン、ピリジン、ピロリドン、イミダゾリン、およびオキサゾリンの群から選択される電子陰性基をさらに有する、項目1に記載の管材。
(項目3)前記ポリマー材料が、ポリオレフィンおよびそのコポリマー、エチレン-プロピレンラバー、エチレン ビニルアセテートコポリマー、エチレン メチルアクリレートコポリマー、スチレンと炭化水素とのブロックコポリマー、スチレンと炭化水素とのブロックコポリマーの水素化誘導体、熱可塑性エラストマー、ポリウレタン、ポリアミドおよびポリエステルコポリマー、コポリエステル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエンラバー、および架橋エラストマーからなる群から選択される、項目2に記載の管材。
(項目4)前記ポリオレフィンが、ポリエチレンのホモポリマーおよびコポリマーの両方からなる群から選択される、項目3に記載の管材。
(項目5)前記コモノマーが、脂肪族オレフィン、メタクリル酸およびビニルアセテートからなる群から選択され得る、項目4に記載の管材。
(項目6)前記ポリマー材料が、超低密度ポリエチレンである、項目5に記載の管材。
(項目7)前記ポリマー材料が、エチレンビニルアセテートコポリマーである、項目5に記載の管材。
(項目8)前記管材の初期直径が、前記延伸直径より10%〜300%より大きい範囲内にある、項目1に記載の管材。
(項目9)剛直なハウジングに取り付けられるための初期直径を有する医療用管材であって:
長軸を有する流体通路を規定する管材壁であって、該壁はポリマー材料の第1の層、第1のポリオレフィンと添加剤とを有するブレンドを有し、該添加剤が、アミン、アミド、ヒドロキシル、酸、アセテート、アンモニウム塩、金属アルコラート、金属カルボキシレート、および多数の1,3ジカルボニル化合物の金属錯体のような有機金属化合物、フェニルホスフィン、ピリジン、ピロリドン、イミダゾリン、およびオキサゾリンからなる群から選択される電気陰性官能基を有するポリマーからなる群から選択され;
第2のポリマー材料の第2の層;および、
ここで、該管材を該管材の長軸に沿って延伸してその直径を減少して延伸直径を規定する、医療用管材。
(項目10)前記管材の初期直径が、前記延伸直径より10%〜300%より大きい範囲内にある、項目9に記載の管材。
(項目11)前記第1および第2のポリマー材料が、ポリオレフィンおよびそのコポリマー、エチレン-プロピレンラバー、エチレン ビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、スチレンと炭化水素とのブロックコポリマー、スチレンと炭化水素とのブロックコポリマーの水素化誘導体、熱可塑性エラストマー、ポリウレタン、ポリアミドおよびポリエステルコポリマー、コポリエステル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエンラバー、および架橋エラストマーからなる群から選択される、項目10に記載の管材。
(項目12)前記第1および第2のポリマー材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリオクテンのホモポリマーおよびコポリマーの両方からなる群から選択される、項目10に記載の管材。
(項目13)前記コモノマーが、脂肪族オレフィン、メチルアクリレートおよびビニルアセテートからなる群から選択され得る、項目12に記載の管材。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施する最良の形態
本発明は多くの異なる形態の実施態様であり得るが、これは図によって示され、そして本明細書において、本発明の好ましい実施態様で詳細に記載される。本発明の開示は、本発明の原理の例証として考えられるべきであり、そして例示された実施態様に対して本発明の広範な局面を制限する意図ではないことが理解される。
【0021】
I.ポリマーブレンド
本発明のポリマーブレンドは、単層ポリマー構造で具体化され得るか、または多層構造を形成するポリマーのような他の基質に接着され得る。本発明のこのポリマーブレンドは、ポリマー材料および添加剤を含む。このポリマーブレンドは、医療用管材に作製され、そして剛直なポリマーに接着され得る。
【0022】
ポリマー材料は、ポリオレフィンおよびそれらのコポリマー、エチレン-プロピレンラバー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、スチレンおよび炭化水素ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンまたはスチレン-イソプレン-スチレンコポリマー)およびそれらの水素化誘導体、ポリウレタンのような熱可塑性エラストマー、商標名PEBAXのもとで販売されているようなポリアミドおよびポリエステルコポリマー、および商標名HYTRELのもとで販売されているようなコポリエステル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンラバー、および他の架橋エラストマーから成る群より選択され得る。
【0023】
適切なポリオレフィンは、ポリエチレンのホモおよびコポリマーの両方を含む。適切なコモノマーは、脂肪族オレフィン、メチルアクリレートおよびビニルアセテートから成る群より選択され得る。
【0024】
好ましくは、このポリオレフィンは、ブテン-1、オクテン-1を含むα-オレフィンでコポリマー化されたエチレン(集合的に、超低密度ポリエチレン(「ULDPE」)といわれる)、メチルアクリレートでコポリマー化されたエチレン(33%より少ないメチルアクリレートコモノマーを有する)、ビニルアセテートでコポリマー化されたエチレン(33%より少ないメチルアクリレートコモノマーを有する)である。ULDPEは、一般に、約0.8g/cm3〜約0.95g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0025】
添加剤は、骨格中に5個より多い炭素原子を有し、そしてさらに、アミン;アミド;ヒドロキシル;酸;アセテート;アンモニウム塩;金属アルコレート、金属カルボキシレート、および多数の1,3ジカルボニル化合物の金属錯体のような有機金属化合物;フェニルホスフィン;ピリジン;ピロリドン;イミダゾリン、およびオキサゾリンから成る群より選択される電子陰性基を有する、ポリマーまたは脂肪族または芳香族の炭化水素であるべきである。
【0026】
このブレンドは、90重量%〜99.999重量%の範囲内、より好ましくは98.0重量%〜99.99重量%の範囲の量でポリマー成分を有するべきである。添加剤は、0.001重量%〜10重量%、およびより好ましくは0.01重量%〜2重量%の範囲内の量であるべきである。
【0027】
II.ブレンド法
ポリマーブレンドの成分は、溶融混合(molten mixing)、タンブルブレンドのような物理的ブレンド、または反応性の押出しのような他の手段を通してブレンドされるべきである。
【0028】
III.医療用管材の作製方法
図1は、本発明のブレンドの1つから作製された本発明の医療用管材10を示す。管材10は、0.003〜0.4インチの範囲内の内径大きさ、および0.12〜0.5インチの範囲内の外径大きさを有するべきである。より詳細には、商標名FLO-GRAD(登録商標)、およびCOLLEAGUE(登録商標)のもとに販売されているBaxter注入ポンプのような医療用注入ポンプを用いて液体の投与に使用するための医療用管材は、0.099〜0.105インチの範囲内の内径、0.134〜0.145インチの範囲内の外径、および0.018〜0.021インチの範囲内の壁厚さを有する。この管材は、50,000psi、そしてより好ましくは40,000 psiより小さな弾性率を有する可撓性であるべきである。
【0029】
図2は、溶液接触層である第1の層22、第2の層24、およびそれらの間の結合層26を有する多層の管材20を示す。第1の層22は、ポリマー成分について上記に示されたポリマーの同じ群から選択され得る。しかし、第1の層22は、添加剤を有さない。第2の層24は上記で特定したブレンドであり、上記で特定した群および量から選択されるポリマー材料および添加剤を有する。多くの場合、第1の層22は、第2の層24と十分に適合し、結合層26なしで行う。
【0030】
管材20の第1の層22は、総壁厚の98%〜50%の範囲内の百分率としての厚みを有すべきであり、第2の層24は、2〜50%の範囲内の厚みを有するべきであり、そして結合層26は0〜10%の範囲内の厚みを有するべきである。
【0031】
IV.管材の熱硬化および延伸法
管材10、20は、それの長軸に沿って延伸されることがまた望ましい。この延伸工程は、管材の長軸方向の降伏強度を増大させ、それにより使用の間に管材がくびれる傾向を減少させる。事実上、管材の予備延伸はさらなるくびれに対する抵抗性を増大させる。好ましくは、管材10、20は延伸されて、管材の初期の内径および外径がどこでも延伸後の管材10、20の直径よりも10%〜300%、そしてより好ましくは20%〜120%、そして最も好ましくは30%〜70%より大きくあるべきである。これらの範囲は、このなかのすべての組み合わせ、および部分的な組み合わせ(subcombination)をさらに包含する。開始直径の延伸後の直径に対する比は、延伸比と称される。この延伸プロセスは、以下に示されるような湿潤延伸プロセスまたは乾燥延伸プロセスであり得る。
【0032】
図3は、湿潤延伸プロセスにおける管材の延伸方法の概略図30を示す。湿潤延伸方法は、ポリマーブレンドから管材32を提供する工程、ならびにその長軸に沿って管材32を、管材32が、上記の第III章で特定されたような所望の内径と外径、および延伸比を有するように延伸する工程を包含する。延伸工程は、管材の分子を長軸に沿って延伸し、次に長軸方向に応力が加わるときにくびれに対する抵抗性を増大させる。次いで、管材32を熱硬化して管材の収縮を減少させ、そして延伸された寸法に管材を固定する。
【0033】
管材32(これは単層管材10または多層管材20であり得る)は、ラインと称され得る連続的な経過に沿って矢印34により示される方向に引っ張られる。用語「アップライン」は、管材32の移動(flow)に対して反対の方向のラインに沿った位置についていう。逆に、用語「ダウンライン」は、管材の移動(flow)の方向にある位置をいう。用語「ライン」を用いることによって、この方法はまっすぐなラインで実施されねばならないと考えられるべきではなく、むしろこの方法は、一連の連続的な工程で実施されることを意味するとされるべきである。
【0034】
図3で示されるように、管材32は、エクストルーダ(extruder)36を用いて形成される。エクストルーダ36を出る管材32は、好ましくは、延伸後、10%〜300%より大きい、そしてより好ましくは20%〜120%、そして最も好ましくは30%〜70%より大きい外径大きさを有する。エクストルーダ36を出る管材の直径は、初期直径と称される。
【0035】
管材32は、第1のプラー37、第2のプラー38、第3のプラー39、および第4のプラー40を備えたエクストルーダ36から引っ張られる。これらのプラー37、38、39および40は、シリコーンまたはラバーコーティングを有し得、管材32との摩擦係数を増大し得る。第2および第3のプラー38および39は、軸方向に沿って間隔を置いて配置されかつ円周方向に伸びる複数の溝(groove)を有して、プラー38および39の表面上で同時に管材32の1以上のセットを収容し得る。
【0036】
エクストルーダ36を出た後、管材32は、管材32が空気または液体で冷却される第1の冷却浴41を通過する。好ましくは、第1の冷却浴41は、4℃から45℃の範囲内の温度の水浴である。
【0037】
第1の冷却浴41を出た後、所望の延伸比を達成するために、管材32は、第1のプラー37より速い速度で第2のプラー38を作動することにより延伸される、第1のプラー37と第2のプラー38との間に伸びる。このラインのセクションは延伸セクション42と称される。好ましくは、第2のプラー38は、第1のプラー37より約4〜10倍速い速度の範囲内で作動される。第1のプラー37および第2のプラー38の相対速度を制御することにより、管材32の最終的な内径および外径を制御し、そして所望の延伸比を達成し得る。
【0038】
延伸セクション42において、管材32は、管材32が空気または液体で冷却される第2の冷却浴43を通過する。好ましくは、第2の冷却浴43は、第1の冷却浴41のように、4℃〜45℃の範囲内の温度の水浴である。
【0039】
延伸された管材32の記憶効果を克服するために、積み出し、貯蔵および使用の間に通常曝される温度を超えるが、管材が完全に溶融する温度より低い温度に管材を熱することが必要である。使用温度より高い温度に管材を曝することにより、より整っていない低溶融性の結晶が溶融し、使用温度範囲にわたって熱的に安定である高溶融性の結晶が残る。高度に延伸したマクロ分子鎖の一部分は弛緩して、増大された熱安定性を備えた管材を提供する。
【0040】
この目的に向かって、第2の冷却浴43を出た後、管材32は、第2のプラー38の周囲に向い、そして第2のプラー38と第3のプラー39との間に伸びる。管材32はエクストルーダ36の方に向って逆方向に進行し、そして管材32が熱硬化される加熱浴44を通過する。好ましくは、熱浴44は、第2の冷却浴43の上に位置して床のスペースを節約する。しかし、この位置決めは必要に応じて行われる。プロセスのこの位置は、熱硬化セクションまたは工程45と称される。好ましくは、熱硬化工程45は、延伸セクション42の後にオンラインで行われるが、バッチモードプロセスにおいてはオフラインで行われ得る。熱硬化工程45の間に、管材32は、加熱された空気または液体のような媒体で管材が加熱される加熱浴44を通過する。加熱浴44は、好ましくは、約50〜99℃の間の温度の水の水性溶液である。塩のような添加剤がこの水性溶液に添加され得る。
【0041】
管材32は、熱硬化工程45の間に延伸されないことが好ましい。このため、管材32は、収縮を妨げるかまたは制御するために、第2のプラー38と第3のプラー39との間で、教示された管材を維持するために最少の張力のもとに維持されるべきであり、またはこの管材は所定の量をたるませるべきである。従って、第2のプラー38および第3のプラー39は、同様の速度で作動されるべきであるか、またはプラー39は、プラー38よりもわずかに遅い速度で作動されていくらかの収縮に順応させ得る。
【0042】
熱硬化セクション45における管材32の延伸をさらに妨げるために、加熱浴44を通って引っ張られる間に、管材32を、支持構造体47で支持することが望ましくあり得る。しかし、支持構造体47の提供することは必要に応じて行われる。適切な支持構造体47は、熱硬化セクション45を通って管材32と同じ速度で移動するコンベアーを含む。別の支持構造体47は、管材の直径よりも大きい直径を有するプラスチックまたは金属導管であり、ここで管材32がコンジットの内面により支持される。
【0043】
加熱浴44を出た後、管材32は、第3のプラー39と第4のプラー40との間に伸びる。プラー40は、さらなる延伸を妨げるために、プラー39と同様の速度かまたはプラー39よりわずかに遅い速度で作動されるべきである。管材32は第2の冷却浴43を再び通過する。もちろん、別の冷却浴を提供することが可能であるが、この配置は、床のスペースを節約する。
【0044】
管材32が、図3aに示されるような冷却浴43または加熱浴44を通過するいくつかの長さ方向の通過を行うことを提供することがまた望ましく、これは最少量のスペースで管材の最大の冷却または加熱を提供する。これは複数の間隔を置いて配置されたローラー49を提供することにより達成され、加熱浴44または冷却浴43を通る曲折パターンを規定し得る。
【0045】
管材32の任意のさらなる延伸を妨げるために、第4のプラー40を、第3のプラー39と同様の速度かまたはわずかに遅い速度で作動することが必要であり得る。
【0046】
第4のプラー40を通過した後、管材は延伸された直径を有し、そして管材32が適切な長さに切断されるかまたは貯蔵または出荷のために巻き枠(spool)の回りをおおうカッターまたは巻き枠48を通過する。
【0047】
図3bは乾燥延伸プロセス30’を示す。この乾燥延伸プロセスは、管材32がセクション42’においてプラー37と37aとの間で延伸されるという主要点を除いては湿潤延伸プロセスとほとんどの点で同じである。プラー37aはプラー37よりも速い速度で作動される。乾燥延伸工程42’の間、管材32は、湿潤延伸工程42の場合のように、水浴43中に浸漬されない。乾燥延伸プロセスでは、プラー38、39、および40はプラー37aと同様かまたは遅い速度で作動される。
【0048】
V.管材の使用方法
本発明の医療用管材32は、流体が静注(I.V.)バッグ62のような流体容器から患者の血管系に注入される投与セット60(図4)を用いて患者へ流体を投与するような、種々の医療用途で用いられ得る。流体の流速は、その長さに沿って先細になるスロット64を有するクランプ63のような流体制御デバイスで制御され得る。スロット64内の種々の位置に管材を位置させることにより、スロットの壁は管材32の側壁上に突き当たり、そしてそれにより管材を通って流れる流体の速度を変化させ得る。
【0049】
この管材32はまた、流体が医療用注入ポンプ66を用いて管材32を通って患者に注入されるポンプ加圧システム65(図5)で使用され得る。このような医療用ポンプ66は、管材32の側壁上に連続的に突き当たることより管材を通過する流体流れを起こすリニア蠕動ポンプ、ロータリー蠕動ポンプおよび他のポンプを含む。
【0050】
リニア蠕動ポンプでは、複数のポンプフィンガーが管材のセグメントに沿って間隔を置いて配置され、そして管材を通って液体を移動するために流体のラインに沿って段階的な様式で管材の側壁上に突き当たるために作動される。
【0051】
ロータリー蠕動ポンプは、回転動きのために取り付けられた環状ドラムを有する。管材32はドラムにそった点の近傍に取り付けられる。このドラムは複数の円周方向に間隔を置いて配置されたエレメントを有する。このエレメントは、管材32を通じて流体をポンプで送液するためにドラムが回転するとき、管材の側壁に連続的に作動可能に係合する。
【0052】
米国特許第5,151,019号に記載されているような他のポンプは、非閉塞的な様式で管材を円筒形から変形することによって制御された様式で管材を通して液体を移動させる。すなわち、最も極端な変形では、互いに接近する管材の対向する内表面は、接触しない。本出願人は、米国特許第5,151,019号、および特にカラム4、63行目〜カラム5、25行目;およびカラム7、6行目〜カラム8、9行目に位置するテキストを、このようなポンプの作動の一般的な原理を記載しているテキストの特定のそれらの部分として本明細書中に参考として援用する。
【0053】
これらのポンプ66各々は、ポンプの制御を支援する種々の組み込みのセンサーを有する。例えば、医療用ポンプ66は、代表的には、患者の血管系中にポンプで送られる空気を妨げるための気泡センサーを有する。背圧センサーは、患者が管材を折り曲げることからまたは他のよじれた管材から生じる流体流れに対する増大した抵抗性を検出するために提供される。図6に示すように、センサーは、通常、センサーハウジング67を有し、この中に投与セットの管材32のセグメントをその場に取り付ける。気泡は、管材を通って光を通過させることにより感知されて気泡を検出し得る。液体背圧は、管材32の直径の変化を検出することにより感知され得る。
【0054】
VI.剛直な医療用ハウジング
図4および図5の投与セット60は、Y型注入部位74のような種々の剛直なプラスチックハウジングと連結されそしてそれと流体連絡される管材32を備える。管材32は、これらのハウジング72および74の各々の上のハウジングスリーブ76に連結される。
【0055】
ハウジング72ならびに74およびそれらのハウジングスリーブ76は、好ましくは、ポリカーボネート、コポリエステル、ABS、ポリアクリレート、ナイロン、ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリスルフォン、およびポリイミドのような剛直なポリマーで構築される。用語「剛直なポリマー」は、50,000psiそして好ましくは100,000 psiより大きい弾性率を有するポリマーである。代表的には、ハウジング14は注入成形技術を用いて構築される。
【0056】
図7および図8に示されるように、ハウジングスリーブ76が、その遠位端に開口部82を有する細長いほぼ円筒形の本体80を有することが好ましい。開口部82は、管材32の末端部分を受けるための大きさであるチャンバー84に通じる。このハウジングチャンバー84は内部流体流れチャンネル86に連結される。図4に示すように、内部チャンネル82は、患者に運搬される有用な薬剤を保持する容器88と流体連絡する。
【0057】
図7について再び言及すると、ハウジングスリーブ76は、ほぼ漏斗形状のチャンバー84を規定する内面90を有する。このチャンバー84は、開口部82の近傍にありそして第1の直径を有する第1の領域84a、および複数のリブ(rib)92が位置する第2の領域84bを有する。内部流れチャンネル86は、好ましくは、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。テーパー94は内部流れチャンネル86に第2の領域84bを連結する。テーパー94のα°は、好ましくは、ハウジングスリーブ76の中心線96から測定した場合0.25〜1.0°の範囲内である。
【0058】
好ましくは、第1のおよび第2のチャンバー領域84aおよび84bの第1の直径は、開口部82から流れチャンネル86まで、ゆるやかなテーパー状であるかまたは直径が減少する。このテーパーは中心線96から測定したときドラフトアングルβとして知られる。ハウジングは代表的には注入成形プロセスを用いて作製されるので、チャンバー84は、チャンバー84の形状を規定する道具により形成される。この道具は、ハウジングの作製後取り除かれねばならず、そして内表面90のドラフトアングルβが、管材との摩擦的な妨害を減少することにより道具の除去を支援する。
【0059】
流れチャンネル86の第2の直径が可撓性管材32の外径の直径よりも小さく、テーパー94の一部分がストップ98として供され、ハウジングスリーブ76中への管材32のさらなる挿入を妨げ、かつ流体経路中への接着移動を妨げる(図8もまた参照のこと)。また、管材32流体経路70がハウジングスリーブ76流れチャンネル86と整列して接合点における流体に対する抵抗性を最少にすることが好ましい。実際には、テーパー94は、管材がこの所望の整列を達成するために適合する凹部を規定する。
【0060】
図4、8および9に示すように、ハウジングスリーブ76はまた、領域84bに位置する複数の円周方向に間隔を置いて配置されたリブ92を有する。図9に示すように、好ましくは、少なくとも3つのリブ92が、約120°間隔を置いて配置されそしてより好ましくは5つのリブから配置される。もちろん、このリブ92はまた本発明から逸脱することなく不均等に間隔を置いて配置され得る。3つ以上の任意の数のリブ92もまた存在し得る。このリブ92は第2のチャンバー領域84bの内径表面90から伸長び、そして好ましくは流体チャンネル86の前のある点で終了する。リブ92の各々はお互いに変化し、かつ異なる長さであり得、そして各々は領域84bの種々の位置で開始し、そして停止する。好ましくは、外表面50のリブ43の位置は、ハウジング中心線96に平行に伸びる。
【0061】
リブ92は、内表面90から、約0.001インチ〜約0.010インチの範囲のリブ92の最も高い点102まで測定される高さを有する。リブ92の高さは、管材32の外表面104と、リブ92の外側部分102との間で所望の円周方向のクリアランスを提供し、その間の接着領域106を規定する。この接着領域106は、確実な接着剤結合を生成するために十分な量の接着剤を収容するに十分大きくあるべきであるが、管材32とハウジングスリーブ76との間のもれを生じ、そして貧弱な結合を生ずる危険性があるようには大きくない。
【0062】
リブ92の高さ、および開口部82の内部のそれらの位置は、管材32のチャンバー84への挿入に際し、管材32の外表面104から接着の妨害および接着剤のかき取りを最少にする。このリブ92は任意の幾何学的な輪郭を有し得るが、好ましくまるみを与えるか、またはわずかにまるいので、再びリブ92は接着剤の妨害は最少である。有意な量の接着剤が可撓性管材32の挿入の間に取り除かれるならば、管材32とハウジングスリーブ76との間に(チャンネル)形成され、管材32を通って移入される流体の所望でない漏れをおこさせる。
【0063】
このリブ92はまた、ハウジングスリーブ76内で管材32を中心に置くことを支援する案内手段として働く。ハウジングスリーブ76内の管材32を中心に置くことは、管材32とハウジングスリーブ76との間の接着剤の均質な円周方向分布を提供し、そしてより信頼できる接着結合を提供するために重要である。
【0064】
図10は、連結位置におけるハウジングおよび管材アセンブリ78を示す。管材32はハウジングスリーブ76のチャンバー84内に、管材端部108がストップ98と隣接するように位置する。接着領域106は接着剤で満たされて示される。
【0065】
本発明のさらなる局面は、上述の管材32およびハウジングスリーブ76を用いて、図10に示される管材およびハウジングアセンブリ78を形成する方法を提供する。
【0066】
この方法は、次に内部チャンネル86に連結するチャンバー84に通じる開口部82を有する剛直なハウジングスリーブ76を提供する工程を包含する。上述の複数の円周方向に間隔を置いて配置されたリブ92は、チャンバー84中に位置される。この方法は、接着領域106に所定量の接着剤を付与する工程、管材端部108がストップ98に接触するまでスリーブ開口部82へ管材32の末端部分を挿入する工程をさらに包含する。より好ましくは、管材32はチャンバー84中に挿入され、次いで接着剤を接着領域106へ添加し、そして管材32の円周周辺に浸透させる。リブ92は管材32の末端部分108をハウジングスリーブ80の中心部分へ案内し、それによりチューブ104の外部表面とハウジングスリーブ80の内部表面90との間の接着領域106の境界を規定する。この方法は、最終的に、ハウジングスリーブ80内で管材32を固定するために、接着剤を硬化させ接着領域106で結合を形成する工程を包含する。この硬化工程は、熱、紫外線エネルギー、圧力または接着剤を硬化するための他の手段を付与する工程を包含する。
【0067】
上記の方法において使用するための適切な接着剤は、シアノアクリレート、ホットメルト接着剤、U.V.硬化接着剤、エマルジョン、エポキシ、および感圧性接着剤を含む。
【実施例】
【0068】
VII.実施例
A.実施例1
表1に示されるポリマー成分は、0.23重量%の添加剤および残りのポリマー材料を有して、タンブルブレンドされた。このブレンドは、0.23重量%の添加剤および残りのExact 4011を有した。このブレンドは、0.139〜0.145インチの範囲内の外径、および0.101〜0.105インチの範囲内の内径を有する管材に押し出し成形された。この管材を、試験のために3インチセグメントに切断した。製品番号4061のもとにLoctiteにより販売されているシアノアクリレート接着剤を用い、この管材セグメントをアクリルルアハウジングに連結した。
【0069】
ルアハウジングは、直径0.150インチの開口部を有し、これは、直径の内側方向に0.142インチの大きさまでテーパー状である側壁を有するチャンバーに至る。管材の端部を、ルアの開口部に挿入し、ルアチャンバー中に締まりばめ(interferencefit)を形成する。所定量のシアノアクリレートをルア開口部に添加し、これは、管材の外周囲に毛管作用で滲出する。
【0070】
管材とハウジングのアセンブリの引っ張り強度を、Ametek装置を用いて試験した。管材とハウジングのアセンブリをAmetek上に載せ、そこで引っ張り試験検査を行った。管材または結合のいずれかを破壊するために必要な力を以下の表1に報告する。
【0071】
ポリマー材料および添加剤ブレンドに対する引っ張り強度データは、以下に示されるように、任意の添加剤なしで構築された管材の引っ張り強度と好都合に比較される。
【0072】
【表1】

Exact4011は、超低密度ポリエチレンである。
【0073】
Ethomeen0/15は、ポリオキシエチレン(5)オレイルアミンである。
【0074】
Ethomeen S/12は、ビス(e-ヒドロキシエチル)ソーヤアミンである。
【0075】
Ethomeen 0/12は、ビス(e-ヒドロキシエチル)オレイルアミンである。
【0076】
Ethomeen 18/15は、ポリオキシエチレン(5)オクタデシルアミンである。
【0077】
Ethomid NT/23は、エトキシ化脂肪族アミドである。
【0078】
E-32052は添加剤である。
【0079】
Lankrostat-104は、脂肪アミド添加剤である。
【0080】
B.実施例2
添加剤 Ethomeen 0/15(Akzo Nobel ChemicalCompany)を有する、実施例1に従って構築された管材は、ブレンドの6週間後でさえ、剛直なハウジングとの確実な接着剤結合を形成することに有効であることが見出された。プライマーが、Exact4011の外表面上にスプレーされる管材については、寿命(on-part life)は、ほぼ24時間である。
【0081】
C.実施例3
名称EXACT 4011(Exxon Chemical Company)のもとに販売される超低密度ポリエチレンを、種々の延伸比および熱硬化で延伸された管材に製作した。99.77重量%の量のEXACT 4011を、ETHOMEEN0/15(Akzo Nobel Chemical Company)と0.23重量%の量でタンブルブレンドした。管材は、1.5インチ エクストルーダ(DavisStandard)で押し出すことにより製作した。押し出し条件は以下の通りであった:ダイのピンの外径0.240インチ、およびダイのブッシングの内径0.325インチ。加熱シリンダ(barrel)のゾーン番号1〜4の温度は、それぞれ、華氏425゜、428゜、422゜、425゜であった。ダイのゾーン番号1〜3の温度は、それぞれ、華氏425゜、425゜、426゜であった。
【0082】
エクストルーダを出た管材は、図3bに図示されるように、一連の5つのプラーを巡って扱われた。プラー1〜5は、以下の各々の速度(1分間あたりのフィート)で操作された:17 FPM、58 FPM、41 FPM、32 FPM、および33 FPM。
【0083】
管材は、図3bに図示されるように、加熱浴および冷却浴を通過した。加熱および冷却浴装置は、Vulcanにより、モデルNo.CS60STIのもとに販売される三重通過サイジング/冷却システムである。熱硬化浴の温度を、以下の表2に示されるように変化させた。加熱浴は、図3bに示されるように、一連のローラーを有し、管材は、加熱浴中に13秒間存在した。
【0084】
上記条件に従って作成された管材を収縮試験にかけた。管材の長さを測定し、そして各管材群について記録した。次いで、管材サンプルを、調整オーブン中に、150゜Fおよび50%相対湿度で1時間置いた。次いで、管材サンプルを取り出し、そして周囲温度まで冷却した。サンプルの長さを測定し、そして記録した。長さの変化の%を、表2に示されるように計算した。
【0085】
引っ張り強度試験もまた、管材の別のサンプルについて実施した。管材の内径、外径、および管材の壁厚を、LaserMike 183 Benchtop Optical Micrometerを用いて測定した。次いで、サンプルを、Instron 4201テスターを用いて1分間あたり20インチのクロスヘッド速度で試験した。100%伸長の応力を用いて、管材の降伏を、表2に報告されるようにpsiで表した。
【0086】
Exact4011はまた、同様の条件で押し出され、そして熱硬化プロセスなしに管材に形成された。
【0087】
表2に示される結果は、非熱硬化管材と比較したとき、熱硬化および延伸管材の大きさの安定性および降伏における改善された変化を示す。収縮は、オーブン中に配置される前の初期長から、オーブンから取り出された後の最終長の%変化として測定される。
【0088】
【表2】

D.実施例4
実施例3に示される、管材を製作する手順および管材の試験とわずかに異なる操作条件で繰り返し、Ethomeen 0/15(0.23重量%)(Akzo Nobel Chemical Company)とのエチレンビニルアセテート(EVA)(UE-634、QuantumChemical Corporation)のブレンドから、管材のサンプルを生成した。管材サンプルはまた、ブレンド中と同じタイプの純粋なEVAから調製した。
【0089】
ゾーン番号1〜4に対する加熱シリンダのゾーン温度は、それぞれ、華氏゜で以下のようであった:374、375、378、および375。ゾーン番号1〜3に対するダイゾーン温度は華氏゜で以下のようであった:375、375、376。プラー番号1〜5のプラー速度は、それぞれ、1分間あたりのフィートで以下のようであった:17、60、41、31、および31.5。
【0090】
大きさの安定性および降伏強度データは、表3に以下に示される。
【0091】
【表3】

E.実施例5
実施例3に示される、管材を製作する手順および管材の試験とわずかに異なる操作条件で繰り返し、Dow Chemical Companyにより、名称Dow Affinity VP1770のもとに販売される超低密度ポリエチレン(ULDPE)と、Ethomeen 0/15(0.23重量%)(Akzo Nobel Chemical Company)とのブレンドから、管材のサンプルを生成した。管材の別のサンプルを、DowAffinity ULDPE単独から形成した。
【0092】
ゾーン番号1〜4に対する加熱シリンダのゾーン温度は、それぞれ、華氏゜で以下のようであった:424、425、422、および425。ゾーン番号1〜3に対するダイゾーン温度は華氏゜で以下のようであった:425、425、425。プラー番号1〜5のプラー速度は、それぞれ、1分間あたりのフィートで以下のようであった:17、60、41、31、および31.5。
【0093】
大きさの安定性および降伏強度データは、表4に以下に示される。
【0094】
【表4】

F.実施例6
管材サンプルはまた、上記の実施例1〜3に示される同様の延伸プロセス中で生成された。1つのセットの管材サンプルは、50%延伸比に延伸された。第2番目のサンプルは延伸されなかった。管材は以下の表5に示される成分、即ち、Exact 4011、EVA、およびVP1770から作成された。管材のネッキング(necking)耐性は、最初に管材の内径および外径、ならびに長さを測定することにより測定した。管材の1つの端部をクランプで固定した。Chatillonゲージを、管材の対向する端部に取り付けた。Chatillonゲージは、管材に対して5ポンドの力を、長軸方向に10秒間かけた。その後、管材を5分間置いた。管材の大きさを再び測定し、そして初めの大きさ測定値と比較した。長さ寸法における変化%を以下の表5に示する。
【0095】
【表5】

G.実施例7
超低密度ポリエチレンExact 4011を、0.139〜0.145インチの範囲内の外径、および0.101〜0.105インチの範囲内の内径を有する管材に生成した。管材の1つのサンプルを50%の延伸比に延伸し、そして管材の第2のサンプルを35%の延伸比に延伸した。50%の延伸比に延伸された管材のサンプルを、管材の対向する端部をクランプで固定して管材の移動または収縮を防ぎながら、65℃、および70℃で10秒間、ならびに85℃で5秒間、水浴中に、別々に沈めた。熱に曝した後、管材からクランプをはずし、そして周囲温度水中で5分間冷却した後、管材の長さを測定した。管材の長さの変化における差違%を以下の表6に報告する。
【0096】
次いで、管材を、57℃で4時間、オーブン中に置いた。加熱後の長さを測定し、そしてオーブン中に配置される前の長さと比較した。長さにおける差違%を以下の表6に示した。
【0097】
35%延伸の管材のその他のサンプルは、水浴中で熱処理しなかった。非熱処理管材をオーブン中に置き、そして長さにおける差違%を示した。表6に報告された結果は、熱硬化工程が、管材が収縮する傾向を大きく減少させることを示す。
【0098】
【表6】

H.実施例8
ExxonExact 4011(ULDPE)を、添加剤とともにおよび添加剤なしで押し出した。Exact 4011は、Exxon Chemical Companyから得、そしてEthomeen添加剤は、Akzo NobelChemical Companyから得た。Henkel添加剤は、Henkel Corporationから得た。押し出し装置は、示されるようにいくつかの供給者から得た:Killionからの1.5インチエクストルーダ、RDNからのベルトプラーモデル212-2および118、RDNからの真空サイザーモデル2.0PVS。材料ブレンドは、0.23%の添加剤および99.77%のExact 4011樹脂を含んでいた。0%添加剤および100%Exact 4011もまたコントロールとして押し出した。管材は、樹脂と添加剤をブレンドし、次いでそれらを、管材形態への押し出し用のシングルスクリュエクストルーダ中に配置することにより押し出した。押し出し条件は以下のようであった:ダイのピンの外径0.120インチ;ダイのブッシングの内径0.185インチ;温度、加熱シリンダゾーン(BZ)#1 375゜F、BZ#2 375゜F、BZ#3 375゜F;ダイゾーン(DZ) #1 374゜F、DZ #2 375゜F;ヘッド圧力 1600 psi;モーターアンペア 9.5。ライン速度は1分間あたり25フィートであった。ポンプ空気との管材の混和性を改善することにおける添加剤の有効性を、管材を溶液(蒸留水)で充填し、管材をポンプ中に配置し、そしてドアを閉鎖し、ドアをさらに2回開放および閉鎖し、次いでポンプディスプレイ中にある空気センサー値を読むことにより評価した。各センサーについて、所望の値の範囲は、400〜650である。表7は、添加剤あり、および添加剤なしのExxonExact 4011に対する結果を列挙し、そしてULDPEの添加剤との改善された計算可能性(computability)を示す。
【0099】
【表7】

I.実施例9
添加剤が、ポンプ空気センサーを用いた管材混和性を改善することを支援していることの別の指標は、空気センサーハウジング中でどのように管材が着座しているかで得られる改良である。添加剤を有する管材は、ポンプ空気センサーハウジング中に配置されたとき、それらの丸い断面形状を維持する。添加剤がないと、管材は、管材が空気センサーハウジング中で十分に着座していないことを示す「滴形」または「摘んだ」形状を形成する。チューブがハウジング中に十分に着座したとき、チューブは「矩形」形状をとり、そしてセンサー値はより大きい。サンプルを、同様の押し出しプロセスを用いて押し出した。表8は、この現象を示したさらなる試験サンプルおよびそれらの空気センサー値を列挙する。
【0100】
【表8】

J.実施例10
DowAffinity VP1770 ULDPEを、オレイルイミダゾリンあり、およびオレイルイミダゾリンなしで押し出した。VP1770は、Dowから得、そしてオレイルイミダゾリンは、HenkelCorporationから得た。押し出し装置は、示されるようにいくつかの供給者から得た:Davis Standardからの1.5インチエクストルーダ、RDNからのベルトプラーモデル212-2および118、RDNからの真空サイザーモデル2.0PVS。材料ブレンドは、0.20%のオレイルイミダゾリンおよび99.80%のVP1770樹脂を含んでいた。0%オレイルイミダゾリンおよび100%VP1770もまたコントロールとして押し出した。管材は、樹脂とオレイルイミダゾリンをブレンドし、次いでそれらを、管材形態への押し出し用のシングルスクリュエクストルーダ中に配置した。押し出し条件は以下のようであった:ダイのピンの外径0.240インチ;ダイのブッシングの内径0.325インチ;温度、加熱シリンダゾーン(BZ)#1 425゜F、BZ#2 427゜F、BZ#3 432゜F、BZ#4 440゜F;ダイゾーン(DZ) #1 440゜F、ダイゾーン(DZ) #1 440゜F、DZ#2 440゜F、DZ #3 440゜F;ヘッド圧力 2460 psi;モーターアンペア 1.3。ライン速度は1分間あたり26フィートであった。スライドクランプを使用して、管材中の添加剤を用いる利点を説明するために、管材に対して試験を行った。生産を譲渡されたFlo-Gard(登録商標)スライドクランプ(ストック番号03-20-16-490)を用いて、管材の同じ領域の上にクランプを10回反復(cycle)させた。添加剤なしの管材は、試験した5/5サンプルがずたずたになったことを示す。添加剤を有する管材は、試験した5/5サンプルが管材のひっかき傷(scoring)を生成したことを示す。ひっかき傷は、ずたずたになるよりも望ましい。何故なら、ずたずたになる場合に生成される任意のはがれた粒子を生成しないからである。
【0101】
K.実施例11
ExxonExact 4011(ULDPE)を、添加剤とともにおよび添加剤なしで押し出した。Exact 4011は、Exxon Chemical Companyから得、そしてEthomeen添加剤は、Akzo NobelChemical Companyから得た。Henkel添加剤は、Henkel Corporationから得た。押し出し装置は、示されるようないくつかの供給者から得た:Killionからの1.5インチエクストルーダ、RDNからのベルトプラーモデル212-2および118、RDNからの真空サイザーモデル2.0PVSyy。材料ブレンドは、0.23%のEthomeen添加剤、および99.77%のExact 4011樹脂を含んでいた。0%添加剤および100%Exact4011もまたコントロールとして押し出した。管材は、樹脂と添加剤とをブレンドし、次いでそれらを、管材形態への押し出し用のシングルスクリューエクストルーダ中に配置することにより押し出した。押し出し条件は以下のようであった:ダイのピンの外径0.120インチ;ダイのブッシングの内径0.185インチ;温度、加熱シリンダゾーン(BZ)#1 375゜F、BZ#2 375゜F、BZ#3 375゜F;ダイゾーン(DZ) #1 374゜F、DZ #2 375゜F;ヘッド圧力 1600 psi;モーターアンペア 9.5。ライン速度は1分間あたり25フィートであった。スライドクランプを使用して、管材中の添加剤を用いる利点を説明するために、管材に対して試験を行った。生産を譲渡されたFlo-Gard(登録商標)スライドクランプ(ストック番号03-20-16-490)を用いて、管材上の同じ点でクランプを10回反復させた。次いで管材を損傷について検査した。添加剤なしの管材は、試験した5/5サンプルがずたずたになったことを示す。添加剤を有する管材は、試験した5/5サンプルが管材のひっかき傷を生成したことを示す。ひっかき傷は、ずたずたになるよりも望ましい。何故なら、ずたずたになる場合に生成される任意のはがれた粒子を生成しないからである。表9は、添加剤あり、および添加剤なしの管材、ならびに10サイクルのスライドクランプ試験からの結果を列挙する。
【0102】
【表9】

特定の実施態様が例示され、かつ記載されているが、本発明の思想から逸脱することなく多くの改変が可能であり、そして保護の範囲は、添付の請求の範囲により限定されるのみである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の単層ポリマーブレンドから作製された医療用管材の拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明の多層管材の拡大断面図である。
【図3】図3は、医療用管材を形成、延伸および熱硬化する方法の概略図である;図3aは、管材が、図3に示されるプロセスの加熱浴または冷却浴を通して進み得る曲折のパターンの平面図である。図3bは、医療用管材を形成、乾燥延伸および熱硬化する方法の概略図である。
【図4】図4は、重力加圧流体投与セットの平面図である。図4aは、スライドクランプの平面図である。
【図5】図5は、ポンプ加圧流体投与セットの平面図である。
【図6】図6は、医療用管材のセグメントをクランプで固定するポンプセンサーハウジングである。
【図7】図7は、ハウジングへの管材の挿入前の管材およびハウジングの側面部分立面図である。
【図8】図8は、ハウジングへ挿入された管材を備えた管材およびハウジングアセンブリの側面部分立面図である。
【図9】図9は、ハウジングスリーブの端面図である。
【図10】図10は、挿入された管材を備えたハウジングスリーブの端面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の延伸医療用管材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−252959(P2007−252959A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166970(P2007−166970)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【分割の表示】特願平9−539966の分割
【原出願日】平成9年4月25日(1997.4.25)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】