建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピン
【課題】接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることができ、さらに、付加価値を向上させることのできる建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンの提供を目的とする。
【解決手段】建築用接合金具1は、固定孔211を穿設した固定板21、及び、この固定板21から突設され、一対の対向した連結板22を有する受け金具2、一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に装入孔33が形成され、受け金具2の固定孔211に挿入される固定金具3、及び、固定ピン4などを備え、柱61の側面に、梁62の端面を接合する。
【解決手段】建築用接合金具1は、固定孔211を穿設した固定板21、及び、この固定板21から突設され、一対の対向した連結板22を有する受け金具2、一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に装入孔33が形成され、受け金具2の固定孔211に挿入される固定金具3、及び、固定ピン4などを備え、柱61の側面に、梁62の端面を接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梁等の木部材と柱等の木部材を接合する建築用木部材の接合方法として、ほぞ加工やぬき加工を木材に施し、これら木材どうしを組み合わせて接合する方法が用いられてきた。
近年では、建築用接合金具を用いて接合すると、木材どうしを組み合わせて接合するより強固に接合でき、かつ、施工現場での作業効率を向上させることができることから、様々な構造の建築用接合金具などが提案されている
【0003】
たとえば、特許文献1には、構造材と、構造材に固定される固定部、及び、固定部から構造材と略直交するよう延びる板状の支持部を有する接合金物と、接合金物の支持部を先端から内部へと長さ方向に差し込むための差込溝、及び、略水平方向一側面から他側面まで延びる長さのピン孔を有する横架材と、横架材のピン孔に略水平方向一側面から圧入され、接合金物の支持部を貫通してピン孔内を横架材の略水平方向他側面側の位置まで延びる長さのドリフトピンとを具備する木造建築物の軸組構造の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、一の木部材の一側面に固定される板状の背部と、この背部と対向して配設された、他の木部材の仕口面に固定される板状の受け部と、この背部と受け部の側辺を連結する板状の側面部とからなる、横断面コ字形状の金具本体と、この金具本体の背部を一の木部材の一側面に固定する固定ボルトと、金具本体の受け部に他の木部材の仕口面を固定する軸状固定手段とからなる建築物の接合金具の技術が開示されている。
さらに、上記の軸状固定手段としての雇いパイプだぼは、一端側の内周に雌ねじが切られており、他端側にはピン孔が穿設されている中空状の軸部材である。
【0005】
また、特許文献3には、柱の側面に当てがわれる基板、及び、基板に直交して梁側に突出する受板を備え、基板にはボルト部材の軸部を挿通させうるボルト孔が形成された金具本体と、ボルト部材と、ボルト部材に螺合しうるナット部、及び、ナット部よりも大きな軸長を有してナット部に外装された筒部を備え、筒部にはその軸心と直交する方向にピン孔が貫通形成されているほぞ部材と、ピン部材とを用いた接合金具の取付構造の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、主幹部材に端部が突出する形で埋め込むシャフトと、横架部材の端部に形成したスリットに差し込む接合板と、接合板をシャフトに固定する固定ピンとを備え、接合板は、縁部をシャフトの端部に形成したスリットに差し込まれ、側方から固定ピンを貫通してシャフトに固定する木造建築部材の連結金具の技術が開示されている。
さらに、シャフトに、主幹部材同士を連結するために主幹部材に埋め込まれる連結体の固定部を備えている木造建築部材の連結金具の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−104339号公報
【特許文献2】特許第3172088号公報
【特許文献3】特許第4080419号公報
【特許文献4】特許第4088579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された木造建築物の軸組構造の技術は、接合金物の固定部を、ボルト及びナットを用いて柱に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された建築物の接合金具の技術は、金具本体の背部を、ボルト及びナットを用いて柱に固定し、また、金具本体の受け部を、軸状固定手段、ボルト(あるいは、ナット)、角座金、及び、貫通ピンを用いて梁に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0010】
さらに、特許文献3に記載された接合金具の取付構造の技術は、加工コストや部品コストを削減できるものの、金具本体の基板を、ボルト部材などを用いて柱に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0011】
また、特許文献4に記載された木造建築部材の連結金具の技術は、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができるものの、構造的に接合強度を十分得られないおそれがある。
【0012】
また、建築用接合金具においては、さらなる接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることが要望されている。さらに、接合強度を維持あるいは向上させつつ、様々な接合を可能とすることにより、付加価値を向上させることも要望されている。
【0013】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることができ、さらに、付加価値を向上させることのできる建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の建築用接合金具は、一方の木部材の側面に他方の木部材の端面を接合するための建築用接合金具において、前記一方の木部材の側面に固定するための固定孔を穿設した固定板、及び、この固定板から突設され、前記他方の木部材に連結される一対の対向した連結板を有する受け金具と、一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に装入孔が形成され、前記受け金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具と、前記固定金具の装入孔に装入される棒状又は筒状の固定ピンとを備えた構成としてある。
【0015】
また、本発明の固定金具は、一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、前記接合金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具において、一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に、固定ピンが装入される装入孔が形成された構成としてある。
【0016】
また、本発明の固定ピンは、一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、一方の端部に係止部を有し、他方の端部に長穴形状の装入孔が形成された固定金具の、前記長穴形状の装入孔に装入される固定ピンであって、前記固定ピンの先端部側の部分が、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状または前記装入孔の短径部より僅かに大きい直径に形成された構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンによれば、接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることができ、さらに、付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大斜視図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はA−A断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図5】図5は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図7】図7は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図8】図8は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図9】図9は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図10】図10は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図11】図11は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図12】図12は、本発明の応用例にかかる固定金具及び一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略斜視図を示している。
【図13】図13は、本発明の応用例にかかる固定金具を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はB−B断面図を示しており、(d)は要部の拡大図を示している。
【図14】図14は、本発明の一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)は平面図を示しており、(d)はC−C断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[建築用接合金具の第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図1において、本実施形態の建築用接合金具1は、受け金具2、固定金具3、及び、固定ピン4などを備えた構成としてある。この建築用接合金具1は、柱61の側面に、梁62の端面を接合する。
【0020】
(受け金具)
受け金具2は、柱61の側面に固定するための固定孔211を穿設した固定板21、及び、この固定板21から突設され、梁62に連結される一対の対向した連結板22を有している。
【0021】
受け金具2における固定板21は、細長い矩形平板状であり、固定孔211が垂直方向の六箇所に形成されている。このようにすると、固定位置に応じて上から一番目、三番目及び五番目の固定孔211、又は、上から二番目、四番目及び六番目の固定孔211のいずれか一方を選択することができる。すなわち、二つの受け金具2を、柱61の同じ高さ位置に直交する状態で固定する場合であっても、それぞれの固定金具3どうしが干渉しないので、柱61の同じ高さ位置に、直交する二本の柱61を接合することができる。
【0022】
連結板22は、上部の梁側に、係止用ピン(ドリフトピン)51が係止されるあご掛け221が設けてある。
あご掛け221は、底部がほぼ長円状の切欠であり、上部が係止用ピン51を上方から落とし込みやすいように、上方ほど間口が広く開口された構造としてある。このようにすると、梁62の端部を上方から受け金具2に向けて降下させることにより、係止用ピン51をあご掛け221に容易に係止することができ、作業性を向上させることができる。また、作業性が向上することによって、より安全に現場での高所作業を行うことができる。
【0023】
連結板22は、あご掛け221の下方の二箇所に、梁62と受け金具2とを連結ピン(ドリフトピン)52を装入する連結孔222を穿設してある。このようにすると、連結ピン52を打ち込むといった容易な作業により、梁62と受け金具2を連結することができ、作業性を向上させることができる。
なお、本実施形態の固定孔211や連結孔222の数量などは、上記に限定されるものではなく、たとえば、梁62の形状や大きさに応じて設定することができる。
【0024】
また、一対の連結板22は、梁62の端面に加工された二本の溝に嵌入される。また、梁62は、二本の溝の間に、固定金具3の係止部32との干渉を避ける欠き込み部(切欠)が形成されている。
このように、連結板22は、二本の溝に嵌入された状態で梁62と連結されるので、梁62の側面方向に位置決めを確実に行うことができる。また、連結板22が溝に装入されることによって、梁62の側面方向の外力に対する機械的強度が向上する。さらに、一対の連結板22どうしの間には、梁62の一部がスペーサとして存在するので、連結ピン52による連結強度を向上させることができる。
【0025】
(固定金具)
図2は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大斜視図を示している。
また、図3は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はA−A断面図を示している。
図2、3において、固定金具3は、一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に円形状の装入孔33が形成されたパイプ31としてあり、他方の端部から受け金具2の固定孔211に挿入される。
なお、本実施形態では、パイプ31を用いているが、これに限定されるものではなく、たとえば、パイプ31の代わりに、丸棒などを用いてもよい。
【0026】
係止部32は、ストッパーピン321と角座金322を有する構成としてある。
ストッパーピン321は、角座金322の一辺とほぼ同じ長さを有する丸棒状のピンであり、パイプ31の一方の端部に穿設された貫通孔に嵌入される。
また、角座金322は、中央に貫通孔の形成されたほぼ正方形状の鋼板であり、パイプ31が嵌入された状態でパイプ31に取り付けられる。また、角座金322は、パイプ31の他方の端部側からストッパーピン321と当接し、かつ、角座金322の一辺がストッパーピン321の軸芯と平行となっている。
さらに、ストッパーピン321や角座金322は、溶接接合されている。通常、ストッパーピン321の各端部と角座金322の対応する端部とが溶接接合される。なお、溶接箇所は、上記に限定されるものではない。
【0027】
上記構成の固定金具3は、ストッパーピン321がパイプ31に貫通しているので、パイプ31の一方の端部側へ作用する大きな外力を支持することができ、梁62の長手方向の外力や梁62の上下方向の外力(モーメント)に対する接合強度を向上させることができる。また、係止部32が、一対の対向した連結板22の間に嵌合される構造としてあり、角座金322は、固定板21と当接し、固定板21を補強するので、梁62の側面方向の外力(モーメント)に対する接合強度を向上させることができる。
【0028】
また、ストッパーピン321や角座金322を有する係止部32は、構造が単純であるので、加工費や部品費を低減することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
さらに、装入孔33の中心軸とストッパーピン321の軸芯は、平行としてあり、さらに、固定金具3を取り付ける際、角座金322の対向する一対の辺は、一対の連結板22によってガイドされるので、装入孔33と柱61に穿設された孔(固定ピン4が打ち込まれる孔)との位置合わせを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、固定金具3は、上記構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、三枚の角座金322の代わりに、所定の三箇所に貫通孔の穿設された細長い一枚の矩形状の鋼板を用いてもよい。
【0030】
(固定ピン)
固定ピン4は、一方の端部側に、截頭円錐部を有し、他方の端部側に、あや目ローレット加工が施されたほぼ丸棒状のピン(一般的に、ドリフトピンと呼ばれる。)である。
この固定ピン4は、柱61の打込孔に打ち込まれると、固定金具3の装入孔33を貫通し、受け金具2を柱61の側面に固定する。
なお、柱61は、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3が挿入される挿入孔が穿設され、また、挿入された固定金具3の装入孔33の中心軸とほぼ一致するように、固定ピン4が打ち込まれる打込孔が穿設されている。
【0031】
次に、上記構成の建築用接合金具1の接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図1において、柱61は、上述したように、固定金具3が挿入される挿入孔、及び、固定ピン4が打ち込まれる打込孔が穿設される。
次に、受け金具2の固定板21が柱61の側面に載置され、三つの固定金具3が、固定孔211及び柱61の挿入孔に挿入される。続いて、固定ピン4が、柱61の打込孔に打ち込まれることによって、受け金具2は、柱61の側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0032】
また、梁62は、上述したように、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2の固定された柱61や係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0033】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1は、受け金具2の固定に、固定金具3及び固定ピン4を用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の柱61への固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1の全く取り付けられていない柱61や梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1が木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0034】
次に、受け金具2が工場内あるいは施工現場で固定された柱61は、施工現場において、基礎(図示せず)上に立設される。
続いて、梁62を柱61の方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が柱61に接合される。
【0035】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図5は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図4、5において、建築用接合金具1は、固定ピン4が打ち込まれることによって、受け金具2の固定板21が、柱61の側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が柱61の側面に押圧された状態で、接合される。
【0036】
また、建築用接合金具1は、固定金具3の係止部32が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
さらに、柱61は、受け金具2の固定された側面と対向する側面に、パイプ31が露出(あるいは、突出)していないので、結露の発生を抑制するとともに、美観を向上させることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1によれば、固定金具3及び固定ピン4を用いて、受け金具2を固定することによって、作業性及び接合強度を向上させることができる。また、固定金具3の係止部32として、ストッパーピン321及び角座金322を設けることにより、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0038】
[建築用接合金具の第二実施形態]
図6は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図6において、本実施形態の建築用接合金具1aは、上述した第一実施形態の建築用接合金具1と比べると、受け金具2が受け梁63に固定され、三本の固定ピン4の代わりに、一本の長尺の固定ピン4aを備えている点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0039】
固定ピン4aは、受け梁63の幅寸法とほぼ同じ長さとしてあり、三つの固定金具3の装入孔33に上方から装入される。
ここで、受け梁63は、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3が挿入される挿入孔が穿設され、固定金具3は、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように挿入される。また、受け梁63は、挿入された固定金具3の装入孔33の中心軸とほぼ一致するように、固定ピン4aが打ち込まれる打込孔が穿設されている。
なお、固定ピン4aは、図示してないが、割りピンなどの係止部を有する構成としてもよく、このようにすると、固定ピン4aが下方に移動しすぎるといった不具合を回避することができる。
【0040】
次に、上記構成の建築用接合金具1aの接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図6において、受け梁63は、上述したように、固定金具3が挿入される挿入孔、及び、固定ピン4aが打ち込まれる打込孔が穿設される。
次に、受け金具2の固定板21が受け梁63の側面に載置され、三つの固定金具3が、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように、固定孔211及び受け梁63の挿入孔に挿入される。続いて、一本の固定ピン4aが、受け梁63の打込孔に打ち込まれることによって、受け金具2は、受け梁63の側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0041】
また、梁62は、上述した第一実施形態と同様に、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2の固定された受け梁63や係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0042】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1aは、受け金具2の固定に、固定金具3及び一本の固定ピン4aを用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の受け梁63への固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1aの全く取り付けられていない受け梁63や梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1aが木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0043】
次に、受け金具2が工場内あるいは施工現場で固定された受け梁63は、施工現場において、図示してないが、柱61などに接合される。
続いて、梁62を受け梁63の方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が受け梁63に接合される。
【0044】
図7は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図8は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図7、8において、建築用接合金具1aは、固定ピン4aが打ち込まれることによって、受け金具2の固定板21が、受け梁63の側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が受け梁63の側面に押圧された状態で、接合される。
【0045】
また、建築用接合金具1aは、固定金具3の係止部32が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
さらに、受け梁63は、受け金具2の固定された側面と対向する側面に、パイプ31が露出(あるいは、突出)していないので、結露の発生を抑制するとともに、美観を向上させることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1aによれば、第一実施形態の建築用接合金具1とほぼ同様の効果を奏するとともに、一本の固定ピン4aを打ち込むことにより、受け金具2を受け梁63に固定することができるので、作業性をさらに向上させることができる。また、固定金具3は、第一実施形態のものと共用化することができ、使い勝手などを向上させることができる。
【0047】
[建築用接合金具の第三実施形態]
図9は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図9において、本実施形態の建築用接合金具1bは、第一実施形態の建築用接合金具1と比べると、ほぞ金具7、一対の受け金具2、固定金具3b、固定ピン4a、及び、角座金322を備えている点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図9において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0048】
(ほぞ金具)
ほぞ金具7は、少なくとも一方の端部に、固定金具3bのパイプ31bが挿入される貫通孔71が穿設されたパイプとしてあり、本実施形態では、両方の端部に貫通孔71が穿設されている。このほぞ金具7は、下方側が、柱61bの装入穴に装入され、下方の貫通孔71に、固定金具3bのパイプ31bが貫入される。また、ほぞ金具7の上方側は、図示してないが、柱61bの上面と接合される木材(たとえば、継ぎ柱)の装入穴に装入され、上方の貫通孔71に、ドリフトピンなどが打ち込まれる。
【0049】
(固定金具)
固定金具3bは、第一実施形態の固定金具3と比べると、パイプ31より長いパイプ31bを有しており、柱61bの対向する側面に、一対の受け金具2を固定する。すなわち、固定金具3bは、一方の受け金具2の固定孔211に挿入され、他方の端部(パイプ31bの端部)が、他方の受け金具2の固定孔211から所定の長さだけ突出する。また、突出した他方の端部(パイプ31bの端部)には、貫通孔の穿設された角座金322が取り付けられ、角座金322より先端側に位置する装入孔33に、上方から長尺の固定ピン4aが装入される。
なお、柱61bは、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3bが挿入される挿入孔が穿設され、また、柱61bの上面のほぼ中央部には、上方の固定金具3bと対応するように、ほぞ金具7が装入される装入穴が穿設されている。さらに、第一実施形態と比べると、打込孔を穿設する必要がなく、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0050】
次に、上記構成の建築用接合金具1bの接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図9において、柱61bは、上述したように、ほぞ金具7が装入される装入孔、及び、固定金具3bが挿入される挿入孔が穿設される。
次に、一対の受け金具2の固定板21が柱61bの対向する側面にそれぞれ載置され、三つの固定金具3bが、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように、所定の方向(一方の固定金具3bの方向)から固定孔211及び柱61bの挿入孔に挿入され、固定金具3bの先端部が、他方の固定金具3bの固定孔211から所定の長さだけ突出する。また、突出した固定金具3bの先端部(パイプ31bの端部)には、貫通孔の穿設された角座金322が取り付けられ、角座金322より先端側に位置する装入孔33に、上方から長尺の固定ピン4aが装入されることによって、一対の受け金具2は、柱61bの対向する側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0051】
また、上方の固定金具3bが柱61bの挿入孔に挿入される前に、本実施形態では、柱61bの装入穴に、ほぞ金具7が装入される。したがって、上方の固定金具3bは、柱61bの挿入孔に挿入されると、ほぞ金具7の下方の貫通孔71に貫入されることとなり、ほぞ金具7を効率よく固定することができる。
【0052】
一対の梁62は、上述した第一実施形態と同様に、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2及びほぞ金具7の固定された柱61bや係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0053】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1bは、一対の受け金具2及びほぞ金具7の固定に、固定金具3、角座金322及び一本の固定ピン4aを用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の柱61bへの固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1bの全く取り付けられていない受け柱61bや梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1bが木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0054】
次に、一対の受け金具2及びほぞ金具7が工場内あるいは施工現場で固定された柱61bは、施工現場において、基礎(図示せず)上に立設される。
続いて、梁62を柱61bの方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が柱61bに接合される。
【0055】
図10は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図11は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図10、11において、建築用接合金具1bは、固定ピン4aが打ち込まれることによって、一対の受け金具2の固定板21が、柱61bの対向する側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が柱61bの側面に押圧された状態で、接合される。
また、建築用接合金具1bは、上方の固定金具3bが、柱61bの挿入孔に挿入されると、ほぞ金具7の下方の貫通孔71に貫入されることとなり、ほぞ金具7を効率よく固定することができる。
【0056】
また、建築用接合金具1bは、固定金具3の係止部32や角座金322が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32や角座金322が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1bによれば、第一実施形態の建築用接合金具1とほぼ同様の効果を奏するとともに、一本の固定ピン4aを打ち込むことにより、一対の受け金具2やほぞ金具7を柱61bに固定することができるので、作業性をさらに向上させることができる。さらに、建築用接合金具1bは、接合強度を維持あるいは向上させつつ、一対の受け金具2やほぞ金具7の接合を可能とすることができ、付加価値を向上させることができる。
【0058】
[固定金具の一実施形態]
また、本発明は、固定金具の発明としても有効である。
本実施形態の固定金具は、上述した固定金具3としてある。すなわち、本実施形態の固定金具3は、一方の木部材(柱61)に他方の木部材(梁62)を接合するための接合金具(受け金具2)を、少なくとも一つの木部材(柱61)に固定するための、接合金具(受け金具2)の固定孔(固定孔211)に挿入されるパイプ31を備えている。また、パイプ31の一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に、固定ピン4が装入される装入孔33が形成された構成としてある。
また、装入孔33には、通常、ドリフトピンが装入される。
【0059】
ここで、係止部32は、上述したように、ストッパーピン321と角座金322を有する。このようにすると、構造が単純となるので、加工費や部品費を低減することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、固定金具3が固定する接合金具は、受け金具2に限定されるものではなく、一方の木部材に他方の木部材を接合するための様々な構造の接合金具に適用することができる。
また、装入孔33は、パイプ31の他方の端部に形成されるが、ここで、他方の端部とは、他方の端部側といった意味である。すなわち、他方の先端部である必要はなく、中央部に近い他方の端部であってもよい。さらに、装入孔33は、たとえば、パイプ31の他方の端部及び中央部に形成されてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の固定金具3によれば、ドリフトピンを用いて、受け金具2を容易に固定することができ、作業性及び接合強度を向上させることができる。また、固定金具3の係止部32として、ストッパーピン321及び角座金322を設けることにより、製造原価のコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、本実施形態の応用例などについて、図面を参照して説明する。
【0061】
<固定金具の応用例、及び、固定ピンの一実施形態>
図12は、本発明の応用例にかかる固定金具及び一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略斜視図を示している。
また、図13は、本発明の応用例にかかる固定金具を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はB−B断面図を示しており、(d)は要部の拡大図を示している。
さらに、図14は、本発明の一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)は平面図を示しており、(d)はC−C断面図を示している。
図12、13、14において、本応用例の固定金具3´は、上述した固定金具3と比べると、装入孔33´が長穴形状に形成されている点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、固定金具3とほぼ同様としてある。
また、本実施形態の固定ピン4´は、上述した固定ピン4と比べると、固定ピン4´の先端部側の部分が、装入孔33´の長穴形状に対応する断面形状に形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、固定ピン4とほぼ同様としてある。
【0062】
固定金具3´は、図13に示すように、パイプ31の外径がD3であり、また、内径がd3である。また、装入孔33´は、長手方向がパイプ31の軸芯方向と平行な長穴形状としてある。すなわち、装入孔33´は、距離Wだけ離れて対向する一対の平面と、曲率半径D/2の対向する一対の曲面とによって形成されている。
ここで、d3=Dとしてあり、また、d3>W(なお、Wは、d(=固定ピン4´の直径)>Wである。)としてある。これにより、たとえば、直径Dの円形状の装入孔33´と比べると、ハッチングで示す補強部311(図13(d)参照)が形成されるので、固定金具3´は、固定ピン4´を支持する機械的強度を向上させることができる。
なお、長穴形状は、上記の形状に限定されるものではなく、たとえば、ほぼ長円形状であればよい。
【0063】
また、固定ピン4´は、図14に示すように、先端部側の部分が、装入孔33´の長穴形状に対応する断面形状に形成されており、長穴形状の装入孔33´に装入される。すなわち、先端部側の部分は、距離wだけ離れて対向する一対の平面と、曲率半径d/2の対向する一対の曲面とによって形成されている。なお、上記の距離wだけ離れて対向する一対の平面は、通常、直径dの丸棒にフライス加工を施すことにより形成されるが、これに限定されるものではない。
ここで、寸法dは、固定金具3´の寸法Dより微少長さだけ短くしてあり、また、寸法wは、固定金具3´の寸法Wより微少長さだけ短くしてあるので、固定ピン4´は、スムースに装入孔33´に嵌入する。また、距離wだけ離れて対向する一対の平面を形成することにより、固定ピン4´のせん断強度は低下するものの、曲げ強度は向上するので、固定ピン4´を固定金具3´の装入孔33´に装入することにより、総合的に機械的強度を向上させることができる。
【0064】
なお、固定金具3´と固定ピン4´は、次のようにすることもできる。
すなわち、装入孔33´の補強部311を少なくして、装入孔33´における距離Wを半径Dより僅かに小さい距離とする。そして、固定ピン4´には、平面部を有しない直径Dの固定ピン4´を用いる。このようにすると、固定ピン4´に平面部を形成するための切削加工が不要になり、通常のピンをそのまま使用することが可能になり、コストダウンにつながる。また、半径Dの固定ピン4´を装入孔33´に打ち込むと、固定ピン4´が装入孔33´の補強部311にくい込んだ状態で取り付けられ、地震等の振動によっても固定ピン4´は装入孔33´から容易に外れなくなる。
【0065】
また、上記の固定金具3´と固定ピン4´との組み合わせは、機械的強度に優れることから、固定金具3´のパイプ31の直径を小さくすることが可能となる。これにより、ほぞ金具7を用いる場合であっても、たとえば、市販されているほぞ金具7(ほぞパイプとも呼ばれる。)に貫入されるパイプ31を用いることができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0066】
以上説明したように、本応用例の固定金具3´によれば、固定ピン4´を支持する機械的強度を向上させることができ、また、一実施形態の固定ピン4´を固定金具3´に装入することにより、総合的に機械的強度を向上させることができる。さらに、固定金具3´と固定ピン4´との組み合わせによって、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、固定金具3´と固定ピン4´は、上述した各実施形態の建築用接合金具1、1a、1bに適用することができる。
【0067】
以上、本発明の建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンについて、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンは、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した固定金具3、3´は、受け金具2を柱61や受け梁63に固定しているが、固定する金具は、受け金具2に限定されるものではなく、また、固定される木部材は、柱61や受け梁63に限定されるものではない。すなわち、本発明の固定金具は、様々な構成の固定金具を様々な木部材に固定することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 建築用接合金具
2 受け金具
3、3b、3´ 固定金具
4、4a、4´ 固定ピン
7 ほぞ金具
21 固定板
22 連結板
31、31b パイプ
32 係止部
33、33´ 装入孔
51 係止用ピン
52 連結ピン
61、61b 柱
62 梁
63 受け梁
71 貫通孔
211 固定孔
221 あご掛け
222 連結孔
311 補強部
321 ストッパーピン
322 角座金
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梁等の木部材と柱等の木部材を接合する建築用木部材の接合方法として、ほぞ加工やぬき加工を木材に施し、これら木材どうしを組み合わせて接合する方法が用いられてきた。
近年では、建築用接合金具を用いて接合すると、木材どうしを組み合わせて接合するより強固に接合でき、かつ、施工現場での作業効率を向上させることができることから、様々な構造の建築用接合金具などが提案されている
【0003】
たとえば、特許文献1には、構造材と、構造材に固定される固定部、及び、固定部から構造材と略直交するよう延びる板状の支持部を有する接合金物と、接合金物の支持部を先端から内部へと長さ方向に差し込むための差込溝、及び、略水平方向一側面から他側面まで延びる長さのピン孔を有する横架材と、横架材のピン孔に略水平方向一側面から圧入され、接合金物の支持部を貫通してピン孔内を横架材の略水平方向他側面側の位置まで延びる長さのドリフトピンとを具備する木造建築物の軸組構造の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、一の木部材の一側面に固定される板状の背部と、この背部と対向して配設された、他の木部材の仕口面に固定される板状の受け部と、この背部と受け部の側辺を連結する板状の側面部とからなる、横断面コ字形状の金具本体と、この金具本体の背部を一の木部材の一側面に固定する固定ボルトと、金具本体の受け部に他の木部材の仕口面を固定する軸状固定手段とからなる建築物の接合金具の技術が開示されている。
さらに、上記の軸状固定手段としての雇いパイプだぼは、一端側の内周に雌ねじが切られており、他端側にはピン孔が穿設されている中空状の軸部材である。
【0005】
また、特許文献3には、柱の側面に当てがわれる基板、及び、基板に直交して梁側に突出する受板を備え、基板にはボルト部材の軸部を挿通させうるボルト孔が形成された金具本体と、ボルト部材と、ボルト部材に螺合しうるナット部、及び、ナット部よりも大きな軸長を有してナット部に外装された筒部を備え、筒部にはその軸心と直交する方向にピン孔が貫通形成されているほぞ部材と、ピン部材とを用いた接合金具の取付構造の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、主幹部材に端部が突出する形で埋め込むシャフトと、横架部材の端部に形成したスリットに差し込む接合板と、接合板をシャフトに固定する固定ピンとを備え、接合板は、縁部をシャフトの端部に形成したスリットに差し込まれ、側方から固定ピンを貫通してシャフトに固定する木造建築部材の連結金具の技術が開示されている。
さらに、シャフトに、主幹部材同士を連結するために主幹部材に埋め込まれる連結体の固定部を備えている木造建築部材の連結金具の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−104339号公報
【特許文献2】特許第3172088号公報
【特許文献3】特許第4080419号公報
【特許文献4】特許第4088579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された木造建築物の軸組構造の技術は、接合金物の固定部を、ボルト及びナットを用いて柱に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された建築物の接合金具の技術は、金具本体の背部を、ボルト及びナットを用いて柱に固定し、また、金具本体の受け部を、軸状固定手段、ボルト(あるいは、ナット)、角座金、及び、貫通ピンを用いて梁に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0010】
さらに、特許文献3に記載された接合金具の取付構造の技術は、加工コストや部品コストを削減できるものの、金具本体の基板を、ボルト部材などを用いて柱に固定しているので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とし、作業性を向上させることができないといった問題があった。
【0011】
また、特許文献4に記載された木造建築部材の連結金具の技術は、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができるものの、構造的に接合強度を十分得られないおそれがある。
【0012】
また、建築用接合金具においては、さらなる接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることが要望されている。さらに、接合強度を維持あるいは向上させつつ、様々な接合を可能とすることにより、付加価値を向上させることも要望されている。
【0013】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることができ、さらに、付加価値を向上させることのできる建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の建築用接合金具は、一方の木部材の側面に他方の木部材の端面を接合するための建築用接合金具において、前記一方の木部材の側面に固定するための固定孔を穿設した固定板、及び、この固定板から突設され、前記他方の木部材に連結される一対の対向した連結板を有する受け金具と、一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に装入孔が形成され、前記受け金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具と、前記固定金具の装入孔に装入される棒状又は筒状の固定ピンとを備えた構成としてある。
【0015】
また、本発明の固定金具は、一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、前記接合金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具において、一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に、固定ピンが装入される装入孔が形成された構成としてある。
【0016】
また、本発明の固定ピンは、一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、一方の端部に係止部を有し、他方の端部に長穴形状の装入孔が形成された固定金具の、前記長穴形状の装入孔に装入される固定ピンであって、前記固定ピンの先端部側の部分が、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状または前記装入孔の短径部より僅かに大きい直径に形成された構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンによれば、接合強度や作業性の向上とともに、製造原価のコストダウンを図ることができ、さらに、付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大斜視図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はA−A断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図5】図5は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図7】図7は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図8】図8は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図9】図9は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
【図10】図10は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
【図11】図11は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図12】図12は、本発明の応用例にかかる固定金具及び一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略斜視図を示している。
【図13】図13は、本発明の応用例にかかる固定金具を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はB−B断面図を示しており、(d)は要部の拡大図を示している。
【図14】図14は、本発明の一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)は平面図を示しており、(d)はC−C断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[建築用接合金具の第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図1において、本実施形態の建築用接合金具1は、受け金具2、固定金具3、及び、固定ピン4などを備えた構成としてある。この建築用接合金具1は、柱61の側面に、梁62の端面を接合する。
【0020】
(受け金具)
受け金具2は、柱61の側面に固定するための固定孔211を穿設した固定板21、及び、この固定板21から突設され、梁62に連結される一対の対向した連結板22を有している。
【0021】
受け金具2における固定板21は、細長い矩形平板状であり、固定孔211が垂直方向の六箇所に形成されている。このようにすると、固定位置に応じて上から一番目、三番目及び五番目の固定孔211、又は、上から二番目、四番目及び六番目の固定孔211のいずれか一方を選択することができる。すなわち、二つの受け金具2を、柱61の同じ高さ位置に直交する状態で固定する場合であっても、それぞれの固定金具3どうしが干渉しないので、柱61の同じ高さ位置に、直交する二本の柱61を接合することができる。
【0022】
連結板22は、上部の梁側に、係止用ピン(ドリフトピン)51が係止されるあご掛け221が設けてある。
あご掛け221は、底部がほぼ長円状の切欠であり、上部が係止用ピン51を上方から落とし込みやすいように、上方ほど間口が広く開口された構造としてある。このようにすると、梁62の端部を上方から受け金具2に向けて降下させることにより、係止用ピン51をあご掛け221に容易に係止することができ、作業性を向上させることができる。また、作業性が向上することによって、より安全に現場での高所作業を行うことができる。
【0023】
連結板22は、あご掛け221の下方の二箇所に、梁62と受け金具2とを連結ピン(ドリフトピン)52を装入する連結孔222を穿設してある。このようにすると、連結ピン52を打ち込むといった容易な作業により、梁62と受け金具2を連結することができ、作業性を向上させることができる。
なお、本実施形態の固定孔211や連結孔222の数量などは、上記に限定されるものではなく、たとえば、梁62の形状や大きさに応じて設定することができる。
【0024】
また、一対の連結板22は、梁62の端面に加工された二本の溝に嵌入される。また、梁62は、二本の溝の間に、固定金具3の係止部32との干渉を避ける欠き込み部(切欠)が形成されている。
このように、連結板22は、二本の溝に嵌入された状態で梁62と連結されるので、梁62の側面方向に位置決めを確実に行うことができる。また、連結板22が溝に装入されることによって、梁62の側面方向の外力に対する機械的強度が向上する。さらに、一対の連結板22どうしの間には、梁62の一部がスペーサとして存在するので、連結ピン52による連結強度を向上させることができる。
【0025】
(固定金具)
図2は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大斜視図を示している。
また、図3は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の、固定金具を説明するための概略拡大図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はA−A断面図を示している。
図2、3において、固定金具3は、一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に円形状の装入孔33が形成されたパイプ31としてあり、他方の端部から受け金具2の固定孔211に挿入される。
なお、本実施形態では、パイプ31を用いているが、これに限定されるものではなく、たとえば、パイプ31の代わりに、丸棒などを用いてもよい。
【0026】
係止部32は、ストッパーピン321と角座金322を有する構成としてある。
ストッパーピン321は、角座金322の一辺とほぼ同じ長さを有する丸棒状のピンであり、パイプ31の一方の端部に穿設された貫通孔に嵌入される。
また、角座金322は、中央に貫通孔の形成されたほぼ正方形状の鋼板であり、パイプ31が嵌入された状態でパイプ31に取り付けられる。また、角座金322は、パイプ31の他方の端部側からストッパーピン321と当接し、かつ、角座金322の一辺がストッパーピン321の軸芯と平行となっている。
さらに、ストッパーピン321や角座金322は、溶接接合されている。通常、ストッパーピン321の各端部と角座金322の対応する端部とが溶接接合される。なお、溶接箇所は、上記に限定されるものではない。
【0027】
上記構成の固定金具3は、ストッパーピン321がパイプ31に貫通しているので、パイプ31の一方の端部側へ作用する大きな外力を支持することができ、梁62の長手方向の外力や梁62の上下方向の外力(モーメント)に対する接合強度を向上させることができる。また、係止部32が、一対の対向した連結板22の間に嵌合される構造としてあり、角座金322は、固定板21と当接し、固定板21を補強するので、梁62の側面方向の外力(モーメント)に対する接合強度を向上させることができる。
【0028】
また、ストッパーピン321や角座金322を有する係止部32は、構造が単純であるので、加工費や部品費を低減することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
さらに、装入孔33の中心軸とストッパーピン321の軸芯は、平行としてあり、さらに、固定金具3を取り付ける際、角座金322の対向する一対の辺は、一対の連結板22によってガイドされるので、装入孔33と柱61に穿設された孔(固定ピン4が打ち込まれる孔)との位置合わせを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、固定金具3は、上記構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、三枚の角座金322の代わりに、所定の三箇所に貫通孔の穿設された細長い一枚の矩形状の鋼板を用いてもよい。
【0030】
(固定ピン)
固定ピン4は、一方の端部側に、截頭円錐部を有し、他方の端部側に、あや目ローレット加工が施されたほぼ丸棒状のピン(一般的に、ドリフトピンと呼ばれる。)である。
この固定ピン4は、柱61の打込孔に打ち込まれると、固定金具3の装入孔33を貫通し、受け金具2を柱61の側面に固定する。
なお、柱61は、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3が挿入される挿入孔が穿設され、また、挿入された固定金具3の装入孔33の中心軸とほぼ一致するように、固定ピン4が打ち込まれる打込孔が穿設されている。
【0031】
次に、上記構成の建築用接合金具1の接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図1において、柱61は、上述したように、固定金具3が挿入される挿入孔、及び、固定ピン4が打ち込まれる打込孔が穿設される。
次に、受け金具2の固定板21が柱61の側面に載置され、三つの固定金具3が、固定孔211及び柱61の挿入孔に挿入される。続いて、固定ピン4が、柱61の打込孔に打ち込まれることによって、受け金具2は、柱61の側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0032】
また、梁62は、上述したように、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2の固定された柱61や係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0033】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1は、受け金具2の固定に、固定金具3及び固定ピン4を用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の柱61への固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1の全く取り付けられていない柱61や梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1が木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0034】
次に、受け金具2が工場内あるいは施工現場で固定された柱61は、施工現場において、基礎(図示せず)上に立設される。
続いて、梁62を柱61の方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が柱61に接合される。
【0035】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図5は、本発明の第一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図4、5において、建築用接合金具1は、固定ピン4が打ち込まれることによって、受け金具2の固定板21が、柱61の側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が柱61の側面に押圧された状態で、接合される。
【0036】
また、建築用接合金具1は、固定金具3の係止部32が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
さらに、柱61は、受け金具2の固定された側面と対向する側面に、パイプ31が露出(あるいは、突出)していないので、結露の発生を抑制するとともに、美観を向上させることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1によれば、固定金具3及び固定ピン4を用いて、受け金具2を固定することによって、作業性及び接合強度を向上させることができる。また、固定金具3の係止部32として、ストッパーピン321及び角座金322を設けることにより、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0038】
[建築用接合金具の第二実施形態]
図6は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図6において、本実施形態の建築用接合金具1aは、上述した第一実施形態の建築用接合金具1と比べると、受け金具2が受け梁63に固定され、三本の固定ピン4の代わりに、一本の長尺の固定ピン4aを備えている点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0039】
固定ピン4aは、受け梁63の幅寸法とほぼ同じ長さとしてあり、三つの固定金具3の装入孔33に上方から装入される。
ここで、受け梁63は、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3が挿入される挿入孔が穿設され、固定金具3は、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように挿入される。また、受け梁63は、挿入された固定金具3の装入孔33の中心軸とほぼ一致するように、固定ピン4aが打ち込まれる打込孔が穿設されている。
なお、固定ピン4aは、図示してないが、割りピンなどの係止部を有する構成としてもよく、このようにすると、固定ピン4aが下方に移動しすぎるといった不具合を回避することができる。
【0040】
次に、上記構成の建築用接合金具1aの接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図6において、受け梁63は、上述したように、固定金具3が挿入される挿入孔、及び、固定ピン4aが打ち込まれる打込孔が穿設される。
次に、受け金具2の固定板21が受け梁63の側面に載置され、三つの固定金具3が、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように、固定孔211及び受け梁63の挿入孔に挿入される。続いて、一本の固定ピン4aが、受け梁63の打込孔に打ち込まれることによって、受け金具2は、受け梁63の側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0041】
また、梁62は、上述した第一実施形態と同様に、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2の固定された受け梁63や係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0042】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1aは、受け金具2の固定に、固定金具3及び一本の固定ピン4aを用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の受け梁63への固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1aの全く取り付けられていない受け梁63や梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1aが木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0043】
次に、受け金具2が工場内あるいは施工現場で固定された受け梁63は、施工現場において、図示してないが、柱61などに接合される。
続いて、梁62を受け梁63の方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が受け梁63に接合される。
【0044】
図7は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図8は、本発明の第二実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図7、8において、建築用接合金具1aは、固定ピン4aが打ち込まれることによって、受け金具2の固定板21が、受け梁63の側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が受け梁63の側面に押圧された状態で、接合される。
【0045】
また、建築用接合金具1aは、固定金具3の係止部32が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
さらに、受け梁63は、受け金具2の固定された側面と対向する側面に、パイプ31が露出(あるいは、突出)していないので、結露の発生を抑制するとともに、美観を向上させることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1aによれば、第一実施形態の建築用接合金具1とほぼ同様の効果を奏するとともに、一本の固定ピン4aを打ち込むことにより、受け金具2を受け梁63に固定することができるので、作業性をさらに向上させることができる。また、固定金具3は、第一実施形態のものと共用化することができ、使い勝手などを向上させることができる。
【0047】
[建築用接合金具の第三実施形態]
図9は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略分解斜視図を示している。
図9において、本実施形態の建築用接合金具1bは、第一実施形態の建築用接合金具1と比べると、ほぞ金具7、一対の受け金具2、固定金具3b、固定ピン4a、及び、角座金322を備えている点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図9において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0048】
(ほぞ金具)
ほぞ金具7は、少なくとも一方の端部に、固定金具3bのパイプ31bが挿入される貫通孔71が穿設されたパイプとしてあり、本実施形態では、両方の端部に貫通孔71が穿設されている。このほぞ金具7は、下方側が、柱61bの装入穴に装入され、下方の貫通孔71に、固定金具3bのパイプ31bが貫入される。また、ほぞ金具7の上方側は、図示してないが、柱61bの上面と接合される木材(たとえば、継ぎ柱)の装入穴に装入され、上方の貫通孔71に、ドリフトピンなどが打ち込まれる。
【0049】
(固定金具)
固定金具3bは、第一実施形態の固定金具3と比べると、パイプ31より長いパイプ31bを有しており、柱61bの対向する側面に、一対の受け金具2を固定する。すなわち、固定金具3bは、一方の受け金具2の固定孔211に挿入され、他方の端部(パイプ31bの端部)が、他方の受け金具2の固定孔211から所定の長さだけ突出する。また、突出した他方の端部(パイプ31bの端部)には、貫通孔の穿設された角座金322が取り付けられ、角座金322より先端側に位置する装入孔33に、上方から長尺の固定ピン4aが装入される。
なお、柱61bは、受け金具2が固定される側面の所定の位置に、固定金具3bが挿入される挿入孔が穿設され、また、柱61bの上面のほぼ中央部には、上方の固定金具3bと対応するように、ほぞ金具7が装入される装入穴が穿設されている。さらに、第一実施形態と比べると、打込孔を穿設する必要がなく、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0050】
次に、上記構成の建築用接合金具1bの接合方法や接合状態などについて、図面を参照して説明する。
まず、図9において、柱61bは、上述したように、ほぞ金具7が装入される装入孔、及び、固定金具3bが挿入される挿入孔が穿設される。
次に、一対の受け金具2の固定板21が柱61bの対向する側面にそれぞれ載置され、三つの固定金具3bが、装入孔33の中心軸が上下方向を向くように、所定の方向(一方の固定金具3bの方向)から固定孔211及び柱61bの挿入孔に挿入され、固定金具3bの先端部が、他方の固定金具3bの固定孔211から所定の長さだけ突出する。また、突出した固定金具3bの先端部(パイプ31bの端部)には、貫通孔の穿設された角座金322が取り付けられ、角座金322より先端側に位置する装入孔33に、上方から長尺の固定ピン4aが装入されることによって、一対の受け金具2は、柱61bの対向する側面に固定される。この際、ボルトなどを用いていないので、専用の締付け工具(ボックスレンチ等)を必要とせず、作業性を向上させることができる。
【0051】
また、上方の固定金具3bが柱61bの挿入孔に挿入される前に、本実施形態では、柱61bの装入穴に、ほぞ金具7が装入される。したがって、上方の固定金具3bは、柱61bの挿入孔に挿入されると、ほぞ金具7の下方の貫通孔71に貫入されることとなり、ほぞ金具7を効率よく固定することができる。
【0052】
一対の梁62は、上述した第一実施形態と同様に、端面に、二本の溝や欠き込み部(切欠)が加工され、さらに、係止用ピン51や連結ピン52が打ち込まれる打込孔が穿設される。続いて、係止用ピン51が打込孔に打ち込まれる。
ところで、上記の工程は、通常、工場内で行なわれ、安全かつ作業性よく実施することができる。
次に、受け金具2及びほぞ金具7の固定された柱61bや係止用ピン51の打ち込まれた梁62は、施工現場に搬送される。
【0053】
これに対し、本実施形態の建築用接合金具1bは、一対の受け金具2及びほぞ金具7の固定に、固定金具3、角座金322及び一本の固定ピン4aを用いる構成としてあり、固定する作業性が大幅に向上されている。したがって、受け金具2の柱61bへの固定を、施工現場で行うこともできる。すなわち、建築用接合金具1bの全く取り付けられていない受け柱61bや梁62を施工現場に搬送することもできるので、搬送効率を向上させることができ、また、建築用接合金具1bが木材と接触し、木材に傷が付くといった不具合を防止することができる。
【0054】
次に、一対の受け金具2及びほぞ金具7が工場内あるいは施工現場で固定された柱61bは、施工現場において、基礎(図示せず)上に立設される。
続いて、梁62を柱61bの方向に移動させ、連結板22を溝に挿入し、さらに、梁62を降下させ、係止用ピン51があご掛け221に係止される。
次に、連結ピン52を梁62の打込孔に打ち込むと、連結ピン52が連結孔222を貫通し、梁62が柱61bに接合される。
【0055】
図10は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略斜視図を示している。
また、図11は、本発明の第三実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
図10、11において、建築用接合金具1bは、固定ピン4aが打ち込まれることによって、一対の受け金具2の固定板21が、柱61bの対向する側面に押圧された状態で固定され、また、連結ピン52が打ち込まれることによって、梁62の端面が柱61bの側面に押圧された状態で、接合される。
また、建築用接合金具1bは、上方の固定金具3bが、柱61bの挿入孔に挿入されると、ほぞ金具7の下方の貫通孔71に貫入されることとなり、ほぞ金具7を効率よく固定することができる。
【0056】
また、建築用接合金具1bは、固定金具3の係止部32や角座金322が、受け金具2の一対の連結板22に嵌合された状態で、固定板21と当接しているので、係止部32や角座金322が固定板21の補強部材として機能し、接合強度を向上させることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1bによれば、第一実施形態の建築用接合金具1とほぼ同様の効果を奏するとともに、一本の固定ピン4aを打ち込むことにより、一対の受け金具2やほぞ金具7を柱61bに固定することができるので、作業性をさらに向上させることができる。さらに、建築用接合金具1bは、接合強度を維持あるいは向上させつつ、一対の受け金具2やほぞ金具7の接合を可能とすることができ、付加価値を向上させることができる。
【0058】
[固定金具の一実施形態]
また、本発明は、固定金具の発明としても有効である。
本実施形態の固定金具は、上述した固定金具3としてある。すなわち、本実施形態の固定金具3は、一方の木部材(柱61)に他方の木部材(梁62)を接合するための接合金具(受け金具2)を、少なくとも一つの木部材(柱61)に固定するための、接合金具(受け金具2)の固定孔(固定孔211)に挿入されるパイプ31を備えている。また、パイプ31の一方の端部に係止部32を有し、他方の端部に、固定ピン4が装入される装入孔33が形成された構成としてある。
また、装入孔33には、通常、ドリフトピンが装入される。
【0059】
ここで、係止部32は、上述したように、ストッパーピン321と角座金322を有する。このようにすると、構造が単純となるので、加工費や部品費を低減することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、固定金具3が固定する接合金具は、受け金具2に限定されるものではなく、一方の木部材に他方の木部材を接合するための様々な構造の接合金具に適用することができる。
また、装入孔33は、パイプ31の他方の端部に形成されるが、ここで、他方の端部とは、他方の端部側といった意味である。すなわち、他方の先端部である必要はなく、中央部に近い他方の端部であってもよい。さらに、装入孔33は、たとえば、パイプ31の他方の端部及び中央部に形成されてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の固定金具3によれば、ドリフトピンを用いて、受け金具2を容易に固定することができ、作業性及び接合強度を向上させることができる。また、固定金具3の係止部32として、ストッパーピン321及び角座金322を設けることにより、製造原価のコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、本実施形態の応用例などについて、図面を参照して説明する。
【0061】
<固定金具の応用例、及び、固定ピンの一実施形態>
図12は、本発明の応用例にかかる固定金具及び一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略斜視図を示している。
また、図13は、本発明の応用例にかかる固定金具を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)はB−B断面図を示しており、(d)は要部の拡大図を示している。
さらに、図14は、本発明の一実施形態にかかる固定ピンを説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は右側面図を示しており、(c)は平面図を示しており、(d)はC−C断面図を示している。
図12、13、14において、本応用例の固定金具3´は、上述した固定金具3と比べると、装入孔33´が長穴形状に形成されている点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、固定金具3とほぼ同様としてある。
また、本実施形態の固定ピン4´は、上述した固定ピン4と比べると、固定ピン4´の先端部側の部分が、装入孔33´の長穴形状に対応する断面形状に形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、固定ピン4とほぼ同様としてある。
【0062】
固定金具3´は、図13に示すように、パイプ31の外径がD3であり、また、内径がd3である。また、装入孔33´は、長手方向がパイプ31の軸芯方向と平行な長穴形状としてある。すなわち、装入孔33´は、距離Wだけ離れて対向する一対の平面と、曲率半径D/2の対向する一対の曲面とによって形成されている。
ここで、d3=Dとしてあり、また、d3>W(なお、Wは、d(=固定ピン4´の直径)>Wである。)としてある。これにより、たとえば、直径Dの円形状の装入孔33´と比べると、ハッチングで示す補強部311(図13(d)参照)が形成されるので、固定金具3´は、固定ピン4´を支持する機械的強度を向上させることができる。
なお、長穴形状は、上記の形状に限定されるものではなく、たとえば、ほぼ長円形状であればよい。
【0063】
また、固定ピン4´は、図14に示すように、先端部側の部分が、装入孔33´の長穴形状に対応する断面形状に形成されており、長穴形状の装入孔33´に装入される。すなわち、先端部側の部分は、距離wだけ離れて対向する一対の平面と、曲率半径d/2の対向する一対の曲面とによって形成されている。なお、上記の距離wだけ離れて対向する一対の平面は、通常、直径dの丸棒にフライス加工を施すことにより形成されるが、これに限定されるものではない。
ここで、寸法dは、固定金具3´の寸法Dより微少長さだけ短くしてあり、また、寸法wは、固定金具3´の寸法Wより微少長さだけ短くしてあるので、固定ピン4´は、スムースに装入孔33´に嵌入する。また、距離wだけ離れて対向する一対の平面を形成することにより、固定ピン4´のせん断強度は低下するものの、曲げ強度は向上するので、固定ピン4´を固定金具3´の装入孔33´に装入することにより、総合的に機械的強度を向上させることができる。
【0064】
なお、固定金具3´と固定ピン4´は、次のようにすることもできる。
すなわち、装入孔33´の補強部311を少なくして、装入孔33´における距離Wを半径Dより僅かに小さい距離とする。そして、固定ピン4´には、平面部を有しない直径Dの固定ピン4´を用いる。このようにすると、固定ピン4´に平面部を形成するための切削加工が不要になり、通常のピンをそのまま使用することが可能になり、コストダウンにつながる。また、半径Dの固定ピン4´を装入孔33´に打ち込むと、固定ピン4´が装入孔33´の補強部311にくい込んだ状態で取り付けられ、地震等の振動によっても固定ピン4´は装入孔33´から容易に外れなくなる。
【0065】
また、上記の固定金具3´と固定ピン4´との組み合わせは、機械的強度に優れることから、固定金具3´のパイプ31の直径を小さくすることが可能となる。これにより、ほぞ金具7を用いる場合であっても、たとえば、市販されているほぞ金具7(ほぞパイプとも呼ばれる。)に貫入されるパイプ31を用いることができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0066】
以上説明したように、本応用例の固定金具3´によれば、固定ピン4´を支持する機械的強度を向上させることができ、また、一実施形態の固定ピン4´を固定金具3´に装入することにより、総合的に機械的強度を向上させることができる。さらに、固定金具3´と固定ピン4´との組み合わせによって、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、固定金具3´と固定ピン4´は、上述した各実施形態の建築用接合金具1、1a、1bに適用することができる。
【0067】
以上、本発明の建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンについて、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る建築用接合金具、固定金具、及び、固定ピンは、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した固定金具3、3´は、受け金具2を柱61や受け梁63に固定しているが、固定する金具は、受け金具2に限定されるものではなく、また、固定される木部材は、柱61や受け梁63に限定されるものではない。すなわち、本発明の固定金具は、様々な構成の固定金具を様々な木部材に固定することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 建築用接合金具
2 受け金具
3、3b、3´ 固定金具
4、4a、4´ 固定ピン
7 ほぞ金具
21 固定板
22 連結板
31、31b パイプ
32 係止部
33、33´ 装入孔
51 係止用ピン
52 連結ピン
61、61b 柱
62 梁
63 受け梁
71 貫通孔
211 固定孔
221 あご掛け
222 連結孔
311 補強部
321 ストッパーピン
322 角座金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の木部材の側面に他方の木部材の端面を接合するための建築用接合金具において、
前記一方の木部材の側面に固定するための固定孔を穿設した固定板、及び、この固定板から突設され、前記他方の木部材に連結される一対の対向した連結板を有する受け金具と、
一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に装入孔が形成され、前記受け金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具と、
前記固定金具の装入孔に装入される棒状又は筒状の固定ピンと
を備えたことを特長とする建築用接合金具。
【請求項2】
前記係止部が、前記一対の対向した連結板の間に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の建築用接合金具。
【請求項3】
複数の前記固定金具を備え、一つの前記固定ピンが、前記複数の固定金具の装入孔に装入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用接合金具。
【請求項4】
少なくとも一方の端部に、前記固定金具が挿入される貫通孔の穿設された棒状又は筒状のほぞ金具を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項5】
前記一方の木部材の対向する側面に固定される一対の前記受け金具を備え、前記固定金具が一方の前記受け金具の固定孔に挿入され、他方の前記受け金具の固定孔から突出した前記固定金具の他方の端部に、貫通孔の穿設された矩形板状部材が取り付けられ、該矩形板状部材より先端側に位置する前記装入孔に、前記固定ピンが装入されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項6】
前記固定金具の前記装入孔を、前記固定ピンの直径より短い短径部を有する長穴形状に形成し、前記固定ピンの先端部側の部分を、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状に形成したことを特長とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項7】
一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、前記接合金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具において、
一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に、固定ピンが装入される装入孔が形成されたことを特長とする固定金具。
【請求項8】
前記装入孔を、前記固定ピンの直径より短い短径部を有する長穴形状に形成したことを特徴とする請求項7に記載の固定金具。
【請求項9】
一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、一方の端部に係止部を有し、他方の端部に長穴形状の装入孔が形成された固定金具の、前記長穴形状の装入孔に装入される固定ピンであって、
前記固定ピンの先端部側の部分が、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状または前記装入孔の短径部より僅かに大きい直径に形成されたことを特長とする固定ピン。
【請求項1】
一方の木部材の側面に他方の木部材の端面を接合するための建築用接合金具において、
前記一方の木部材の側面に固定するための固定孔を穿設した固定板、及び、この固定板から突設され、前記他方の木部材に連結される一対の対向した連結板を有する受け金具と、
一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に装入孔が形成され、前記受け金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具と、
前記固定金具の装入孔に装入される棒状又は筒状の固定ピンと
を備えたことを特長とする建築用接合金具。
【請求項2】
前記係止部が、前記一対の対向した連結板の間に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の建築用接合金具。
【請求項3】
複数の前記固定金具を備え、一つの前記固定ピンが、前記複数の固定金具の装入孔に装入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用接合金具。
【請求項4】
少なくとも一方の端部に、前記固定金具が挿入される貫通孔の穿設された棒状又は筒状のほぞ金具を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項5】
前記一方の木部材の対向する側面に固定される一対の前記受け金具を備え、前記固定金具が一方の前記受け金具の固定孔に挿入され、他方の前記受け金具の固定孔から突出した前記固定金具の他方の端部に、貫通孔の穿設された矩形板状部材が取り付けられ、該矩形板状部材より先端側に位置する前記装入孔に、前記固定ピンが装入されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項6】
前記固定金具の前記装入孔を、前記固定ピンの直径より短い短径部を有する長穴形状に形成し、前記固定ピンの先端部側の部分を、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状に形成したことを特長とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項7】
一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、前記接合金具の固定孔に挿入される筒状又は棒状の固定金具において、
一方の端部にストッパーピンと矩形板状部材とからなる係止部を有し、他方の端部に、固定ピンが装入される装入孔が形成されたことを特長とする固定金具。
【請求項8】
前記装入孔を、前記固定ピンの直径より短い短径部を有する長穴形状に形成したことを特徴とする請求項7に記載の固定金具。
【請求項9】
一方の木部材に他方の木部材を接合するための接合金具を、少なくとも一つの前記木部材に固定するための、一方の端部に係止部を有し、他方の端部に長穴形状の装入孔が形成された固定金具の、前記長穴形状の装入孔に装入される固定ピンであって、
前記固定ピンの先端部側の部分が、前記装入孔の長穴形状に対応する断面形状または前記装入孔の短径部より僅かに大きい直径に形成されたことを特長とする固定ピン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−281192(P2010−281192A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196295(P2009−196295)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(595133253)クレテック有限会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(595133253)クレテック有限会社 (14)
【Fターム(参考)】
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