説明

建築構造体

【課題】中空形材の端部を熱延び用間隔を取って連結する構造部分において、熱延びを吸収させる長孔が、中空形材を連結した構造部分の外観に現れないようにする。
【解決手段】一方中空形材2の端部と他方中空形材3の端部間を、熱延び用間隔を取って連結具4で連結する。連結具4は架設材9と受け板11を備える。架設材9は一端を一方中空形材に固定すると共に他端に長孔8と受け板連結用ねじ孔12aを有する。受け板11は架設材9に長孔10を介して連結されると共に他方中空形材3に、架設材9の長孔8を介して固定される。長孔8,10はいずれも中空形材の長手方向に長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空形材を連結した構造部分を持つ建築構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造体において、例えば胴縁や笠木などの中空形材を連結した構造部分では、熱延びによる寸法変化を考慮して種々の熱延び吸収構造が提案されている。連結しようとする中空形材の対向した端部間に連結具を差し込んで、連結具の一方を一方の中空形材(一方中空形材)にねじなどで固定するとともに他方を他方の中空形材(他方中空形材)に長孔を介して熱延び方向へスライド可能に連結する構造もその一つである(非特許文献1)。
【0003】
図16は、その基本的な構造を示したもので、建築構造体の中空形材を連結した構造部分である。図において、符号1は中空形材を連結した構造部分であり、一方の中空形材2(一方中空形材2)と、他方の中空形材3(他方中空形材3)と、これらを連結する連結具4とを備え、連結具4は、一方中空形材2及び他方中空形材3の長手方向端部の内部に架け渡して配置され、この例では、連結具4の一方中空形材2側が一方の中空形材2とねじ5によりガタのないように固定され、他方中空形材3側はこの中空形材3の端部に設けた長孔6を貫通させたねじ7により、他方中空形材3に連結されている。ねじ7の締め付けは、中空形材の熱延びによってねじ7が長孔6をスライドできる程度とされる。
このような、長孔を利用する熱延び吸収構造は構成が簡単で採用しやすいが、一方の中空形材に長孔を形成しなければならない手間がかかるのと、そのままでは長孔が外部から見え、建築構造体の外観を損ねてしまう恐れがあるなどの難点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三協立山アルミのカタログ「パブリックエクステリア総合カタログ2011」(STX0570A) 第315ページ 特許庁受入れ2011年1月17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中空形材を連結した構造部分の熱延びを吸収して、建築構造体の変形や破損を防止するための構造であって、中空形材の寸法変化を吸収させるために設ける長孔が中空形材の外観に現れない構造とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
連結具を架設材と受け板の2枚構造とし、一方中空形材に架設材を固定し、他方中空形材に受け板を固定し、架設材と受け板間で長孔による熱延び吸収構造を構成する。連結具は全体が一方中空形材と他方形材のそれぞれ中空部端部に呑み込まれるので、長孔が一方中空形材や他方中空形材の外観に現れない。
【発明の効果】
【0007】
連結具で中空形材の熱延びを吸収するので、中空形材に長孔を形成する必要がなく、加工の手間を削減できると共に、長孔が露出することによって建築構造体の外観が損なわれてしまうのを防止することができる。
連結具が架設材と受け板とで構成され、架設材は一方中空形材に固定され、受け板は他方中空形材に固定され、さらに、受け板と架設材が長孔を介して連結されるので、連結強度が向上すると共に、ガタつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】中空形材を連結した構造部分を示す分解斜視図。
【図2】中空形材を連結した構造部分の断面見透しによる平面図。
【図3】笠木タイプフェンスの正面図(実施例1)。
【図4】フェンスのパネルと支柱との取付け構造を示した断面見透しによる側面図。
【図5】構造部分A,Bの断面見透しによる側面図。
【図6】(イ)は、笠木の背面と断面を示す図、(ロ)は、笠木の底面と背面を示す図。
【図7】(イ)は、構造部分Aの断面見透しによる平面図、(ロ)は、その反対側の接続箇所の断面見透しによる平面図。
【図8】中空形材を連結した構造部分を示す分解斜視図(実施例1)。
【0009】
【図9】(イ)は笠木用隙間カバーの斜視図、(ロ)は下弦材用隙間カバーの斜視図。
【図10】格子タイプフェンスの正面図(実施例2)。
【図11】フェンスのパネルと支柱との取付け構造を示した断面見透しによる側面図。
【図12】構造部分Aの断面見透しによる側面図。
【図13】構造部分Aの正面図。
【図14】構造部分A(実施例3の)の平面図であり、(イ)は連結状態、(ロ)は連結解除状態。
【図15】笠木の底面図(実施例3)。
【図16】中空形材を連結した構造部分の斜視図(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、図2に示すように、一方中空形材2と他方中空形材3とを連結具4で連結する。連結具4は、架設材9と受け板11を備え、架設材9は架設材側長孔8を有し、受け板11は、受け板側長孔10を有する。
架設材側長孔8および受け板側長孔10は、いずれも、熱延びによる寸法変化を吸収できる長さを有する。
架設材9に受け板連結用ねじ12で受け板11を連結する。受け板連結用ねじ12は、受け板11の受け板側長孔10を貫通して架設材9の受け板連結用ねじ孔12aへねじ込まれる。受け板連結用ねじ孔12aは、架設材9に設けた固定部であって、受け板11と架設材9を連結するために用いる。受け板11と架設材9との連結構造は、受け板側長孔10により、相互に熱延び方向へスライド可能である。このように連結された架設材9と受け板11とで連結具4が構成される。
連結具4は、一方中空形材2及び他方中空形材3の長手方向端部の内部に架け渡して配置する。そして、一方中空形材2の外から架設材固定用ねじ13を架設材9の架設材固定用ねじ孔13aにねじ込んで連結具4の一端部を一方中空形材2に固定し、また、連結具4の他端部を他方中空形材3に、架設材連結用ねじ14を架設材9の架設材側長孔8を貫通させ、受け板11の架設材連結用ねじ孔14aへねじ込むことで連結する。これにより、一方中空形材2と他方中空形材3が相互に、熱延び方向へスライド可能に連結される。架設材固定用ねじ孔13aは、架設材9における固定部であって、架設材9と一方の中空形材2を固定するために用いる。また、架設材連結用ねじ孔14aは、受け板11における固定部であって、受け板11と他方中空形材3を連結するために用いる。
【実施例1】
【0011】
図3は、フェンスの一部であり、フェンスは建築構造体である。このフェンス15は、基礎16に立設した支柱17にパネル18を取り付けて構成されている。
この実施例のパネル18は笠木タイプの縦格子であり、上辺の笠木19と下辺の下弦材20との間に縦桟21が配置され、これらの上下がそれぞれ笠木19と下弦材20とにねじ22,23によってねじ止めされている(図4)。笠木19、下弦材20、縦桟21は、この実施例において、いずれもアルミ合金の中空形材で構成されている。
パネル18は、その上辺を係合するフック24(図4)と下辺を係合するフック25を、共に支柱17の正面へ固定することによって、支柱17へ取り付けられる。なお、図において、フック24,25を支柱17へ固定するために支柱17を貫通してフック24,25にねじ込まれるボルトは図示していない。
【0012】
上方のフック24は上部が正面側へ張り出すとともにその正面側端部が上方へ屈曲した載置係合部24aとなっており、この部分に笠木19の背面側下部に一体成形された鈎形の引掛け部24bが係合する。載置係合部24aの上端は背面側へ屈曲されていて、フック24が支柱17に固定されると引掛け部24bが上方へ抜け出ることができない抜け止め部24cとなっている。
下方のフック25は下方が載置係合部25aとなっており、この部分に下弦材20の背面側上部に一体成形された引掛け部25bが係合する。この載置係合部25aは正面側へ張り出した後上方へ屈曲した係合部を有するだけで抜け止め部は有していない。また、下方のフック25はパネル18の重量を支持するために上方のフック24よりも肉厚で頑丈に構成されている。
【0013】
笠木19の下面には下向きに開放されたコ字形の呑込み部24dが一体成形されており、この部分に各縦桟21の上部が呑み込まれ外部から見えないように外観を整え、フェンス15の意匠性を向上してある。また、縦桟21の下端は下弦材20の上面と間隔をとって下弦材20に固定されており、縦桟21下部の排水性を向上している。
【0014】
パネル18の笠木19と下弦材20は、この実施例において長さ2000mmの中空形材であり、パネル18を連ねて、より長いフェンス15を構築するときは、パネル18が隣接する箇所では笠木19及び下弦材20を連結する。この連結箇所は「中空形材を連結した構造部分」である。
図3の円囲み部分Aは、隣接した一方の笠木19aと他方の笠木19bが連結具26aを用いて連結されている「中空形材を連結した構造部分」(構造部分Aという)であり、同図3の円囲み部分Bは、隣接した一方の下弦材20aと他方の下弦材20bが連結具26bを用いて連結されている「中空形材を連結した構造部分」(構造部分Bという)である。
【0015】
なお、笠木19は、図6(イ)に示すように背面でその両端部に架設材固定用ねじ13を通すための取付け孔27と架設材連結用ねじ14を通すための取付け孔28(実施例においてそれぞれ2個)及び縦桟21の上部を固定するためのねじ22を通すための取付け孔29が形成されている。取付け孔29は等間隔に配置されている。図において、符号30は切り起こし片であり、中空材の内側へ突出している。図6(ロ)は、笠木の底面図である。
図5において、符号31は笠木用隙間カバー、符号32は下弦材用隙間カバーである(後述)。
【0016】
構造部分Aでは、図5,図7,図8に示すように、一方中空形材である一方の笠木19aと他方中空形材である他方の笠木19bとが、連結具26aを用いて連結されている(図7)。連結具26aは架設材9と受け板11を備える。架設材9には受け板連結用ねじ孔12a及び架設材側長孔8と架設材固定用ねじ孔13aが形成されている。受け板11には受け板側長孔10と架設材連結用ねじ孔14aが形成されている(図8)。
架設材側長孔8および受け板側長孔10は、いずれも、熱延びによる寸法変化を吸収できる長さ(実施例では約22mm)を有する。
【0017】
一方の笠木19aと他方の笠木19bを連結するときは、図5、図7に示されるように、まず、架設材9に受け板11を内面側から重合して受け板側長孔10を貫通する受け板連結用ねじ12を受け板11の受け板固定用ねじ孔12aにねじ込んで固定し、受け板11を架設材9に連結する。連結の程度は、受け板連結用ねじ12が中空形材の熱延び方向へガタなくスライドが可能な程度とする。
ついで、架設材9に受け板11を組み付けて一体とした連結具26aを一方の笠木19aと他方の笠木19bとの間に架け渡して配置し、その一端部を一方の笠木19aに架設材固定用ねじ13を架設材9の架設材固定用ねじ孔13aにねじ込んで固定し、また、他端部を他方の笠木19bに、架設材連結用ねじ14を架設材9の架設材側長孔8を貫通させて受け板11の架設材連結用ねじ孔14aへねじ込むことにより連結して、一方の笠木19aと他方の笠木19bを連結する。固定はねじとねじ孔に限らず、フックと係合孔による場合もある。この場合、係合孔が固定部となる。
【0018】
架設材固定用ねじ13、架設材連結用ねじ14は、隣接した笠木19a,19bの端部に形成されている前記の取付け孔27,28を通して架設材9及び受け板11にねじ込まれる(図8)。また、一方の笠木19aに設けた切り起こし片30は、連結具26aを一方の笠木19aの端部から中空部の内部へ差し込むとき、連結具26aが不測に一方の笠木19aの内部へ滑り込んでしまうのを防止する。
【0019】
笠木用隙間カバー31(図9イ)は、隣接した笠木19a,19bの一方の端部から差し込まれて笠木の外面に配置され(図5)、隣接した笠木19a,19b間に熱延び用に設定する隙間を覆う部材である。このため、図に見るように笠木の断面にほぼ一致した形態のリング状であり、リングの幅はこの実施例において15mmである。連結作業の当初に、隣接した笠木19a,19bの一方に端部から嵌め込んでおき、連結具29aによる連結が終了後に隙間位置にスライド移動させる。符号34は舌片であり、笠木用隙間カバー31の下面側から笠木の長手方向に一体に突出させてある。ねじ35(図5)を舌片34のねじ挿通孔33に通して笠木19aにねじ止めすることにより、笠木用隙間カバー31を笠木19aに取り付ける。これにより、笠木用隙間カバー31が連結箇所から位置ずれしてしまうのを防止している。
【0020】
構造部分Bでは、下弦材20a,20bが笠木19a,19bと断面形状が異なるものの、構造的には全く同様に(図5,図7,図8)、一方中空形材である一方の下弦材20aと他方中空形材である他方の下弦材20bとが、連結具26bを用いて連結されている(図7)。連結具26bは架設材9と受け板11を備える。架設材9には架設材側長孔8と受け板連結用ねじ孔12a及び架設材固定用ねじ孔13aが形成され、受け板11には受け板側長孔10と架設材連結用ねじ孔14aが形成されている。
下弦材用隙間カバー32(図9ロ)についても笠木用隙間カバー31の場合と同様であり、同じ説明となるので、対応する部品に同じ符号を付して説明を省略する。
【0021】
実施例1は、以上の構成であって、複数のパネル18を連ねたフェンス15は笠木19と下弦材20がそれぞれ一連につながった構造となる。連結具26a,26bはそれぞれ笠木19の連結部分(「中空形材を連結した構造部分」)、下弦材20の連結部分(同)の内部に隠れて露出することはない。そして、気温の上昇で熱延びが生じると、一方の笠木19aと他方の笠木19b間の間隙が変化するが、架設材固定用ねじ13により架設材9に固定された笠木19aと、架設材連結用ねじ14で受け板に固定され笠木19bとは、架設材連結用ねじ14が架設材9の架設材側長孔8に位置していること及び受け板11を架設材9へ取り付けている受け板連結用ねじ12が受け板側長孔10に位置していることで、一方の笠木19aと他方の笠木19bとが長手方向に相対的に移動できることで、前記間隙の変化が吸収される。これにより、フェンス15の変形や破損が防止される。
また、複数のパネル18を連ねたフェンス15は笠木19と下弦材20が一連につながり、また、熱延び吸収構造に利用する長孔が外観に現れないので、フェンスの意匠性が向上する。
さらに、従来品(図16)のように、熱伸び吸収のための長孔を中空形材(例えば、笠木19b)へ直接に設けると、中空形材の端部を連結具4の両端で固定する場合に、長孔側ではあらかじめ熱伸び分を考慮して長孔内でのねじの位置を定める必要がある。このため、連結するまでに長孔側の中空形材を抜き差し調整しなければならない。しかし、実施例の場合は、架設材9に対する受け板11の位置を長孔10を介して定めておけば、後は架設材9に受け板11を重合させた連結具26aを両側の中空形材と結合(固定)するだけで作業が完了するので、現場での作業性が改善される。
【実施例2】
【0022】
図10は、フェンス36の一部であり、支柱37にパネル38を取り付け、複数のパネル38を連結して構成されている。符号39は支柱37の基礎である。この実施例のパネル38は格子タイプであり、上下2本の胴縁40,41に縦桟42をねじ43(図11)で取り付けて構成されている。胴縁40,41及び縦桟42は、いずれもアルミ合金の中空形材で構成されている。パネル38は、上下の胴縁40,41をそれぞれフック44,45で支柱37へ取り付けることにより、支柱37に固定される。上下の胴縁40,41は、同じ中空形材から切り出したもので、同じ断面形状である。
フック44,45は同形で上部に鈎部46を有する載置部47を備えている。鈎部46は上端に背面側に曲がる抜け止め部48を有している。
【0023】
支柱37に対するパネル38の取付けは、支柱37の背面側から差し込んだボルト49,50でフック44,45をゆるく仮止め状態とし、この時にパネル38をフック44,45の載置部47に載せ、次いでボルト49,50を本締めすることで行う。ボルト49,50が本締めされると、載置部47の抜け止め部48が、胴縁40,41の下面に一体成形された引掛け部51に係合する。このため、パネル38が上方へ抜け出ることはない。
【0024】
パネル38を連結するとき、隣接するパネル38の胴縁40,41はそれぞれ連結具52で連結され、「中空形材を連結した構造部分」とされる。この実施例2では、図10に円で囲んだ構造部分Aと構造部分Bである。
なお、胴縁40は、図6の笠木19の場合と同様に、背面側の両端部に架設材固定用ねじ13を通すための取付け孔27,28(実施例においてそれぞれ2個)と縦桟21を固定するためのねじ43を通すための取付け孔29(胴縁40では正面側の下部)が等間隔に形成されている。
【0025】
構造部分Aでは、図12、図13(図8参照)に示すように、一方中空形材である一方の胴縁40aと他方中空形材である他方の胴縁40bとが、連結具52を用いて連結されている(図12)。連結具52は実施例1の連結具26aと基本的に同じ構造であり、架設材9と受け板11を備える。架設材9には架設材側長孔8と受け板連結用ねじ孔12a及び架設材固定用ねじ孔13aが形成され、受け板11には受け板側長孔10と架設材連結用ねじ孔14aが形成されている(図8参照)。
架設材側長孔8および受け板側長孔10は、いずれも、熱延びによる寸法変化を吸収できる長さを有する。
【0026】
一方の胴縁40aと他方の胴縁40bを連結するときは、実施例1の場合と同様に、まず、架設材9に受け板11を内面側から重合して受け板側長孔10を貫通する受け板連結用ねじ12で受け板11を架設材9に連結する。連結の程度は、受け板連結用ねじ12が中空形材の熱延び方向へガタなくスライドが可能な程度とする。
ついで、架設材9に受け板11を組み付けて一体とした連結具26aの一端部を、架設材固定用ねじ13で一方の胴縁40aに固定し、他端部を他方の胴縁40bに、架設材9の架設材側長孔8を貫通させた架設材連結用ねじ14で受け板11へ連結する。
架設材固定用ねじ13、架設材連結用ねじ14は、隣接した胴縁40a,40bの端部に形成されている前記の取付け孔27,28を通して架設材9及び受け板11にねじ込まれる(図8参照)。
【0027】
図12、図13において、符号53は胴縁用隙間カバーであって、隣接した胴縁40a,40bの一方の端部から差し込まれて胴縁40の外面に配置され、隣接した胴縁40a,40b間の熱延び吸収用の隙間を覆う部材である。このため、胴縁40の断面にほぼ一致した形態のリング状であり、リングの幅はこの実施例において15mmである。連結作業の当初に、隣接した胴縁40a,40bの一方に端部から嵌め込んでおき、連結具52による連結が終了後に隙間位置にスライド移動させる。符号54(図12)は舌片であり、胴縁用隙間カバー53の下面側から胴縁40の長手方向に一体に突出させてある。舌片54を胴縁40aへねじ55でねじ止めすることにより、胴縁用隙間カバー53が位置ずれしてしまうのを防止することができる。
【0028】
構造部分Bにおいて、一方中空形材である胴縁41aと他方中空形材である胴縁41bが形成する「中空形材を連結した構造部分」は、前記の構造部分Aと同じである。
説明が重複するので省略する。
【0029】
実施例2は、以上の構成であって、複数のパネル38を連ねたフェンス36は上下の胴縁40,41がそれぞれ一連につながった構造となる。胴縁40,41の熱延びは連結具52の長孔により吸収され、フェンス36の変形や破損が防止される。また、熱延び吸収構造に利用する長孔がフェンスの外観に現れないので、フェンスの意匠性が向上する。
【0030】
図14(イ)、同(ロ)および図15は、実施例3を示し、図3における構造部分Aにおいて笠木19a、19bの下面側から見た平面図である。各部材を透視的に示している。この実施例3では笠木19aの端部中央に取外し用ガイド長孔56(図15)が笠木19aの長手方向に長く形成されていることを特徴とする。取外し用ガイド長孔56の長さはこの実施例において架設材9の長手方向寸法の約半分とされている。また、笠木19aの長手方向反対側端では幅方向の中央部にカバー取り付用ねじ孔57が形成されている。なお、取外し用ガイド長孔56は、一方の端部におけるカバー取り付用ねじ孔57を兼用している。
他の構造は実施例1の場合と同じであり、説明を省略する。
【0031】
図14(イ)は、笠木19a,19bが連結具26aを用いて連結されている状態であり、架設材9に受け板11が受け板連結用ねじ12で連結され、連結具26aの一端が架設材固定用ねじ13で一方の笠木19aに固定され、連結具26aの他端が他方の笠木19bと架設材連結用ねじ14で連結されている。連結箇所には笠木用隙間カバー31が装着され、その舌片34がねじ35で架設材9に取り付けられている。ねじ35は取外し用ガイド長孔56を貫通して架設材9のねじ孔58a(図7ロ)にねじ込まれる。取り付けの程度は笠木用隙間カバー31が容易にはずれない程度とする。
構造部分Aにおいて、他方の笠木19bの端部は架設材連結用ねじ14で連結されるだけであり、架設材9のもう一つのねじ孔58bは遊んでいる。
【0032】
この構造では、受け板連結用ねじ12は、受け板11の受け板側長孔10を貫通し、架設材連結用ねじ14は、架設材側長孔8を貫通しているので、一方の笠木19aと他方の笠木19bの間に熱延びによる変位があっても、これらの長孔箇所で吸収される。
【0033】
そして、フェンス15の一部に破損が生じて、その部分のパネル18を取外す必要が生じた場合は、構造部分Aにおいて、架設材固定用ねじ13と架設材連結用ねじ14を抜き取り(図14(ロ))、取外し用ガイド長孔56にかかるねじ34を緩め、このねじ34を取外し用ガイド長孔56に沿い図14(ロ)において右側に移動させる。すると、連結具26aの他方の笠木19b部分に入り込んでいた部分が他方の笠木19bから離脱する。これを笠木19aに関する両端の構造部分Aで行う。パネル38における下方の構造部分Bにおいても同様に操作して笠木19bの両端における構造部分Bの連結具26bを他方の下弦材20bから離脱させる。
これにより、取り替える必要のあるパネル38だけをフェンス36から直接に取外すことができ、従来のように、長いフェンス36の端から目的のパネル38まで、パネル38を順次ずらしたり、取外していく必要がない。
【0034】
以上、実施例を説明した。
建築構造体としては他に外装材や手摺、無目、その他、中空形材を連結して構成する構造体がある。
実施例において、連結具26における架設材9や受け板11の形状をチャンネル形や平らな板材としているが、連結しようとする一方中空形材、他方中空形材の断面形状に応じて、その一部あるいは断面の全体に適合するように設定される。
笠木用隙間カバー31や下弦材用隙間カバー32は、アルミ合金の押出し形材から切り出されることが多いが、鋳造品であったり、合成樹脂製であってもよい。
支柱17、37に対するパネル38の取付け構造は、実施例の用にフックに限らず、直接的なねじ止めなど、適宜の手段によってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 中空形材を連結した構造部分
2 一方中空形材
3 他方中空形材
4 連結具
5 ねじ
6 長孔
7 ねじ
8 架設材側長孔
9 架設材
10 受け板側長孔
【0036】
11 受け板
12 受け板連結用ねじ
12a 受け板連結用ねじ孔
13 架設材固定用ねじ
13a 架設材固定用ねじ孔
14 架設材連結用ねじ
14a 架設材連結用ねじ孔
15 フェンス
16 基礎
17 支柱
18 パネル
19,19a,19b 笠木
20,20a,20b 下弦材
【0037】
21 縦桟
22 ねじ
23 ねじ
24 上方のフック
24a 載置係合部
24b 引掛け部
24c 抜け止め部
24d 呑み込み部
25 下方のフック
26 連結具
26a 上部の連結具
26b 下部の連結具
27 取付け孔
28 取付け孔
29 取付け孔
30 切り起こし片
【0038】
31 笠木用隙間カバー
32 下弦材用隙間カバー
33 ねじ挿通孔
34 舌片
35 ねじ
36 フェンス
37 支柱
38 パネル
39 基礎
【0039】
40,40a,40b 上の胴縁
41 下の胴縁
42 縦桟
43 ねじ
44 上のフック
45 下のフック
46 鈎部
47 載置部
48 抜け止め部
49 上のボルト
50 下のボルト
【0040】
51 引掛け部
52 連結具
53 胴縁用隙間カバー
54 舌片
55 ねじ
56 取外し用ガイド長孔
57 カバー取付け用ねじ孔
58,58a,58b ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方中空形材と、他方中空形材と、これらを連結する連結具とを備え、
連結具は、一方中空形材及び他方中空形材の長手方向端部の内部に架け渡して配置され、
連結具は架設材と受け板を備え、
架設材は一方中空形材側に一方中空形材との固定部を有すると共に他方中空形材側に中空形材の長手方向に長い長孔と受け板との固定部を有し、
受け板は他方中空形材との固定部と中空形材の長手方向に長い長孔とを有し、
架設材に受け板を重合して受け板の長孔を介して受け板を架設材とスライド可能に連結し、
架設材を一方中空形材及び他方中空形材の長手方向端部の内部に架け渡して配置し、一方中空形材をその架設部材の固定部へ固定すると共に、他方中空形材を架設材の長孔を介して受け板の固定部へ固定してあり、長孔によって中空形材の熱延びを吸収することを特徴とする建築構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−108288(P2013−108288A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254376(P2011−254376)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】