説明

建築用パネル

【課題】パネル本体全体としての剛性を保ちつつ、屋内側から力が掛かった場合においても変形を防止することが可能な建築用パネルを提供する。
【解決手段】本発明の建築用パネルは、屋内側金属外皮11と屋外側金属外皮12との間に芯材4が充填された建築用パネルであって、パネル本体1の長手方向に沿って連続し且つパネル本体1の幅方向に並んだ複数の補強リブ15が、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用パネルに関し、詳しくは一対の金属外皮の間に芯材が配設された建築用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内側金属外皮と屋外側金属外皮との間に芯材が充填された建築用パネルが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の建築用パネルは、表面材と裏面材とがいずれも薄板状の金属板により構成されている。この建築用パネルは、屋外側に面する表面材に凹リブが形成されているのに対し、屋内側に面する裏面材は、凹リブが設けられておらず、薄板状の金属板のみで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−88698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように特許文献1記載の建築用パネルは、屋内側に面する裏面材が、補強リブのない薄板状の金属板だけで構成されたものであるため、屋内側から力が掛かった場合には裏面材が屈曲してしまうことも考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パネル本体全体としての剛性を保ちつつ、屋内側から力が掛かった場合においても変形を防止することが可能な建築用パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建築用パネルは、屋内側金属外皮11と屋外側金属外皮12との間に芯材4が充填された建築用パネルであって、パネル本体1の長手方向に沿って連続し且つパネル本体1の幅方向に並んだ複数の補強リブ15が、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように本発明の建築用パネルは、屋内側金属外皮11に、パネル本体1の長手方向に沿って連続する補強リブ15が設けられており、しかもこの補強リブ15がパネル本体1の幅方向に複数並設されているため、屋内側金属外皮11の剛性を高めることができる。これによりパネル本体1自体の剛性も高くなり、この結果、強度を保ちながらパネル本体1の厚さを薄くすることも可能である。
【0008】
また前記芯材4が、前記屋内側金属外皮11に沿うよう前記複数の補強リブ15間に配置された補強板材5を備えていることが好ましい。
【0009】
またこの建築用パネルにおいて、前記補強板材5が耐火材41であり、当該耐火材41により、前記屋内側金属外皮11の芯材4側の面の略全面が覆われていることが好ましい。
【0010】
またこの建築用パネルにおいて、前記補強板材5が断熱材であり、当該断熱材により、前記屋内側金属外皮11の芯材4側の面の略全面が覆われていることが好ましい。
【0011】
またこの建築用パネルにおいて、断面略コ字形状の補強具7が、当該補強具7の両側の対向片71に前記補強リブ15が当接又は近接対向するよう屋内側金属外皮11の芯材4側の面に付設されていることが好ましい。
【0012】
またこの建築用パネルにおいて、前記複数の補強リブ15が、前記屋内側金属外皮11を芯材4側に突出するよう折り返すことで形成され、前記補強具7が一部の補強リブ15間に配設され、この補強具7が配設された補強リブ15間の対向間寸法が、補強具7が配設されていない補強リブ15間の対向間寸法に比べ、異なる寸法となっていることが好ましい。
【0013】
またこの建築用パネルにおいて、前記パネル本体1を建物躯体へ取りつけるための取付部材97が、前記屋内側から挿通された固着具95を介して、前記補強板材5に固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の建築用パネルによれば、パネル本体全体としての剛性を保ちつつ、屋内側から力が掛かった場合においても変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の建築用パネルを幅方向に切断した断面図である。
【図2】(a)は室内側金属外皮を説明するための図であり(b)は室内側金属外皮に補強板材を配設した状態を示す図である。
【図3】実施形態1の建築用パネルの斜視図である。
【図4】(a)(b)は、実施形態1の建築用パネルの補強板材の並びを説明するための図であり、室内側金属板に補強板材が配置された状態を示している。
【図5】実施形態1の建築用パネルの施工方法を説明するため、一部を省略した斜視図である。
【図6】実施形態1の建築用パネルに化粧板を装着した状態を説明するための断面図である。
【図7】実施形態2の建築用パネルを幅方向に切断した断面図である。
【図8】実施形態3の建築用パネルを幅方向に切断した断面図である。
【図9】実施形態4の建築用パネルを幅方向に切断した断面図である。
【図10】変形例の建築用パネルの断面図である。
【図11】さらに別の変形例の建築用パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0017】
実施形態1の建築用パネルは、いわゆるサンドイッチパネルであり、特にビルの外壁等に使用される。本実施形態の建築用パネルは、図1に示されるように、パネル本体1と、パネル本体1を建物躯体に取り付けるための取付部材97とを備えている。
【0018】
なお以下においては、説明の便宜上、パネル本体1の短手方向をパネル本体1の幅方向とし(図3中矢印A)、この幅方向に直角な方向で且つパネル本体1に沿った方向(図3中矢印B)を長手方向と定義する。
【0019】
パネル本体1は、図1に示されるように、屋内側に面する屋内側金属外皮11と、屋外側に面する屋外側金属外皮12と、これら屋内側金属外皮11と屋外側金属外皮12との間に配設された芯材4とにより構成されている。
【0020】
屋内側金属外皮11及び屋外側金属外皮12は、例えば厚み0.5〜0.8mm程度の金属板をロール加工や曲げ加工することにより形成される。この屋内側金属外皮11及び屋外側金属外皮12の母材となる金属板は、亜鉛めっき鋼板や塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板等により構成される。
【0021】
屋内側金属外皮11は、図2に示されるように、屋内側面を構成する屋内側本体部110と、この屋内側本体部110の幅方向の一端に形成された第1の屋内側接続部111と、屋内側本体部110の幅方向の他端に形成された第2の屋内側接続部112とを備えている。
【0022】
屋内側金属外皮11の屋内側本体部110は、その芯材4側の面に、長手方向に沿って連続するように補強リブ15が突設されている。この補強リブ15は、幅方向に並ぶように複数並設されている。補強リブ15は、図1に示されるように、突出先端と屋外側金属外皮12との間に所定の空隙を有しており、屋外側金属外皮12に当接していない(例えば、パネル厚みが50mmに対し、リブ高さ14mm)。複数の補強リブ15は、長手方向の全長に亘って互いに平行となっている。本実施形態の補強リブ15は、屋内側金属外皮11を、芯材4側に屈曲した上でさらに折り返し、芯材4側に凸となるよう形成されている。これにより、屋内側金属外皮11の屋内側に臨む面は、補強リブ15の背面に対応する部位に、筋状の溝部17が形成される。本実施形態の溝部17は、長手方向全長に亘って連続しており、幅方向に複数並設されている。また一の補強リブ15は、対向する他の補強リブ15と屋内側金属外皮11の芯材4側の面とで、補強板収容凹所16を形成する。なお、この補強板収容凹所16は、図2に示されるように、補強板材5が収容される凹所であればよく、屋内側本体部110の第1の屋内側接続部111側の端部のように2つの補強リブ15に挟まれていない部分においても、補強板収容凹所16と称する。
【0023】
補強板収容凹所16は、補強リブ15間の対向間寸法が、第1の寸法L1と第2の寸法L2との2種類の寸法で構成されている。補強板収容凹所16の補強リブ15間の対向間寸法は、後述の断面略コ字状の補強具7が装着された補強板収容凹所16においては、第1の寸法L1(例えば80mm)となっており、この補強具7が装着されていない補強板収容凹所16においては、第2の寸法L2(例えば70mm)となっている。この補強具7が装着された補強板収容凹所16の第1の寸法L1は、第2の寸法L2に比べ幅広に形成されており、両者は、施工者が目視して判別できる程度の異なる寸法となっている。
【0024】
屋外側金属外皮12は、略平坦な屋外側本体部120と、この屋外側本体部120の幅方向の一端に形成された第1の屋外側接続部121と、屋外側本体部120の幅方向の他端に形成された第2の屋外側接続部122とを備えている。
【0025】
芯材4は、図1に示されるように、屋内側金属外皮11に沿うよう前記複数の補強リブ15間に配置された補強板材5と、この補強板材5の屋外側に積層された耐火断熱材6とにより構成されており、この補強板材5と耐火断熱材6との2層構造となっている。この補強板材5は、長矩形状に形成されており、その長手方向がパネル本体1の長手方向と同方向となるよう配置される。補強板材5は、一対の補強リブ15間に、その背面が屋内側金属外皮11に接着固定されることで、補強板収容凹所16内に収容される。
【0026】
本実施形態の補強板材5は、耐火材としての無機質板51により構成されている。無機質板51は、耐火断熱材6(例えばロックウール)と同程度又はそれ以上の耐火性能を有するものであり、例えば、硫酸カルシウム水和物を主成分とする石膏(石膏ボード)や、珪酸カルシウムなどにより構成される。無機質板51は、その厚みが補強リブ15の突出高さと略同じか又はそれよりも僅かに厚く形成されており(例えば約15mm)、耐火断熱材6よりも剛性が高くなるよう構成されている。なお無機質板51における屋外側金属外皮12側の面からは、補強リブ15が突出しないようになっている。
【0027】
本実施形態の補強板材5は、図4に示されるように、幅方向に複数並設されている。この各補強板材5は、長手方向の両端面が、幅方向に隣接する他の無機質板51の長手方向両端面とは、ずれて位置しており、幅方向に見て端面同士が重ならないよう配置されている。
【0028】
このように補強板材5は、屋内側金属外皮11の芯材4側の面の略全面を覆うよう配設されている。すなわち、屋内側金属外皮11の芯材4側の面の略全面に敷設された複数の補強板材5により、耐火層が形成されている。
【0029】
なおこの補強板材5は、本実施形態のような耐火材としての無機質板51に替えて、剛性を有する断熱材を使用したものであってもよい。この断熱材としては、例えば、スチレンボードやスタイロフォーム(登録商標)、セラミックボード等といった剛性の高い断熱ボードが挙げられる。このように実施形態1の建築パネルの屋内側金属外皮11の芯材4側の面には耐火層が形成されているが、本発明の建築用パネルにおいては、屋内側金属外皮11の芯材4側の面の略全面を覆うよう断熱材を配設することで、断熱層を構成してもよい。
【0030】
耐火断熱材6は、図1に示されるように、矩形ブロック状に切断された複数の耐火断熱ブロック61により構成されている。本実施形態の耐火断熱ブロック61は、無機繊維材62により構成されており、具体的にはロックウールにより構成されている。この耐火断熱材6は、補強板材5における屋外側金属外皮12側の面と、屋外側金属外皮12との間の隙間に収容配置されている。この耐火断熱ブロック61は、その繊維方向が両金属外皮11,12に直角な方向に向くよう配設される。
【0031】
本実施形態の耐火断熱ブロック61は、一定のモジュールで形成された第1のブロック63と、この第1のブロック63よりも幅方向の長さが小さく形成された第2のブロック64とを含む。本実施形態の耐火断熱材6は、幅方向に並設された複数の耐火断熱ブロック61のうち、いずれか一つの耐火断熱ブロック61のみを第2のブロック64としており、これにより第1のブロック63を大部分に使用しながら、パネル本体1の幅の長さに適合させることができる。
【0032】
なお特に図示しないが、本実施形態の耐火断熱材6は、例えば、耐火材であってもよい。この場合、耐火断熱ブロック61に替えて耐火ブロックが用いられる。さらに言えば、本実施形態の耐火断熱材6に替えて、断熱材が用いられてもよい。この場合には、耐火断熱ブロック61に替えて断熱ブロックが用いられる。
【0033】
また本実施形態の建築用パネルは、図1,2に示されるように、幅方向に並ぶ複数の補強板収容凹所16のうちの一部の補強板収容凹所16に、断面略コ字形状の補強具7が配設されている。
【0034】
補強具7は、長手方向に長尺状に形成される。補強具7は、対向する一対の対向片71と、この一対の対向片71に連設された連結部72とを備えている。補強具7は、その内部に補強板材5を収容する。補強具7は、対向片71が補強リブ15に当接又は近接対向するようになっており、連結部72が屋内側金属外皮11の芯材4側の面に接着固定される。補強具7は、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に固設された状態で、その内部に補強板材5が接着固定される。この補強具7は、例えば、厚さ約1mmの金属板を略コ字形状に曲げ加工することで形成される。なおこの補強具7は、建築用パネルに要求される強度に応じて、適宜装着され、場合によっては装着されないこともある。またこの補強具7は、建築用パネルの長手方向の略全長に亘って配設されるが、当該長手方向全長に亘って一体となったものや、あるいは、複数の補強具7を長手方向に並設配置し、相互に連結されていないものであってもよい。
【0035】
このような構成のパネル本体1は、屋外側金属外皮12と屋内側金属外皮11との間に芯材4が充填される。本実施形態のパネル本体1は、当該パネル本体1の内外面を構成する本体部20と、隣接する他のパネル本体1との接続部分となる接続部22,23とから構成されている。接続部22,23は、本体部20の一端に設けられた第1の接続部22と、その他端に設けられた第2の接続部23とを含む。本実施形態のパネル本体1は、図1に示されるように、屋外側金属外皮12の第1の屋外側接続部121と、屋内側金属外皮11の第1の屋内側接続部111とが対向し、屋外側金属外皮12の第2の屋外側接続部122と、屋内側金属外皮11の第2の屋内側接続部112とが対向するよう構成されている。よって、この第1の屋外側接続部121と第1の屋内側接続部111とで第1の接続部22を構成し、第2の屋外側接続部122と第2の屋内側接続部112とで第2の接続部23を構成する。
【0036】
本実施形態の建築用パネルは、第1の接続部22が嵌合凸部であり、第2の接続部23が嵌合凹部である。そして、一の建築用パネルと、これに隣接する他の建築用パネルとを、接続部22,23を介して嵌合することで、相互に連結される。なお、この接続部22,23の構成は、本実施形態のような嵌合接続のものに限られず、本発明の建築用パネルにおいては特に限定されるものではない。例えば接続部22,23は、図10や図11のような形状のものであってもよい。
【0037】
また本実施形態の建築用パネルは、図1に示されるように、耐火材からなる補強板材5とは別に、四辺の周端部の略全長に亘って設けられた耐火材41を有している。この耐火材41は、幅方向両端の接続部22,23の内部だけでなく、建築用パネルの長手方向両端にも配設されて、屋内側金属外皮11の芯材4側の面と、屋外側金属外皮12の芯材4側の面とにそれぞれ当接するように配設されている。本実施形態の建築用パネルは、この耐火材41により、屋内側金属外皮11と屋外側金属外皮12との間の隙間を全周に亘って覆う。
【0038】
このような構成のパネル本体1には、図5に示されるように、パネル本体1を建物躯体に取り付けるための取付部材97が設けられている。
【0039】
取付部材97は、屋内側金属外皮11に固設される補強プレート93と、この補強プレート93に固設される一対の係止部材94とを備えている。この補強プレート93は、矩形状の金属板によって構成されており、パネル本体1の幅方向の両端部(すなわち上部及び下部)の2箇所にパネル本体1の幅方向に沿って、固着具95を介して取り付けられる。本実施形態の補強プレート93は、図1に示されるように、屋内側から挿通された固着具95としてのワンサイドボルトにより、断面略コ字状の補強具7に対応する部位に取り付けられる。すなわち、この固着具95は、補強プレート93・屋内側金属外皮11・補強具7・補強板材5を順に貫通し、補強プレート93と補強板材5とを挟圧して、補強プレート93を補強板材5に固定する。
【0040】
係止部材94は、帯状の金属板を曲げ加工することにより形成されている。係止部材94は、図5に示されるように、取着部941と中間部942と引掛け部943とを有しており、これらが略クランク状に連続して構成されている。この係止部材94は、屋内側金属外皮11に固設された補強プレート93にボルト留めされ、固定される。
【0041】
このような構成の建築用パネルは、パネル本体1の長手方向に沿って連続し且つパネル本体1の幅方向に並んだ複数の補強リブ15が、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に設けられているため、屋内側に面する屋内側金属外皮11の剛性を高めることができる。これによりパネル本体1自体の剛性を高めることができる。また、本実施形態の建築用パネルは、補強リブ15が屋内側金属外皮11に設けられているため、ボルト等の室内側への引き抜きに対する強度がより向上する。
【0042】
また、本実施形態の建築用パネルは、金属板を芯材4側に屈曲することで形成された補強リブ15が室内側に設けられており、溝部17が室内側に位置する。このため補強リブ15を形成するために屈曲した部分が、屋外の環境に晒されず、溝部17に水が滞留することもない。これにより、屋外側に補強リブ15が設けられたものに比べ、塗膜の劣化が促進されにくく、しかも溝部17近傍が腐食しにくいものとなる。これにより金属板に孔が開いて雨水が浸入することにより止水性能が低下することを効果的に防ぐことができる。
【0043】
また本実施形態の建築用パネルは、複数の補強リブ15に加えて、当該補強リブ15間に補強板材5が配置されているため、剛性が一層高くなる。そのうえ、本実施形態の建築用パネルは、パネル本体1の長手方向に沿って補強具7が内装されているため、より剛性を向上させることができる。この結果、長手方向に長い建築用パネルであっても、その中間部分で撓みにくいものとなる。これにより長手方向に長い建築用パネルを使用したとしても、中間部分におけるたわみを極力減らすことができ、この結果、止水性を向上させると共に耐火性や断熱性を向上させることができる。
【0044】
しかも本実施形態の建築用パネルは、剛性が高くなっているため、建築物に必要な強度を確保しながら、パネルの厚さを薄くすることができる。
【0045】
また本実施形態の建築用パネルは、芯材4が、補強板材5からなる耐火材と、耐火断熱材6とにより構成されているため、耐火性能及び断熱性能をいずれをも確保することができる。
【0046】
また本実施形態の建築用パネルは、補強板材5が2種類の幅寸法にて形成されており、補強板材5の種類が少ないため、補強板材5について、大量生産が容易であり、また在庫管理も容易である。しかも補強板材5は、幅方向に隣接する補強板材5に対し、端面が幅方向に重ならないよう配置されている(いわゆる千鳥状に配置されている)。このため、長手方向に一体に形成されたものでなくても、強度が低下しにくい。なお、これら複数の補強板材5は、補強リブ15間に配設されて幅方向に位置決めされているため、接着が剥がれにくい。
【0047】
また本実施形態の建築用パネルは、屋内側金属外皮11における補強具7に対応する部位が取付部材装着部となっている。すなわち、取付部材97によりパネル本体1を支持固定するに当たり、パネル本体1の剛性の高い部分を保持することができるので、取り付け状態が安定し、強固に固定することができる。
【0048】
しかも、取付部材97が、前記屋内側から挿通された固着具95を介して、補強板材5に固定されているため、屋内側から容易に作業することができ、ビルの外壁設置工事等の高所作業にも適したものとなる。しかも、補強具7が配設された補強リブ15間の対向間寸法が、補強具7が配設されていない補強リブ15間の対向間寸法よりも幅広となっており、異なる幅寸法となっているため、屋内側金属外皮11の屋内側の面に現れた溝部17により一見して把握できる。このため、作業者は、補強具7が配設された箇所を簡単に把握でき、効率良く確実に作業をすることができる。
【0049】
なお本実施形態の耐火断熱材6は、無機繊維材62(例えばロックウール)にて構成されていたが、この耐火断熱材6は、ポリウレタンやスチレンフォームやフェノールフォームやポリイソシアヌレートフォーム等の常温で液状の樹脂材料を発泡させて形成された樹脂断熱材61であってもよい。この場合、ロックウールなどの無機繊維材62に比べて、耐火性能に劣るものの重量が大幅に削減できるというメリットがある。すなわち本実施形態の建築用パネルは芯材4が耐火層5を有しているため、耐火性能を十分確保しながら、軽量化を図ることができる。
【0050】
また本実施形態の建築用パネルには、図6に示すように、屋内側に位置する屋内側金属外皮11に、金属製の化粧板8を設置することもできる。この化粧板8は、金属外皮1の屋内側の面を覆うものである。化粧板8は、屋内側金属外皮11の板状部12を覆う被覆部81と、この被覆部81の長手方向両端に連設された耳部82とを備えている。この被覆部81は、平滑な平面によって構成されている。この化粧板8は、例えば厚さ0.5mmや0.8mmの鋼板によって構成される。なお化粧板8の固定方法は、例えば屋内側金属外皮11に接着または溶接により固定される。
【0051】
本実施形態の建築用パネルは、補強リブ15が金属板を屈曲することで形成されているため、補強リブ15の背面には幅方向に筋状の溝部17が形成される。このため、建築用パネルの屋内側金属外皮11側の面がそのまま屋内側に露出してしまう場合、この筋状の溝部17が屋内から見て目立ってしまう。この場合、化粧板8を装着するようにすれば、屋内の外観を良好に保つことも可能である。
【0052】
このような本実施形態の建築用パネルは、例えば、次のようにして取付け施工される。以下、本実施形態の建築用パネルを壁下地に取り付ける一例に基づいて説明する。
【0053】
まず、図5に示すように、床下地に建築用パネルを取り付けるためのアングル材からなる縦胴縁90を立設する。なおこの縦胴縁90は、アングル材でなく、C型鋼やH型鋼であってもよい。
【0054】
次に、図5に示すように、取付部材97が取り付けられた建築用パネルを、当該取付部材97の係止部材94を縦胴縁90に差し込むようにして設置する。
【0055】
このように取り付けられた建築用パネルは、同様の施工方法で、上下左右に並設するようにして複数設置される。なお隣接する建築用パネルの端部間には目地部材(図示せず)が装着される。
【0056】
次に、実施形態2について図7に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0057】
本実施形態の建築用パネルは、図7に示されるように、屋内側金属外皮11に設けられた補強リブ15間に耐火断熱材6が配設され、この耐火断熱材6に積層するようにして補強板材5が配設されている。本実施形態の耐火断熱材6は、実施形態1と同様にロックウールにより構成されている。また補強板材5は無機質板51により構成されており、具体的には実施形態1と同様に石膏ボードにより構成されている。
【0058】
このような構成によっても、屋内側に面する屋内側金属外皮11の剛性を高めることができ、建築用パネルの剛性を高めることができる。
【0059】
なお本実施形態の耐火断熱材6は、耐火材であっても、断熱材であってもよい。また、本実施形態の補強板材5は、耐火性を有する補強板材であったが、断熱性を有する補強板材であってもよい。
【0060】
次に、実施形態3について図8に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0061】
本実施形態の建築用パネルは、実施形態1の建築用パネルに対して、補強リブ15の形状及び補強板材5の形状が主に異なっており、それ以外は同じ構成となっている。本実施形態の建築用パネルは、図8に示されるように、芯材4側に凸となった部分が補強リブ15であり、芯材4側に凹となった部分が補強板収容凹所16となっている。またこの補強リブ15の突出先端は、補強板材5の屋外側金属外皮12側の面と略面一となっている。
【0062】
このような構成によっても、実施形態1と同じような効果を奏することができる。また、実施形態2の補強リブ15は、突出先端が平坦となっており、しかも補強板材5の屋外側金属外皮12側の面と略面一となっているため、耐火断熱材6を補強リブ15の先端部分及び無機質板51とで固定できる。
【0063】
なお本実施形態の耐火断熱材6は、実施形態1と同様、耐火材であっても、断熱材であってもよい。また、本実施形態の補強板材5は、耐火性を有する補強板材であったが、断熱性を有する補強板材であってもよい。
【0064】
次に、実施形態4について図9に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0065】
本実施形態の建築用パネルは、芯材4が耐火断熱材6により構成されている。この耐火断熱材6は、複数の耐火断熱ブロック61を有しており、ロックウールにより構成されている。この耐火断熱ブロック61は、各補強リブ15間に配置されており、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に接着固定されている。本実施形態の建築用パネルは単層構造となっている。
【0066】
このような構成の建築用パネルであっても、パネル本体1の長手方向に沿って連続し且つパネル本体1の幅方向に並んだ複数の補強リブ15が、屋内側金属外皮11の芯材4側の面に設けられているため、建築用パネルの剛性を高めることができ、強度を向上させることができる。
【0067】
なお、本実施形態の芯材4は、耐火断熱材6により構成されたものであったが、この耐火断熱材6に替えて、耐火材や断熱材であってもよい。
【0068】
また実施形態1〜4の建築用パネルは横張り用の建築用パネルであったが、本発明の建築用パネルは、縦張り用の建築用パネルであってもよい。
【0069】
また実施形態1〜4の建築用パネルは、取付部材97により建物躯体に取り付けられるものであったが、本発明の建築用パネルにおいては、屋外側金属外皮から釘等を打入し、縦柱や母屋等に固定するものであってもよい。すなわち本発明の建築用パネルは、その取付方法は特に限定されるものではない。
【0070】
なお、上記実施形態1〜4の補強リブ15は、いずれもロール加工や曲げ加工等によって一体に成形されたものだが、本発明の建築用パネルでは、補強リブ15は例えば溶接により別体の補強リブ15が取り付けられたものであってもよく、この点は必ずしも必要な構成ではない。
【0071】
また実施形態1〜3の補強板材5は、石膏ボードによって構成されていたが、本発明の建築用パネルでは、珪酸カルシウムによって構成されていてもよく、特に限定されるものではない。また実施形態1〜3の芯材4の一構成部材として、耐火断熱材6が用いられていたが、本発明の建築用パネルにおいては、耐火断熱材だけでなく、耐火材・断熱材であってもよく、特に限定されない。さらに、芯材の一構成部材として、無機繊維材だけでなく樹脂断熱材が用いられていてもよく、これらのものに限定されない。
【0072】
さらに、本実施形態1〜3の建築用パネルは、補強板材5が、幅方向及び長手方向に複数並設されたものであったが、本発明の補強板材は、例えば、パネル本体と略同形同大の一部材からなる補強板材によって構成されたものであってもよい。また補強板材については、パネル本体の長手方向の全長に亘って形成された補強板材が、幅方向に複数並設されたものであってもよい。つまり、本発明の建築用パネルにおいて、補強板材の大きさは特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
1 パネル本体
11 屋内側金属外皮
12 屋外側金属外皮
15 補強リブ
16 補強板収容凹所
17 溝部
4 芯材
41 耐火材
5 補強板材
51 無機質板
6 耐火断熱材
61 耐火断熱ブロック
62 無機繊維材
63 第1のブロック
64 第2のブロック
7 補強具
71 対向片
72 連結部
8 化粧板
97 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内側金属外皮と屋外側金属外皮との間に芯材が充填された建築用パネルであって、
パネル本体の長手方向に沿って連続し且つパネル本体の幅方向に並んだ複数の補強リブが、屋内側金属外皮の芯材側の面に設けられている
ことを特徴とする建築用パネル。
【請求項2】
前記芯材が、
前記屋内側金属外皮に沿うよう前記複数の補強リブ間に配置された補強板材を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の建築用パネル。
【請求項3】
前記補強板材が耐火材であり、
当該耐火材により、前記屋内側金属外皮の芯材側の面の略全面が覆われている
ことを特徴とする請求項2記載の建築用パネル。
【請求項4】
前記補強板材が断熱材であり、
当該断熱材により、前記屋内側金属外皮の芯材側の面の略全面が覆われている
ことを特徴とする請求項2記載の建築用パネル。
【請求項5】
断面略コ字形状の補強具が、当該補強具の両側の対向片に前記補強リブが当接又は近接対向するよう屋内側金属外皮の芯材側の面に付設されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の建築用パネル。
【請求項6】
前記複数の補強リブが、前記屋内側金属外皮を芯材側に突出するよう折り返すことで形成され、
前記補強具が一部の補強リブ間に配設され、
この補強具が配設された補強リブ間の対向間寸法が、補強具が配設されていない補強リブ間の対向間寸法に比べて、異なる寸法となっている
ことを特徴とする請求項5記載の建築用パネル。
【請求項7】
前記パネル本体を建物躯体へ取りつけるための取付部材が、前記屋内側から挿通された固着具を介して、前記補強板材に固定されている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の建築用パネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−193529(P2012−193529A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57592(P2011−57592)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】