説明

延伸鉄鋼製品の製造方法

加工による形状形成後、但し後続処理前の、延伸鉄鋼製品の製造方法において、鉄鋼製品は、オイル、並びにオイルに混入又は溶解した有機粒子及び無機粒子の少なくとも一方によって汚染されている方法であって、バーナ3が、鉄鋼製品1の表面と直接反応させられる排出ガス4を噴射するようになされていること、バーナ3は、重量パーセントで少なくとも80%の酸素を含む酸化剤によって作動させられ、それによって、前記製品1上に存在するオイル2が蒸発し、燃焼させられること、及び、排出ガス4は、鉄鋼製品の表面から有機粒子及び/又は無機粒子を吹き払うのに十分な高い速度を伴って、鉄鋼製品1の表面と反応させられることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本方法は、延伸鉄鋼製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ、ワイヤ、及びシート製品を鋼材から製造するとき、それらは延伸製品として製造される。製品の表面は、製造中にオイル、並びにオイルに溶解又は混入した有機粒子及び/又は無機粒子によって汚染される。
【0003】
オイルは、エマルジョン、ローラ・オイル、ポリマー、潤滑剤などであり得る。有機粒子は、炭素又は炭素化合物であり得る。無機粒子は、鋼鉄、酸化物などの粒子であり得る。
【0004】
そのようなオイル膜は、取り除かないと、後の工程ステップで品質上の問題を生じる。このため、そのような残留オイルは、現在は、製品が、加熱炉又は熱処理炉などその後の処理に移送される前に、洗浄段階で溶剤の援けを得て取り除かれている。
【0005】
これは、オイル膜を洗い流す必要がない場合より、工程ラインが長くなり、より費用が掛かることになることを意味する。更に、洗浄段階により、製造者は、環境に有害であると類別される可能性のある、洗浄からの残留生成物を抱え込むことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、その問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、加工による形状形成後、但し後続処理前の、延伸鉄鋼製品の製造方法に関する。そこでは、鉄鋼製品は、オイル、並びにオイルに混入又は溶解した有機粒子及び無機粒子の少なくとも一方によって汚染されており、その方法は、バーナが、鉄鋼製品の表面と直接反応させられる排出ガスを噴射するようになされていること、バーナは、重量パーセントで少なくとも80%の酸素を含む酸化剤によって作動させられ、それによって、前記製品上に存在するオイルが蒸発し、燃焼させられること、及び、排出ガスは、鉄鋼製品の表面から有機粒子及び/又は無機粒子を吹き払うのに十分な高い速度を伴って、鉄鋼製品の表面と反応させられることを特徴とする。
【0008】
本発明は、添付図面に示される本発明の実施例に部分的に関連させて、より詳細に以下に説明される。
【実施例】
【0009】
本発明は、ある工程ラインと関連させて以下に説明されるが、決して特定の工程ラインや、特定の鉄鋼製品に限定されるものではない。本発明は、どのような形態の工程ラインにも適用でき、またどのようなタイプの延伸鉄鋼製品にも適用できる。本発明の方法を実施するのに必要な装置がまだ比較的小型なので、既存の工程ライン、好ましくは、後続処理のために鉄鋼製品が加熱されるラインに導入することができる。
【0010】
本発明の方法は、加工によって形状形成を行った後、但し更に処理を行う前の、延伸鉄鋼製品1の製造に関する。この時点では、製品はしばしばオイル、及びそれらのオイルに溶解している無機粒子によって汚染されている。これが、図1の膜2によって示されている。
【0011】
本発明によれば、バーナ3が、鉄鋼製品1の表面と直接反応させられる排出ガス4を噴射する。用語「排出ガス」は、この場合、燃焼生成物、及び未燃焼のままバーナから噴出するガス成分を表すのに使用される。バーナは、重量パーセントで少なくとも80%の酸素ガスを含む酸化剤によって作動させられ、それによって、前記製品上に存在するオイル2が蒸発し、燃焼させられる。更に、排出ガス4は、鉄鋼製品の表面から無機粒子を吹き払うのに十分な高い速度を伴って、鉄鋼製品1の表面と反応させられる。
【0012】
酸化剤は、通常、アルゴンガス及び窒素ガスを伴う酸素ガスで構成される。燃料は気体燃料であり、プロパン、ブタン、水素ガス、天然ガスなどでよい。
【0013】
本原理は、母材自体を過熱させることなく、鉄鋼表面及び汚染層を極めて急速に加熱することによって汚染物質を急速に蒸発させ、その結果形成されたガスを即座に燃焼させることである。これは、目的に合わせて設計されたバーナを使用することによって達成され、そのバーナは、80%を超える酸素ガスを含む酸化剤によって作動させられ、その設計を通して、熱及び余剰酸素を表面に近接する領域に供給する。前記燃焼の生成物及び燃焼されなかった前記粒子は、表面から運び去られる。
【0014】
酸素の余剰量は、オイル膜が燃焼するのに十分な多さであるべきである。酸素の余剰量は、10%程度である必要がある。
【0015】
それにより、その結果は、鉄鋼表面が清浄になり、オイルは鉄鋼製品を加熱するのに寄与している。
【0016】
本発明の極めて顕著な応用例は、前記後続処理で、亜鉛めっき、又はペイント若しくはポリマーなどの有機コーティングが行われる製品の製造中である。
【0017】
図1は、その排出ガス4が鉄鋼製品の表面と反応するバーナ3を示す。製品は、図面の左にオイル層2を有する。オイル層及び無機汚染物質は、図面の右では製品から取り除かれている。
【0018】
図1〜3の矢印13は、製品の移動方向を示す。
【0019】
図2は、バーナ3がガイド・ローラ6〜8と共に既存の工程ライン中に取り付けられている例、及び製品1の後続処理ユニット9を示す。これは、処理ユニットに先行する位置を自由に選択してバーナを取り付けることができることを例示している。
【0020】
図3は、処理ユニット11の補助ユニットであるユニット10中に配置されたバーナ3を示す。
【0021】
無機粒子を確実に吹き飛ばすために、排出ガス4は、少なくとも25メートル/秒の速度でバーナ3から噴出される。その速度は、作動中、通常、100メートル/秒の大きさ程度である。
【0022】
バーナからの排出ガスを、速度が指定された鉄鋼製品の表面全体と反応させるために必要なバーナの数、及び寸法を計算することは、当業者にとって難しいことではない。
【0023】
バーナ3は、鉄鋼製品1を100〜800℃の範囲の温度に加熱するようになされることが好ましい。但し、存在する固体粒子が鉄鋼の表面に再付着し得るような高温にまで鉄鋼製品の表面を加熱しないことが重要である。
【0024】
しかし、ある場合には、バーナは、鉄鋼製品の表面12を、その融解点に近く、但しそれを超えない温度に加熱するようになされることが好ましい。
【0025】
オイルの燃焼及び粒子の吹き払いの所望の効果を達成する目的で、バーナ3の出口開口5と鉄鋼製品1との間の距離は50〜250ミリメートルにされることが好ましい。従って、バーナの出口開口5は、前記距離を越えない直径を有する。適切な直径は、約10〜15ミリメートルの範囲内にある。
【0026】
バーナ3は、そうする必要はないが、燃焼生成物が、鉄鋼製品の表面に対して90°ではない角度で母材に衝突するように配置され得る。
【0027】
本発明は、ユーザが別個の洗浄工場を稼動させずに済ませることを可能にし、それにより、環境を害する溶剤を取り扱う必要性を排除する。
【0028】
本工程により、溶剤に基づく残留生成物の形成を回避することも可能になる。残留生成物があると、認可された設備で処分しなければならない。
【0029】
更に、汚染物質のエネルギー含有量が、工程中に直接用いられる。
【0030】
更に、燃焼オイルから発生する排ガスは、既に存在する排ガス処理プラントで処理することができる。
【0031】
複数の実施例が上記で説明されてきた。しかし、本発明は、特定の製品に適用するために、バーナの数、並びにそれらの配置及び寸法に関して変化させることができる。
【0032】
従って、本発明は、上記に具体的に述べられた実施例に限定されるものと見なされるべきではない。本発明は、添付特許請求の範囲によって規定される枠組みの範囲内で変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】バーナ及び鉄鋼製品を示す図である。
【図2】バーナを有する工程ラインの一部を示す図である。
【図3】バーナを有する別の工程ラインの一部を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工による延伸鉄鋼製品の形状形成後、但し前記鉄鋼製品の後続処理前の、前記鉄鋼製品の製造方法において、前記鉄鋼製品が、オイル、並びにオイルに混入又は溶解した有機粒子及び無機粒子の少なくとも一方によって汚染されている方法であって、バーナ(3)が、前記鉄鋼製品(1)の表面と直接反応させられる排出ガス(4)を噴射するようになされていること、前記バーナ(3)は、重量パーセントで少なくとも80%の酸素を含む酸化剤によって作動させられ、それによって、前記製品(1)上に存在するオイル(2)が蒸発し、燃焼させられること、及び、前記排出ガス(4)は、前記鉄鋼製品の表面から有機粒子及び/又は無機粒子を吹き払うのに十分な高い速度を伴って、前記鉄鋼製品(1)の表面と反応させられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記排出ガス(4)が、少なくとも25メートル/秒の速度で前記バーナ(3)から噴出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バーナ(3)は、前記バーナ(3)の長手方向軸と前記鉄鋼製品(1)の表面との間の角度が45°と90°との間になるように配置されるようになされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記バーナ(3)が、前記鉄鋼製品(1)を100〜800℃の範囲内の温度に加熱するようになされていることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記バーナ(3)は、前記鉄鋼製品(1)の表面(12)を、その融解点に近く、但しそれを超えない温度に加熱するようになされていることを特徴とする、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記バーナ(3)の出口開口と前記鉄鋼製品との間の距離が、50〜250ミリメートルになされていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、又は5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−517775(P2008−517775A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538854(P2007−538854)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001559
【国際公開番号】WO2006/046905
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507082792)エージーエー エービー (9)
【Fターム(参考)】