説明

建築物用の壁構造体

本発明は、固形発泡材から作られた第1の板状支持体(10)の建築物の内側に向けられる表面が断熱層(20)に隣接する第1の板状支持体(10)と、建築物の外側(E)に向けられる第1の支持体(10)の表面内に少なくとも部分的に発泡内に埋設される第1の波形金属ワイヤグリル(30)と、間に断熱層(20)を受容する支持要素(50)を固定するために第1の金属ワイヤグリル(30)および第1の支持体(10)の両方を貫通する第1の固定要素(40)とを備えた建築物の壁構造体(W1、W2、W3)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造の技術分野に関し、特に、請求項1に記載の建築物用の壁構造体、前記壁構造体を有する請求項24に記載のプレハブ構造要素、および請求項25に記載するようにしてプレハブ式で組み立てられる構造要素を有する建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡材の基礎およびその上に立設された木造骨組みの支持構造体を持つ建築構造体は、オランダ特許第8902670号明細書によってすでに公知である。前記建築物構造体は、発泡材から作られ部分的にその中に埋め込まれた金属ワイヤグリル(格子)によって補強された前パネルによって被覆される。
【0003】
国際公開第2の005/121469号は、発泡材から作られ、そこに三次元構造の補強格子が少なくとも部分的に埋設された建築物構成要素を開示している。発泡材から突出する格子部分は1層のプラスターを固定するために利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、公知の壁構造体を改善することであり、特に、耐荷力、断熱性、遮音性、および放射線遮蔽性を増し、同時に単純な構造体デザインを提供するとともに、それをより容易にかつより高い費用効率で製造できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、固形発泡材から作られた第1の板状支持体の建築物の内側に向けられる表面が断熱層に隣接する第1の板状支持体、および建築物の外側に向けられる第1の支持体の表面内に少なくとも部分的に発泡内に埋設される第1の波形金属ワイヤグリルのみならず、間に断熱層を受容する支持要素を固定するために第1のグリルおよび第1の支持体の両方を貫通する第1の固定要素をも有する、建築物用の壁構造体によって達成される。
【0006】
本発明で請求する構造体の本質的な要点は、まず第一に、通常要求される構造体の耐荷力が、第1の支持体を少なくとも部分的にその中に埋設された第1の金属ワイヤグリルと併用するだけで確保されることである。この場合、第1の波形グリルは、支持体に作用する静的または動的荷重によって生じる応力が前記支持体を超えて均一に分散されるように安定的に働く。したがって、本発明で請求する構造体は、特に耐震性があるばかりでなく、横力の影響に対しても耐性を示すことも分かる。加えて、第1のグリルは、とりわけ例えば高電圧線、電気通信システム、および放射線源から生じるような放射線を建築物の内部から遠ざけておく。同時に、第1のグリルは、固定要素が外れず、かつ断熱層の頑丈な受容が確保されるように、固定要素をそれらの位置に確実に保持するのに役立つ。支持体は、高レベルの圧力抵抗、毛管吸水、一方向安定性、および良好な水蒸気透過性を有するグラベルインサート入りポリウレタンフォームから構成することができる。加えて、第1のグリルの良好なレベルの熱伝導率は、受けた熱がグリルによって除去されるため、このように構築された壁が容易に熱くなるのを防止する。したがって、断熱層との併用により、例えば高温で騒音もある環境からの接続に対して、特に優れた断熱性および遮音性が生成される。加えて、記載した壁構造体は、特に単純かつ費用効率的に、例えば固定要素を、例えば所定のくり穴に依存せず、支持体上の任意の所望の位置に全自動で配置することによって、製造することができる。
【0007】
本発明で請求する壁構造体の好適なさらなる展開は、従属請求項に記載する。これらは、特に装置の詳細のみならず断熱性および安定性にも関係する。
【0008】
有利な実施形態において、構造体は、建築物の内側に向けられる断熱層の表面に隣接する内部カバーと、前記内部カバーを支持要素に固定するために内部カバーを貫通する第2の固定要素を有する。したがって、支持要素は、断熱層を受容するためだけでなく、内部カバーを固定するためにも利用することができ、したがってそれらは均一な固定システムを形成する。同時に、内部カバーはさらなる断熱層をもたらす。したがって、壁構造体は、内部カバーがすでに予め装着された状態で供給することができるので、これに関して現場で組み立てる必要がもはやなくなる。最も単純な場合、内部カバーはプラスターボードを含むことができ、その後それに個別コーティング(とりわけ壁紙または塗装)を施すことができる。
【0009】
しかし、内部カバーが固形発泡材から作られた第2の板状支持体を含む場合、第2の支持体が断熱層に隣接するように配置することが好ましい。これは、壁構造体の耐荷力が、断熱性および遮音性と同様に、かなり増大することを意味する。好適には、内部カバーは、建築物の内側に向けられる第2の支持体の表面内に少なくとも部分的に発泡的に埋設される第2の波形金属ワイヤグリルを含む。これは、第1の金属ワイヤグリルに関連してすでに示した利点が強化されることを意味する。特に、第2のグリルは壁が熱くなることをも防止するので、寒冷な環境に対して良好なレベルの断熱性がある。この場合、要件に応じて任意に本発明で請求する壁構造体の積層化すること、すなわち第2の支持体(第2のグリル付き)の後に別の断熱層、および前記断熱層の後に第3支持体(第3グリル付き)等を有することが考えられる。
【0010】
そのような内部カバーは、建築物の内側に向けられる第2の支持体の表面に施与されかつ第2の金属ワイヤグリルに固定される内部プラスター層を有することが好ましい。したがって、第2の支持体に対する内部プラスター層の特に確実な保持が、第2のグリルによって確保される。加えて、第2の支持体に導入される荷重の特に良好な応力分布の結果、プラスターにおける亀裂の形成が確実に排除される。
【0011】
内部カバーを取り付けるときに、断熱層と内部カバーとの間に延びる蒸気透過性フィルムを取り付けることがさらに好ましい。これは、温度が変化するときに断熱層に必然的に形成される結露水がこの空間から逃散できることを意味する。これは、内側から壁中に水分が浸透することが排除されることを意味する。
【0012】
内部カバーと同様に、第1の金属ワイヤグリルに固定され、建築物の外側に向けられる第1の支持体の表面に隣接し外部プラスター層を有する外部カバーを設けることも可能である。この場合、そのような外部層は、第1の波形金属ワイヤグリルを完全に被覆し、かつ壁構造体の加熱をも防止する。加えて、外部プラスターは湿気をはじくように働き、かつ霜および衝撃にも強い。しかし、原則として、外部カバーは、第1のグリルを被覆しかつ次いで装飾用パネルを支持する1層のモルタルから構成することも可能である。
【0013】
最高荷重にさらされる壁構造体は、完全に第1のおよび/または第2の支持体内に発泡内に埋設される、それぞれの三次元金属ワイヤグリルを有することが好ましい。これは、明らかに壁構造体の耐荷力がさらに増大することを意味する。好適には、断熱層は、最も単純かつ最も効果的な断熱性および遮音性をもたらし、加えて費用効率的でもある、鉱物ウール材から構成される。
【0014】
特に装着が容易でありかつ保持可能である支持要素の固定は、第1のおよび/または第2の固定要素がそれぞれのねじおよび支台の組合せから構成されるときに、生成される。最も単純な場合、支台は、支持要素の一部分に締め付けられこうして支持要素を所定の位置に保持するねじ付きナットから構成することができる。しかし、できるだけ大きい固定面を可能にする、ねじ穴が設けられた板状またはブロック状ベアリングを有することも考えられる。
【0015】
しかし、セルフタッピングねじおよびプラスチック材から作られた支台を含むそれぞれのねじおよび支台の組合せは、装着がさらに容易である。この場合、特に支台が板またはブロックの形状で展開されるときは、2つの部品の相互に対する正確な位置合わせは不要である。
【0016】
支持要素の特に頑丈な固定を達成するために、それぞれのねじの頭部直径は、第1のまたは第2の金属ワイヤグリルのメッシュ幅より大きいことが好ましい。他方、ねじはしたがってグリルに対して締め付けることができ、かつ同時にそのメッシュ内に保持することができる。
【0017】
原則として、直径が第1のまたは第2の金属ワイヤグリルのメッシュ幅より大きいワッシャがそれぞれのねじに設けられる。これは、様々な大きなメッシュ幅を持つ金属ワイヤグリルに対し、ワッシャだけをそれに対応して適応させると、同一のねじを使用することができることを意味する。
【0018】
熱橋または冷橋として作用するねじおよび支台の組合せを排除するために、ねじは熱伝導率の低いだけの材料から製造することができる。しかし、金属材から製造された特に頑丈なねじを使用することができるようにするために、それぞれのねじの頭を、プラスチック材のキャップで被覆することが好ましく、かつ/またはワッシャはプラスチック材から構成される。これは、ねじ頭がその直接環境に対して完全に包封され、したがって断熱されることを意味する。
【0019】
原則として、支持要素層自体を木材またはプラスチック材から実現することも可能であり、その結果そこにねじ込まれる―セルフタッピングする―ねじもその支台側で断熱される。しかし、支持要素が金属材から構成される場合、それぞれの支持要素および支台の組合せを形成しかつその寸法を決定する際支台にねじ込まれるねじが支持要素に接触しないようすることが好ましい。
【0020】
この場合、支持要素および支台の組合せの特に単純な装着は、ねじがねじ込まれるときに支持要素に対する支台の動きが阻止されるように、前記組合せを形成しその寸法を決定するときに、達成される。したがって、支台には支持要素による正確な嵌合がもたらされ、それは2つの間の接続要素または材料を不要にする。
【0021】
この目的のために、それぞれの支持要素は、脚に固定要素を受容するための貫通穴が設けられた実質的にU字形の断面形状を有することが好ましい。このように形成される支持要素の利点は、支持要素の底が対応するように形成される支台の停止部材として働くことができることである。
【0022】
支持要素の形状に関係なく、支持要素は壁構造体内の電線を受容するために利用できることが好ましく、前記電線は断熱層内に延び、支持要素によって保持される。
【0023】
さらなる好適な実施形態では、本発明で請求される壁構造体には、内部および/または外部カバー内に置かれ、第1のおよび/または第2の支持体のそれぞれの表面より突出する第1のおよび/または第2の金属ワイヤグリルの波形の山の間に実質的に延びる、暖房用および/または冷房用ホースが設けられる。これは、他方、ホースが波形の山の間に誘導され、単純に配置できることを意味する。同時にホースは、例えばそれ自体公知のケーブルコネクタによって、容易に第1のまたは第2のグリルに固定することもできる。
【0024】
さらに単純な固定は、暖房用および/または冷房用ホースが、第1のおよび/または第2の金属ワイヤグリルの波形の山の先まで延びるそれぞれの追加的フラット金属ワイヤグリルと、第1のおよび/または第2の波形金属ワイヤグリルと間に保持されるときに形成される。したがって、ホースは平面状に被覆され、第1のまたは第2のグリルの波形の山の間に固定され、それはより単純に達成される。
【0025】
これに対する代替例として、暖房用および/または冷房用ホースを、第1のおよび/または第2の金属ワイヤグリルの波形の山より先まで延びるそれぞれの追加的三次元金属ワイヤグリル内に保持することが可能である。第1のまたは第2のおよび追加的グリルは、例えばプラスター層またはモルタル層内に受容され、その結果安定性または耐荷力が増大する。この場合、ホースは、追加グリルが取り付けられる前に、前記追加グリルにすでに配置しておくことができる。これは、明らかに暖房および/または冷房用ホースの装着がより容易になり、促進されることを意味する。
【0026】
第1のおよび第2の金属ワイヤグリルの特に優れた耐荷力、断熱効果、および放射線保護は、それらのメッシュ幅が5mmから30mmの間でありかつ好ましくは約10mmであるときに得られる。
【0027】
好適には、建築物用のプレハブ構造要素、特に壁、床、または天井要素は、本発明で請求する壁構造体を有する。これらの要素は、上述の実施形態に相応して、現場でのさらなる組立て作業が不要になるように構成することができる。これは、顧客の希望に応じて様々に変化した建築物を特に迅速に建築することが可能であることを意味する。
【0028】
これらのプレハブ構造要素を持つ建築物は、構造要素の第1のおよび/または第2の金属ワイヤグリル構造要素がファラデーケージを形成するように構造要素を配置し一体に接続するように展開することが好ましい。これは、建築物の外部に対し、例えばとりわけ電気通信の放射線、高電圧場、および放射能を持つ放射線に対し、理想的な放射線保護が確保されることを意味する。
【0029】
本発明の例示的実施形態について、以下で添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図面の寸法仕様はミリメートル(mm)単位の測定値を提供する。複数の図において同一または同等に作用する部品には、同一参照番号が付いている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明で請求する第1の壁構造体の基本的デザインを明確にする断面図である。
【図2A】本発明で請求する第2の壁構造体の内部カバー付きの断面図である。
【図2B】図2Aの壁構造体を三次元的に表現した図である。
【図3A】本発明で請求する第3壁構造体の内部カバー付きの断面図である。
【図3B】図3Aの壁構造体を三次元的に表現した図である。
【図4A】暖房および/または冷房用ホースを受容するための追加的三次元金属ワイヤグリルを三次元的に表現した図である。
【図4B】第1のまたは第2の支持体に埋設するための第1のまたは第2の波形金属ワイヤグリルを三次元的に表現した図である。
【図5A】図4のグリル付きの第1のまたは第2の支持体の側面図である。
【図5B】図5Aに示す第1のまたは第2の支持体の正面図である。
【図6】図5のグリルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の基本的デザインを明らかにするために、本発明で請求する第1の壁構造体W1(壁1)の断面図を示す。このケースでは、基本的構造は、グラベルインサート入りポリウレタンフォームから作られた第1の支持体10と、建築物の内部I(内側)に向いた前記第1の支持体の表面に当接する鉱物ウールから作られた断熱層20とを含む。第1の波形金属ワイヤグリル30は、この第1の金属ワイヤグリルの波形の山が第1の支持体10から突出するように、建築物の外部E(外側)に向いた第1の支持体10の表面に発泡内に埋設される。第1の支持体10および第1の波形金属ワイヤグリル30は、構造体W1の支持要素を形成する。固定要素40は支持体10を貫通して延び、前記固定要素は鋼製のU字形支持要素50を実質的に保持し、該支持要素間に絶縁層20が受容され、その結果として支持体10に保持される。ここでは例として、(止め)ねじ41および支台(abutment)42の組合せから構成される固定要素40を示す。この場合、支台42は、プラスチック材のブシュ42−2に対して締め付けられるナット42−1を含み、ブシュ42−2がU字形支持要素50に確実な係止状態で収容される。これは、固定要素40の断熱が達成され、支持要素50とねじ41との間(またはその逆)の熱伝達が防止されることを意味する。ねじ41および支台42の組合せの断熱効果をさらに高めるために、ねじ41はさらに、低熱伝導性の熱導体であるがそれにもかかわらず適切な引っ張り強度を有するプラスチック材から構成される。建築物の外側の方向において、ねじのねじ頭には、そこでも断熱効果を得るために、プラスチック材から作られたカバー44およびワッシャ43が設けられる。この場合、ワッシャ43は第1のグリル30のメッシュ幅より大きい直径を有するので、グリルはねじ41の締付け力に対応し、かつ同時にそれを所定の位置に保持する。建築物の外側に向いた第1の支持体10の表面には、種々のモルタル層および化粧れんが(これ以上詳細には示さず)を含む外部カバーCEが設けられる。
【0032】
この場合、第1の波形金属ワイヤグリル30は外部カバーCEと係合し、それを保持するので、その耐荷力はかなり増大する。同時に、それは支持体10を補強し、かつ応力を前記支持体10の表面全体に分配するように働く。これは、一方では、壁構造体W1の耐荷力を明らかに増大させ、他方では、支持体10および外部カバーCEにおける亀裂の形成を防止することにつながる。これは、壁構造体W1が特に、垂直および水平両方向の静的荷重および動的荷重に強いことを意味する。加えて、第1のグリル30は、熱を放散させ、したがって構造体W1が熱くなることを防止するので、断熱に役立つ。加えて、第1のグリル30は、全種類の電磁場に対して効果的な防御をもたらす。さらに、固定要素40における熱橋の構造的排除は、発泡材から作られた第1の支持体10および鉱物ウールから作られた断熱層20と共に、構造体W1の最適な断熱性および遮音性をもたらす。支持体10はまた、追加的三次元金属ワイヤグリルを設けることもでき、それは支持体10に発泡内に埋設され、その耐荷力をさらに増大させる。
【0033】
図2Aは、図1にすでに示した壁構造体W1の基本的デザインからさらに進んだ、本発明で請求する第2の壁構造体W2の内部カバーCI付きの断面図を示す。内部カバーCIは、一例としてプラスターボード60から構成され、それは断熱層20を完全に被覆し、かつ固定要素(ここでは図示せず)によってU字形支持要素50に接続される。したがって支持要素50は、断熱層20を受容しかつ内部カバー60を保持する機能を果たす。図1の壁構造体W1とは対照的に、支持要素50は、ねじ41’および支台42’の組合せから構成される固定要素40’によって保持される。ねじ41’はこの場合、セルフタッピングねじ山を備え、それはプラスチック材から、または木材からでも作られる支台42’に螺合される。支台42’は、U字形支持要素50の脚に確実な係止状態に受容され、したがって回転が阻止され、前記脚はこの目的のために再び支台42’の上側の周りに係合する。全体として、固定要素40’のそのようなデザインは、壁構造体W2の特に単純かつ全自動の組立てを可能にする。この場合、内部断熱層20の通気を確保しながら、同時に液体の通過を防止するために、PVC材から作られた蒸気透過性フィルム70が内部カバーCIと断熱層20との間に取り付けられる。内部カバーCIは事前に組み立てることができるので、それを現場で組み立てる必要はない。加えて、建築物の製作の非常に早い段階で、顧客の希望に対応することができる。ここに示した壁構造体W2の外部カバーCEは原則として、図1のものと相違しない。したがって、全体として、構造体W2は、図1に関連してすでに示した他の利点を喪失することがなく、特に頑丈である。これに加えて、断熱層20内に延在しかつU字形支持要素50に保持される電線80もまた、壁構造体W2内に存在する。したがって、電気ケーブルもまた壁構造体内に事前に組み立てることができ、現場では接続することが必要なだけである。
【0034】
図2Bは、図2Aの壁構造体を三次元的に表現した図である。断熱層20に隣接する第1の支持体10は、構造体W2の内部および外部カバーCIおよびCEの間に見ることができる。支持要素50の三次元デザインは、それらが細長いU字形プレートとして実現されることを示す。図示する構造体W2の部分では、支持体50の開口が互いに対面するので、断熱層20がそれらの間に保持される。気体および水蒸気を透過し、液体の形の水の通過に抵抗するPVCフィルム70は、内部カバーCIと断熱層20との間に延設される。明確にするために、固定要素40および第1の支持体10に埋設された第1の波形金属ワイヤグリル30は図示しない。構造体W2の三次元表現は、支持力が極めて高くかつ頑丈であり、同時に放射線を透過しないだけでなく、断熱性かつ遮音性でもある、本発明で請求する建築物用壁の単純かつ小型のデザインを示す。要求に応じて既製される対応の壁は全自動で製造して、現場で建設するのに使用することもできる。
【0035】
図3Aは、本発明で請求する第3壁構造体W3の内部カバーCI’付きの断面図を示す。この場合、構造体W3は、図2ですでに説明した壁構造体W2の基本的デザインからさらに進んだものである。ここでも、支持体50は、プラスチック材からまたは木材から作製される支台42’内に螺合されるセルフタッピングねじ41’を含む固定要素40によって保持される。この場合、構造体W3の外部カバーCE’は、第1の波形金属ワイヤグリル30に固定される外部プラスター層61’を有する。加えて、構造体W3は、その内部カバーCI’が第2の支持体10’と内部プラスター層61’とを含み、該プラスター層に、建築物の内部Iの暖房用および/または冷房のために暖房用および/または冷房用ホース90が配置される点が異なる。第1の支持体10に関して鏡面反転的に、第2の支持体10’には、同じく前記第2の支持体内に少なくとも部分的に埋設される第2の波形金属ワイヤグリル30’が設けられる。同様に第1の支持体10に対して鏡面反転的に、第2の支持体10’は、セルフタッピングねじ付き固定要素40’によって支持要素50に固定される。この場合、第1の支持体10の場合と同様に、第2の波形グリル30’は、一方では固定要素40’を安定化させ、すなわち固定要素を支持しかつそれらを所定の位置に保持する機能を果たす。しかし、他方、第2の波形グリル30’は、さらに、暖房用および/または冷房用ホース90を突出するグリル30’の波形の山の間に誘導かつ固定するように働く。したがって、内部プラスター61を施与する前に、前記ホース90を特に簡単に第2の支持体上に配置することが可能である。原則として、さらに、または代替的に、それ自体同様の仕方で暖房用および/または冷房用ホースを外部プラスター61’に取り付けることも当然可能である。蒸気透過性フィルム70は内部カバーCI’と断熱層20との間に装着される。ここでもまた、明確にするためにここには図示しない電線を断熱層20内に配置することも当然可能である。第2の支持体10’と内部カバーCI’の結果として、図示する壁構造体W3は耐荷力および安定性を増大させるが、耐荷力および安定性は原則として、三次元金属ワイヤグリルを支持体10、10’に発泡内に埋設することによってさらに増大させることができる。同時に、構造体W3の断熱性および遮音性が増大し、放射線に対する防御の向上も、波形グリル30、30’の二重化によって達成される。
【0036】
図3Bは、図3Aの壁構造体W3を三次元的に表現した図である。これも、外部および内部カバーCE’、CI’の間に受容される本発明で請求する構造体の基本的デザインを示す。この場合、内部カバーCI’は第2の支持体10’および内部プラスター層61を含む。内部カバーCI’と断熱層20との間に蒸気透過性フィルム70が装着される。構造体W3の三次元表現もまた、支持力が極めて高くかつ頑丈であり、同時に放射線を透過しないだけでなく、断熱性かつ遮音性でもある、本発明で請求する建築物用壁の単純かつ小型のデザインを示す。要求に応じて既製されるこのタイプの壁は、全自動で製造することができ、現場で建設するのに使用することができる。
【0037】
図4Aは、暖房用および/または冷房用ホース90を受容するための追加的三次元金属ワイヤグリル31、32’を三次元的に表現した図である。グリル31、31’は2つのフラットグリル32、32’および34、34’から構成され、それらの間に三次元波形グリル33、33’が装着される。その結果極めて頑丈な構造体を、本発明で請求する壁構造体の内部および/または外部カバーCI’、CE’内に埋設することができ、それらの追加的安定性のために役立つことができる。しかし、特に、グリル31、31’をカバーCI’、CE’内に装着する前には、暖房用および/または冷房用ホースをグリル31、31’のチャネル内に受容することができる。したがって、ホースを特に単純に配置することが可能である。
【0038】
図4Bは、第1のまたは第2の支持体10、10’内に埋設するための第1のまたは第2の波形金属ワイヤグリル30、30’を三次元的に表現した図である。この場合、グリル30、30’の波形の谷は支持体10、10’の表面内に発泡内に埋設される一方、波形の山はそこから突出し、施与されるプラスター層またはモルタル層と係合する。この場合、グリルのメッシュ幅は12.7mmである。
【0039】
図5Aは、図4のグリル30、30’および31、31’付きの第1のまたは第2の支持体10、10’の側面図を示す。グリル30、30’は支持体10、10’内に6mmの深さまで発泡内に埋設され、その表面で三次元グリル31、31’に接続される。暖房用および/または冷房用ホースは、グリル31、31’がカバー内に埋設される前に、グリル31、31’のチャネル内に配置することができる。グリル30、30’が適切な大きさに形成される場合、しかし、ホースをグリル30、30’の波形の山の間に配置し、波形の山の先まで誘導されるグリル31、31’によってそれらを保持することも考えられる。
【0040】
図5Bは、図5Aの第1のまたは第2の支持体10、10’の正面図を示す。この場合、暖房用および/または冷房用ホースは、ホースがあらゆる方向にわたって充分に保持されるように、図5Aのチャネルに対して垂直に延びる方向に配置することもできることが分かる。
【0041】
図6は、図5のグリル30、30’および31、31’の上面図を示し、そこから共通グリル構造全体にわたる同一メッシュ幅を見ることができる。この全体にわたって、支持要素を支持体10、10’に固定するために必要なものは、グリル30、30’(または追加的にグリル31、31’)および支持体10、10’を貫通する、1つの同一固定要素だけである。図はまた、そのようなグリル構造が、安定性および熱伝導性において同等に作用し、かつ望ましくない電磁放射を遮断するのに、特によく適していることをも示す。特に、本発明で請求する構造を持つ壁要素は、ファラデーケージが形成されかつ建築物内部がとりわけ放射線および落雷から保護されるように、一体に接続することができる。
【0042】
原則として、本発明で請求する壁構造体の効率をさらに改善するために、その基礎的デザインの多層化を行なうこと、すなわち、複数の支持体を金属ワイヤグリルのみならず断熱層とも結合することが当然考えられ、それらはその都度固定要素によって一体に接続される。対応する積層化は、建築物用の壁構造体に対する特定の要件に応じて異なり、専門家の自由裁量で行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁構造体(W1;W2;W3)であって、
固形発泡材から作られた第1の板状支持体(10)の建築物の内側(I)に向いた表面が断熱層(20)に隣接する前記第1の板状支持体(10)と、
建築物の外側(E)に向いた前記第1の支持体(10)の表面に少なくとも部分的に発泡内に埋設される第1の波形金属ワイヤグリル(30)と、
間に前記断熱層(20)を受容する支持要素(50)を固定するために前記第1のグリル(30)および前記第1の支持体(10)の両方を貫通する第1の固定要素(40)と
を有する壁構造体。
【請求項2】
建築物の内側(I)に向いた前記断熱層(20)の表面に隣接する内部カバー(CI)を有し、かつ、前記内部カバーを前記支持要素(50)に固定するために前記内部カバー(CI)を貫通する第2の固定要素(40’)を有する、請求項1に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項3】
前記内部カバー(CI)がプラスターボード(60)を含む、請求項2に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項4】
前記内部カバー(CI)が、前記断熱層(20)と隣接するように配置される固体発泡材から作られた第2の板状支持体(10’)を含む、請求項2に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項5】
前記内部カバー(CI)が、建築物の内側(I)に向いた前記第2の支持体(10’)の表面に少なくとも部分的に発泡内に埋設される第2の波形金属ワイヤグリル(30’)を含む、請求項4に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項6】
前記内部カバー(CI)が、建築物の内側(I)に向いた前記第2の支持体(10’)の表面に施与されかつ前記第2の金属ワイヤグリル(30’)に固定される内部プラスター層(61)を有する、請求項5に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項7】
前記断熱層(20)と前記内部カバー(CI)との間に延びる蒸気透過性フィルム(70)を有する、請求項2〜6のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項8】
建築物の外側(E)に向いた前記第1の支持層(10)の表面に隣接する外部カバー(CE)であって、前記第1の金属ワイヤグリル(30)に固定される外部プラスター層を含む外部カバー(CE)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項9】
前記第1の支持体(10)および/または第2の支持体(10’)内にそれぞれ完全に発泡内で埋設される三次元金属ワイヤグリルを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項10】
前記断熱層(20)が鉱物ウール材から構成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項11】
前記第1の固定要素(40)および/または第2の固定要素(40’)がそれぞれねじおよび支台の組合せ(41、42)から構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項12】
それぞれのねじおよび支台の組合せ(41、42)がセルフタッピングねじ(41’)およびプラスチック材から作られた支台(42’)を含む、請求項11に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項13】
ねじ(41)の頭部直径が前記第1の金属ワイヤグリル(30)または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)のメッシュ幅より大きい、請求項11または12に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項14】
直径が前記第1の金属ワイヤグリル(30)または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)のメッシュ幅より大きいワッシャ(43)がねじ(41)に設けられる、請求項11または12に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項15】
ねじ(41)の頭がプラスチック材のキャップ(44)で被覆可能であり、かつ/または、前記ワッシャ(43)がプラスチック材から構成される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項16】
前記支台(42)に螺合されるねじ(41)が前記支持要素(50)に接触しないように、前記支持要素および前記支台の組合せ(50、42)が形成されかつその寸法が決定される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項17】
前記ねじ(41)が螺合されるときに前記支持要素(50)に対する前記支台(42)の動きが阻止されるように、前記支持要素および前記支台の組合せ(50、42)が形成されかつその寸法が決定される、請求項11〜16のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項18】
前記支持要素(50)が略U字状断面を有し、その脚に前記固定要素(40、40’)を受容するための貫通穴が設けられる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項19】
前記断熱層(20)内に延び前記支持要素(50)によって保持される電線(80)を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項20】
前記内部カバー(CI)および/または外部カバー(CE)に配置され、かつ前記第1の支持体(10)および/または前記第2の支持体(10’)の表面の先に突出する前記第1の金属ワイヤグリル(30)および/または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)の波形の山の間に実質的に延びる暖房用および/または冷房用ホース(90)を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項21】
前記暖房用および/または冷房用ホース(90)が、前記第1の金属ワイヤグリル(30)および/または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)の波形の山の先まで延びる追加的フラット金属ワイヤグリルと、前記第1の金属ワイヤグリル(30)または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)との間に保持される、請求項20に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項22】
前記暖房用および/または冷房用ホース(90)が、前記第1の金属ワイヤグリル(30)および/または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)の波形の山の先まで延びる追加的三次元金属ワイヤグリル(31、31’)に保持される、請求項20に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項23】
前記第1の金属ワイヤグリル(30)および/または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)のメッシュ幅が5mmから30mmの間であり、好ましくは約10mmである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の構造体(W1;W2;W3)。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の壁構造体(W1;W2;W3)を有する、壁、床、天井要素その他の建築物用プレハブ構造要素。
【請求項25】
請求項24に記載のプレハブ構造要素を有する建築物であって、
前記プレハブ構造要素の前記第1の金属ワイヤグリル(30)および/または前記第2の金属ワイヤグリル(30’)がファラデーケージを形成するように配置されかつ一体に接続される、建築物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533870(P2012−533870A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519859(P2012−519859)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000257
【国際公開番号】WO2011/006266
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512009780)ストーン トロイハンド アーゲー (1)
【Fターム(参考)】