説明

建物付設物

【課題】施工性が良好で、意匠性向上を図ることでき、基礎柱内への雨水浸入を防止できる建物付設物を提供する。
【解決手段】建物付設物11は、建物に水平状に突設した床体12と、床体12を支持する筒状の複数本の基礎柱13とを備える。建物付設物11は、長手方向寸法が基礎柱13間の離間距離より長い長手状の笠木16と、各基礎柱13の上端部に連結し笠木16の長手方向中間部の下面を上端面にて支持する筒状の延長柱18とを備える。基礎柱13の上端部と延長柱18の下端部との間には、基礎柱13内への雨水浸入を防止する雨水浸入防止体32を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工性が良好で、意匠性の向上を図ることができる建物付設物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば図5に示す屋外鉄骨階段廊下ユニット等の建物付設物1が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
この建物付設物1は、コンクリート製のベース部(図示せず)に立設され互いに離間して位置する筒状の少なくとも2本の柱2と、柱2の中間部にて支持され集合住宅等の建物の2階の高さに位置する床体3と、柱2の上端部にて支持され長手方向寸法が両柱2間の離間距離と等しい水平方向長手状の笠木4と、両柱2間に位置する格子状のパネル体5とを備えている。
【非特許文献1】「段十廊II 屋外鉄骨階段廊下ユニット」、文化シヤッター株式会社、2005年7月、p.19〜20
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の建物付設物1では、例えば製造誤差によって笠木4の長手方向寸法が両柱2間の離間距離よりも長くなっていると、笠木4を両柱2間に通すことができないため、施工現場でその製造誤差の分だけ笠木4を加工して短くしなければならず、施工に手間取ることとなり、また一方では、意匠性向上の要求もある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、施工性が良好で、意匠性の向上を図ることができる建物付設物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の建物付設物は、床体と、互いに離間して位置し、前記床体を支持する筒状の少なくとも2本の基礎柱と、長手方向寸法が前記基礎柱間の離間距離より長い長手状の笠木と、前記基礎柱の上端部に連結され、前記笠木の長手方向中間部の下面を上端面にて支持する筒状の延長柱と、下部が前記基礎柱の上端部内に挿入されてこの上端部に取り付けられ、上部が前記延長柱の下端部内に挿入されてこの下端部に取り付けられ、前記基礎柱と前記延長柱とを連結する柱連結体と、前記基礎柱の上端部と前記延長柱の下端部との間に配設され、前記基礎柱内への雨水浸入を防止する雨水浸入防止体とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の建物付設物は、請求項1記載の建物付設物において、雨水浸入防止体は、下面に基礎柱の上端面が当接し、上面に延長柱の下端面が当接する環状板部と、この環状板部の外周端部から下方に向って突出し、前記基礎柱の上端部外周面を覆う筒状の下方突出部と、前記環状板部の内周端部から上方に向って突出し、前記延長柱の下端部内周面を覆う筒状の上方突出部とを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、柱連結体を用いて基礎柱と延長柱とを容易に連結できるばかりでなく、笠木を両延長柱間に通す必要がないため、施工性が良好であり、また、例えば笠木の材質と延長柱の材質とを同じにすること等によって意匠性の向上を図ることができ、しかも、雨水浸入防止体にて基礎柱内への雨水浸入を防止できる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、雨水浸入防止体は、下面に基礎柱の上端面が当接し上面に延長柱の下端面が当接する環状板部と、基礎柱の上端部外周面を覆う筒状の下方突出部と、延長柱の下端部内周面を覆う筒状の上方突出部とを有するため、この雨水浸入防止体にて基礎柱内への雨水浸入を適切に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の建物付設物の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図中、11は建物付設物で、この建物付設物11は、例えば戸建住宅や集合住宅等の建物(図示せず)に付設された屋外鉄骨階段廊下ユニットである。
【0012】
建物付設物11は、図1ないし図4に示されるように、図示しない建物の外壁の所定高さ位置、すなわち例えば建物の2階の床と略同じ高さ位置に水平状に突設されその建物の外壁に沿った水平方向に長手方向を有する長手状の床体12と、この床体12の外壁側とは反対側の長手方向に沿った端部を支持する複数本(例えば2〜10本)の筒状の基礎柱(鉄骨柱)13とを備えている。
【0013】
床体12は、例えば打付材、妻梁、根太材、ブレス材、桁材14および床材15等にて構成されている。そして、床体12の外壁側とは反対側の長手方向に沿った端部が床材15を支持する桁材14にて構成され、この桁材14が基礎柱13の上端部に取り付けられている。つまり、床体12の桁材14が基礎柱13にて支持されている
基礎柱13は、建物の1階のコンクリート製のベース部(図示せず)に立設され、これら立設された複数の基礎柱13は互いに等間隔をおいて離間して位置している。基礎柱13は、例えばスチール製またはアルミニウム製で、上下面開口状の4角筒状に形成されている。
【0014】
また、建物付設物11は、長手方向寸法が互いに隣り合う両基礎柱13間の離間距離Lより長い水平方向長手状で、床体12の床材15上を歩く人が使用する1本の手摺笠木である笠木16と、各基礎柱13の上端部にそれぞれ連結され笠木16の長手方向中間部の下面を上端面にて支持する複数本(基礎柱13と同数)の筒状の延長柱18とを備えている。
【0015】
笠木16は、例えばアルミニウム製またはスチール製で、長手方向寸法が床体12の長手方向寸法と略同じ4角筒状、円筒状、楕円筒状等に形成されている。
【0016】
延長柱18は、例えば笠木16と同じ材質のアルミニウム製で、上下面開口状の例えば4角筒状または円筒状に形成されている。なお、延長柱18の外形寸法は、笠木16の外形寸法と同じであり、基礎柱13の外形寸法よりも1回り小さい。そして、互いに隣り合う延長柱18間には、例えばアルミニウム製またはスチール製、合成樹脂製の格子状のパネル体21が配設されている。
【0017】
パネル体21は、上端部が笠木16に取り付けられ下端部が桁材14に取り付けられたアルミニウム製またはスチール製の間柱22と、この間柱22の両側方に並んで位置し上端部が笠木16に取り付けられたアルミニウム製またはスチール製の複数本の縦格子23と、一端部が間柱22に取り付けられ他端部が延長柱18に取り付けられ上面には縦格子23の下端部が取り付けられたアルミニウム製またはスチール製の複数本の横胴縁24とを有している。
【0018】
なお、パネル体21は、アクリル樹脂板、ポリカーボネイト樹脂板、パンチングメタル板、アルミニウムと樹脂の複合板等の板状のものでもよい。
【0019】
さらに、建物付設物11は、図3および図4に示すように、基礎柱13の上端部と延長柱18の下端部とを連結するスチール製またはアルミニウム製の柱連結体(ブラケット)31と、基礎柱13の上端部と延長柱18の下端部との間に配設され外部からの基礎柱13内への雨水浸入を防止する筒状の樹脂製またはアルミニウム合金鋳物製の雨水浸入防止体(キャップ)32とを備えている。
【0020】
柱連結体31は、基礎柱13の上端部内に嵌合挿入されてこの基礎柱13の上端部に溶接等により取り付けられた下部取付部34と、この下部取付部34に一体に設けられ延長柱18の下端部内に遊嵌挿入されてこの延長柱18の下端部に取付具であるボルト33等により取り付けられた上部取付部35とを有している。
【0021】
下部取付部34は、互いに離間対向する鉛直状で矩形状の一対の対向板36を有し、両対向板36の上下方向に沿った端部同士が鉛直状で矩形状の連結板37にて連結され、両対向板36の上端部同士が水平状で矩形状の上板38にて連結されている。この上板38の上面は、基礎柱13の上端面と同一面上に位置している。
【0022】
上部取付部35は、下部取付部34の上板38に一体に立設され互いに離間対向する鉛直状で矩形状の一対の対向板39を有し、両対向板39の上下方向に沿った端部同士が鉛直状で矩形状の連結板40にて連結されている。各対向板39にはボルト挿入用孔41が形成されている。なお、延長柱18の下端部における上部取付部35のボルト挿入用孔41と対応する位置にボルト挿入用孔42が形成されている。
【0023】
雨水浸入防止体32は、下面に基礎柱13の上端面および下部取付部34の上板38の上面が当接し、上面に延長柱18の下端面が当接する水平状で矩形環状の環状板部44を有している。つまり、基礎柱13の上端面と延長柱18の下端面とにて環状板部44が挟持されている。
【0024】
環状板部44の外周端部からは、基礎柱13の上端部外周面に接触してこの上端部外周面を覆う4角筒状の水切部である下方突出部45が下方に向って一体に突出している。
【0025】
また、環状板部44の内周端部からは、延長柱18の下端部内周面および上部取付部35の下端部外面と接触して延長柱18の下端部内周面を覆う4角筒状の上方突出部46が下方に向って一体に突出している。つまり、上方突出部46の内周側に柱連結体31の上部取付部35が嵌合挿入され、延長柱18の下端部内周面と上部取付部35の下端部外面とにて上方突出部46が挟持されている。そして、この上方突出部46があるため、延長柱18の下端面と環状板部44との間のわずかな隙間から雨水が浸入しても、スチール製の基礎柱13内に流れ込むことはない。
【0026】
なお、図示しないが、建物付設物11は床体12に接続された階段部を備えている。
【0027】
次に、上記建物付設物11の作用等を説明する。
【0028】
建物付設物11を現場で施工する場合、まず、床体12の打付材、妻梁および根太材を取り付けた後、基礎柱13をコンクリート製のベース部に立設する。
【0029】
なお、予め工場で、柱連結体31の下部取付部34を基礎柱13の上端部内周面に溶接等により取り付けておく。また、予め工場で、笠木16、延長柱18およびパネル体21を組み合わせて笠木付きパネルユニット(廊下用アルミ手摺)50にしておく。
【0030】
次いで、床体12の桁材14を基礎柱13に取り付けてから、床体12のブレス材の取り付け、床体12の根太材の桁材側端部の取り付け、床体12の床材15の取り付け、階段部のササラ桁、ターンバックルおよび階段踏板の取り付け等を行なう。
【0031】
その後、雨水浸入防止体32の上方突出部46を柱連結体31の上部取付部35の外周側に嵌め込むとともに、環状板部44を基礎柱13の上端面および下部取付部34のの上板38の上面上に載置し、かつ、下方突出部45を基礎柱13の上端部外周側に嵌め込む。
【0032】
次いで、笠木付きパネルユニット50の延長柱18の下端部内に、基礎柱13の上端面から突出した柱連結体31の上部取付部35および雨水浸入防止体32の上方突出部46を差し込んで、延長柱18の下端面を雨水浸入防止体32の環状板部44上に載置し、その後、ボルト33を用いて延長柱18の下端部に柱連結体31の上部取付部35を取り付ける。また、階段部の笠木付きパネルユニット50(階段用アルミ手摺)の取り付け等を行い、建物付設物11の施工作業を完了する。
【0033】
そして、このような建物付設物11によれば、柱連結体31を用いて基礎柱13と延長柱18とを容易に連結できるばかりでなく、笠木16を互いに隣り合う両延長柱18間に通す必要がないため、施工性が良好であり、また、例えば笠木16の材質と延長柱18の材質とを同じアルミニウムにすることや1本の笠木16を用いること等によって意匠性の向上を図ることができる。
【0034】
しかも、環状板部44、下方突出部45および上方突出部46を有する雨水浸入防止体32によって、基礎柱13内に雨水が浸入することを適切に防止できるため、基礎柱13の錆等を抑制でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0035】
なお、予め工場で笠木16、延長柱18およびパネル体21を組み合わせて笠木付きパネルユニット50を構成した場合について説明したが、例えば施工現場で笠木16、延長柱18およびパネル体21を適宜取り付けるようにしてもよい。
【0036】
また、例えば施工現場で、柱連結体31の下部取付部34を基礎柱13の上端部内周面にボルト等の取付具で取り付けるようにしてもよい。
【0037】
さらに、建物付設物11は、例えば階段部を有しないバルコニーやベランダ等でもよく、また基礎柱13の本数は床体12の長さに応じて決まり、互いに離間して位置する少なくとも2本あればよい。
【0038】
また、床体13の桁材14の上方に位置する笠木16は、1本ものが好ましいが、複数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態に係る建物付設物の部分正面図である。
【図2】同上建物付設物の部分平面図である。
【図3】同上建物付設物の柱連結部分の断面図である。
【図4】同上建物付設物の柱連結体および雨水浸入防止体の斜視図である。
【図5】従来の建物付設物の部分正面図である。
【符号の説明】
【0040】
11 建物付設物
12 床体
13 基礎柱
16 笠木
18 延長柱
31 柱連結体
32 雨水浸入防止体
44 環状板部
45 下方突出部
46 上方突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床体と、
互いに離間して位置し、前記床体を支持する筒状の少なくとも2本の基礎柱と、
長手方向寸法が前記基礎柱間の離間距離より長い長手状の笠木と、
前記基礎柱の上端部に連結され、前記笠木の長手方向中間部の下面を上端面にて支持する筒状の延長柱と、
下部が前記基礎柱の上端部内に挿入されてこの上端部に取り付けられ、上部が前記延長柱の下端部内に挿入されてこの下端部に取り付けられ、前記基礎柱と前記延長柱とを連結する柱連結体と、
前記基礎柱の上端部と前記延長柱の下端部との間に配設され、前記基礎柱内への雨水浸入を防止する雨水浸入防止体と
を備えることを特徴とする建物付設物。
【請求項2】
雨水浸入防止体は、
下面に基礎柱の上端面が当接し、上面に延長柱の下端面が当接する環状板部と、
この環状板部の外周端部から下方に向って突出し、前記基礎柱の上端部外周面を覆う筒状の下方突出部と、
前記環状板部の内周端部から上方に向って突出し、前記延長柱の下端部内周面を覆う筒状の上方突出部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の建物付設物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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