説明

建築用ブロック

【課題】現場における施工コストを低減させる。
【解決手段】リブラス11と、一定高さに切り揃えてリブラス11上に立て並べる丸太材12、12…と、丸太材12、12…の間隙に充填するモルタル13とを備え、モルタル13は、丸太材12、12…の一端を外部に露出させて全体を板状体に仕上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物の床面材または壁面材として使用することができる新規の建築用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の床面材として、木れんがを使用することが古くから知られている(たとえば非特許文献1)。
【0003】
木れんがの床は、たとえばコンクリート打ちの床面に厚さ25〜50mm程度の砂層を置き、その上に断面正方形または長方形、高さ75〜100mm程度の直方体の木片を立て並べた上、目地にアスファルトなどを充填して床面とする。単なる板張りの床面に比較して、木片の木口面の形の変化や、各木片の微妙な高さの変化などがアクセントになり、興趣に富む床面を作ることができる。また、木片は、断熱性に優れているので、冷暖房効率が良好な建築物を作ることが可能である。
【非特許文献1】下出源七編、建築大辞典、彰国社(昭和49年10月10日)、1518頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術によるときは、床面は、極めて多数の直方体の木片を一面に立て並べて現場施工するので、所要工数が過大となり、施工コストが高くなりがちであるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、リブラス上の丸太材の間隙にモルタルを充填することによって、良好な断熱性を維持しながら、施工コストを低減させることができる建築用ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、長方形のリブラスと、一定高さに切り揃えてリブラス上に立て並べる丸太材と、リブラスを下面に埋設するようにして丸太材の間隙に充填するモルタルとを備えてなり、モルタルは、丸太材の一端を外部に露出させて全体を板状体に仕上げることをその要旨とする。
【0007】
なお、モルタルは、体積比でおが粉3、セメント1を混合して調整することができ、丸太材は、モルタルから露出する木口面に透明樹脂塗料を塗布することができ、複数本の係合材を外周に立てることができる。
【発明の効果】
【0008】
かかる発明の構成によるときは、リブラス上に立て並べる丸太材は、その間の間隙に充填するモルタルを介して全体形状が板状体に仕上げられているから、これを現場に搬入して敷き並べることにより、簡単に床面材または壁面材として使用し、施工することができる。また、丸太材を使用することにより、良好な断熱性を実現するとともに、丸太材の木目の美しさを生かすことができる。
【0009】
リブラスは、たとえばJIS A 5505のリブラスAまたはリブラスBに準ずる材料を板状体としての仕上がりサイズに合わせて長方形(正方形を含む)に裁断して使用する。また、丸太材は、直径80〜200mmの皮剥ぎ済みの丸太を長さ70〜100mm程度の一定高さに切断して使用する。丸太材は、床面用としては、アテ、ヒノキ、ケヤキなどの堅木材を使用するものとし、壁面用としては、スギ、マツ類などであってもよい。ただし、いずれの場合も、丸太材は、含水率20%以下、好ましくは15%以下の乾燥材を使用するものとする。なお、各丸太材は、モルタルの表面から15〜25mm突出させ、ラス張り用のステープルを介して下端の木口面をリブラスに固定する。
【0010】
このような建築用ブロックは、施工現場に搬入して施工面に敷設した上、外部に露出する丸太材の木口面を除くモルタル面の全面を洗い出し仕上げ、叩き仕上げ、モルタル仕上げなどによって仕上げることができる。ただし、洗い出し仕上げは、粒径が揃った砂利または川砂とセメントとを混合して仕上げ材とするのがよく、叩き仕上げは、細断した藁を壁土に混入して仕上げ材とすることにより、格別の興趣を実現することができる。なお、各建築用ブロックは、施工現場に搬入する前にモルタル面を仕上げ、施工現場に搬入して敷設施工し、目地棒によるシール工事だけを施すことも可能である。
【0011】
モルタルは、体積比でおが粉(鋸屑)3、セメント1を混合することにより、良好な断熱性、加工性、軽量性を実現することができる。おが粉は、国産材起源のもので、塩分を含まないものを使用するのがよい。
【0012】
丸太材は、モルタルから露出する木口面に透明樹脂塗料を塗布することにより、水の吸収やひび割れを防ぎ、美感を向上させることができる。樹脂塗料は、たとえばポリウレタン系、アクリル系などが好適である。なお、丸太材は、モルタルに埋設する下端の木口面に対し、防腐剤のような保護塗料を塗布することが好ましい。
【0013】
丸太材は、係合材を外周に立てることにより、モルタルとの密着性を向上させ、全体強度を大きくすることができる。係合材としては、太さ数mmの木ねじ、釘などの一部を丸太材に打ち込み、頭部を含む長さ数10mmを丸太材の径方向に突出させればよく、各丸太材の周方向に2〜4本程度をほぼ等間隔に立設することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0015】
建築用ブロック10は、リブラス11と、リブラス11上に一定高さに切り揃えて立て並べる丸太材12、12…と、丸太材12、12…の間隙に充填するモルタル13とを備えてなる(図1、図2)。
【0016】
リブラス11は、メタルラス11aに対し、山形のリブ11b、11b…を等間隔に配置して構成されている。リブラス11は、建築用ブロック10のサイズに合わせて長方形(正方形を含む)に裁断されている。たとえば、建築用ブロック10の縦L、横Wを600×600mmとするとき、リブラス11は、高さ5〜10mmのリブ11b入りとして、590×590mmに裁断して使用するのがよい。
【0017】
丸太材12、12…は、直径80〜200mmの皮剥ぎ済みの乾燥材であって、髄を含み、高さ70〜100mm程度の一定高さに切り揃えられている。各丸太材12は、複数の木ねじなどによる係合材12a、12a…が外周にほぼ等間隔に立設されている。なお、各丸太材12の上下の各木口面は、滑らかに仕上げ、それぞれ透明樹脂塗料、保護塗料を塗布することが好ましい。
【0018】
各丸太材12は、リブラス11のメタルラス11aに対し、高さ30mm程度のラス張り用のステープル12b、12b…を打ち込むことにより、下端の木口面を固定することができる(図3)。なお、リブラス11は、リブ11b、11b…を丸太材12、12…側に向け、メタルラス11aが丸太材12、12…の木口面に接するようにして使用するものとする(図1、図2)。
【0019】
モルタル13は、おが粉3、セメント1(体積比)を混合する鋸屑モルタルである。モルタル13は、図示しない型枠内において、リブラス11を下面に埋設するようにして丸太材12、12…の間隙に充填し、丸太材12、12…の一端を外部に露出させて全体形状を所定サイズの板状体に仕上げる。すなわち、モルタル13の上面は、丸太材12、12…の上端の木口面より15〜25mm下げて下地面とする。モルタル13が固化したら、型ばらしして建築用ブロック10として完成させる。なお、各丸太材12には、上の木口面を含み、モルタル13から露出する上端部の全面に対して透明樹脂塗料を塗布してもよい。
【0020】
以上の製造工程の概略フローを図4に示す。
【0021】
このようにして製造する建築用ブロック10、10…は、施工現場に搬入し、建築物のコンクリート床F上に敷設する(図5)。次いで、建築用ブロック10、10…のモルタル13、13…の上面に露出する丸太材12、12…の木口面を残してモルタル13、13…上に仕上げ材Kをこて塗りし、洗い出し仕上げ、叩き仕上げ、モルタル仕上げなどによって仕上げるものとする。なお、図5において、隣接する建築用ブロック10、10間に適切な目地を設け、仕上げ材Kにも、建築用ブロック10ごとに目地を設けてもよい。
【0022】
また、各建築用ブロック10は、モルタル13の上面に仕上げ材Kによる仕上げを完了させた後、施工現場に搬入し、コンクリート床F上に敷設して目地工事だけで施工工事を完了させてもよい。
【0023】
以上の説明において、建築用ブロック10は、床面材としてでなく、建築物の壁面材としても使用可能である。また、建築物の屋内に限らず、屋外に施工することも可能であるが、このときの丸太材12、12…は、適切な防腐処理を施すことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一部切欠き全体構成斜視図
【図2】全体分解斜視図
【図3】要部組立斜視図
【図4】概略製造工程図
【図5】施工状態説明図
【符号の説明】
【0025】
10…建築用ブロック
11…リブラス
12…丸太材
12a…係合材
13…モルタル

特許出願人 有限会社 出口建設
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形のリブラスと、一定高さに切り揃えて前記リブラス上に立て並べる丸太材と、前記リブラスを下面に埋設するようにして前記丸太材の間隙に充填するモルタルとを備えてなり、該モルタルは、前記丸太材の一端を外部に露出させて全体を板状体に仕上げることを特徴とする建築用ブロック。
【請求項2】
前記モルタルは、体積比でおが粉3、セメント1を混合して調整することを特徴とする請求項1記載の建築用ブロック。
【請求項3】
前記丸太材は、前記モルタルから露出する木口面に透明樹脂塗料を塗布することを特徴とする請求項1または請求項2記載の建築用ブロック。
【請求項4】
前記丸太材は、複数本の係合材を外周に立てることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の建築用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−211504(P2007−211504A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33457(P2006−33457)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(301036319)有限会社出口建設 (1)
【Fターム(参考)】