説明

建材設置構造及び発光体付き建材

【課題】容易に施工することができる建材設置構造及び発光体付き建材を提供する。
【解決手段】発光体付き建材1は、陶磁器製のタイル本体3と、該タイル本体3の裏面に設けられた2次コイル2と、タイル本体3の隣接する2側面にそれぞれ複数個ずつ設けられた発光体としてのLED2と、2次コイル2とLED6とを接続するリード線4,5とを有する。複数板の発光体付き建材1が、壁、床又は天井等を構成する、セメント板、耐水合板などよりなる下地板7の前面にタイル張り用接着剤8によって張り付けられ、発光体付き建材1同士の間に目地材9が充填される。下地板7の裏側には、規定の位置に1次コイル10が設けられている。1次コイル10に交流を通電すると、2次コイル2に誘導電流が発生し、この電流がLED6に給電され、LED6が発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイル等の板状の建材及び建材設置構造に係り、特に発光体を設けた建材及び建材設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイル壁の目地又はタイルそのものにLEDを設けたLED付きタイル及びタイル壁が特開2001−140439号公報に記載されている。同号公報では、タイルの裏面にプリント配線を設け、このプリント配線を介してLEDに給電するようにしている。
【特許文献1】特開2001−140439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特開2001−140439号公報では、隣接するタイル裏面のプリント配線相互を導通させる必要があるため、タイル施工が相当に手間のかかるものとなる。
【0004】
本発明は、容易に施工することができる建材設置構造及び発光体付き建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の建材設置構造は、板状の建材が下地板の表側に設置されており、該建材又は建材側辺に沿う目地に発光体が設けられている建材設置構造において、該下地板の裏側に1次コイルが設けられ、下地板の表側に該1次コイルに対峙して2次コイルが設けられており、該2次コイルから前記発光体に給電されるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の建材設置構造は、請求項1において、前記目地は少なくとも表面に光触媒を含んでおり、前記発光体は紫外線を発するものであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発光体付き建材は、板状の建材本体と、該建材本体の裏側に該建材本体と一体に設けられた誘導電流発生用の2次コイルと、該建材本体と一体に設けられており、該2次コイルから給電可能とされている発光体と、を備えてなるものである。
【0008】
請求項4の発光体付き建材は、請求項3において、該発光体は該建材本体の側面に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の建材設置構造及び請求項3の発光体付き建材にあっては、2次コイルに発生する誘導電流が発光体に給電される。従って、この2次コイルに対峙するように1次コイルを設置すればよく、下地板の前面側に発光体への給電用電気配線を引き回すことが不要となる。
【0010】
請求項2の建材設置構造によると、目地を殺菌、防カビすることができると共に、光触媒に紫外線を当てたときに発生する活性酸素により有機物を分解して防汚することも可能である。請求項4の建材によると、目地に発光体を容易に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る発光体付き建材の斜視図、図2は発光体付き建材の施工構造を示す断面図である。
【0012】
この発光体付き建材1は、陶磁器製のタイル本体3と、該タイル本体3の裏面に設けられた2次コイル2と、タイル本体3の隣接する2側面にそれぞれ複数個ずつ設けられた発光体としてのLED2と、2次コイル2とLED6とを接続するリード線4,5とを有する。
【0013】
タイル本体3は長方形又は正方形であり、その裏面の中央に2次コイル2が設けられている。2次コイル2をタイル本体3の裏面中央に設けたことにより、タイル本体3の向きを変えても2次コイル2が常にタイル本体3の裏面中央に位置することになり、後述の1次コイルと該2次コイル2とを同軸的に配置することが容易になる。
【0014】
該2次コイル2とリード線4,5は、例えば導電塗料の焼き付け等によって形成することができるが、線材を接着剤で貼り付けることにより設けてもよい。2次コイル2とリード線4,5を耐水性を有した絶縁層で覆ってもよい。
【0015】
LED6は、例えば接着剤によりタイル本体3の側面に接着される。なお、LED6を目地幅よりも細幅の細長い基板(図示略)に取り付け、この基板をタイル本体3に固着してもよい。
【0016】
図2に示すように、複数枚の発光体付き建材1が、壁、床又は天井等を構成する、セメント板、耐水合板などよりなる下地板7の前面にタイル張り用接着剤8によって張り付けられ、発光体付き建材1同士の間に目地材9が充填される。
【0017】
この下地板7の裏側には、規定の位置に1次コイル10が設けられている。1次コイル10は発光体付き建材1と同数個、発光体付き建材1の配置パターンと同パターンにて配置されている。図示は省略するが、下地板7の前面には、1次コイル10の位置を示すマークや、発光体付き建材1の辺縁を沿わせるべき掛書き線などが設けられており、発光体付き建材1の張り付け作業時に各コイル2,10を確実に同軸状に配置できるようになっている。
【0018】
なお、この実施の形態では、目地材9は酸化チタン等の光触媒を含んでいる。LED6は紫外線を発光するものであり、その先端側が目地材9から露出するように目地詰めが行われている。
【0019】
このように構成された発光体付き建材及びその施工構造にあっては、1次コイル10に交流を通電すると、2次コイル2に誘導電流が発生し、この電流がLED6に給電され、LED6が発光する。これにより、LED6からの紫外線が目地材9に当り、殺菌、防カビされ、また、目地材9に含まれる光触媒が励起して活性酸素が発生し、目地材9に付着した有機物が分解され、目地の防汚作用が生じる。
【0020】
この発光体付き建材1は、タイル本体3と2次コイル2、配線4,5及びLED6とがすべて一体になっており、施工時に下地板7の前面側に電気配線を施すことが不要であり、施工が容易である。
【0021】
上記実施の形態では、LED6は紫外線を発光するものとなっているが、可視光を発光させ、壁などの装飾を図るようにしてもよい。
【0022】
上記実施の形態ではタイル本体3に1個の2次コイル2を設けているが、2個以上の2次コイルを設けてもよい。
【0023】
上記実施の形態では、タイル本体3の側面にLEDを設けているが、タイル本体3の前面に凹部を設けたり、タイル本体3を厚み方向に貫通する貫通孔を設け、この凹部や貫通孔にLEDを設けてもよい。
【0024】
上記実施の形態ではLEDを用いているが、有機ELのような面状発光体を用いてもよい。
【0025】
本発明では、下地板7の裏側に設けた1個の1次コイルが複数個の2次コイルに誘導電流を発生させるよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る発光体付き建材の斜視図である。
【図2】発光体付き建材の施工構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 発光体付き建材
2 2次コイル
3 タイル本体
4,5 配線
6 LED
7 下地板
8 接着剤
9 目地材
10 1次コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の建材が下地板の表側に設置されており、該建材又は建材側辺に沿う目地に発光体が設けられている建材設置構造において、
該下地板の裏側に1次コイルが設けられ、下地板の表側に該1次コイルに対峙して2次コイルが設けられており、
該2次コイルから前記発光体に給電されるよう構成されていることを特徴とする建材設置構造。
【請求項2】
請求項1において、前記目地は少なくとも表面に光触媒を含んでおり、
前記発光体は紫外線を発するものであることを特徴とする建材設置構造。
【請求項3】
板状の建材本体と、
該建材本体の裏側に該建材本体と一体に設けられた誘導電流発生用の2次コイルと、
該建材本体と一体に設けられており、該2次コイルから給電可能とされている発光体と、
を備えてなる発光体付き建材。
【請求項4】
請求項3において、該発光体は該建材本体の側面に配置されていることを特徴とする発光体付き建材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−316457(P2006−316457A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138689(P2005−138689)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】