説明

建具

【課題】障子開閉時における音や振動が抑制できて良好な操作感を確保することができる建具を提供すること。
【解決手段】上框11および下框12に設けた傾斜保持部11C,12Cで樹脂パネル14の上下端縁を傾斜させて保持することで、湾曲した状態で保持される樹脂パネル14の面外剛性が高まり、その変形や振動が発生しにくくできることから、障子10の開閉時における樹脂パネル14のばたつき等に伴う音鳴り等が防止でき、障子10の開閉操作の操作感を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に開閉自在に支持される障子を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具として、四周枠組みされた金属製の框と、この框に支持されるパネル体とを有する障子(ドア)を、ドア枠に開閉可能に支持した浴室出入り口用建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された建具の障子では、合成樹脂製の樹脂板の四周に縁材を取り付けてパネル体が構成され、四周の縁材のうち、上縁材が上框に固定され、下縁材および縦縁材は、それぞれ下框および縦框に対して樹脂板の面内方向に移動可能かつ見込み方向に移動不能に係合されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−241711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような従来の建具では、障子の面材が樹脂製の板材で構成されていることから、その板材の面外方向(見込み方向)の剛性が低く、面外方向への変形(撓み)や振動を抑制することが困難である。特に、従来の建具のように、上端縁以外の三辺を面内方向に移動可能に支持した場合には、端縁を拘束する保持力が弱くなって変形や振動が増大する傾向にある。このため、障子の開閉時に板材が撓んで枠体などに衝突したり摺接したりして衝突音や摺接音が発生する可能性や、板材自体の振動による音鳴りや框との摩擦音などの可能性があり、開閉操作する際の不快感の原因となってしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、障子開閉時における音や振動が抑制できて良好な操作感を確保することができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、枠体と、この枠体に開閉自在に支持される障子とを備えた建具であって、前記障子は、上框、下框および左右の縦框と、これらの各框材に四周端縁が支持される面材とを有して構成され、前記上框、下框および左右の縦框のうちの少なくともいずれか1つの框材には、当該框材と対向する他の框材に向かう方向から見込み方向に傾斜させて前記面材の端縁を保持する傾斜保持部が設けられ、当該1つの框材から他の框材に向かって湾曲した形状で前記面材が支持されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、框材の傾斜保持部によって面材の端縁を見込み方向に傾斜させて保持し、通常状態において面材全体を湾曲させた状態で支持することで、素材自体の剛性が小さい樹脂製の面材を用いた場合でも、面材の面外剛性を高めることができる。従って、面材が面外方向に押されたり慣性力が作用したりしても、その変形や振動が発生しにくくできて撓みや振動が抑制されることから、障子の開閉時における面材のばたつき等に伴う音鳴り等が防止でき、建具における開閉操作の操作感を向上させることができる。
【0008】
この際、本発明の建具では、前記傾斜保持部は、前記上框および下框に設けられるか、または前記左右の縦框に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、互いに対向する一対の框材である上框および下框か左右の縦框に傾斜保持部を設けることで、面材の全体に渡って見込み方向に効果的に湾曲させることができ、面材の面外剛性を確実に向上させることができる。この際、互いに対向する一対の框材の傾斜保持部において、面材を傾斜させる方向としては、見込み方向の同一方向でもよく逆方向でもよい。すなわち、同一方向に傾斜させれば、その方向に向かって面材全体を略円弧状に湾曲させることができ、逆方向に傾斜させれば、面材全体を略S字形に湾曲させることができる。
【0009】
また、本発明の建具では、前記傾斜保持部は、前記面材の端縁近傍における見込み方向の一方側面および他方側面にそれぞれ当接する第1当接部および第2当接部を有して構成され、前記第1当接部と前記第2当接部とは、互いに見付け方向にずれた位置に設けられ、かつ当該第1当接部と第2当接部との見込み方向の間隔が前記面材の厚さ寸法よりも小さく形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1当接部および第2当接部の見付け方向位置と間隔寸法とを適宜に設定するだけで、これらの当接部を当接させて保持した面材の端縁部を傾斜させることができるので、簡単な構造で傾斜保持部を構成するとともに、確実に面材を湾曲させかつ湾曲状態を維持することができる。
【0010】
さらに、本発明の建具では、前記第1当接部および第2当接部は、それぞれ前記面材に当接する突起を有して構成されるか、または前記第1当接部および前記第2当接部のうち、一方が前記面材に当接する突起を有して構成され、他方が前記面材に当接しかつ見込み方向に傾斜した傾斜面を有して構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1当接部および第2当接部に突起や傾斜面を設けることで、これらの突起や傾斜面の形状や突出寸法、傾斜角度を適宜に設定するだけで、面材の端部を所定の傾斜角度で傾斜させて面材全体の湾曲形状を設定することができる。
【0011】
また、本発明の建具では、前記第1当接部および第2当接部は、それぞれ前記框材と一体に形成されるか、または前記第1当接部および前記第2当接部のうち、一方が前記框材と一体に形成され、他方が前記框材と別体かつ当該框材に着脱可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1当接部および第2当接部を框材と一体に形成すれば、傾斜保持部の構造をより一層簡単化することができる。また、第1当接部および第2当接部の一方を框材と一体に形成し、他方を框材と別体で着脱可能に構成すれば、別体で構成した当接部の形状やサイズ等を変更するだけで、面材の傾斜角度を調節することができ、障子のサイズに応じて面材全体の湾曲形状を適宜に変更することが可能となる。ここで、別体で構成される当接部としては、例えば、くさび形状を有して面材と框材との間に挿入され、框材に係合して取り付けられる押縁形式のものが採用可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上のような本発明の建具によれば、傾斜保持部によって面材の端部を見込み方向に傾斜させて保持して面材全体を湾曲させることで、面材の面外剛性を高めて変形や振動が発生しにくくできることから、障子の開閉時における音の発生を抑制して開閉操作感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す正面図である。
【図2】前記建具を示す縦断面図である。
【図3】前記建具を示す横断面図である。
【図4】前記建具の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】前記建具の変形例を示す縦断面図である。
【図6】図5とは異なる前記建具の変形例を示す縦断面図である。
【図7】図5、6とは異なる前記建具の変形例を示す縦断面図である。
【図8】図5〜7とは異なる前記建具の変形例を示す縦断面図である。
【図9】図5〜8とは異なる前記建具の変形例を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図11】前記建具を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る建具であるドア1を示す正面図である。図2および図3は、それぞれドア1を示す縦断面図および横断面図である。図4は、ドア1の要部である障子10の下框12を拡大して示す縦断面図である。
図1〜図3において、ドア1は、浴室と脱衣室とを仕切る出入り口であって、上枠2、下枠3および左右の縦枠4を枠組みした枠体としての建具枠5と、この建具枠5に支持されて浴室側に開閉可能に設けられる障子10とを備えて構成されている。障子10は、上框11、下框12および左右の縦框13と、これらを四周框組みした内部に支持される面材としての樹脂パネル14とを有して構成されている。
【0016】
障子10の上框11、下框12および左右の縦框13は、それぞれ中空断面を有したアルミ形材製であり、樹脂パネル14は、半透明の合成樹脂製板材から構成されている。上框11、下框12および縦框13は、中空状の框本体部11A,12A,13Aと、見付け方向内方に開口した凹溝部11B,12B,13Bとを有して形成され、これらの凹溝部11B,12B,13Bで樹脂パネル14の四周端縁を保持するように構成されている。そして、上框11および下框12の凹溝部11B,12Bは、図2に示すように、框本体部11A,12Aにおける見付け方向外側の端部、つまり上框11における上端部であり下框12における下端部から浴室側に突出して形成されている。一方、縦框13の凹溝部13Bは、図3に示すように、框本体部13Aにおける見付け方向内側の見込み面13Dよりも見付け方向外側に凹んで形成され、見込み面13Dにおける浴室側の端部に位置して設けられている。
【0017】
樹脂パネル14は、その四周端縁が凹溝部11B,12B,13Bに保持されることで、上框11、下框12および縦框13に対して浴室側にオフセットした位置に支持され、障子10の浴室側の側面が全体略フラットに形成されるようになっている。また、樹脂パネル14は、その上下方向の中間部が見込み方向浴室側に膨らむように、その上下端縁が傾斜した状態で上框11および下框12に保持されることで、樹脂パネル14が湾曲した形状で支持されるようになっている。つまり、上框11および下框12には、それぞれ樹脂パネル14の上下端縁を傾斜させて保持する傾斜保持部11C,12Cが設けられている。以下、傾斜保持部11C,12Cについて図4〜図9も参照して詳しく説明するが、ここでは、下框12の傾斜保持部12Cに関して説明する。一方、上框11の傾斜保持部11Cは、下框12の傾斜保持部12Cと上下反転して設けられているものの略同様の構成を有しているため、その説明を省略する。
【0018】
図4において、下框12の傾斜保持部12Cは、框本体部12Aの浴室側側面で構成される第1当接部121と、凹溝部12Bの浴室側立上り片で構成される第2当接部122と、凹溝部12Bの底面で構成される第3当接部123とを有して構成されている。第1当接部121は、凹溝部12Bの立上り片先端に対向して浴室側に突出した第1突起124と、この第1突起124よりも上方に延びて浴室側に傾斜した第1傾斜面125とを有し、第1突起124および第1傾斜面125が樹脂パネル14の脱衣室側側面に当接するようになっている。第2当接部122は、樹脂パネル14の浴室側側面に当接するとともに第1突起124との間に樹脂パネル14を挟持し、第3当接部123は、樹脂パネル14の下端縁に当接することで樹脂パネル14を上下方向に位置決めするようになっている。
【0019】
このような傾斜保持部12Cにおいて、第1傾斜面125の上端部と第2当接部122との見込み方向の間隔寸法L1は、樹脂パネル14の厚さ寸法tよりも小さく形成されており、これにより、第2当接部122と第1突起124とで端縁部が挟持された樹脂パネル14は、第1傾斜面125によって浴室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向浴室側に湾曲する状態で支持されることとなる。このように樹脂パネル14が湾曲した状態で保持されることで、樹脂パネル14の面外剛性が高まり、その変形や振動が発生しにくくできることから、障子10の開閉時における樹脂パネル14のばたつき等に伴う音鳴り等が防止でき、障子10の開閉操作の操作感を向上させることができる。
【0020】
なお、傾斜保持部12Cは、図4に示すものに限らず、以下の図5〜図9に示すような形態でもよい。
図5において、傾斜保持部12Cの第1当接部121は、第1突起124と、前記第1傾斜面125に代えて框本体部12Aの上端部から浴室側に突出した第2突起126とを有し、第1および第2の突起124,126が樹脂パネル14の脱衣室側側面に当接するようになっている。このような傾斜保持部12Cにおいて、第2突起126と第2当接部122との見込み方向の間隔寸法L2は、樹脂パネル14の厚さ寸法tよりも小さく形成されており、これにより、第2当接部122と第1突起124とで端縁部が挟持された樹脂パネル14は、第2突起126によって浴室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向浴室側に湾曲する状態で支持されることとなる。
【0021】
図6において、下框12の凹溝部12Bは、框本体部12Aにおける見付け方向内側(上側)の見込み面12Dに凹んで形成され、見込み面12Dにおける浴室側の端部に位置して設けられている。傾斜保持部12Cは、凹溝部12Bの脱衣室側側面で構成される第1当接部121と、凹溝部12Bの浴室側側面で構成される第2当接部122と、凹溝部12Bの底面で構成される第3当接部123とを有して構成されている。第1当接部121は、浴室側に突出して樹脂パネル14の脱衣室側側面に当接する第1突起124を有して構成され、第2当接部122は、見付け方向内側(上側)に向かって脱衣室側に傾斜し樹脂パネル14の浴室側側面に当接する第2傾斜面127を有して構成されている。このような傾斜保持部12Cにおいて、第1突起124と第2傾斜面127の上端部との見込み方向の間隔寸法L3は、樹脂パネル14の厚さ寸法tよりも小さく形成されており、これにより、第1突起124と第2傾斜面127とで端縁部が挟持された樹脂パネル14は、脱衣室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向脱衣室側に湾曲する状態で支持されることとなる。
【0022】
図7において、下框12の凹溝部12Bは、框本体部12Aにおける見込み面12Dの見込み方向略中央に位置して設けられている。傾斜保持部12Cは、図6のものと略同様の第1当接部121、第2当接部122および第3当接部123を有して構成され、第1当接部121は、第1突起124を有し、第2当接部122は、第2傾斜面127を有して構成されている。そして、第1突起124と第2傾斜面127の上端部との見込み方向の間隔寸法L3は、樹脂パネル14の厚さ寸法tよりも小さく形成されており、これにより、第1突起124と第2傾斜面127とで端縁部が挟持された樹脂パネル14は、脱衣室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向脱衣室側に湾曲する状態で支持されることとなる。
【0023】
図8において、下框12の凹溝部12Bおよび傾斜保持部12Cは、框本体部12Aにおける見込み方向の浴室側と脱衣室側との両方に設けられ、樹脂パネル14が一対(2枚)で支持されている。そして、一対の傾斜保持部12Cは、図4のものと略同様の第1当接部121、第2当接部122および第3当接部123を有して構成され、第1当接部121は、第1突起124と第1傾斜面125とを有して構成されている。このような下框12によれば、浴室側の樹脂パネル14は、浴室側の傾斜保持部12Cによって浴室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向浴室側に湾曲する状態で支持されるとともに、脱衣室側の樹脂パネル14は、脱衣室側の傾斜保持部12Cによって脱衣室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向脱衣室側に湾曲する状態で支持されることとなる。
【0024】
図9において、下框12の凹溝部12Bおよび傾斜保持部12Cは、框本体部12Aの見込み面12Dにおける見込み方向の浴室側と脱衣室側との両方に設けられ、樹脂パネル14が一対(2枚)で支持されている。そして、一対の傾斜保持部12Cは、図6のものと略同様の第1当接部121、第2当接部122および第3当接部123を有して構成され、第1当接部121は、第1突起124を有し、第2当接部122は、第2傾斜面127を有して構成されている。このような下框12によれば、浴室側の樹脂パネル14は、浴室側の傾斜保持部12Cによって脱衣室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向脱衣室側に湾曲する状態で支持されるとともに、脱衣室側の樹脂パネル14は、脱衣室側の傾斜保持部12Cによって浴室側に付勢されて傾斜し、上下方向の中間部が見込み方向浴室側に湾曲する状態で支持されることとなる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図10および図11は、第2実施形態に係る建具であるドア1Aを示す縦断面図および横断面図である。
本実施形態のドア1Aでは、障子10の上框11、下框12および縦框13に設けられる凹溝部11B,12B,13Bの形態、および傾斜保持部の構成が前記第1実施形態と相違するものの、その基本構成は、前記第1実施形態のドア1と略同様である。以下、相違点を詳しく説明する。
【0026】
障子10において、上框11および下框12の凹溝部11B,12Bは、図10に示すように、框本体部11A,12Aにおける見付け方向内側の見込み面11D,12Dよりも見付け方向外側に凹んで形成され、見込み面11D,12Dにおける浴室側の端部に位置して設けられている。一方、縦框13の凹溝部13Bは、図11に示すように、框本体部13Aにおける見付け方向外側(縦枠4側)寄りの位置に形成されている。そして、左右の縦框13には、それぞれ樹脂パネル14の側端縁を傾斜させて保持する傾斜保持部13Cが設けられている。この傾斜保持部13Cは、前記第1実施形態における図4で説明したものと略同様に形成されている。なお、縦框13に形成される傾斜保持部13Cとしては、図4のもの以外に、第1実施形態における図5〜図9で説明したものと略同様に形成されてもよい。
【0027】
以上のような縦框13に形成した傾斜保持部13Cで樹脂パネル14を保持することで、樹脂パネル14は、その左右両端縁部が浴室側に付勢されて傾斜し、左右方向の中間部が見込み方向浴室側に膨らむように湾曲した状態で支持されることとなる。このように樹脂パネル14が湾曲した状態で保持されることで、前記第1実施形態と同様に、樹脂パネル14の面外剛性が高まり、その変形や振動が発生しにくくできることから、障子10の開閉時における樹脂パネル14のばたつき等に伴う音鳴り等が防止でき、障子10の開閉操作の操作感を向上させることができる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、浴室出入り口用の建具としてのドア1を例示して説明したが、本発明の建具は、浴室出入り口用の建具に限らず、建物の窓や出入り口に用いられるものであってもよく、また可動間仕切りや家具の扉などであってもよい。また、前記実施形態では、浴室側に開閉可能な障子10を有したドア1,1Aについて説明したが、これに限らず、本発明の建具は、スライド開閉可能に設けられた1枚の障子を有した片引き形式の引き戸でもよく、また2枚以上の障子が開閉自在に支持された二枚建てや三枚建ての引き戸でもよい。
【0029】
また、前記実施形態では、障子10において、上框11および下框12の一対の框材にそれぞれ傾斜保持部11C,12Cが設けられるか、または左右一対の縦框13にそれぞれ傾斜保持部13Cが設けられる構成を説明したが、本発明において傾斜保持部は、四周の框材のうちの少なくともいずれか1つの框材に設けられていればよい。すなわち、本発明において、傾斜保持部は、面材を見込み方向に湾曲させるものであればよく、この傾斜保持部が設けられる框材は、上下左右の框材のいずれか1つでもまた複数でもよい。
さらに、前記実施形態では、傾斜保持部11C,12C,13Cがそれぞれ上框11、下框12および縦框13に一体に形成されていたが、これに限らず、框材と別体で構成した部材を框材に取り付けることで、面材の端縁を傾斜させるように傾斜保持部が構成されていてもよい。
【0030】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1,1A…ドア(建具)、5…建具枠(枠体)、10…障子、11…上框、12…下框、13…縦框、14…樹脂パネル(面材)、11C,12C,13C…傾斜保持部、121…第1当接部、122…第2当接部、124…第1突起、125…第1傾斜面、126…第2突起、127…第2傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、この枠体に開閉自在に支持される障子とを備えた建具であって、
前記障子は、上框、下框および左右の縦框と、これらの各框材に四周端縁が支持される面材とを有して構成され、
前記上框、下框および左右の縦框のうちの少なくともいずれか1つの框材には、当該框材と対向する他の框材に向かう方向から見込み方向に傾斜させて前記面材の端縁を保持する傾斜保持部が設けられ、当該1つの框材から他の框材に向かって湾曲した形状で前記面材が支持されている建具。
【請求項2】
前記傾斜保持部は、前記上框および下框に設けられるか、または前記左右の縦框に設けられている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記傾斜保持部は、前記面材の端縁近傍における見込み方向の一方側面および他方側面にそれぞれ当接する第1当接部および第2当接部を有して構成され、
前記第1当接部と前記第2当接部とは、互いに見付け方向にずれた位置に設けられ、かつ当該第1当接部と第2当接部との見込み方向の間隔が前記面材の厚さ寸法よりも小さく形成されている請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記第1当接部および第2当接部は、それぞれ前記面材に当接する突起を有して構成されるか、
または
前記第1当接部および前記第2当接部のうち、一方が前記面材に当接する突起を有して構成され、他方が前記面材に当接しかつ見込み方向に傾斜した傾斜面を有して構成されている請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記第1当接部および第2当接部は、それぞれ前記框材と一体に形成されるか、
または
前記第1当接部および前記第2当接部のうち、一方が前記框材と一体に形成され、他方が前記框材と別体かつ当該框材に着脱可能に構成されている請求項3または請求項4に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−180585(P2010−180585A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23668(P2009−23668)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】