説明

建物の水切構造

【課題】水切部材の取り付け作業を容易化し、しかも、水切部材の変形や破損を抑制する。
【解決手段】基礎11の上に据え付けられた建物10において、一階部分の外壁24には水切部材31が取り付けられている。水切部材31は、外壁24の外壁パネル25の下端部に固定された固定部32と、その固定部32から下方に延びている水切板部33とを有している。水切板部33は、基礎11の上端部よりも下方に延びており、基礎11の外側面と対向している。水切板部33と基礎11との隙間部分において、水切板部33の内側面にはブラケット41が取り付けられており、基礎11の外側面にはブラケット受け部42が取り付けられている。ブラケット41とブラケット受け部42とは嵌合しており、それによって水切板部33が基礎11に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の水切構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、外壁を伝って流下する雨水等が外壁と基礎との隙間に浸入することを防止するために、外壁の下端部分に水切部材を設ける技術が知られている(例えば特許文献1)。この技術では、水切部材が基礎側面まで延びた状態で設けられており、外壁を伝って流下してきた雨水等を建物内部に浸入させることなく水切部材の下端から流下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−271485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水切部材が基礎側面まで延びているということは、水切部材の上下方向の長さ寸法が大きくされていることになり、風などにより外力が加えられることで変形や破損が生じやすくなる。そして、水切部材が変形したり破損したりすると、建物外観の見栄えが損なわれることが懸念される。
【0005】
本発明は、水切部材の取り付け作業を容易化し、しかも、水切部材の変形や破損を抑制することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0007】
第1の発明の建物の水切構造は、基礎の上に据え付けられた建物においてその一階部分の外壁の下方に水切部材が設けられてなる建物の水切構造であって、前記水切部材は、前記外壁の下方において前記建物に固定される固定部と、該固定部から下方に延び前記基礎の外側面に対向する水切板部とを有し、前記基礎の外側面と前記水切部材の水切板部の内側面との間の隙間部分において、前記基礎には前記水切板部に向けて延びる第1部材が設けられ、前記水切板部には前記基礎の外側面に向けて延びる第2部材が設けられており、前記第1部材と前記第2部材とが互いに結合されることにより、前記基礎に前記水切板部が支持されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、水切部材において基礎側面まで延びている水切板部が基礎により支持される。そのため、水切部材の固定がしっかりとしたものとなる。この場合仮に、水切板部をその下端部が地上面に近接する位置となるよう延ばした構成(水切板部を、基礎を囲む幕板状に設ける構成)だとしても、水切部材をしっかりと支持できることとなる。したがって、風などにより外力が加えられても水切部材が変形したり破損したりすることを抑制できる。
【0009】
また、基礎には水切板部に向けて延びる第1部材を設けるとともに、水切板部には基礎の外側面に向けて延びる第2部材を設け、これら両者を結合させる構成とした。この場合、基礎の外側面と水切板部の内側面との間の隙間部分が水切板部の背後に隠れていても、上記の各部材(第1,第2部材)によって基礎に対する水切板部の結合を容易に実施することが可能となる。
【0010】
以上により、水切部材の取り付け作業を容易化することができ、しかも、水切部材により建物の見栄えが損なわれることを抑制できる。
【0011】
第2の発明では、前記第1部材及び前記第2部材は、一方が凸部を有し、他方が凹部を有し、これら凸部及び凹部の嵌合により互いに結合可能となっており、前記基礎の外側面に対する方向への前記水切板部の押し込みにより、前記水切板部が前記基礎に対して固定される。
【0012】
第2の発明によれば、凸部と凹部との位置合わせを行いつつ水切板部を基礎に対して押し付けるという容易な作業により、第1部材と第2部材とを結合させることができる。これにより、基礎に対して水切板部を装着する作業を容易化できる。
【0013】
第3の発明では、前記第2部材は、前記第1部材に対して水平方向にスライド移動可能である。
【0014】
第3の発明によれば、第1,第2の両部材を互いに結合した状態でも、水平方向にスライド移動させることができる。これにより、水切部材の位置調整を容易に実施できる。また、上記のスライド移動により、第2部材(基礎)に対して第1部材(水切板部)を結合させる構成であってもよい。
【0015】
第4の発明では、前記基礎は、少なくとも地上において各々分割された複数の基礎部からなり、それら各基礎部が、前記建物の外周部となる位置に沿って互いに離間した状態で配置されている。
【0016】
複数の基礎部が例えば基礎ブロックなどにより互いに独立して構成されている場合、基礎ブロックは簡易の設置が可能であり、コスト面、施工面でのメリットはあるが、見栄えが損なわれるおそれがある。この点、第4の発明では、水切板部をその下端部が地上面に近接する位置となるよう延ばした構成(水切板部を、基礎を囲む幕板状に設ける構成)を容易に採用できるため、水切板部により基礎全体を覆い隠す構成を実現する上で好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】基礎周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】基礎及び水切部材の配置を説明するための図。
【図3】別の水切部材の構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数階建ての建物の一階部分に水切部材が取り付けられた建物の水切構造に本発明を具体化している。図1は基礎11周辺の構成を示す縦断面図である。
【0019】
図1に示すように、住宅等の建物10は基礎11の上に据え付けられている。図1では、ユニット式建物において一階部分の建物ユニットの床大梁21が、基礎11の上方に設けられている。床大梁21は、断面略コ字状の溝形鋼により形成されており、その溝部を一階部分の床下空間15に向けて設置されている。床大梁21は、建物10の外周面に沿って水平方向に延びている。
【0020】
床大梁21はスペーサ22を挟んで基礎11の上面に載置されており、基礎11から上方に離間している。スペーサ22は、ゴムなどの材料により形成されており、床大梁21の長手方向に沿って所定間隔で複数設けられている。
【0021】
床大梁21は外壁24を支持しており、外壁24は外壁パネル25を含んで構成されている。外壁パネル25は、外壁の屋外面を形成する外壁面材26と、外壁面材の裏面側(屋内面側)に取り付けられた外壁フレーム27とを有している。外壁面材26は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。外壁フレーム27は、断面略コ字状の軽量鉄骨材により形成されており、外壁面材26に沿って上下方向や左右方向に延びるように配置されている。外壁フレーム27は、外壁面材26の下端部に沿って延びる下フレーム材27aを有しており、その下フレーム材27aは、床大梁21に対して固定されている。
【0022】
外壁24の下方には、外壁24と基礎11との隙間に雨水等が浸入することを防止する水切部材31が設けられている。水切部材31は、アルミニウム等の金属材料により形成されており、その水切部材31は外壁24の下端や床大梁21に沿って延びるように配置されている。
【0023】
水切部材31は、外壁パネル25の下端部に固定された固定部32と、その固定部32から下方に延びる水切板部33と、水切板部33の下端部に設けられた鼠返し板部34とを有している。ここで、外壁パネル25においては、下フレーム材27aの一部が外壁面材26の下端部よりも下方にはみ出しており、そのはみ出した部分に水切部材31の固定部32がビス等の締結手段35により固定されている。
【0024】
水切板部33は、基礎11の上端部よりも下方において地表面(GL)に向けて基礎11の外側面と平行に延びており、その外側面から屋外側に離間した状態で同外側面と対向している。水切板部33は、その下端部が地表面に接触しない程度に近接する位置まで延びており、基礎11の外側面を覆い隠す基礎幕板としての役割を果たしている。
【0025】
鼠返し板部34は、水切板部33の下端部から基礎11側の斜め上方に向けて延びている。なお、鼠返し板部34の基礎側端部と基礎11とは離間しているとともに、鼠返し板部34には、通気用のスリットが複数設けられている。
【0026】
水切部材31においては、水切板部33が基礎11の外側面に固定されている。具体的には、水切板部33の内側面(基礎11に対向する対向面)には、基礎11の外側面に向けて延びるブラケット41が設けられており、基礎11の外側面(水切板部33に対向する対向面)には、ブラケット41が嵌合するブラケット受け部42が設けられている。ブラケット41及びブラケット受け部42は、基礎11の外側面と水切板部33の内側面との間の隙間部分に収納された状態で、水切板部33を基礎11に対して固定するものである。なお、ブラケット受け部42が基礎11側の第1部材に相当し、ブラケット41が水切板部33側の第2部材に相当する。
【0027】
ブラケット受け部42は、基礎11の上下両端部の略中央に配置されており、ブラケット41はブラケット受け部42に合わせた高さ位置に配置されている。この場合、上下方向において水切板部33と基礎11とはほぼ同じ長さ寸法を有しているため、水切板部33は上下方向のほぼ中央がブラケット41及びブラケット受け部42により支持されていることになる。
【0028】
ブラケット41は外壁24に向けて突出した凸部43を有し、ブラケット受け部42は水切板部33とは反対側に向けて凹んだ凹部44を有している。ここで、ブラケット41及びブラケット受け部42は合成樹脂材料などの弾性材料により形成されており、少なくとも一方の弾性変形に伴って凸部43が凹部44に押し込まれることにより、凸部43が凹部44に嵌合する。つまり、水切板部33が基礎11に向けて押圧されることでブラケット41とブラケット受け部42とが互いに結合されている。凹部44の開放端は、凸部43とほぼ同じ大きさ及び形状であるが、凸部43よりも僅かに小さく形成されている。これにより、凸部43が凹部44に嵌合する構成が実現されている。
【0029】
なお、ブラケット41の凸部43には、凸部43の突出方向に略直交する方向に向けて突出した係止部43aが設けられ、ブラケット受け部42の凹部44には係止部43aに係止する被係止部44aが設けられている。凸部43が凹部44に嵌合した場合には、それら係止部43aと被係止部44aとが係止状態となることで凸部43と凹部44との結合状態が解除されにくくなる。なお、凸部43の係止部43aを、凸部43から上方に向けて屈曲するように延出した延出部と称し、凹部44の被係止部44aを、凹部44の周面から下方に向けて屈曲するように延出した延出部と称した場合、これら延出部同士が互いに係止することになる。
【0030】
本実施形態では、基礎11が地上において各々分割された複数の基礎部51からなっている。ここでは、基礎11の構成について図2を参照しつつ説明する。図2は基礎11及び水切部材31の配置を説明するための図であり、(a)に基礎11及び水切部材31の概略平面図を示し、(b)に(a)における基礎部51周辺の拡大図を示す。
【0031】
図2(a)に示すように、複数の基礎部51は、建物10の外周面に沿って所定間隔で並べて設けられている。基礎部51は、プレキャストコンクリート部材などにより形成された基礎ブロックが地上面に載置されたものであり、基礎部51の載置部分は例えば砕石が敷き詰められた砕石層とされている。各基礎部51は互いに離間しており、それぞれ独立した構造とされている。なお、本実施形態の基礎11は簡易式の基礎構造とされており、仮設住宅等の仮設建物に適したものとなっている。
【0032】
水切部材31は、建物10の外周面に沿って複数並べて設けられており、各水切部材31は隣り合う基礎部51に架け渡された状態となっている。この場合、水切部材31は基礎11全体の周囲を囲んでおり、基礎部51の側面に加えて基礎部51同士の離間部分を覆い隠している。水切部材31においては、隣り合う基礎部51のそれぞれに対して水切板部33がブラケット41及びブラケット受け部42を介して固定されている。ここで、基礎部51には、隣り合う水切部材31のそれぞれに対応させてブラケット受け部42が個別に設けられている。これにより、各水切部材31は各基礎部51のそれぞれに対してしっかりと固定されている。なお、水切部材31の固定部32は、基礎部51の設置部分についてはもちろんのこと、基礎部51同士の離間部分についても外壁パネル25の下端部に対して固定されている。
【0033】
図2(b)に示すように、隣り合う水切部材31は、互いの一側端を突き合せた状態で配置されており、その突き合せ部分においてジョイナ部材55により連結されている。ジョイナ部材55は、隣り合う水切部材31の内側(基礎11側)においてそれら水切部材31に架け渡された状態で設けられている。これにより、隣り合う水切部材31の隙間が大きくなることを抑制できる。
【0034】
建物10においては、基礎11が床下空間15の屋外側に配置されているが、床下空間15と屋外空間との間で通気が可能な構成とされている。詳しくは、基礎11と床大梁21との隙間、基礎11と水切板部33との隙間を通じて通気可能となっているとともに、隣り合う基礎部51の離間部分を通じて通気可能となっている。ちなみに、基礎11と床大梁21との隙間においては、隣り合うスペーサ22の離間部分が通気部となっており、基礎11と水切板部33との隙間においては、隣り合うブラケット41の離間部分及び隣り合うブラケット受け部42の離間部分が通気部となっている。また、水切板部33の下端部は地表面に近接しているものの地表面から離間しているため、水切板部33の下端部と地表面との隙間部分を通じて床下空間15の通気が可能となっている。なお、鼠返し板部34は通気用のスリットを有するなどしており、通気を遮断するものではない。
【0035】
ここで、水切部材31の取り付け手順について簡単に説明する。まず、水切部材31の取り付け位置に合わせて、基礎11にブラケット受け部42を取り付けるとともに水切部材31にブラケット41を取り付ける。そして、水切部材31を隣り合う基礎部51に架け渡した状態で、ブラケット受け部42の凹部44に対するブラケット41の凸部の位置合わせを行いつつ水切部材31を各基礎部51に押し付け、ブラケット41をブラケット受け部42に嵌合させる。その後、水切部材31の固定部32を外壁フレーム27に対してビス固定する。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0037】
水切部材31においては、水切板部33がブラケット41及びブラケット受け部42を介して基礎11に固定される。このため、水切板部33が、基礎11の側面に沿って地表面に向けて延びる長さを有していても、水切部材31の固定をしっかりとしたものにできる。したがって、風などにより外力が加えられても水切部材31が変形したり破損したりすることを抑制できる。
【0038】
また、基礎11の屋外側においてブラケット41及びブラケット受け部42が水切板部33により覆い隠されているため、それらブラケット41及びブラケット受け部42が露出して建物10の外観が損なわれるということを回避できる。さらに、ブラケット41及びブラケット受け部42が水切板部33の背後に隠されていても、ブラケット41とブラケット受け部42とを結合させるという容易な作業により水切板部33を固定できる。
【0039】
以上により、水切部材31の取り付け作業を容易化でき、しかも、水切部材31により建物の見栄えが損なわれることを抑制できる。
【0040】
水切板部33と基礎11との間の隙間部分にブラケット41及びブラケット受け部42が収納されているため、その隙間部分においては均等な幅の空間を確保できる。この場合、外壁24や基礎11に対する水切板部33の出寸法を均一とし、建物外観としての見栄えの向上を実現できる。しかも、水切板部33が基礎11の側面に対して大きくオーバーラップする構成であっても、水切板部33と基礎11との間において通気部としての隙間を確保し、床下空間15に対する通気性能を良好にできる。
【0041】
ブラケット41がブラケット受け部42に嵌合可能とされているため、水切板部33を基礎11に向けて押し付けるという容易な作業により、ブラケット41とブラケット受け部42とを結合させることができる。また、ブラケット41とブラケット受け部42とを結合させた後に、水切部材31の固定部32を外壁パネル25の下端部に固定すればよいため、水切部材31を片手で位置保持しながら固定部32の固定作業を行うという必要がなく、水切部材31の取り付け作業が煩雑になることを抑制できる。
【0042】
しかも、水切部材31を取り外す際には、水切板部33を基礎部51から遠ざけるように移動させるという容易な作業によりブラケット41とブラケット受け部42との嵌合状態を解除できる。これにより、水切部材31のメンテナンス作業や基礎11の点検作業を容易に行うことができる。
【0043】
建物10の外周面に沿って配置された複数の基礎部51により基礎11が構成されているため、基礎11の構築に際してコスト負担や作業負担を低減できる。その一方で、基礎部51同士の離間部分により基礎11全体の見栄えが損なわれるおそれがあるが、幕板としての役割を果たすことのできる水切部材31により基礎部51同士の離間部分が覆い隠されているため、基礎部51同士の離間部分により建物10の見栄えが損なわれることを抑制できる。
【0044】
水切部材31が基礎幕板としての機能を有しているため、雨等の跳ね返しにより土や汚水が基礎11の外側面に付着することを阻止できる。また、水切部材31においては水切りと幕板とが一体化されたものであるため、それら水切りと幕板との境目がなく、ディテールを簡素化でき、見栄えを向上させることができる。
【0045】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0046】
(1)水切部材31が基礎11に対して水平方向にスライド移動可能な構成とされていてもよい。例えば、上記実施形態では、ブラケット41の凸部43とブラケット受け部42の凹部44とがほぼ同じ大きさ及び形状とされていたが、図3に示すように、凹部44の横幅寸法が凸部43の横幅寸法よりも大きい構成とする。この構成では、凸部43を、凹部44に嵌合した状態でその凹部44に沿ってスライド移動させることが可能となっている。つまり、ブラケット41とブラケット受け部42とが結合した状態でも、水切部材31を基礎11の外側面に沿って移動させることにより、水平方向について水切部材31の位置調整を容易に実施できる。
【0047】
また、水切部材31にブラケット41を取り付けるとともに、基礎11にブラケット受け部42を取り付ける際に、それらブラケット41及びブラケット受け部42の高さ方向さえ合っていれば、左右横方向の位置合わせは多少ずれていても、ブラケット41及びブラケット受け部42にて調整することができる。このため、水切部材31及び基礎11にブラケット41及びブラケット受け部42を取り付ける作業を容易化できる。
【0048】
上記構成では、ブラケット受け部42において、両側端のうち一方は凹部44を側方に開放した開放端とされており、他方は開放していない閉鎖端とされている。開放端においては、凸部43がブラケット受け部42の側方に離脱することが可能となっている。このため、水切部材31を基礎11から引き離すように力を加えなくても、単にスライド移動させるという力を必要としない作業により、容易にブラケット41とブラケット受け部42とを嵌合及び嵌合解除することができる。一方、閉鎖端においては、凸部43がブラケット受け部42の側方に離脱することが阻止されるとともに、凸部43の位置決めがなされる。このため、水平方向における水切部材31の位置調整を容易化できる。
【0049】
なお、ブラケット受け部42においては、両側端の両方が閉鎖端とされていてもよく、開放端とされていてもよい。ちなみに、少なくとも一方の側端が開放端とされている場合、ブラケット41の凸部43及びブラケット受け部42の凹部44の各横幅寸法がほぼ同じ大きさとされていても、凸部43を凹部44に沿ってスライド移動させることができる。つまり、水切部材31を基礎11に対してスライド移動させることができる。なお、ブラケット受け部42が開放端を有していれば、ブラケット41及びブラケット受け部42が弾性変形しない構成とされていても、凸部43のスライド移動によりブラケット41及びブラケット受け部42の結合及び解除が可能となる。
【0050】
また、ブラケット受け部42の凹部44は、水平方向に対して交差する方向に延びていてもよい。つまり、水切板部33は、水平方向に対して交差する方向にスライド移動可能な構成とされていてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、ブラケット41に凸部43が設けられ、ブラケット受け部42に凹部44が設けられているが、ブラケット41及びブラケット受け部42のうち一方に凸部43が設けられ、他方に凹部44が設けられていればよい。要は、第1部材及び第2部材のうち一方が凸部43を有し、他方が凹部44を有する構成であればよい。
【0052】
(3)ブラケット41が基礎11に取り付けられ、ブラケット受け部42が水切部材31に取り付けられていてもよい。この場合、ブラケット41が第1部材に相当し、ブラケット受け部42が第2部材に相当することになる。
【0053】
(4)水切部材31は、外壁パネル25の外壁フレーム27ではなく、外壁面材26の下端部や床大梁21などに取り付けられていてもよい。また、例えば、木製角材などからなる土台が基礎11の上方に設けられている構成においては、水切部材31が土台に取り付けられていてもよい。要は、水切部材31は一階部分の外壁24の下方に設けられていればよい。
【0054】
(5)第1部材としてのブラケット受け部42は、基礎部51の上端寄りに配置されていてもよく、下端寄りに配置されていてもよい。この場合、第2部材としてのブラケット41は、水切板部33においてブラケット受け部42に合わせた高さ位置に配置されることが好ましい。
【0055】
(6)第1部材としてのブラケット受け部42は、上下方向に複数並べて設けられていてもよい。この場合、複数のブラケット受け部42の中からブラケット41の結合相手を選択することにより、水切部材31の取り付け高さを設定できる。また、第2部材としてのブラケット41が、ブラケット受け部42に対応させて上下方向に複数並べて設けられていれば、水切部材31を基礎11に対して強固に固定できる。
【0056】
(7)水切部材31において、水切板部33の上下方向における長さ寸法は、少なくとも下端部が基礎11の側方に配置される大きさであればよい。つまり、水切板部33の下端部は、基礎11の側方において基礎上端寄り、略中央、下端寄りのいずれにあってもよい。
【0057】
(8)基礎11は、建物10の外周部に沿って延びる連続基礎とされていてもよい。この場合、第1部材及び第2部材が、建物10の外周部に沿う基礎周方向において、各々離間させた位置に複数設ける構成とすることが好ましい。これにより、基礎11が連続基礎とされていても、水切板部33と基礎11との隙間において、第1部材同士の離間部分及び第2部材同士の離間部分を通じて床下空間15の通気性を確保できる。なお、連続基礎としては、地中に埋設されたフーチング部とそのフーチング部から上方に延びる立ち上がり部とを有する布基礎が挙げられる。
【0058】
(9)基礎11は少なくとも一部が地中に埋設されていてもよい。例えば、複数の基礎部51が地上において各々分割されていれば、それら基礎部51を連結する連結部が地中に埋設されていてもよい。
【0059】
(10)水切部材31は、建物10の外周面のうち少なくとも一部に設けられていればよい。例えば、少なくとも建物正面(ファサード)や、玄関付近、庭に直面する位置に水切部材31が設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0060】
10…壁体、11…基礎、24…外壁、31…水切部材、32…固定部、33…水切板部、41…第2部材としてのブラケット、42…第1部材としてのブラケット受け部、43…凸部、44…凹部、51…基礎部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上に据え付けられた建物においてその一階部分の外壁の下方に水切部材が設けられてなる建物の水切構造であって、
前記水切部材は、前記外壁の下方において前記建物に固定される固定部と、該固定部から下方に延び前記基礎の外側面に対向する水切板部とを有し、
前記基礎の外側面と前記水切部材の水切板部の内側面との間の隙間部分において、前記基礎には前記水切板部に向けて延びる第1部材が設けられ、前記水切板部には前記基礎の外側面に向けて延びる第2部材が設けられており、
前記第1部材と前記第2部材とが互いに結合されることにより、前記基礎に前記水切板部が支持されていることを特徴とする建物の水切構造。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材は、一方が凸部を有し、他方が凹部を有し、これら凸部及び凹部の嵌合により互いに結合可能となっており、
前記基礎の外側面に対する方向への前記水切板部の押し込みにより、前記水切板部が前記基礎に対して固定される請求項1に記載の建物の水切構造。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第1部材に対して水平方向にスライド移動可能である請求項1又は2に記載の建物の水切構造。
【請求項4】
前記基礎は、少なくとも地上において各々分割された複数の基礎部からなり、それら各基礎部が、前記建物の外周部となる位置に沿って互いに離間した状態で配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物の水切構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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