説明

建設機械における装備品配設構造

【課題】 建設機械に設けられる交換や補充が必要な装備品を、容易に、かつ、作業性よくメンテナンスできるように構成する。
【解決手段】 シート5とキャブ11の右側壁であるサイドパネル17とのあいだに設けられる右側コンソール20のシート5側の左側片20bに、交換が必要なヒューズ25等が配される取り付けボード24やウォッシャタンク30等の装備品を設け、右側コンソール20の右側片20dに切り欠き部20eを、サイドパネル17に開口17aをそれぞれ形成して、これら切り欠き部20e、開口17aを介して装備品が外部から臨めるように構成するとともに、前記開口17aに開閉ドア31を開閉自在に設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み込み作業や除雪作業を行うホイールローダ等の建設機械における装備品配設構造の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種建設機械において、これがホイールローダである場合、オペレータが搭乗するキャブには、機体を走行操作するための操作具に加えて、作業装置を操作するための操作具や、それに伴う各種部品類、さらには、ラジオやシガーライター等の備品類等、複数の装備品が搭載されている。
【0003】
このように数多い装備品のうち、操作具やそれに伴う部品類、あるいは、ラジオやシガーライター等については、オペレータの操作しやすい場所に配設することが望まれ、オペレータが搭乗するキャブのフロント部分にこれら装備品を配すようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】特開2001−26947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建設機械に搭載される装備品のなかには、機体の操作をするときには直接操作することはなく、例えば電装品の駆動回路に接続されるヒューズやリレーのように長期にわたる使用の過程で交換が必要になるもの、例えばウォッシャタンクのようにウォッシャ液の補充が必要になるもの等、メンテナンスを要する装備品が各種搭載されている。そして、これら交換や補充が必要な装備品については、交換作業や補充作業等のメンテナンスにおける作業性の向上を図ることが要求され、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、機体に作業装置が作業動作自在に設けられる建設機械に、オペレータが着座するシートを内装するキャブを設けるにあたり、前記キャブの左右少なくとも一方の側部において、キャブを構成する側壁とシートとのあいだに、交換や補充が必要な装備品を集中して配設する一方、前記一方の側壁に装備品を臨む開口を形成するとともに、前記開口に開閉自在な開閉ドアを設けて、装備品の交換や補充をキャブの外部から行えるようにしたことを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、キャブの一方に配設される装備品は、機体に設けられる電装品に接続されるヒューズである。
請求項3の発明は、請求項1または2の何れか一項において、キャブの一方に配設される装備品は、ウォッシャタンクである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、集中的に配された装備品のメンテナンスをキャブの外部から行うことができて、作業性よくメンテナンスを行うことができる。
請求項2または3の発明とすることにより、メンテナンスを容易に、かつ、利便性よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図1〜6の図面に基づいて説明する。
図面において、1はホイールローダであって、該ホイールローダ1は、後輪2が設けられる後部車両1Aと、前輪3が設けられる前部車両1Bとを、連結部1Cを介して左右揺動自在に連結して構成されている。そして、後部車両1Aには、エンジン(図示せず)等の機械装置が収納されるエンジンルーム4、オペレータが着座するシート5やステアリングホイール6等が配される運転席部、カウンタウエイト7、図示しない燃料タンク、作動油タンク等の各種部材が設けられている。一方、前部車両1Bには、バケット8やアーム9等からなる作業装置10が作業動作自在に装着されている。
【0008】
11は前記運転席部を覆うキャブであって、該キャブ11は、左右の前側支柱12L、12Rおよび左右の後側支柱13L、13Rを備えて構成され、左右の前側支柱12L、12Rのあいだにはフロントガラス14が、後側支柱13L、13Rのあいだにはリヤガラス15がそれぞれ一体的に設けられ(嵌着され)ている。さらに、左側に位置する前後側支柱12L、13Lのあいだ、そして、右側に位置する前後側支柱12R、13Rのあいだには、それぞれ左右の側壁が設けられるが、左側の側壁はキャブ11への出入り口部となるべく開閉自在の乗降用ドア16に構成されている。さらに、右側の側壁は、本発明の一方の側壁に相当しており、前後側支柱12R、13Rに一体的に嵌着されるサイドパネル17により構成されている。
一方、18は後部車両1Aの基台となる機体フレームであって、該機体フレーム18を構成する支柱取り付け座18aに、前記左右の前側支柱12L、12Rおよび左右の後側支柱13L、13Rの下端部がそれぞれ固定されるように設定されている。
【0009】
一方、前記キャブ11に内装されるシート5の左右両側部には、ホイールローダ1の走行等の操作や、作業装置10による作業動作を操作をするための操作具が配設される左右のコンソール19、20が設けられている。これらコンール19、20は、シート5左側とキャブ11の左側の側壁であるドア体16とのあいだ、また、シート5とキャブ11の右側の側壁であるサイドパネル17とのあいだの空隙を覆うようにそれぞれ配設されている。そして、オペレータの乗降の際に通路を設ける必要のない右側部位に配設される右側のコンソール20は、前方に通路を確保する必要のある左側のコンソール19よりも前後方向に長く形成され、ここに、車速コントロールレバー21、作業装置10用の操作レバー22、および、作業装置10用の操作スイッチ群23等の各種操作具がそれぞれ設けられている。因みに、これら操作具21、22、23類は右側コンソール20を構成する上面20aに配設され、シート5に着座したオペレータの右手による操作が容易になるように配慮されている。
【0010】
前記右側コンソール20は、上面20aの左縁部(シート5側縁部)から下方に延出して機体フレーム18に固定された床フレーム18bに一体化される左側片20bと、上面20aの前端縁から下方に延出して床フレーム18bに一体化される前片20cと、上面20aの右縁部(キャブ11のサイドパネル17側縁部)から下方に延出して床フレーム18bに一体化される右側片20dとを備えて構成されている。前記右側片20dは、前記サイドパネル17に面する部位であって、右側片20dの前方部位を切り欠いて切り欠き部20eが形成されており、該切り欠き部20eを介してサイドパネル17側から左側片20bの前方側部位が臨めるように構成されている。
そして、前記左側片20bの前方部位に、交換や補充等、メンテナンスが必要な装備品が集中配設されている。つまり、左側片20bの切り欠き部20e対向部位には、後方に位置して取り付けボード24が螺子止め等の固定手段により一体的に固定され、該取り付けボード24の右側面(外側面)に、ホイールローダ1に搭載される電装品の駆動回路に接続されるヒューズ類25やリレー類26、さらには、スイッチ類27、コントローラー28等、長期にわたる使用により交換が必要な装備品が集中的に配設され、交換、修理等のメンテナンス作業が外部から行えるようになっている。さらに、左側片20bには、取り付けボード24外周部位のうち左および右側部位に近接する部位に位置して右方に突出する保護プレート20fが一体的に設けられており、取り付けボード24に配設された装備品の保護を図るように設定されている。
【0011】
さらに、取り付けボード24の前側保護プレート20fには、前方に延出する支持プレート29が連結固定されており、該支持プレート29に、ウォッシャタンク30の胴体部位に形成された凹部30aが係止して、ウォッシャタンク30を吊持状に支持固定しており、これによって、左側片20bの切り欠き部20e対向部位の前方にウォッシャタンク30が配設されている。そして、ウォッシャタンク30は、注入口30bが右方(外方)を向く状態で支持されていて、キャブ11の右側からウォッシャ液の補充ができるように構成されている。
【0012】
一方、キャブ11を構成するサイドパネル17の下方部位であって、前記取り付けボード24とウォッシャタンク30との配設部位に対向する部位に位置し、右側コンソール右側片20dに形成された切り欠き部20eと連通する開口17aが形成されており、該開口17aおよび切り欠き部20eを介し、取り付けボード24とウォッシャタンク30とを、キャブ11の外部から臨めるように構成されている。さらに、開口17aには開閉ドア31が設けられるが、該開閉ドア31は、右側縁部と開口の右側縁部とのあいだの内側面に設けた丁番31aにより連結されて開閉自在に構成されている。これによって、オペレータがキャブ11の外部、即ち右側部に立って開閉ドア31を開放することにより、右側コンソール左側片20bに集中配設された取り付けボード24上の装備品やウォッシャタンク31を臨むことができ、装備品の交換やウォッシャ液の補充等、メンテナンス作業を行うことができるように構成されている。
【0013】
叙述の如く構成された本形態において、ホイールローダ1に搭載されるメンテナンスを要する装備品が、キャブ11の乗降用ドア16が設けられていない側である右側のコンソール20を構成する左側片20bに集中して配設されている。そして、これら装備品をメンテナンスする場合では、キャブ11の右側を構成するサイドパネル17に設けられた開閉ドア31を開放することにより、サイドパネル17に形成された開口17aを介してキャブ11の外側から行うことができ、一度に多くの装備品のメンテナンスができてメンテナンスの所用時間を短縮できる。そのうえ、キャブ11の右側部に立った状態でメンテナンスを行うことができるので、作業の自由度が増して作業性よくメンテナンスできるという利点もある。
【0014】
そのうえ、このものでは、例えば電装品の駆動回路に接続されるヒューズ類25やリレー類26のように長期にわたる使用の過程で交換が必要になる装備品、また、ウォッシャタンク30のようにウォッシャ液の補充が必要になる装備品等を集中して設けられており、これらのメンテナンスをキャブ11の外部から行うことができるので、容易に、かつ、利便性よく作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ホイールローダの側面図である。
【図2】機体フレームの平面図である。
【図3】右側コンソールの斜視図である。
【図4】図2におけるX−X断面図である。
【図5】装備品の集中配設状態を説明する側面図である。
【図6】開閉ドアの開放状態を説明する要部正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ホイールローダ
11 キャブ
14 フロントガラス
17 サイドパネル
17a 開口
20 右側コンソール
24 取り付けボード
25 ヒューズ類
30 ウォッシャタンク
31 開閉ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に作業装置が作業動作自在に設けられる建設機械に、オペレータが着座するシートを内装するキャブを設けるにあたり、前記キャブの左右少なくとも一方の側部において、キャブを構成する側壁とシートとのあいだに、交換や補充が必要な装備品を集中して配設する一方、前記一方の側壁に装備品を臨む開口を形成するとともに、前記開口に開閉自在な開閉ドアを設けて、装備品の交換や補充をキャブの外部から行えるようにしたことを特徴とする建設機械における装備品配設構造。
【請求項2】
請求項1において、キャブの一方に配設される装備品は、機体に設けられる電装品に接続されるヒューズである建設機械における装備品配設構造。
【請求項3】
請求項1または2の何れか一項において、キャブの一方に配設される装備品は、ウォッシャタンクである建設機械における装備品配設構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate