説明

建具体及び引戸

【課題】建具本体の見込み幅が小さい換気機能を有する建具体とする。
【解決手段】第1開口枠4bにパネル15を装着した建具本体(障子本体4a)の第2開口枠部4cの面外方向一側寄りに板状の覆体16を取り付けて縦中骨14との間に換気用開口部17を形成し、前記建具本体の第2開口枠部4cの面外方向他側寄りに板状の遮蔽体18を面内方向に移動自在に取り付け、この遮蔽体18を前記縦中骨14と離隔した開き位置とすることで前記換気用開口部17を通して換気ができ、その遮蔽体18を前記縦中骨14に接した閉じ位置とすることで前記換気用開口部17を閉じるようにし、建具本体の見込み幅が小さい換気機能を有する建具体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸の障子、開き戸の障子、引き違い窓の障子、ドアの扉などとして用いる建具体、及びその建具体を備えた引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冬季の寒さ対策等として玄関まわりを囲む風除室が実用化されている。
前述の風除室は、夏季には日射によって熱だまりとなるので、その熱だまり対策として、出入口に欄間付き引き違い窓を用い、その欄間を開放することで風除室内を換気するようにしているが、外観の意匠を損ねる恐れがある。
これらのことから、障子自体が換気機能を有する引戸、開き戸、引き違い窓や、扉自体が換気機能を有するドアを用いることが考えられる。
例えば、特許文献1に開示されたように、扉本体の中にスライド空間を設け、そのスライド空間を室内外側に開口する開口部を設け、前記スライド空間に小扉をスライド自在に設けることで、その小扉をスライド移動して開口部を開閉することで換気機能を有した扉を備えたドアが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−11335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の扉は、扉本体の中に小扉をスライド自在に設けてあるので、扉本体の見込み幅が大きくなってしまう。
しかも、扉本体の内部形状が小扉をスライド自在に支持できる複雑な形状であるから、扉本体が高価で扉全体も高価である。
さらに、扉本体の中に小扉を設ける作業が面倒で、扉組立作業が面倒である。
【0005】
本発明の目的は、前述した課題を解消した障子、扉などの建具体及びその建具体を用いた引戸とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具体は、上框、下框、第1縦框、第2縦框、縦中骨で第1開口枠部と第2開口枠部を有した建具本体とし、その第1開口枠部にパネルを取り付け、前記第2開口枠部の面外方向一側寄りに板状の覆体を取り付けて縦中骨との間に換気用開口部を形成し、
前記第2開口枠部の面外方向他側寄りに板状の遮蔽体を、縦中骨に接することで換気用開口部を閉じる閉じ位置と、該遮蔽体を縦中骨から離隔することで換気用開口部を開放する開き位置とに亘って面内方向に移動可能に取り付けたことを特徴とする建具体である。
【0007】
本発明の建具体においては、前記覆体、遮蔽体は建具本体の見込み幅内に位置して建具本体の面外方向一側面、他側面から突出しないようにできる。
このようにすれば、建具体の見込み幅がより小さくできるし、引戸の障子として用いたときに他の障子と干渉しないようにできる。
【0008】
本発明の建具体においては、前記遮蔽体の上部寄りに複数の上戸車を取り付けると共に、下部寄りに複数の下戸車を取り付け、
前記建具本体に上ガイド部材と下ガイド部材をそれぞれ取り付け、この上ガイド部材に沿って前記上戸車を移動自在に支承すると共に、下ガイド部材に沿って前記下戸車を移動自在に支承して、前記遮蔽体を閉じ位置と開き位置とに亘って移動可能とし、
前記上ガイド部材と下ガイド部材の少なくとも一方は、弾性体によって戸車に押しつけられた可動レールを有し、少なくとも他方は、戸車の上下を支承する固定レールと外れ防止用レールを有するものにできる。
このようにすれば、遮蔽体を移動するときに、遮蔽体が斜めとなることを防止できる。
【0009】
前述のようにした建具体においては、可動レールに外れ防止用レールを設け、この外れ防止用レールと可動レールで戸車の上下を支承するようにできる。
このようにすれば、遮蔽体が移動時に斜めとなることを確実に防止できる。
【0010】
前述のようにした建具体においては、外れ防止用レールを弾性体で戸車に押しつけるようにすることができる。
このようにしても、遮蔽体が移動時に斜めとなることを確実に防止できる。
【0011】
本発明の建具体においては、前記遮蔽体の上部寄りに複数の上戸車を取り付けると共に、下部寄りに複数の下戸車を取り付け、
前記建具本体に上ガイド部材と下ガイド部材をそれぞれ取り付け、この上ガイド部材に沿って前記上戸車を移動自在に支承すると共に、下ガイド部材に沿って前記下戸車を移動自在に支承して、前記遮蔽体を閉じ位置と開き位置とに亘って移動可能とし、
前記上ガイド部材は、上戸車の上下を支承する固定レールと外れ防止用レールを有し、その外れ防止用レールを弾性体で上戸車に押しつけたものとし、
前記下ガイド部材は、下戸車の上下を支承する外れ防止用レールと固定レールを有し、その外れ防止用レールを弾性体で下戸車に押しつけたものとすることができる。
このようにすれば、遮蔽体が移動時に斜めとなることを防止できる。
【0012】
本発明の建具体においては、前記遮蔽体の面外方向他側面に上戸車、下戸車を取り付け、
前記上ガイド部材を、前記上戸車よりも面外方向他側に位置するように取り付け、
前記下ガイド部材を、前記下戸車よりも面外方向他側に位置するように取り付けることができる。
このようにすれば、上戸車、下戸車を取り付けた遮蔽体を建具本体内に設けた後に、上ガイド部材、下ガイド部材を建具本体に取り付けできるから、上ガイド部材、下ガイド部材で上戸車、下戸車を支承した状態で、遮蔽体を建具本体に設け、その後に上ガイド部材、下ガイド部材を建具本体に取り付けることができる。
したがって、遮蔽体、上戸車、下戸車、上ガイド部材、下ガイド部材を建具本体に簡単に設けることができるので、建具体の組立作業が簡単である。
【0013】
本発明の建具体においては、前記上ガイド部材は上網戸取付部を有し、この上網戸取付部は上戸車よりも下方に位置し、かつ上戸車と面外方向にほぼ同一位置とし、
前記下ガイド部材は下網戸取付部を有し、この下網戸取付部は下戸車よりも上方に位置し、かつ下戸車と面外方向にほぼ同一位置とし、
前記上網戸取付部と下網戸取付部とに亘って網戸を取り付け、この網戸は前記換気用開口部と対向しているようにできる。
このようにすれば、遮蔽体が開き位置のときに、換気用開口部から虫が侵入することを防止できる。
しかも、網戸は上戸車、下戸車と面外方向にほぼ同一位置であるから、この網戸のために建具体の見込み幅が大きくなることがない。
【0014】
本発明の引戸は、枠体に、複数の障子を面内方向に移動自在で、面外方向に位置がずれ、各障子を開き位置としたときに面外方向に重なり合うようにした引戸であって、
前記各障子の最も面内方向側部に位置する障子を、請求項1〜6いずれか1項に記載の建具体とし、この建具体を枠体に固定して固定障子としたことを特徴とする引戸である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の建具体によれば、遮蔽体を面内方向に移動して開き位置とすれば、換気用開口部を通して換気ができる。
また、遮蔽体を閉じ位置とすれば換気用開口部から雨水等が入り込むことがない。
しかも、建具本体の面外方向一側寄りに板状の覆体を設け、面外方向他端寄りに板状の遮蔽体を取り付けしたので、建具本体の見込み幅を小さくできると共に、建具本体を単純な形状として建具体を安価とすることができる。
さらに、建具本体に覆体と遮蔽体を取り付ける作業はやり易く、建具体の組立作業が簡単である。
【0016】
また、建具体を面外方向一側方から見たときに、上框、下框、第1・第2縦框、縦中骨、覆体、ガラスが見え、見栄えが良い。
【0017】
本発明の引戸によれば、固定された障子(建具体)に換気機能を持たせたもので、引戸としての有効開口を挟めずに換気機能を有する引戸とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態を示す引戸の概略外観図である。
【図2】図1の横断面図である。
【図3】図1の縦断面図である。
【図4】第3障子部分の拡大内観図である。
【図5】図4のA−A拡大断面図である。
【図6】図4のB−B拡大断面図である。
【図7】図4のC−C拡大断面図である。
【図8】上・下ガイド部材の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図9】上・下ガイド部材の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図10】上・下ガイド部材の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図11】上・下ガイド部材の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図12】上・下ガイド部材の第6の実施の形態を示す断面図である。
【図13】上・下ガイド部材の第7の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は風除室の出入口を示す外観図、図2は横断面図、図3は縦断面図で、枠体1に第1障子2、第2障子3が面内方向(図1の左右方向)に移動自在に設けてあると共に、第3障子4を固定して設け、引戸としてある。
この引戸が図示しない建家の出入口と対向して風除室を構成している。
前記枠体1は上枠5と左右の縦枠6を備えている。
前記第1障子2、第2障子3は、上框7と下框8と左右の縦框9を方形状に連結し、内部にパネル2a,3aが装着してある。
この第1障子2、第2障子3の上框7が前記上枠5に面内方向に移動自在に吊り下げ支持され、吊り下げ式の引戸としてある。この第1・第2障子2,3の吊り下げ支持は従来と同様であるので、説明を省略する。
つまり、第1障子2と第2障子3と第3障子4は面外方向(室内外側方向)に位置がずれ、第1障子2が最も室内側寄りで、第3障子4が最も室外側寄りで、第2障子3が中間に位置し、第1・第2障子2,3を開き位置に移動すると第2障子3が第3障子4の室内側に重なり合い、第2障子3の室内側に第1障子2が重なり合うと共に、第3障子4が枠体1の面内方向側部に位置している。
【0020】
前記第3障子4が本発明の建具体で、換気機能を有している。
このように、面内方向側部に固定された第3障子4が換気機能を有するので、引戸としての有効開口を挟めずに換気機能を有する引戸とすることができる。
【0021】
前記第3障子4が本発明の建具体で、この第3障子4は、上框10、下框11、面内方向一側の第1縦框12、面内方向他側の第2縦框13、上框10と下框11の面内方向中間に亘って連結した縦中骨14を有した障子本体4a、つまり本発明の建具本体を備えている。
この障子本体4aは縦中骨14を境として面内方向一側寄りに第1開口枠部4b、面内方向他側寄りに第2開口枠部4cを有している。
前記第1開口枠部4bにはガラス等のパネル15が取り付けてある。
前記第2開口枠部4cの面外方向一側寄り、例えば室外側寄りに板状の覆体16が取り付けてある。この覆体16は障子本体4aの面外方向一側面よりも面外方向一側に突出しない。
この覆体16の面内方向一側部16aは前記縦中骨14と離隔し、その縦中骨14と覆体16の面内方向一側部16aとの間に換気用開口部17を形成している。
この換気用開口部17の上下は上框10と下框11までそれぞれ連続している。
【0022】
前記第2開口枠部4cの面外方向他側寄り、例えば室内側寄りに板状の遮蔽体18が面内方向に移動可能に取り付けてある。この遮蔽体18は障子本体4aの面外方向他側面より面外方向他側に突出しない。
この遮蔽体18の面内方向の寸法は、前記第2開口枠部4cの面内方向の寸法よりも小さく、前記換気用開口部17の面内方向の寸法よりも大きく、その遮蔽体18を面内方向の一側方に移動して面内方向一側部18aを縦中骨14に接することで、前記換気用開口部17を閉じ、その換気用開口部17を通して室内と室外とに空気が流通しないようにする。
前記遮蔽体18を面内方向他側方に移動して、その面内方向一側部18aを覆体16の面内方向一側部16aと同一位置又は他側寄りとすることで、前記換気用開口部17が開放し、その換気用開口部17を通して室内と室外とに空気が流通し、前述した風除室の夏季の熱だまりを防止できる。
要するに、遮蔽体18は換気用開口部17を閉じる閉じ位置と、開放する開き位置とに亘って面内方向に移動する。
【0023】
このようであるから、第3障子4は換気機能を有する。
しかも、覆体16、遮蔽体18は板状で面外方向寸法(見込み幅)が小さく、障子本体4aの面外方向一側寄り、他側寄りに取り付けてあるので第3障子4の面外方向の寸法(見込み幅)を小さくできる。
さらに、覆体16、遮蔽体18は障子本体4aの面外方向一側面、他側面よりも突出せずに面外方向寸法内(見込み幅内)に位置しているので、第3障子4の見込み幅をより小さくできるし、引戸の障子として用いたときに他の障子と干渉することがない。
また、面外方向一側方(室外側)から見たときに、上框10、下框11、第1.第2縦框12,13、縦中骨14、覆体16、パネル15が見え、全体がスッキリとした見栄え良いものである。
【0024】
図1に示す第3障子4は枠体1に固定してあるので、上框10は上枠5と兼用で、第2縦框13は縦枠6と兼用であるが、第3障子4が可動の場合には上框10、第2縦框13を上枠5、縦枠6と別体として設ける。
また、図1に示す第3障子4は組立性などを考慮して補助上框20、補助下框21を備え、この補助上框20、補助下框21と縦中骨14、覆体16を方形状に連結して換気用開口部17を有したユニット22としている。
前記補助上框20を上框10に固着すると共に、補助下框21を下框11に固着し、覆体16の面内方向他側部16bを縦框13(縦枠6に取り付けた補助縦枠23)に固着している。
【0025】
前述の説明では、覆体16の面内方向一側部16aと縦中骨14との間に換気用開口部17を形成したが、覆体16の面内方向他側部16bと第2縦框13との間に換気用開口部17を形成しても良いし、覆体16を第1開口枠部4bに取り付けて縦中骨14との間に換気用開口部17を形成したり、第1縦框12との間に換気用開口部17を形成したりすることができる。
要するに、障子本体4aの面内方向一部分の面外方向一側寄りに覆体16を取り付け、この覆体16の面内方向側部と連続して換気用開口部17を形成し、前記障子本体4aの面内方向一部分の面外方向他側寄りに遮蔽体18を取り付けるようにすれば良い。
【0026】
次に第3障子4の各部を図4〜図7に基づいて説明するが、図1〜図3は本発明を理解し易いように概略的に図示してあるので、図4〜図7に示す各部の形状、寸法と相違することがある。
図4に示すように、前記遮蔽体18の上部と下部には面内方向に離隔して複数、例えば一対の上戸車30、下戸車31がそれぞれ取り付けてある。
前記一対の上戸車30は図5に示すように、遮蔽体18の面外方向他側面、つまり覆い体16と対向した面と反対側の裏面18bの上部寄りにブラケット32で回転自在に取り付けてあり、この上戸車30は上框10(補助上框20)に取り付けた上ガイド部材40に沿って面内方向に回転移動自在に支承されている。
この上ガイド部材40は上框10の遮蔽体18よりも面外方向他側寄り(覆体16と反対側)に固着具41で固着して取り付けてあるので、遮蔽体18を障子本体4a内に設けた状態で上ガイド部材40を取り付けできる。
【0027】
前記一対の下戸車31は図6に示すように、遮蔽体18の裏面18bの下部寄りにブラケット33で回転自在に取り付けてあり、この下戸車31は下框11(補助下框21)に取り付けた下ガイド部材50に沿って面内方向に回転移動自在に支承されている。
この下ガイド部材50は下框11の遮蔽体18よりも面外方向他側寄りに固着具51で固着して取り付けてあるので、遮蔽体18を障子本体4a内に設けた状態で下ガイド部材50に取り付けできる。
【0028】
前記上ガイド部材40は、図5に示すように、本体42と、この本体42に上下動自在に設けた可動レール43と、この可動レール43を下方に移動する弾性体、例えば一対の板ばね44を備え、この板ばね44で可動レール43の下面を上戸車30に押しつけ、加工誤差や取り付け誤差などがあっても可動レール43が上戸車30に接するようにしてある。
前記下ガイド部材50は、図6に示すように、本体52と、この本体52に上下に離隔して設けた固定レール53、外れ防止用レール54を備え、この固定レール53の上面に下戸車31が接すると共に、外れ防止用レール54に接することで下戸車31の浮き上がりを規制している。つまり、固定レール53と外れ防止用レール54で下戸車31の上下を支承している。
【0029】
前記上戸車30、下戸車31を上ガイド部材40、下ガイド部材50に沿って回転移動して遮蔽体18を面内方向に移動するときに、遮蔽体18を平行姿勢を維持しながら移動することは困難で、遮蔽体18は平行姿勢に対して面内方向に斜めになった斜め姿勢となるのが一般的で、斜めになり過ぎると外れることがある。
特に、この実施の形態は換気用開口部17の面内方向の開口寸法が小さく、人が出入りできない程度としてあるから、遮蔽体18の面内方向の寸法が上下方向の寸法に比べて著しく小さいので、前述のように遮蔽体18は斜めの姿勢になり易い。
【0030】
しかし、本発明においては、下ガイド部材50の外れ防止用レール54で遮蔽体18の下部の浮き上がりを規制して斜めの姿勢となることを規制すると共に、上ガイド部材40の可動レール43を板ばね44で下方に移動して上戸車30に押しつけているので、遮蔽体18が斜めの姿勢となって外れることがない。
【0031】
しかも、前述の上ガイド部材40、下ガイド部材50は上戸車30、下戸車31に面内方向一側方から面内方向他側方に向けてスライドして取り付ける必要があり、遮蔽体18を障子本体4aに設けた状態で、上ガイド部材40、下ガイド部材50を取り付ける作業はやりづらいが、上ガイド部材40、下ガイド部材50は前述のように遮蔽体18を障子本体4aに設けた状態で上框10、下框11に固着して取り付けできるので、遮蔽体18を障子本体4aに取り付ける以前に、上ガイド部材40、下ガイド部材50を上戸車30、下戸車31に取り付け、その状態で遮蔽体18を障子本体4a内に設け、上ガイド部材40、下ガイド部材50を上框20、下框21に固着して取り付けできる。
したがって、遮蔽体18、上ガイド部材40、下ガイド部材50の取り付け作業が容易で、第3障子4を簡単に組み立てできる。
【0032】
前記上ガイド部材40は、本体42の下部に上網戸取付部45を有し、この上網戸取付部45は上戸車30よりも下方に位置していると共に、上戸車30と上網戸取付部45は面外方向にほぼ同一位置である。
例えば、前記本体42は、上戸車30が嵌まり合う面外方向一側に開口した横向き凹部42aと、この横向き凹部42aの上部と連続して設けたレール取付け溝42bと、このレール取付溝42bの上部と連続して設けた上向きの取付片42cと、前記横向き凹部42aの下部と連続して設けた下向き凹部42dを有し、その下向き凹部42dが上網戸取付部45である。
前記可動レール43は、凹溝43aを有した上部43bとレール部43cを有し、その上部43bがレール取付溝42b内に上下動自在に嵌挿され、その凹溝43aにビス46を螺合して板ばね44を取り付けてある。
【0033】
前記下ガイド部材50は、本体52の上部に下網戸取付部55を有し、この下網戸取付部55は下戸車31よりも上方に位置していると共に、下戸車31と下網戸取付部55は面外方向にほぼ同一位置である。
例えば、前記本体52は、前記固定レール53と外れ防止用レール54で下戸車31が嵌まり合う面外方向一側に開口した横向き凹部52aを形成し、この横向き凹部52aの下部と連続して設けた下向きの取付片52bと、前記横向き凹部42aの上部と連続して設けた上向き凹部52cを有し、その上向き凹部52cが下網戸取付部55である。
【0034】
前記上ガイド部材40の上網戸取付部45と下ガイド部材50の下網戸取付部55とに亘って網戸60が取り付けてある。
この網戸60は図7に示すように、前記換気用開口部17と面外方向に対向した位置に固定して取り付けてある。
このようであるから、遮蔽体18を開き位置としたときに換気用開口部17から虫が侵入することを網戸60で防止できる。
しかも、網戸60と上戸車30、下戸車31は面外方向にほぼ同一位置であるから、網戸60を設けたことによって障子本体4aの見込み幅が大きくなることがない。
【0035】
前記網戸60は網戸框組体61に防虫網62を張設したもので、その網戸框組体61の上部、下部が上ガイド部材40の下向き凹部42d、下ガイド部材50の上向き凹部52cにそれぞれ嵌合し、その下向き凹部42d、上向き凹部52cの底面に亘って縦材63を設け、この縦材63を金具64で固定し、その縦材63と縦中骨14との間に網戸框組体61が取り付けてある。
前記下向き凹部42dの底面と網戸框組体61の上面は離隔し、網戸框組体61を下向き凹部42dと上向き凹部52cとに上下けんどん式に嵌め込みできる。
【0036】
前記補助上框20は図5に示すように、上框10(上枠5)の面内方向の内側面10aの面外方向一側寄りにビス20aで固着して取り付けられると共に、その面外方向他側寄りに取付片20bが下向きに一体に設けてある。
この取付片20bに上ガイド部材40の取付片42cが接し、面外方向他側方から固着具41で固着される。
前記補助下框21は図6に示すように、下框11の面内方向の内側面11aの面外方向他側寄りにビス21aで固着して取り付けられ、その面外方向他側寄りに取付片21bが上向きに一体に設けてある。
この取付片21bに下ガイド部材50の取付片52bが接し、面外方向他側方から固着具51で固着される。
【0037】
前記覆体16は図7に示すように、面内方向に向かう横板16cと、この横板16cの面内方向他側部に設けた面外方向に向かう取付片16dを有し、その取付片16dが補助縦框23にビス23aで固着して取り付けられる。
前記補助縦框23は第2縦框13(縦枠6)の面外方向一側寄りにビス23bで固着して取り付けられる。
前記縦中骨14の上端面と覆体16の上端面とに亘って補助上框20が接し、ビスで固着して連結してある。
前記縦中骨14の下端面と覆体16の下端面とに亘って補助下框21が接し、ビスで固着して連結してある。
【0038】
前記遮蔽体18は、板状部18cと手掛け部18dを有し、その遮蔽体18が閉じ位置のときに、その板状部18cが網戸60と覆体16との間に入り込むと共に、手掛け部18dが網戸60よりも面内方向他側方に突出し、その手掛け部18dに手を掛けて開き位置に移動し易いようにしてある。
前記遮蔽体18の裏面18bには取付片18eが一体に設けてある。この取付片18eにブラケット32,33をビス34で固着して上戸車30、下戸車31を取り付けてある。これによって、ビス34は遮蔽体18の表面に突出しないから、そのビス34の螺合部分から雨水等が浸入しない。
【0039】
前記縦中骨14は、その面内方向一側部にパネル取付凹部14aを有し、パネル15が取り付けられる。
前記縦中骨14の面内方向他側部は、突片14b、遮蔽体当接面14c、網戸当接面14dで階段形状である。
前記突片14bと前記覆体16の面内方向一側寄りにモヘア63が装着され、遮蔽体18との間を防虫、防音するようにしてある。
前記遮蔽体当接面14cにはシール材64が装着され、遮蔽体18と縦中骨14との間を水密している。
【0040】
次に、第3障子4の組立て作業を説明する。
枠体1の上枠5に第1縦框12を連結すると共に、この第1縦框12と枠体1の縦枠6の補助縦枠23とに亘って下框11を連結し、枠体1の面内方向他側部に障子本体4aを形成する。縦中骨14は備えていない。
前記縦中骨14と覆体16と補助上框20と補助下框21を連結して換気用開口部17を有したユニット22を組み立てる。
このユニット22を前述の障子本体4a内にセットし、補助上框20を上枠5に固着すると共に、補助下枠21を下框11に固着し、覆体16を補助縦枠23に固着して取り付ける。
【0041】
前記遮蔽体18の裏面18bの上部寄り、下部寄りにブラケット32,33を固着して上戸車30、下戸車31をそれぞれ取り付け、その上戸車30に上ガイド部材40を面内方向からスライドして取り付けると共に、下戸車31に下ガイド部材50を面内方向からスライドして取り付ける。
前述のように、上戸車30、下戸車31、上ガイド部材40、下ガイド部材50を取り付けた遮蔽体18を、前記障子本体4aの第2開口枠部4cに面外方向他側(室内側)から挿入し、上ガイド部材40、下ガイド部材50を補助上枠20、補助下框21にそれぞれ固着し、遮蔽体18を面内方向に移動可能に支承する。
【0042】
前記上ガイド部材40の下向き凹部42dと下ガイド部材50の上向き凹部52cとに亘って縦材63を取り付け、その縦材63と縦中骨14との間において網戸60を前記下向き凹部42dと上向き凹部52cとに上下けんどん式に嵌め込み、網戸60を取り付ける。
最後に第1開口枠部4bにパネル15を装着して第3障子4とする。
【0043】
次に、上ガイド部材40、下ガイド部材50の他の実施の形態を説明する。
図8に示すように、上ガイド部材40の可動レール43に外れ防止用レール47を一体に設け、この外れ防止用レール47の上面を上戸車30に接することで、可動レール43と外れ防止用レール47で上戸車30の上下を支承するようにする。
【0044】
図9に示すように、下ガイド部材50の外れ防止用レール54を本体52とは別体とし、その本体52に上下方向に移動自在に取り付けると共に、弾性体、例えば板ばね56で下方に移動付勢して外れ防止用レール54の下面を下戸車31に押しつけるようにする。
【0045】
図10に示すように、上ガイド部材40を固定レール48と外れ防止用レール47で上戸車30の上下を支承して浮き上がりを防止するものとする。
前記下ガイド部材50は、本体52に可動レール57を上下移動自在に設け、この可動レール57を弾性体、例えば板ばね56で下方に移動し、その可動レール57の下面を下戸車31に押しつける。
【0046】
図11に示すように、下ガイド部材50は、その可動レール57に外れ防止用レール54を一体に設け、この外れ防止用レール54の上面を下戸車31に接し、可動レール57と外れ防止用レール54で下戸車31の上下を支承するようにする。
【0047】
図12に示すように、上ガイド部材40の外れ防止用レール47を本体42と別体とし、本体42に上下移動自在に設けると共に、弾性体、例えば板ばね44で下方に移動して上戸車30に押しつける。
【0048】
以上のことを要約すると、上ガイド部材40と下ガイド部材50の少なくとも一方は、可動レールを有し、その可動レールを弾性体で戸車に押しつけた構成で、上ガイド部材40と下ガイド部材の少なくとも他方は、固定レールと外れ防止用レールで戸車の上下を支承する構成である。
【0049】
前記上ガイド部材40、下ガイド部材50は図13に示すようにしても良い。
前記上ガイド部材40、下ガイド部材50は、固定レール48,53と外れ止め用レール47,54をそれぞれ有する。
前記上ガイド部材40の固定レール48は、その下面が上戸車30に接すると共に、外れ止め用レール47は本体42に上下移動自在に取り付けられ、弾性体、例えば板ばね44で上方に移動し、その上面を上戸車30に押しつけるようにする。
前記下ガイド部材50の固定レール53は、その上面が下戸車31に接すると共に、外れ止め用レール54は本体52に上下移動自在に取り付けられ、弾性体、例えば板ばね56で下方に移動し、その下面を下戸車31に押しつけるようにしてある。
【0050】
前述の説明では、本発明の建具体を引戸の障子としたが、これに限ることはなく、片引戸の障子、開き戸の障子、引き違い窓の障子、ドアの扉などとして用いることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
4…第3障子(建具体)、4a…障子本体(建具本体)、4b…第1開口の枠部、4c…第2開口枠部、10…上框、11…下框、12…第1縦框、13…第2縦框、14…縦中骨、15…パネル、16…覆体、17…換気用開口部、18…遮蔽体、30…上戸車、31…下戸車、40…上ガイド部材、50…下ガイド部材、60…網戸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上框、下框、第1縦框、第2縦框、縦中骨で第1開口枠部と第2開口枠部を有した建具本体とし、その第1開口枠部にパネルを取り付け、前記第2開口枠部の面外方向一側寄りに板状の覆体を取り付けて縦中骨との間に換気用開口部を形成し、
前記第2開口枠部の面外方向他側寄りに板状の遮蔽体を、縦中骨に接することで換気用開口部を閉じる閉じ位置と、該遮蔽体を縦中骨から離隔することで換気用開口部を開放する開き位置とに亘って面内方向に移動可能に取り付けたことを特徴とする建具体。
【請求項2】
前記覆体、遮蔽体は建具本体の見込み幅内に位置して建具本体の面外方向一側面、他側面から突出しないようにした請求項1記載の建具体。
【請求項3】
前記遮蔽体の上部寄りに複数の上戸車を取り付けると共に、下部寄りに複数の下戸車を取り付け、
前記建具本体に上ガイド部材と下ガイド部材をそれぞれ取り付け、この上ガイド部材に沿って前記上戸車を移動自在に支承すると共に、下ガイド部材に沿って前記下戸車を移動自在に支承して、前記遮蔽体を閉じ位置と開き位置とに亘って移動可能とし、
前記上ガイド部材と下ガイド部材の少なくとも一方は、弾性体によって戸車に押しつけられた可動レールを有し、少なくとも他方は、戸車の上下を支承する固定レールと外れ防止用レールを有する請求項1又は2記載の建具体。
【請求項4】
前記遮蔽体の上部寄りに複数の上戸車を取り付けると共に、下部寄りに複数の下戸車を取り付け、
前記建具本体に上ガイド部材と下ガイド部材をそれぞれ取り付け、この上ガイド部材に沿って前記上戸車を移動自在に支承すると共に、下ガイド部材に沿って前記下戸車を移動自在に支承して、前記遮蔽体を閉じ位置と開き位置とに亘って移動可能とし、
前記上ガイド部材は、上戸車の上下を支承する固定レールと外れ防止用レールを有し、その外れ防止用レールを弾性体で上戸車に押しつけたものとし、
前記下ガイド部材は、下戸車の上下を支承する外れ防止用レールと固定レールを有し、その外れ防止用レールを弾性体で下戸車に押しつけたものとした請求項1又は2記載の建具体。
【請求項5】
前記遮蔽体の面外方向他側面に上戸車、下戸車を取り付け、
前記上ガイド部材を、前記上戸車よりも面外方向他側に位置するように取り付け、
前記下ガイド部材を、前記下戸車よりも面外方向他側に位置するように取り付けた請求項3又は4記載の建具体。
【請求項6】
前記上ガイド部材は上網戸取付部を有し、この上網戸取付部は上戸車よりも下方に位置し、かつ上戸車と面外方向にほぼ同一位置とし、
前記下ガイド部材は下網戸取付部を有し、この下網戸取付部は下戸車よりも上方に位置し、かつ下戸車と面外方向にほぼ同一位置とし、
前記上網戸取付部と下網戸取付部とに亘って網戸を取り付け、この網戸は前記換気用開口部と対向している請求項3〜5いずれか1項に記載の建具体。
【請求項7】
枠体に、複数の障子を面内方向に移動自在で、面外方向に位置がずれ、各障子を開き位置としたときに面外方向に重なり合うようにした引戸であって、
前記各障子の最も面内方向側部に位置する障子を、請求項1〜6いずれか1項に記載の建具体とし、この建具体を枠体に固定して固定障子としたことを特徴とする引戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−196049(P2011−196049A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62036(P2010−62036)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】