建築見積作成処理システム
【課題】建築見積作成処理システムにおいて、建物仕様や見積仕様の条件設定を容易にして、詳細で正確な見積書の作成とシステムの早期運用を可能とし、施工業者(ビルダー)などの顧客の負担を軽減し、見積作成時間の短縮を図ることにある。
【解決手段】CADシステムと見積作成処理システムとの連携を強化し、CADシステム側で積算データを作成するのに先立って、ヒアリング処理部4が顧客との対話により、顧客が必要とする積算仕様の情報を取得し、その情報により積算仕様データメモリ10の積算仕様を顧客が必要とするものだけに絞り込んでおいて、積算処理部6に効率的な積算データを作成させる。ヒアリング処理は、階層化された選択画面を顧客に呈示して、積算データを作成する項目ごとに多様な建物仕様の中から必要な仕様を簡単に選択できるようにした。選択された仕様に基づき、CAD設計データからの拾い出しを行う。
【解決手段】CADシステムと見積作成処理システムとの連携を強化し、CADシステム側で積算データを作成するのに先立って、ヒアリング処理部4が顧客との対話により、顧客が必要とする積算仕様の情報を取得し、その情報により積算仕様データメモリ10の積算仕様を顧客が必要とするものだけに絞り込んでおいて、積算処理部6に効率的な積算データを作成させる。ヒアリング処理は、階層化された選択画面を顧客に呈示して、積算データを作成する項目ごとに多様な建物仕様の中から必要な仕様を簡単に選択できるようにした。選択された仕様に基づき、CAD設計データからの拾い出しを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの建物を設計するCADシステムの設計データを利用して建築見積書を作成する建築見積作成処理システムに関するものであり、特に工務店などの施工業者(ビルダー)からの依頼により、連携して建物設計を行う設計事務所、部材の開発メーカーあるいは組織化されたCAD設計センターのシステムにおいて有用な、建築費の見積書を効率的に作成できる建築見積作成処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物CADシステムと連携して見積作成を行うシステムが種々開発されているが、それらは、特許文献1に見られるように、CAD設計データから建物に使用される建築部材のデータを取り出して、部材の商品情報データベースと照合し、部材の規格や価格などの詳細情報を得て見積を作成するものであり、コンピュータによる処理がある程度図られるようになっている。
【0003】
しかし、建物の見積作成処理では標準化があまり進んでいない現状にある。それは、建物自体の仕様がきわめて多様で数千種類にも及ぶとされるうえ、建築部材の仕様も無数にあり、更に、工事予算算出の基礎となる設計単位の取り方や労務費のまとめ方、歩掛の基準などが施工業者ごとにまちまちであるのが実情で、処理の標準化が難しく、汎用的な見積作成システムを作るのが困難であることが原因となっている。そのため、多くの施工業者は、物件ごとに見積作成に必要な建物の仕様と見積作成の仕様からなる多数の見積作成条件を、CADシステムと見積作成処理システムそれぞれに多大な工数を費やして個別に設定して対応していた。
【0004】
図19は、従来、ある部材メーカーの建築設計センター側サーバーと顧客の施工業者側端末との間のシステムで行われていた建築見積作成処理例の概略フローを示す。この例のシステムでは、センター側のサーバーには積算(原価計算)機能をもった細部設計(構造設計)のための建築CADシステムが設けられており、また顧客側の端末には、簡単なプラン設計(意匠設計)CADと見積作成処理システムが設けられている。処理を始めるのに先立って、顧客の見積作成条件に適応させるために、センター側サーバーの入力要素マスタ(ファイル)と積算仕様マスタ(ファイル)の各内容を初期設定し、同様に顧客側端末の見積仕様マスタ(ファイル)の内容を初期設定する。入力要素マスタには,建物のCAD設計時に入力する建材や建具、備品などの要素のデータが格納される。積算仕様マスタには、建物の設計部位ごとに拾い出す設計データの種類と作成する積算データの仕様が格納される。そして見積仕様マスタには、CADから出力された積算データを顧客が見積書に記載する形式と内容に変換するためのデータが格納される。これらのマスタには、はじめ標準的なデータが格納されており、初期設定で追加や、削除、変更などの修正処理を行う。サーバー側の入力要素マスタと積算仕様マスタの初期設定では、顧客の希望する入力要素と積算仕様についてのデータ修正が可能であるが、なお汎用性が保たれており、顧客が必要とする部材の表記などの顧客固有の情報形式には、顧客端末側の見積仕様マスタで最終的に変換される仕組みになっている。このため、顧客が見積作成の際に仕様を選択修正できる自由度をもてるように、サーバーから顧客端末へ送られる積算データには、顧客によって選択されない場合には無駄となる余分なデータも含めておく必要がある。
【0005】
はじめに顧客は、自己の端末にあるCADで住宅などの建物の意匠設計を行い、設計結果の建物の間取りや部屋面積などの数値を含む意匠データを、ネットワーク経由で、センター側サーバーへ転送し、細部の設計と積算処理を依頼する。センター側サーバーでは、その意匠データをベースにして、入力要素マスタの入力要素を用いてCADにより建物の構造と細部の設計を行い、CAD設計データを出力する。次に積算データの作成指示が出されると、積算仕様マスタの積算仕様に基づいて、積算項目ごとのCAD設計データからのデータ拾い出しが行われ、積算データが作成されて、顧客側端末へ転送される。顧客側端末では、積算データを受信すると、見積仕様マスタの見積仕様に基づいて、積算データを顧客固有の見積書の情報形式に変換し、見積書を作成して出力する。
【特許文献1】特開2002−157284号公報
【0006】
図20は、図19の従来システムにおけるサーバーの建築CADシステムと端末の見積作成処理システムを連結してソフトウエア的に見た建築見積作成処理システムの概略構成図である。建築CADシステム101では、CAD設計処理部102が顧客からの依頼により建物の設計処理を行い、その結果としてCAD設計データ103を作成する。拾い出し・積算処理部104は、積算仕様マスタ103の積算仕様にしたがって、各積算項目についてCAD設計データ103からのデータ拾い出しを行い、積算データを作成して見積作成処理システム106へ出力する。見積作成処理システム106の見積データ作成処理部107は、積算データを受け取り、見積仕様マスタ108の見積仕様にしたがって見積データに変換し、見積書作成処理部109で見積書を編集作成して出力する。
【0007】
図21は、従来の建築作成処理システムにおける細部処理のフロー図である。まず建築CADシステムの処理のステップを順に説明する。ステップS500では、CADの入力要素マスタと積算マスタの初期設定を行う。積算マスタには、部材の種類別にデータの拾い出しから積算までの処理のパターンを登録する。ステップS501では、CADの設計画面上で、部屋、壁、屋根、建具、階段、設備(備品)などの建物の要素を順次入力して建物設計を行い、CAD設計データを作成する。ステップS502では、設計結果の建物をパースで見せるためのパース作成条件設定とパース出力指示を行う。ステップS503では、作成されたパースを目視確認し、問題があれば設計を修正する。ステップS504では、建物の平面図や正面図などの図面を作成する。ステップS505では、図面を出力して確認する。ステップS506では、積算条件を指定して、積算マスタの積算仕様に基づく積算処理を実行する。ステップS507では、積算データの出力指示を行い、積算データを見積作成処理システムへ出力する。
【0008】
次に、見積作成処理システムの処理のステップを順に説明する。ステップS601では、積算CADシステムからの積算データの入力を指示して、データを入力する。ステップS602では、仕入れ原価計算に用いる予算書を作成するための建物仕様の種々の条件、たとえば部材等への具体的な商品の割当て、単価や掛率の設定、数量単位の換算などを、建物仕様マスタに個別に設定する。ステップS603では、建物仕様マスタに設定されている建物仕様の各種の条件から、顧客が実行予算書を作成するのに必要な条件を選択して予算書作成マスタに設定し、それに基づき予算書の作成を行う。ステップS604では、ステップS603と同様に、建物仕様マスタに設定されている建物仕様の条件から、顧客が必要な見積書作成条件を選択して見積仕様マスタに設定し、それに基づき見積書の作成を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の建築見積作成処理システムでは、施工業者(ビルダー)などの顧客が詳細な建築見積書を作成するには、予め膨大な量の建物仕様や見積仕様の条件設定を行う必要があり、見積作成作業に多くの労力と時間、コストがかかるとともに、誤見積りも生じやすくなって、受注までの期間ひいては工期の短縮の上での大きな障害となっていた。
【0010】
本発明の課題は、建築施工に伴う建築見積作成処理に関して、詳細で性格な見積書を作成するシステムを立ち上げる上での建物仕様や見積仕様の条件設定を容易にし、見積システムの早期運用を可能とし、施工業者(ビルダー)などの顧客の負担を軽減し、見積作成時間の短縮を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するために、建物CADシステムと見積作成処理システムとの連携を強化し、見積作成条件の管理を容易にして、システムによる建築見積作成処理の迅速化と的確化とを可能にするものである。
【0012】
そのため、本発明は、建物CADシステム側で積算データを作成するのに先立って、顧客が必要とする積算仕様の情報を顧客との対話によるヒアリング処理によって取得し、その情報により積算仕様を顧客が必要とするものだけに絞り込んで、効率的な積算データを作成するものである。
【0013】
また本発明は、顧客との対話によるヒアリング処理の際に、同時に顧客の見積仕様に関する情報も取得し、その情報により見積仕様の修正処理をすることにより、顧客による見積仕様の作成負担の軽減を図るものである。本発明の建築見積作成処理システムは、以下の(1)〜(9)のように構成される。
(1) メモリに格納された建物のCAD設計データから積算データを作成し、積算データに基づいて建築費の見積データを作成する建築見積作成処理システムであって、
積算項目ごとに、定められた積算仕様にしたがってメモリのCAD設計データから関連データを拾い出し、積算データを作成する処理を行う積算処理部と、
積算データの作成処理に先立って、顧客との間でヒアリング形式により前記積算仕様の内容を確定する対話処理を行うヒアリング処理部とを備えていることを特徴とする構成。
(2) 前項(1)に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、
前記ヒアリング処理部はサーバーに置かれていることを特徴とする構成。
(3) 前項(2)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記ヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする構成。
(4) 前項(1)に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部は顧客の端末に置かれていることを特徴とする構成。
(5) 前項(4)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記顧客の端末に置かれているヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、前記サーバーの積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記サーバーの積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、前記積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする構成。
(6) 前項(3)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーはさらに、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客の端末に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする構成。
(7) 前項(4)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記顧客の端末は、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする構成。
(8) 前項(1)ないし(7)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記ヒアリング処理部が顧客との間の対話処理により行う積算仕様の内容確定処理は、積算項目ごとに、予めメモリに格納されている建物仕様の細部についての階層化された複数のヒアリングシートデータからなる対話画面を顧客端末からの応答入力に応じて順次切り替え呈示して行き、得られた応答データに基づいて個々の積算項目の仕様条件を決定するものであることを特徴とする構成。
(9) 前項(1)ないし(8)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記積算処理部は、ヒアリング処理により確定した積算仕様に基づき、積算項目ごとのCAD設計データからの関連データの拾い出し処理を行うマクロの群を編成し、実行することを特徴とする構成。
(10) 前項(1)ないし(9)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
CAD設計データから作成する積算データは建築費の積算データであることを特徴とする構成。
【0014】
図1は、本発明の1実施例による建築見積作成処理システムの基本構成説明図である。図1において、1はネットワーク、2はサーバー、3−1,3−nは顧客の端末、4はヒアリング処理部、5はヒアリングシートデータ、6は積算処理部、7は見積処理部、8はCADシステム、9はCAD設計データメモリ、10は積算仕様データメモリ、11は見積仕様データメモリ、12は積算データメモリ、13は見積データメモリである。
【0015】
図1のシステムでは、CAD設計から見積作成までのすべての処理機能をサーバー2に集中させ、顧客の端末3−1〜3−nは、必要な処理をすべてサーバーに依頼して実行して貰うタイプの実施例構成がとられているが、これは説明を簡単にするための便宜的なものであり、図4の変型実施例を用いて後述されるように、サーバーと顧客端末との間には、多様な分散処理関係をもたせることが可能である。
【0016】
図1において、端末3−1の顧客が、サーバー2に対して、建物の設計依頼と見積作成依頼を行ったものとする。サーバー2では、CADシステム8により依頼された建物の設計を行い、設計結果のデータを、CAD設計データメモリ9に格納する。ヒアリング処理部4は、少なくとも積算処理部6に積算処理を開始させる前、たとえばCAD設計を始める前の適当な時間に、端末3−1の顧客に対するヒアリング処理を実行する。その場合、設計する建物の仕様に関する質問事項や確認事項を記述したヒアリングシートデータ5を、所定の順序で端末3−1に送って、端末画面に表示し、顧客の回答を求める。ヒアリングシートデータ5は、積算仕様あるいは建物仕様の種別ごとにグループ化され、また質問内容は上位から下位へ階層的に詳細化されるように体系付けられている。
【0017】
図2の(a)、(b)は、本発明により住宅設計に用いられるヒアリングシートデータの一部を例示したものである。図2の(a)は、軒天井材・軒換気材の住宅仕様(積算仕様)グループの先頭のヒアリングシートデータであり、軒裏換気仕様の細目(種類)についての選択肢による質問を示している。どの選択肢が回答されたかにより、次のヒアリングシートデータが決まる。たとえば、顧客が1番の「有孔繊維強化セメント板により換気」を選択すると、次のヒアリングシートのシート番号は10−1に決まり、図2の(b)に示すヒアリングシートデータ10−1が切り替え表示されて、工事区分名や品番、品名などの細部情報の確認を求められ、採否の欄に回答する。1段目が積算データ用で、2段目が見積データ用である。なお、ヒアリングシートデータには数量情報はなく、空欄で示される。また図8に例示されるように、各シート番号には、積算項目名とその積算データ作成のためにCAD設計データから必要データを拾い出す処理を行う拾い出しマクロが対応付けられているので、ヒアリングシートデータの質問に回答すれば、積算仕様と見積仕様が決定し、拾い出しマクロによりCAD設計データからの必要数量データが抽出されるので、図2の(c)の見積データ例に示されるように、見積処理の後には、空欄は埋まることになる。
【0018】
図1のヒアリング処理部4は、このようにして、全ての積算仕様グループについてのヒアリングシートデータを順次顧客に呈示して、それぞれの質問について選択肢による回答を求め、選択結果の情報により積算仕様を絞り込んで、積算仕様データメモリ10に設定する。積算仕様には、積算項目ごとにCAD設計データを拾い出して積算データを作成する固有のマクロがリンクされている。同様な方法により、見積仕様に関する情報、たとえば顧客特有の品名や数量単位、掛率、単価などの情報も取得することができ、入力された見積仕様が見積仕様データメモリ11に設定される。次にCAD設計がまだ行われていない場合にはCAD設計を実行して、設計結果をCAD設計データメモリ9に格納する。
【0019】
端末3−1から積算データの作成要求があると、積算処理部6が起動される。積算処理部6は、積算仕様データメモリ10から積算仕様を読み出して、必要とする積算項目のリストを作成するとともに、各積算項目にリンクされている拾い出しマクロの群について実行順序を決める。拾い出しマクロの実行順序が決まると、マクロを実行し、積算項目ごとに拾い出されたCAD設計データから積算データを作成して積算データメモリ12に格納する。
【0020】
次に端末3−1から見積データの作成要求があると、見積処理部7が起動され、見積処理部7が見積仕様データメモリ11から見積仕様を読み出して、その見積仕様に基づき、積算データメモリ12から読み出した積算データを見積データに変換して、見積データメモリ13に格納し、端末3−1へ転送する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、建物見積作成処理システムにおける顧客ごと、住宅仕様ごとの見積作成条件の管理が著しく容易化され、顧客における詳細見積作成処理開始までの時間の大幅な短縮と、信頼性の向上とが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図3ないし図10を用いて、本発明システムの実施例を説明する。
【0023】
図3は、本発明の1実施例による建築見積作成処理システムのシステム構成図であり、説明の便宜上、主要な構成部分のみを示したものである。図中、1はネットワーク、2はサーバー、3−1,3−nは顧客の端末、21はヒアリング処理部、22は積算仕様ヒアリング手段、23は見積仕様ヒアリング手段、24は建物CAD設計処理部、25は積算処理部、26は見積処理部、27は積算仕様マスタファイル、28はCAD設計データファイル、29は見積仕様マスタファイル、30は積算データファイル、31は見積データファイルである。
【0024】
ヒアリング処理部21、積算仕様ヒアリング手段22、見積仕様ヒアリング手段23、建物CAD設計処理部24、積算処理部25、見積処理部26は、サーバー2の図示されていないCPU上でそれぞれの対応するプログラムが実行されることにより実現される機能である。また積算仕様マスタファイル27、CAD設計データファイル28、見積仕様マスタファイル29、積算データファイル30、見積データファイル31は、同様にサーバー2の図示されていないHDDなどの補助(外部)メモリに格納されており、一般には仮想記憶制御により、アクセス時にメインメモリ上で読み書きされる。サーバー2のハードウエア構成については、図5に示される。
【0025】
図3の実施例システムの構成は、既に説明した図1の実施例システムに対応するものであり、CAD設計から積算データ作成、見積データ作成までの各処理機能がすべてサーバー2に置かれ、顧客の端末3−1〜3−nからの依頼により、これらの処理機能が実行される。たとえば、端末3−1の顧客は、サーバー2に建物設計を依頼する場合、まず積算仕様と見積仕様を自己の商慣習に適合する態様に初期設定しておく必要がある。そのため、サーバー2に、これらの仕様の初期設定を要求する。サーバー2では、ヒアリング処理部21を起動し、図1で説明したように、仕様を確定するためのヒアリングシートデータを端末3−1へ送り、対話処理によるヒアリング応答を求める。積算項目ごとに顧客の応答に従って、階層化されたヒアリングシートデータを切り替え提示して行き、積算仕様から見積仕様までの顧客に必要な仕様情報が取得される。取得された積算仕様は、積算仕様ヒアリング手段22によって積算仕様マスタファイル27に登録され、また見積仕様は、見積仕様ヒアリング手段23によって、見積仕様マスタファイル29に登録される。
【0026】
このようにして積算仕様マスタファイル27と見積仕様マスタファイル29が初期設定されたあと、建物CAD設計処理部24により、依頼された建物のCAD設計が行われ、設計結果がCAD設計データファイル28に格納される。顧客からの積算データ作成要求があると、積算処理部25は、積算仕様マスタファイル27から積算仕様を読み出して、CAD設計データファイル28から積算項目ごとにデータの拾い出しを行い、積算データを作成して積算データファイル30に格納する。続いて見積処理部26は、見積仕様マスタファイル29の見積仕様にしたがって、積算データファイル30の積算データを見積データに編集、変換して見積データファイル31に格納し、端末3−1に転送する。
【0027】
図4は、本発明の1実施例によるサーバーのハードウエア構成図であり、図3に示される実施例システムにおけるサーバー2のハードウエア構成を示す。図4において、51はCPU,52はディスプレイ装置、53はキーボード、54はマウス、55はプリンタ、56はネットワーク接続用の通信インタフェース、57はメモリである。これらのハードウエア要素は、一般のパソコンなどのコンピュータに用いられているものと同じでよく、特別な限定は必要とされない。メモリ57には、ソフトウエアとデータが格納されている状態で示される。57〜59はシステムプログラムで、58はOS,59はネットワークプログラム、60はI/O制御プログラムである。61〜70はアプリケーションのプログラムとデータであり、61は建物CAD設計処理部プログラム(CADシステム)、62はCAD設計データファイル、63は積算仕様マスタファイル、64は積算処理部プログラム、65は積算データファイル、66はヒアリング処理部プログラム、67はヒアリングシートデータファイル、68は見積仕様マスタファイル、69は見積処理部プログラム、70は見積データファイルである。
【0028】
図1および図3の実施例システムでは、CAD設計から見積作成までの機能をすべて1台のサーバーがもち、顧客の端末はサーバーとの通信と入出力などの簡単な機能をもつだけでよかったが、本発明はこれに限られるものではなく、サーバーと端末との間で機能の役割分担を様々な態様にすることができる。図5は、そのような他の変型実施例を示す。
【0029】
図5の(a)は、端末に意匠CAD機能と見積処理機能をもたせ、サーバーには意匠・構造CAD機能と積算処理機能、それにヒアリング処理機能を置いた実施例である。この場合、サーバーは端末の顧客との間で対話によるヒアリング処理を実行して、顧客から積算と見積の仕様情報を取得する。取得した顧客の積算仕様はサーバー内の積算処理機能に反映させ、また見積仕様は端末の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、自己の端末の意匠CADで住宅などの意匠設計をしてサーバーに構造設計を依頼し、設計結果のCAD設計データと顧客仕様が反映された積算データを受け取る。受け取った積算データは、さらに自己の端末の顧客仕様の見積処理機能により見積データに変換して見積書を作成する。
【0030】
図5の(b)は、端末から意匠CAD機能を外して、サーバーから端末にヒアリング処理機能を移し、端末は見積処理機能とヒアリング処理機能をもつが意匠CAD機能はもたない実施例である。この場合、顧客は自己の端末内でオフラインによるヒアリング処理を随時行える利点がある。端末内のヒアリング処理機能は、顧客が自己の端末内でヒアリング処理して得た積算仕様と見積仕様の情報のうち、積算仕様の情報はサーバーに送ってサーバーの積算処理機能への反映を依頼し、見積仕様の情報は自己の端末の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、端末からサーバーに住宅等の意匠設計を含むすべてのCAD設計を依頼して、(a)の場合と同様に、サーバーからCAD設計データと顧客仕様の積算データを受け取り、自己の端末の顧客仕様の見積処理機能により見積データに変換して見積書を作成することができる。
【0031】
図5の(c)は、(b)と同様に端末に見積処理機能とヒアリング処理機能をもたせるとともに意匠CAD機能をももたせた実施例である。端末のヒアリング処理機能は、オフラインにより顧客のヒアリング処理を実行し、取得した顧客の積算仕様情報はサーバーの積算処理機能に反映させ、顧客の見積仕様情報は端末内の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、端末の意匠CADで住宅などの意匠設計をしてサーバーに構造設計を依頼し、設計結果のCAD設計データと顧客仕様が反映された積算データを受け取り、積算データは、さらに端末内の顧客仕様が反映された見積処理機能で見積データに変換して見積書を作成する。
【0032】
図5の(d)は、端末には何も置かず、CAD設計から見積作成までのすべての処理をサーバー側で行うようにした実施例である。ただしこの実施例では、サーバー側での処理の集中を避けるため、サーバーを物理的に、CAD設計および積算処理を行うサーバーAと、ヒアリング処理および見積処理を行うサーバーBとに分け、サーバー1台あたりの処理負担を軽減している。しかし、端末では顧客がこれらを意識する必要はなく、ソフトウエアにより、処理要求に応じたアクセス先のサーバーを自動的に切り替える機構を設けておけばよい。これにより、顧客の施工業者(ビルダー)は、住宅建築を請け負う場合、意匠設計から見積書の作成までの各処理をすべてサーバーに依頼して行うことができ、システムのメンテナンスのような煩わしい作業からも開放される。
【0033】
図6は、本発明の1実施例における建築見積作成処理の全体フロー図である。フローは、CAD設計処理と見積作成処理を軸にした流れと、CAD設計処理で使用する積算仕様マスタと、見積作成処理で使用する実行予算書作成マスタおよび見積仕様マスタを、それぞれ顧客仕様に設定するためのヒアリング処理の流れとで構成される。ここでは住宅建築を例に説明される。
【0034】
まず、次のヒアリング処理が行われる。
ステップS100:準備的作業として、顧客に呈示する各ヒアリングシートを設計、作成する。多種多様な住宅仕様について、積算項目一覧を作成し、積算項目ごとに積算データを作成するための仕様条件を選択肢パターンの形で設計し、ヒアリングシートを階層構造で作成する。
ステップS101:作成されたヒアリングシートのデータをシステムへ入力し、各ヒアリングシートデータの画面が、対話処理でヒアリング応答に応じて切り替えられるように構成する。
ステップS102:ヒアリングシートデータ画面を用いて積算項目ごとにヒアリングを実施し、質問に対する顧客の回答を順次求める。
ステップS103:ヒアリングでの顧客の回答をシステムへ入力し、ヒアリングシートを絞り込む。住宅仕様別、積算項目のグループ毎に顧客の回答内容の条件を登録する。たとえば顧客の見積仕様条件に関しては、商品の割当て、単価設定、数量換算、付属商品の追加などが行われる。
ステップS104:顧客の回答内容に基づき、積算仕様マスタ、実行予算書作成マスタ、見積仕様マスタにそれぞれ条件を設定する。
【0035】
CAD設計処理では、次の処理が順次行われる。
ステップS200:CADの入力要素マスタと積算マスタの初期設定を行う。積算マスタには、部材の種類別にデータの拾い出しから積算データ作成までの処理のパターンを積算項目に対応付けて登録する。
ステップS201:CADにより住宅設計を行う。CADの設計画面上で、部屋、壁、屋根、建具、階段、設備(備品)などの建物の要素を順次入力して建物設計を行い、CAD設計データを作成する。
ステップS202:設計結果の建物をパースで見せるためのパース出力条件設定とパース作成指示を行う。ステップS203では、作成されたパースを目視確認し、問題があれば設計を修正する。ステップS204では、建物の平面図や正面図などの図面を作成する。
ステップS205:図面を出力して確認する。
ステップS206:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている積算マスタの積算仕様に基づき積算処理を実行して、積算データを作成する。
ステップS207:積算データの出力指示を行い、積算データを見積作成処理システムへ出力する。
【0036】
次に、見積作成処理では、次の処理が順次行われる。
ステップS301:積算CADシステムからの積算データの入力を指示して、積算データを入力する。
ステップS302:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている実行予算書作成マスタにより積算データを実行予算データに変換し、仕入れ原価計算に用いる実行予算書を作成する。
ステップS303:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている見積仕様マスタに基づき、積算データを見積データに変換し、見積書を作成する。
【0037】
図7は、本発明実施例における積算データ作成のためのCAD設計データ拾い出しマクロ処理の説明図である。図中、81は設計図イメージで示したCAD設計データ、82は図3に示される積算処理部25の機能の一つの設計情報抽出処理部、83はCAD設計データから抽出された配置部材数量データ、84は同じくCAD設計データから抽出された建物寸法・基本数量データ、85は積算項目と住宅仕様例が示された積算仕様マスタ、86はマクロ実行順リスト、87は設計情報抽出処理部82と同様に積算処理部25の機能の一つの拾い出しマクロ実行部、88は拾い出しマクロにより作成された積算データである。
【0038】
図7において、積算処理が開始されると、まず設計情報抽出処理部82は、CAD設計データ81を分析して、配置部材数量データ83と建物寸法・基本数量データ84を作成する。配置部材数量データ83は、設計図に配置されている部材ごとの、部材名、サイズ、配置されている部位、建具記号などからなる。建物寸法・基本数量データ84は、各階の床面積、天井面積、屋根延面積などの主要部分の面積、軒出隅箇所数、妻出隅箇所数などの数量、軒出幅などの寸法からなる。
【0039】
また積算仕様マスタ85には、天井換気仕様や軒天井などのCAD積算項目ごとの積算仕様、すなわち顧客がヒアリングシートデータで選択した住宅仕様にリンクして、その積算処理を行うための拾い出しマクロのロジック格納されている。
【0040】
前記した積算処理部は、積算仕様マスタ85にある各拾い出しマクロを実行可能な順番に編成してマクロ実行順リスト86を作成し、拾い出しマクロ実行部87に実行させる。エラー! リンクが正しくありません。は、マクロ実行順リスト86の実行順に、積算仕様マスタ85から積算処理手順を記述するマクロロジックを読み出し、配置部材数量データ83と建物寸法・基本数量データ84を対象に実行して、積算データ88を作成する。
【0041】
図8は、拾い出しマクロの実施例の説明図である。図8の(a)は、ヒアリングシートデータのシート番号と拾い出しマクロの対応例を示す。図中のシート番号10−1〜10−5は、図2(a)に例示したヒアリングシートデータ中に示されるシート番号に対応している。たとえばシート番号10−1のヒアリングシートデータには、「天井換気仕様」と「軒天井」の積算項目が関連しており、その「天井換気仕様」の積算仕様は「有孔繊維強化セメント板」マクロによって規定され、また「軒天井」の積算仕様は「軒天井拾い出し」マクロによって規定されることを示している。
【0042】
図8の(b)は、拾い出しマクロの処理機能例を示し、「天井換気仕様」と「軒天井」の積算項目に関わる「有孔繊維強化セメント板」マクロ、「屋根面積軒裏吸排気」マクロ、「屋根面積軒吸気+棟排気」マクロ、「全長本数軒吸気」マクロ、「全長m数軒吸気」マクロの五つのマクロが関わっており、ヒアリングデータシートでどのマクロが選択されていたかで、同じ積算項目「天井換気仕様」でもその積算仕様、すなわちマクロのロジック(処理機能)が異なってくることが分かる。
【0043】
次に、図9ないし図14に示す画面例により、具体的なヒアリング処理について説明する。図9は、大工工事についてのヒアリングシート画面例である。大工工事の質問コードは9であり、大工工事費には、見積価格を坪単価で算出するか、人工数で算出するか、一式工事でまとめるかの、3種類の見積仕様があるので、それぞれにシート番号9−1,9−2、9−3のヒアリングシートが用意されている。顧客は、いずれかの仕様の選択を求められ、図の画面例では、坪単価が選択されている。しかし、坪単価の場合は、さらに延べ施工床面積で算出するか、延べ床面積で算出するかに分かれるので、それぞれの仕様のためにシート番号9−1−1と9−1−2のヒアリングシートが設けられている。ここでは、顧客により、9−1−2の延べ床面積が選択されている。
【0044】
図10は、図9の画面で延べ施工床面積が選択された場合に表示されるシート番号9−1−1のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、延べ施工床面積による大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用(施工坪)と上棟レッカー費用となる。
【0045】
図11は、図9の画面で延べ床面積が選択された場合に表示されるシート番号9−1−2のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、延べ床面積による大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用と上棟レッカー費用となる。
【0046】
図12は、図9の画面で人工数が選択された場合に表示されるシート番号9−2のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工手間と上棟レッカー費用となる。
【0047】
図13は、図9の画面で一式工事が選択された場合に表示されるシート番号9−3のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、大工工事費用(一式)と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用(一式)と上棟レッカー費用となる。
【0048】
図14は、仕様一覧画面であり、ヒアリングがすべての項目について終了した後、表示が可能となり、任意の商品(工事費)項目を選択して、商品の細部設定や追加、削除などを行うことができる。
【0049】
図15ないし図18は、本発明実施例による大工工事の積算・見積仕様設定において、それぞれ、延べ施工床面積、延べ床面積、人工数、一式工事を選択する場合の画面の流れを示す説明図である。各図において、(a),(b)は住宅仕様詳細の質問画面であり、(a)の質問1画面では、坪単価、人工数、一式工事を切り分け、(b)の質問2画面では、(a)で坪単価が選択された場合の下層の詳細化として、延べ施工床面積と延べ床面積を切り分けている。(c)は(a),(b)で選択された仕様における商品の一覧画面であり、(d)は商品の細目設定画面である。これにより、顧客が見積仕様の設定を必要とする項目数は4分の1に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の1実施例による建築見積作成処理システムの基本構成説明図である。
【図2】本発明による住宅設計に用いられるヒアリングシートデータの一部を例示した説明図である。
【図3】本発明の1実施例による建築見積作成処理システムのシステム構成図である。
【図4】本発明の1実施例によるサーバーのハードウエア構成図である。
【図5】本発明による建築見積作成処理システムの他の変型実施例を示す構成図である。
【図6】本発明の1実施例における建築見積作成処理の全体フロー図である。
【図7】本発明実施例におけるCAD設計データ拾い出しマクロ処理の説明図である。
【図8】本発明実施例における拾い出しマクロの説明図である。
【図9】本発明実施例による大工工事についてのヒアリングシート画面例である。
【図10】本発明実施例による大工工事(延べ施工床面積)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図11】本発明実施例による大工工事(延べ床面積)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図12】本発明実施例による大工工事(人工数)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図13】本発明実施例による大工工事(一式工事)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図14】本発明実施例によるヒアリング処理の商品仕様一覧画面の説明図である。
【図15】本発明実施例による大工工事(延べ施工床面積)の選択処理の説明図である。
【図16】本発明実施例による大工工事(延べ床面積)の選択処理の説明図である。
【図17】本発明実施例による大工工事(人工数)の選択処理画面の説明図である。
【図18】本発明実施例による大工工事(一式工事)の選択処理画面の説明図である。
【図19】従来システムにおける建築見積作成処理例の概略フローである。
【図20】従来の建築見積作成処理システムの概略構成図である。
【図21】従来の建築作成処理システムにおける細部処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1:ネットワーク
2:サーバー
3−1,3−n:顧客の端末
4:ヒアリング処理部
5:ヒアリングシートデータ
6:積算処理部
7:見積処理部
8:CADシステム
9:CAD設計データメモリ
10:積算仕様データメモリ
11:見積仕様データメモリ
12:積算データメモリ
13:見積データメモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの建物を設計するCADシステムの設計データを利用して建築見積書を作成する建築見積作成処理システムに関するものであり、特に工務店などの施工業者(ビルダー)からの依頼により、連携して建物設計を行う設計事務所、部材の開発メーカーあるいは組織化されたCAD設計センターのシステムにおいて有用な、建築費の見積書を効率的に作成できる建築見積作成処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物CADシステムと連携して見積作成を行うシステムが種々開発されているが、それらは、特許文献1に見られるように、CAD設計データから建物に使用される建築部材のデータを取り出して、部材の商品情報データベースと照合し、部材の規格や価格などの詳細情報を得て見積を作成するものであり、コンピュータによる処理がある程度図られるようになっている。
【0003】
しかし、建物の見積作成処理では標準化があまり進んでいない現状にある。それは、建物自体の仕様がきわめて多様で数千種類にも及ぶとされるうえ、建築部材の仕様も無数にあり、更に、工事予算算出の基礎となる設計単位の取り方や労務費のまとめ方、歩掛の基準などが施工業者ごとにまちまちであるのが実情で、処理の標準化が難しく、汎用的な見積作成システムを作るのが困難であることが原因となっている。そのため、多くの施工業者は、物件ごとに見積作成に必要な建物の仕様と見積作成の仕様からなる多数の見積作成条件を、CADシステムと見積作成処理システムそれぞれに多大な工数を費やして個別に設定して対応していた。
【0004】
図19は、従来、ある部材メーカーの建築設計センター側サーバーと顧客の施工業者側端末との間のシステムで行われていた建築見積作成処理例の概略フローを示す。この例のシステムでは、センター側のサーバーには積算(原価計算)機能をもった細部設計(構造設計)のための建築CADシステムが設けられており、また顧客側の端末には、簡単なプラン設計(意匠設計)CADと見積作成処理システムが設けられている。処理を始めるのに先立って、顧客の見積作成条件に適応させるために、センター側サーバーの入力要素マスタ(ファイル)と積算仕様マスタ(ファイル)の各内容を初期設定し、同様に顧客側端末の見積仕様マスタ(ファイル)の内容を初期設定する。入力要素マスタには,建物のCAD設計時に入力する建材や建具、備品などの要素のデータが格納される。積算仕様マスタには、建物の設計部位ごとに拾い出す設計データの種類と作成する積算データの仕様が格納される。そして見積仕様マスタには、CADから出力された積算データを顧客が見積書に記載する形式と内容に変換するためのデータが格納される。これらのマスタには、はじめ標準的なデータが格納されており、初期設定で追加や、削除、変更などの修正処理を行う。サーバー側の入力要素マスタと積算仕様マスタの初期設定では、顧客の希望する入力要素と積算仕様についてのデータ修正が可能であるが、なお汎用性が保たれており、顧客が必要とする部材の表記などの顧客固有の情報形式には、顧客端末側の見積仕様マスタで最終的に変換される仕組みになっている。このため、顧客が見積作成の際に仕様を選択修正できる自由度をもてるように、サーバーから顧客端末へ送られる積算データには、顧客によって選択されない場合には無駄となる余分なデータも含めておく必要がある。
【0005】
はじめに顧客は、自己の端末にあるCADで住宅などの建物の意匠設計を行い、設計結果の建物の間取りや部屋面積などの数値を含む意匠データを、ネットワーク経由で、センター側サーバーへ転送し、細部の設計と積算処理を依頼する。センター側サーバーでは、その意匠データをベースにして、入力要素マスタの入力要素を用いてCADにより建物の構造と細部の設計を行い、CAD設計データを出力する。次に積算データの作成指示が出されると、積算仕様マスタの積算仕様に基づいて、積算項目ごとのCAD設計データからのデータ拾い出しが行われ、積算データが作成されて、顧客側端末へ転送される。顧客側端末では、積算データを受信すると、見積仕様マスタの見積仕様に基づいて、積算データを顧客固有の見積書の情報形式に変換し、見積書を作成して出力する。
【特許文献1】特開2002−157284号公報
【0006】
図20は、図19の従来システムにおけるサーバーの建築CADシステムと端末の見積作成処理システムを連結してソフトウエア的に見た建築見積作成処理システムの概略構成図である。建築CADシステム101では、CAD設計処理部102が顧客からの依頼により建物の設計処理を行い、その結果としてCAD設計データ103を作成する。拾い出し・積算処理部104は、積算仕様マスタ103の積算仕様にしたがって、各積算項目についてCAD設計データ103からのデータ拾い出しを行い、積算データを作成して見積作成処理システム106へ出力する。見積作成処理システム106の見積データ作成処理部107は、積算データを受け取り、見積仕様マスタ108の見積仕様にしたがって見積データに変換し、見積書作成処理部109で見積書を編集作成して出力する。
【0007】
図21は、従来の建築作成処理システムにおける細部処理のフロー図である。まず建築CADシステムの処理のステップを順に説明する。ステップS500では、CADの入力要素マスタと積算マスタの初期設定を行う。積算マスタには、部材の種類別にデータの拾い出しから積算までの処理のパターンを登録する。ステップS501では、CADの設計画面上で、部屋、壁、屋根、建具、階段、設備(備品)などの建物の要素を順次入力して建物設計を行い、CAD設計データを作成する。ステップS502では、設計結果の建物をパースで見せるためのパース作成条件設定とパース出力指示を行う。ステップS503では、作成されたパースを目視確認し、問題があれば設計を修正する。ステップS504では、建物の平面図や正面図などの図面を作成する。ステップS505では、図面を出力して確認する。ステップS506では、積算条件を指定して、積算マスタの積算仕様に基づく積算処理を実行する。ステップS507では、積算データの出力指示を行い、積算データを見積作成処理システムへ出力する。
【0008】
次に、見積作成処理システムの処理のステップを順に説明する。ステップS601では、積算CADシステムからの積算データの入力を指示して、データを入力する。ステップS602では、仕入れ原価計算に用いる予算書を作成するための建物仕様の種々の条件、たとえば部材等への具体的な商品の割当て、単価や掛率の設定、数量単位の換算などを、建物仕様マスタに個別に設定する。ステップS603では、建物仕様マスタに設定されている建物仕様の各種の条件から、顧客が実行予算書を作成するのに必要な条件を選択して予算書作成マスタに設定し、それに基づき予算書の作成を行う。ステップS604では、ステップS603と同様に、建物仕様マスタに設定されている建物仕様の条件から、顧客が必要な見積書作成条件を選択して見積仕様マスタに設定し、それに基づき見積書の作成を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の建築見積作成処理システムでは、施工業者(ビルダー)などの顧客が詳細な建築見積書を作成するには、予め膨大な量の建物仕様や見積仕様の条件設定を行う必要があり、見積作成作業に多くの労力と時間、コストがかかるとともに、誤見積りも生じやすくなって、受注までの期間ひいては工期の短縮の上での大きな障害となっていた。
【0010】
本発明の課題は、建築施工に伴う建築見積作成処理に関して、詳細で性格な見積書を作成するシステムを立ち上げる上での建物仕様や見積仕様の条件設定を容易にし、見積システムの早期運用を可能とし、施工業者(ビルダー)などの顧客の負担を軽減し、見積作成時間の短縮を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するために、建物CADシステムと見積作成処理システムとの連携を強化し、見積作成条件の管理を容易にして、システムによる建築見積作成処理の迅速化と的確化とを可能にするものである。
【0012】
そのため、本発明は、建物CADシステム側で積算データを作成するのに先立って、顧客が必要とする積算仕様の情報を顧客との対話によるヒアリング処理によって取得し、その情報により積算仕様を顧客が必要とするものだけに絞り込んで、効率的な積算データを作成するものである。
【0013】
また本発明は、顧客との対話によるヒアリング処理の際に、同時に顧客の見積仕様に関する情報も取得し、その情報により見積仕様の修正処理をすることにより、顧客による見積仕様の作成負担の軽減を図るものである。本発明の建築見積作成処理システムは、以下の(1)〜(9)のように構成される。
(1) メモリに格納された建物のCAD設計データから積算データを作成し、積算データに基づいて建築費の見積データを作成する建築見積作成処理システムであって、
積算項目ごとに、定められた積算仕様にしたがってメモリのCAD設計データから関連データを拾い出し、積算データを作成する処理を行う積算処理部と、
積算データの作成処理に先立って、顧客との間でヒアリング形式により前記積算仕様の内容を確定する対話処理を行うヒアリング処理部とを備えていることを特徴とする構成。
(2) 前項(1)に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、
前記ヒアリング処理部はサーバーに置かれていることを特徴とする構成。
(3) 前項(2)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記ヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする構成。
(4) 前項(1)に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部は顧客の端末に置かれていることを特徴とする構成。
(5) 前項(4)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記顧客の端末に置かれているヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、前記サーバーの積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記サーバーの積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、前記積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする構成。
(6) 前項(3)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーはさらに、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客の端末に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする構成。
(7) 前項(4)に記載の建築見積作成処理システムであって、前記顧客の端末は、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする構成。
(8) 前項(1)ないし(7)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記ヒアリング処理部が顧客との間の対話処理により行う積算仕様の内容確定処理は、積算項目ごとに、予めメモリに格納されている建物仕様の細部についての階層化された複数のヒアリングシートデータからなる対話画面を顧客端末からの応答入力に応じて順次切り替え呈示して行き、得られた応答データに基づいて個々の積算項目の仕様条件を決定するものであることを特徴とする構成。
(9) 前項(1)ないし(8)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記積算処理部は、ヒアリング処理により確定した積算仕様に基づき、積算項目ごとのCAD設計データからの関連データの拾い出し処理を行うマクロの群を編成し、実行することを特徴とする構成。
(10) 前項(1)ないし(9)のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
CAD設計データから作成する積算データは建築費の積算データであることを特徴とする構成。
【0014】
図1は、本発明の1実施例による建築見積作成処理システムの基本構成説明図である。図1において、1はネットワーク、2はサーバー、3−1,3−nは顧客の端末、4はヒアリング処理部、5はヒアリングシートデータ、6は積算処理部、7は見積処理部、8はCADシステム、9はCAD設計データメモリ、10は積算仕様データメモリ、11は見積仕様データメモリ、12は積算データメモリ、13は見積データメモリである。
【0015】
図1のシステムでは、CAD設計から見積作成までのすべての処理機能をサーバー2に集中させ、顧客の端末3−1〜3−nは、必要な処理をすべてサーバーに依頼して実行して貰うタイプの実施例構成がとられているが、これは説明を簡単にするための便宜的なものであり、図4の変型実施例を用いて後述されるように、サーバーと顧客端末との間には、多様な分散処理関係をもたせることが可能である。
【0016】
図1において、端末3−1の顧客が、サーバー2に対して、建物の設計依頼と見積作成依頼を行ったものとする。サーバー2では、CADシステム8により依頼された建物の設計を行い、設計結果のデータを、CAD設計データメモリ9に格納する。ヒアリング処理部4は、少なくとも積算処理部6に積算処理を開始させる前、たとえばCAD設計を始める前の適当な時間に、端末3−1の顧客に対するヒアリング処理を実行する。その場合、設計する建物の仕様に関する質問事項や確認事項を記述したヒアリングシートデータ5を、所定の順序で端末3−1に送って、端末画面に表示し、顧客の回答を求める。ヒアリングシートデータ5は、積算仕様あるいは建物仕様の種別ごとにグループ化され、また質問内容は上位から下位へ階層的に詳細化されるように体系付けられている。
【0017】
図2の(a)、(b)は、本発明により住宅設計に用いられるヒアリングシートデータの一部を例示したものである。図2の(a)は、軒天井材・軒換気材の住宅仕様(積算仕様)グループの先頭のヒアリングシートデータであり、軒裏換気仕様の細目(種類)についての選択肢による質問を示している。どの選択肢が回答されたかにより、次のヒアリングシートデータが決まる。たとえば、顧客が1番の「有孔繊維強化セメント板により換気」を選択すると、次のヒアリングシートのシート番号は10−1に決まり、図2の(b)に示すヒアリングシートデータ10−1が切り替え表示されて、工事区分名や品番、品名などの細部情報の確認を求められ、採否の欄に回答する。1段目が積算データ用で、2段目が見積データ用である。なお、ヒアリングシートデータには数量情報はなく、空欄で示される。また図8に例示されるように、各シート番号には、積算項目名とその積算データ作成のためにCAD設計データから必要データを拾い出す処理を行う拾い出しマクロが対応付けられているので、ヒアリングシートデータの質問に回答すれば、積算仕様と見積仕様が決定し、拾い出しマクロによりCAD設計データからの必要数量データが抽出されるので、図2の(c)の見積データ例に示されるように、見積処理の後には、空欄は埋まることになる。
【0018】
図1のヒアリング処理部4は、このようにして、全ての積算仕様グループについてのヒアリングシートデータを順次顧客に呈示して、それぞれの質問について選択肢による回答を求め、選択結果の情報により積算仕様を絞り込んで、積算仕様データメモリ10に設定する。積算仕様には、積算項目ごとにCAD設計データを拾い出して積算データを作成する固有のマクロがリンクされている。同様な方法により、見積仕様に関する情報、たとえば顧客特有の品名や数量単位、掛率、単価などの情報も取得することができ、入力された見積仕様が見積仕様データメモリ11に設定される。次にCAD設計がまだ行われていない場合にはCAD設計を実行して、設計結果をCAD設計データメモリ9に格納する。
【0019】
端末3−1から積算データの作成要求があると、積算処理部6が起動される。積算処理部6は、積算仕様データメモリ10から積算仕様を読み出して、必要とする積算項目のリストを作成するとともに、各積算項目にリンクされている拾い出しマクロの群について実行順序を決める。拾い出しマクロの実行順序が決まると、マクロを実行し、積算項目ごとに拾い出されたCAD設計データから積算データを作成して積算データメモリ12に格納する。
【0020】
次に端末3−1から見積データの作成要求があると、見積処理部7が起動され、見積処理部7が見積仕様データメモリ11から見積仕様を読み出して、その見積仕様に基づき、積算データメモリ12から読み出した積算データを見積データに変換して、見積データメモリ13に格納し、端末3−1へ転送する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、建物見積作成処理システムにおける顧客ごと、住宅仕様ごとの見積作成条件の管理が著しく容易化され、顧客における詳細見積作成処理開始までの時間の大幅な短縮と、信頼性の向上とが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図3ないし図10を用いて、本発明システムの実施例を説明する。
【0023】
図3は、本発明の1実施例による建築見積作成処理システムのシステム構成図であり、説明の便宜上、主要な構成部分のみを示したものである。図中、1はネットワーク、2はサーバー、3−1,3−nは顧客の端末、21はヒアリング処理部、22は積算仕様ヒアリング手段、23は見積仕様ヒアリング手段、24は建物CAD設計処理部、25は積算処理部、26は見積処理部、27は積算仕様マスタファイル、28はCAD設計データファイル、29は見積仕様マスタファイル、30は積算データファイル、31は見積データファイルである。
【0024】
ヒアリング処理部21、積算仕様ヒアリング手段22、見積仕様ヒアリング手段23、建物CAD設計処理部24、積算処理部25、見積処理部26は、サーバー2の図示されていないCPU上でそれぞれの対応するプログラムが実行されることにより実現される機能である。また積算仕様マスタファイル27、CAD設計データファイル28、見積仕様マスタファイル29、積算データファイル30、見積データファイル31は、同様にサーバー2の図示されていないHDDなどの補助(外部)メモリに格納されており、一般には仮想記憶制御により、アクセス時にメインメモリ上で読み書きされる。サーバー2のハードウエア構成については、図5に示される。
【0025】
図3の実施例システムの構成は、既に説明した図1の実施例システムに対応するものであり、CAD設計から積算データ作成、見積データ作成までの各処理機能がすべてサーバー2に置かれ、顧客の端末3−1〜3−nからの依頼により、これらの処理機能が実行される。たとえば、端末3−1の顧客は、サーバー2に建物設計を依頼する場合、まず積算仕様と見積仕様を自己の商慣習に適合する態様に初期設定しておく必要がある。そのため、サーバー2に、これらの仕様の初期設定を要求する。サーバー2では、ヒアリング処理部21を起動し、図1で説明したように、仕様を確定するためのヒアリングシートデータを端末3−1へ送り、対話処理によるヒアリング応答を求める。積算項目ごとに顧客の応答に従って、階層化されたヒアリングシートデータを切り替え提示して行き、積算仕様から見積仕様までの顧客に必要な仕様情報が取得される。取得された積算仕様は、積算仕様ヒアリング手段22によって積算仕様マスタファイル27に登録され、また見積仕様は、見積仕様ヒアリング手段23によって、見積仕様マスタファイル29に登録される。
【0026】
このようにして積算仕様マスタファイル27と見積仕様マスタファイル29が初期設定されたあと、建物CAD設計処理部24により、依頼された建物のCAD設計が行われ、設計結果がCAD設計データファイル28に格納される。顧客からの積算データ作成要求があると、積算処理部25は、積算仕様マスタファイル27から積算仕様を読み出して、CAD設計データファイル28から積算項目ごとにデータの拾い出しを行い、積算データを作成して積算データファイル30に格納する。続いて見積処理部26は、見積仕様マスタファイル29の見積仕様にしたがって、積算データファイル30の積算データを見積データに編集、変換して見積データファイル31に格納し、端末3−1に転送する。
【0027】
図4は、本発明の1実施例によるサーバーのハードウエア構成図であり、図3に示される実施例システムにおけるサーバー2のハードウエア構成を示す。図4において、51はCPU,52はディスプレイ装置、53はキーボード、54はマウス、55はプリンタ、56はネットワーク接続用の通信インタフェース、57はメモリである。これらのハードウエア要素は、一般のパソコンなどのコンピュータに用いられているものと同じでよく、特別な限定は必要とされない。メモリ57には、ソフトウエアとデータが格納されている状態で示される。57〜59はシステムプログラムで、58はOS,59はネットワークプログラム、60はI/O制御プログラムである。61〜70はアプリケーションのプログラムとデータであり、61は建物CAD設計処理部プログラム(CADシステム)、62はCAD設計データファイル、63は積算仕様マスタファイル、64は積算処理部プログラム、65は積算データファイル、66はヒアリング処理部プログラム、67はヒアリングシートデータファイル、68は見積仕様マスタファイル、69は見積処理部プログラム、70は見積データファイルである。
【0028】
図1および図3の実施例システムでは、CAD設計から見積作成までの機能をすべて1台のサーバーがもち、顧客の端末はサーバーとの通信と入出力などの簡単な機能をもつだけでよかったが、本発明はこれに限られるものではなく、サーバーと端末との間で機能の役割分担を様々な態様にすることができる。図5は、そのような他の変型実施例を示す。
【0029】
図5の(a)は、端末に意匠CAD機能と見積処理機能をもたせ、サーバーには意匠・構造CAD機能と積算処理機能、それにヒアリング処理機能を置いた実施例である。この場合、サーバーは端末の顧客との間で対話によるヒアリング処理を実行して、顧客から積算と見積の仕様情報を取得する。取得した顧客の積算仕様はサーバー内の積算処理機能に反映させ、また見積仕様は端末の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、自己の端末の意匠CADで住宅などの意匠設計をしてサーバーに構造設計を依頼し、設計結果のCAD設計データと顧客仕様が反映された積算データを受け取る。受け取った積算データは、さらに自己の端末の顧客仕様の見積処理機能により見積データに変換して見積書を作成する。
【0030】
図5の(b)は、端末から意匠CAD機能を外して、サーバーから端末にヒアリング処理機能を移し、端末は見積処理機能とヒアリング処理機能をもつが意匠CAD機能はもたない実施例である。この場合、顧客は自己の端末内でオフラインによるヒアリング処理を随時行える利点がある。端末内のヒアリング処理機能は、顧客が自己の端末内でヒアリング処理して得た積算仕様と見積仕様の情報のうち、積算仕様の情報はサーバーに送ってサーバーの積算処理機能への反映を依頼し、見積仕様の情報は自己の端末の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、端末からサーバーに住宅等の意匠設計を含むすべてのCAD設計を依頼して、(a)の場合と同様に、サーバーからCAD設計データと顧客仕様の積算データを受け取り、自己の端末の顧客仕様の見積処理機能により見積データに変換して見積書を作成することができる。
【0031】
図5の(c)は、(b)と同様に端末に見積処理機能とヒアリング処理機能をもたせるとともに意匠CAD機能をももたせた実施例である。端末のヒアリング処理機能は、オフラインにより顧客のヒアリング処理を実行し、取得した顧客の積算仕様情報はサーバーの積算処理機能に反映させ、顧客の見積仕様情報は端末内の見積処理機能に反映させる。これにより、顧客は、端末の意匠CADで住宅などの意匠設計をしてサーバーに構造設計を依頼し、設計結果のCAD設計データと顧客仕様が反映された積算データを受け取り、積算データは、さらに端末内の顧客仕様が反映された見積処理機能で見積データに変換して見積書を作成する。
【0032】
図5の(d)は、端末には何も置かず、CAD設計から見積作成までのすべての処理をサーバー側で行うようにした実施例である。ただしこの実施例では、サーバー側での処理の集中を避けるため、サーバーを物理的に、CAD設計および積算処理を行うサーバーAと、ヒアリング処理および見積処理を行うサーバーBとに分け、サーバー1台あたりの処理負担を軽減している。しかし、端末では顧客がこれらを意識する必要はなく、ソフトウエアにより、処理要求に応じたアクセス先のサーバーを自動的に切り替える機構を設けておけばよい。これにより、顧客の施工業者(ビルダー)は、住宅建築を請け負う場合、意匠設計から見積書の作成までの各処理をすべてサーバーに依頼して行うことができ、システムのメンテナンスのような煩わしい作業からも開放される。
【0033】
図6は、本発明の1実施例における建築見積作成処理の全体フロー図である。フローは、CAD設計処理と見積作成処理を軸にした流れと、CAD設計処理で使用する積算仕様マスタと、見積作成処理で使用する実行予算書作成マスタおよび見積仕様マスタを、それぞれ顧客仕様に設定するためのヒアリング処理の流れとで構成される。ここでは住宅建築を例に説明される。
【0034】
まず、次のヒアリング処理が行われる。
ステップS100:準備的作業として、顧客に呈示する各ヒアリングシートを設計、作成する。多種多様な住宅仕様について、積算項目一覧を作成し、積算項目ごとに積算データを作成するための仕様条件を選択肢パターンの形で設計し、ヒアリングシートを階層構造で作成する。
ステップS101:作成されたヒアリングシートのデータをシステムへ入力し、各ヒアリングシートデータの画面が、対話処理でヒアリング応答に応じて切り替えられるように構成する。
ステップS102:ヒアリングシートデータ画面を用いて積算項目ごとにヒアリングを実施し、質問に対する顧客の回答を順次求める。
ステップS103:ヒアリングでの顧客の回答をシステムへ入力し、ヒアリングシートを絞り込む。住宅仕様別、積算項目のグループ毎に顧客の回答内容の条件を登録する。たとえば顧客の見積仕様条件に関しては、商品の割当て、単価設定、数量換算、付属商品の追加などが行われる。
ステップS104:顧客の回答内容に基づき、積算仕様マスタ、実行予算書作成マスタ、見積仕様マスタにそれぞれ条件を設定する。
【0035】
CAD設計処理では、次の処理が順次行われる。
ステップS200:CADの入力要素マスタと積算マスタの初期設定を行う。積算マスタには、部材の種類別にデータの拾い出しから積算データ作成までの処理のパターンを積算項目に対応付けて登録する。
ステップS201:CADにより住宅設計を行う。CADの設計画面上で、部屋、壁、屋根、建具、階段、設備(備品)などの建物の要素を順次入力して建物設計を行い、CAD設計データを作成する。
ステップS202:設計結果の建物をパースで見せるためのパース出力条件設定とパース作成指示を行う。ステップS203では、作成されたパースを目視確認し、問題があれば設計を修正する。ステップS204では、建物の平面図や正面図などの図面を作成する。
ステップS205:図面を出力して確認する。
ステップS206:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている積算マスタの積算仕様に基づき積算処理を実行して、積算データを作成する。
ステップS207:積算データの出力指示を行い、積算データを見積作成処理システムへ出力する。
【0036】
次に、見積作成処理では、次の処理が順次行われる。
ステップS301:積算CADシステムからの積算データの入力を指示して、積算データを入力する。
ステップS302:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている実行予算書作成マスタにより積算データを実行予算データに変換し、仕入れ原価計算に用いる実行予算書を作成する。
ステップS303:ヒアリング結果の顧客仕様条件が反映されている見積仕様マスタに基づき、積算データを見積データに変換し、見積書を作成する。
【0037】
図7は、本発明実施例における積算データ作成のためのCAD設計データ拾い出しマクロ処理の説明図である。図中、81は設計図イメージで示したCAD設計データ、82は図3に示される積算処理部25の機能の一つの設計情報抽出処理部、83はCAD設計データから抽出された配置部材数量データ、84は同じくCAD設計データから抽出された建物寸法・基本数量データ、85は積算項目と住宅仕様例が示された積算仕様マスタ、86はマクロ実行順リスト、87は設計情報抽出処理部82と同様に積算処理部25の機能の一つの拾い出しマクロ実行部、88は拾い出しマクロにより作成された積算データである。
【0038】
図7において、積算処理が開始されると、まず設計情報抽出処理部82は、CAD設計データ81を分析して、配置部材数量データ83と建物寸法・基本数量データ84を作成する。配置部材数量データ83は、設計図に配置されている部材ごとの、部材名、サイズ、配置されている部位、建具記号などからなる。建物寸法・基本数量データ84は、各階の床面積、天井面積、屋根延面積などの主要部分の面積、軒出隅箇所数、妻出隅箇所数などの数量、軒出幅などの寸法からなる。
【0039】
また積算仕様マスタ85には、天井換気仕様や軒天井などのCAD積算項目ごとの積算仕様、すなわち顧客がヒアリングシートデータで選択した住宅仕様にリンクして、その積算処理を行うための拾い出しマクロのロジック格納されている。
【0040】
前記した積算処理部は、積算仕様マスタ85にある各拾い出しマクロを実行可能な順番に編成してマクロ実行順リスト86を作成し、拾い出しマクロ実行部87に実行させる。エラー! リンクが正しくありません。は、マクロ実行順リスト86の実行順に、積算仕様マスタ85から積算処理手順を記述するマクロロジックを読み出し、配置部材数量データ83と建物寸法・基本数量データ84を対象に実行して、積算データ88を作成する。
【0041】
図8は、拾い出しマクロの実施例の説明図である。図8の(a)は、ヒアリングシートデータのシート番号と拾い出しマクロの対応例を示す。図中のシート番号10−1〜10−5は、図2(a)に例示したヒアリングシートデータ中に示されるシート番号に対応している。たとえばシート番号10−1のヒアリングシートデータには、「天井換気仕様」と「軒天井」の積算項目が関連しており、その「天井換気仕様」の積算仕様は「有孔繊維強化セメント板」マクロによって規定され、また「軒天井」の積算仕様は「軒天井拾い出し」マクロによって規定されることを示している。
【0042】
図8の(b)は、拾い出しマクロの処理機能例を示し、「天井換気仕様」と「軒天井」の積算項目に関わる「有孔繊維強化セメント板」マクロ、「屋根面積軒裏吸排気」マクロ、「屋根面積軒吸気+棟排気」マクロ、「全長本数軒吸気」マクロ、「全長m数軒吸気」マクロの五つのマクロが関わっており、ヒアリングデータシートでどのマクロが選択されていたかで、同じ積算項目「天井換気仕様」でもその積算仕様、すなわちマクロのロジック(処理機能)が異なってくることが分かる。
【0043】
次に、図9ないし図14に示す画面例により、具体的なヒアリング処理について説明する。図9は、大工工事についてのヒアリングシート画面例である。大工工事の質問コードは9であり、大工工事費には、見積価格を坪単価で算出するか、人工数で算出するか、一式工事でまとめるかの、3種類の見積仕様があるので、それぞれにシート番号9−1,9−2、9−3のヒアリングシートが用意されている。顧客は、いずれかの仕様の選択を求められ、図の画面例では、坪単価が選択されている。しかし、坪単価の場合は、さらに延べ施工床面積で算出するか、延べ床面積で算出するかに分かれるので、それぞれの仕様のためにシート番号9−1−1と9−1−2のヒアリングシートが設けられている。ここでは、顧客により、9−1−2の延べ床面積が選択されている。
【0044】
図10は、図9の画面で延べ施工床面積が選択された場合に表示されるシート番号9−1−1のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、延べ施工床面積による大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用(施工坪)と上棟レッカー費用となる。
【0045】
図11は、図9の画面で延べ床面積が選択された場合に表示されるシート番号9−1−2のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、延べ床面積による大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用と上棟レッカー費用となる。
【0046】
図12は、図9の画面で人工数が選択された場合に表示されるシート番号9−2のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、大工工事費と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工手間と上棟レッカー費用となる。
【0047】
図13は、図9の画面で一式工事が選択された場合に表示されるシート番号9−3のヒアリングシート画面である。この画面では、主な拾い出し項目が、大工工事費用(一式)と上棟レッカー費用の二つになることが示され、顧客に採用の有無の回答が求められる。商品の品名は、大工工事費用(一式)と上棟レッカー費用となる。
【0048】
図14は、仕様一覧画面であり、ヒアリングがすべての項目について終了した後、表示が可能となり、任意の商品(工事費)項目を選択して、商品の細部設定や追加、削除などを行うことができる。
【0049】
図15ないし図18は、本発明実施例による大工工事の積算・見積仕様設定において、それぞれ、延べ施工床面積、延べ床面積、人工数、一式工事を選択する場合の画面の流れを示す説明図である。各図において、(a),(b)は住宅仕様詳細の質問画面であり、(a)の質問1画面では、坪単価、人工数、一式工事を切り分け、(b)の質問2画面では、(a)で坪単価が選択された場合の下層の詳細化として、延べ施工床面積と延べ床面積を切り分けている。(c)は(a),(b)で選択された仕様における商品の一覧画面であり、(d)は商品の細目設定画面である。これにより、顧客が見積仕様の設定を必要とする項目数は4分の1に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の1実施例による建築見積作成処理システムの基本構成説明図である。
【図2】本発明による住宅設計に用いられるヒアリングシートデータの一部を例示した説明図である。
【図3】本発明の1実施例による建築見積作成処理システムのシステム構成図である。
【図4】本発明の1実施例によるサーバーのハードウエア構成図である。
【図5】本発明による建築見積作成処理システムの他の変型実施例を示す構成図である。
【図6】本発明の1実施例における建築見積作成処理の全体フロー図である。
【図7】本発明実施例におけるCAD設計データ拾い出しマクロ処理の説明図である。
【図8】本発明実施例における拾い出しマクロの説明図である。
【図9】本発明実施例による大工工事についてのヒアリングシート画面例である。
【図10】本発明実施例による大工工事(延べ施工床面積)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図11】本発明実施例による大工工事(延べ床面積)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図12】本発明実施例による大工工事(人工数)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図13】本発明実施例による大工工事(一式工事)のヒアリングシート画面の説明図である。
【図14】本発明実施例によるヒアリング処理の商品仕様一覧画面の説明図である。
【図15】本発明実施例による大工工事(延べ施工床面積)の選択処理の説明図である。
【図16】本発明実施例による大工工事(延べ床面積)の選択処理の説明図である。
【図17】本発明実施例による大工工事(人工数)の選択処理画面の説明図である。
【図18】本発明実施例による大工工事(一式工事)の選択処理画面の説明図である。
【図19】従来システムにおける建築見積作成処理例の概略フローである。
【図20】従来の建築見積作成処理システムの概略構成図である。
【図21】従来の建築作成処理システムにおける細部処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1:ネットワーク
2:サーバー
3−1,3−n:顧客の端末
4:ヒアリング処理部
5:ヒアリングシートデータ
6:積算処理部
7:見積処理部
8:CADシステム
9:CAD設計データメモリ
10:積算仕様データメモリ
11:見積仕様データメモリ
12:積算データメモリ
13:見積データメモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに格納された建物のCAD設計データから積算データを作成し、積算データに基づいて建築費の見積データを作成する建築見積作成処理システムであって、
積算項目ごとに、定められた積算仕様にしたがってメモリのCAD設計データから関連データを拾い出し、積算データを作成する処理を行う積算処理部と、
積算データの作成処理に先立って、顧客との間でヒアリング形式により前記積算仕様の内容を確定する対話処理を行うヒアリング処理部とを備えていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部はサーバーに置かれていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記ヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部は顧客の端末に置かれていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記顧客の端末に置かれているヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、前記サーバーの積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記サーバーの積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、前記積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーはさらに、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客の端末に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項7】
請求項4に記載の建築見積作成処理システムであって、前記顧客の端末は、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記ヒアリング処理部が顧客との間の対話処理により行う積算仕様の内容確定処理は、積算項目ごとに、予めメモリに格納されている建物仕様の細部についての階層化された複数のヒアリングシートデータからなる対話画面を顧客端末からの応答入力に応じて順次切り替え呈示して行き、得られた応答データに基づいて個々の積算項目の仕様条件を決定するものであることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記積算処理部は、ヒアリング処理により確定した積算仕様に基づき、積算項目ごとのCAD設計データからの関連データの拾い出し処理を行うマクロの群を編成し、実行することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
CAD設計データから作成する積算データは建築費の積算データであることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項1】
メモリに格納された建物のCAD設計データから積算データを作成し、積算データに基づいて建築費の見積データを作成する建築見積作成処理システムであって、
積算項目ごとに、定められた積算仕様にしたがってメモリのCAD設計データから関連データを拾い出し、積算データを作成する処理を行う積算処理部と、
積算データの作成処理に先立って、顧客との間でヒアリング形式により前記積算仕様の内容を確定する対話処理を行うヒアリング処理部とを備えていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部はサーバーに置かれていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記ヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の建築見積作成処理システムであって、ネットワーク結合されたサーバーと顧客の端末上に構築され、前記ヒアリング処理部は顧客の端末に置かれていることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーは、
CAD設計データを格納するCAD設計データメモリと、
積算仕様のデータを格納する積算仕様データメモリとを備え、
前記顧客の端末に置かれているヒアリング処理部は、顧客に対するヒアリング処理の結果得られた積算仕様の条件を、前記サーバーの積算仕様データメモリに格納されている積算仕様データに反映させ、
前記サーバーの積算処理部は、CAD設計データメモリから読み出したCAD設計データについて、前記積算仕様データメモリから読み出したヒアリング結果が反映されている積算仕様データに基づいて積算データを作成することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の建築見積作成処理システムであって、前記サーバーはさらに、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客の端末に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項7】
請求項4に記載の建築見積作成処理システムであって、前記顧客の端末は、
積算データから見積データを作成する仕様を定める見積仕様データを格納する見積仕様データメモリと、
積算データメモリから読み出した積算データについて、見積仕様データメモリから読み出した見積仕様データに基づいて見積データを作成する見積処理部とを備え、
前記ヒアリング処理部は、見積書を作成する顧客に対してヒアリング処理を行う際、積算データから個々の見積データを作成するための見積条件についても対話画面により問い合わせるヒアリング処理を行い、ヒアリングの結果得られた見積条件を、見積仕様データメモリに格納されている見積仕様データに反映させることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記ヒアリング処理部が顧客との間の対話処理により行う積算仕様の内容確定処理は、積算項目ごとに、予めメモリに格納されている建物仕様の細部についての階層化された複数のヒアリングシートデータからなる対話画面を顧客端末からの応答入力に応じて順次切り替え呈示して行き、得られた応答データに基づいて個々の積算項目の仕様条件を決定するものであることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
前記積算処理部は、ヒアリング処理により確定した積算仕様に基づき、積算項目ごとのCAD設計データからの関連データの拾い出し処理を行うマクロの群を編成し、実行することを特徴とする建築見積作成処理システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の建築見積作成処理システムであって、
CAD設計データから作成する積算データは建築費の積算データであることを特徴とする建築見積作成処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−65806(P2007−65806A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248508(P2005−248508)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】
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