説明

建物管理システム及び建物管理方法

【課題】ユーザが建物内に入る前のコンディション等に関する情報を収集すると共に、当該情報に基づき建物内におけるユーザの快適性を向上させる。
【解決手段】建物管理システム1において、携帯端末10は、建物内に入るまでのユーザの行動履歴、建物内に入る前の時点でユーザが居た環境、及び、ユーザが建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報を取得し、取得した情報を記憶し、記憶された情報を読み込んで送信する。情報処理機器20は、送信された情報を、通信経路を通じて受信する。通信経路が形成されると、携帯端末10の送信部が情報を送信し、かつ、情報処理機器20の受信部が当該情報を受信し、当該受信部が情報を受信すると、その情報に基づいて情報処理機器20の設備制御部が建物内の設備の運転又は状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物管理システム及び建物管理方法に係り、特に、ユーザが携帯する携帯端末と、該携帯端末と通信する情報処理機器と、携帯端末と情報処理機器との通信経路を形成するための通信経路形成部と、を用いた建物管理システム及び建物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが携帯する携帯端末と、建物管理用の情報処理機器とが通信することにより、当該建物を管理する建物管理システムは既に知られている。このシステムの中には、人体を情報伝送媒体として用いるものも存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシステムでは、情報に応じた電界をユーザの身体を介して伝達している。また、同システムでは、ユーザが携帯する情報端末から送信されるID情報に基づいてユーザ認証をすると共に、IDを持つユーザとIDを持たないユーザとを識別してユーザ毎に的確なサービスを提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−92162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、建物内におけるユーザの快適性を向上させるために、ユーザに関する情報を積極的に収集して当該情報を建物の管理に活かすことが可能なシステムの実現が求められている。一方、情報収集の際には、ユーザの手を煩わせず、簡便な手順により情報を収集できることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが建物内に入る前のコンディション等に関する情報を収集すると共に、当該情報に基づき建物内におけるユーザの快適性を向上させることが可能な建物管理システム、及び、建物管理方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の建物管理システムによれば、(A)ユーザが携帯する携帯端末と、(B)該携帯端末と通信する情報処理機器と、(C)前記携帯端末と前記情報処理機器との通信経路を形成するための通信経路形成部と、を有し、(D)前記携帯端末は、(d1)建物内に入るまでの前記ユーザの行動履歴、前記建物内に入る前の時点で前記ユーザが居た環境、及び、前記ユーザが前記建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報を取得する取得部と、(d2)該取得部が取得した前記情報を記憶する記憶部と、(d3)前記記憶部に記憶された前記情報を読み込んで送信する送信部と、を備え、(E)前記情報処理機器は、(e1)前記送信部が送信した前記情報を前記通信経路を通じて受信する受信部と、(e2)前記建物内に設けられた設備を制御するための設備制御部と、を備え、(F)前記通信経路形成部は、前記建物内に入る際又は前記建物内に居る期間中に前記ユーザが日常的に行う生活動作を受け付けると前記通信経路を形成し、(G)前記通信経路が形成されると、前記送信部が前記情報を送信し、かつ、前記受信部が前記情報を受信し、(H)前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部が前記情報に基づいて前記設備の運転又は状態を制御することにより解決される。
かかる建物管理システムによれば、建物内に入るまでのユーザの行動履歴、建物内に入る前の時点でユーザが居た環境、及び、ユーザが建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報をユーザから取得する。これらの情報は、建物外に居た時点でのユーザに関する情報であり、当該情報を建物内の設備の制御に活用することにより、建物内における居心地やユーザの健康状態を管理することが可能になる。この結果、建物内におけるユーザの快適性が向上することになる。特に、ユーザから収集する情報は、外出中のユーザの行動履歴、帰宅前の時点でユーザが居た環境、及び、帰宅時刻のうち、少なくとも1つに関する内容であるので、帰宅時のユーザのコンディションや環境及び時刻に応じて最適な住宅空間となるように住宅内の設備を制御することが可能になる。
さらに、上記の情報の送受信は、日常的にユーザによって行われる生活動作が通信経路形成部にて受け付けられると自動的に実行される。つまり、建物内におけるユーザの快適性を向上させるのに有用な情報を、ユーザから積極的に、かつ、簡便に収集することが可能となる。
【0007】
また、上記の建物管理システムにおいて、前記情報処理機器は、前記ユーザを電界伝達媒体として前記携帯端末と電界通信し、前記送信部は、前記情報を送信するために、前記情報に応じた電界を前記ユーザに誘起させ、前記通信経路形成部は、前記ユーザに誘起された前記電界を検出し、検出結果に応じた信号を出力するセンサを有し、前記受信部は、前記センサからの前記信号を受信することにより前記情報を受信することとしてもよい。
かかる構成であれば、より簡便にユーザから情報を収集することが可能になる。
【0008】
具体的に説明すると、前記建物は、前記ユーザが居住する住宅であり、前記送信部は、前記電界を前記ユーザに誘起させるための第1の電極を備え、前記通信経路形成部は、前記第1の電極と対をなす第2の電極を備え、該第2の電極は、前記住宅のドアに取り付けられ、前記ユーザが前記生活動作として前記ドアを開くための操作を行うと、前記第1の電極が前記第2の電極と協働して前記電界を前記ユーザに誘起させ、前記センサが前記ユーザに誘起された前記電界を検出し、検出結果に応じた前記信号を出力する構成が望ましい。
かかる構成であれば、ユーザがドアを開く際に情報の送受信が実行され、ユーザからの情報収集がより簡便なものとなる。
【0009】
また、上記の建物管理システムにおいて、前記記憶部は、前記取得部が取得した前記情報と、前記ユーザを識別するための識別情報とを記憶し、前記ユーザが前記ドアを開くための操作を行うと、前記送信部が、前記情報と共に前記識別情報を送信するために、前記情報及び前記識別情報に応じた前記電界を前記ユーザに誘起させ、前記受信部は、前記センサからの前記信号を受信することにより前記情報及び前記識別情報を受信し、前記識別情報に基づいて前記ユーザが前記住宅の住居者であるか否かを識別する識別部が前記情報処理機器に備えられ、前記ユーザが前記居住者であると前記識別部が識別すると、前記設備制御部は、施錠状態にある前記ドアを開錠するとともに、前記情報に基づいて前記設備の運転又は状態を制御することとしてもよい。
かかる構成であれば、ドアを開くための操作に伴って、ユーザからの情報収集と、ドアの開錠と、住宅内の設備の制御が一斉に行われる結果、ユーザにとって利便性が更に向上することになる。
【0010】
また、上記の建物管理システムにおいて、前記送信部が、前記行動履歴に関する前記情報として、前記ユーザが前記住宅を出てから帰宅するまでの間の歩数を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記歩数に基づいて、前記設備としての風呂用給湯設備の運転を制御することとしてもよい。
あるいは、上記の建物管理システムにおいて、前記送信部が、前記環境に関する前記情報として、前記ユーザが帰宅する際の外気温を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記外気温に基づいて、前記設備としての空調設備の運転を制御することとしてもよい。
あるいは、上記の建物管理システムにおいて、前記送信部が、前記時刻に関する前記情報として、前記ユーザが帰宅する際の帰宅時刻を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記帰宅時刻に基づいて、前記設備としての照明設備の点灯状態を制御することとしてもよい。
上述した3つの構成のうち、少なくとも1つに該当する構成であれば、帰宅時におけるユーザのコンディションや環境及び時刻に応じて最適な住宅空間となるように住宅内の設備を制御することが可能になる。
【0011】
さらに、前述した課題は、本発明の建物管理方法によれば、ユーザが携帯する携帯端末と、該携帯端末と通信する情報処理機器と、前記携帯端末と前記情報処理機器との通信経路を形成するための通信経路形成部と、を用いた建物管理方法であって、(A)建物内に入るまでの前記ユーザの行動履歴、前記建物内に入る前の時点で前記ユーザが居た環境、及び、前記ユーザが前記建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報を、前記携帯端末に設けられた取得部により取得する取得処理と、(B)該取得処理にて取得された前記情報を、前記携帯端末に設けられた記憶部に記憶させる記憶処理と、(C)該記憶処理にて記憶された前記情報を、前記携帯端末に設けられた送信部により、前記記憶部から読み込んで送信する送信処理と、(D)該送信処理にて送信された前記情報を、前記情報処理機器に設けられた受信部に、前記通信経路を通じて受信させる受信処理と、(E)該受信処理にて受信された前記情報に基づき、前記情報処理機器に設けられた設備制御部に、前記建物内に設けられた設備の運転又は状態を制御させる設備制御処理と、を有し、(F)前記建物内に入る際又は前記建物内に居る期間中に前記ユーザが日常的に行う生活動作を前記通信経路形成部にて受け付けて、前記通信経路形成部に前記通信経路を形成させ、(G)該通信経路が形成されると前記送信処理及び前記受信処理が実行され、(H)該受信処理にて前記受信部が前記情報を受信すると前記設備制御処理が実行されることにより解決される。
かかる方法によれば、上述したように、ユーザが建物内に入る前のコンディションや環境に関する情報を収集すると共に、当該情報に基づき建物内におけるユーザの快適性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建物管理システムによれば、建物内に入るまでのユーザの行動履歴、建物内に入る前の時点でユーザが居た環境、及び、ユーザが建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報をユーザから取得する。これらの情報は、建物外に居た時点でのユーザに関する情報であり、例えばユーザが建物内に入る際に当該情報を収集して建物内の設備の制御に用いることにより、建物内における居心地やユーザの健康状態を管理することが可能になる。この結果、建物内におけるユーザの快適性が向上することになる。特に、ユーザから収集する情報は、外出中のユーザの行動履歴、帰宅前の時点でユーザが居た環境、及び、帰宅時刻のうち、少なくとも1つに関する内容であるので、帰宅時のユーザのコンディションや環境及び時刻に応じて最適な住宅空間となるように住宅内の設備を制御することが可能になる。
さらに、上記の情報の送受信は、日常的にユーザによって行われる生活動作が通信経路形成部によって受け付けられると自動的に実行される。
以上のように、本発明の建物管理システムにより、ユーザが建物内に入る前のコンディションや環境に関する情報を収集すると共に、当該情報に基づき建物内におけるユーザの快適性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る建物管理システム1の構成図である。
【図2】携帯端末10の構成図である。
【図3】ホームサーバ20の構成図である。
【図4】建物管理プロセスの流れを示す図である(その1)。
【図5】建物管理プロセスの流れを示す図である(その2)。
【図6】ユーザがドアノブ操作をすることにより通信経路が形成される状況を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<<本実施形態に係る建物管理システム1について>>
本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る建物管理システム1について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る建物管理システム1の構成図である。図2は、携帯端末10の構成図である。図3は、ホームサーバ20の構成図である。
【0015】
本実施形態に係る建物管理システム1は、その利用者であるユーザから情報を収集し、収集した情報に基づいて、建物内空間の調整等、建物の管理を行うための通信システムである。ここで、建物とは、その内部にユーザが入って生活を営み、あるいは事業や娯楽等の諸活動を行う建物であり、住宅Hやオフィスビル又は工場の建物等であってもよい。以下では、建物の一例して住宅Hを挙げ、住宅Hの内空間を管理するための建物管理システム1について説明する。
【0016】
本実施形態に係る建物管理システム1は、図1に示すように、携帯端末10と、ホームサーバ20と、電極付きセンサユニット(以下、単にセンサユニット30と呼ぶ)を主な構成要素として有する。そして、本実施形態に係る建物管理システム1では、電界通信方式による情報通信が行われ、詳しくは、ユーザを電界伝達媒体とするヒューマンエリア・ネットワークが採用されている。より具体的に説明すると、本実施形態に係る建物管理システム1では、情報を送信するにあたり、当該情報に応じた電界をユーザの身体表面に誘起させ、情報を受信するにあたり、ユーザの身体表面を介して伝達された電界を検出することとしている。以下、建物管理システム1の各構成要素について説明する。
【0017】
<携帯端末10>
携帯端末10は、PDA(Personal Digital Assistant)やウェアラブルコンピュータなど、ユーザが携帯する情報端末であり、建物管理システム1においては情報を送信する送信機として機能する。なお、携帯端末10は、情報を送信する機能の他、情報を受信する機能を備えていてもよい。
本実施形態の携帯端末10は、CPU、メモリ、外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを有しており、携帯端末10が諸機能を発揮するためのプログラムがインストールされている。さらに、本実施形態の携帯端末10には、図1に示すように、第1の電極としての携帯端末側電極11と、絶縁膜12とが備えられている。
【0018】
携帯端末10の構成について機能面から改めて説明すると、図2に示すように、本実施形態に係る携帯端末10には、情報を取得する取得部10a、情報を記憶する記憶部10b、及び、情報を送信する送信部10cが備えられている。なお、携帯端末10の各部は、携帯端末制御部10dを介して互いに接続されている。
【0019】
先ず、本実施形態に係る取得部10aについて説明する。取得部10aは、ユーザに関する情報(以下、ユーザ情報)を取得するものであり、CPUやメモリ、インストールされたアプリケーションプログラム等によって構成される。本実施形態において、取得部10aは、所定期間中のユーザの行動履歴に関する情報、ある時点でユーザが居た環境に関する情報、ユーザがある行動を行った時刻に関する情報をユーザ情報として取得することが可能である。なお、行動履歴とは、ユーザの活動に関する履歴を意味し、例えば、カロリー消費量や歩数などの運動量を示す指標の集計結果、あるいは活動場所や活動内容などの履歴が一例として挙げられる。
【0020】
より具体的に説明すると、取得部10aは、ユーザの行動履歴に関する情報として、ユーザが住宅Hを出てから帰宅するまでの間の歩数を示す情報を取得することが可能である。分かりやすく説明すると、携帯端末10には、いわゆる歩数計の機能が搭載されており、当該機能により、外出中のユーザの歩数がカウントされて、その数を示す情報の生成が行われる。
【0021】
また、取得部10aは、ユーザが居た環境に関する情報として、ユーザが帰宅する際の外気温を示す情報を取得することが可能である。分かりやすく説明すると、携帯端末10には不図示のセンサにより外気温を計測する機能が搭載されており、当該機能により、外気温の計測、及び、計測結果を示す情報の生成が行われる。
【0022】
さらに、取得部10aは、ユーザがある行動を行った時刻に関する情報として、ユーザが帰宅する際の帰宅時刻を示す情報を取得することが可能である。分かりやすく説明すると、携帯端末10には、ユーザが所定の行動を行った際に生じる現象を検知して、その時刻を記憶する機能が搭載されている。このような機能の下で、ユーザが帰宅時に住宅HのドアノブDNを操作してユーザに電界が誘起されると、取得部10aでは、その現象が行われた時刻を帰宅時刻として、当該時刻を示す情報の生成が行われる。
【0023】
次に、本実施形態に係る記憶部10bについて説明する。記憶部10bは、取得部10aが取得したユーザ情報を記憶するものであり、CPU、メモリ、及び外部記憶装置等から構成されている。また、記憶部10bには、ユーザを識別するための識別情報としてのユーザID情報が記憶されている。本実施形態の建物管理システム1では、ユーザが住宅Hに帰宅する際にユーザID情報を用いてユーザ認証が行われる。
【0024】
次に、本実施形態に係る送信部10cについて説明する。送信部10cは、記憶部10bに記憶されたユーザ情報及びユーザID情報を読み込んで、これらの情報を送信する。また、本実施形態に係る送信部10cは、CPU、メモリ、通信用プログラムの他、携帯端末側電極11及び絶縁膜12によって構成される。かかる構成の送信部10cは、上述したように、ユーザ情報やユーザID情報を送信するために、携帯端末側電極11及び絶縁膜12を介して、これらの情報に応じた電界をユーザに誘起させる。
なお、電界を誘起させる上で携帯端末側電極11と対をなす電極(第2の電極)は、住宅HのドアノブDNに取り付けられている。当該電極(第2の電極)については後述する。
【0025】
<ホームサーバ20>
ホームサーバ20は、情報処理機器の一例であり、本実施形態では、住宅H内に設置されたサーバコンピュータである。このホームサーバ20は、建物管理システム1において、携帯端末10と電界通信してユーザ情報やユーザID情報を受信する受信機として機能する。また、ホームサーバ20は、エアコンや照明等、住宅H内に設けられた各設備と宅内ネットワークを通じて通信可能である。さらに、ホームサーバ20は、携帯端末10から受信したユーザ情報等に基づいて、住宅H内の各設備の運転や状態を制御する。
【0026】
本実施形態のホームサーバ20は、CPU、メモリ、外部記憶装置と、入力装置と、出力装置と、通信用インターフェースと、を有しており、ホームサーバ20が諸機能を発揮するためのプログラムがインストールされている。さらに、本実施形態のホームサーバ20には、住宅H内の各設備を制御するための制御回路21が搭載されている(図1参照)。
【0027】
ホームサーバ20の構成について機能面から改めて説明すると、図3に示すように、本実施形態に係るホームサーバ20には、情報を受信する受信部20a、情報を蓄積する蓄積部20b、及び、住宅H内の設備の運転や状態を制御する設備制御部20c、ユーザ認証を行うユーザ認証部20dが備えられている。なお、ホームサーバ20の各部は、ホームサーバ制御部20eを介して互いに接続されている。
【0028】
先ず、本実施形態に係る受信部20aについて説明する。受信部20aは、携帯端末10の送信部10cが送信した情報(ユーザ情報やユーザID情報)を受信するものであり、CPU、メモリ、通信用インターフェース、及び、通信用プログラム等によって構成される。
【0029】
より詳しく説明すると、携帯端末10の送信部10cが送信した情報は、電界に変換された上で、当該電界が後述のセンサユニット30により検出される。当該検出結果に応じてセンサユニット30から信号が出力されると、受信部20aは当該信号を受信する。これにより、受信部20aは携帯端末10からの情報を受信することになる。つまり、本実施形態において、受信部20aは、携帯端末10の送信部10cが送信した情報を、センサユニット30が形成する通信経路を通じて受信し、当該情報の受信は、センサユニット30から出力された信号を受信することによって行われる。
なお、本実施形態に係る受信部20aは、センサユニット30から出力された信号を受信した後に当該信号を解析して、当該信号に応じた情報(すなわち、携帯端末10の送信部10cが送信した情報)を取得する。
【0030】
また、本実施形態に係る受信部20aは、宅内ネットワークを通じて、住宅H内の設備や住宅H内に設置されている計測機器・センサから情報を取得することが可能である。例えば、ユーザの健康状態に関する情報(体温、糖尿値、血圧、体重、体脂肪等)を取得することが可能なサニタリー設備(不図示)が住宅Hに設置されている場合、受信部20aは、当該サニタリー設備と通信して上記の健康状態に関する情報を受信することが可能である。
【0031】
次に、本実施形態に係る蓄積部20bについて説明する。蓄積部20bは、メモリや外部記憶装置等から構成されており、受信部20aが受信した情報を蓄積し、各種の情報をデータベースとして格納しておくためのものである。
【0032】
次に、本実施形態に係る設備制御部20cについて説明する。設備制御部20cは、CPU、メモリ、通信用インターフェース、通信用プログラムの他、制御回路21によって構成され、宅内ネットワークを通じて住宅H内の各設備と通信し、当該各設備の運転や状態を制御するものである。ここで、設備の運転の制御とは、設備の起動・停止や運転条件についての制御を意味し、設備の状態の制御とは、例えば開閉状態や点灯状態についての制御を意味する。
【0033】
また、住宅H内の設備とは、設備制御部20cによる制御の対象となる設備であり、本実施形態では、空調設備A、風呂用給湯設備B、照明設備Cである。つまり、本実施形態では、設備制御部20cが空調設備Aの起動・停止及び設定温度を自動制御することにより、住宅Hにおける室内温度をユーザにとって最適な温度に調整することが可能になる。
また、設備制御部20cは、風呂用給湯設備Bの起動・停止や給湯温度を自動制御することにより、所定時期に風呂の準備をすることが可能であり、設備制御部20cが照明設備Cの点灯状態を自動制御することにより、時刻に応じて住宅H内の明るさを調整することが可能である。
なお、当然ながら、上記の設備以外の設備(例えば、窓、太陽光発電装置、蓄電設備、電気自動車の充電設備など)についても、設備制御部20cによる制御の対象に含めることとしてもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る設備制御部20cは、後述のユーザ認証部20dによる認証結果に基づいて、住宅HのドアDの開閉状態を制御する。すなわち、ユーザが住宅Hの居住者であるとユーザ認証部20dが識別すると、設備制御部20cは、施錠状態にあるドアDを開錠する。
【0035】
次に、本実施形態のユーザ認証部20dについて説明する。ユーザ認証部20dは、CPU、メモリ及び認証プログラム等により構成されており、携帯端末10の送信部10cが送信したユーザID情報に基づいてユーザ認証を行うものである。つまり、ユーザ認証部20dは、ユーザが住宅Hの居住者であるか否かを識別する識別部の一例であり、特に本実施形態では、ユーザがドアノブDNを操作した時点でユーザ認証を実行する。
具体的に説明すると、ユーザ認証部20dは、ユーザ認証においてユーザID情報からユーザIDを特定して、当該ユーザIDと、居住者として登録されている登録者IDとを照合し、両IDが一致した場合にユーザが居住者であると識別する。
なお、登録者IDを示す情報は、蓄積部20bに保存されており、ユーザ認証部20dは、ユーザ認証にあたり蓄積部20bから当該情報を読み出すこととしている。
【0036】
<センサユニット30>
センサユニット30は、建物管理システム1において電界通信を行うために、携帯端末側電極11と協働してユーザに電界を誘起させると共に、ユーザの身体表面を経由して伝達された電界を検出し、当該検出結果に応じた信号をホームサーバ20に向けて出力する。すなわち、本実施形態において、センサユニット30は、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路を形成するための通信経路形成部として機能する。
【0037】
具体的に説明すると、センサユニット30は、第2の電極としてのユニット側電極31と、絶縁膜32と、電界を検出するセンサとしての電界センサ33と、を有する。
【0038】
ユニット側電極31は、携帯端末側電極11と対をなす電極であり、携帯端末側電極11とともにユーザに電界を誘起する。換言すると、携帯端末側電極11は、ユニット側電極31と協働して電界をユーザに誘起させる。
そして、本実施形態では、ユニット側電極31が住宅HのドアDに取り付けられており、より具体的にはドアノブDNに取り付けられている。このため、携帯端末10を携帯している状態のユーザがドアノブDNを操作すると、携帯端末側電極11とユニット側電極31との協働により、ユーザに電界が誘起されるようになる。
ここで、住宅Hに帰宅してきたユーザが行うドアノブDNの操作は、住宅HのドアDを開くための操作の一例であるが、これに限定されるものではなく、ドアDを開くために行う操作であれば他の操作(例えば、ドアDの前に立つ行為)であってもよい。
【0039】
電界センサ33は、ユーザに誘起されユーザの身体表面を伝達してきた電界を検出し、その検出結果に応じた信号を出力する。本実施形態における電界センサ33は、周囲電界による電気光学結晶の工学的性質の変化をレーザー光で検出するフォトニック電界センサである。そして、電界センサ33は、電界の検出結果としての電気信号を生成し、当該電気信号をホームサーバ20(より具体的には、ホームサーバ20の受信部20a)に向けて出力する。当該電気信号は、宅内ネットワーク用ケーブルを通じてホームサーバ20へ伝送される。なお、電界センサ33とホームサーバ20との通信は、有線通信に限らず、無線通信であってもよく、かかる場合には電界センサ33は信号として電波信号を出力することとなる。
【0040】
上記構成のセンサユニット30では、ユーザが住宅Hのドアを開くためにドアノブDNを操作すると、携帯端末側電極11とユニット側電極31とがユーザに電界を誘起させ、当該電界はユーザの身体表面を経由して電界センサ33に到達する。この結果、ユーザの身体を介して、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路が形成されることになる。ここで、通信経路を形成するとは、情報の伝送経路(通信経路)が確保される状態に至ることを意味する。
【0041】
つまり、本実施形態において、センサユニット30は、住宅Hに帰宅する際にユーザが日常的に行う生活動作としてのドアノブ操作を受け付けると、携帯端末10の送信部10cによる情報の送信、及び、ホームサーバ20の受信部20aによる情報の受信を実行させるために通信経路を形成する。換言すると、ユーザによるドアノブ操作をトリガーとして、センサユニット30が通信経路を形成し、携帯端末10の送信部10cによる情報の送信、及び、ホームサーバ20の受信部20aによる情報の受信が自動的に実行されるようになる。
【0042】
<<本実施形態における建物管理方法>>
以上までに説明してきた構成の建物管理システム1を用いた建物管理方法について説明するために、以下、図4〜図6を参照しながら、当該建物管理方法を採用して実施される建物管理プロセスについて説明する。図4及び図5は、建物管理プロセスの流れを示す図である。図6は、ユーザがドアノブ操作をすることにより通信経路が形成される状況を示すイメージ図である。
【0043】
本実施形態に係る建物管理プロセスは、図4に示すように、ユーザが帰宅して住宅Hに到着した際に、携帯端末10の取得部10aによりユーザ情報を取得する処理(取得処理)から始まる(S001)。本実施形態において、取得処理で取得したユーザ情報は、ユーザが住宅Hを出てから帰宅をするまでの間の歩数を示す情報、ユーザが帰宅する際の外気温を示す情報、及び、ユーザが帰宅する際の帰宅時刻を示す情報である。
【0044】
住宅Hを出てから帰宅するまでの間の歩数を示す情報については、携帯端末10の機能により、ユーザが携帯端末10を携帯している状態において自動的に取得される。
外気温を示す情報については、携帯端末10の機能により外気温が計測された際に取得される。なお、外気温の計測は、所定時間毎に定期的に実施されることとしてもよく、あるいは、ユーザが帰宅時にドアノブ操作をして通信用の電界がユーザに誘起された際に携帯端末10が誘起された電界を検知することを契機に実施されることとしてもよい。
帰宅時刻を示す情報については、携帯端末10が帰宅時刻を特定することにより取得され、当該帰宅時刻の特定は、例えば、ユーザが帰宅時にドアノブ操作をして通信用の電界がユーザに誘起された際に携帯端末10が誘起された電界を検知することを契機に実施される。
【0045】
なお、本実施形態では、ユーザが帰宅して住宅Hに到着した際にユーザ情報の取得を実行することとしたが、これに限定されず、帰宅途中で取得することとしてもよい。
そして、ユーザ情報取得後には、当該ユーザ情報を携帯端末10の記憶部10bに記憶させる処理(記憶処理)が実行される(S002)。
【0046】
一方、ユーザが住宅Hに到着して住宅H内に入るためにドアノブDNを操作すると、センサユニット30がドアノブ操作を受け付ける。これにより、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路が形成され、更に通信経路の形成に伴って、携帯端末10の送信部10cによる送信処理、及び、ホームサーバ20の受信部20aによる受信処理が自動的に実行されるようになる(S003〜S007)。
【0047】
より具体的に説明すると、ユーザがドアノブDNに触れることにより、図6に示すように、ユーザの身体を介して、携帯端末側電極11とユニット側電極31とが繋がり、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路が形成される(S003)。これに伴い、先ず、携帯端末側電極11がユニット側電極31と協働してユーザに電界を誘起させる。この電界は、取得工程にて取得されたユーザ情報、及び、ユーザID情報に応じて生成されたものである。すなわち、本実施形態において、携帯端末10の送信部10cによる送信処理(S004)は、携帯端末側電極11による電界誘起という形で実行される。
なお、上述したように、本実施形態では、送信処理の際、取得処理にて取得されたユーザ情報と共にユーザID情報を送信するために、ユーザ情報及びユーザID情報に応じた電界をユーザに誘起させる。
【0048】
一方、ユーザに誘起された電界は、センサユニット30の電界センサ33により検出され(S005)、当該電界センサ33からは検出結果に応じた電気信号が出力される(S006)。この電気信号は、ホームサーバ20の受信部20aによって受信され、受信部20aが解析されることによりユーザ情報やユーザID情報が特定される。すなわち、本実施形態において、ホームサーバ20の受信部20aによる受信処理(S007)は、電界センサ33から出力される電気信号を受信することにより実行される。
【0049】
受信されたユーザ情報及びユーザID情報は、ホームサーバ20の蓄積部20bに蓄積される(S008)。その後、ホームサーバ20側では、図5に示すように、ユーザ認証部20dによるユーザ認証が実行される(S011)。ユーザ認証において、ユーザ認証部20dは、蓄積部20bに保存された登録者ID情報及びユーザID情報を読み出して、登録者IDとユーザIDを特定し、両者を照合する。
【0050】
そして、ドアノブ操作をしたユーザが住宅Hの居住者であるとユーザ認証部20dが識別すると(S012でYes)、ホームサーバ20の設備制御部20cが、施錠状態にある住宅HのドアDを開錠する(S013)。さらに、設備制御部20cは、蓄積部20bに蓄積されたユーザ情報のうち、最新の情報(以下、最新のユーザ情報)に基づいて、住宅H内の各設備の運転又は状態を制御する設備制御処理を実行する(S014〜S019)。
【0051】
具体的に説明すると、設備制御部20cは、最新のユーザ情報のうち、帰宅時の外気温を示す情報を蓄積部20bから読み出し、当該情報が示す外気温に基づいて、住宅H内の設備としての空調設備Aの起動・停止及び設定温度を制御する(S014、S15)。ここで、上記の外気温が所定範囲内にある場合には(S014でYes)、空調設備Aを起動して室内温度を調整する(S015)。なお、上記の所定範囲については、データとして蓄積部20bに記憶されており、また、適宜その範囲を設定し直すことが可能である。
【0052】
次に、設備制御部20cは、最新のユーザ情報のうち、住宅Hを出てから帰宅をするまでの間の歩数を示す情報を蓄積部20bから読み出し、当該情報が示す歩数に基づいて、住宅H内の設備としての風呂用給湯設備Bの起動・停止や給湯温度を制御する(S016、S017)。ここで、上記の歩数が所定数以上である場合には(S016でYes)、風呂用給湯設備Bを起動して風呂の準備をする(S017)。なお、上記の所定数については、データとして蓄積部20bに記憶されており、また、適宜その数を設定し直すことが可能である。
【0053】
次に、設備制御部20cは、最新のユーザ情報のうち、帰宅時刻を示す情報を蓄積部20bから読み出し、当該情報が示す帰宅時刻に基づいて、住宅H内の設備としての照明設備Cの点灯状態を制御する(S018、S19)。ここで、上記の帰宅時刻が所定の時間帯にある場合には(S018でYes)、照明設備Cを点灯させる(S019)。なお、所定の時間帯については、データとして蓄積部20bに記憶されており、また、適宜その範囲を設定し直すことが可能であるが、一般的には夜間の時間帯とすることが考えられる。
【0054】
<<本実施形態に係る建物管理システム1及び建物管理方法の有効性>>
以上までに説明してきたように、本実施形態の建物管理システム1及び建物管理方法では、ユーザが帰宅時に住宅HのドアノブDNを操作すると、通信経路形成部であるセンサユニット30が当該ドアノブ操作を受け付け、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路を形成する。そして、通信経路が形成されると、外出中の行動履歴や外気温及び帰宅時刻に関するユーザ情報の送受信が自動的に実行され、ユーザ情報が受信されると、設備制御部20cがユーザ情報に基づいて住宅H内の各設備の運転又は状態を制御する。
【0055】
すなわち、本実施形態では、ドアノブ操作をトリガーとして、外出中の行動履歴や外気温及び帰宅時刻に関するユーザ情報の送受信を自動的に収集することが可能である。また、本実施形態では、ユーザが住宅H内に入る際に上記のユーザ情報を収集するので、当該ユーザ情報を有効活用することにより、帰宅時のユーザのコンディションや環境及び時刻に応じて住宅H内の各設備を制御して、快適な住宅空間を提供することが可能になる。
【0056】
以上の結果、本実施形態では、住宅Hに入る際にユーザのコンディションや環境及び時刻に関する情報(ユーザ情報)を積極的に、かつ、簡便に収集することが可能になると共に、当該ユーザ情報に基づいて、住宅Hにおけるユーザの快適性を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、上記の効果に加え、住宅H内においてユーザの健康状態に関する情報を取得することが可能な設備(例えば、上述したサニタリー設備)により取得した情報と、上記のユーザ情報(例えば、外出中の歩数を示す情報)と、を組み合わせることにより、ユーザの健康状態を適切に管理することも可能になる。例えば、上記のサニタリー設備で取得した情報と、帰宅時に収集したユーザ情報のうち、歩数に関する情報と、に基づいて、ユーザの健康管理用データを作成してユーザに報知することも考えられる。
【0058】
また、本実施形態では、携帯端末10とホームサーバ20との通信方式として電界通信方式を採用しており、ユーザがドアノブDNを操作すると、携帯端末側電極11とユニット側電極31との協働により、ユーザ情報に応じた電界がユーザに誘起される。ユーザに誘起された電界は電界センサ33にて検出され、当該電界センサ33から検出結果に応じた信号が出力されると、ホームサーバ20の受信部20aが電界センサ33からの信号を受信することによりユーザ情報を受信する。
このように本実施形態では、ユーザがドアノブDNに接触しただけでユーザ情報の送受信が実行され、より簡便な情報収集が実現されることとなる。
【0059】
また、本実施形態では、ユーザがドアノブDNを操作すると、ユーザ情報と共にユーザID情報が電界通信により送信され、ホームサーバ20側では、ユーザID情報に基づいて、ユーザが住宅Hの居住者であるか否かのユーザ認証が行われる。そして、ユーザ(ドアノブ操作をしたユーザ)が居住者であると識別された場合、施錠状態にある住宅HのドアDが開錠され、さらに、ユーザ情報に基づいて住宅H内の設備の運転又は状態が制御される。この結果、ドアノブ操作をトリガーにして、ユーザ情報の収集、ドアの開錠、及び、住宅H内の設備の制御が一斉に行われ、ユーザにとって利便性が向上することになる。
すなわち、上記の処理(ユーザ情報の収集、ドアの開錠、及び、住宅H内の設備の制御)の各々を実行するための動作を個別に行う場合に比べ、本実施形態は、ユーザに手間を要しない点で好適である。
【0060】
また、本実施形態では、外出中の歩数や外気温及び帰宅時刻に関する情報をユーザ情報とし、建物管理システム1では、外気温に基づいて空調設備Aを、歩数に基づいて風呂用給湯設備Bを、帰宅時刻に基づいて照明設備Cを、それぞれ制御する。この結果、帰宅時におけるユーザのコンディションや環境、時刻に応じて最適な住宅空間となるように住宅H内の各設備を制御することが可能になる。
なお、上述したように、本実施形態では、各設備について、制御の際に用いる情報が対応付けられているが(例えば、空調設備Aの制御には外気温に関する情報を用いる)、住宅H内の全設備の制御が、共通した一の情報に基づいて行われることとしてもよい。ただし、設備毎に、制御の際に用いられる情報が分かれていれば、より細かな制御が可能となる結果、住宅H内におけるユーザの快適性を向上させるのに、的確な制御が実現されることになる。かかる点において本実施形態は好適である。
【0061】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の建物管理システム及び建物管理方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0062】
また、上記の実施形態において、通信経路形成部としてのセンサユニット30は、ユーザが住宅Hに帰宅する際の生活動作としてドアノブ操作を行うと、当該ドアノブ操作をトリガーとして、携帯端末10とホームサーバ20との通信経路が形成され、ユーザ情報等の送受信が自動的に実行されることとした。かかる構成であれば、ユーザがドアノブDNに接触しただけで情報の送受信が実行され、ユーザ情報の収集がより簡便なものとなる。つまり、ドアノブ操作は、ユーザが住宅H内に入る際に必ず行う生活動作であり、当該ドアノブ操作をトリガーとしてユーザ情報の送受信が実行されることになれば、ユーザに不要な手間を一切掛けずにユーザ情報の収集が可能になる。
なお、住宅Hに帰宅する際の生活動作は、上記のドアノブ操作に限定されず、他の動作であってもよい。例えば、玄関前の所定位置に立つ動作や、高層マンション住宅であればエレベータ内の操作ボタンを押す動作であってもよい。さらに、玄関に上がる動作や住宅H内の座椅子やソファに座る動作など、住宅H内に居る期間中にユーザが日常的に行う生活動作であってもよい。ただし、ドアノブ操作はユーザが住宅H内に入る際に必ず行う生活動作であり、かかる点においては、上記の実施形態の方が好適である。
【0063】
また、上記の実施形態では、ユーザが住宅Hを出てから帰宅するまでの間の歩数を示す情報、ユーザが帰宅する際の外気温を示す情報、及び、ユーザが帰宅する際の帰宅時刻を示す情報をユーザ情報とし、建物管理システム1では、これら全ての情報を送受信することとした。しかしながら、これらに限定されるものではなく、上記の情報のうち、少なくとも1つの情報をユーザ情報として送受信すればよく、例えば、上記の情報以外の情報が含まれていてもよい。あるいは、上記の情報のうち、いずれか一つのみがユーザ情報として送受信されることとしてもよい。
ただし、上記の情報は、快適な住宅空間を提供する目的でユーザの帰宅に合わせて住宅H内の設備を制御する際に用いる情報として適当なものであり、さらに簡易に取得することが可能である。特に、本実施形態では、外気温に基づいて空調設備Aを、歩数に基づいて風呂用給湯設備Bを、帰宅時刻に基づいて照明設備Cを、それぞれ制御する。かかる対応関係により、空調設備A、風呂用給湯設備B、及び、照明設備Cの各々は、ユーザのコンディションや環境、時刻に応じて最適な住宅空間となるように制御されることになる。ここで、空調設備A、風呂用給湯設備B、及び、照明設備Cは、一般的に、ユーザが帰宅した直後に取り扱う可能性が高い設備である。したがって、上記の情報については、ユーザの帰宅に合わせて制御されることが必要な設備の制御に際して用いる情報として適当である。かかる点において、上記の実施形態の方が好適である。
【符号の説明】
【0064】
1 建物管理システム、10 携帯端末、10a 取得部、10b 記憶部、
10c 送信部、10d 携帯端末側制御部、11 携帯端末側電極、12 絶縁膜、
20 ホームサーバ、20a 受信部、20b 蓄積部、20c 設備制御部、
20d ユーザ認証部、20e ホームサーバ制御部、21 制御回路、
30 センサユニット、31 ユニット側電極、32 絶縁膜、33 電界センサ、
A 空調設備、B 風呂用給湯設備、C 照明設備、D ドア、DN ドアノブ、
H 住宅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する携帯端末と、
該携帯端末と通信する情報処理機器と、
前記携帯端末と前記情報処理機器との通信経路を形成するための通信経路形成部と、を有し、
前記携帯端末は、
建物内に入るまでの前記ユーザの行動履歴、前記建物内に入る前の時点で前記ユーザが居た環境、及び、前記ユーザが前記建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報を取得する取得部と、
該取得部が取得した前記情報を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記情報を読み込んで送信する送信部と、を備え、
前記情報処理機器は、
前記送信部が送信した前記情報を前記通信経路を通じて受信する受信部と、
前記建物内に設けられた設備を制御するための設備制御部と、を備え、
前記通信経路形成部は、前記建物内に入る際又は前記建物内に居る期間中に前記ユーザが日常的に行う生活動作を受け付けると前記通信経路を形成し、
該通信経路が形成されると、前記送信部が前記情報を送信し、かつ、前記受信部が前記情報を受信し、
前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部が前記情報に基づいて前記設備の運転又は状態を制御することを特徴とする建物管理システム。
【請求項2】
前記情報処理機器は、前記ユーザを電界伝達媒体として前記携帯端末と電界通信し、
前記送信部は、前記情報を送信するために、前記情報に応じた電界を前記ユーザに誘起させ、
前記通信経路形成部は、前記ユーザに誘起された前記電界を検出し、検出結果に応じた信号を出力するセンサを有し、
前記受信部は、前記センサからの前記信号を受信することにより前記情報を受信することを特徴とする請求項1に記載の建物管理システム。
【請求項3】
前記建物は、前記ユーザが居住する住宅であり、
前記送信部は、前記電界を前記ユーザに誘起させるための第1の電極を備え、
前記通信経路形成部は、前記第1の電極と対をなす第2の電極を備え、
該第2の電極は、前記住宅のドアに取り付けられ、
前記ユーザが前記生活動作として前記ドアを開くための操作を行うと、前記第1の電極が前記第2の電極と協働して前記電界を前記ユーザに誘起させ、前記センサが前記ユーザに誘起された前記電界を検出し、検出結果に応じた前記信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の建物管理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記取得部が取得した前記情報と、前記ユーザを識別するための識別情報とを記憶し、
前記ユーザが前記ドアを開くための操作を行うと、前記送信部が、前記情報と共に前記識別情報を送信するために、前記情報及び前記識別情報に応じた前記電界を前記ユーザに誘起させ、
前記受信部は、前記センサからの前記信号を受信することにより前記情報及び前記識別情報を受信し、
前記識別情報に基づいて前記ユーザが前記住宅の住居者であるか否かを識別する識別部が前記情報処理機器に備えられ、
前記ユーザが前記居住者であると前記識別部が識別すると、前記設備制御部は、施錠状態にある前記ドアを開錠するとともに、前記情報に基づいて前記設備の運転又は状態を制御することを特徴とする請求項3に記載の建物管理システム。
【請求項5】
前記送信部が、前記行動履歴に関する前記情報として、前記ユーザが前記住宅を出てから帰宅するまでの間の歩数を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記歩数に基づいて、前記設備としての風呂用給湯設備の運転を制御することを特徴とする請求項4に記載の建物管理システム。
【請求項6】
前記送信部が、前記環境に関する前記情報として、前記ユーザが帰宅する際の外気温を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記外気温に基づいて、前記設備としての空調設備の運転を制御することを特徴とする請求項4に記載の建物管理システム。
【請求項7】
前記送信部が、前記時刻に関する前記情報として、前記ユーザが帰宅する際の帰宅時刻を示す前記情報を送信し、前記受信部が前記情報を受信すると、前記設備制御部は、前記情報が示す前記帰宅時刻に基づいて、前記設備としての照明設備の点灯状態を制御することを特徴とする請求項4に記載の建物管理システム。
【請求項8】
ユーザが携帯する携帯端末と、該携帯端末と通信する情報処理機器と、前記携帯端末と前記情報処理機器との通信経路を形成するための通信経路形成部と、を用いた建物管理方法であって、
建物内に入るまでの前記ユーザの行動履歴、前記建物内に入る前の時点で前記ユーザが居た環境、及び、前記ユーザが前記建物内に入る際の時刻のうち、少なくとも1つに関する情報を、前記携帯端末に設けられた取得部により取得する取得処理と、
該取得処理にて取得された前記情報を、前記携帯端末に設けられた記憶部に記憶させる記憶処理と、
該記憶処理にて記憶された前記情報を、前記携帯端末に設けられた送信部により、前記記憶部から読み込んで送信する送信処理と、
該送信処理にて送信された前記情報を、前記情報処理機器に設けられた受信部に、前記通信経路を通じて受信させる受信処理と、
該受信処理にて受信された前記情報に基づき、前記情報処理機器に設けられた設備制御部に、前記建物内に設けられた設備の運転又は状態を制御させる設備制御処理と、を有し、
前記建物内に入る際又は前記建物内に居る期間中に前記ユーザが日常的に行う生活動作を前記通信経路形成部にて受け付けて、前記通信経路形成部に前記通信経路を形成させ、
該通信経路が形成されると前記送信処理及び前記受信処理が実行され、
該受信処理にて前記受信部が前記情報を受信すると前記設備制御処理が実行されることを特徴とする建物管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138820(P2012−138820A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290601(P2010−290601)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】