説明

建物

【課題】スキップフロアの上側の床の床下に低天井収納室を有する建物において、低天井収納室を用いてゴミを捨てることを可能とする。
【解決手段】スキップフロアの上側の床の床下に低天井収納室1が設けられている。低天井収納室1に壁4を介して隣接して部屋3が設けられている。低天井収納室1の出入り口5が部屋3に連通するように壁4に設けられている。低天井収納室1には、出入り口5が形成された壁4の部屋3側に開口するとともに、低天井収納室1の他の部分に対して仕切られたゴミ収納部7が設けられている。壁4の出入り口5に隣接してゴミ収納部7の開口8が設けられている。出入り口5には、出入り口5を開閉する引き戸6を備えるとともに、引き戸6を開いた際に、引き戸6がゴミ収納部7の開口8を覆う位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの部屋の下もしくは上に他の部屋より天井の低い収納室である低天井収納室が設けられた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の質の向上や多様化に伴い、生活に使用する物品が多種多様化および多数化する傾向にあり、これら物品(被収納物)を収納するに当って、例えば押入や納戸、床下収納庫、小屋裏収納部、天井裏収納部、階段下収納部等の従来の収納スペースでは広さや容量が不足するという問題があった。
この問題を解決する建物の一例として、建物内部に大型の収納空間である蔵を設けるとともに、この収納空間と同じ床レベルの居室を隣接して設け、さらに当該居室に収納空間への出入り口を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
蔵となる収納室は、例えば、下階と上階とを備える建物において、下階と上階ととの間に中間階を備え、中間階の床と下階の床とが異なる高さのスキップフロアになっている場合に、中間階の床下となる部分を収納室としたものである。また、この収納室は、例えば、屈んだ状態や頭を下げた状態で人が出入りできる程度の天井高さ(例えば、140cm以下)を有するもので、居室としては使用できないし、ウオーキングクローゼットのように普通に立った状態で内部を歩くことができない。すなわち、天井の低い収納用空間となっており、例えば、低天井収納室と称される。
【0004】
また、住宅における収納の問題の一つとして、ゴミに関することがある。ゴミの収集日が決まっているとともに、猫やカラス等によりゴミが荒らされるのを防止するために、ゴミ集積所にゴミを出す時刻の範囲も指定されていている。また、省資源等のために資源ごみの分別収集が行われており、ガラスビン、ペットボトル、アルミ缶、鉄缶、新聞、雑誌等の古紙等の資源ゴミと通常のゴミとで収集日が異なる場合などがある。また、資源として再利用されることなく廃棄処分されるゴミも、そのまま埋め立て処分されるものと、焼却処理されてから埋め立て処分されるものとで分けられている。
【0005】
従って、収集日までゴミを保管収納しておく必要があるとともに、一般的にウイークデイの朝とされることが多いゴミを出すのに指定された時刻範囲、すなわち、出勤、通学等で忙しい時間帯にゴミを出す必要があることから、ゴミを出す際に、手間取らないように、資源ゴミ等を仕分けした状態としておくことが好ましい。
ここで、ゴミを複数のゴミ箱に仕分けした状態とすると、複数のゴミ箱が必要となる。また、ガラスビンやペットボトル等のゴミは、嵩張ることから比較的大きなゴミ箱が必要となる。
【0006】
これらのことから、各部屋のゴミ箱は別としても、キッチン(台所)等には、仕分けされるゴミの種類に対応して、比較的大きなゴミ箱が複数設置されることになるが、これらゴミ箱が部屋内での人の移動の邪魔になったり、部屋内の収納設備の出入り口の開閉部材の開閉の邪魔になったり、リビングダイニングキッチン等の美観を損ねたりしていた。
【0007】
そこで、階段下空間にゴミ収納室を設けて、ゴミ収納容器を配置し、ゴミ収納室に隣接する台所側の壁にゴミ投入口を設け、ゴミ収納室の屋外側にゴミ収納容器の搬出が可能な出入り口を設けた建物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、台所の流し台が設置された壁(外壁)の屋外側に突出する出窓状のゴミ収納空間を設けた建物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この例では、流し台の上方の壁側で、出窓状のゴミ収納空間の上端部となる高さ位置にテーブルを設け、壁のテーブルと流し台との間に、ゴミ収納空間に配置されたゴミ箱にゴミを投入する投入口が設けられている。ゴミ投入口には、扉が設けられている。また、ゴミ収納空間の屋外側にはゴミ箱を出し入れするための引き戸が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−11336号公報
【特許文献2】特開2009−7843号公報
【特許文献3】特開2000−282675号公報
【特許文献4】特開2004−360435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、階段下空間にゴミ収容室を設けたものでは、複数のゴミ箱が台所での作業の邪魔になったり、美観を損ねたりすることがなくなるが、複数のゴミ箱が一般的に階段下に配置される階段下収納部を占有してしまい、建物の中でスペースの大きな収納空間の一つである階段下収納部が使えなくなってしまう。
また、流し台の外側に出窓状のゴミ収納空間を設けたものでも、複数のゴミ箱が台所での作業の邪魔になったり、美観を損ねたりすることがなくなるが、ゴミを収納するためだけに、大きなコストがかかる出窓状の構造を設けることになる。したがって、ゴミを収容するためだけに、大きなコストがかかることになる。
【0011】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、上述の低天井収納室を利用してゴミ箱を配置可能とすることで、ゴミ箱を部屋の美観を損ねることなく、かつ、リビングダイニングキッチン等の部屋の邪魔になることなく配置可能とし、ゴミを収容するために建物の収納空間が大きく減少したり、ゴミを収容する専用空間を設けるために大きなコストがかかることがない建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、第1の部屋2の下または上に天井までの高さが低い収納室である低天井収納室1を備えた建物において、
前記低天井収納室1に壁4を介して隣接して第2の部屋3が設けられ、
前記低天井収納室1の出入り口5が前記第2の部屋3に連通するように前記壁4に設けられ、
前記低天井収納室1には、前記出入り口5が形成された壁4の第2の部屋3側に開口するとともに、当該低天井収納室1の他の部分に対して仕切られたゴミ収納部7が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、低天井収納室に隣接する部屋側に開口するゴミ収納部が低天井収納室に設けられていることから、部屋側にはゴミ箱等を置く必要がなく、部屋側でゴミ箱が邪魔になったり部屋の美観を損ねたりするのを防止することができる。
また、ゴミ収納部が開口する壁には、低天井収納室に連通する出入り口が形成されているので、低天井収納室に被収納物を収納する際や、被収納物を出す際や、被収納物を整理や掃除する際に廃棄すると決めたものを容易にゴミ収納部に収納することができる。
また、低天井収納室に隣接する部屋と低天井収納室とを仕切る壁には、前記出入り口以外の開口部が形成される可能性が低いので、ゴミ収納部の開口を形成しても、窓等の開口の形成の邪魔になることがなく、部屋のデザインの自由度が低下するのを防止することができる。例えば、窓が少なくなるなどの問題が発生しない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物において、前記壁4の前記出入り口5に隣接して前記ゴミ収納部7の開口8が設けられ、
前記出入り口5には、当該出入り口5を開閉する開閉部材6を備えるとともに、当該開閉部材6を開いた際に、当該開閉部材6が前記ゴミ収納部7の開口8を覆う位置に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、壁の低天井収納室の出入り口の開閉部材をあけた際に当該開閉部材に重なることにより、家具や電気製品を設置できない部分にゴミ収納部の開口が形成されているので、ゴミ収納部の開口が低天井収納室に隣接する部屋の家具や電気製品等の配置の邪魔になることがない。これにより、ゴミ収納部の開口を壁に設けた際に、部屋の家具や電気製品の配置の自由度が低下するのを防止することができる。
なお、閉塞部材は、引き戸であってもドアであっても良い。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の建物において、前記ゴミ収納部7の開口8を閉塞する閉塞板12が設けられ、
当該閉塞板12の内側には、ゴミを収容するゴミ容器11が一体に設けられ、
当該閉塞板12が下端部を中心に外側に回転自在に支持されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、閉塞板がゴミ収納部の開口を開閉する開閉部材として機能するとともに、ゴミ容器の一部として機能するので、部屋の美観を保つことができるとともに、コストの低減を図ることができる。すなわち、閉塞板(ゴミ容器)を手前側に傾けることで、ゴミ容器の上部開口を部屋側に向けて、ゴミの投入が可能となるが、ゴミ容器および閉塞板が傾いていない状態では、ゴミ収納部の天板側をゴミ容器の開口が向いており、閉塞板とゴミ収納部の天井との距離が短ければ、ゴミ容器およびゴミ容器内のゴミが部屋側から見えず、ゴミ容器内のゴミが見えることで部屋の美観が損なわれるのを防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の建物において、前記開閉部材が引き戸6とされるとともに、前記引き戸6の上部にゴミ収納部7内に配置されるゴミ容器11にゴミを投入可能とするゴミ投入用開口部17が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、低天井収納室の出入り口の引き戸を引くと、当該引き戸と重なる部分にゴミ収納部の開口があるため、上述のように家具や電気製品等を設置できない部分にゴミ収納部の開口を形成することになる。そして、引き戸を開けて、引き戸とゴミ収納部の開口が重なった状態でも、引き戸に形成されたゴミ投入用開口部からゴミを捨てることができる。
【0020】
したがって、引き戸とゴミ収納部の開口が重なる構成において、例えば、低天井収納室における被収納物の整理等で長時間低天井収納室の出入り口を開放した状態に保持している際に、引き戸がゴミ収納部の開口と重なることにより、ゴミが捨てられない状態となるのを防止することができる。例えば、低天井収納室の被収納物の整理をすることで、ゴミが出るような場合に、いちいち低天井収納室の出入り口を開け閉めしなくても、出入り口を開けた状態でゴミを捨てることができ、低天井収納室の整理の際のゴミ捨てを容易にすることができる。
また、引き戸にゴミ投入用開口部があるため、低天井収納室の出入り口を引き戸で閉じた状態でも、ゴミ投入用開口部があいた状態となり、当該ゴミ投入用開口部が低天井収納室の換気口として機能する。これにより、低天井収納室の換気のために別に換気口を形成する必要がなく、コストの低減を図ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載の建物において、前記ゴミ収納部7には、ゴミ袋13を有低筒状に保持してゴミ容器本体とするゴミ容器11が水平方向に出し入れ自在にガイドされていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、ゴミ容器を引き出すことにより、ゴミ袋の取り付け・取り外しを容易にすることができる。また、引き出されるゴミ容器が、軽量なゴミ袋を保持できる構成となっていれば良いので、軽量化が可能であり、ゴミ容器を引き出し可能な構成としても、引き出しのガイド等の構成のコストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の建物によれば、ゴミ箱等のゴミをゴミの収集日まで保管する空間をリビングやダイニングキッチン等の部屋に確保する必要がなく、低天井収納室に配置し、かつ、容易にアクセス可能とすることができるので、ゴミ箱が部屋の邪魔になるのを防止するとともに、部屋の美観を損ねるのを防止することができる。さらに、低天井収納室にゴミ収納部を設けるので、ゴミ収納部の形成にかかるコストの低減を図ることができる。また、低天井収納室を設けることで、建物の収納スペースが一般の建物より広くなっており、低天井収納室の一部をゴミ箱の収納に利用しても、十分な収納スペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の建物の低天井収納室および当該低天井収納室に隣接する部屋を示す要部の概略水平断面図である。
【図2】前記低天井収納部の出入り口とゴミ収納部の開口と前記出入り口の引き戸との関係を説明するための図である。
【図3】前記ゴミ収納部を示す建物の要部の概略垂直断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の建物の低天井収納室および当該低天井収納室に隣接する部屋を示す要部の概略水平断面図および概略垂直断面図である。
【図5】前記低天井収納部の出入り口とゴミ収納部の開口と前記出入り口の引き戸との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態の建物の低天井収納室および当該低天井収納室に隣接する部屋を示す要部の概略水平断面図、図2は前記低天井収納部の出入り口とゴミ収納部の開口と前記出入り口の引き戸との関係を説明するための図、図3は前記ゴミ収納部を示す建物の要部の概略垂直断面図である。
【0026】
なお、第1実施形態において説明する建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法やユニット工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0027】
第1実施形態の建物は、上階(2階)と下階(1階)とを備えているとともに、下階の床がスキップフロアとなっており、下階の床にベースとなる相対的に低い下階低床21と、当該下階低床21より高い下階高床22とが備えられている。すなわち、建物は、同一階に異なる高さの床を有するスキップフロアを備えている。
そして、下階高床22の下には、下階低床21と同じ高さレベルの床を有する低天井収納室(蔵)1が設けられている。また、下階高床22の上、すなわち、低天井収納室1の上には、下階の部屋(第1の部屋)2が設けられているが、当該部屋2は下階低床21上に設けられる部屋(第2の部屋)3より床(下階高床22)が高くなっており、中2階とみなすこともできる。
【0028】
したがって、第1の部屋2の下に低天井収納室1が形成されている。
また、低天井収納室1には、壁4を介して隣接する第2の部屋3が設けられている。第2の部屋3の床は、前記下階低床21となり、低天井収納室1の床と第2の部屋3の床(下階低床21)とは、同じ高さレベルとなっている。
【0029】
第2の部屋3は、例えば、キッチン、ダイニングキッチン、ダイニング、リビングダイニング、リビング リビングダイニングキッチンのいずれかとなっている。なお、第2の部屋3が上述の部屋以外の部屋であってもよく、ベッドルーム等の居室であってもよい。
低天井収納室1と、壁4を介して隣接する第2の部屋3との境となる前記壁4には、低天井収納室1と第2の部屋3とを連通する開口である出入り口5が設けられている。出入り口5は、低天井収納室1の天井高さに対応して、人が頭を下げた状態や屈んだ状態やひざをついた状態等で出入りが可能な大きさとなっている。
【0030】
出入り口5には、当該出入り口5を開閉する開閉部材としての引き戸6が設けられている。
当該引き戸6は、出入り口5に対応した大きさに形成され、一枚で出入り口5を閉塞可能なものとなっている。また、引き戸6は出入り口5を閉塞する閉状態において、出入り口5の開口に重なって当該開口を閉塞するとともに、出入り口5を開放する開状態において、出入り口5に隣接する壁部分に重なることになる。
【0031】
壁4の引き戸6を開状態とした際に当該引き戸6に重なる位置には、主にゴミ容器を収納するためのゴミ収納部7の開口8が形成されている。
ゴミ収納部7は、第2の部屋3ではなく、低天井収納室1側に設けられるものであり、低天井収納室1の第2の部屋3との境となる壁4の内側となる部分で出入り口5に隣接する部分に形成されている。また、ゴミ収納部7は、壁4に形成された開口8により第2の部屋3側に開放された状態となっているが、低天井収納室1のゴミ収納部7以外の部分に対して、ゴミ収納部7が仕切り壁9で仕切られた状態となっている。
【0032】
ゴミ収納部7は、矩形状に仕切られた空間であり、低天井収納室1内において、壁4に隣接し、奥行きの浅い空間となっている。
そして、ゴミ収納部7の壁4に形成された開口8は、開状態の引き戸6により完全に覆われるようになっている。
すなわち、図2(a)に示すように、引き戸6が閉状態においては、低天井収納室1の出入り口5が引き戸6に閉塞され、図2(b)に示すように、引き戸6が開状態においては、ゴミ収納部7の開口8が引き戸6に閉塞される。
【0033】
ゴミ収納部7内は、左右幅より上下幅が長く、奥行きが短い直方体上の空間となっているとともに、中央より下側となる位置にゴミ収納部7を上下に分ける棚板10が固定されている。
そして、ゴミ収納部7の棚板10より下側の空間は、例えば、新聞、雑誌、書籍等の資源ゴミとしての紙類を収納するための空間となっている。なお、資源ゴミとして、ガラスビンやその他の資源ゴミを収納するものとしてもよい。
【0034】
また、棚板10の上側には、複数のゴミ容器11が左右に並んで配置された状態となっている。この例では、2つのゴミ容器11が左右に並んで配置されている。ゴミ容器11は、概略長方形状で、開口8側となる前面側がゴミ収納部7の開口8を閉塞する閉塞板12となっており、閉塞板12の後ろ側に一体にゴミ容器11が設けられた構成となっている。
【0035】
ゴミ収納部7の開口8の棚板10より上側は、左右に複数並んだ閉塞板12により閉塞された状態となっており、閉塞板12の裏側に設けられたゴミ容器11およびゴミ容器11内のゴミが見えない状態となっており、第2の部屋3側から見た場合の美観が損なわれるのを防止している。
また、閉塞板12の裏側に一体に形成されたゴミ容器11は、例えば、ゴミ袋13をゴミ容器本体として、ゴミ袋13を有低筒状に保持するようになっている。
【0036】
例えば、ゴミ容器11は、フレーム上の構造で、上端部にゴミ袋13の開口部分を保持する枠部を備え、当該枠部にゴミ袋13の開口部分を広げて折り返した状態に係止可能となっているとともに、折り返し部分を挟んだ状態に保持する保持部を備えている。
保持部の保持を解除することで、ゴミ袋13をゴミ容器11から取り外せるようになっている。
【0037】
また、棚板10の上面の前端縁部分には、閉塞板12の下端部が回転自在に嵌合する嵌合溝が形成されている。嵌合溝の断面が概略半円状の凹部とされるとともに、閉塞板12の下端部が嵌合溝よりわずかに径の小さい半円状の凸部とされている。
これにより、閉塞板12は、嵌合溝に着脱自在に嵌合する下端部を中心として、垂直な状態から上部が前側に傾斜した状態まで回転するようになっている。
【0038】
なお、閉塞板12が垂直な状態で、閉塞板12の後ろ側のゴミ容器11のフレームの底部が棚板10の上面に接触する状態となり、閉塞板12が後ろ側に傾斜するのが規制されている。
また、ゴミ収納部7の後ろ側(奥側)の仕切り壁9部分には、閉塞板12を前側に傾けた際に、ゴミ容器11の下端部の後ろ側部分に係合する係合凸部が設けられており、閉塞板12を前側に傾けた際に、閉塞板12が所定角度となると、ゴミ容器11の下端部の後側が係合凸部に係合して、閉塞板12がそれ以上前側に傾かないようになっている。
【0039】
そして、図3(a)、(b)に示すように、閉塞板12を傾けた状態では、閉塞板12とゴミ収納部7の開口8の上端部分(ゴミ収納部7の天井部分)との間に間隔があき、ゴミ15を投入可能な状態となる。また、この際に、正面側ではなく、横側からゴミ容器11を見ると、ゴミ袋13の上部が見えるようになっており、ゴミ袋13内のゴミの収納量がわかるようになっている。
また、ゴミ容器11の下端部(底部)には、左右二箇所にそれぞれ左右に延在するスライド係合部が設けられ、棚板10の上面には、スライド係合部の位置に対応するスライドレールが左右二箇所に設けられている。スライドレールは、前後方向に延在している。
【0040】
スライドレールには、前記スライド係合部が出入可能なスリットが前後方向に沿って形勢されるとともに、スリットの後ろ側が開放され、前側が閉塞した状態で設けられている。
そして、閉塞板12の下端部が棚板10の嵌合溝に嵌合した状態では、それぞれのスライドレールの直後にそれぞれスライド係合部が配置された状態で、スライドレールのスリットとスライド係合部が係合していない状態となっており、上述の閉塞板12の前側への傾斜を妨げないようになっている。
また、閉塞板12が傾いていない状態(垂直な状態)で、閉塞板12を手前側に引き出すと、各スライドレールのスリットに各スライド係合部が係合し、各スライド係合部が各スライドレールにより前後に移動自在に案内された状態となる。
【0041】
この状態で、閉塞板12を手前に引き出すと、安定した状態で閉塞板12およびゴミ容器11が前側に引き出されることになる。
そして、図3(c)に示すようにゴミ容器11が引き出された状態で、ゴミ袋13の取り外しおよび取り付けが可能となっている。
また、ゴミ収納部7の棚板10の下側の開口には、当該開口を閉塞可能で、開閉可能な開閉部材が設けられている。
【0042】
以上のような建物においては、低天井収納室1を有することにより、十分な収納空間を確保した状態で、当該低天井収納室1の一部をゴミ収納部7とすることができるので、ゴミ収納部を設けるものとしても、建物の収納スペースが足りなくなるようなことがない。また、低天井収納室1を設けること、すなわち、建物内の収納スペースを増加させることにコストがかかるが、当該低天井収納室1内にゴミ収納部7を設ける際には、低天井収納室1の一部を仕切るだけなので、僅かなコストでゴミ収納部7を構築することができる。
【0043】
また、低天井収納室1側にゴミ収納部7が設けられるので、低天井収納室1に隣接する第2の部屋3側で、ゴミ箱が邪魔になったり、美観を損ねたりするのを防止することができる。
また、ゴミ収納部7の棚板10より上側は、閉塞板12で閉じられた状態となっており、ゴミ容器11やゴミ容器11内部のゴミが第2の部屋3側から見えることがなく、ゴミやゴミ容器11により第2の部屋3の美観が損なわれるのを防止することができる。
【0044】
また、壁面の一部にゴミ収納部7の開口8が設けられることにより、当該開口8を閉塞するような配置で、家具や電気製品を設けることができないが、ゴミ収納部7の開口8は、低天井収納室1の出入り口5を開閉する開閉部材としての引き戸6を出入り口5を開放する側に配置した際に、当該引き戸6が重なる位置となっており、元々引き戸6により、家具や電気製品等を配置できない場所なので、ゴミ収納部7の開口8により、家具や電気製品等の配置が限定されることがない。
【0045】
また、閉塞板12により、ゴミ容器11が隠された状態となるので、第2の部屋3側からゴミ収納部7を見た場合に美観が損なわれるのを防止することができる。また、ゴミ容器11は、ゴミ袋13を容器本体とするので、軽量化することが可能であり、上述のように、ゴミ容器11を引き出せる構造する際に、スライドレール等に大きな強度を必要とせず、コストの低減を図ることができる。
【0046】
また、閉塞板12を前側に傾けるだけで、容易にゴミを捨てることができるとともに、閉塞板12が傾いていない状態では、ゴミ容器11およびゴミ容器11内のゴミが完全に隠 された状態となり、部屋の美観を保つことができる。
また、ゴミ容器11を前に引き出すことにより、容易にゴミ袋13を取り外すことができる。
【0047】
次に、第2実施形態を図4および図5を参照して説明する。
第2実施形態の建物は、引き戸6の形状と、ゴミ容器11の前側に配置される閉塞板12の構造が異なること、ゴミ収納部7に配置されるゴミ容器11の数以外は、第1実施形態と同様の構造を有するものであり、以下に第2実施形態の第1実施形態と異なる部分を主に説明し、その他の部分の説明を省略する。
【0048】
第2実施形態においては、閉塞板12は、前側に傾く構造となっていないとともに、閉塞板12の上端部と、ゴミ収納部7の天井面との間にゴミを投入可能な隙間が設けられている。
したがって、ゴミ収納部7の棚板10には、嵌合溝が形成されておらず、閉塞板12の下端部は、フレーム上のゴミ容器の下端部と同じ高さで、棚板10に載った状態となっている。
【0049】
ただし、第1実施形態と同様に、棚板10上には、上述のスライドレールが設けられ、ゴミ容器11の底面には、スライド係合部が設けられており、ゴミ容器11を閉塞板12とともに引き出し可能となっている。
したがって、前記隙間からゴミ収納部7内が一部見える可能性があるが、ゴミを容易に捨てることが可能となっており、第1実施形態と略同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、引き戸6には、上述の閉塞板12の上端部とゴミ収納部7の天井面との間の高さ位置に、ゴミ投入用開口部17が形成されている。
引き戸6を開放状態として、図4(b)および図5(a)に示すように、ゴミ収納部7と重なる状態とした場合に、上述の棚板10とゴミ収納部7の天井面との間のゴミ投入用の隙間と、引き戸6のゴミ投入用開口部17が重なって連通するようになっている。
【0051】
したがって、低天井収納室1内の被収納物の整理や掃除を行って、被収納物の一部等を廃棄するような場合に、引き戸6を開放して引き戸6がゴミ収納部7の開口8を閉塞したままの状態でも、引き戸6のゴミ投入用開口部17からゴミをゴミ容器11に捨てることができる。すなわち、低天井収納室1内の被収納物の整理や掃除中に、ゴミを捨てるために、引き戸6を開閉動作させる必要がなく、引き戸6を開けたままにできるので、わずらわしい動作がなく、低天井収納室1の整理や掃除を円滑に行うことができる。
【0052】
さらに、図5(b)に示すように引き戸6を閉めた状態では、前記ゴミ投入用開口部17が低天井収納室1に連通した状態なので、引き戸6のゴミ投入用開口部17が低天井収納室1の換気口として機能することになり、低天井収納室1に換気口を設ける必要がなく、コストの低減を図ることができる。
【0053】
なお、第2実施形態において、ゴミ容器11に閉塞板12を設けることなく、ゴミ収納部7の開口8に開閉部材を設けるものとしてもよい。
この際に、第2実施形態において、スライドレールとスライド係合部を設けることなく、ゴミ容器11を棚板10上に載置した状態として、ゴミ容器11をゴミ収納部7から出し入れ可能としてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態において、第1の部屋2の上側に低天井収納室1を設け、当該低天井収納室1に隣接して第2の部屋3を配置するものとしてもよい。この場合に、例えば、第1の部屋2は下階(1階)の部屋となり、第2の部屋3は上階(2階)の部屋となり、低天井収納室1の床と第2の部屋3の床とは、同じ高さレベルとなる。また、低天井収納室1の上には上階の部屋を設けても良いし、例えば、天井裏となる収納室や居室を設けてもよい。また、第2の部屋が屋根裏部屋で、低天井収納室1が小屋裏収納室(天井裏収納室)となっていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 低天井収納室
2 第1の部屋
3 第2の部屋
4 壁
5 出入り口
6 引き戸(開閉部材)
7 ゴミ収納部
8 開口
11 ゴミ容器
12 閉塞板
13 ゴミ袋
17 ゴミ投入用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部屋の下または上に天井までの高さが低い収納室である低天井収納室を備えた建物において、
前記低天井収納室に壁を介して隣接して第2の部屋が設けられ、
前記低天井収納室の出入り口が前記第2の部屋に連通するように前記壁に設けられ、
前記低天井収納室には、前記出入り口が形成された壁の前記第2の部屋側に開口するとともに、当該低天井収納室の他の部分に対して仕切られたゴミ収納部が設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
前記壁の前記出入り口に隣接して前記ゴミ収納部の開口が設けられ、
前記出入り口には、当該出入り口を開閉する開閉部材を備えるとともに、当該開閉部材を開いた際に、当該開閉部材が前記ゴミ収納部の開口を覆う位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記ゴミ収納部の開口を閉塞する閉塞板が設けられ、
当該閉塞板の内側には、ゴミを収容するゴミ容器が一体に設けられ、
当該閉塞板が下端部を中心に外側に回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記開閉部材が引き戸とされるとともに、前記引き戸の上部にゴミ収納部内に配置されるゴミ容器にゴミを投入可能とするゴミ投入用開口部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の建物。
【請求項5】
前記ゴミ収納部には、ゴミ袋を有低筒状に保持してゴミ容器本体とするゴミ容器が水平方向に出し入れ自在にガイドされていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−270482(P2010−270482A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122473(P2009−122473)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】