説明

建築板の塗装装置

【課題】建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装装置を提供する。
【解決手段】建築板Aの表面を上側にして搬送しながら、表面に塗料Bを塗布する塗布装置C3と、表面に塗布された余剰分の塗料を除去し、建築板の表面の塗料の量を40〜200g/mとするとともに塗料液膜を形成する除去装置と、建築板の表面の塗料液膜に空気を吹き付けて、塗料液膜を加圧する加圧装置とを有し、加圧装置は、建築板の横幅よりも広い横幅で、建築板の表面を覆う空気吹き出し口を備え、除去装置から加圧装置までの間、建築板の表面に大気圧以上の圧力がかかっている状態とする塗装装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板の塗装装置に関するものである。より詳しくは、建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築板には、水の吸収による寸法などの物性の変化を抑えるためや、外観を向上させるために、表面に塗料を施すことが通常である。また、外観を更に向上させるために、表面に凹凸による模様が施され、意匠性を持たせることが多い。
【0003】
上記建築板に塗料を施す装置としては、塗料を付着させた刷毛で撫でて塗装する刷毛塗り装置、回転しているロールコーターの表面の一部を塗料溜の中に漬けてロール表面に塗料を付着させ、ロールを介して塗料を移動させるロールコーター装置、スプレーの先端のノズルから塗料を吹き出させて塗装するスプレー装置、塗料溜の側壁から塗料を膜状に流下させて、該膜状の塗料の中を通過させて塗装するフローコーター装置などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記刷毛塗り装置は、刷毛を塗料溜に入れて刷毛に塗料を付着させ、該刷毛で塗装を施す建築板の表面を撫でて塗装する装置であり、該刷毛で該建築板の表面を均一に撫でること、及び、該建築板を搬送しながら行うことは難しい。また、サイズの大きい建築板や、表面に凹凸による模様が施された建築板では更に難しく、塗装が不十分な箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、刷毛を建築板に直接当てると摩耗が激しいので変形しやすく、直ぐに交換が必要である。
【0005】
ロールコーター装置は、ロールに付着した塗料を、建築板のロールに接した部分に移動させるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能である。また、表面が平滑な建築板の場合には塗料が移動し、十分な塗装が得られる。しかし、表面に凹凸による模様が施された建築板では、凹部がロールに接することができないので、凹部に塗料を移動させることができず、塗装が施されない箇所が発生し、該建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。
【0006】
スプレー装置は、塗料を建築板の表面に吹き付けるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能であり、表面に凹凸による模様が施された建築板でも塗装ができる。しかし、凹部と凸部では塗料の塗布量が異なり、凹凸の斜面には塗料が十分に塗布されない、凹部に塗料が溜まるなどの問題が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。
【0007】
フローコーター装置は、表面が平滑な建築板の場合には塗料を均一に塗布できる。しかし、フローコーター装置では、表面に凹凸による模様が施された建築板では、搬送の進行方向側に設けられた凸部の斜面には塗料が塗布されるが、搬送の進行方向とは逆側に設けられた凸部の斜面には塗料が塗布されず、塗装が施されない箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。
【0008】
上記懸念を解決するため、建築板の表面に大量の塗料を塗布する方法があり、それに用いる装置としては、スプレー装置、フローコーター装置、搬送ラインの上方に貯留タンクを有し、該貯留タンクから大量の塗料を自重落下させて、建築板の表面に大量の塗料を塗布する装置、ノズルの塗料噴射口の下方に該塗料噴射口と対面し、湾曲した塗料受液面を有し、ノズルから低圧で噴射された大量の塗料を該塗料受液面で拡散させて、建築板の表面に大量の塗料を塗布する装置などがある。しかし、塗料を大量に塗布すると、塗料液膜に泡が発生する、表面の凹部に塗料が溜まるなどの別の懸念が発生する。表面の凹部に塗料が溜まると、乾燥工程において発泡や塗膜ムラなどが発生し、製品の品質や外観が低下する。この解決法として、特許文献1には、塗装面にフローコーター方法を行った後、該塗装面の移動方向の後方からエアーを吹き付ける方法が開示されている。しかし、該方法では塗料液膜に発生した泡は解決するが、表面の凹部に塗料が溜まる恐れは解決されない。
【特許文献1】特開平10−202158号公報
【0009】
本発明は、かかる現情に鑑みてなされたものであり、表面に凹凸を有する建築板であっても、搬送しながら、該建築板の表面全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本請求項1に記載の発明は、建築板の表面を上側にして搬送しながら、該建築板の表面全体に塗装を施す塗装装置であり、上記建築板の表面に塗料を塗布する塗布装置と、上記建築板の表面に塗布された余剰分の塗料を除去し、塗料液膜を形成する除去装置と、上記建築板の表面の塗料液膜に空気を吹き付けて、該塗料液膜を加圧する加圧装置とを有し、上記除去装置は、該建築板の表面の塗料の量を40〜200g/mとし、上記加圧装置は、上記除去装置よりも後工程に設けてあり、更に、該加圧装置は、上記建築板の横幅よりも広い横幅で、該建築板の表面を覆う空気吹き出し口を備え、上記除去装置から上記加圧装置までの間、上記建築板の表面に大気圧以上の圧力がかかっている状態とすることを特徴とする建築板の塗装装置である。
塗布装置は、スプレー装置、フローコーター装置、搬送ラインの上方に貯留タンクを有し、該貯留タンクから大量の塗料を自重落下させて、建築板の表面に大量の塗料を塗布する装置、ノズルの塗料噴射口の下方に該塗料噴射口と対面し、湾曲した塗料受液面を有し、ノズルから低圧で噴射された大量の塗料を該塗料受液面で拡散させて、建築板の表面に大量の塗料を塗布する装置などからなり、建築板の表面に過剰の塗料を塗布する。塗布量としては、400g/m以上の塗布量であれば、建築板の表面に複雑な凹凸模様が形成されていたとしても表面全体に塗料を十分に塗布することが可能であり、また、2200g/mより多い塗布量であっても、2200g/mの場合と比較して効果が上がるわけではなく、膨大な塗料が必要になる、設備費が高くなる、該建築板の表面に塗布された余剰分の塗料を除去する工程において除去される塗料の量が多くなり非効率であるなどのデメリットが発生するので、400〜2200g/mとすることが好ましい。建築板の表面に過剰な量の塗料を塗布することで、該建築板の表面全体に十分に該塗料を塗布することができるとともに、該建築板に該塗料が十分に浸透し、塗装後の建築板は水を吸いにくくなる。
また、除去装置は、高圧のエアーを吹き付けるエアーナイフ及び/又はロールによる掻き取り装置などからなる。本発明の除去装置は、該建築板上の該塗料の量を40〜200g/mとするので、大量の余剰塗料が建築板の表面を移動し、除去されることとなり、該建築板の表面が塗り残し無く均一に塗装される。建築板の表面が凹凸模様を有すると、凸部の斜面下端付近に塗料が溜まりやすいが、除去装置により余剰塗料を除去するので、凸部の斜面下端付近に塗料が溜まることがなく、建築板の表面全体は均一に塗装される。なお、除去装置が、建築板の表面の塗料の量を40〜200g/mとするのは、該除去装置後の該建築板の表面における該塗料の量が40g/mより少ないと、塗装後の建築板の耐水性、耐候性等の物性に悪影響を及ぼす恐れがあり、200g/mより多いと、塗膜が厚くなりすぎて乾燥に時間がかかるなどの悪影響を及ぼす恐れがあるためである。よって、本発明の塗装装置は、建築板の表面に塗料を過剰に塗布する塗布装置と、その後に余剰分の塗料を除去する除去装置を有するので、該建築板の表面に塗料を塗り残し無く十分に塗布するとともに、該建築板の表面に形成される塗料液膜の厚さを均一化することができる。
また、該建築板の表面の塗料液膜に空気を吹き付ける加圧装置を有するとともに、除去装置から加圧装置までの間、該建築板の表面に大気圧以上の圧力がかかっている状態とするので、塗料は該建築板の表面内部方向へ押圧され、該建築板の表面に浸透するとともに、該建築板の表面にある微細な凹凸を埋めるので、該建築板の表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、該建築板への塗料の密着が改善される。
更に、加圧装置は、該建築板の横幅よりも広い横幅で、該建築板の表面を覆う空気吹き出し口を備えるので、該建築板の表面に確実に空気を吹き付けることができる。
更に、該空気吹き出し口は、除去装置の後にあり、該建築板の表面を覆っているので、該除去装置により余剰分の塗料が飛散しやすいが、該空気吹き出し口により、該建築板の表面に飛散した塗料が付着することを防ぐことができる。
【0011】
本請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗装装置であり、前記塗布装置は、前記建築板の表面に塗料を400〜2200g/m塗布することを特徴とする建築板の塗装装置である。
本発明において、除去装置の前にある塗布装置が、建築板の表面に塗料を400〜2200g/m塗布するので、該建築板の表面全体に十分な量の該塗料を塗布することができるとともに、該建築板に該塗料が十分に浸透し、塗装後の建築板は水を吸いにくくなる。なお、建築板の表面に塗料が400〜2200g/m塗布されるように行うのは、400g/m以上の塗布量であれば、建築板の表面に複雑な凹凸模様が形成されていたとしても表面全体に十分な量の塗料を塗布することが可能であり、また、2200g/mより多い塗布量であっても、2200g/mの場合と比較して効果が上がるわけではなく、膨大な塗料が必要になる、設備費が高くなる、該建築板の表面に塗布された余剰分の塗料を除去する工程において除去される塗料の量が多くなり非効率であるなどのデメリットが発生するためである。
【0012】
本請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の塗装装置であり、前記加圧装置の空気吹き出し口は、更に前記建築板の側面をも覆うことを特徴とする建築板の塗装装置である。
本発明において、加圧装置の空気吹き出し口が建築板の表面と側面を覆った状態で空気を吹き付けるので、該建築板の表面と側面に確実に空気を吹き付けることができる。更に、該空気吹き出し口は、除去装置の後にあり、該建築板の表面と側面を覆うので、該除去装置により余剰分の塗料が飛散しやすいが、該空気吹き出し口により、該建築板の表面と側面に飛散した塗料が付着することを防ぐことができる。
【0013】
本請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の塗装装置であり、前記加圧装置は、更に、整流板を有することを特徴とする建築板の塗装装置である。
本発明において、加圧装置は、整流板により空気を整流して空気吹き出し口から建築板の表面の塗料液膜に空気を吹き付けるので、該建築板の表面全体に確実に空気を吹き付けることができる。
【0014】
本請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の塗装装置であり、更に、前記建築板の裏面を減圧する減圧装置を有し、上記減圧装置を前記加圧装置の下方で、かつ、前記建築板の下方に備えることを特徴とする建築板の塗装装置である。
減圧装置は、建築板の搬送ラインにおいて、加圧装置の下方で、かつ、搬送される該建築板より下方に備えられており、搬送される該建築板の下方の空気を吸い込むことにより該建築板の裏面を減圧する。
本発明において、加圧装置により建築板の表面の塗料に空気が吹き付けられるとともに、減圧装置により該建築板の裏面が減圧されるので、塗料は該建築板の表面内部方向へ押圧されるとともに裏面側へ引っ張られ、該建築板の表面にある微細な凹凸を更に埋めやすくなり、該建築板の表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、該建築板への塗料の密着が更に改善される。
【0015】
本請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の塗装装置であり、前記加圧装置の作業距離は、前記減圧装置の作業距離よりも長いことを特徴とする建築板の塗装装置である。
前述したとおり、加圧装置は、建築板の横幅よりも広い横幅で、該建築板の表面を覆うことができる空気吹き出し口を有する。本発明において、加圧装置の作業距離は、減圧装置の作業距離よりも長いので、該減圧装置は、加圧装置の空気吹き出し口により上方が覆われた状態で作動することとなり、減圧する際の空気の吸い込みが安定する。
【0016】
本請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の塗装装置であり、前記加圧装置の空気吹き出し口は、前端部に塗料止めを有することを特徴とする建築板の塗装装置である。
塗料止めとしては、前記加圧装置の空気吹き出し口の前端部を90度に折り曲げたものや、断面L字型のアングルなどがある。
本発明において、加圧装置は前端部に塗料止めを有するので、除去装置により飛散した塗料が該加圧装置の上面に付着した際に、付着した塗料が前端部から垂れて建築板の表面に付着することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗装装置によれば、建築板を搬送しながら、該建築板の表面に塗料を塗り残し無く十分に塗布するとともに、該建築板の表面に形成される塗膜の厚さを均一化することができる。また、表面に凹凸を有する建築板であっても、搬送しながら、該建築板の表面に塗料を塗り残し無く十分に塗布するとともに、塗料溜まりを発生させることなく、該建築板の表面に形成される塗膜の厚さを均一化することができる。更に、該建築板への塗膜の密着を改善することができる、該建築板の表面に、除去装置により飛散した塗料が付着することを防ぐことができる、該建築板の表面全体に塗料が十分に浸透し、水を吸いにくい建築板を得られるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、初めに本発明の塗装装置を備えた設備の一例を説明し、次に該設備を用いた塗装方法を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図であり、図2は図1に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
図1に示された設備では、建築板Aが、表面を上側にして搬送ライン上に置かれ、搬送ローラー1を矢印X方向に回転させることにより、建築板Aは搬送ライン上を矢印Y方向に搬送される。なお、建築板Aは表面に凸部A1を有し、縦3030mm、横463mmの大きさであり、進行方向に対して垂直側の幅が463mmとなるように搬送される。
搬送ラインには、筺体の塗装装置C1が設けられており、建築板Aは表面を上側にして塗装装置C1の内部を通過する。塗装装置C1は、内部にスプレー10と、エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とを備える。塗装装置C1において、搬送ラインの上方には、搬入口側から搬出側に向かってスプレー10、エアーナイフ20、空気吹付室30が設けてあり、スプレー10とエアーナイフ20の間は壁71により区画されている。一方、塗装装置C1において、搬送ラインの下方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料回収室40と、減圧室50とが設けてあり、塗料回収室40と減圧室50の間は壁72により区画されている。なお、塗装装置C1が筺体であるのは、塗料が外部に飛散することを防ぐためである。
スプレー10は建築板Aの表面に塗料Bを塗布する塗布装置であり、供給された塗料Bを、ノズルから噴射することができる。本設備においては、建築板Aがスプレー10の下方を通過する際に、ノズルから塗料Bを噴射して、建築板Aの表面に塗料Bを塗布量400〜2200g/mとなるよう塗布し、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。
エアーナイフ20は建築板Aの表面に塗布された余剰分の塗料Bを除去し、塗料液膜を形成する除去装置であり、ブロアー室61からエアー分配室62を介して空気が供給されるようになされており、エアーナイフ20の先端ノズルから高圧の空気を吹き付けることができる。本設備においては、スプレー10により表面に塗料Bが塗布された建築板Aがエアーナイフ20の下方を通過する際に、先端ノズルから空気を吹き付け、建築板Aの表面の余剰分の塗料Bを空気により除去し、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとすることができるとともに、凸部A1の斜面下端付近に塗料Bが過剰に溜まることなく、厚さが均一な塗料液膜を形成することができる。なお、図2に示すように、エアーナイフ20の進行方向に対して垂直側の幅は、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅よりも広く、エアーナイフ20は、建築板Aを、進行方向に対して斜めに横断する状態となるように設置されているので、建築板Aへの空気の吹き付けが、進行方向に対して斜めに横断した状態で行われる。この状態で高圧の空気を吹き付けると、余剰塗料は建築板Aを斜めに横断して最後には建築板Aの端部から落ちることとなり、確実に余剰分の塗料を除去し、塗料液膜を形成することができる。また、建築板Aに塗り残しや塗料Bの量が他よりも少ない部分があった場合には、余剰分の塗料Bにより塗料が補充され、厚さが均一な塗料液膜を形成することができる。
なお、スプレー10とエアーナイフ20の間は壁71により区画されており、エアーナイフ20から吹き出された空気やエアーナイフ20により飛散した塗料Bがスプレー10に影響を与えることを防いでいる。
空気吹付室30は建築板Aの表面の塗料液膜に空気を吹き付ける加圧装置であり、空気吹き出し口31と、整流板32とを備えており、ブロアー室61からエアー分配室62を介して空気が供給されるようになされており、空気吹き出し口31より空気を吹き出すことができる。空気吹き出し口31より吹き出される空気は、整流板32により整流されるので、空気吹き出し口31の全体から空気を吹き出すことができる。空気吹き出し口31の進行方向に対して垂直側の幅は、図2に示すように、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅よりも広く、かつ、図1に示すように、建築板Aの側面をも覆っている。この状態で空気吹き出し口31より空気を吹き出すと、建築板Aの表面全体に確実に空気を吹き付けることができるとともに、建築板Aの表面と側面に、エアーナイフ20により飛散した塗料Bが付着することを防ぐことができる。本設備においては、エアーナイフ20により余剰分の塗料Bが除去され、塗料液膜が形成された建築板Aが空気吹付室30の下方を通過する際に、空気吹き出し口31から空気を吹き付けることができる。この空気吹付室30の空気吹き付けにより、塗料Bは建築板Aの表面内部方向へ押圧されることとなり、建築板Aの表面にある微細な凹凸を埋めるので、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、建築板Aへの塗料Bの密着が改善される。なお、空気吹付室30はエアーナイフ20よりも搬出口側に設けられているので、空気吹き出し口31の先端は、エアーナイフ20の設置状態に沿って、建築板Aを斜めに横断した形状となっている。また、空気吹き出し口31の前端部には断面L字形状のアングル33を有する。このアングル33を有することにより、エアーナイフ20により除去され飛散した塗料Bが空気吹付室30に、特に空気吹き出し口31の上面に付着したとしても、付着した塗料Bはアングル33に沿って横方向に流れ、空気吹き出し口31の横端部から落ちるので、前端部から垂れて建築板の表面に付着することを防ぐことができ、建築板Aの外観を損なわない。
なお、エアーナイフ20と空気吹付室30の間には若干の隙間があるが、本設備において、エアーナイフ20と空気吹付室30は1つの筺体の1区画内にあり、エアーナイフ20と空気吹付室30のどちらも建築板Aの表面を加圧しているので、同区画内は全体として加圧状態にあり、建築板Aの表面は、エアーナイフ20から空気吹付室30へ搬送される間も大気圧以上の圧力がかかった状態にある。
塗料回収室40はスプレー10から噴射されたが建築板Aに塗布されなかった塗料B、及び、エアーナイフ20により除去された塗料Bを回収する装置である。本設備においては、建築板Aが塗料回収室40の上方を通過する際に、スプレー10から噴射されたが建築板Aに塗布されなかった塗料B、及び、エアーナイフ20により除去された塗料Bを回収する。回収された塗料Bは金網(図示せず)により濾過し、ポンプ41により再びスプレー10に供給される。
減圧室50は建築板Aの裏面を減圧する減圧装置であり、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧することができる。本設備においては、建築板Aが減圧室50の上方を通過する際に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。減圧室50は空気吹付室30の下方にあるので、塗料Bは建築板Aの表面内部方向へ押圧されるとともに裏面側へ引っ張られるので、建築板Aの表面にある微細な凹凸を更に埋めやすくなり、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、建築板Aへの塗料Bの密着が更に改善される。また、減圧室50は空気吹き出し口31により上方の一部が常に覆われた状態なので、減圧する際の空気の吸い込みが安定する。
【0020】
次に、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラー1を矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送し、建築板Aがスプレー10の下方を通過する際に、スプレー10のノズルから塗料Bを噴射し、建築板Aの表面に塗料Bが塗布量400〜2200g/mとなるよう塗布する。このスプレー10による塗料Bの塗布により、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。なお、スプレー10から噴射されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
続いて、スプレー10により表面に塗料Bが塗布された建築板Aがエアーナイフ20の下方を通過する際に、エアーナイフ20の先端ノズルから空気を吹き付け、建築板Aの表面の余剰分の塗料を空気により除去し、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとするとともに、凸部A1の斜面下端付近に塗料Bが過剰に溜まることなく、建築板Aの表面に厚さが均一な塗料液膜を形成する。前述したとおり、エアーナイフ20の進行方向に対して垂直側の幅は、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅よりも広く、エアーナイフ20は、建築板Aを、進行方向に対して斜めに横断する状態となるように設置されており、建築板Aへの空気の吹き付けが、進行方向に対して斜めに横断した状態で行われるので、余剰塗料は建築板Aを斜めに横断して最後には建築板Aの端部から落ちることとなり、確実に余剰分の塗料Bが除去され、厚さが均一な塗料液膜が形成される。また、建築板Aに塗り残しや塗料Bの量が他よりも少ない部分があった場合には、余剰分の塗料により塗料が補充され、厚さが均一な塗料液膜が形成される。なお、エアーナイフ20により除去された塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
更に、エアーナイフ20により余剰分の塗料Bが除去され、塗料液膜が形成された建築板Aが空気吹付室30の下方を通過する際に、空気吹き出し口31から空気を吹き付ける。前述したとおり、空気吹き出し口31より吹き出される空気は、整流板32により整流され、空気吹き出し口31の全体から空気が吹き出されており、空気吹き出し口31の進行方向に対して垂直側の幅は、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅よりも広く、かつ、建築板Aの側面をも覆っているので、建築板Aの表面と側面に、エアーナイフ20により飛散した塗料Bが付着することを防ぐとともに、建築板Aの表面全体に確実に空気を吹き付けられる。この空気の吹きつけにより、塗料Bは建築板Aの表面内部方向へ押圧されることとなり、建築板Aの表面にある微細な凹凸を埋めるので、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、建築板Aへの塗料Bの密着が改善される。
更に、建築板Aが減圧室50の上方を通過する際に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。前述したように、減圧室50は空気吹付室30の下方にあるので、塗料Bは建築板Aの表面内部方向へ押圧されるとともに裏面側へ引っ張られるので、建築板Aの表面にある微細な凹凸を更に埋めやすくなり、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にするとともに、建築板Aへの塗料Bの密着が更に改善される。また、減圧室50は空気吹き出し口31により上方の一部が常に覆われた状態なので、減圧する際の空気の吸い込みが安定する。
【0021】
更に、本発明の別の塗装装置を備えた設備の一例を示す。
図3は本発明の別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図であり、図4は図3に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
搬送ラインには、筺体の塗装装置C2が設けられており、建築板Aは表面を上側にして塗装装置C2の内部を通過する。塗装装置C2は、図1と図2に示された塗装装置C1のスプレー10をフローコーター11に変更しただけであり、他は塗装装置C1と同じである。すなわち、塗装装置C2は、内部にフローコーター11と、エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とを備える。塗装装置C2において、搬送ラインの上方には、搬入口側から搬出側に向かってフローコーター11、エアーナイフ20、空気吹付室30が設けてあり、フローコーター11とエアーナイフ20の間は壁71により区画されている。一方、塗装装置C2において、搬送ラインの下方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料回収室40と、減圧室50とが設けてあり、塗料回収室40と減圧室50の間は壁72により区画されている。
本設備では、フローコーター11により、建築板Aの表面に塗料Bを塗布量400〜2200g/mとなるよう塗布し、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。なお、フローコーター11から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とについては図1と図2に示した設備と同じであり、図1と図2に示した設備と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成される塗料液膜の厚さを均一化することができる。
【0022】
次に、図3と図4に示した設備を用いた塗装方法を説明する。
図3と図4に示された設備では、図1と図2に示された設備において、スプレー10をフローコーター11に変更したので、搬送された建築板Aの表面に、フローコーター11により、塗布量400〜2200g/mとなるよう塗料Bを塗布する。このフローコーター11による塗料Bの塗布により、建築板Aの表面に塗料を十分に塗布することができる。なお、フローコーター11から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
他は図1と図2に示された設備と同じなので、フローコーター11以後の塗装方法は、上述した図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様である。すなわち、エアーナイフ20により建築板Aの表面の余剰分の塗料Bを除去して、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとするとともに、塗料液膜を形成し、続いて空気吹付室30の空気吹き出し口31から建築板Aの塗料液膜に空気を吹き付け、更に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。なお、エアーナイフ20により除去された塗料Bも塗料回収室40に回収する。
図3と図4に示した設備を用いた塗装方法においても、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にし、建築板Aへの塗料Bの密着を改善することができる。
【0023】
更に、本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示す。
図5は本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図であり、図6は図5に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
搬送ラインには、筺体の塗装装置C3が設けられており、建築板Aは表面を上側にして塗装装置C3の内部を通過する。塗装装置C3は、図1と図2に示された塗装装置C1のスプレー10を、底面に排出口を備えた塗料貯留タンク12に変更しただけであり、他は塗装装置C1と同じである。すなわち、塗装装置C3は、内部に塗料貯留タンク12と、エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とを備える。塗装装置C3において、搬送ラインの上方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料貯留タンク12、エアーナイフ20、空気吹付室30が設けてあり、塗料貯留タンク12とエアーナイフ20の間は壁71により区画されている。一方、塗装装置C3において、搬送ラインの下方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料回収室40と、減圧室50とが設けてあり、塗料回収室40と減圧室50の間は壁72により区画されている。
本設備では、塗料貯留タンク12の底面の排出口から塗料Bを自重落下させることにより、建築板Aの表面に塗料Bを塗布量400〜2200g/mとなるよう塗布し、建築板Aの表面に塗料を十分に塗布することができる。なお、塗料貯留タンク12から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とについては図1と図2に示した設備と同じであり、図1と図2に示した設備と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成される塗料液膜の厚さを均一化することができる。
【0024】
次に、図5と図6に示した設備を用いた塗装方法を説明する。
図5と図6に示された設備では、図1と図2に示された設備において、スプレー10を、底面に排出口を備えた塗料貯留タンク12に変更したので、搬送された建築板Aの表面に、塗料貯留タンク12の底面の排出口から塗料Bを自重落下させることにより、塗布量400〜2200g/mとなるよう塗料Bを塗布する。この塗料貯留タンク12を用いた塗料Bの塗布により、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。なお、塗料貯留タンク12から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
他は図1と図2に示された設備と同じなので、塗料貯留タンク12による塗料Bの塗布以後の塗装方法は、上述した図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様である。すなわち、エアーナイフ20により建築板Aの表面の余剰分の塗料Bを除去して、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとするとともに、塗料液膜を形成し、続いて空気吹付室30の空気吹き出し口31から建築板Aの塗料液膜に空気を吹き付け、更に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。なお、エアーナイフ20により除去された塗料Bも塗料回収室40に回収する。
図5と図6に示した設備を用いた塗装方法においても、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にし、建築板Aへの塗料Bの密着を改善することができる。また、塗料貯留タンク12の底面の排出口から塗料Bを自重落下させることにより、建築板Aの表面に塗料Bを塗布するので、使用する塗料の粘性を受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まり、更に、エネルギーコストを安く抑えることができる。
【0025】
更に、本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示す。
図7は本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図であり、図8は図7に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
搬送ラインには、筺体の塗装装置C4が設けられており、建築板Aは表面を上側にして塗装装置C4の内部を通過する。塗装装置C4は、図1と図2に示された塗装装置C1のスプレー10を、ノズルの塗料噴射口14の下方に塗料噴射口14と対面し、湾曲した塗料受液面15を有する低圧塗装機13に変更しただけであり、他は塗装装置C1と同じである。すなわち、塗装装置C4は、内部に低圧塗装機13と、エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とを備える。塗装装置C4において、搬送ラインの上方には、搬入口側から搬出側に向かって低圧塗装機13、エアーナイフ20、空気吹付室30が設けてあり、低圧塗装機13とエアーナイフ20の間は壁71により区画されている。一方、塗装装置C4において、搬送ラインの下方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料回収室40と、減圧室50とが設けてあり、塗料回収室40と減圧室50の間は壁72により区画されている。
本設備では、低圧塗装機13のノズルの塗料噴射口14から低圧で大量の塗料Bを噴射し、塗料受液面15で塗料Bを拡散させることにより、建築板Aの表面に塗料Bを塗布量400〜2200g/mとなるよう塗布し、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。なお、低圧塗装機13から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
エアーナイフ20と、空気吹付室30と、塗料回収室40と、減圧室50とについては図1と図2に示した設備と同じであり、図1と図2に示した設備と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成される塗料液膜の厚さを均一化することができる。
【0026】
次に、図7と図8に示した設備を用いた塗装方法を説明する。
図7と図8に示された設備では、図1と図2に示された設備において、スプレー10を、ノズルの塗料噴射口14の下方に塗料噴射口14と対面し、湾曲した塗料受液面15を有する低圧塗装機13に変更したので、搬送された建築板Aの表面に、低圧塗装機13のノズルの塗料噴射口14から低圧で大量の塗料Bを噴射し、塗料受液面15で塗料Bを拡散させることにより、塗布量400〜2200g/mとなるよう塗料Bを塗布する。この低圧塗装機13を用いた塗料Bの塗布により、建築板Aの表面に塗料Bを十分に塗布することができる。なお、塗料貯留タンク12から流下されたが建築板Aに塗布されなかった塗料Bは、塗料回収室40に回収する。
他は図1と図2に示された設備と同じなので、低圧塗装機13による塗料Bの塗布以後の塗装方法は、上述した図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様である。すなわち、エアーナイフ20により建築板Aの表面の余剰分の塗料Bを除去して、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとするとともに、塗料液膜を形成し、続いて空気吹付室30の空気吹き出し口31から建築板Aの塗料液膜に空気を吹き付け、更に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。なお、エアーナイフ20により除去された塗料Bも塗料回収室40に回収する。
図7と図8に示した設備を用いた塗装方法においても、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にし、建築板Aへの塗料Bの密着を改善することができる。また、低圧塗装機13のノズルの塗料噴射口14から低圧で大量の塗料Bを噴射し、塗料受液面15で塗料Bを拡散させることにより、建築板Aの表面に塗料Bを塗布するので、塗料Bの塗布量が安定する、飛散する塗料Bの量を抑えることができる、エネルギーコストを安く抑えることができるという効果も奏する。
【0027】
更に、本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示す。
図9は本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図であり、図10は図9に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
搬送ラインには、筺体の塗装装置C5が設けられており、建築板Aは表面を上側にして塗装装置C5の内部を通過する。塗装装置C5は、図1と図2に示された塗装装置C1の空気吹付室30の形状を変更するとともに、アングル33を無くして折り曲げ34を有し、更に、壁73を追加しているが、他は塗装装置C1と同じである。折り曲げ34は空気吹き出し口31’の前端部に形成されており、上方に向かって折り曲げられている。壁73は、空気吹き出し口31’の上方で、折り曲げ34よりも搬出口側に設けられており、エアーナイフ20で飛散した塗料Bが壁73よりも搬出口側へ移動することを防いでおり、空気吹付室30’への塗料Bの付着を軽減することができる。壁73に付着した塗料Bは空気吹き出し口31’の上面に垂れるが、空気吹き出し口31’の上面が傾斜形状となっているので、空気吹き出し口31’の上面の塗料Bは前端部方向へ移動することとなる。前端部には折り曲げ34が形成されているので、この折り曲げ33により塗料Bは横方向に流れ、空気吹き出し口31’の横端部から落ちる。
また、塗装装置C5は、内部にスプレー10と、エアーナイフ20と、空気吹付室30’と、塗料回収室40と、減圧室50をも備える。塗装装置C5において、搬送ラインの上方には、搬入口側から搬出側に向かってスプレー10、エアーナイフ20、空気吹付室30’が設けてあり、スプレー10とエアーナイフ20の間は壁71により区画されている。一方、塗装装置C5において、搬送ラインの下方には、搬入口側から搬出側に向かって塗料回収室40、減圧室50が設けてある。
スプレー10と、エアーナイフ20と、空気吹付室30’と、塗料回収室40と、減圧室50とについては図1と図2に示した設備と同じであり、図1と図2に示した設備と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成される塗料液膜の厚さを均一化することができる。
【0028】
次に、図9と図10に示した設備を用いた塗装方法を説明する。
図9と図10に示した設備を用いた塗装方法においても、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様に、スプレー10により建築板Aの表面に塗布量400〜2200g/mとなるよう塗料Bを塗布し、余剰分の塗料Bをエアーナイフ20で除去して、建築板Aの表面の塗料Bの量を40〜200g/mとするとともに、建築板Aの表面に塗料液膜を形成させ、更に、空気吹き出し口31’から建築板Aの表面の塗料液膜に空気を吹き付け、更に、減圧室50内の空気をブロアー室61へ送ることにより減圧室50内を減圧して、建築板Aの裏面を減圧する。なお、スプレー10から噴射されたが建築板Aに塗布されなかった塗料B、及びエアーナイフ20により除去された塗料Bは塗料回収室40に回収する。
図9と図10に示した設備を用いた塗装方法においても、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同様に、建築板Aの表面に塗料Bを塗り残し無く十分に塗布するとともに、建築板Aの表面に形成された塗料液膜の厚さを更に均一にし、建築板Aへの塗料Bの密着を改善することができる。
【0029】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内において種々の変形態を取り得る。例えば、建築板の表面の形状に制限はなく、表面の凹凸形状は建築板Aと異なっても良いし、表面に凸部A1を有さない平滑な表面でも良い。また、図1と図2に示した設備において、塗装装置を1つの筺体とせず、スプレー、エアーナイフ、空気吹付室毎に筺体を設けても良いし、スプレーのみを筺体の外に設けても良い。その場合の塗装方法は、上述した図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同じである。これは図3〜図10に示した設備においても同様である。更に、エアーナイフを複数設置し、複数のエアーナイフにより建築板の表面の余剰塗料を除去しても良いし、エアーナイフに変えて柔らかいロールを設置し、該ロールを接触させて余剰塗料を除去しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上説明したように、本発明の塗装装置によれば、建築板を搬送しながら、該建築板の表面に塗料を塗り残し無く十分に塗布するとともに、該建築板の表面に形成される塗膜の厚さを均一化することができる。また、表面に凹凸を有する建築板であっても、搬送しながら、該建築板の表面に塗料を塗り残し無く十分に塗布するとともに、塗料溜まりを発生させることなく、該建築板の表面に形成される塗膜の厚さを均一化することができる。更に、該建築板への塗膜の密着を改善することができる、該建築板の表面に、除去装置により飛散した塗料が付着することを防ぐことができる、該建築板の表面全体に塗料が十分に浸透し、水を吸いにくい建築板を得られるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図である。
【図2】図1に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
【図3】本発明の別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図である。
【図4】図3に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
【図5】本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図である。
【図6】図5に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
【図7】本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図である。
【図8】図5に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
【図9】本発明の更に別の塗装装置を備えた設備の一例を示した側方断面図である。
【図10】図5に示した設備の1−1’線の断面を上方側から見た断面図である。
【符号の説明】
【0032】
A 建築板
A1 凸部
B 塗料
C1〜C3 塗装装置
1 搬送ローラー
10 スプレー
11 フローコーター
12 塗料貯留タンク
13 低圧塗装機
14 塗料噴射口
15 塗料受液面
30,30’ 空気吹付室
31,31’ 空気吹き出し口
32 整流板
33 アングル
34 折り曲げ
40 塗料回収室
41 ポンプ
50 減圧室
61 ブロアー室
62 エアー分配室
71 壁
72 壁
73 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築板の表面を上側にして搬送しながら、該建築板の表面全体に塗装を施す塗装装置であり、
上記建築板の表面に塗料を塗布する塗布装置と、
上記建築板の表面に塗布された余剰分の塗料を除去し、塗料液膜を形成する除去装置と、
上記建築板の表面の塗料液膜に空気を吹き付けて、該塗料液膜を加圧する加圧装置とを有し、
上記除去装置は、該建築板の表面の塗料の量を40〜200g/mとし、
上記加圧装置は、上記除去装置よりも後工程に設けてあり、更に、該加圧装置は、上記建築板の横幅よりも広い横幅で、該建築板の表面を覆う空気吹き出し口を備え、
上記除去装置から上記加圧装置までの間、上記建築板の表面に大気圧以上の圧力がかかっている状態とする
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗装装置であり、
前記塗布装置は、前記建築板の表面に塗料を400〜2200g/m塗布する
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗装装置であり、
前記加圧装置の空気吹き出し口は、更に前記建築板の側面をも覆う
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の塗装装置であり、
前記加圧装置は、更に、整流板を有する
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の塗装装置であり、
更に、前記建築板の裏面を減圧する減圧装置を有し、
上記減圧装置を前記加圧装置の下方で、かつ、前記建築板の下方に備える
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の塗装装置であり、
前記加圧装置の作業距離は、前記減圧装置の作業距離よりも長い
ことを特徴とする建築板の塗装装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の塗装装置であり、
前記加圧装置の空気吹き出し口は、前端部に塗料止めを有する
ことを特徴とする建築板の塗装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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