説明

建築部材の製造方法

【課題】竹や天然繊維の細胞内腔が圧縮され密度が高められ、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造でき、また圧縮成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れ、またバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れ、さらに耐腐朽性を向上させる建築部材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材等の建築部材の製造方法であって、金型のキャビティ内に竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を収容し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、成形体を形成する成形体形成工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築の省力化、合理化等を目的として梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱、柱と柱等の構造部材の接合を目的として構造部材間に埋設して用いられる接合具、コンクリート等の躯体の補強を目的として躯体内に埋設して用いられる竹筋等の建築部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建築の省力化、合理化等を目的として梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱、柱と柱等の構造部材の接合を目的として、接合部材間に埋設して用いる接合具が開発されている。このような接合具は、例えば特開平5−331919号公報に記載されたものが知られている。しかし、金属製や合成樹脂製等で形成されており硬いため、建物の解体時に鋸やチェンソーで切断するのが困難で、また分別が必要なため部材のリユースやリサイクルが困難であるという問題を有していた。
近年、竹で形成された棒状部材と、棒状部材の長手方向に形成され棒状部材の両端部で開口する接着剤流入用の中空部と、を備えた接合具が開発されている。この接合具は、構造部材の当接面に穿孔された一対の連通孔に挿着され、接着剤注入用の中空部に接着剤を注入して連通孔と棒状部材の間に溢れ出させて充填し、連通孔内の接着剤を硬化させて構造部材間を接合するものである。竹は剛性が大きく反発力が高く、強靭かつ低伸縮性で割裂性に優れた特性を有しているため、機械的特性の優れた接合具が製造でき、さらに建物の解体時に鋸やチェンソーで容易に切断でき、また分別が不要で部材のリユースやリサイクルが容易という特徴を有している。
また、従来、鋼材の節約を目的として、鉄筋コンクリートの鉄筋の代わりに竹材を用い補強した竹筋コンクリートが研究されていた。
【0003】
しかし、竹製の接合具や竹筋等の構造部材内に埋設して用いられる建築部材は、金属製の接合具や鉄筋と比較して、曲げ強さ等の機械的強度が著しく低いという問題があった。また、竹は外皮側に近い部分の繊維の密度が高く繊維の粗密のばらつきがあるので、竹製の接合具や竹筋は、機械的強度のばらつきが生じ易いという問題があった。
これらの問題を解決するための従来の技術としては、(特許文献1)に「竹材を周方向に複数に分割した長尺の分割竹材に煮沸等の柔軟処理を施した後、圧搾して極細竹材を形成し、極細竹材に樹脂を加えて加圧し棒状に成形する竹を原材料とした加圧成形方法」が開示されている。
(特許文献2)に「裁断した単板を接着剤を介在して所定枚数積層して単板積層構体を構成し、この単板積層構体を高温高圧容器内で高温高圧スチームの雰囲気中に置いて高温高圧スチームにより加熱軟化した後、この状態で、単板積層構体に機械的な圧縮力を加えて当該単板積層構体の各単板を断面積比で1/2〜1/3程度に圧縮成形し、この後、単板積層構体の圧縮成形による変形を高温高圧スチームの雰囲気中で固定化する強化積層木材の製造方法」が開示されている。
【特許文献1】特開平7−285105号公報
【特許文献2】特開平5−77203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、極細竹材に樹脂を加えて加圧成形する際に加熱していないので竹材組織を軟化させ難いため、圧縮率が小さく繊維の密度を高めることができず、得られた成形体の機械的強度が低く、またばらつきも大きいという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、単板積層構体を高温高圧容器内で高温高圧スチームの雰囲気中に置いて加熱軟化し高温高圧容器内で圧縮成形するので、単板積層構体の各単板の内部に形成されている内腔部分が小さくなって機械的強度が高く硬い木質が得られるが、高温高圧容器が必要なので装置が大型化し莫大な設備投資が必要となり、また装置の操作が複雑化し、さらに高温高圧容器内の温度や圧力、圧縮成形する金型の温度等の品質管理に必要な条件数が多く煩雑であり、品質管理が困難になるという課題を有していた。
(3)単板積層構体を高温高圧容器内で高温高圧スチームにより加熱軟化した後、圧縮成形し、次いで圧縮させた単板積層構体の形状の固定化を行うので、高温高圧容器内のバッチ毎の処理時間が長く量産性に欠けるという課題を有していた。また、単板積層構体の中心部に蒸気が浸透し難く、単板積層構体の外周部と中心部で圧密度に差が生じ製品の斑が生じ易いという課題を有していた。
(4)一回のバッチ処理が終了したら、高温高圧容器を脱気して高温高圧スチームを抜き、高温高圧容器を開けて圧縮成形された単板積層構体を取り出し、次に新しい単板積層構体を高温高圧容器内に入れた後、温度が低下した高温高圧容器内を再び高温高圧スチームで満たさなければならないので、高温加圧容器の加熱・冷却に時間を要し量産性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造でき、また成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れ、またバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れ、さらに耐腐朽性を向上させる建築部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明の建築部材の製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の建築部材の製造方法は、横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材等の建築部材の製造方法であって、金型のキャビティ内に竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を収容し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、成形体を形成する成形体形成工程を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)金型のキャビティ内で竹片や天然繊維を接着剤と共に加熱し加圧するので、竹片や接着剤等が有する水分が蒸発して水蒸気がキャビティ内に充満し、加熱された水蒸気によって竹片等の組織が軟化される。さらに細胞内腔が圧縮され密度が高められ、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造できる。
(2)金型のキャビティで成形するため、大型の高温高圧容器が不要で、市販のプレス機で製造できるので設備投資を少なくでき、また成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れる。
(3)竹片や天然繊維が成形されるのが容積の小さなキャビティ内なので、一回のバッチ処理が終了した後、わずかな時間でキャビティ内を所定の成形雰囲気にすることができバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れる。
(4)竹材の表皮(外皮及び内皮)を除去した竹片を用いているので、竹片間の接着接合性が高く機械的強度の大きな圧密化された成形体を得ることができる。竹材の表皮が付いたままでは、圧縮した際に表皮が割れて亀裂が入ったり、表皮の接着面で層状に剥離したりすることがあり、機械的強度が低くなり信頼性に欠けるからである。
(5)密閉されたキャビティ内で竹片や天然繊維が高温高圧の水蒸気で満たされると、竹片や天然繊維に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され建築部材の耐腐朽性を向上させる。
【0007】
ここで、建築部材としては、断面形状が略円形、略楕円形、又は略三角形,略四角形,略六角形等の略多角形等に形成された棒状部材、管状体、板状体等が用いられる。これらの建築部材は、棒状部材の両端部で開口する接着剤流入用の中空部を備えた構造部材間を接合する接合具、コンクリート補強用部材、フェンス等の柱材、建材等に用いることができる。なかでも、接合具やコンクリート補強用部材(竹筋)に好適に用いられる。本発明の建築部材は引張強度が高いため、高い引張強度を必要とする接合具やコンクリート補強用部材の要求特性を満たすからである。
【0008】
竹材としては、マダケ,ハチク,モウソウチク,クロチク,メダケ等の竹や、ネザサ,スズダケ,ヤダケ,クマザサ等の笹が用いられる。
竹片としては、円筒状の竹材を、目的とする建築部材の棒状部材の長さよりやや短めに切断し、さらに縦方向に8〜16程度に分割したものの表皮を除去したものが用いられる。さらに短く切断したものや、さらに細く分割した籤状のものも用いることができる。一つの竹片の長さが建築部材の棒状部材の長さよりも短い場合は、キャビティ内に竹片を収容する際に、交互にずらしながら積層して長尺の成形体を製造することができる。
竹材は、節を避けて用いてもよいし、節を抜いて節の突起を削ったものを用いることもできる。節の突起を削った竹材から製造された長尺の竹片を用いることで、長尺の成形体を製造することもできる。
【0009】
天然繊維としては、竹、ケナフ、亜麻,マニラ麻,チョマ,ジュート等の麻、サトウキビ、トウモロコシ、バナナ、綿等の植物系原料から取り出された繊維が用いられる。なかでも、竹繊維が好適に用いられる。機械的強度が高いからである。植物系原料から繊維を取り出す方法は、特に限定する必要はない。例えば、ケナフ,麻,サトウキビ,トウモロコシ,バナナ等では、茎部(靭皮部)を池や沼等に浸漬して繊維質以外の部分(主にペクチン質)をバクテリアに分解させた後、残った繊維を取り出す方法が挙げられる。竹の場合は、竹片をローラ、プレス等の任意の加圧手段等を用いて繊維状にする方法、高温高圧状態の竹材を急激に常圧の状態等にして爆砕して繊維状にする方法が挙げられる。綿の場合は、緬実として採取する方法が挙げられる。また、植物系原料のパルプ、植物系原料を用いたセルロースレーヨン繊維糸,セルロース繊維糸等の繊維糸も用いることができる。これらの天然繊維は編組又は撚り合わせ若しくはスライバ状にしたものを用いるのが好ましい。非連続繊維を連続化させることができ、建築部材の機械的強度を高めることができるとともに取扱性に優れるからである。
竹片や天然繊維をキャビティ内に収容するときは、竹片や天然繊維の繊維方向を、目的とする建築部材の棒状部材の長手方向と略一致させるようにする。棒状部材の曲げ強さ等の機械的強度を高めるためである。
【0010】
竹片や天然繊維は、切り出して間もない竹材等から製造した場合は水分を多く含んでいるため、キャビティに収容して型締めして高温下で密閉すると、竹片や天然繊維に含まれる水分が蒸発してキャビティ内の竹片や天然繊維が高温高圧の水蒸気で満たされるので、竹片や天然繊維にキャビティ形成面の熱が良く伝わり竹片や天然繊維が軟化され易く容易に圧縮成形される。
なお、乾燥させた竹材や天然繊維を用いる等の場合は、キャビティ内に収容する前に竹片や天然繊維を水に浸漬したり、天然繊維に水を噴霧したりして適度な水分を補っておくのが好ましい。竹片等の軟化を促進させ圧縮成形によって亀裂が生じるのを防止するためである。また、キャビティ内に竹片や天然繊維を収容する際に、少量の水を一緒にキャビティ内に入れたり、金型にキャビティに連通する孔部を形成し、この孔部を利用して金型の外部から水蒸気をキャビティ内に供給したりすることもできる。
なお、竹片や天然繊維は金型に収容する前に予熱しておくこともできる。これにより、金型内での竹片や天然繊維の加熱時間を短縮させることができ、生産性を高めることができるため好ましい。
【0011】
竹材の表皮(外皮及び内皮)は、サンダ等を用いて研削したりブラスト処理等によって除去したりすることができる。竹材を分割した後にこれらの表皮の処理を行うこともできるし、丸竹の状態で行うこともできる。表皮を除去することにより、竹片間の接着接合性が高く機械的強度の大きな成形体を得ることができる。
【0012】
接着剤としては、イソシアネート系接着剤、フェノール系接着剤、タンニン、リグノフェノール、ポリ乳酸樹脂等を用いることができる。イソシアネート系接着剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであればよく、例えばTDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)等が挙げられる。これらの接着剤は、刷毛塗り等の塗布、噴霧、どぶ漬け等の任意の方法によって竹片等に付着することができる。
【0013】
キャビティとしては、建築部材の棒状部材の外形と略同一かそれよりも大きく形成されたものが用いられる。キャビティを建築部材の棒状部材の外形よりも大きく形成した場合は、圧縮成形した成形体を金型から取り出した後、目的とする棒状部材の外形に合わせて切削加工する。
なお、キャビティ形成面に凹凸が形成された金型を用いることによって、接着剤を注入して用いる接合具やコンクリート補強用の竹筋として製造された建築部材の表面に凹凸を形成することができ、接着剤やコンクリートの付着性が向上するため好適に用いられる。
なお、建築部材は、クレオソート油等の油状防腐剤、トリブロモフェノール,3−ヨード−プロビニルブチルカルボナート,ナフテン酸銅等の油溶性防腐剤、CCA防腐剤等の水溶性防腐剤,乳化性防腐剤等による防腐処理;8ホウ酸ナトリウム4水和物等のホウ素化合物,カルバリル,プロポクスル等のカーバメート系化合物、パーメスリン,サイパメスリン等のピレスロイド系化合物、クロルピリホス等の有機リン系化合物等による防虫処理; ベンゾトリアゾール系,ベンゾフェノン系,サリシレート系,シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤等による光安定化処理を施すのが好ましい。建築部材は、コンクリート補強用の竹筋として用いる場合等、屋外に放置されることもあるからである。
【0014】
竹片や天然繊維を収容した金型を型締めしたときの高温のキャビティ内の温度としては、100〜180℃好ましくは130〜150℃が用いられる。温度が130℃より低くなるにつれ、水分の蒸発量が少なくキャビティ内の水蒸気圧が高まり難く竹片や天然繊維が軟化するまでに長時間を要し生産性が低下し、また蒸気の浸透に斑が生じ成形体に強度斑やワレが生じ易くなる傾向がみられ、150℃より高くなるにつれ、竹片に割れが生じたりセルロース等の分解が起こり褐色化や焦げ付いたりして機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、100℃より低くなるか180℃より高くなると、これらの傾向が著しくなるためいずれも好ましくない。
なお、金型の加熱は、ヒータ等で加熱する他、高周波誘導加熱,電磁誘導加熱等によって金型に渦電流を発生させてジュール熱によって加熱することもできる。
【0015】
金型を加熱し型締めすることにより竹片等の温度が上昇するとともに水蒸気が竹片等に浸透し軟化される。軟化した竹片等を断面積比で1/2〜1/3程度になるまでキャビティ内で圧縮成形し、同時に接着剤を熱硬化させ竹片等を接着する。この状態で1〜60分程度保持することにより成形体の形状が固定化される。竹片等を断面積比で1/2〜1/3程度になるまで圧縮成形するのは、密度を高めるためである。
なお、竹片等を成形する圧縮成形の圧力としては、キャビティの温度にもよるが、1〜15MPa好ましくは5〜10MPaが好適に用いられる。圧力が5MPaより小さくなるにつれ圧縮量が小さく高密度の成形体を製造し難くなる傾向がみられ、10MPaより大きくなるにつれ繊維同士が圧迫されて切断され機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、1MPaより小さくなるか15MPaより高くなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
【0016】
また、圧縮成形した際のキャビティ内の蒸気圧が120〜2500kPaになるように、キャビティに空気抜き孔や隙間を設ける、キャビティに形成された空気抜き孔に安全弁を接続する等の手段を用いて金型を設計するのが好ましい。キャビティが複数形成されている場合は、キャビティを配管等で連結し、連結した配管等に安全弁を配設することができる。
なお、キャビティ内の蒸気圧が120kPaより低くなるにつれ竹片や天然繊維に水蒸気が浸透し難く竹片や天然繊維が軟化し難くなる傾向がみられ、2500kPaより高くても竹片や天然繊維が軟化するまでの時間に変化はなく、キャビティ内を密閉するための構造等が複雑になる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、金型が加圧成形装置から着脱自在に形成されていると、圧縮成形した後は金型を加圧成形装置から取り外して冷却し、これとは別の金型を加圧成形装置に取付けて圧縮成形を行うことができるので、冷却時の加圧成形装置の占有時間を短縮して加圧成形装置の成形サイクルを短縮でき生産性に優れる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の建築部材の製造方法は、横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の中心部に長手方向と平行に全体に渡って又は両端若しくは一端で開口する中空部と、を備えた建築部材の製造方法であって、前記建築部材の前記中空部を長手方向に沿って半割にした溝部を形成する突条部がキャビティ形成面に形成された金型のキャビティ内に、竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を収容し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、前記溝部が形成された半割成形体を形成する半割成形体形成工程と、前記金型内から前記半割成形体を取り出した後、2つの前記半割成形体の前記溝部同士をあわせて接着する接着工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)金型のキャビティ内で竹片や天然繊維を接着剤と共に加熱し加圧するので、竹片や天然繊維、接着剤が有する水分が蒸発して水蒸気がキャビティ内に充満し、加熱された水蒸気によって竹片や天然繊維の組織が軟化される。さらに細胞内腔が圧縮され密度が高められ、キャビティ形成面に形成された突条部によって溝部が形成された半割成形体を形成できる。2つの半割成形体の溝部同士をあわせて接着することで、中空部が形成された硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造できる。
【0018】
ここで、建築部材、竹材、竹片、天然繊維、接着剤、金型内の温度、成形時の圧力、圧縮形成した際のキャビティ内の蒸気圧としては、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0019】
キャビティ形成面としては、一面を平面に、他面を建築部材の棒状部材の外周面の形状と対応する凹面状に形成することができる。また、建築部材の棒状部材の外周面よりも大きな面に形成し、成形した半割成形体を金型から取り出した後、半割成形体の外周面を切削加工することもできる。
突条部としては、建築部材の中空部を長手方向に沿って半割にした溝部の形状に対応して、キャビティの長手方向と平行に全体に渡って、又はキャビティの両端若しくは一端と連成して突条に形成されたものが用いられる。
【0020】
接着工程において半割成形体を接着する接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、ビニルウレタン、ポリウレタン、シアノアクリレート、タンニン、リグフェノール等を用いることができる。
【0021】
本発明の請求項3に記載の建築部材の製造方法は、横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の両端部で開口する中空部と、を備えた建築部材の製造方法であって、竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を金型内に収容するとともに、前記建築部材の前記中空部を形成する心材を前記竹片及び/又は前記天然繊維の略中心に配置し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、前記中空部が形成された中空成形体を形成する中空成形体形成工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)キャビティ内に心材を収容し竹片等とともに成形するので、中空部を備えた建築部材を一度の成形操作で製造でき生産性に優れる。
【0022】
ここで、建築部材、中空部、竹材、竹片、天然繊維、接着剤、キャビティ内の温度、キャビティ内の圧力、成形時の圧力は、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0023】
心材としては、目的とする建築部材の中空部の内周面の形状に対応させた中実の棒状、中空の管状等に形成されたものが用いられる。
棒状部材が直線状の場合は直線状の心材が用いられる。棒状部材が曲率の小さな曲線状の場合は曲線状の心材が用いられるが、曲率の大きな曲線状や折曲状の棒状部材の場合は、棒状部材の折曲部や曲線部で着脱可能に接続された心材が用いられる。これにより、成形後に心材を分解して中空部から抜き出すことができる。
【0024】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の建築部材の製造方法であって、前記金型が、成形時に前記心材の両端を押し下げる心材押え部を有する可動側金型と、前記キャビティの両端部と連通し前記可動側金型の可動方向と同方向に長孔状に形成され前記心材の両端が挿通される案内溝を有する固定側金型と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)固定側金型がキャビティの両端部と連通した案内溝を備え、可動側金型が成形時に心材の両端を押し下げる心材押え部を備えているので、可動側金型が可動するにつれて心材が押し下げられるため、密度が略均一で曲げ強さ等の機械的強度の高い中空成形体を製造することができる。
【0025】
ここで、案内溝としては、溝幅が心材の外径と略同一かわずかに大きく形成されたものが用いられる。案内溝と心材との隙間から、キャビティの外に水蒸気や接着剤等が漏れ出さないようにするためである。また、隙間がなくなるようにシール材を配設することができる。
【0026】
心材押え部としては、圧縮された成形体の中空部に相当する位置まで、心材を押し下げるものが用いられる。
【0027】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の建築部材の製造方法であって、前記心材が、水蒸気,冷却用流体の1種以上が通過する孔部が周壁に形成された中空管で形成された構成を有している。
この構成により、請求項3又は4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)周壁に孔部が形成された中空管で心材が形成されているので、成形前に高温高圧の水蒸気を心材から金型内に注入することで、竹片を短時間で軟化させることができ生産性に優れる。また、中空成形体を形成した後は、冷風や冷水等の冷却用流体を心材から注入することで、中空成形体の内部から冷却でき冷却時間を短縮できるとともに、心材を冷却して収縮させ中空成形体から心材を抜き易くすることができ生産性に優れる。
【0028】
ここで、心材には切換弁が配設された配管を接続して、水蒸気と冷却用流体のいずれを心材に流すかを選択できるようにしておくのが好ましい。
【0029】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法であって、前記竹片及び/又は前記天然繊維を合成樹脂,無機繊維の内の1種以上で形成された織布,編布,不織布,シートのいずれか1種以上と前記接着剤とともに前記心材に巻回する、又は、前記竹材を原料とする繊維糸と前記接着剤を前記心材に巻回する構成を有している。
この構成により、請求項3乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)竹材や天然繊維は繊維が強靭なため高圧力で成形すると繊維同士が圧迫し合い繊維を断ち切ってしまい機械的強度が低下することがあるが、合成樹脂や無機繊維等で形成された織布,編布,不織布,シートとともに巻回されている、又は、竹材を原料とする繊維糸等として巻回されているため、合成樹脂や無機繊維等が竹繊維や天然繊維間を緩衝し繊維が断ち切られるのを防止して、機械的強度が低下するのを防止できる。
【0030】
ここで、合成樹脂としては、ポリエチレン,ポリスチレン,ポリアミド,ポリカーボネート等で形成された繊維状のもの、布状のもの、シート状のものを用いることができる。融点が金型の温度と略同じか低いポリエチレン,ポリスチレン等の合成樹脂は、成形時に溶融して竹の繊維間や天然繊維間を緩衝し繊維が断ち切られるのを防止し、機械的強度が低下するのを防止できる。融点が金型の温度より高いポリアミド等の合成樹脂は、竹の繊維等が断裂されるのを防止するととともに、補強して機械的強度が低下するのを防止できる。
無機繊維としては、ガラス繊維,炭素繊維等が用いられる。
これらを織布,編布,不織布にしたものや、シートにしたものに竹片や天然繊維の繊維方向を揃えて配列し、イソシアネート系接着剤等の接着剤で接着し、1枚乃至複数枚のシート等を心材の回りに巻回する。紐のように細くした織布等を心材の回りに厚さを変えて巻回することによって、目的とする棒状部材の表面に凹凸を形成することもできる。
なお、竹片としては、径の細い籤状に形成したものを用いるのが好ましい。心材と平行方向に巻き付けるためである。
【0031】
竹材を原料とする繊維糸としては、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、アセテート、トリアセテート、精製セルロースから選ばれる少なくとも1種の繊維で形成されたセルロースレーヨン繊維糸、セルロース繊維糸等が用いられる。この繊維糸を、フィラメントワインディング法のように、イソシアネート系接着剤等の接着剤で接着しながら心材の回りに螺旋状等に巻回する。
【0032】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法であって、成形体形成工程、半割成形体形成工程、中空成形体形成工程のいずれかの後、前記金型の圧縮状態を維持する圧縮維持工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)圧縮維持工程を備えているので、成形装置から金型を脱着して金型だけを冷却している間に、成形装置に新しい金型を装着して次の成形操作を行うことができるため、成形装置の稼働率を上げて生産性を高めることができるとともに省エネルギー性に優れる。
【0033】
ここで、金型としては、圧縮した状態で可動側金型と固定側金型との間をボルト・ナットやターンバックル等で螺着し固定化するもの、ラチェット等で係合させ固定化する等の圧縮維持手段を備えたものが用いられる。
成形装置から脱着された金型は、冷却等した後に脱型する。
【0034】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法であって、前記竹材の前記表皮が、ブラスト処理によって除去されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)竹材の表皮がブラスト処理によって除去されているので、サンダ等を用いて研削除去するのと比較して短時間で斑なく処理することができ生産性に優れる。
(2)ブラスト材の種類や処理時間を調整することによって、表皮だけを極薄く除去することができ、機械的強度の高い外皮近くの繊維を残して高い機械的強度が得られる。
【0035】
ここで、ブラスト処理は、竹材を分割した後に行うことができる。また、節を除いて切断した丸竹の外面と内面にブラスト処理することによって、竹材を分割する前に丸竹のままの状態でブラスト処理を行うこともできる。竹材の表皮(外皮及び内皮)を除去することにより、圧縮した際に表皮が割れて亀裂が入ったり接着面で層状に剥離したりするのを防止し、接着接合性を高め機械的強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明の建築部材の製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)成形体形成工程を備えているので、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造できる建築部材の製造方法を提供することができる。
(2)大型の高温高圧容器が不要で設備投資を少なくでき、また成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
(3)一回のバッチ処理が終了した後、わずかな時間でキャビティ内を高温の水蒸気雰囲気にすることができバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
(4)竹材の表皮を除去した竹片を用いているので、竹片の接着接合性が高く機械的強度の大きな成形体が得られる建築部材の製造方法を提供することができる。
(5)密閉されたキャビティ内で竹片や天然繊維が高温の水蒸気で処理されるので、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され建築部材の耐腐朽性を向上させる建築部材の製造方法を提供することができる。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)2つの半割成形体の溝部同士をあわせて接着することで、中空部が形成された硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造できる。
【0038】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)中空部を備えた建築部材を一度の成形操作で製造でき生産性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
【0039】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)密度が略均一で曲げ強さ等の機械的強度の高い中空成形体を製造できる建築部材の製造方法を提供することができる。
【0040】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4の効果に加え、
(1)圧縮成形前に高温高圧の水蒸気を心材から金型内に注入することで、竹片や竹繊維を短時間で軟化させることができ、また中空成形体を形成した後は、冷風や冷水等の冷却用流体を心材から注入することで、中空成形体の内部から冷却でき冷却時間を短縮できるとともに、成形された中空成形体から心材を抜き易くすることができ生産性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
【0041】
請求項6に記載の発明によれば、請求項3乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)合成樹脂,無機繊維等が竹の繊維間や天然繊維を緩衝し竹の繊維等が断ち切られるのを防止したり補強したりして、機械的強度が低下するのを防止できる建築部材の製造方法を提供することができる。
【0042】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1の効果に加え、
(1)成形装置から金型を脱着して金型だけを冷却している間に、成形装置に新しい金型を装着して次の成形操作を行うことができるため、成形装置の稼働率を上げて生産性を高めることができるとともに省エネルギー性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
【0043】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1の効果に加え、
(1)竹材の表皮がブラスト処理によって除去されているので、サンダ等を用いて研削除去するのと比較して短時間で斑なく処理することができ生産性に優れた建築部材の製造方法を提供することができる。
(2)ブラスト材の種類や処理時間を調整することによって、表皮だけを極薄く除去することができ、高い機械的強度が得られる建築部材の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における建築部材の製造方法を示す模式図であり、(a),(b)は半割成形体形成工程を示す模式図であり、(c),(d)は接着工程を示す側面図であり、(e)は製造された建築部材の斜視図であり、図2(a)は製造された建築部材の応用例の一つである接合具の斜視図であり、図2(b),(c),(d)は製造された建築部材の竹筋としての接合方法を示す断面図である。
図1において、1は加熱装置を備えた図示しない成形装置によって上下方向から加圧される金型であり、成形装置と着脱自在に形成されている。2は金型1の固定側金型、3は固定側金型2の上面を窪ませて形成された横断面が略矩形状の固定側キャビティ形成面、4は固定側キャビティ形成面3の底面に突設された横断面が略半円状の突条部、5は固定側金型2の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、6は固定側金型2の上面の固定側キャビティ形成面3の周囲に配設されたOリング等のシール部材、7は可動側金型、8は可動側金型7の下面に形成され固定側キャビティ形成面3に嵌挿され横断面が略矩形状に形成された加圧コア、8aは加圧コア8の下面に形成された平面状の可動側キャビティ形成面、9は可動側金型7の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、10は固定側金型2と可動側金型7とを型締めした際に該キャビティ形成面3,8aの間に形成されるキャビティであり、目的とする建築部材の棒状部材と略同一の長さと幅に形成されている。11はキャビティ10内に敷設された蒸気は通過するが液滴は通過させない両面シリコン樹脂加工耐油紙等の離型シートやシリコン樹脂等を該キャビティ形成面3,8aに噴霧して膜状に形成した離型層、12はキャビティ10の長手方向と繊維の方向を一致させてキャビティ10内に積み重ねられ収容された複数の竹片である。
図1(b)において、13は竹片12が圧縮成形され横断面が略矩形の棒状に圧密化された半割成形体、図1(c)において、14は突条部4によって半割成形体13の一面に長手方向に渡って溝状に形成された溝部、図1(d)において、15は溝部14,14同士をあわせて半割成形体13,13を接着して形成された角柱状の棒状部材13aの中空部、図1(e)において、16は両端部で開口する中空部15が長手方向に形成された建築部材の棒状部材である。
【0045】
図2(a)において、17は棒状部材16の両端部に形成され中空部15と連通した接着剤案内溝、17aは棒状部材16の長手方向の略中間に穿設され中空部15と連通した螺子部を有する螺着孔、17bは一端が螺着孔17aに螺着され接着剤が注入される枝管、17cは枝管17bの両端で開口する接着剤注入用の中空部である。
図2(b)において、18,18は横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された建築部材の中空状の棒状部材、18a,18aは棒状部材18,18の芯部に長手方向と平行に形成された中空部、18bは木製,竹製,合成樹脂製,金属製等で形成され中空部18a,18aに嵌挿若しくは螺挿された棒状の接続部材である。
図2(c)において、18cは棒状部材18,18の端部が嵌挿若しくは螺挿された筒状の接続部材である。
図2(d)において、19,19は横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された建築部材の一つである中実の棒状部材、19aは棒状部材19,19の端部が嵌挿若しくは螺挿された筒状の接続部材である。
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態1における建築部材の製造方法について説明する。
始めに、丸竹の節を避けて円筒状の竹材をキャビティ10の長さと略同一の長さに切断し、さらにキャビティ10の幅と略同一の幅にするため縦方向に1/8〜1/16程度に分割した竹片12を製造する。次に、竹片12の表皮(外皮及び内皮)をブラスト処理によって除去する。この竹片12の内部に水が浸透するまで、竹片12を水に浸漬する。
水中から取り出した竹片12の表面に満遍なくイソシアネート系接着剤等の接着剤を塗布した後、図1(a)に示すように、半割成形体形成工程において、固定側金型2のキャビティ形成面3に離型シート等を用いて離型層11を形成した後、離型層11の上に所定の厚さになるまで竹片12を順に積み重ねていく。
次に、固定側金型2と可動側金型7を図示しない成形装置に配設した後、冷却用管5,9に冷却水等を流す図示しない配管を接続する。固定側金型2の固定側キャビティ形成面3内を可動側金型7の加圧コア8で閉じ、離型層11で竹片12を包み込むようにして型締めし、可動側キャビティ形成面8aを竹片12の上面に当接させた後、固定側金型2と可動側金型7の該キャビティ形成面3,8aを、カートリッジヒータ等を用いて100〜180℃好ましくは130〜180℃に加熱する。これにより、竹片12に含まれる水分が蒸発してキャビティ10内の竹片12が高温の水蒸気で満たされるので、竹片12に該キャビティ形成面3,8aの熱が良く伝わり竹片12が軟化される。この状態を1〜10分間保持する。
【0047】
次に、可動側金型7を下降させると、キャビティ10内の空気が加圧コア8とキャビティ形成面3との隙間から抜けていくので、竹片12に1〜15MPa好ましくは5〜10MPaの圧力を加えて、竹片12を断面積比で1/2〜1/3程度になるように圧縮成形し、この状態で1〜60分程度保持する。キャビティ10内に発生した高温高圧の水蒸気によって接着剤が熱硬化され、竹片12同士が接着されて形状が固定化され半割圧密材13が製造される。さらに、図1(b)に示すように、シール部材6が可動側金型7に当接するまで可動側金型7を下降させると、シール部材6で密閉され気密なキャビティ10内で竹片12が高温高圧の水蒸気で満たされるため、竹片12に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され建築部材の耐腐朽性を向上させる。(以上、半割成形体形成工程)。
半割成形体13の形状を固定化後、冷却用管5,9に冷却水等の冷却用流体を流し固定側金型2及び可動側金型7を冷却する。半割成形体13が固定側金型2から取り出せる程度の低温になったら、離型層11とともに半割成形体13を取り出す。
半割成形体13が複数個製造されたら、次に接着工程において、図1(c)に示すように、溝部14,14同士をあわせてポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の接着剤を用いて、半割成形体13,13を圧締接着して中空部15を形成する(図1(d)参照)。半割成形体13,13の接着後、外周面を旋盤等で切削して、図1(e)に示すような横断面が略円形に形成された建築部材の棒状部材16を製造する。
【0048】
棒状部材16は、図2(a)に示すように、棒状部材16の両端部に接着剤案内溝17、中間部に螺着孔17aを形成し、使用時に螺着孔17aに枝管17bを螺着する。この棒状部材16を、構造部材の当接面に穿孔された一対の連通孔に挿着し、枝管17bの中空部17cから中空部15に接着剤を注入し接着剤案内溝17から接着剤を流出させ、連通孔と棒状部材16の間に接着剤を充填し、連通孔内の接着剤を硬化させて構造部材間を接合する接合具として用いることができる。
また、中空状の棒状部材18をコンクリート等に埋設して躯体を補強する竹筋として用いる場合は、図2(b),(c)に示すように、棒状部材18,18の端部同士を突き合わせ、中空部18a,18aに棒状の接続部材18bを嵌挿して、複数本を接続して長尺の竹筋を得ることができる。また中空部18a,18aに螺子部を形成すれば、接続部材18bを螺子状に形成し、接続部材18bを螺挿して、複数本を接続することができる。さらに図2(c)に示すように、筒状の接続部材18cを用いて接続することもできる。
【0049】
本実施の形態においては、突条部4が形成された平面状のキャビティ形成面3を有する金型1を用いた場合について説明したが、キャビティ形成面3に突条部4のない金型を用いることで、竹片を圧縮して棒状や板状の中実の成形体を製造することができる(成形体形成工程)。これにより、コンクリート等の躯体の補強を目的として躯体内に埋設して用いられる竹筋等の中実の建築部材を製造することができる。
中実の棒状部材19をコンクリート等に埋設して躯体を補強する竹筋として用いる場合は、図2(d)に示すように、筒状の接続部材19aを用いて複数の棒状部材19,19を接続し長尺化することができる。
なお、節の突起を削った竹材から製造された長尺の竹片を用いることで、長尺の連続した成形体を製造することができるため、この場合は接続部材18b,18c,19cを用いなくてもよい。
また、棒状部材16,18,19の外周面に、螺子溝等のような凹凸を形成することもできる。また、適当な間隔をあけて鍔部を形成することもできる。これにより、接着剤やコンクリートの付着性を向上させることができる。
【0050】
以上のような本発明の実施の形態1における建築部材の製造方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)金型1のキャビティ10内で水に浸漬した竹片12を接着剤と共に加熱し加圧するので、竹片12の水分が蒸発して水蒸気がキャビティ10内に充満し、加熱された水蒸気によって竹片12の組織が軟化される。さらに圧縮成形することで竹の細胞内腔が圧縮され密度が高められ、キャビティ形成面3に形成された突条部4によって溝部14が形成された半割成形体13を形成できる。2つの半割成形体13の溝部14同士をあわせて接着することで、中空部15が形成された硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材の棒状部材16を製造できる。
(2)金型1を加熱してキャビティ10内で圧縮成形するので、大型の高温高圧容器が不要で設備投資を少なくでき、また圧縮成形する金型1のキャビティ形成面3,8aの温度等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れる。
(3)竹片12が高温の水蒸気によって加熱軟化され圧縮成形されるのが容積の小さなキャビティ10内なので、一回のバッチ処理が終了した後、わずかな時間でキャビティ10内を高温の水蒸気雰囲気にすることができバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れる。
(4)竹材の表皮を除去した竹片12を用いているので、竹片12の接着接合性が高く、機械的強度の大きな半割成形体13を得ることができる。また、竹材の表皮がブラスト処理によって除去されているので、サンダ等を用いて研削除去するのと比較して短時間で斑なく処理することができ生産性に優れる。
(5)シール部材6で密閉されたキャビティ10内で竹片12が高温高圧の水蒸気で満たされると、竹片12に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され建築部材の耐腐朽性を向上させる。
(6)固定側金型2及び可動側金型7に冷却用管5,9が配設されているので、半割成形体形成工程において竹片12を圧縮成形した後は、冷却水等の冷却用流体を流し固定側金型2及び可動側金型7を短時間で冷却することができ、固定側金型2から半割成形体13を取り出すまでの時間を短縮でき生産性に優れる。
【0051】
なお、本実施の形態1においては、金型1にキャビティ10が一つ形成された場合について説明したが、金型1の幅を広くしてキャビティ10を複数並設させたり、多段に形成したりする場合もある。この場合は、一回の操作によって複数の半割成形体13を製造できるため、さらに生産性に優れる。
また、本実施の形態においては、金型1をカートリッジヒータ等で加熱する場合について説明したが、高周波誘導加熱や電磁誘導加熱等の誘導加熱によって金型1に渦電流を発生させジュール熱を発生させて加熱する場合もある。これにより、所望する温度に短時間で到達できるとともに、温度コントロールが容易で加熱温度を精度よくコントロールできるという作用が得られる。
また、本実施の形態においては、竹片12を圧縮成形した場合について説明したが、高温高圧状態の竹材を急激に常圧の状態にする爆砕処理等によって製造された竹繊維等の天然繊維を成形する場合もある。この場合は、天然繊維と、ポリ酢酸ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,イソシアネート接着剤等の接着剤をキャビティ10内に収容するか、接着剤を含浸させた天然繊維をキャビティ10内に収容し、固定側金型2と可動側金型7の固定側キャビティ形成面3及び可動側キャビティ形成面8aを100〜180℃好ましくは130〜150℃にして、1〜10MPaの圧力を1〜60分間加えて成形する。これにより、天然繊維内に接着剤が浸透して硬化され、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造できる。
また、本実施の形態においては、固定側金型2の上面のキャビティ形成面3の周囲にOリング等のシール部材6が配設された場合について説明したが、シール部材6は必ずしも設ける必要はない。木材とは異なり竹片12は材軸方向のみの繊維からなるので、キャビティ10内を密閉しなくても、高温下で加圧して所定の時間保持することで圧縮成形された竹片12の形状を固定化できるからである。
【0052】
(実施の形態2)
図3は実施の形態2における建築部材の製造方法を示す模式図であり、(a),(b)は半割成形体形成工程を示す模式図であり、(c)は接着工程を示す側面図であり、(d)は製造された建築部材の側面図であり、(e)は表面に凹凸が形成された建築部材の斜視図であり、(f),(g)は表面に鍔部が形成された建築部材の斜視図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、20は加熱装置を備えた図示しない成形装置によって上下方向から加圧される金型であり、成形装置と着脱自在に形成されている。21は可動側金型7の下面に形成されキャビティ形成面3に嵌挿される凹面状のキャビティ形成面、図3(b)において、22は竹片12が圧縮成形され横断面が略半円形の棒状に圧密化された半割成形体、図3(c)において、23は突条部4によって半割成形体22の一面に長手方向に渡って溝状に形成された溝部、図3(d)において、24は溝部23,23同士をあわせてポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の接着剤を用いて、半割圧密材22,22を接着して形成された中空部、25は両端部で開口する中空部24が長手方向に形成された建築部材の棒状部材である。
図3(e)において、26は外表面に凹凸が形成された建築部材の棒状部材、図3(f)において、27は建築部材の棒状部材、27aは棒状部材27の長手方向と直交して適当な間隔をあけた環状に一体形成された溝部、27bは竹集成材や合成樹脂等で略C字状に形成され溝部27aに嵌合された鍔部、図3(g)において、28は棒状部材25の長手方向と直交して適当な間隔をあけて棒状部材25の表面に接着剤を付着した合成樹脂製繊維やガラス繊維等の繊維材を巻回して形成された鍔部である。
【0053】
本発明の実施の形態2における建築部材の製造方法は、実施の形態1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
なお、図3(e)に示す建築部材の棒状部材26は、キャビティ形成面21に凹凸を形成することによって製造できる。
また、図3(f)に示す建築部材の棒状部材27は、キャビティ形成面21に適当な間隔をあけて溝部27aに対応した凸部を形成することによって製造でき、形成された溝部27aに鍔部27bを嵌合することによって建築部材を製造できる。
また、図3(g)に示す建築部材は、棒状部材25の表面に接着剤を付着した合成樹脂製繊維やガラス繊維,天然繊維等の繊維材を巻回して鍔部28を形成することによって製造できる。
【0054】
以上のような実施の形態2における建築部材の製造方法によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)キャビティ形成面21が凹面状に形成されているので、半割成形体形成工程において、横断面が略半円形の棒状に圧密化された半割成形体22を製造することができ、旋盤等で外面を切削加工しなくても、横断面が略円形状の棒状部材25を製造でき生産性に優れる。
(2)建築部材の棒状部材25,26,27の表面に凹凸や鍔部27b,28を形成することで、接着剤を注入して用いる接合具やコンクリート補強用の竹筋として用いた場合、接着剤やコンクリートの付着性を向上させることができる。
【0055】
ここで、本実施の形態2においては、金型20は、キャビティ10を複数並設したり多段に形成したりしてもよい。
なお、本実施の形態2においては、突条部4が形成された平面状のキャビティ形成面3を有する金型20を用いた場合について説明したが、キャビティ形成面3に突条部4を形成する代わりにキャビティ形成面21と同じように凹状に形成した金型を用いることで、竹片を圧密化して棒状の中実の成形体を製造することができる(成形体形成工程)。これにより、コンクリート等の躯体の補強を目的として躯体内に埋設して用いられる竹筋等の中実の建築部材を製造することができる。
【0056】
図4は実施の形態2における建築部材の製造方法の変形例を示す模式図であり、図4(a)は固定型金型の平面図であり、図4(b)は固定型金型に一層分の竹片を収容した状態を示す平面図であり、図4(c)は固定型金型に多層の竹片を収容した状態を示す模式断面図であり、図4(d)は形成された曲線状の棒状部材の斜視図である。
図中、2aは固定側金型、4aはキャビティ形成面3の底面に突設された横断面が略半円状の突条部、10aは固定側金型2と可動側金型7とを型締めした際に固定側キャビティ形成面3と可動側キャビティ形成面8aの間に形成されるキャビティであり、目的とする曲線状の建築部材の棒状部材と略同一の長さと幅に形成されている。12はキャビティ10aの長手方向と繊維の方向を一致させてキャビティ10a内に収容された複数の竹片であり、多層分の竹片12aは少しずつずらして積み上げられている。24aは二つの半割成形体を接着して形成された中空部、25aは二つの半割成形体を接着して両端部で開口する中空部24aが長手方向に形成された建築部材の曲線状の棒状部材である。
本発明の実施の形態における建築部材の製造方法は、実施の形態1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
以上のように、キャビティ10a内に複数の短い竹片12aを交互にずらして積み重ねて圧縮成形することにより、曲率を有する棒状部材25aを製造することができる。同様にして、折曲状の棒状部材も製造することができる。
【0057】
図5は実施の形態2における建築部材の製造方法の別の変形例を示す模式図であり、(a),(b)は半割成形体形成工程を示す模式図である。なお、実施の形態1又は2と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、20aは加熱装置を備えた図示しない成形装置によって上下方向から加圧される金型であり、成形装置と着脱自在に形成されている。7aは可動側金型7の両側に張り出した延設部、7bは延設部7aの下部に垂設された板状部材、7cは板状部材7bの一側面に形成された圧縮維持手段としてのラチェット部、29は固定側金型2の両側に張り出して形成された支持部材、29aは支持部材29の端部に形成され板状部材7bの側面と摺接する案内部、29bは支持部材29に回動自在に固定されラチェット部7cと係合する圧縮維持手段としての爪部、29cは爪部29bを支持部材に固定する枢軸、29dは固定側金型2の両側に一端が固定され他端が爪部29bに固定されて爪部29bをラチェット部7cの方向に付勢するバネ等の弾性部材である。
12bはキャビティ形成面3の底部に突設された突条部4の横に積み重ねられた竹片、12cは突条部4の上面と竹片12,12bの内側面との間に積み重ねられた籤状の竹片である。竹片12b,12cには接着剤が付着されている。
本発明の実施の形態2の変形例における建築部材の製造方法は、実施の形態1で説明したものと同様であるが、以上のように構成された金型20aを使って、図示しない成形装置を用いて竹片12,12b,12cを圧縮成形する場合、可動側金型7を下降させるとラチェット部7cが爪部29bに係合する圧縮維持手段を備えているので、加圧成形装置から金型20aを脱着しても、竹片12,12b,12cの形状を金型20a内で圧縮したまま維持させることができる(圧縮維持工程)。
【0058】
以上のような実施の形態2の変形例における建築部材の製造方法によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)圧縮維持工程を備えているので、成形装置から金型20aを脱着して金型20aだけを冷却している間に、成形装置に新しい金型を装着して次の成形操作を行うことができるため、成形装置の稼働率を上げて生産性を高めることができるとともに、成形装置は冷やす必要がないため省エネルギー性に優れる。
(2)キャビティ10内の突条部4の上面と竹片12,12bの内側面との間に籤状の竹片12cが積み重ねられているので、突条部4の真上の竹片12が突条部4に沿って大きく変形するのを防止することができ、突条部4に押し付けられた竹片12が割れたりヒビが入ったりするのを防止して欠陥のない建築部材を製造できる。
【0059】
ここで、本実施の形態においては、金型20aの可動側金型7と固定側金型2とをラチェット部7cと爪部29bで係合させる圧縮維持手段を備えた場合について説明したが、ボルトやナット、ターンバックル等で螺着して固定化させる場合もある。なお、形状維持手段は、実施の形態1で説明した固定側金型2と可動側金型7との間に設けることもできる。この場合も同様の作用が得られる。
また、キャビティ10内の突条部4の上に籤状の竹片12cを収容した場合について説明したが、竹片12cの代わりに接着剤を付着した竹繊維を用いる場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
【0060】
(実施の形態3)
図6は実施の形態3における建築部材の金型の分解斜視図であり、図7(a)、(b)は中空成形体形成工程を示す模式図であり、図7(c)は(b)のA−A線における断面図であり、図7(d)は製造された建築部材の側面図であり、図8は心材に接続された配管の構成図である。
図中、30は加熱装置を備えた図示しない成形装置によって上下方向から加圧される金型であり、成形装置と着脱自在に形成されている。31は金型30の固定側金型、32は固定側金型31の上面を窪ませて形成されたキャビティ、32aはキャビティ32の底部の凹面状のキャビティ形成面、33はキャビティ32の長手方向の両端部に連通して端部が固定側金型31の両端で開口し固定側金型31の上面から所定部まで長孔状に形成された案内溝、34は固定側金型31の上面から下方に向かって穿設され案内溝33と連通する断面が略矩形状のガイド孔部、35は固定側金型31のキャビティ32の周りの上面に配設されたOリング等のシール部材、36は固定側金型31の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、37は可動側金型、37aは可動側金型37の下面に形成されキャビティ32内に嵌挿される加圧コア、38は加圧コア37aの下面に形成された凹面状のキャビティ形成面、39は加圧コア37aの両端に形成され型締めの際に案内溝33に嵌挿される心材押え部、40は心材押え部39の側方に突設され型締めの際にガイド孔部34に嵌挿されるガイド凸部、40aはガイド凸部40の側面に配設されたシール部材、41は可動側金型37の心材押え部39,ガイド凸部40,キャビティ形成面38の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、42はステンレス製等の金属製の中空管で形成され両端が案内溝33内に嵌挿された心材、43は心材42の周壁に複数形成され水蒸気,冷却用流体の1種以上が通過する孔部、43aは心材42の両端近傍の外周に配設され型締め時にガイド凸部40の先端面に押圧されるシール部材である。心材42の両端は案内溝33から固定側金型31の外側に突き出しており、後述する水蒸気発生装置47d,安全弁47h,冷却用流体循環装置47j,切換弁47b,47fが配設された配管47a,47eが接続されている。
【0061】
図7(a)において、44はキャビティ32の長手方向と繊維の方向を一致させて心材42の下側のキャビティ32内に積み重ねられ収容された複数の竹片、45はキャビティ32の長手方向と繊維の方向を一致させて心材42の上側のキャビティ32内に積み重ねられ収容された複数の竹片、図7(b),(c)において、44a,45aは竹片44,45が圧縮成形され横断面が略円形の棒状に圧密化され一体化された中空成形体、図7(d)において、46は中空成形体44a,45aから心材42を抜いて形成された中空部、47は両端部で開口する中空部46が長手方向に形成された建築部材の棒状部材である。
図8において、47aは心材42の一端部と接続する配管、47bは配管47aに配設された切換弁、47cは切換弁47bと接続する水蒸気用配管、47dは水蒸気用配管47cに配設された水蒸気発生装置、47eは心材42の他端部と接続する配管、47fは配管47eに配設された切換弁、47gは切換弁47fと接続する水蒸気用配管、47hは水蒸気用配管47gに配設された安全弁、47iは切換弁47b,47fと接続する冷却流体用配管、47jは冷却流体用配管47iに配設され冷風等の冷却用流体を発生し系内を循環させる冷却用流体循環装置、47kは加熱されて膨張し圧力が上昇した冷却用流体を逃す調整管、47lは調整管47kに配設された逃し弁である。なお、本実施の形態においては、安全弁47hは圧力が120〜2500kPaの設定値以上になると水蒸気を外部に逃すように設定されている。
【0062】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態3における建築部材の製造方法について説明する。
始めに、実施の形態1と同様に、縦方向に1/8〜1/16程度に分割した竹片44,45を製造する。次に、竹片44,45の表皮(外皮及び内皮)をブラスト処理によって除去する。
竹片44,45の表面に満遍なくイソシアネート系接着剤等の接着剤を塗布した後、図7(a)に示すように、中空成形体形成工程において、固定側金型31のキャビティ32内に所定の厚さになるまで竹片44を順に積み重ねていく。なお、必要に応じて、実施の形態1と同様にキャビティ32内にはシリコン樹脂層等の離型層を形成する。
次に、竹片44の上に心材42を配設し心材42の両端のシール部材43aをガイド孔部34内に挿入する。次いで、心材42の上に所定の厚さになるまで竹片45を順に積み重ねていく。
次に、固定側金型31と可動側金型37を図示しない成形装置に配設した後、冷却用管36,41に冷却水等を流す図示しない配管を接続する。心材42の両端には配管47a,47eを接続する。
固定側金型31のキャビティ32内に可動側金型37の加圧コア37aを嵌挿し、固定側金型31の案内溝33,ガイド孔部34に可動側金型37の心材押え部39,ガイド凸部40を各々嵌挿し、可動側金型37のキャビティ形成面38を竹片45に当接させた後、固定側金型31と可動側金型37のキャビティ形成面32a,38を100〜180℃好ましくは130〜150℃に加熱する。また切換弁47b,47fを配管47c,47g側に切換えて、キャビティ32内に心材42の孔部43を通じて高温の水蒸気を導入する。これにより、竹片44,45に含まれる水分が蒸発するとともに水蒸気発生装置47dから強制的に水蒸気がキャビティ32内に導入され、キャビティ32内の竹片44,45が高温の水蒸気で満たされ、竹片44,45が軟化される。この状態を1〜10分間保持する。
【0063】
次に、図7(b)に示すように、可動側金型37を下降させ、心材42を心材押え部39で押し下げながら案内溝33内に沿って下降させながら、可動側金型37に1〜15MPa好ましくは5〜10MPaの圧力を加え、加圧コア37aで竹片44,45を断面積比で1/2〜1/3程度になるように圧縮成形する。この状態で1〜60分程度保持すると、キャビティ32内の高温高圧の水蒸気によって接着剤が熱硬化され、竹片44,45同士が接着されて形状が固定化され中空成形体44a,45aが製造される。シール部材35が可動側金型37に当接するまで可動側金型37を下降させると、シール部材35で密閉されたキャビティ32内で竹片44,45が高温高圧の水蒸気で満たされるので、竹片44,45に含まれるヘミセルローズとリグニンが部分的に解重合し、その結果、竹材腐朽菌の生育を阻害させる性質をもったフェノール化合物やフルフラール化合物等が生成され建築部材の耐腐朽性を向上させる。(以上、中空成形体形成工程)。
中空成形体44a,45aの形状が固定化されたら、冷却用管36,41に冷却水等の冷却用流体を流し固定側金型31及び可動側金型37を冷却する。さらに、切換弁47b,47fを配管47i側に切換えて、心材42内に冷風等の冷却用流体を供給する。これにより、中空成形体44a,45aが内側から冷却されるとともに、心材42が冷却されて径が小さくなるので中空成形体44a,45aから外れ易くなる。中空成形体44a,45aが固定側金型31から取り出せる程度の低温になったら、心材42とともに中空成形体44a,45aを取り出し、各種配管を外すとともに片側のシール部材43aを心材42から抜いた後、中空成形体44a,45aから心材42を引抜いて、図7(d)に示すような中空部46が形成された横断面が略円形の建築部材の棒状部材47を製造する。
【0064】
以上のような実施の形態3における建築部材の製造方法によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)キャビティ32内に心材42を収容し竹片44,45とともに圧縮成形するので、中空部46を備えた建築部材の棒状部材47を一度の成形操作で製造でき生産性に優れる。
(2)固定側金型31がキャビティ32の両端部と連通した案内溝33を備え、可動側金型37が圧縮成形時に心材42の両端を押し下げる心材押え部39を備えているので、可動側金型37が可動し圧縮変形されるにつれて心材42が押し下げられるため、密度が略均一で曲げ強さ等の機械的強度の高い中空成形体を製造することができる。
(3)周壁に孔部43が形成された中空管で心材42が形成されているので、圧縮成形前に高温高圧の水蒸気を心材42からキャビティ32内に注入することで、竹片44,45を短時間で軟化させることができ生産性に優れる。また、中空成形体を形成した後は、冷風等の冷却用流体を心材42から注入することで、中空成形体の内部から冷却でき冷却時間を短縮できるとともに、心材42が冷却収縮するので、圧縮成形された中空成形体から心材42を抜き易くすることができ生産性を高めることができる。
【0065】
なお、実施の形態2の変形例で説明した圧縮維持手段を、固定側金型31と可動側金型37との間に設け、中空成形体形成工程の後、金型30を成形装置から脱着する場合もある。この場合は、成形装置の稼働率を上げて建築部材の生産性を高めることができるため好ましい。
また、キャビティ32内に心材42と竹片44,45を収容する際、心材42の周囲には、接着剤を付着した細い籤状の竹片や竹繊維を配置するのが好ましい。竹片44,45が心材42に沿って大きく変形するのを防止することができ、心材42に押し付けられた竹片44,45が割れたりヒビが入ったりするのを防止して欠陥のない建築部材を製造するためである。
【0066】
(実施の形態4)
図9は実施の形態4における建築部材の製造方法を示す斜視図であり、図10は実施の形態4における中空成形体形成工程を示す模式図である。なお、実施の形態3で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図9(a)において、48はポリエチレン,ポリスチレン,ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂等の合成樹脂、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維等で織布,編布,不織布,紙状等に形成されたシート材、48aは繊維方向を心材42の長手方向と一致させて配列し、イソシアネート系接着剤等の接着剤でシート材48に接着した籤状等の竹片や天然繊維、49は竹片や天然繊維48aが接着されたシート材48が心材42の回りに所定の厚さになるまで巻回された巻回成形体である。
図9(b)において、48bは竹材を原料とするセルロースレーヨン繊維糸,セルロース繊維糸等の繊維糸、49aは繊維糸48bが心材42の回りに所定の厚さになるまで螺旋状に巻回された巻回成形体である。
図10において、50は加熱装置を備えた後述する成形装置65によって加圧される金型、51は金型50の固定側金型、52は固定側金型51に形成されたキャビティ、52aはキャビティ52の所定面に形成された凹面状のキャビティ形成面、53は固定側金型51の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、54は固定側金型51の所定箇所に穿設されたガイド孔部、55は金型50の側面型、56はガイド孔部54と対応する位置に突設されガイド孔部54に嵌挿されるガイド凸部、57は側面型の端部に長手方向に渡って配設されたOリング等のシール部材、58は側面型55の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、59は可動側金型、60は可動側金型59の下面に形成されキャビティ52内に嵌挿される加圧コア、61は加圧コア60の下面に形成された凹面状のキャビティ形成面、62は加圧コア60の根元の周囲に配設されたOリング等のシール部材、63は可動側金型59の内部に配設され冷却水等の冷却用流体が流れる冷却用管、64は複数の金型50を並設して拘束する拘束部材、64aは金型50の上に当接される板状の当接部材、65は拘束部材64によって拘束された複数の金型50を加圧する成形装置であり、拘束部材64は成形装置65に着脱可能に形成されている。
【0067】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態4における建築部材の製造方法について説明する。
始めに、表皮を除去した竹材を分割して籤状等に形成した竹片や天然繊維48aを、シート材48に繊維方向を揃えてイソシアネート系接着剤等の接着剤を用いて接着する。次に、図9(a)に示すように、竹片や天然繊維48aの繊維方向を心材42の長手方向と一致させて心材42の回りに所定の厚さになるまで巻回し、心材42が貫設された巻回成形体49を製造する。
次に、図10(a)に示すように、巻回成形体49を固定側金型51のキャビティ52内に収容した後、側面型55と固定側金型51との間で加圧し巻回成形体49の横断面を長円状に変形させる。なお、必要に応じて、実施の形態3で説明したように加熱したり水蒸気を導入したりすることもできる。
次に、図10(b)(c)に示すように、複数の金型50を並設して拘束部材64内に拘束し、上下から金型50を成形装置65によって加圧し巻回成形体49を圧密化することで、中空成形体を製造することができる(以上、中空成形体形成工程)。なお、中空成形体形成工程において、巻回成形体49を高温の水蒸気で軟化させる点、高温下で圧縮成形する点、心材42を心材押え部で押し下げる点は、実施の形態3で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0068】
以上のような実施の形態4における建築部材の製造方法によれば、実施の形態3に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)竹材は繊維が強靭なため圧縮成形すると竹材の繊維同士が圧迫し合い繊維を断ち切ってしまい機械的強度が低下することがあるが、合成樹脂や無機繊維等で形成された織布,編布,不織布,シート等のシート材48とともに心材42の回りに巻回されているため、合成樹脂等が竹の繊維間や天然繊維間を緩衝し繊維が断ち切られるのを防止し、建築部材の機械的強度が低下するのを防止できる。また、ガラス繊維や無機繊維等で形成されたシート材48を用いることで、建築部材を補強することができ機械的強度が低下するのを防止できる。
(2)複数の金型50を拘束部材64で拘束し一括して成形するので、生産性に優れる。
(3)拘束部材64が成形装置65に着脱可能に形成されているので、圧縮成形した後に金型50を冷却する際には、成形装置65から拘束部材64ごと金型50を取り外し、流水,空気等の冷却用媒体を金型50にかけて素早く冷却させることができ生産性に優れる。
【0069】
なお、巻回成形体49を用いた場合について説明したが、同様に巻回成形体49aを用いる場合もある。この場合は、繊維糸48bを心材42の回りに所定の厚さになるまで螺旋状に巻回して形成することができ生産性に優れる。
また、巻回成形体49の圧縮変形量は、竹片や天然繊維の間にシート材48が介在しているため小さく、また圧縮量によってはシート材48に巻回成形体49の長手方向に沿って皺が生じることもあるが、得られた建築部材の引張強度はほとんど低下することがなく、また金型50の内面(巻回成形体49の接触面)に凹部を形成しておくことで、生じた皺で巻回成形体49の表面に凸部を形成することができ、接着剤を注入して用いる接合具やコンクリート補強用の竹筋として製造された建築部材の表面の凸部にすることができ、接着剤やコンクリートの付着性が向上するため好ましい。
また、実施の形態2の変形例で説明した圧縮維持手段を、拘束部材64と当接部材64aとの間に設け、中空成形体形成工程の後、拘束部材64ごと金型50を成形装置65から脱着して金型50を冷却することができるため、成形装置65の稼働率を上げて建築部材の生産性を高めることができるとともに、成形装置65は冷却しないため省エネルギー性に優れる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
竹材としてのマダケ(密度約0.56)を長さ290mmに切断し、次いで幅約25mmに分割した後、ブラスト処理によって外皮及び内皮を除去した竹片を製造した。次に、この竹片を24時間、水に浸漬した。次いで、水中から取り出した竹片の表面にイソシアネート系接着剤を約300g/m塗布した。
長さ300mm、幅30mmの矩形状に形成された金型のキャビティ内に、接着剤を塗布した竹片を7枚積み重ね、金型を130℃に加熱して7MPaの圧力で60分間保持して圧縮成形した。この結果、成形前は約40mmの厚さがあったものが20mmの厚さに圧縮され、長さ300mm、幅30mm、厚さ20mmの直方体状の成形体が得られた。
この成形体の幅方向及び長さ方向を切削して、長さ250mm、幅20mm、厚さ20mmの試験片を得た。この試験片の密度を測定するとともに、JIS Z2101に準拠して引張強度を測定したところ、密度は1.2g/cmであり、引張強度は平均350MPaであり、鋼材(SS400)(引張強度400MPa)に近い高い引張強度を有していることが明らかになった。
【0071】
(実施例2)
マダケに代えてモウソウチク(密度約0.98)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の試験片を得た。
この試験片の密度及び引張強度を測定したところ、密度は1.3g/cmであり、引張強度は平均300MPaであった。
【0072】
(実施例3)
竹材(マダケ)を爆砕して得られた竹繊維からなる天然繊維にイソシアネート系接着剤を噴霧し、これを長さ300mm、幅30mmの矩形状に形成された金型のキャビティ内に収容し、金型を130℃に加熱して7MPaの圧力で60分間保持して圧縮成形した。この結果、成形前は約80mmの厚さがあったものが20mmの厚さに圧縮され、長さ300mm、幅30mm、厚さ20mmの直方体状の成形体が得られた。
この成形体の幅方向及び長さ方向を切削して、長さ250mm、幅20mm、厚さ20mmの試験片を得た。この試験片の引張強度をJIS Z2101に準拠して測定したところ、平均330MPa以上であった。
なお、麻(チョマ)から取り出された天然繊維についても同様に圧縮成形して試験片を作成したところ、この試験片の引張強度は平均で300MPa以上であった。
【0073】
(比較例1)
竹材としてのマダケ(密度約0.56)を長さ290mmに切断し、次いで幅約25mmに分割した後、ブラスト処理によって外皮及び内皮を除去した竹片を製造した。この竹片を薄板状に切削した後、薄板にイソシアネート系接着剤を塗布して7層の薄板を常温で圧締接着して集成材化した後、幅方向、厚さ方向及び長さ方向を切削して、長さ250mm、幅20mm、厚さ20mmの試験片を得た。この試験片の引張強度は平均180MPaであった。
(比較例2)
マダケに代えてモウソウチク(密度約0.98)を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の試験片を得た。この試験片の引張強度は平均100MPaであった。
【0074】
以上のように本実施例によれば、竹片や天然繊維を圧縮成形して圧密化することによって、鋼材(SS400)(引張強度400MPa)に近い高い引張強度が得られることが明らかになった。また、成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で強度ばらつきが少なく品質の安定性に優れていることも明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、住宅等の建築の省力化、合理化等を目的として梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱、柱と柱等の構造部材の接合を目的として構造部材間に埋設して用いられる接合具、コンクリート等の躯体の補強を目的として躯体内に埋設して用いられる竹筋等の建築部材の製造方法に関し、硬く機械的強度が高く強度ばらつきの小さな建築部材を製造でき、また成形する金型の温度、圧力等の品質管理に必要な条件数が少なく管理が容易で品質の安定性に優れ、またバッチ毎の処理時間や切換時間が短く量産性に優れ、さらに耐腐朽性を向上させる建築部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態1における建築部材の製造方法を示す模式図
【図2】(a)製造された建築部材の応用例の一つである接合具の斜視図 (b)(c)(d)製造された建築部材の竹筋としての接合方法を示す断面図
【図3】実施の形態2における建築部材の製造方法を示す模式図
【図4】実施の形態2における建築部材の製造方法の変形例を示す模式図
【図5】実施の形態2における建築部材の製造方法の別の変形例を示す模式図
【図6】実施の形態3における建築部材の金型の分解斜視図
【図7】(a)、(b)中空成形体形成工程を示す模式図 (c)(b)のA−A線における断面図 (d)製造された建築部材の側面図
【図8】心材に接続された配管の構成図
【図9】実施の形態4における建築部材の製造方法を示す斜視図
【図10】実施の形態4における中空成形体形成工程を示す模式図
【符号の説明】
【0077】
1 金型
2,2a 固定側金型
3 固定側キャビティ形成面
4,4a 突条部
5 冷却用管
6 シール部材
7 可動側金型
7a 延設部
7b 板状部材
7c ラチェット部
8 加圧コア
8a 可動側キャビティ形成面
9 冷却用管
10,10a キャビティ
11 離型層
12,12a,12b,12c 竹片
13 半割成形体
13a 棒状部材
14 溝部
15 中空部
16,18,19 棒状部材
17 接着剤案内溝
17a 螺着孔
17b 枝管
17c 中空部
18a 中空部
18b,18c,19a 接続部材
20,20a 金型
21 キャビティ形成面
22 半割成形体
23 溝部
24,24a 中空部
25,25a,26,27 棒状部材
27a 溝部
27b,28 鍔部
29 支持部材
29a 案内部
29b 爪部
29c 枢軸
29d 弾性部材
30 金型
31 固定側金型
32 キャビティ
32a キャビティ形成面
33 案内溝
34 ガイド孔部
35 シール部材
36 冷却用管
37 可動側金型
37a 加圧コア
38 キャビティ形成面
39 心材押え部
40 ガイド凸部
40a シール部材
41 冷却用管
42 心材
43 孔部
43a シール部材
44,45 竹片
44a,45a 中空成形体
46 中空部
47 棒状部材
47a 配管
47b 切換弁
47c 水蒸気用配管
47d 水蒸気発生装置
47e 配管
47f 切換弁
47g 水蒸気用配管
47h 安全弁
47i 冷却流体用配管
47j 冷却用流体循環装置
47k 調整管
47l 逃し弁
48 シート材
48a 竹片や天然繊維
48b 繊維糸
49,49a 巻回成形体
50 金型
51 固定側金型
52 キャビティ
52a キャビティ形成面
53 冷却用管
54 ガイド孔部
55 側面型
56 ガイド凸部
57 シール部材
58 冷却用管
59 可動側金型
60 加圧コア
61 キャビティ形成面
62 シール部材
63 冷却用管
64 拘束部材
64a 当接板
65 成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材等の建築部材の製造方法であって、
金型のキャビティ内に竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を収容し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、成形体を形成する成形体形成工程を備えていることを特徴とする建築部材の製造方法。
【請求項2】
横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の中心部に長手方向と平行に全体に渡って又は両端若しくは一端で開口する中空部と、を備えた建築部材の製造方法であって、
前記建築部材の前記中空部を長手方向に沿って半割にした溝部を形成する突条部がキャビティ形成面に形成された金型のキャビティ内に、竹材の表皮を除去した複数の竹片乃至は竹繊維と接着剤を収容し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、前記溝部が形成された半割成形体を形成する半割成形体形成工程と、
前記金型内から前記半割成形体を取り出した後、2つの前記半割成形体の前記溝部同士をあわせて接着する接着工程と、
を備えていることを特徴とする建築部材の製造方法。
【請求項3】
横断面が略円形,略楕円形又は略多角形のいずれかの直線状,曲線状又は折曲状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の長手方向に形成され前記棒状部材の両端部で開口する中空部と、を備えた建築部材の製造方法であって、
竹材の表皮を除去した複数の竹片及び/又は天然繊維と接着剤を金型内に収容するとともに、前記建築部材の前記中空部を形成する心材を前記竹片及び/又は前記天然繊維の略中心に配置し、型締めした高温の前記金型内で前記竹片及び/又は前記天然繊維を圧縮成形し、前記中空部が形成された中空成形体を形成する中空成形体形成工程を備えていることを特徴とする建築部材の製造方法。
【請求項4】
前記金型が、成形時に前記心材の両端を押し下げる心材押え部を有する可動側金型と、前記キャビティの両端部と連通し前記可動側金型の可動方向と同方向に長孔状に形成され前記心材の両端が挿通される案内溝を有する固定側金型と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の建築部材の製造方法。
【請求項5】
前記心材が、水蒸気,冷却用流体の1種以上が通過する孔部が周壁に形成された中空管で形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建築部材の製造方法。
【請求項6】
前記竹片及び/又は前記天然繊維を合成樹脂,無機繊維の内の1種以上で形成された織布,編布,不織布,シートのいずれか1種以上と前記接着剤とともに前記心材に巻回する、又は、前記竹材を原料とする繊維糸と前記接着剤を前記心材に巻回することを特徴とする請求項3乃至5の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法。
【請求項7】
成形体形成工程、半割成形体形成工程、中空成形体形成工程のいずれかの後、前記金型の圧縮状態を維持する圧縮維持工程を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法。
【請求項8】
前記竹材の前記表皮が、ブラスト処理によって除去されていることを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1に記載の建築部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−38666(P2007−38666A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182778(P2006−182778)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(592135557)株式会社豊夢 (4)
【Fターム(参考)】